Guns N' Roses全アルバムレヴュー (p3)


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

BACK


1991 Use Your Illusion I & II

2008 Chinese Democracy



  者は通称赤盤・青盤、もしくはイエロー・アンド・ブルー。問題爆発の3rdにして4th。完全新作にしてコンピレーション。なぜ別々に出したのか、経済効果を狙ったのかと思えばアクセルがライヴで「アルバムは買うな!」と怒鳴っていたり、わけがわからない。あまりにも幅が広すぎるがために、あたかもビートルズのホワイト・アルバムのように評価が真っ二つに分かれる問題作。

 後者は今回のメイン・ディッシュ。冒頭で触れたとおりのS級問題作である。ブックレットで増田勇一氏が「長き不在期間中に作り溜められていたもののコンピレーション」と語るとおり、この二作(三作)には共通点が多い。だから、確かに意識して一曲一曲を取り出さないことには聞きにくいことこの上ない“Use Your Illusion I & II”であっても、“Chinese Democracy”を解釈する上では不可欠となる。要するに“Use Your Illusion”を聴き込まずして“Chinese Democracy”を語るなかれと言うことだ。

 “Use Your Illusion I & II”の中でアクセルが単独で関わる曲(Rose名義)はNovember Rain、Dead Horse、Shotgun Blues、Breakdown、Estranged、My Worldの六曲。逆にROSEが全く関わっていないのはDust N' Bones、Live And Let Die(カヴァー)、You Ain't The First、Bad Obsession、Double Talkin' Jive、Knockin' On Heaven's Door(カヴァー)、Pretty Tied Up、So Fineだから、割と簡単な足し算引き算の構造が見えてくると思う。さらにRoseは“Don't Cry”にもStradlin'に次ぐ二人目として名を連ねているから、Use Your Illusionを代表する3曲の大作バラード(主に金のかかったPVが有名):Don't Cry、November Rain、Estrangedの全てにアクセルは関わっていることになる。壮大な楽曲の多い“Chinese Democracy”と対比するうえでこれほどわかりやすい曲群もあるまい。

 つまりアクセルの大作趣味はこの当時から全く変わっておらず、やっていることも大して違ってはいない。驚くべきは14年間同じ構想、同じスタイル、同じ曲を暖め続けたアクセルのその根性であり、彼のピーターパン症候群的な一面に花を添えるその執念である。

 構造を分析する上でわかりやすいのは「静かな入りだし(ピアノソロ等)~激しい曲の展開」という楽曲の基本的構成である。“Use Your Illusion”のRose名義のうち、シンプルなShotgun Blues、謎の秒殺ラップMy World以外はそうであるし、“Chinese Democracy”でも「典型的な」アクセル謹製のパワーバラードが多く見られる。“Madagascar”については、“Civil War”冒頭のペルーのレジスタンス将軍の演説がそのまま間奏部に使用されており、楽曲のイデオロギーが17年の歳月を超えて非常に近似するものであることも伺える。

 “Chinese Democracy”においてピアノ、ストリングスが存在感を増していることもアクセルが基本的にピアノで作曲をしていること、また“November Rain”と言う前提があることを考えればわかりいい。反対に初期GNRのルーツであったブルーズ、パンクが失われていることは“Appetite For Destruction”を挙げずとも明々白々であるが(しかし、面白いのはアクセルが「スラッシュじみた」ソリストは必要としていることだ。彼の中のGNRではVoとGtのからみは不可欠だったのか?)、これはアメリカの音楽シーンのここ20年の変遷(グランジ・オルタナティヴとHIPHOPの台頭によるロックンロールの後退)に関連した動きだろう。最近のアメリカでのトップセラー勢においてきちんとロックをしているアルバムは、皮肉にもBob Dylanの“Modern Times”くらいのものなのだ。

 しかし単純に“Chinese Democracy”が“Use Your Illusion”からブルーズ、パンクを引き算したものかというとそういうわけでもない。元GNRのメンバーが半数を占めるヴェルヴェット・リヴォルヴァーと同じようなエモ・コア等々への接近と今作の曲調をとらえることも可能であるが、どちらかというとむしろテクノ・ミュージックへの接近(シンセサイザー、電子音の多用)と言う方が正確であろう。それが如実に見えるのが“03. Better”であり、さらに当曲の2:00代の、早弾きの中にスイッチングのまざるソロが示すような「メタルに陥りすぎないバランス」というものが本作のキモであるように思う。また“Chinese Democracy”においては、“Riad N' The Bedouins”のような“Welcome To The Jungle”とLed Zeppelinの“Immigrant Song”をぶっちがいにしたような曲もあるし、“If The World”のような一風変わった曲もあるしで音楽的な冒険も見受けられるのだ。その上でStreet Of Dreams、There Was A Time、Catcher In The Rye、I.R.S.、Madagascar、This I Love、Prostituteといったパワーバラード群も、“Use Your Illusion”のものとは全く趣向の違う表現を見せていることには驚きを禁じ得ない。

 GNR元メンバーたちが散発的に発表したソロアルバムを聴けばわかるが、“Chinese Democracy”の楽曲完成度、楽曲の持つイデオロギーはアクセル・ローズのソロ・アルバムとして切り捨てるには、高すぎ、複雑すぎる。制作14年という馬鹿げた時間が本作では大樹の年輪のように現れているのだ。おそらく“01. Chinese Democracy”のサイレン音から“14. Prostitute”のリバーブ音まで、微に入り細に入り、作っては壊し、作っては壊しの繰り返しであったに違いない。その気違いじみた砂の城はやはり気が狂ったW・アクセル・ローズの手によるもので、下手をしたら彼が死ぬまで繰り返されたかもしれないものなのだ。

 このようにいわゆるオリジナルメンバーを失い、アクセルのワンマンバンドとして17年ぶりに一歩だけ歩んだGNRは、なるべくしてアクセルの美意識を再現するバンドとなっていた。これは僕がMaxim Radioによるリーク音源をYoutube上で聴いたときからの通念だ。なるようになった、と。“Chinese Democracy”は“Use Your Illusion”の正当なる後継作、として以外に僕のバイアスは捉えることができない。

 なんにせよこの“Chinese Democracy”、アクセルのヴォーカルのみに焦点を絞れば最高傑作であることは間違いあるまい。年輪を重ねた彼のハイトーンは、伸びやかにも重厚に、エキセントリックさはむしろ増している。失われたブルーズやパンクに思いをはせるのか、アクセルの耽美趣味に目を向けるのか、それは聴き手側の問題である。


Use Your Illusion I


01. Right Next Door To Hell
02. Dust N' Bones
03. Live And Let Die
04. Don't Cry (Original)
05. Perfect Crime
06. You Ain't The First
07. Bad Obsession
08. Back Off Bitch
09. Double Talkin' Jive
10. November Rain
11. The Garden
12. Garden Of Eden
13. Don't Damn Me
14. Bad Apples
15. Dead Horse
16. Coma


Use Your Illusion II


01. Civil War
02. 14 Years
03. Yesterdays
04. Knockin' On Heaven's Door
05. Get In The Ring
06. Shotgun Blues
07. Breakdown
08. Pretty Tied Up
09. Locomotive
10. So Fine
11. Estranged
12. You Could Be Mine
13. Don't Cry (Alt.Lyrics)
14. My World


Chinese Democracy


01. Chinese Democracy
02. Shackler's Revenge
03. Better
04. Street Of Dreams
05. If The World
06. There Was A Time
07. Catcher In The Rye
08. Scraped
09. Riad N' The Bedouins
10. Sorry
11. I.R.S.
12. Madagascar
13. This I Love
14. Prostitute



BACK
(2008,11,24)

ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。