散詩篇


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散詩篇 アーバニズムと現代
tsubo


  雨だれのうた

 しとり、しと、しと
 ぽた、ぽた、ぽたり。
 ことり、こと、こと
 ざあ、ざあ、ざあ。

 今日はいろゝゝな雨ぞ降る
 疎むも結構、楽しむは一興。

 空気は濃ゆく、酸素は薄く
 馬穴の底とはつまり、こゝなのだから、
 それはもう湿りきってゐる
 雲の上までつゝがなく浸かったところで、
 ひとは水底を呼吸する。

 歩行者ノ足をすくうのはあふれし下水である
 くしゃゝゝに自死た男は文字通り水に流され、
 便所に捨てられた胎児とともに母の元へと還つた。
 ごきぶりだかねずみのやうに扱われてゐた、
 可哀そうなこどもたちは今が好機と走り出で、
 互ひ違ひにその伴侶を得た。
 あくせく働いてきた正直者は、
 その偽善の所為で死ぬしかない、可哀相に。
 それら全てをみて居た芸術家は、
 美だけを抱いて狂ッて果てた。

 隠されてゐた汚れたちが顔をだす。
 今、悲しいのは僕たちではない、街だ
 嘘が全部ばれちまッた。
 しかしすぐにけろッと忘れてしまうに違ひない
 現金なやつだ。

 ごろり、ごろ、ごろ
 かた、かた、かたり。
 ぽつ、ぽつ、ぽつーり
 じゃん、じゃん、じゃん。

 今日はいろゝゝな雨ぞ降る
 疎むも結構、楽しむは一興。



 コンクリイトへと帰った子ども

 雨はさつさとあがってしまった。
 外へ出ねばならぬではないか。

 いちおう傘は持って、足はつっかけ。
 てくてくがしゃん、と街へこぎ出したのであった。

 街路には大きな水だまりができていた。
 否応なくして、素足が濡れる。
 しゃぷしゃぷ、しゃぷしゃぷ、ぴちょんちょん。

 プウルの中には、タツノコが泳いでいた。
 どこから来たんだろう、僕の家は海から遠い。
 これから晴れると、この水だまりはどうなるのだろう。
 時間をかけて蒸発するだろう。
 タツノコは土に還ることもなしにどこへ行くのだろう。
 土に還らずともいいのか。
 それは還さなくてはならない。
 人も土に還らなくてはならない。

 だって、アスファルトに還ったって様にならないじゃあないか。
 そう思って僕は、タツノコを道ばたに拾い捨てた。
 さあ、どこへ行こう。僕の家は駅から遠い。
 真っ赤に染まったこの手も足も、しばらく歩けばかわくだろう。



  新宿にて

 午前4時に摩天楼が、
 のーん のーん とほえた。
 朝はあおく焼けつつある。
 シャッターが笑う。僕も笑う。
 のーん のーん
 ないていたのは車だった。
 のーん のーん
 僕は地下にもぐる。
 ちょっと哀しいのだった。



  熱帯夜

 湿っぽい風
 眠らない街
 熱帯夜である

 汗の香る部屋
 眠れない僕
 熱帯夜である

 眠れない僕に、夜は
 ポルノグラフィックな妄想をさせる
 文学の極地とは絶望の岸ではなく
 むしろその真逆にもあるべきだと
 ポルノグラフィックな妄想をさせる
 僕はポルノグラフィックな関係を妄想する

 ルサンチマン
 ルサンチマン
 逢魔ヶ刻の
 ルサンチマン

 熱帯夜である



  Tokyo Callin'

 生まれた町をはなれ
 今日も今日とておれは行く
 西へ東へ北へ南へ
 どこまでだって、ああ…嗚呼…

 おれは悲しき企業戦士
 グローバル時代を全速前進
 嫌だとおもっちゃいませんし
 夢を見るにも金がいるんです

 労働三法 破ってなんぼ
 三歩進めば 日進月歩
 感情返上 どこでも参上
 お客様のおっしゃるままに

 金は信用 物は幸せ
 愛は現実 夢は現物
 人はもはや ヒトにもなれず
 そう人間とは 歯車である!



(2009,3,6)


コメント

  • test - 名無しさん 2010-04-19 20:15:50
  • てすと - 名無しさん 2010-04-19 20:16:41
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