キャラクター作成の指針 (1)


はじめに

 千幻抄のキャラメイクは、しばしば"極めて難解"と評されている。というのは、キャラクター作成ルールの自由度が高い一方で戦闘能力がほぼ必須のものとなっているからだ。その戦闘能力というのもなかなか曖昧なもので、HP、攻撃力、防御力、命中率のように強さを直接表す単純な数値に加え、DPの概念がとりわけ大きな比重を占めている。このため、攻撃手段はショットのみで火力を一般的な水準確保するだけではあっという間にDPを浪費して撃墜されてしまうことになる。
 ここでは、千幻抄を始めて間もない(あるいは始めようと思っている)プレイヤーやうまくPCが作れないプレイヤーのために、セッションで役に立てるPCの作り方の指針を記述していく。

なお、このコラムは千幻抄ver.1.20に夢演想劇ver.1.22を適用したルール運用を前提に書かれている。当wikiには筆者や有志が制作したサンプルキャラクターも用意しているため、そちらも参考にすることを推奨する。

安定するPCの条件

 これから千幻抄においてのセオリーや戦い方を長々と述べていくつもりだが、「いいから取っておけばいいのだけさっさと教えろ!」という読者のために、最初に安定するPCの条件を紹介しておく。これらを守ってキャラクターを作り、弾幕ごっこのセオリーを守れば最低でもセッションで仲間の足を引っ張ることはないはずだ。

初期作成PCの水準の一例
  • 最大DP22以上
  • 耐久5以上(高ければ高いほど良い)
  • 攻撃に用いる特性値がその種族の最高値
  • 攻撃に使える能力Lv3以上([魔法]と[神術・陰陽術](術式のみでない)は3Lvでの取得必須)
  • <ホーミング>または<弾幕>のスキルがLv4、<ショット>スキルLv1
  • スペルカードは<ホーミング>or<弾幕>強化を含む展開型2枚、消費型1枚

 以上の7項目を守れば、おおむね平均以上の水準をクリアしたPCを作ることができる。慣れてくれば初期作成でも様々なことができるが、最初のうちはこの枠内での作成をオススメする。武器は性能が極端になりやすいのではじめの方は我慢したほうが良いが、ポイントが余ったら<近接武器>([鍛錬]は不要)をLv2ほどで取得しておくとガードによりホーミングに耐性ができ、より安定性が増す。

ランク配分

1.初心者と経験者の傾向

 どんなキャラクターを作るにせよ、まずはじめに決めなければならないのが初期ステータスのランク配分だ。どう配分しても総合的な数値は変わらないように錯覚しがちだが、実はこのランク配分、特性値/スキル/能力で1ランクあたりの強さに格差が存在する。種族にも総合力に差があるのは間違いないのだがいずれも一長一短であり、自分がプレイしたいものを選べば良い(ただし妖精は上級者向け)ので割愛する。
 まず初心者が陥りやすい配分例として、 スキル>能力>特性値 という組み合わせが挙げられる。スキルが一番キャラクターのできることを表しているように見えるので重視され、逆に特性値はどう影響しているのかよくわからないので軽視されるといった具合だ。では、逆に千幻抄に慣れたプレイヤーはどう組んでいるのだろうか。ここで、当wikiでリプレイ化している"東方双日抄 ~Longing Sun."のPCのランクを並べてみよう。このセッションは成長が多いが、初期ランクは成長を見越したとしても変化はほぼ生じない。

各PCの初期ランク比較
  • 綿峰 麗華  能力>種族>特性値>スキル
  • トレミー  種族>特性値>スキル>能力
  • 泥内 才霞  能力>特性値>種族>スキル
  • 楢林 矢千代 種族>特性値>能力>スキル

A=4、B=3、C=2、D=1として全てのPCのステータスを合計し、それぞれのステータスがどれだけ重視されているか図に表すと、以下のようになる。
ステータス 特性値 種族 スキル 能力
合計 11 13 5 12
平均 2.75 3.25 1.25 3
順位 3 1 4 2

 これを見れば分かるとおり、特性値・種族・能力がほぼ横並びなのに対し、スキルの優先度が一貫して低いことが一目瞭然である(種族がAランクの悪魔と神は、能力がDランクでもメイン能力がLv3で取得できるため能力の優先順位は低い)。これは公式chで開かれたセッションの全てに見られる傾向だ。
 実際、 能力>特性値>スキル という配分が千幻抄のPCの代表的なものであり、この優先順位から種族の特徴などで必要能力ポイント(Lv3~4の能力1種に加え若干数の能力・特技の組み合わせが多い)が上下することで配分が決定する。必ずLv3を確保するために能力ランクが確保されつつ、特性値がスキルに優先されているという点で一貫しており、スキルの評価が相対的に一番低いことが分かるだろう。

2.スキルが重視されない理由

 スキルがここまで敬遠される理由はいくつか挙げられるが、最も根本的な問題として費用対効果が薄いという点が挙げられる。
 まず、取得して必ず役に立つスキルは戦闘系スキルのみである(戦闘をしないセッションならばGMはそれを事前に告知するべきであり、そのような特殊なシナリオはどのみち専用のキャラ作成を要求されるためここでは考慮しない)。<ショット><ホーミング>or<弾幕>などは取っておかなければならない必須スキルだが、逆に言うとそれらだけ取っていれば十分に役割を遂行することができ、それ以外のスキルは支払うコストに見合った効果が保障されない。これはPC全員の戦闘参加を前提としているにもかかわらず非戦闘スキルが戦闘系と同コストというゲームバランスに起因しているわけだが、そのためどうしても戦闘外へのリソース配分は後回しになってしまう。だが一方で、非戦闘スキルを全て省いて良いということでもない。<噂話>や<幻想知識>、<感知>などの毎回要求されるわけではないが重要となることが多いスキルも当然存在し、それらの判定をこなせるキャラクターがいればセッション進行がスムーズになるだろう。では、あまり多くのポイントを配分できない非戦闘要素をどのようにして補うか。その答えが「能力と特性値を伸ばす」ことである。

特性値とスキル

千幻抄の判定は(特性値+スキルLv)を基本としており、特性値とスキルはそのまま1:1の値が判定に反映される。例えば、「知性3と各知識系スキルLv4ずつ」と「知性6と各知識系スキルLv1ずつ」を比べてみると、使用ポイントは前者が後者を大幅に上回っているが、知識判定をする場合判定値は全く同じである上にその他の要素では全てにおいて後者が勝っている。つまり、判定で安定した達成値を出したい場合はスキルLvを上げるよりも特性値を上げた方が効率が良く、更に高い達成値を出したい場合も高い特性値が前提となる。これが特性値がスキルに対し重要性および優先度が高い所以である。
 要するに、博識なキャラクターを作りたい場合はスキルをたくさん取るのではなく知性を最大値にしつつ、知性を使用するスキルをできるだけ多くLv1で取得しスキル非所持によるペナルティを受けないようにするのが最適解である。もちろん、ここから知識をLv2~3取得すればその判定はほぼ成功するだろうが、大抵の判定は達成値16~18を出せば十分なので無理にそこまでする必要はないだろう。あくまでスキルポイントが余った時に1、2種類程度にとどめるのが懸命だ。また、低い特性値を使うスキルは取得を避け、どうしても必要な場合は専門スキルLv2で済ませると良い。

能力とスキル

 スキルの代わりに能力を取得するのも有効だ。魔法や神術・陰陽術などであれば多くの、妖術であれば低コストで能力を取得することができ、それらの効果も大きい。能力がスキルよりも優れている点は、使用する特性値がほぼ1種類でほとんどの判定の達成値が安定することと、能力がスキルでの判定より優位な状況が多い点にある。例えば、[魔法]で[センスオーラ]や[マインドリード]、[テレキネシス]を取得すれば、周囲の生物を察知する判定と対象の心を読む判定と物を持ち上げる判定が全て知性でできる上、<感知>や<嘘感知>、<運動>などよりも有効な結果が伴う。しかも、[センスオーラ]はどんなに<隠密>判定の達成値が高い相手でも範囲内なら必ず発見し、どんなに<感知/視覚>の達成値が高くともそれだけでは[インビジビリティ]した相手を見つけられない。能力はスキルを兼ねるが、その逆はない。その上、幻想郷のキャラクターとしてこういった能力以上のキャラ付けの要素もないだろう。
 これらの要素を総合すると、合理的なキャラクターメイクは高い水準の特性値といくつかの有用な能力、最低限のスキルを持つということを指す。多くの非戦闘スキルはあくまでキャラクターの最後の味付けに過ぎず、スキルをメインにキャラクターを組むことは非常に難しいということを念頭に置いておくとよいだろう。

3.ランク配分が決まる過程

 筆者もこれと同様の考え(ただし特性値の比重が若干高い)で、普段は特性値≧能力>スキルという優先度でランクを調整している。その手順は以下の通り。

①種族を決める
②主力となる能力または鍛錬をLv3~4と、キャラ設定に合った派生能力を取得・試算し、合計ポイントでランクを決定する。2番目に高いランクに収まりそうなら切り詰めて2番目のランク、最高ランクが不可欠ならば最高ランクを割り振る。
③特性値を残ったランクで一番高いものに割り振る。
④スキルを一番低いものに割り振る。
⑤全体の見直し。必要能力ポイントが最低ランクで済むようであれば能力のランクを最低にしスキルを繰り上げる。

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最終更新:2018年02月18日 19:46