行政事件の訴訟の選び方

行政事件の訴訟の選び方

 行政事件訴訟でいつも問題になるのは、「どういうときにどういう訴訟を選ぶのか」です。
 これをちょっとざっくりとまとめてみたいと思います。

行政事件訴訟のパターン

 まず行政事件訴訟ですが、以下のパターンに分かれます。
  1. 抗告訴訟
    1. 取消訴訟
    2. 無効確認訴訟
    3. 不作為の違法確認訴訟
    4. 義務付けの訴え
    5. 差止めの訴え
  2. 当事者訴訟
  3. 民衆訴訟
  4. 機関訴訟
  5. 国家賠償訴訟


 まず1の抗告訴訟ですが、行政庁の公権力の行使について、なんか不服があるときに訴えるものです。例えばやってほしくないことをやられた、とか逆にやってほしいことをやってくれないとか。

 それに対して2~4は、そういう公権力とかは基本的に関係ないと考えてもらっていいでしょう。
 例えば当事者訴訟としては、国と当事者の関係を確認するような訴訟、例えば国籍があるかとか、公務員の給与支払義務の確認とか、年金の将来の需給義務の確認とかですね。民衆訴訟は、例えば住民訴訟や選挙訴訟のように、特定の資格の人が(例えば住民投票なら自治体の住民)、処分とか関係なしに行政のやったことが違法かどうかを訴えるものです。機関訴訟は行政機関と行政機関の相互の争いなので、はっきり言って私たちには関係ない代物です。

抗告訴訟の場合分け

 ではどういうときにどういう訴訟を使うのが妥当でしょうか。
 まず行政庁の処分その他公権力の行使に関する行為がある場合は取消訴訟か無効等確認訴訟になります。この2つの違いは単純に言ってしまえば、取消訴訟の提訴期間内か期間が既に経過してしまっているかの違いです。また期間経過しているかしていないかで要件が少し変わってきます。

 次に一定の行為をすべきでないときにする可能性がある場合は、差止め訴訟を行うことになります。例えばあるところに橋の建設計画が持ち上がった場合、その計画が建設許可という形になったら作られてしまうので、その前に「建設許可の差止め請求」というのを行うわけです。

 では逆に、例えば何か申請したのに、その申請の返答がこないような場合はどうでしょう?
 そもそもこの「返答をしない」という行為が違法である場合、まずそれを確認することが考えられます。これが不作為の違法確認訴訟です。
 ところがこの不作為の違法確認訴訟ですが厄介なことがあります。この訴訟、単に「何もしないこと」が違法であることを確認するだけなので、それについて強制力があるわけでもなければ、確認すりゃなんでもいいので訴えた人に不利益な確認とかをする可能性もあるわけです。
 そこで出てくるのが義務付けの訴えです。
 これは、行政庁に何らかの行為をしてもらうことを命ずる判決です。
 例えば幼稚園への入園が認められなかった子供の訴えとして「入園への義務付け」を求めるとか、です。

 まあ行政訴訟といってもいろいろとありますが、その使い方さえ覚えてしまえば、結構便利なものなんだと思います。
 学習する側としてはかなり面倒ではありますが。
最終更新:2010年05月02日 19:16
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