中小企業の生産性の向上に向けて
日本の労働生産性
- 労働力人口の減少が予測されており、持続的な経済成長のためには労働生産性の向上が不可欠
- 日本の労働生産性の水準は米国の7割程度であり、G7の平均よりも低い
経済成長率=就業者数増加率+労働生産性上昇率
労働生産性=付加価値/額労働投入量(労働時間または従業員数)
→労働生産性を如何に向上させるかが課題
中小企業の労働生産性
- 中小企業の労働生産性の水準は、大企業と比べて低い
- 業種別では、大企業・中小企業ともに小売業や飲食店,宿泊業の労働生産性の水準が低い
業種別の労働生産性水準(単位:円/人時)
|
大企業 |
中小企業 |
製造業 |
7,095 |
3,838 |
情報通信業 |
7,297 |
4,687 |
卸売業 |
6,114 |
4,026 |
小売業 |
3,421 |
2,638 |
飲食店,宿泊業 |
2,216 |
1,842 |
他サービス業 |
7,770 |
3,814 |
- 中小企業の労働生産性の水準の相違は、資本装備率が低いことによる
- 不足している資本(例えばIT資本)を投資の効果等を踏まえて装備したり、資本装備率の低さをSaaS・ASPの活用等の工夫で補完することが期待される
- 資本装備率
- 労働投入量に対する資本ストックの比(有形固定資産/労働投入量)
労働生産性の伸び
- 2003~2005年度にかけての伸び率は、小売業や飲食店、宿泊業の中小企業は他業種に比べて低い
- 労働投入量の減少によるものであり、付加価値額の伸びの寄与は小さい
→労働投入量の節約等の効率化も重要であるが、付加価値額を増大させていくことが重要
サービスの付加価値向上に向けた取組
顧客単価重視の経営戦略
- これまで規模拡大を重視してきた企業の割合が高かったが、今後は顧客単価を上げようとする意識は高まってきている。
[従来]
|
顧客単価重視 |
顧客数重視 |
その他 |
事業所向けサービス |
28.5% |
57.7% |
13.9% |
消費者向けサービス |
14.6% |
76.4% |
8.9% |
総計 |
22.2% |
65.9% |
11.9% |
[今後]
|
顧客単価重視 |
顧客数重視 |
その他 |
事業所向けサービス |
45.2% |
42.7% |
12.1% |
消費者向けサービス |
37.1% |
53.6% |
9.3% |
総計 |
41.7% |
47.2% |
11.1% |
【顧客単価重視の具体策】
- 顧客のニーズや満足度を把握する。
- ターゲットを明確にして差別化を図り、安定した品質や高い水準のサービスの提供を行う。
【顧客単価重視の問題点】
- 品質向上が価格に反映できない取引環境にある企業が多い。
サービス産業を支える人材の諸問題
①サービス産業の非正規雇用者比率が上昇
②正規雇用者の離職率が高く、人的資本の蓄積が進まない
③人材の育成やモチベーション向上などの積極的な取組が期待される。
最終更新:2008年06月19日 14:56