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4日目夜 仮」の最新版変更点

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 【前と同じく書き始めは、食事シーンが終わってから書きます。】
 【まだ未構成です】
 
 
 大輔 「こんばんは」
 
 梨亜 「こんばんは~。……ちゃんと来てくれたんだね」
 
 大輔 「う、うん」
 
 梨亜はベンチに座ったまま、こちらを見上げてきた。
 ……上目使いでその笑顔は、反則だと思います。
 俺の精神衛生上、非常によろしくない。
 
 梨亜 「よいしょっと…。でも、遅刻だよ。私なんて、30分も前に来てたんだから」
 
 大輔 「あ……あれ?」
 
 もしかして、時間を間違えてた?
 慌てて、時計を確認する。
 20時ぴったし……合ってるよな。
 
 
 大輔 「2時間前で……よかったんだよね?」
 
 梨亜 「うん、そうだよ」
 
 大輔 「なら、遅刻してないんじゃ……」
 
 梨亜 「乙女を待たすなんて、さいて~」
 
 大輔 「………………うぐ」
 
 要するに、時間通りに来ても梨亜より遅かったら遅刻になるってことね。
 …………どこの独裁者だよ……
 
 梨亜 「あはは、冗談だよ?半分」
 
 大輔 「………………」
 
 ……半分は本気だったんだな。
 
 梨亜 「……これからは気をつけてね?」
 
 大輔 「出来るだけ頑張ります……」
 
 梨亜 「よろしい。それじゃあ、時間がもったいないしそろそろ行こうか」
 
 大輔 「い、行くってどこに?」
 
 てっきり、ここで何かの話をするんだとばかり思ってたんだけど……
 
 梨亜 「私のおうち」
 
 大輔 「はいっ!?」
 
 梨亜 「嫌だった?」
 
 大輔 「え……えっ~~!!?」
 
 一体どういうことだ!?
 まだ、数回しか会ってない俺を家に呼ぶなんて……
 だ、だって普通はそんな簡単に招待しないだろ?
 こう…ウフフでムフフな関係になってから――
 
 梨亜 「何をぶつぶつ言ってるのさ……」
 
 大輔 「な……なんでもない」
 
 梨亜 「それで、どっち?」
 
 大輔 「……嫌とかじゃないんだけど……まだ心の準備が……」
 
 梨亜 「あ、気を使わなくても大丈夫だよ。この時間は親いないから」
 
 大輔 「余計ダメでしょ!?」 (大きい文字)
 
 なんだか、梨亜って……すごい無防備。
 信頼されてるのか…それとも、俺が男として見られてないってことなのか……
 
 梨亜 「なんで?」
 
 大輔 「………………なんでもない」
 
 どうやら、後者だったらしい。
 どうしてかわかんないけど、ちょっとショック。
 
 梨亜 「あぁもう、いつまでも悩んでないで早く行こう!ほらっ!」
 
 (手をパシっと叩くような音)
 
 大輔 「ちょ……ちょっと!?」
 
 梨亜 「手を握ったくらいで、そんなに動揺しないでよ。じゃあ、しゅっぱ~つ」
 
 大輔 「うわっ!?」
 
 梨亜は俺の手を握ったまま、グイグイと引っ張っていく。
 俺は抵抗をすることを忘れ、引きずられていった。
 
 
 ………
 ……
 …
 
 ……あったかい。
 女の子特有の柔らかい手の感触が、俺に直接伝わってくる。
 しかも、ひいき目で見なくても上ランクに入るような子の。
 ……動揺するなっていう方が無理な話だよなぁ~……
 心拍数が、どんどんあがっていくのがよくわかる。
 梨亜は、自分がどれだけ可愛いのか気づいていないのだろうか。
 
 梨亜 「―――輔。大輔っ!!」
 
 大輔 「……へ?」
 
 梨亜 「なにをボ~っとしてるのさ……もう着いたよ」
 
 大輔 「あ……あれ?」
 
 慌てて目の前を見上げてみる。
 そこには、白い外壁のお洒落な洋館が門を構えていた。
 ……ここってどこの国ですか?
 俺は、いつの間にか国境を越えていたらしい。
 
 
 大輔 「……ここが、梨亜の家?」
 
 梨亜 「うん、そうだよ」
 
 大輔 「ほ~……」
 
 ……もしかして、梨亜ってお嬢様?
 
 梨亜 「あはは、先に言っとくけど、お嬢様なんかじゃないからね」
 
 大輔 「うえっ!!?」
 
 しかも、エスパー!?
 
 梨亜 「エスパーでもないったら……ホントに大輔はわかりやすいね。それがいいところなんだろうけど」
 
 大輔 「な……なんで考えてることが?」
 
 梨亜 「大輔は顔に全部出ちゃってるんだよ。綺麗さっぱりすっきりばっちり」
 
 大輔 「………………」
 
 俺って、サトラレみたいなものだったのか。
 …………これからは無心を心がけるようにしよう。
 絶対無理だと思うけど。
 
 梨亜 「さて、こんなところで立ち話もなんだし、上がって上がって」
 
 大輔 「あ、お邪魔します」
 
 とは、言ったものの足が動いてくれない。
 なんだか、これだけ豪勢な場所だと家の前にいるだけで萎縮してしまうな。
 これほど自分に不釣り合いなところはなかなか無いだろう。
 
 梨亜 「どうしたの?」
 
 大輔 「いや……なんか歓迎されてないような雰囲気が……」
 
 梨亜 「そんなことないって。さぁ、行くよ!」
 
 大輔 「でも…………」
 
 なんていうか、歓迎してるように見せかけて俺を拒絶してるみたいな……
 そう、例えるなら京都のお姉さんが笑いながら――
 
 梨亜 「…………お茶漬けでも食べてく?」
 
 大輔 「すみません、帰ります」
 
 梨亜 「冗談を本気にしないでよ!?」
 
 ………
 ……
 …
 
 大輔 「……まだ?」
 
 梨亜 「もうちょっと~」
 
 あれから俺は梨亜の家ではなく、そこから少し離れた別邸の前で待たされていた。
 
 【回想】
 
 梨亜 「ちょっとすることが、あるからここで待ってて」
 
 大輔 「え?」
 
 梨亜 「すぐに、終わるから」
 
 大輔 「あ……ちょっと!!」
 
 梨亜 「あ、そうだ。絶対に開けちゃダメだからねっ!それじゃ」
 (ドアを開けて、閉める音)
 
 大輔 「………………」
 
 【回想終了~】
 
 …………あれから早30分。
 中で何をしているのやら……
 
 大輔 「あと、どれくらいかかりそう?」
 
 梨亜 「だから、もうちょっと~」
 
 わかんないってことね。
 ……………………
 ……それにしても、凄いミスマッチな建物だよな。
 さっき見た本邸とは、かけ離れた作りをしている。
 ……なんだか、山奥にひっそりと建っているボロ小屋みたい。
 
 大輔 「なんのために、作られたんだろうな」
 
 用途が全くわからない。
 景観を崩してまで建てておくような、意味があるのだろうか。
 俺だったらとっくに壊してるだろうけどな~。
 
 ………
 ……
 …
 
 遅い。
 いくらなんでも、遅すぎる。
 時計の長針はすでに一周してしまい、次の周回に突入していた。
 
 大輔 「一体、何をしてるんだよ……」
 
 小屋のドアを恨めしく見つめる。
 中からは、以前ガサゴソという物音が鳴り響いていた。
 
 ……暇だから、推理ゲームでもするか。
 お題は、梨亜が小屋の中でしてること。
 我ながら何してるんだとは思うけど……
 
 …………気を取り直して、状況整理から。
 場所は、本邸から離れている小汚い別邸。
 辺りに人の影は無く、家自体もボロボロ。
 恐らく、ここは長い間誰も使っていなかった場所だということが推測される。
 中からは、ゴソゴソと布を擦り合わせたような奇妙な物音。
 そこから導きだされる答えはっ!
 ……………ぶっ。
 
 は……鼻血が……
 そ、そんなことあるはずが……
 第一、俺たちはまだ会ったばかりなのに。
 でも、もしかして――
 
 【妄想】
 
 【ドアの開く&閉じる音】
 
 梨亜 「やっと来てくれたんだ。」
 
 部屋に入った途端、嬉しそうな梨亜の声が俺の鼓膜に届いた。
 
 梨亜 「―――ようやく、私の気持ちに気づいてくれたんだね……」
 
 月明かりの差し込むそこは、どうやら物置のようで
 目の前には、ガラクタの山に囲まれた布団……と、何故かその上に横たわる梨亜がいた。
 今まで見たことも無いミスマッチ
 ムードとか、そういうのは無くって
 でも……月光をまとって横になっている姿は、幻想的で美しかった。
 
 大輔 「…どうして、待っててくれだなんて……言ったんだ?」
 
 梨亜 「大輔の気持ちを、確かめたかったの……でも、大輔なら絶対に来てくれるって思ってた」
 
 その言葉を聞いて、俺が想像していたことはホントだったのだと、再認識をする。
 俺の勘も、まだまだ捨てた物ではないみたいだな。
 
 大輔 「この……布団は?」
 
 梨亜 「あははっ、大変だったんだよ。物をどかして掃除して……布団を引っ張ってきて」
 
 大輔 「そうじゃなくて……なんでここに布団が?」
 
 梨亜 「言わなくても、子供じゃないからわかってるよね?私が布団を敷いた理由も……わざわざ、人のいないところを選んだ理由も……」
 
 
 くすっ と梨亜が微笑む。
 いつもの梨亜からは想像できない妖艶な笑みは、
 差し込む月の光で、淡く照らされていた。
 
 大輔 「……」
 
 どくん どくん どくん どくん
 心臓が外に飛び出るくらいに鼓動が早まっていく。
 自分の理性が、じわじわと飛んでいくのがわかった。
 
 大輔 「り……あ……」
 
 梨亜 「きて、大輔。一人じゃ……寒いの」
 
 大輔 「梨亜ッ!!」
 
 俺は我慢できずに梨亜を押し倒し、唇を奪う。
 …甘い。
 梨亜の匂いが鼻くすぐり、頭が真っ白になっていく。
 
 梨亜 「ん……んむ……あ……だいすけぇ~」
 
 大輔 「梨亜……梨亜っ!」
 
 梨亜のとろけるような声。
 力加減なんてできない、思い切り唇を押し付け、梨亜に喰らい付く。 
 
 歯がぶつかるくらい乱暴なキス。
 欲望そのままの俺を受け入れるように、梨亜は俺の首に腕を回した。
 
 大輔 「はぁ…はっ!―――り……あっ!!…」
 
 梨亜 「だい……すけ…」
 
 舌を絡ませて、
 何度も何度も、
 梨亜の唇を、舌を犯すような激しいキスを繰り返す。
 
 
 
 ………
 ……
 …
 
 梨亜 「ん……はぁ……ねぇ、大輔」
 
 大輔 「ふぁ?」
 
 梨亜は舌を絡ませながら、俺を見つめる。
 
 梨亜 「あのさ……」
 
 潤んだ瞳。
 先ほどとは対照的な甘えるような笑みで、
 梨亜は
 
 梨亜 「…私の全てを、見てほしいんだ」
 ( 効果音:しゅるり(絹すれ) )
 大輔 「―――えっ?」
 
 固まる俺を尻目に、
 唇が触れ合う距離に居る梨亜の衣服がゆっくりと、一枚、また一枚とほどかれていく。
 俺はただ、その光景を呆然と見ているだけ。
 
 梨亜 「―――どうかな?」
 
 身にまとっていたものを全て脱ぎ捨てて、和やかに笑いかけてくる。
 
 大輔 「綺麗……だよ」
 
 綺麗……その単語しか俺の頭には浮かんでこなかった。
 もっと、経験豊富な奴ならいい言葉が浮かんだのだろうが、あいにくひきこもりの俺にはそんな言葉しか出てこない。
 でも、その一言で全てを表せた気がする。
 実際に梨亜も嬉しそうにしてるし。
 
 梨亜 「うん、ありがと。じゃあ、次は――」
 
 俺に近寄り、右手を掴む。
 
 梨亜 「いっぱい……さわって?」
 
 大輔 「う……わ……」
 
 俺の腕が、梨亜の胸へと押し付けられる。
 手のひらいっぱいに、プニっとした感触が広がった。
 
 梨亜 「遠慮しないで動かしてもいいんだよ。もう、私は大輔だけのものなんだから」
 
 大輔 「えっと、今更だけど……そんなこと言われたら……」
 
 梨亜 「言われたら……何?」
 
 梨亜は挑発的な瞳でこちらを見つめてくる。
 このままじゃ……
 
 大輔 「もう、止まれなくなる」
 
 梨亜 「望むところ……だよ。めちゃくちゃにして」
 
 
 
 【妄想終了】
 
 ………
 ……
 …
 
 うおおおぉぉぉおおおおお~ッ!!?
 なんて……なんて、最悪な男なんだ俺はっ!
 寒がっている梨亜を一人で置いておくなんて!!
 今行く……今行くから待ってろっ!
 …………………………
 待て、冷静になれ大輔。
 そんな都合のいい話は、エロゲの中でも存在しない。
 あるとしたら、抜きゲーと呼ばれるもの。
 ここは、現実だ。よく考えてみろ。
 
 俺は……………
 
 
 
 選択肢
 【入る】続き↓
 
 【入らない】ブブーというエラー音がなり、選ぶことができない。
 
 要するに入るしか、選べない~
 
 
 
 
 大輔 「俺が暖めてやるっ!!」
 
 決意を胸に立ち上がり、俺はドアノブを回すために手を――
 
 
 (扉の開く音)
 
 梨亜 「お待たせ!」
 
 大輔 「うわぁぁぁあぁぁぁぁぁあ~~っ!?」
 
 梨亜 「…?何してたの……?」
 
 怪訝そうな表情で俺を見つめてくる。
 
 大輔 「い、いや、なんでもない……」
 
 あ、危なかった…………
 よくよく考えたら、こんなこと現実に起こるわけ無いじゃないか。
 暴走モードに突入する寸前で踏みとどまれたよ……
 パチンコじゃ嬉しいが、リアルでそんなことをしたら、目も当てられない結果になっていただろう。
 …………って、あれ?
 
 大輔 「……なんで、着替えてるの?」
 
 梨亜 「あ、これのこと?」
 
 妙にゴソゴソと聞こえてくると思ったら、こういうことだったのか。
 …………惜しかったなぁ……もっと早く決断してたら覗けたの――
    
 梨亜 「…………変なこと考えてない?」
 
 大輔 「そんな、滅相もございませんっ!!」
 
 梨亜 「ホントに?」
 
 大輔 「ホ……ホントに」
 
 ジトッっとした目を向けてくる。
 …………すみません、考えてました。
 しかも、行動に移そうとまでしてました。
 とりあえず、心の中で謝っておくことにしよう。
 口には絶対ださないけど。
 
 
 梨亜 「……まぁ、いいや。汚さないためだよ。あのワンピースお気に入りだから」
 
 大輔 「………もしかして、なにかするとか?」
 
 まさか、この小屋の整理をするとか言い出さないよな……
 それなら俺を呼んだ理由がわかるけど……肉体労働だけは勘弁。
 そんなことしたら、確実にぶっ倒れる。
 
 梨亜 「後からのお楽しみってことで。とりあえず、中に入るよ」
 
 大輔 「わ……わかった」
 
 ガラクタの山っていうのはやめてくれよ……?
 俺は梨亜に促され、恐る恐る小屋のドアをくぐった。
 
 (場面転換)
 
 大輔 「…………………」
 
 ドアの先――そこには、ガラクタでもゴミでもなく……
 たくさんの絵が、壁一面に飾られていた。
 なんなんだ……これは。
 一枚一枚から不思議な魅力が溢れだしている。
 懐かしい……いや、暖かい。
 まるで、日の出みたいに……
 
 梨亜 「えっへへ、凄いでしょ」
 
 大輔 「これ……は……」
 
 言葉が出てこない。
 俺は、息をするのも忘れ、絵に見入っていた。
 
 大輔 「……描いたのか?」
 
 梨亜 「ん?」
 
 大輔 「梨亜が、全部描いたのか?」
 
 梨亜 「そうだよ!……って、言いたいところだけど、違うんだ」
 
 絵が飾られている壁まで歩み寄っていく。
 
 梨亜 「これは、ほとんどお父さんが描いた絵たち。私が描いたのはこれとこれかな」
 
 大輔 「………………へ~」
 
 梨亜 「やっぱり、お父さんに比べると違いがよくわかるよね……私なんてまだまだ」
 
 大輔 「そんなことない」
 
 梨亜が描いた絵。
 それは、他の物にひけをとらないほどの技術力で描かれていた。
 でも…………
 
 梨亜 「ありがと。お世辞でも嬉しいよ」
 
 大輔 「お世辞なんかじゃ……」
 
 梨亜 「ううん。だって、私の絵は技術だけのもの。人に何かを訴えかける絵じゃない」
 
 大輔 「…………っ!!」
 
 そう、確かにその通りだった。
 梨亜の絵はうまい。
 父親が描いたものにも劣ってはいない。
 でも……それだけ。
 なにも、感じるものがなかった。
 
 梨亜 「私にもわかってるんだ……このままじゃ、全然ダメだって」
 
 大輔 「…………………」
 
 梨亜 「でも、しょうがないんだ。本当に描きたいものが描けないから……」
 
 大輔 「描きたい……もの?」
 
 梨亜 「うん……私ね、キラキラ輝いてる海が描きたいんだ」
 
 大輔 「……?描けばいいんじゃ?」
 
 梨亜 「あはは、そうだよね。でも――」
 
 梨亜は一端、言葉を区切って俺に笑いかけた。
 
 梨亜 「私は、そんな景色を見たことないから……」
 
 大輔 「あ…………」
 
 梨亜 「太陽の光を浴びて、真っ白に輝く海……どこまでも壮大に広がる青い空……」
 
 梨亜 「白銀の砂浜……カモメの鳴き声……辺りに響き渡る船の汽笛……」
 
 
 彼女はそう言って、視線を俺に向ける。
 しかし、どこかを見つめるようで焦点が定まっていなかった。
 遠い場所へと、思いを馳せているのだろうか。
 
 大輔 「………………」
 
 梨亜 「私は、見れないから……えへへ」
 
 
 梨亜は力なく笑う。
 そんな彼女を見て、俺の胸には抑え切れない思いがこみ上げてきていた。
 
 梨亜 「……きっと凄い綺麗なんだろうな~……見てみたいな~……」
 
 大輔 「梨亜……」
 
 梨亜 「ん?どうしたの大輔、そんなに深刻そうな顔しちゃって」
 
 大輔 「…………………」
 
 梨亜 「大輔?」
 
 大輔 「あのさ……どうして、夜にしか……」
 
 
 心配そうにしている梨亜の顔を、出来るだけ見ないように、床へ視線を逸らす。
 それは、絶対に言ってはいけない言葉。
 わかってるんだけど……勝手に口が動いていく。
 なんで彼女みたいな人が、対人恐怖症になっているのか。
 どうして、俺と同じ症状に悩まされているのか。
 知りたいという欲求を抑えられなかった。
 
 大輔 「出歩けないんだ?」
 
 梨亜 「あ……………………」
 
 軽く梨亜が声をあげる。
 昨日、約束したばかりなのに……
 何を言ってるんだ俺は……
 
 ………
 ……
 …
 
 梨亜 「………………」
 
 大輔 「…………ッ」
 
 辺りの空気を、静けさが包みこむ。
 何か、言ってくれよ……
 そこで沈黙……しないでくれよ。
 罵声でも投げかけてくれた方が、何倍もましだった。
 なんで、約束をしたことを破ろうとするのか。
 どうしてこの時間を壊そうとするのか……と。
 
 梨亜 「大輔…………」
 
 無感情な声で梨亜が呼びかけてくる。
 俺は、脊髄反射で顔を上げていた。
 
 梨亜 「あのね……」
 
 息が詰まる。
 彼女は、怒るでもなく悲しむでもなく……
 ただ、笑みを顔に浮かべていた。
 
 大輔 「……ごめん。忘れて欲しい」
 
 ――しかし、それは単なる笑顔ではなく、
 なんでそんなに……悲しげに笑うんだよ……
 いや、悲しみなんて……ものではない。
 絶望、諦め、嘆き……
 全ての負の感情を詰め込み、
 それでも、必死に笑おうとしている。
 
 大輔 「本当に悪かった……」
 
 自分が腹立たしい。
 この明るい子がこんなことになる理由が、暗く、醜いものであることなんて……
 俺が一番、よく知ってるじゃないか……
 
 梨亜 「いつか……」
 
 蚊の鳴くような声で、梨亜が口を開いた。
 
 大輔 「え?」
 
 梨亜 「いつか、必ず……」
 
 そこで、言葉が途切れる。
 だが、俺にはその続きが手に取るようにわかっていた。
 
 梨亜 「だから、それまでは……このままでいてほしい」
 
 大輔 「あぁ……わかった」
 
 俺も、いつか必ず……話すから。
 例え、それがお互いのことを軽蔑するものであったとしても、
 必ず通らなければいけない道なんだろう。
 
 梨亜 「うん、ありがと……って、ああぁぁあああああ~ッ!!?」
 
 大輔 「ど……どうしたぁッ!?」
 
 いきなり絶叫する梨亜に、何がなんだかわからず素っ頓狂な声をあげてしまった。
 
 梨亜 「もうこんな時間……今からじゃ作業できない……」
 
 大輔 「……え?」
 
 この部屋に唯一置いてあった、アンティークの時計に目をやる。
 うわ、あれから2時間も進んでる。
 あのときは、ほんのちょっとにしか感じられなかったけど、黙ってる間にこんな時間が経ってたんだな……
 
 梨亜 「大輔のせいだ……大輔があんなこと言うから……」
 
 大輔 「……ぐ」
 
 全く間違いが無いので、言葉に詰まる。
 
 大輔 「で……でもさ、いつもこれより遅い時間に話してるよ?だから、今からやっても大丈夫なんじゃ……」
 
 ……まぁ、何をするか知らないから確証はないんだけど。
 
 梨亜 「ダメだよ、そろそろお母さんが帰ってきちゃう。それとも――」
 
 大輔 「それとも?」
 
 梨亜 「挨拶していく?娘さんを僕にくださいって」
 
 ぶっ!?
 悪戯っぽく微笑む梨亜に向かって、俺はコーヒーを吹きだす。
 ……いや、コーヒーなんて飲んでなかったけど、なんかそんなイメージ。
 
 大輔 「急に何を言ってるのさ!!?」
 
 梨亜 「でも、男と女がこの密室で二人きりだよ?周りはどう思うのかなぁ~」
 
 大輔 「う……」
 
 確かに、梨亜の言う通りなのかもしれない。
 いくら違うと否定しても、一度思い込んでしまったらそうそう人間の考えなんて変わらない。
 今日はこのまま帰った方がよさそうだ。
 
 梨亜 「私は、それでも構わないけど~?」
 
 大輔 「……今日は帰らさせて頂きます」
 
 意地悪そうに笑いながら言う梨亜をスルーして、俺は自分の気持ちを梨亜に伝える。
 …………何故だか、勿体ないような気がしないでもないけど。
 
 梨亜 「ん、わかった。じゃあさ、明日もここに来てもらっていいかな?」
 
 大輔 「なんで?」
 
 梨亜 「さっき……言わなかったかな?やりたいことがあるって」
 
 こめかみをぴくぴくさせながら、天使の微笑みを俺に向けてくる。
 導火線に……火をつけてしまった……
 俺は、即座に返答をすることにした。
 
 大輔 「わかりました、大佐。迅速に任務を行わせていただきましゅ!!」
 
 梨亜 「復唱」
 
 大輔 「私、柳大輔は明日の午後8時、大佐の自宅へと出頭せよっ!!」
 
 梨亜 「よろしい、それでは帰れ」
 
 大輔 「し……失礼しましたぁ~~~!!」
 
 俺は言われるがままドアを開き、脱兎の如く小屋から逃走した。
 
 (走るSE ドアを開くSE ついでに背景変更 )
 
 大輔 「……って、帰り道わかんないよっ!?」 (でか文字)
 
 ………
 ……
 …
 
 梨亜 「これで、いいよね?」
 
 梨亜 「すぐに壊れちゃう友達ごっこかもしれないけど……いいよね?」
 
 梨亜 「だって、このことを言ったら……きっと大輔も……」
 
 【5日目朝に続く】
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-梨亜 「あぁもう、いつまでも悩んでないで早く行こう!ほらっ!」
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-(手をパシっと叩くような音)
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-大輔 「ちょ……ちょっと!?」
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-梨亜 「手を握ったくらいで、そんなに動揺しないでよ。じゃあ、しゅっぱ~つ」
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-大輔 「出来るだけ頑張ります……」
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-梨亜 「よろしい。それじゃあ、時間がもったいないしそろそろ行こうか」
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-大輔 「い、行くってどこに?」
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-てっきり、ここで何かの話をするんだとばかり思ってたんだけど……
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-梨亜 「私のおうち」
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-大輔 「はいっ!?」
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-梨亜 「嫌だった?」
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-大輔 「え……えっ~~!!?」
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-一体どういうことだ!?
-まだ、数回しか会ってない俺を家に呼ぶなんて……
-だ、だって普通はそんな簡単に招待しないだろ?
-こう…ウフフでムフフな関係になってから――