幕間:”持ち去りから90分ほど後”


奈乃香の社


奈乃香 「たわけーっ!」
社の中、奈乃香が元気に怒鳴りつけている。


奈乃香「竜神の涙がいかに強い力を持っていようと、人間の里から無理矢理持ってくるとは何事ぞ!すぐに里に戻せ!」
サラ「しかし、奈乃香様がそのようなご容体では、私たち魔法使いにも被害が出ています!」
サラ「すぐにその竜神の涙から、力をなんとかして抽出する方法を…」
奈乃香「ならぬ!」
アメリア「それじゃ、多くの人間や妖怪が暗記項目を忘れっぱなしなのを見捨て、自身の回復に専念されるのですか!?」

アメリア…サラの妹である。先ほど、ゲートを開いてサラを人間の里から脱出させたのもアメリア。

奈乃香「そうではない。確かに竜神の涙はほしい。じゃけれども、それは幻想郷の総意があってこそじゃ。」
奈乃香「争いにより得た涙なぞ、我にとって一毛の価値もない。」
サラ「…他の神の手先と思われる妖狐の大群が押し寄せてきていたのですが」
奈乃香「放っておけ。審判の者が認めぬ限り、妖怪の涙を何の代償もなしに使うことなどできぬ。」
奈乃香「いずれは、大義を得た我らのもとに帰ってくるのじゃ。」

しばらくの沈黙。

奈乃香「安心せい。たとえ竜神の涙を無理矢理使うことができたとしても、そのあと、我に対する信仰が長続きするとは思えん。」
奈乃香「それよりも、今は地道に徳を高めることが大事じゃ。」
アメリア「…わかりました。頃合いを見計らって、人間の里に返してきます。」
サラ「アメリア…!」


同時刻、竹林の祭壇


ナタリア 「あんたたちバカなの?ねぇ!?」

ナタリアは元気に妖狐たちを叱っている。

ナタリア「確かに、人間の里に本物の竜神の涙があるっていうことは分かったけど、なんでそれを無理矢理持ってこようとするのよ!泥棒はダメって言ったでしょ!」
妖狐「私は止めた的な…でも権東(妹)がやらかした的な…」
ナタリア「あーもう。」

妖狐「でもでも、他の神の手先も同じように狙ってた的な!」
ナタリア「なんですって?」
妖狐「向こうはきっと強奪を神のほうから指示したんだと思う的な。」

妖狐「…邪神の手に渡って、力を無理矢理取られたら幻想郷が危ない的な!」
ナタリア「待って…。一応、まだ邪神と決まったわけじゃないんでしょ?」

ナタリア「大体、今ある日陰の運行はしばらく大丈夫そうだから、私から直接その神様とやらに話を聞きにいくわ。」
ナタリア「だから、もう二度と竜神の涙を強奪しようなんてことはやめてよね!?」
妖狐「分かった的な。とりあえず、強奪に来た神のこと調べてみる的な。」


美木「(これは…聖戦だ!聖戦になる流れかもしれない!)」
美木「(そうなったら、何としてもナタリアさんに勝たせないと…!)」

近くにいた妖狐の一頭、権東美木…美枝の姉…はそう考え、ひそかに準備を始めたのだった。
美木「(美枝が失敗した分は私がカバーするからね!)」