新地下「22歳問題」会談 その3


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22サイ モンダイ カイダン p3

出席者:        
   miyu :20代、大学卒業後就職、転職を経て、現在会社員
   加藤亮太 :20代、大学卒業後就職、のち退職。現在映画学校在学
   TK :20代、大学卒業後就職、現在も会社員

進行(編集員):    
   齋藤蘆琴 :20代、学生
   大津英太 :20代、学生


閑話休題・青年の生き方1

セイネン ノ イキカタ 1

加藤(以下R) ちなみに、今、miyuくんはどういう業種?

miyu(M) 保険会社です。

—— 齋藤(S) miyuさんは今、充分、時間取れてるんですか?

M 自分自身は取れてるけど、やっぱり、バンドとかやるとなると、メンバーが必要になって、そのへん、周りの人と合わずに出来てない状況があったりする。ので、ちょっと大きいことにして、こういうのを書いてみようかな、と思った。

R じゃあ、miyuくんは売れたい?

M 売れたくはない。べつに。売れたいとは思ってないけど、趣味は続けたい。

TK(T) どこがゴールなの?

M まだスタートに立ってないんで、ゴールがない。

T でも、どうなりたい、とかあるじゃん?

M いや、常に、音楽を、ある一定時間、週に一日でも出来ればいいなと思ってる。

R それで満足だ、ということだよね? miyuくんは。…今、変な言い方かもしれなけど。

M うん。それで満足と言えば、満足。

—— S じゃあ、ライブでしか表現できない?

M やっぱ、ライブやりたいねー。

R オーガスト(※ 加藤氏の組んでいたバンド。その1参照)がなんで虚しかったか、っつーと。一回ね、見知らぬウエスタン帽を被ったオッサンとチャイナドレスを着たオネーチャンにね、「お前は天才だ!」って言われたんすよ。ライブ終わった後。で、次の日、会社だったんですね。で、「俺、スゲー天才だな」って、まあ分かってた、って感じなんですが、盛り上がって。次の日、起きた時には、玄関の先でスーツ姿で倒れてたんっすよ。そのまま会社に行ったんです。行くしかないから。で、その感じがスッゲー虚しくて。天才とか、そんなの打ち消されるくらい、会社というものに従属している自分は勿論いるんだよね、っていう、……オッハー。そういう感じ。どうしても会社がメインになってしまうんだよね。だから、偉いと思う。Jリーグのために会社をやるっていう人は、凄いと思う。

T またさあ、サッカー選手になるための、じゃなくて、応援。完全にリスナーの立場で、っていう。それが凄いよね。

R そこまでいけないんだよね。で、いけたのが、やっぱり、映画なのかなとは思うかな。逆に言うとね。だから、俺スゲーとは思うけどね。天才だね。どれだけ自分に酔えるかってところで、酔えないのが、音楽だったんだよね、俺は。小説もそうだけど。

T 絶望した時点で、どんだけ続けるかが表現だと思ってる。自分と向き合うか。

R 全然絶望しないんだよ。絶望しない場合は。

T それは幸せだけど、馬鹿だよな。

R 馬鹿だよ。会社辞めるとき、ホント、馬鹿馬鹿言われたもん。

T 誰に?

R 全上司に。会う人会う人に。でも、そんときは全く馬鹿だとは思わなかった。自分のことを。結構いいじゃんって思った。いいの見つけたなあ、て思った。

T へえ。馬鹿って言われるんだ?

R うん。……それまで映像って、思い付かなかった。カッコイイなあ。音楽とか文章とかじゃなくて、映像というところの加藤でした。


閑話休題・青年の生き方②

セイネン ノ イキカタ 2

M (税理士、行政書士といった)資格っていうのは一つの選択かもね。シュウカツみたいに、仕事イコール自分の人生じゃなくても、「これは私できますから、これを売ります」って言って売ることができるわけだから。完全に会社の価値観が自分を超えなくてもいい生き方として。一つの選択肢かな、とは思う。

—— 大津(O) TKさんはなんで資格を取ろうと思ったんですか?

T まあ、次の就職のアテだよね。まあ、保険だよ。

R それはつまり、自己実現のためではないと?

T どうなんだろう。

R 保険のためだよね?自分のナリワイのために。

T まあ、それもあるけど。でも、それがあったら、自分の表現の時間も増えるんじゃないかなあと。まあ、それもあるな。淡い。

R つまり、資格を取ることが一義的な目的ではない?

T そうだね。資格とって、そのままそれをナリワイにしたいわけじゃないからね。そんなに自分の才能がないのはわかってるし。見切りはつくなあ。

R たぶん、TKさんとか俺とかって、趣味をこう、ぷらんぷらんぷらんぷらん、自分の切実なところに持って行けるし、かといって、切実じゃない所へガンガン突き放すこともできる。

T でも、そんなに切実に、一本に賭けるってなったことないしなあ。

R でも、イケル瞬間もあるよね?

T まあ。

R それは愉しい瞬間もあるし。なんか、オルタネイティブっていうか。

T オルタナきゃははははは。

R 売れればいいし、売れないだろうし、っていう、同時進行。

T きゃはははは。え、そこまで切実に表現を考えたことある?

R そこだよ。

T ある?そこを訊きたい。

R そそそそそ、それは無いんだよ。俺らには。申し訳ないけど。

—— S 加藤さんも無いんですか?映画は?

R 映画!?映画は……無いね。

T それを皆言っていこう。切実な表現。切実な自己表現。

R 全然ない。

—— S 自分を費やして、とかないんですか?

R それはあるよ。それは。でも、それは大きな目標であって。うまく食い込んで行きたいなっていう。映画の世界に。

—— S 映画の世界でどうにでもならなかったら、もう生きてる意味がないとか、そういうのは?音楽を含めてでもいいんですけど。音楽か映画の世界で、どちらでも大した価値を表現を見いだしたりできないと悟ったら、自分が生きてる意味がないって思うような。

R そう思うことは、ないと思う。

T 俺らは自殺願望がちょっと強いしな。ははは。

R 自殺願望が強いっていうのは、つまり、全く疑わないんだと思う。はは。

T 駄目だったら死ねばいいと思ってるから。はは。

R 自分の人生には映画がくっついてくることは全く疑わない。全然、映画でやっていけないことはないと、全然、自信を持って言える。確信がある。勝手に、確信がある。

T 大津は、切実に思ったときは、どういう時なの?

—— O 俺は、そう……切実というか……まあ、生きてることに意味はないな、と、大学出たときに思いましたね。僕の生きてる意味は何もない。生きた意味っていうのはあるのかもしれないけど、それは僕の考えることではない。つまり、自己実現そのものに意味がないな、って気づいたことです。自己を破壊した方がおもしれえって、のが。とにかく院が、面白い面白くないの次元じゃなくて、気が狂うような場所だったんで。

T 大変だったの?

—— O 大変っていうか。それまでは好きだったら何とかなるだろうと。

T それは皆漠然と思うよね。

—— O 好きこそ物の上手なれとも言いますし、下手の横好きっていうのもありますし、好きだったら救われるんだろうなっていうのはあった。それが、好きとか、興味があるだけじゃ、何にもならない空間があって。興味があることの恐ろしさというか。そこで自分を高揚させていることの恐ろしさというか。その先に立ったときに何もできない、ていうか。まあ、要するに、研究に対して何の熱意もなく、興味だけでした。

R 研究でそういう風に思えたって言うのは、外側から言われたからでしょ?「あなたは才能ない」てことを言われたから?

—— O 違いますよ。僕の場合は違う。僕は内部から壊れていきました。

R 自分から壊れた。それはすごい!

—— O 自分でもう、無い、と思いましたね。何をやってもできないという物があると。

R 自分で気づいたの?

—— O はい。……でまあ、本気じゃなかったんだな、っていうのも気づいた。

T そうだな。そういうのは考えるなあ。

—— O で、本気になるっていうことの意味が分かってなかったんですね。で、たぶん、その時期って僕だけじゃなくみんなあって、それが22、23、24くらいだと思うんですよね。

T うん。

—— O 自分がどこで諦めたか、とか考える。……変わるんですよね。切り替わる時期がある。

M 時期がある。大学卒業っていう時期がある。

—— O 僕の場合は院。二年目ですね。留年を決めた二年目。……まあ、僕も、自分には才能があるんじゃないか、とか、人と違うことができるんじゃないか、的なことは、漠然と思っていたって感じで……ひとつには、その前にやっぱりバンド(※ 東京ナイツ)で喰っていきたかった。本気で。三人とも馬鹿で、向こう見ずなだけなんですけど。どのバンドと対バンしても似たことやってないから、俺らは特別だ、と思ってたフシがある。勿論、バンドの飲み会なんて行かないし。適当にやってただけなんすけど。その辺が本気じゃなかったのかな、ということがあります。

T 営業力だからな。

—— O 営業力とか、そういうことに気づかされた。……大学のバンドサークルでのライブって、すごく、観客が期待できるんですよね。でも外バンって、観客が期待出来ないんです。顔が見えないんです。ネットで宣伝するにしても文字だけだし。ユーチューブとか、ユーストリームとかも、全部そうで。結局、真っ暗な闇に対してずっと投げかけてる気分になる。

T それはあるね。

—— O その恐怖がやっぱり、諦めるには充分の理由になる。

R ん? 音楽を諦める?

—— O 音楽にしても、SNSで小説書いてる人にしても。パッと出した瞬間に他人の顔が見えない。

M 映画だってそうじゃない?

R ……

—— O で、一時は、サークルでライブやったときは、必ず客が何人かはいて、見えるじゃないですか。で、「アイツはこういうのが好きだから、アイツの方にいけば、アイツ盛り上がるだろうな」ってのもわかるし。ま、内輪ノリですよね。悪い意味での。そういうのが期待できるってのは。けど、ホントにずっとライブやってると……東京ナイツ一番少ないときは、3対3の時があった(笑)それは本当に悲しかったんですけど。

T バトルマシーン(※ 日本のオルタナ・バンド。アマチュア)は二人だ。はははっ。

—— O 3対3の相手が、今は大体そうなんですけど、他のバンドの人だったりとか。あの虚しさといったら(笑)

M はっはっはっ。

T そうだなあ。

R ……今、何の話しだっけ?

T 切実な、自分にとっての自己表現。

R 自分にとっての自己表現……

T いいな。自己セラピーみたいで。いいな。

M そうですよねえ。

T 齋藤はないのか?切実な自己表現。

—— S えっ!? ……どいうことですか?

T 具体的に自分がやってきたことでいいんだよ。普通の生活してたんじゃ満たされなくて、やりたいことがあるわけじゃん。そこだよ。

—— S そうですねぇ……基本的な態度は大津さんに近いと思うんですけど。まず普通に生活していることに、虚しさしかないっていうのはあって。で、自分が人と違った見方を……自分が人と違って見たものを、表現できる場所っていうのが、僕の場合、音楽か、まあ、文、詩とか、そういう分野だったんですよ。そこでやってる時だけは、うん、確信と言うか、自分がやってて、自分らしいというか。……自己実現ですね。

T 自分で満足感が得られる?

—— S そうそう、そうです。そういう時だけはっきりするんですよ。だから、それをやってはいるんですけど。で、詩とかも、詩を載せるインターネットのサイトとかフォーラムとかに載せたりして。インターネットだから評価を投票してくれる人とかも一応いて。まあ、今のところ、実感はないですけど。やっぱり、ヴァーチャルな……

T ヴァーチャル。

—— S 実際に自分のことを本気で認めてくれる人が欲しいっていうのはありますね。

T ネットでメールとかしてくれたら、それはそれでいいんじゃないの?「君の詩が良かったよ」って。

—— S それはそれで勿論、嬉しいんですけど。やっぱ、それじゃあ満足できないですね。

T じゃあ、実際はどういうのがいいの?どうだったら自己実現は叶うの?

—— S 二段階。それが二段階あるとして。ひとつ目の段階は、発表して見せることで満たされてるんですけど。やっぱ、さらに……なんというか……野心的な。もっと多くの人に、とか、一人二人とか数人が認めてくれたくらいじゃ、べつに……。一人の人に、「お前は天才だ」って言われたって、そんなのは、大した裏打ちの無いものじゃないですか。評価してくれる人の質も勿論ですけど、数も、だし、より多くの人に認めて欲しいっていうのが……。僕の場合、この新地下が、ある程度コミュニティみたいなのを作って、広がっていく可能性もあるじゃないですか? そういう意味で面白いな、と思って、参加したんですけど。

T それは、そうだね。

—— O ……ただ、これは、作るところまではいいかもしれないけど、営業にいったりしなきゃ……

T まあまあ、それは別問題だろ。

M まあそうだね。

T 誰もさ、そう積極的な奴はいないわけだから。一番厳しいんだよ。だから就職で一番欲しいのは営業なわけだから。

M うん……

T ……俺ら、勝手に、誘ってくれたらいいなって……なんか、救いの手が下りて来るのを待ってる感じだからな。

—— O 蜘蛛の糸ですか。

T なんか、最終的に自己批判になって終わったな。ハッハッハ。

(続く)



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コメント
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(2010,9,7)

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