But have you seen his records?


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~LCD Soundsystem “Losing My Edge”が、分断された歴史を繋ぐ~

diskova

  2002 年、とある1枚のレコードがリリースされた。“Losing My Edge” – エレクトロと生のバンド・サウンドが上手く融合したそのサウンドは、同じ年にリリースされたThe Raptureの”House of Jealous Lovers”と共に、ポストパンク・リバイバルや、ダンス・カルチャーとロックの接近といった動きの発火点となった。しかし、この曲の素晴らしさは、そのような史実のみで語られるべきではない。

 “LCD Soundsystem”という、とある零細レーベルのオーナーの中年男による一人バンドの名義でリリースされたこの曲。その歌詞にこそ、この極のすばらしさが詰まっている。その歌詞の内容はというと、とある音楽オタクの中年の嘆き。曰く、「俺はすっかり丸くなってしまった」「俺は丸くなった、もっとかっこよくて、いいアイデアを持ってて、才能に恵まれた、若いやつらに比べて – そして奴らは本当に本当に素晴らしい」地下に潜ったまま、いつのまにか時代に取り残された負け犬のつぶやき。

 しかしその後我々は、彼が愛したような数多の名曲にも見受けられるような、音楽のマジックを耳にする。いとも簡単に、今までのものごとの構造がひっくり返るという痛快な出来事。それは勿論、現実の社会に起きるものではない。だが我々の価値観などというちっぽけな代物には十分起こりうることだ。果たして、Jamesはいかなる手段を用いて、この曲で価値観の転覆を試みたのか?

 それは、「この曲の主人公、つまりJames自身の棚の中にあるレコードを羅列することで、とある個人の主観から構成された、音楽史の脱構築」という手段である。客観的な史実やカテゴライズに唾を吐き、ひたすら自分のレコード棚を彩るアーティスト名を連呼することで、個人の音楽観に基づいているが故に圧倒的な説得力を持つ音楽史を再構成し、その説得力を以って音楽シーンの生ぬるい共通認識を打ち破り、ジャンルの壁を壊し、音楽にダイナミズムを取り戻そうという試みである。

 この記事では、“Losing My Edge”の中で取り上げられたアーティストに関して、あえて今一度史実やカテゴリーを確認することで、LCD Soundsystem = James Murphyが繋ぎ合わせようとした歴史に近づき、その試みの偉大さを検証する。

 結果的にシーンに活況は戻ったか?その答えは、この曲を耳にしたあなたが知っているだろう。彼は曲の最後でこう繰り返す。

「お前には、自分が何を本当に欲しいのかわかってない」



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(2009,3,6)

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