新地下「22歳問題」会談 その4


22サイ モンダイ カイダン p4

出席者:        
  miyu :20代、大学卒業後就職、転職を経て、現在会社員
  加藤亮太 :20代、大学卒業後就職、のち退職。現在映画学校在学
  TK :20代、大学卒業後就職、現在も会社員

進行(編集員):    
  齋藤蘆琴 :20代、学生
  大津英太 :20代、学生


好きなだけでは表現は難しい

スキナ ダケ デハ ヒョウゲン ハ ムツカシイ

—— 大津(以下O) 改めて仕事と表現の両立は可能かということで、就職をちゃんとしてる人、してたことがある人に伺いたい。表現の概念は変わってきますけど。

TK(T) ホントに好きだったら、その時間は取れるわけじゃん。

加藤(R) ……そうだね。ホントに好きだったら表現は出来ると思う。

T まあ、仕事から表現の時間は取れるから。でもやっぱり、基本的には、それは辛い。流されるわけじゃん……。限られてる感じだな。

R ……映画も自主制作と、商業ベースっていう二つがあって。自主制作をやる人は、本当に自分のやりたいことだけをやってて。それでどうにかして、一攫千金取ろうと、頑張ってるってのもある。アマチュアバンドと自主制作は似てて。

T 同じようなもんだよね。

R 音楽でプロデューサーに魂を売るのと、俺らが普通に映画撮るのとは似てて。でも、映画の方がちょっと幅は広いかなっていうのはある。なんでかっつーと、映画って映像で二時間もあるから。どっかしら、っていう。制作者側の意図を汲み取れば、なんというか、逃げ場があるんだよね。作る側の。……そこにしか作家性はないと思う。そこに見い出してる、自分の表現欲求。それが全国に行き渡ればね……

miyu(M) まあ職場環境によっては、転職というものを視野に入れれば、本当に好きだったら。表現は出来ると思う。……そこまでしても自分の時間を作ってやりたいことがあるのか。そんだけのエネルギーがあれば、できる。ホントに好きだったら転職して2足のワラジを履くなり、プロになるなり……そういうのが許されるようになってほしいっていうのはある。

T その許す許さないは自分の判断じゃん?

—— O ホントに好きなだけで出来るのか?っていう話もあるのですよ。好き、だけで、どんだけ続くのか。たぶん、続かないと思うんですよね。全くの一人では。

M ある程度コミュニティがいる。結婚するまでに、自分のバンドなり、表現なりで出来てれば、それはできる。

T どんだけ一人の女の子を想っていられるかと同じようなところが。

R むふふっ。

T 永遠に愛は続くのかという問題になってくる。

R それは生理的に、一年で醒める、というのがあるらしいので(笑)

M 切実さっていうか、認められないから認めさせたいとか、ある種の、精神的なところが、必要なのかもしれないね……

—— O 自分で選んだら何でも出来る、わけがない。というか、自分で選ぶのは前提として、「俺やりたいことやるんだ」と、そのときに周りが、それを応援できるかっていうことです。

M 巻き込んでいけるかとか、納得させられるか。「やりたいなら努力しろ」っていうのは社会人にとって当たり前のことで。

T そうだね。

—— O 単なる趣味ってだけにしちゃうと、責任もとらないんですね。で、ブログで出して終わり。その後のことは、あんまり考えないですよね。

T うん。ブログで一番くだらないのは、第三者的な批評が無いから、目線が無いからさ、ホント自分の思いの丈だけを語る女共がいて。それは本当につまらないわけ。

R mixiもsexiも同じですよ。

M 本当に、仕事と両立してる人がそれだけ努力しているとすると、プロになってそれ一本でやってる人が、その人と同じぐらいの努力ができてるの?本当にプロしたいって言って頑張ってる人が、その人と同じ分努力できてるの?っていうのが。結構、世の中に問いかけたい人はいっぱいいるのね。夢を持ってやってます、って言っても。結局、だらだらだらだらと、上にいけないような。あくまで趣味であっても、そのためにこれだけやってる人、仕事と両立してる人。勿論、イワモトくん(※ Tatsuo Iwamoto氏。今回諸事情により不参加)みたいな、仕事に対してガッとやってる。まあ、社会人って、ある程度、仕事の、そういうのを、職場で持つと、努力せざるを得ないってことを本能的にやって。そういう純粋なところに行かずに、完全に表現イコール仕事一本でやる人は、じゃあそこまで出来るの?っていう。プロの人が一日十何時間練習してるからって、それスゲースゲーって言うけど、普通に仕事してる人、自分の仕事に対して十時間割くの当たり前じゃん。

T うんうん。

M バンドマンが仕事だったら、演奏の練習して当たり前じゃん。それだけレベル上げて、当たり前じゃん。そこらへんの、「プロになる」とか言って一週間に二回しかスタジオ入ってない人いるけど、それはどうなの?みたいなのはあって。

T 本当にそうなんだろうな。

—— O 現実問題として、何かをやろうと思うと、それだけの努力がいる。それは当たり前ですよね?

M そう。22歳を越えたら、というか、もう社会としてはそう見られる、というのは当然で。

T そうだね。俺もちょっと甘えがあるな。皆10時間以上働いてるわけだしな。

M プロになるにも、音楽でやるならそれだけやってくれ、とは言いたくなる、部分はある。

R 音楽に賭けてる人を見るとさ、ムカついてくるところもある。

T それはある。やってる奴らが大概、くだらんことをやってるのはね。

R ……言いたかったのはそういうこと。


新地下的ムーブメント

シンチカ テキ ムーブメント

—— O ここで、一応、結論めいたことで……個人が表現することを志向することは、やっぱり重要なことだと思うんですね。表現っていうのは何でもいいですけど、……活路を開く瞬間というか。僕らはもう表現をしちゃった人間なので、そこがもう前提となりすぎてる感じがあるんですけど。なにか、外に出す、作る。…作ってみることって大事だと思います。

R うう。

T この雑誌(新地下)は、要するに、パンクムーブメントみたいな感じだろうなあ。ピストルズを観た観客の半分はバンドやろうと思ったんだよ。

M バトルマシーンはそれ以上だ、とか言ってませんでしたっけ?(笑)

T ハハハハハッ。

—— O やりたいことがある人が、やりたいことをやればいい。それはそうです。でも各々で好き勝手にやればいい、だと、本当にどこにも進まないので。そうしたことが出来る場所を作りたいね、と。

T それはある。これは凄い良いことだと思う。

—— O で、それの一つとして、やっぱり、仕事と両立できるくらいの次元でも、何かできるんじゃないか。そこまで切実にならないでもできるんじゃないか。

T こういう場がちゃんとしてれば、それはできる。

—— O ネット雑誌みたいなのがいっぱいできて、持ち込んだら編集してくれて。勿論それに対してはちゃんと作者が、コミットするのは当たり前の話で。そういう場をもっと、作ろうと思ったら、作れるんじゃないか。新地下をもっとうまくやったら……。

T できるっしょ!次に、第2、第3の新地下もできるわけで。

R コンピレーション・新地下とかもできるわけだよね。

—— O そう。

R 新地下バンドもできるわけだよね。

T お前は黙れ。ハハハハハ。

—— O 新地下バンドできるわけですよ。バンドがいっぱい集まればね。新地下企画とかができる可能性があるわけです。

R コンピレーション。

—— O そういう売り方もある……売るっていうのは難しいんですけど。

T ムーブメントとして。

R セカンドサマーオブラブ。

—— O そういう場所みたいなのは、やっぱりあった方がいい。社会人になった後もあった方がいいんじゃないか。学生時代はサークルがあったわけですけど。サークル的なものが皆無になってしまったときに、擬似的なものとして。

R ただね、俺らが好きな作家達は、そういうものを蹴散らしてきたよね。

—— O でも、作ってましたよね。

T 結果的にそうなったわけで。

—— O 作って、結果的に、皆壊してるんですよね。

R じゃあ、俺らがこういう活動をすることは悪くはない?

T 彼らも、こういうことをやってる。中原中也(※ 明治〜昭和初期の詩人。代表作に『山羊の歌』『在りし日の歌』など)とかもこういう同人誌からだから。

R 俺らはその同人誌の精神に基づいてるということで。

—— O それはもう、そうです。

R すいませんでした。すいません!

T まえに最初、この雑誌(※ 『新地下Ⅰ』のこと)作ったのはすごいと思う。普通やれないからね、あそこまで。あれは、大津の努力だよね。あれは凄い。感動した。あれは凄かった。

M あれはびっくりした。そこまで真剣にやってるんだっていうのが。

—— O 絶対僕一人の力じゃできなかったですよ。

T 皆、本気でやるから、ちょっと本気になるから。責任もあるしね。

—— O 案外お金もかかったんですよ。1万円、2万円はとったし。……そういうのがあると面白いなっ!と、じゃあちょっと、まとめ的なこと言って終わりますか。

R すいませーん。皆さん、話を外しました。じゃあ、つまり、イワモトを待つ、と!俺らは。

T イワモトは待たん。

R イワモトの、復讐を待つ。……まとまらないのがまとめです!

M アップしてください。

R あとはまとまるでしょう。あとはイワモトによって、まとまるでしょう。



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新地下「22歳問題」会談 その3




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(2010,9,7)

最終更新:2010年09月10日 00:12
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