絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 > 6スレ目 > 03


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~2月下旬 第7学区 常盤台中学~


事務 「確認がとれました。絹旗最愛さん、研究協力で休学中とのことでしたね」

絹旗 「そんなところです」

事務 「復学なさるということで、よろしいですか?」

絹旗 「はい」

事務 「研究協力が事由とのことですので、単位は免除されます。4月度から3年生として通って頂くことになりますが」

絹旗 「え? それでいいんですか。超ザルですね」

事務 「え?」

絹旗 「え?」

事務 「疑問点があれば、遠慮なさらずに聞いてくださいね」

絹旗 「いえ、あの、研究協力なんですから、研究成果の問い合わせとかしないんですか?」

事務 「問い合せても、機密レベルがどうとかで大体は教えてもらえないんですよ」

絹旗 「それもそうですね」

事務 「休学時に、研究所発行の証明書は頂いていますし、こちらで十分です」

絹旗 (それ、浜面のハンドメイドなんですけどね)

事務 「他に、何かございますか?」

絹旗 「学校に来るときは制服じゃなきゃ超ダメですか?」

事務 「超当たり前です」

絹旗 「教科書とかノートは?」

事務 「テキスト類は郵送します。ノートは自己調達してください」

絹旗 「あとは……」

事務 「あとは?」

絹旗 「あ、そうだ。もう一つありました」

事務 「なんでしょう」

絹旗 「卒業式に在校生として出れますかね?」

事務 「卒業式ですか?」

絹旗 「はい。もうすぐ卒業する人に超友人がいるんです」

事務 「なるほど。今年の3年生にですか……」

 :
 :
 :

白井 「あ、終わりましたか?」

絹旗 「ええ、4月から超復帰です。しかも3年生として」

婚后 「まあ、留年は免れたのですか。よかったですわね」

白井 「なにやら、変に甘いですの……」

絹旗 「細けぇこたぁ超いいんです」フンス

婚后 「さ、そろそろ帰るといたしましょう」

絹旗 「えー。超ちょっと徘徊していきませんか?」

白井 「? なにかございますの?」

絹旗 「学舎の園に入るの超久しぶりなんです」

婚后 「そういうことでしたら、少し歩きましょうか」

白井 「では、特別にわたくしイチオシのランジェリーショップを」

絹旗 「いや、それはいいです」

白井 「(´・ω・`)」



~同日 第7学区 学舎の園~


絹旗 「ここの街並みってなんかいいですよね。映画のセットみたいで」

白井 「映画のセット。言い得て妙な表現ですの」

婚后 「たしかに、日本ではあまり見られない景色かもしれませんわね」

絹旗 「この歩行者用信号とか超最高じゃないですか! 記念に持ってかえりましょうよ」グイグイ

白井 「ダメですの! わたくしの仕事を増やさないでくださいまし」

婚后 「き、絹旗さん! それぐらいにしておきませんと」


 ビーッ ビーッ ビーッ ビーッ


絹旗 「? この物騒な音はなんですか?」

白井 「……警報ですの」

警備ロボ達 「「「「ゴヨーダ ゴヨーダ ゴヨーダ ゴヨーダ」」」」」ワラワラ

婚后 「あら……」

絹旗 「え? ちょ、た、助けてくださいよ! これ超マズイですよ!」

婚后 「可哀想ですが、こうなってしまってはどうにもなりませんわ」

白井 「ちなみに、それ壊したらすっごーく怒られますので」

絹旗 「いやいやいや、ちょっと薄情すぎやしませんか!?」

婚后 「まあ、白井さん、ご覧になって。桜の木ですわ」

白井 「あと1ヶ月もすれば、満開の花をつけますのね」

絹旗 「ちょっとぉぉぉぉ!?」

婚后 「……もうすぐ、ここでの生活も終わってしまいますのね」

婚后 (本当に色んなことがございましたわ……)


<タイホシチャウゾ タイホシチャウゾ
<ちょ、やめあbbbbbb


婚后 (顔に落書きをされたり)

婚后 (対能力者兵装を用意したスキルアウトに襲われたり)

婚后 「……これでは噛ませ犬ですわね」ハァ

白井 「?」

白井 「そういえば、もう進路は決まってますの?」

絹旗 「」プスプス

婚后 「ええ。色々考えましたが、長点上機学園に進むことにいたしましたわ」

白井 「まあ、長点上機に……」

婚后 「受験準備中は、皆さんにも気を使っていただいて……感謝のしようがございませんわね」

白井 「浜面さんが風邪っぽいと言ったとき、婚后さんに伝染さないようにと。
    住人総力で軟禁したこともございましたの」

婚后 「交代で見張りまでしていたと聞いたときは驚きましたわよ」

白井 「看病も兼ねた見張りですの」フンス

絹旗 「」プスプス

白井 「泣いても笑っても、もうすぐ卒業ですのね」

婚后 「ええ。残された時間、せいぜい楽しませて頂きますわよ」クスクス

白井 「嘘ですが、寂しくなりますの」

婚后 「社交辞令と受け取っておきますわね」

絹旗 「超社交辞令でもいいから、ちょっとは心配してくださいよ!」



~第7学区 隠れ家的喫茶店~


結標 「卒業、か……学生やってた実感が全然ないのよね」

番外個体 「卒業した後どうすんの? 永久就職?」ジャブジャブカチャカチャ

結標 「まさか。相手の年齢が足りてないわよ」

番外個体 「じゃニート?」フキフキ

結標 「考えがない訳じゃないんだけど……今からじゃ準備する時間が足りなすぎるわ」

番外個体 「?」

結標 「ま、一年後に期待ってことね」


<カランカラン♪


番外個体 「いらっしゃいませー」

滝壺 「やっほう」

浜面 「おお、ここがミサワの姐さんの店か」

番外個体 「違う違う。私はしがないバイトだよ」

結標 「そういえば、マスターさんが見当たらないわね」

番外個体 「奥にいるよ、なんか電話してた。で、なんにする?」

滝壺 「アップルティー」

浜面 「俺はどうすっかな。ジンジャーエールでいいや」

番外個体 「はいはーい」

結標 「滝壺さんも、今年で卒業なのよね。卒業した後はどうするの?」

滝壺 「どうしようか?」

結標 「永久就職……まだムリか」

浜面 「整備士の資格とろうと頑張ってますんで……」

滝壺 「大丈夫だよ、私はヒモなはまづらでも見捨てない」

浜面 「orz」

番外個体 「はい、お待ちどうさま。ひも面さん」カチャカチャ

浜面 「ひでぇ!」

マスター 「いらっしゃい」

浜面 「」ブーーーッ

結標 「わ、何してんのよ!?」

番外個体 「? お口に合わなかったかな」

浜面 「いや、うまいぜ」

マスター 「ん? そこのは……ロシアでは世話になったであるな」

浜面 「やっぱりかよ! よく似た他人だと思おうとしてたのに、やっぱりかよ!」

滝壺 「あ、傭兵さんだ」

マスター 「今は傭兵くずれのマスターである」

番外個体 「え? 知り合いですか?」

マスター 「ちょっとな」

浜面 「こんなところで何やってるんだよぉぉ!?」

マスター 「色々あってな」

番外個体 「色々あったんだ」

結標 「雰囲気を感じさせるわよね」

滝壺 「なんかかっこいいよね」

浜面 「あれ? 滝壺さん?」



~その頃 第7学区 学舎の園~


絹旗 「」プンスコ

白井 「絹旗さん、いい加減機嫌を直してくださいまし」

婚后 「元を辿れば、自業自得ですのよ」

絹旗 「そりゃそォですけど! ちょっとぐらい手を差し伸べてくれてもいいじゃないですかァ!」

白井 「? 今何か、言葉が……」

絹旗 「すいません、超失礼しました、何でもないんです」

婚后 「まあまあ、評判のケーキをご馳走しますので、機嫌を直してくださいな」

絹旗 「む……超仕方ないですね。それで手打ちとしましょう」

婚后 「復学祝いも兼ねて、ということで」

白井 「評判ということは、あのお店に?」

婚后 「ええ、いつも使うお店ですわ」

白井 「確かに、あそこのレアチーズケーキは絶品ですの」

絹旗 「おお、こりゃ超楽しみですね」

 :
 :
 :

絹旗 「ここが超評判のお店ですか」

白井 「流石に混んでますの」

絹旗 「これに名前書いておけばいいんですかね」カキカキ

婚后 「ここにもあと何回来れるのでしょうか……」

白井 「卒業してしまえば、学舎の園にも入れなくなりますものね」

絹旗 「来たくなったら、私たちの招待って形で入れちゃえばいいんですよ」

白井 「卒業生といえば融通もきくでしょうし」

婚后 「その時には、ぜひお願いしますわね」

店員 「3名でお待ちの絹旗様、お席へご案内致します」

絹旗 「お、思ったより早いですね」

婚后 「あまり待たなくて済みましたわね」

白井 「ささ、参りますの」

婚后 「ケーキセットを3つお願いいたします」

店員 「かしこまりました」

絹旗 「そういえば、ちょっと思ったんですけど」

白井 「なんですの?」

絹旗 「婚后さんが長点上機に進んだら、来年の大覇星祭では敵同士になりますね」

白井 「考えてみれば……そうであっても、手心を加えるつもりなぞございませんが」

婚后 「あら、望むところですわ。全力を以って叩き潰してさしあげますので」クスクス

白井 「ふふ、そうでなくては面白くありませんの」

絹旗 「私の窒素装甲は超簡単にはツブれませんよ」フンス

婚后 「わたくしが本気を出せば、絹旗さんを夜空のお星様にすることもできますのよ?」

絹旗 「やめてくださいよ! 超シャレになりません!」

白井 「絹旗さんを砲弾代わりに飛ばしたこともございましたわね」

婚后 「生身の人を能力で飛ばしたのは、後にも先にもあれだけですわよ」

絹旗 「あれぐらいなら、風になったみたいで超爽快ですよ」

婚后 「昨年の大覇星祭も、最高に思い出になりましたわ」



~第7学区 とある病院~


海原 「調子はいかがですか?」

ショチトル 「良好だ」

海原 「それはよかった」

ショチトル 「今日は義姉さんは一緒じゃないんだな」

海原 「ええ、時間が合わなくt……義姉さん?」

ショチトル 「? なにかおかしいか?」

海原 「いや、間違ってるような間違ってないような……」

ショチトル (お兄ちゃんの恋人はこう呼ぶと、学園都市小町に書いてあったんだが……)

海原 「まあ、僕に聞くより本人に聞いたほうがいいかもしれませんね」

ショチトル 「次に会えたときに聞いてみることにする」

海原 「それがいいと思いますよ。また近々来てくれるでしょうし」

海原 (どんな反応をするか。ある意味で楽しみですね)

ショチトル 「……喉が渇いたな、何か……」

海原 「ああ、いいですよ。買ってきますよ」

ショチトル 「いいのか?」

海原 「僕もなにか飲みたいと思っていたところですので」

ショチトル 「そ、そうか」

海原 「何にしましょうか?」

ショチトル 「じゃあ、コーヒー牛乳で」

海原 「了解しました。他になにか、ありますか?」

ショチトル 「うーんと、あれ……」

海原 「?」

ショチトル 「……プリン食べたい」

海原 「あ、あの上にクリームが乗ってるやつですね」

ショチトル 「」コクリ

海原 「分かりました。ちょっと待っててくださいね」

ショチトル 「分かった」


<ガラッ バタン



~第7学区 学舎の園~


絹旗 「うん。まあまあのケーキでしたね」

白井 「まあ、追加注文にテイクアウトまでしておいて、よく言いますの」

絹旗 「甘いモノは超別腹なんです」

婚后 「お気に召したようで何よりですわ」


<おや?婚后に白井ではないか。


絹旗 「?」

白井 (こ、この声は!?)ビクッ

婚后 「あら、寮監ではございませんか。ご無沙汰しております」ペコリ

寮監 「久しいな。お前達も壮健なようでなによりだ」

絹旗 (誰ですかね、このキツそうな人は)

白井 「あ、ご、ご無沙汰しておりますの」ダラダラ

寮監 「うむ。そちらのは友人か?」

絹旗 「はい、絹旗っていいます」

寮監 「絹旗……?」

婚后 「事情があって、休学なさっておられたのです」

寮監 「なるほど。道理で見ない顔だと思ったわけだ」

絹旗 (誰ですか、これ)ヒソヒソ

白井 (仁王も裸足で逃げ出す鬼女ですの)ヒソヒソ

寮監 「そういえば、お前ももうすぐ卒業だったな」

婚后 「はい。寮監にも色々とお世話になりました」

寮監 「……」

白井 「寮監?」

寮監 「ああ、すまない。もうそんな時期なのか、と思ってしまってな」

絹旗 「やっぱり、感傷に浸るものなんですかね」

寮監 「当然だ。この仕事も長くやっているが、別れだけは慣れるものでもない。
    ましてや、誰かさんのように手を焼かされた生徒となると余計だ」

白井 「」ギクリ

寮監 「まあ、それでも笑って見送るのが役目だ。憂いを残さず巣立てるようにな」

絹旗 (超いい人じゃないですか)ヒソヒソ

白井 (基本はいい人ですの)ヒソヒソ

婚后 「寮監は、これまでも何人もの生徒を送り出してきてますものね」

寮監 「ああ。面倒を見た連中は、全員の顔と名前を今でも覚えているぞ」

白井 「全員のですか?」

絹旗 「超すごいですね」

寮監 「これぐらいは当然だ」

婚后 「さすが寮監ですわね」

寮監 「しかし……今回ばかりは一つ、心残りができてしまってな」

白井 「と申されますと?」

寮監 「老朽化に伴って新築していた新寮だ。実は、先月完成している」

婚后 「まあ、初耳ですわね」

白井 「なぜ運用しないのですか?」

寮監 「時期が中途半端だからな。4月度から使おうということになった」

婚后 「では……」

寮監 「残念だが、3年生は寮に戻ることなく卒業することになる」

婚后 「少々残念ですわね」

寮監 「お前たちは、4月からは寮に復帰してもらうことになるが」

白井 (え? ということは……)

絹旗 (家を超出る必要がある……?)

寮監 「……そうだな。少し見学していくか?」

婚后 「え? よろしいのですか?」

寮監 「婚后もせめて内装ぐらいは見たいだろう。卒業してしまえば、おいそれと入れなくなるしな」

絹旗 「どうでしょ、婚后さん」

婚后 「え、ええ。そうして頂けるのはすごく有難いのですが……」

白井 「せっかくですし、ご好意に甘えておきますの」

寮監 「お前達も、下見と心の準備になるだろう」

絹旗 (心の準備……家を出る時の……?)

寮監 「新寮は、前と同じ場所にある。早速向かおう」



~その頃 第7学区 隠れ家的喫茶店~


結標 「もともとイギリスの人なのね。ここの紅茶が美味しい訳だわ」

マスター 「茶葉選びは英国人の得意とするところである」

浜面 「しっかしまあ、ロシアであんな出会いをした人と、こんな形で再会するとはな」

滝壺 「元気そうでよかった」

番外個体 (ロシアでそんなことがあったんだ……確か、その頃だと私もロシアにいたけど……)

結標 「そういえば、貴女その頃ロシアにいたんじゃない?」

番外個体 「え? う、うん、いたね」

マスター 「ミサワさんはロシアからの帰国子女であったな」

番外個体 「はい、そういう設定……じゃなくて、そうです」

浜面 「戦争中は大変じゃなかったか?」

番外個体 「あー、私がいたところは激戦区じゃなかったから……」

マスター 「戦火はごく狭い範囲に集中していたであるからな」

番外個体 「にしても驚きました。マスターが当事者だったなんて」

浜面 「で? こんなところで何やってんだよ」

マスター 「自分探しの旅である」

滝壺 「自分探し?」

マスター 「うむ。あの戦争で多くの物を失い、多くの物を得た」

結標 「なんていうか、凄絶ね」

マスター 「護りたいものを護るにはどうあるべきか。それを模索しているのである」

滝壺 「見つかったの?」

マスター 「秘密である。それ以上に、故郷からのさっさと帰ってこいという電話攻撃を凌ぐのに忙しいのである」

番外個体 「あー……ちょくちょく掛かってくる国際電話はそれですか」

マスター 「全く、あの世話焼きにも困ったものであるな」

結標 「恋人か何か?」

マスター 「それ以上に厄介な存在である」

浜面 「まぁ、どこにでもいるよな。自分のこと棚にあげて他人の世話ばっか焼く奴って」



騎士団長 「くしゅんっ」



番外個体 「でも、クニに帰られたらバイトなくなっちゃうし、困るかな」

マスター 「その時には、全権をミサワさんに委任するのである」

番外個体 「は? ムリですってば!」

結標 「あら。その歳で店持ちなんて滅多にいないわよ」

浜面 「名実ともに、ミサワの姐さんの店になる訳だ」ウンウン

マスター 「今のミサワさんなら、厨房仕事は問題ないであろう。あとは勘定だけである」

番外個体 「……本気?」

マスター 「予定は未定である」

浜面 「でもそうなったら、知り合い割引とかしてもらえるかもな」

番外個体 「するワケないじゃん」

結標 「ま、当然よね。ビジネスなんだから」

滝壺 「甘くないよね」

浜面 「財政的に厳しいときぐらいは……」

滝壺 「お小遣いなら私に言えばあげるから」

浜面 「いつもすいません」

結標 「……ねえ、今のままだとホントにヒモよ」

番外個体 「サンレッドみたいだね」

結標 「サンレッドはどっちかと言うと、貴女の彼でしょ。すごく強くて口が悪い、最強の自宅警備員」

浜面 「俺は弱いってことですかぁぁぁ!?」

滝壺 「大丈夫だよ、弱くてヒモな浜面でも好きだから」

浜面 「そのお言葉、嬉しいけど痛ぇぇぇぇ!!」

マスター (……こんな情けない男に助けられたであるか)

番外個体 「まあ、水ぐらいはサービスしてあげるよ」

浜面 「水はいつも出してますよねぇぇ!?」

結標 「紅茶を頼めば、クッキーが2枚ついてくるわよ」

マスター 「それはクッキー込みの値段だからである」

番外個体 「マスター、それカミングアウトしちゃダメ」

浜面 「今、商売の裏側を見た気がしたぜ」

結標 「まあ、場所代も含まれてるでしょうし、こんなもんでしょ」

滝壺 「こんなもんだよね」



~第7学区 とある病院~


海原 「お待たせしました。買ってきましたよ」

ショチトル 「あ、ありがと」

海原 「コーヒー牛乳とプリンでしたよね。はい、どうぞ」ガサガサ

ショチトル 「♪」ペリペリ

海原 「……」

ショチトル 「? なに人の顔をジロジロと……」

海原 「ショチトル、具合はいかがですか?」

ショチトル 「さっきも言っただろう。良好だと」

海原 「なら良いのですが……」

海原 (本人もこう言ってますし、傍から見る限り、おかしい所はありませんね……)

海原 (ですが、ここの先生の腕は確か……一体何が……)

ショチトル (……何を難しい顔をしてるんだ。また厄介事が……?)

海原 (ここで気を揉んでいてもどうにもなりませんね。覚悟だけはしておくとしましょう)

ショチトル 「さっきから何を考えてるんだ?」

海原 「いえいえ、何も考えていませんよ」

ショチトル 「……嘘。すごく険しい顔してた」

海原 「おっと、顔に出ていましたか。これは参りましたね」

ショチトル 「また何かあったのか?」

海原 「少なくとも、貴女が心配するようなことは何も起きていませんよ」

ショチトル 「本当に?」

海原 「本当です」

ショチトル 「本当の本当に?」ズイ

海原 「本当の本当です」

ショチトル 「」ジー

海原 (近いです近いです)

ショチトル 「……分かった。信じる」

海原 「ありがとうございます」ホッ

 :
 :
 :

海原 「では、そろそろ行きますね」

ショチトル 「え? もう行ってしまうのか」

海原 「また来ますから」

ショチトル 「……約束」

海原 「ええ、約束です」

ショチトル 「分かった、待ってる」

海原 「無理はなさらないでくださいね」

ショチトル 「また来てね、絶対だからね」

海原 「分かってますよ。なにか手土産を持ってきますから」

ショチトル 「甘いのがいい」

海原 「心得ました。では、また今度」

ショチトル 「うん」


<ガラッ バタン


海原 「……さて」

海原 「先生のところに向かうとしましょうか」

海原 「あ、すいません。カエルによく似た先生は今どちらに?」

看護師 「カエルに……? ああ、カエル先生か。今は二階の第一診察室にいるハズよ」

海原 「そうですか、ありがとうございます」ペコリ

看護師 「はいはい、ご丁寧にどうも」カツカツ

海原 「第一診察室ですね、いきましょうか」

海原 (どんな話をされるというのでしょうか……)



~第7学区 とある病院 第一診察室~


海原 「失礼します」

冥土帰し 「おお、きたか。わざわざすまないね」

海原 「いえいえ、とんでもないことです」

冥土帰し 「まあ、適当に座ってくれ」

海原 「これはどうも。で、お話というのは?」

冥土帰し 「さっきも言った通り、妹さんのことだね?」

海原 「……彼女の身体になにか?」

冥土帰し 「ふむ……君からみて、今の彼女はどうだね?」

海原 「は、はあ……元気なように見えますが。本人も良好と言っていますし」

冥土帰し 「そうか、そうだろうね」

海原 「……あの、先生」

冥土帰し 「うん?」

海原 「どのような結果であれ、受け入れる心の準備はできています」

冥土帰し 「……」

海原 「まわりくどい言い方はせず、話して頂けないでしょうか」

冥土帰し 「そうだね……では、単刀直入に結論から言おう」

海原 「」ゴクリ

冥土帰し 「そろそろ退院を考えてもいい頃だと思うね?」

海原 「…………はい?」

冥土帰し 「だから、そろそろ退院を考えてもいい頃だと思うね?」

海原 「」ヘナヘナ

冥土帰し 「君はいったい何を言われると思っていたんだね?」

海原 「い、いや……ははっ、マイナス思考でお恥ずかしい」

冥土帰し 「だが、色々問題はあるね? 僕が話したいのはむしろそっちなんだが」

海原 「問題ですか……たしかに、今病院を放り出されても彼女一人では厳しいですね」

冥土帰し 「だから、留学生や帰国子女という扱いにできないこともない。そういった前例もある」

海原 「留学生、ですか……」

冥土帰し 「勿論、故郷に帰るという選択肢もあるね?」

海原 (今故郷に戻っても、取り巻く環境が厳しいのは変わらず……)

海原 (ならば、僕の目の届くところに居てもらったほうがいいですね)

冥土帰し 「一つ忘れないでほしい」

海原 「なんでしょうか」

冥土帰し 「彼女自身がどうしたいか。大事なのはそこだね?」

海原 「彼女自身が……あの、先生個人としてはどういったお考えで?」

冥土帰し 「……医者の端くれとしての意見だが、もうしばらくは学園都市に留まっていてほしい」

冥土帰し 「彼女に施した治療は、学園都市の技術を用いたものだからね?」

海原 「経過を観察するにしても、先生に診てもらったほうが良いということですね」

冥土帰し 「そういうことだね」

海原 「……分かりました。彼女ともよく話し合いたいと思います」

冥土帰し 「うむ、そうしてほしい」

海原 「何かありましたら、ご相談させてください」

冥土帰し 「もちろんだよ。患者に必要なものは何であっても揃えるからね?」

海原 「ありがとうございます。では、一旦失礼します」ペコリ

冥土帰し 「何かあったら、すぐに言うんだよ?」

海原 「はい、お言葉に甘えさせて頂きます」


 ガチャ バタン


海原 「……どうしましょうか」



~第7学区 隠れ家的喫茶店~


結標 「滝壺さん、そろそろ行く?」

滝壺 「そうだね、遅くなる前に行っておこうか」

番外個体 「なにか用事?」

結標 「んー、将来に向けての準備?」

番外個体 「?」

滝壺 「今はまだナイショ」

浜面 「お、もう行くか?」

滝壺 「ごめんね、はまづら。むすじめと行くところがあるから、先に帰ってて」

浜面 「ああ、わかった。気を付けてな」

結標 「じゃ、滝壺さん借りるわね」クスクス

浜面 「ちゃんと返せよ」キリッ


<カランカラン♪



マスター 「ところで」

浜面 「ん?」

マスター 「彼女らの分はお前に請求しておけばよいであるな」

浜面 「( ゚ロ゚)」

マスター 「伝票は置いておくのである」つ□

浜面 「(゚ロ゚)」

番外個体 「こっち見んな」

浜面 「えーと、全部でいくらだろうなー」チラッ

マスター (ケーキセットを頼んでいたであるからな)ヒソヒソ

番外個体 (滝壺さんはピザトーストも食べてましたよ)ヒソヒソ

浜面 「ひい、ふう、みい……くそ、なんで俺はナポリタンを頼んじまったんだ……」

マスター (しかし、彼女らも酷であるな)ヒソヒソ

番外個体 (あの二人のことだから、ナチュラルに忘れてんのかと)ヒソヒソ

浜面 「あの、ご相談がございまして」

マスター 「なんであるか」

 :
 :
 :


<カランカラン♪


番外個体 「いらっしゃいませー」

海原 「やあ、どうも」

番外個体 「あ、海原さん」

マスター 「今日は知り合いばかりであるな」

番外個体 「常連しか来ない店、って伊達じゃないですね」

浜面 「」ジャブジャブカチャカチャ

海原 「おや、浜面さんが皿洗いですか? とうとう職が見つかったんですね」ニコニコ

浜面 「そんなんじゃねぇ」グス

番外個体 「惜しかったね。さっきまで淡希いたのに」

海原 「おっと、これは残念ですね。結標さんとも相談したいことがあったんですが」

浜面 「相談? 金の話ならしないほうがいいぜ?」

海原 「いえいえ、そんなんじゃありませんよ。あ、玄米茶を」

番外個体 「いや、おいてないよ」

海原 「何茶ならありますか?」

番外個体 「お茶系は緑茶と烏龍茶と紅茶とゴーヤ茶ならあるけど」

海原 「では緑茶をアイスで」

番外個体 「はいはーい」

浜面 「で、相談って何か面倒でもあったのか? 俺でよければきくぜ?」

海原 「お気持ちは有難いのですが、今回ばかりは結標さんに相談したいのですよ」

浜面 「頼りにされてるねぇ、さすが姐さん女房だ!」

海原 「ええ、普段は頼りになる方です」ニコニコ

番外個体 「それって、二人きりだと頼りにならないってこと?」ニヤニヤ

海原 「秘密です。言ったら怒られてしまいますので」

マスター 「仲睦まじいようで結構である」

浜面 「まったく、羨ましい限りだねぇ」

番外個体 「浜面さんが言うかなぁ、それ……」

浜面 「? なんかおかしいか?」

番外個体 「いや、いいけどさ」

マスター 「手が止まっているであるぞ」

浜面 「はい、すいません!」ジャブジャブ

番外個体 「ねえねえ、そういえばさ。一昨日かな? 淡希の部屋からなんか気持よさそーな声が聞こえてきたけど?」

海原 「……聞こえてきた?」

番外個体 「お隣りさんだから聞こえるんだよねー」

海原 「一昨日といいますと、肩のマッサージをしたときでしょうか」

番外個体 「マッサージ?」

海原 「ええ、肩が凝ると普段から仰っていますので」

浜面 「あれだけありゃ凝るよな。滝壺もたまに凝るって言ってるぜ」ワハハ

番外個体 「……」

浜面 「その点、ミサワの姐さんは心配なさそ(バキッ)そげぶっ」

番外個体 「口より手動かせ働き蜂!!」ムキー



~1時間後~


マスター 「そろそろ閉める時間であるぞ」

番外個体 「お疲れ様」ポンポン

浜面 「手が冷てぇ……」

海原 「すっかり長居してしまいました。帰るとしますか」

浜面 「よし、帰るか」

番外個体 「先帰ってて。掃除があるから」カチャカチャ

海原 「了解しました」

浜面 「あの、マスター。これでお代は……」

マスター 「……しょうがないであるな」

浜面 「ありがとうございます!」ペコペコ

マスター (ロシアでまみえたときとはまるで別人である……逆境に強いタイプであるか?)

番外個体 「マスター、モップどこにしまいました?」

マスター 「外に干しているのである」

浜面 「はー、久々に働いたって感じがするな!」

海原 「おいくらですか?」

番外個体 「190円」

海原 「はい」チャリチャリ

番外個体 「はい、どうもー」

浜面 「そっか、海原に立て替えてもらえばよかったんだ」

マスター 「ダメであろう」

海原 「?」

番外個体 「いや、もう済んだ話だから。気にしないで」

海原 「はあ……あの、待ってなくて大丈夫ですか?」

浜面 「だな。帰る頃には暗くなってるぜ」

マスター 「ミサワさんもこう見えて一応女子であるからな」

番外個体 「その発言は色々納得できない」

海原 「まあ、折角ですしお待ちしますよ。時間だけはありますから」ニコニコ

浜面 「そうだそうだ。ミサワの姐さんに何かあったら第一位にフルボッコにされちまう」

番外個体 「……じゃあ、さっさと済ますから。待ってて」



~第7学区 常盤台中学 新第二学生寮~


寮監 「着いたぞ」

婚后 「まあ、随分と立派になって……」

白井 「なんだか、久しぶりに孫に会ったお婆ちゃんみたいですの」

絹旗 「成長を喜んでる感じが超溢れてますよね」

婚后 「少しぐらい感傷に浸ってもよろしいではないですか」

寮監 「お前たちもここに来るのは初めてだろう? ならば無理もない」

絹旗 「にしてもこれ、どうやって開けるんですか? 鍵穴とかカードリーダはなさそうですけど」

寮監 「ドアのここにセンサーがある。こうやって、手を当てればいい」バン


 ピンポーン


婚后 「まあ、静脈認証ですのね」

寮監 「クラッキング対策も万全だぞ。発電能力者による鍵破りの前例があったからな」

白井 (お姉様が興味本意でやったら開いてしまったときのことですの……)

絹旗 「超ガチガチじゃないですか」

寮監 「当然だ。お預かりしている生徒の身になにかあったら、親御さんに合わせる顔がなくなってしまう」

絹旗 「こういう先生が超たくさんいたら、学園都市も平和になるかもしれませんね」

白井 「恐怖で支配する政治は長続きしませんの」

寮監 「白井?」

婚后 「」ゾクッ

白井 「寮監量産化計画を推進するべきですの」キリッ

絹旗 「いや、超ダメでしょ」

寮監 「阿保なこと言っていないで、さっさと中に入るぞ。下校時刻も近いしな」

婚后 「あら、もうそんな時間でしたか?」

絹旗 「超さっさと見学していきましょう」

白井 「そうですの、遅くなると家の人も心配するでしょうし」

寮監 「そういうことだ」


 キィ バタン


婚后 「ここがエントランスですわね」

絹旗 「うはー、超オシャレです」トテトテ

白井 「雰囲気は前とあまり変わりありませんのね」

絹旗 「あの、この超不自然に配置されたイスとテーブルのセットは?」

寮監 「私の席だ」

絹旗 「?」

婚后 (ここで門限破りが出ないか見張るんですのよ)ヒソヒソ

絹旗 (ああ、なるほど)

寮監 「さて、白井と絹旗は4月から3年生だったな。ならば使うのは3階になる」

白井 「3階と言いますと、最上階になりますのね」

絹旗 「超3年生って感じですね」

寮監 「よし、3階の部屋を見に行ってみるか」カツカツ

絹旗 「ここって個室なんですか?」

白井 「いえ、わたくしが居た頃は基本二人部屋でしたの」

絹旗 「えー……プライバシーもなんもないじゃないですか」

婚后 「そこは慣れるしかございませんわね」

白井 「住めば都とも申しますのよ?」

絹旗 「慣れるまでは超時間がかかりそうです……」

寮監 「基本食べて寝るだけの施設だからな。そこまでは考慮されていない」

絹旗 「牢獄ですね」

婚后 「絹旗さん、言ってはいけませんわ」

寮監 「ふふ、こんな綺麗な牢獄など存在するものか」

絹旗 「たしかに内装は超綺麗ですが」

白井 「あの、侵入者対策は大丈夫ですの? 寮が破損した原因が原因ですので……」

寮監 「問題ない。前に比べても相当頑丈に造られている」

婚后 「防犯面は大丈夫そうですわね」

寮監 「外部からだけではない。内部からの衝撃にも強いぞ」

絹旗 「内部? 内部ですか?」

寮監 「生徒が能力を暴走させることもなくはないからな」

絹旗 「はあ、なるほど」

白井 (ここまで強化されているとは……)

婚后 (寮に戻れなくて正解だったかもしれませんわね……)

寮監 「窓や建材も強化仕様だしな。外からも内からも簡単には破れんよ」コンコン

絹旗 「うわ、これ私の能力でも破れないんじゃないんですか」ゴンゴン

寮監 「そう簡単にはいかないだろう。それにな、この寮には侵入者でも暴走した生徒でも抑える最後の砦がある」

白井 「まさか……」

婚后 「その砦とは……」

寮監 「私だ」ドン

絹旗 「……はい? 見たところ、兵装もない超一般人ですが」

白井 (寮監の兵装とは即ち……己の拳と信念ッ……!)

絹旗 「常盤台の生徒だとしても、最低 Level3 ですよね? そんな装備で大丈夫ですか?」

寮監 「大丈夫だ、問題ない」

絹旗 「へー、じゃ私の窒素装甲をもってしても適いそうもないですねー」

白井 「絹旗さん! ダメですの!」ワタワタ

婚后 「どうかおやめになって!」オロオロ

寮監 「ほう? 私を挑発するとは、余程腕に覚えがあるのだろうな」キラーン

白井 (あっ、あの目はマジですの!)

婚后 「り、寮監! 彼女は少々奔放で世間知らずなところがございまして」

寮監 「婚后、下がれ」

婚后 「」ビックゥ

絹旗 「ふふ、こっちも大能力者やってるんですよ。タダでやられるワケが超ないじゃないですか」

寮監 「その歳で大能力者か、大したものだ。だが、少々礼節に欠いているとみえる」コキコキ

絹旗 「勝負ですっ!」ダンッ



~10秒後~


絹旗 「」

婚后 「あぁぁ、絹旗さん……こんな姿に……」

白井 「寮監相手に10秒耐えたんですの。超大金星ですの」

寮監 「口程にもない……とまでは言わないが、まだまだ青いな」

絹旗 「ば、化け物です……」ヨロヨロ

婚后 「歩けそうですか?」

絹旗 「ちょ、超ちょっとつかまらせてください」ヒシ

白井 「無理はなさらないで」

寮監 「教育的指導も済んだところで、部屋を見てみるか」ガチャ

婚后 「部屋の作りも以前と合わせておりますのね」

絹旗 「超シンプルな部屋ですね」ヨタヨタ

白井 「寮監も仰っていた通り、基本寝るだけの部屋ですので」

寮監 「以前よりはいくらか広くなっているぞ」

婚后 「言われてみれば……」

絹旗 「ベッドが二つ……二人部屋なんですね」ヨタヨタ

白井 「まあ、トラブル等あれば部屋を変える事もできますが」

婚后 「そういえば、白井さんは強引に御坂さんと相部屋になったのでしたね」

白井 「強引ではなく、神算鬼謀と言って頂きたいですの」フンス

絹旗 (なんだか超心配になってきました……やっていけるんでしょうか……)



~同日 第7学区 某所~


海原 「夜はまだまだ冷えますね」

浜面 「まあ、まだ2月だしな」

番外個体 「今日はマシな方だと思うけどな」

海原 「ミサワさんは平然としてますね」

番外個体 「寒いのはいくらか平気だから。暑いのはキライだけど」

浜面 「さすがロシア出身って感じだな!」

番外個体 「出身じゃないんだけどさ……」


<あ、浜面じゃないですか?


浜面 「おお、絹旗……ってお前どうしたんだその格好は!?」

絹旗 「学生が制服を着ていてはおかしいんですか?」

浜面 「そうじゃねえけどな、見慣れないっていうか」

絹旗 「つまり、超浜面は私の制服姿に超欲情してるんですね。うっわ、超キモイです」

浜面 「お前ひでぇ! しかも、いつもより"超"を増やしやがって!」

番外個体 「みんなしてどうしたの?」

婚后 「細々した用事で学校に行って、その帰りに学生寮を見学してまいりました」

白井 「そちらは、なんだか珍しい組み合わせですの」

番外個体 「送り狼ってやつかな?」クスクス

絹旗 「浜面、超聞き捨てなりませんね。滝壺さんに報告を」

浜面 「違ぇぞぉぉ! そんなつもりはないぞ!?」

海原 「そもそも、ミサワさんに手をだしたら後が怖いですよ」

番外個体 「超強いからね、私の彼は。モヤシだけど」ニヤニヤ

婚后 「素敵なナイトですわね」

白井 「ぐぬぬ……大きいお姉様まで、こんな……」

浜面 「で? 久々の学校はどうだったよ」

絹旗 「え……まあ……」

浜面 「?」

海原 「学校と言えば、婚后さんはもうじき卒業ですね」

婚后 「ええ、残すところ僅かですわね」

番外個体 「ああ、最近家にいることが多いのは卒業が近いからか」

白井 「進路と卒業判定に問題がない生徒は、早い春休みに入っておりますし」

浜面 「卒業祝いでもやるか、パーッとな」

婚后 「そこまでして頂かなくても……」

絹旗 「……」

海原 「絹旗さん? どうかされましたか?」

絹旗 「あ、いや。超なんでもないです」

浜面 「腹でも減ったか?」

絹旗 「そうですね。超お腹空きましたし、早く帰りましょうよ」

浜面 「あれ? そこは"超浜面じゃないんですから"って言うところじゃないか?」

番外個体 「ほら、じゃれてないで。帰るよ」

白井 「今日の夕食当番はどなたでしたか?」

海原 「確か結標さんだったかと」

絹旗 「……はあ」

絹旗 (家を出なければならないこと、みなさんにはどう伝えれば……)



~きぬはた荘 キッチン~


結標 「」グツグツ

滝壺 「……」

結標 「え、えーと、塩と胡椒でいいのよね?」

滝壺 「うん」

結標 「」ゴリゴリゴリ

滝壺 「入れすぎ」

結標 「えっ? そ、そうかな」

滝壺 「一口、味見してみて」

結標 「」チョピ

滝壺 「どう?」

結標 「……ゴメンなさい」

滝壺 「ね?」

結標 「どうしてなのかな……」

滝壺 「調味料目分量なんて、慣れてないとできないよ」

結標 「そ、そうよね」

滝壺 「でもね、むすじめのよくないところはそこじゃないの」

結標 「……?」

滝壺 「なんだと思う?」

結標 「……センス?」

滝壺 「それもあるけど、根本的なのは別」

結標 「な、なんなの?」

滝壺 「食材とか調理に対する知識は勉強すればいいし、手付きは慣れの問題。むすじめのよくないところは」

結標 「」ゴクリ

滝壺 「味見しないこと」

結標 「」

滝壺 「味見しないから、味がおかしいことに自分では気付けない。気付かないから、なかなか上達しない」

結標 「そ、それは……」

滝壺 「このミートソースも、一口食べてみておかしいと思ったでしょ?」

結標 「うん……」

滝壺 「じゃあ、むすじめに問題。このミートソースはどうすればいいかな」

結標 「んー……塩胡椒入れすぎて、しょっぱくなっちゃったから……」

滝壺 「」ジー

結標 「……トマトと水を、足せばいいのかしら?」

滝壺 「正解」

結標 「じゃ、じゃあ、早速」

滝壺 「それじゃ、私はそろそろスパゲティゆでるから」

結標 「うん、お願い」

滝壺 「♪」ザララララ

結標 「難しいわね、料理って……」グツグツ

滝壺 「でも、むすじめなら大丈夫だと思う」

結標 「なんで?」

滝壺 「うなばらに美味しいもの食べさせてあげたいから、頑張ってるんだよね?」

結標 「な、なっ、そ、そうじゃなくて、もうちょっとマシなものをって……」

滝壺 「大丈夫、その気持ちがあるならいつかはできるようになるから」b グッ

結標 「いつかは、なの?」


<ギィィィィ バタン


滝壺 「あ、誰か帰ってきた」

絹旗 「ただいま戻りました」ヒョコッ

結標 「おかえり。絹旗さんだけ?」

絹旗 「全員帰ってきてますよ。なんだかんだで途中出くわして」

滝壺 「そうだったんだ」

絹旗 「とりあえず着替えてきますね。この格好も超息苦しいので」

結標 「手も洗いなさいよ」

絹旗 「はーい」トテトテ

滝壺 「むすじめ、コゲてる」

結標 「え? あー!」



~きぬはた荘 絹旗個室~


絹旗 「はー」

絹旗 「」ボフンッ

絹旗 「超疲れましたー」ゴロゴロ


 ポテポテ オアーン


絹旗 「?」ゴロン

ユリコ 「・ω・」

絹旗 「あ、ユリコ。どっから入ってきたんですか?」

ユリコ 「ノ・ω・)ノ」ビシッ

絹旗 「ありゃ。自分でドア開けたんですか」

絹旗 「超器用ですね、ユリコは」パタン

絹旗 「……はー、立ったついでに着替えますか」プチップチッ

絹旗 「」ポイポイッ

ユリコ 「♪」モゾモゾ

絹旗 「こら、ユリコ。人の脱ぎたて制服に潜り込むなんて浜面でもしませんよ」

ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」

絹旗 「ダーメーでーす。毛がついたら取るの大変なんですよ」

絹旗 「……」

絹旗 「ユリコとも……離れないといけないのでしょうか」

ユリコ 「(・ω・)?」

絹旗 「ユリコ、私がいなくても超大丈夫ですか?」

ユリコ 「(・ω・三・ω・)」

絹旗 「大丈夫ですよ、みんなユリコには甘いですから」

絹旗 「……超」

絹旗 「超、大丈夫です」

ユリコ 「(・ω・)……」

絹旗 「……」グス

ユリコ 「」ピョン

絹旗 「あれ? ユリコ? そこは超慰めるところじゃないんですか?」


 トテテテ


絹旗 「?」

ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」ポムポム

絹旗 「それは……アルバムですよね」

絹旗 「……そうだ、写真も整理して持っていかないといけませんね」

絹旗 「ふふ、この学園都市でフィルムカメラを超愛用してるなんて私だけでしょうね」

絹旗 「フィルムにはフィルムのよさがあるんです。偉い人にはそれが超わからんのです」ゴソゴソ

ユリコ 「(・ω・)」ジー

絹旗 「……写真もずいぶん溜まりましたよね」


<コンコン


絹旗 「はいー?」


<メシだとよ、適度に降りてこい。


絹旗 「はいはい、今行きまーす」

絹旗 「……あ、服着ないと」

絹旗 「まったく、ユリコが着替え中断させるからですよ」シュルシュル

ユリコ 「(・ω・)?」



~同日夜 きぬはた荘 リビング~


番外個体 「なんか今日のスパゲティ、ソース多くなかった?」ズズ...

白井 「ええ。普通に頂いていてお皿にソースが余るとは思いませんでしたの」

結標 「言わないでよ……」

海原 「でも、美味しかったじゃないですか」

浜面 「だな。結標の姐さんにしちゃ上出来じゃないか?」

結標 「ちょっと何よそれ」

婚后 「あの、ご相談があるのですが」

滝壺 「どうしたの?」

婚后 「卒業式の後、色々報告するために一度実家に戻ろうと思っておりまして」

番外個体 「? 卒業式って親とか来るもんじゃないの?」

婚后 「都合が合わないらしく……代理で、執事が来ると言っておりますし」

絹旗 「執事? あの、沖縄でお世話になった執事さんですか?」

婚后 「え、ええ、その執事です」

絹旗 (超楽しみになってきました!)

婚后 「ともかく、それで3~4日家を空けたいと思うのですが」

滝壺 「それ、私たちに許可を求めなくてもいいよね」

婚后 「はい?」

結標 「別に誰もダメなんて言わないし、引き止める権利もないじゃない」

浜面 「好きなときに出かけて好きなときに帰ってくる、家ってなそんなもんだろ?」

白井 「黙っていなくなるのは無しですが、一言申し伝えて頂ければよろしいですの」

婚后 「そ、そうですわね……わたくしとしたことが何を気にしているのやら」

海原 「ここが自宅なんですから、そう気負うこともありませんよ」

婚后 「これではどちらが実家か分かりませんわね」クスクス

絹旗 「……」

絹旗 (好きなときに帰ってくる、ですか……)

絹旗 (そうですよね、何も帰ってこれない訳でもないですし)

絹旗 (超ちょっと気にしすぎていましたか)

番外個体 「しっかし卒業かー。滝壺さんと淡希も卒業だよね?」

滝壺 「うん、卒業」フンス

淡希 「あまり実感ないけどね」

浜面 「こりゃパーッと祝ってやらないといかんな!」

白井 「そうですわね、おめでたいことなのですし」

浜面 「ついでに、絹旗の復学祝いも兼ねてやるか」

海原 「おお、絹旗さんは学校に戻られるのですか」

絹旗 「そんな卒業と同列にするほどめでたくないですよ」

結標 「まあまあ、別にいいじゃない。あの浜面くんがここまで言ってるんだし」

浜面 「いや、どの浜面くんだよ」

番外個体 「ねーねー、この雑誌のお店に浜面さんの奢りでどうかな?」

白井 「あら、焼肉ですの? こういうときぐらいはいいかもしれませんわね」

浜面 「…………おい待て。なんだこの上カルビ2500円って」

婚后 「あら、お手頃ですわね」

浜面 「どこが!?」

結標 「へー、こういう霜降りで真っ白なお肉も食べてみたいわね」

番外個体 「きっと口に入れた瞬間に溶けてなくなっちゃうんだろうなぁ」

浜面 「赤身のほうが食べ応えあっていいと思うの、俺」

絹旗 「超パーッとやるんじゃないんですか?」

海原 「言いだしっぺの法則って知ってます?」

浜面 「なんなのお前ら! 俺いじめて楽しい!?」

滝壺 「大丈夫、いつものはまづら」

浜面 「orz」



~同日深夜 きぬはた荘 番外個体個室~


番外個体 「そういえばさ」

結標 「うん?」

番外個体 「今日、滝壺さんとどこ行ってたの?」

結標 「……夕飯の買い物」

番外個体 「それだけ?」

結標 「んー……貴女になら話してもいっか」

番外個体 「そんな大事なことなの?」

結標 「そうでもないんだけどね。正式な話じゃないから、おおっぴらにしないだけ」

番外個体 「ふーん」

結標 「あまり言い触らさないでよ、恥ずかしいから」

番外個体 「内容による」

結標 「何それ……まあ、隠すような話でもないんだけどさ」

番外個体 「いいからいいから。ほら、語っておくれ」

結標 「式場の予約と下見」

番外個体 「」

結標 「嘘よ」クスクス

番外個体 「驚かさないでよ!」

結標 「じゃ本題ね。今日、貴女の店で話してるときに分かったんだけど」

番外個体 「うん」

結標 「私と滝壺さんって、目指すところが似てたのよね」

番外個体 「目指すところ?」

結標 「去年のクリスマス、施設に行ったの覚えてる?」

番外個体 「そんなこともあったねぇ」

結標 「あれが一つのきっかけでね……保育士、目指してみようと思って」

番外個体 「……やめてよ。インタビューが来たとき、どう答えればいいの?」

結標 「?」

番外個体 「"信じられません……"とか? "嘘だ! 淡希が初犯だなんて!"とか」

結標 「貴女は人をなんだと思ってるのよ!!」グイグイ

番外個体 「え、ちょ、待っt痛い痛い痛い!」



番外個体 「あー、痛かった。4の字固めはキツイってのよ……」

結標 「貴女も懲りないわね。余計なこと言って痛めつけられるの何回目よ」

番外個体 「こんなパターンになるの淡希だけだってば」

結標 「私が暴力女って呼ばれたら貴女のせいだからね」

番外個体 「だったら自重してよ!……で、滝壺さんも保育士志望なの?」

結標 「ちょっと違うかな。教職なのは同じだけど」

番外個体 「じゃ何?」

結標 「能力開発の教官らしいわよ」

番外個体 「へー、らしいんだからしくないんだか」

結標 「滝壺さん、能力開発にはいい思い出ないらしくて。他の人にそんな気持ちになってほしくないんだって」

番外個体 「なるほどね。……結局、どこ行ってたの?」

結標 「大学の資料もらいに行ってたのよ。来年受けようと思って」

番外個体 「あー、そういうことか。今からじゃ準備する時間が足りないってのは」

結標 「決めたときには受験シーズンなんて終わってたのよ」

番外個体 「じゃ浪人?」

結標 「そうなっちゃうわね。今更気にならないけどさ」

番外個体 「気にならないって……そっか、歳ごまかしてるんだ」

結標 「そんなワケないでしょ!」



~3月上旬 第7学区 隠れ家的喫茶店~


番外個体 「なんか今日は街中の雰囲気も違いますよね」

マスター 「卒業式だからであろう。外部からの客人も多いのである」


<カランカラン♪


番外個体 「いらっしゃいませー、あれ?」

美鈴 「やっほー、久しぶりねー♪」

番外個体 「美鈴さん? なんで?」

美鈴 「可愛い可愛い娘の卒業式だもの。で、ついでにこっちにも顔出しとこうと思って」

番外個体 (あー、そっか。お姉様も卒業か)

マスター 「おや、奥方。久しいであるな」

美鈴 「マスターさんも相変わらずシッブイわねー。あ、アイスティーくださいな」

マスター 「了解した」

美鈴 「今日はちっちゃい方の真琴ちゃんはいないんだ?」キョロキョロ

番外個体 「ちっちゃい方……あー、あの子は来てないです」

美鈴 「あの子ももしかしたら小学校卒業かな? って思ってたんだけど」

番外個体 (そもそも学校に通ってないよ)

美鈴 「来てないのかー、顔見たかったんだけどな」

番外個体 「まあ、またその内にでも」

マスター 「ご息女のところに行かなくてよいのであるか」コトッ

美鈴 「ええ、まだちょっと早いので」

番外個体 「にしてもそっか、卒業式だからスーツなんですね」

美鈴 「ホントはもっとお洒落したかったんだけど、主役より目立つワケにいかないじゃない?」

番外個体 「まあ、たしかに」

番外個体 (ただのパンツスーツでここまでオーラ出せるのもすごいけどね)

美鈴 「にしても、美琴ちゃんも高校生か。早いなー」

番外個体 (早い、か……もし私に母親がいたら、早いと感じる暇もなかったのかな)

美鈴 「ちょっとー、何ボーッとしてんのよ」

番外個体 「え? あ、なんでもないんです」

 :
 :
 :

美鈴 「じゃ、そろそろ行くわね。こちそうさま」チャリチャリ

番外個体 「毎度どうもー」

美鈴 「またその内、買い物にでも行きましょうねー」ガシッ

番外個体 「はい、ぜひ。美鈴さんに選んでもらうと色々と参考になるし」

美鈴 「素材はいいからねー」

番外個体 「美鈴さんには負けます」

美鈴 「またこいつときたらー。それじゃ、今日は思いっきり楽しんでくるわね」

番外個体 「……私からは一つ、羽目をはずさないように」

美鈴 「?」

番外個体 「その、お酒とか」

美鈴 「大丈夫よー。じゃ、またね」ケラケラ


<カランカラン♪


番外個体 「……大丈夫かな」



~その頃 第7学区 学舎の園~


婚后 「とうとう、この日が来てしまいましたのね……」

白井 「あらあら、今日の主役が浮かない顔をしていては在校生も浮かばれませんの」

絹旗 「まあ、色々と超感慨深いのも分かります」


<お嬢様。


執事 「いよいよ巣立ちの日、祝着至極に存じまする」カツッ

白井 「あら、執事さん。お久しぶりですの。去年の夏以来ですわね」

絹旗 (やっぱり超カッコイイです)

執事 「白井様に絹旗様も、ご壮健なようでなによりです」ペコリ

絹旗 (名前覚えててくれました!)ピャー

婚后 「今日はご苦労でしたわね」

執事 「とんでもないことでございます。いやはや、しかし……」

婚后 「なんですか?」

執事 「歳を取ると、時の流れが早く感じるものでございますな。
    ついぞこの間まで赤子だったお嬢様が、人生の節目を迎えるとは」

婚后 「貴方からすれば、わたくしはいつまでたっても子供なのでしょうね」

執事 「成長を見守る親の気分を味合わせて頂いたことは感謝しておりますぞ」

絹旗 (私たち、超空気です)ヒソヒソ

白井 (今日ばっかりは仕方ございませんの)ヒソヒソ

婚后 「学園都市に来る前。多忙な両親に代わり、いつもわたくしを傍で見守ってくれたことには感謝してます」

執事 「務めでございます故」

婚后 「……これを」

執事 「こちらは?」

婚后 「感謝の印、ですわ」

執事 「……ご立派になられましたな」

婚后 「まだまだ若輩ですわよ。貴方にも迷惑を掛けるのですから、長生きしてもらいませんと」クスクス

執事 「これ以上、この老いぼれの寿命を縮めないで頂きたいものです」

婚后 「ふふ、お戯れですわね」

執事 「お嬢様には適いませんな……さて、そろそろ時間でございます」

婚后 「ええ。それでは、そろそろ向かいますわね」

執事 「お気をつけて」ペコリ

婚后 「申し訳ございません。お待たせしてしまいまして」

絹旗 「いや、とても入り込める空気ではありませんでしたし」

白井 「執事さんには何をお渡しに?」

婚后 「これまでの感謝を込めた、ちょっとした贈り物ですわよ」

絹旗 「? 婚后さんがもらう側じゃないですか? お祝いとかで」

婚后 「今日という節目の日に、お世話になった人に贈り物をするのもいいじゃないですか」

白井 「確かに、ここまで育ててくださった親や教師に感謝する日でもございますの」

絹旗 「そういうものですか」

婚后 「そういうものですわよ。さ、参りましょう」

白井 「そろそろ参りませんと、時間もおしてますの」

絹旗 「あ、執事さんにはまた会えますかね?」

婚后 「え? ええ、おそらくは」

絹旗 (写真を一緒に撮ってもらいましょう!)

白井 「?」

婚后 「?」



~第18学区 霧ヶ丘女学院~


浜面 「あー、なんか慣れねぇなぁ、こういう格好も」ガシガシ

海原 「よくお似合いですよ。ホストみたいです」

浜面 「お前に言われたかねぇや」

結標 「……ねえ、この2人が来て大丈夫なの?」

滝壺 「大丈夫だよ。卒業生関係者ってことになってるから」

結標 「まあ、ならいいんだけど……」

滝壺 「誰も来てくれないのもなんか寂しいし」

海原 「お役に立てたようでなによりです」

浜面 「デジカメもミサワの姐さんに借りてきたからな! 準備もバッチリだぜ!」

海原 「ちなみに動画は僕が担当します」●REC

滝壺 「2人ともお願いね」

結標 「そこまでしなくても」

浜面 「いいじゃないの、今日ぐらいは」

海原 「高校の卒業式なんて、一生に一回あるかないかですよ」

結標 「いや、一回でしょ普通は」

滝壺 「人によっては2~3回あるかもね」

浜面 「そうなったら壮絶な人生を歩んでるんだろうな」

結標 「ま、いいけど……にしても、何も感慨深いものがないわね」

海原 「おや、クールですね」

結標 「貴方知ってるでしょ。私、事情があって2年生の途中からロクに通ってないんだから」

滝壺 「大丈夫だよ、私も似たようなものだから」

浜面 「そういうヤツほど、本番になったら泣いちゃうんだぜ?」

海原 「結標さんの涙ですか……それほどレアでも」

結標 「」バシッ

海原 「いてっ」

結標 「ほらもう行きなさい! 貴方達は来賓席だからあっち!」

浜面 「はいはい、んじゃ後でな」

滝壺 「ここで集合だからね」


<なあ、なんで怒ってたんだ?
<さあ?


結標 「……ったく」

滝壺 「」モゾモゾ

結標 「? 滝壺さん?」

滝壺 「制服縮んだのかな。ちょっとキツイ」

結標 「あら、奇遇ね。私もちょっとパツパツなのよね」

滝壺 「むすじめも?」

結標 「そ、ちょっとだけキツくて」

滝壺 「私も胸が少し」 結標 「ウエストがちょっと」

結標 「……」

滝壺 「……」

結標 「聞かなかったことにして」

滝壺 「大丈夫だよ、とりあえず応援しておく」

結標 「」グス

滝壺 「あ、泣いた」



~常盤台中学 卒業式の様子~


絹旗 (なんだって偉い人の話はどこでも長いんでしょうか……)

白井 (どこもそんなもんですの)

絹旗 (超ヒマなんですが)

白井 (今しばらくご辛抱くださいまし)

絹旗 (お、ようやく卒業証書授与ですよ)

白井 「あ、お姉様ですの!」ガタッ

絹旗 (ちょっ!)

白井 「」ハッ

絹旗 (座ってくださいよ! 周囲からの注目を超浴びちゃってるじゃないですか!)

白井 (し、失礼いたしましたの……)



~霧ヶ丘女学院 卒業式の様子~


結標 「」スピー

滝壺 「」スピー



~同日午後 第7学区 常盤台中学~


白井 「お゛ね゛え゛さ゛ま゛ぁ゛~~、黒子を置いていかないでくだざいまし~」ビエー

美琴 「ち、ちょっと、落ち着きなさいよ!」

絹旗 「白井さんはやっぱりこうなっちゃうんですね」

婚后 「式典の間は耐えておられたようですし、まあ、今ぐらいは……」


<あ、婚后さん!


絹旗 (あ、あのお二人はたしか婚后さんの子分の)

湾内 「ご卒業おめでとうございます」

泡浮 「婚后さんがいなくなってしまわれると、寂しいですが……」ウルウル

婚后 「あらあら……そんなことでは困りますわ」

絹旗 (また私が入る余地がなくなりました)

婚后 「お二人とも」

湾内泡浮 「「は、はいっ」」

婚后 「来年度からは貴女達が最高学年なのですから、しっかり後輩を導いてくださいな」

湾内泡浮 「「……」」

婚后 「わたくしからの、先輩としての最後のお願いです」ニコニコ

絹旗 (そんな超死亡フラグみたいなこと言わなくても!)

湾内 「……わ、わかっております。わかっておりますが……」

泡浮 「せめて、今だけは……」グスグス

婚后 「…………本当に手のかかる後輩ですわね」ウルウル

美琴 「ほらアンタもあの二人を見習いなさいよ!」

白井 「お゛ね゛え゛さ゛ま゛ぁ゛~~!」ビエーン

絹旗 (……コレも白井さんなりの想いの伝え方なんでしょうね)

絹旗 「……」スチャ

絹旗 「超集合ー! せっかくみんないるから写真とりますよ!」

美琴 「ほら、写真撮るって。そんなみっともない顔で写るつもり?」

白井 「う゛~~」ゴシゴシ

婚后 「貴女達もですわよ。もう泣き止みなさい」

湾内 「も、申し訳ございません。みっともないところを……」

泡浮 「お恥ずかしい限りです……」

絹旗 「はい、いいですか?」

美琴 「なにこれ? 骨董品?」

婚后 「ずいぶんとレトロなカメラですわね」

絹旗 「撮れるから超いいんですよ! はい、3!」

白井 「ちょ、ちょっと待ってください!」ゴシゴシ

絹旗 「2!」

湾内 「あ、あの、わたくしの顔、変ではありませんか?」オロオロ

泡浮 「だ、大丈夫です!」ワタワタ

絹旗 「1!」

婚后 「思えば、貴女とも色々ございましたわね」

美琴 「お互いにね」


  カシャッ



~その頃 第18学区 霧ヶ丘女学院~


滝壺 「終わった終わった」

結標 「お腹空いたし、お昼食べにいかない?」

滝壺 「ウエスト」

結標 「海原! 野菜が美味しいお店つれてって!」

浜面 「……なあ、卒業式ってなぁ、こうも淡々としてるもんなのか?」

海原 「人によるのではないんですかね」

浜面 「なんか想像してたのと違ぇなあ」ガシガシ

海原 「浜面さんは、卒業式というとどんな感じでした?」

浜面 「小学校の頃なんざ、みんなして泣きまくってたぜ。それこそ、普段はワルぶってるヤツまでさ」

海原 「ワルぶってるやつってのは、浜面さんですか」

浜面 「なんでだよ。俺だって昔はいい子だったんだぜ?」

海原 「」ニコニコ

浜面 「なんか言えよな!?」

滝壺 「二人とも、置いてくよ」

結標 「早く行きましょうよ」

浜面 「あまり食いすぎるなよ。夜は夜で準備してるんだからな」

海原 「卒業祝い、ですね」

滝壺 「焼肉だっけ」

浜面 「小市民の俺にあの店は無理だ」

結標 「あら。何か準備してくれてるの?」

浜面 「ごくごくささやかなな卒業祝いだぜ」

滝壺 「何してくれるの?」

海原 「今は秘密ということで」

結標 「せいぜい楽しみにさせてもらうわ」

浜面 「とりあえず昼メシといくか」

海原 「野菜が美味しい店でしたよね。ならばいい店を知っています」

結標 「もしかして、あの店? あそこいいのよね、行きましょ」



~同日夕方 第7学区 隠れ家的喫茶店~


<カランカラン♪


番外個体 「まいどどうもー」

マスター 「ようやく落ち着いたであるな」

番外個体 「こんなに客が来たのは大覇星祭以来ですね」

マスター 「大きいイベントがあればこんなものである」

番外個体 「あの、マスター。今日は……」

マスター 「うむ、早めに上がる日であったな」

番外個体 「ええと、そういうことなので」

マスター 「今日は開店前から来てもらったであるからな。問題ないのである」※開店=7:30

番外個体 「後はお願いします」

マスター 「ご苦労であった」

 :
 :
 :

番外個体 「うは、もうこんな時間。ヤバイヤバイ」

番外個体 「さっさと受け取って、帰って隠さないと」

番外個体 「よし、急ごう」



~???~


番外個体 「すいませーん、予約してた者でーす」

店員 「はい、ご用意してありますよ。お待ちください」

番外個体 (あとは持って帰って……)

店員 「はい、こちらになりますねー」ドン

番外個体 「あれ……大きい?」

店員 「在庫が余ってたのでサービスさせて頂きました♪」

番外個体 「は、はあ……どうも」

番外個体 「えー、コレどうやって持って帰るんだよ……」

番外個体 「一人じゃ厳しいなぁ」

番外個体 「……いないよりマシだよね」カチカチ

番外個体 「あ、もしもし?」



~15分後~


一方通行 「……でェ? 俺はこれ運ぶためにわざわざ呼び出されましたってかァ?」

番外個体 「よく分かってんじゃん」

一方通行 「オイ、俺はオマエのなンなンだ?」

番外個体 「だ~~い好きな彼氏です☆」

一方通行 「うっわ、ウゼェ」

番外個体 「報酬は先払いしておくから、手伝ってよ」つ【回数券】

一方通行 「ンだこれ……オマエの店の回数券か」

番外個体 「うん」

一方通行 「チッ、しょォがねェ……」



~第7学区 某所~


一方通行 「つうかよォ、タクシーとか使えばいいじゃねェか」

番外個体 「捕まらなかったんだよ、今日は人も多いから」

一方通行 「あー、卒業式とかテレビで言ってたアレか。俺にゃ縁がねェな」

番外個体 「……今日、ちょっと思ったんだけどさ」

一方通行 「あァ?」

番外個体 「最終信号って、学校に通わせるつもりある?」

一方通行 「……本人が望めばな」

番外個体 「話したの?」

一方通行 「まだだ」

番外個体 「通うなら色々必要なものがあるよ? それこそ……」

一方通行 「分かってらァ……アイツに必要なものがあれば、なんだって揃えてやる」

番外個体 「お、今の台詞はあそこの先生のパクリ?」

一方通行 「あんなナース好きと一緒にすンじゃねェ」

番外個体 「んー、でもほら。私がID持ってるのも先生のお陰だし」

一方通行 「まァ……アイツの手も借りることになるだろォな」

番外個体 「私から話してあげよっか?」

一方通行 「……いや、いい。必要になったら俺から話す」

番外個体 「ふーん……ならいいけど」

一方通行 「で? まだ着かねェのか? 結構歩いてンぞ」

番外個体 「見えてきたよ、ほら」

一方通行 「……オイ、あんな廃屋に住んでンのか」

番外個体 「あ、そっか。あなたが来るのは初めてか」

一方通行 「いっつもオマエの方から押しかけてくるからな」

番外個体 「まだ誰も帰ってないみたいだし、寄ってく? 水ぐらいは出すよ」

一方通行 「水かよ……まァいい。休ませてくれ」

番外個体 「ちなみに廃屋じゃないからね。中はそこそこしっかりしてるから」

一方通行 「だといいンですけどねェ」



~きぬはた荘 リビング~


一方通行 「へェ……古臭いけど、悪くねェな」

番外個体 「作りが古いのは否定しないけどさ」カチャカチャ

一方通行 「オマエさっき、まだ誰も帰ってないって言ってたが……」

番外個体 「あー、うん。全部で……8人かな? 共同利用してるから」

一方通行 「……どンな連中だ」

番外個体 「……なに? 心配してくれてるの?」

一方通行 「そォじゃねェけどな……」

番外個体 「平気だって、変わり者はいても悪人はいないから」

一方通行 「……なンかあったらすぐに言え。東西南北に引き裂いてやる」

番外個体 「東西南北って……別にそこまでしなくても。自分の身ぐらいは自分で守れるよ」

一方通行 「だけどなァ」

番外個体 「もー、いつからそんな心配性になっちゃったのかな。らしくもない」

一方通行 「あァ? オマエ、人が……」

番外個体 「大体あなただって、このチョーカーがなければ生まれたての一方通行状態」

一方通行 「オイ、バカ! 人の生命線に触ンじゃねェ!」グイ

番外個体 「え、ちょっと押さないで……!」グラッ

一方通行 「コラ、掴むな……!」


  バターン


番外個体 「いったー……」

一方通行 「オ、オイ、大丈夫か?」


<ギィィィ バタン
<ただいまー


番外個体 「やばっ、誰か帰ってきた! 早くどいてよ!」

一方通行 「待て、杖、杖どこいった!?」


<真琴? 帰ってるの?(ガチャ)


結標 「……」

滝壺 「……」

番外通行 「「……」」←マウントポジション

結標 「そういうのは、自分の部屋でやってもらえない?」

滝壺 「うさぎさんは性欲が強いから」

一方通行 「違ェ!! 勘違いもいい加減にしろォ!!」

番外個体 「いいからどけぇぇ!!」ゲシッ

一方通行 「へぶっ」ゴロゴロ

番外個体 「なんでこんな……用は済んだから帰れ!」ウガー

一方通行 「ああ、はいはい、お暇させて頂きますよォ!」ムキー

番外個体 「また今度押しかけてやるからね! 首洗って待ってろ!」ウガー

一方通行 「せいぜい待っててやらァ! 首狩れるもンならやってみやがれェ!」ムキー


<バタン


結標 「……」

滝壺 「……」

番外個体 「」ゼーゼー

結標 「仲いいのね、貴女たち」

滝壺 「私たち、入り込む隙もなかったよね」

番外個体 「……いいからさっさと着替えてきなよ」プイ

滝壺 「そうだね、制服も疲れちゃうし」

結標 「後で何があったか聞かせてよね」

番外個体 「なんもないから!」


<バタン


番外個体 「…………うあああああ、もおおおおお///」バタバタ


<ガチャ


浜面 「あの二人は部屋に戻ったか?」

海原 「ええ、もう大丈夫そうですね」

浜面 「で? ミサワの姐さんはどうしたんだ?」

番外個体 「なんでもない。それよりそっちの準備は?」

海原 「大丈夫です、問題はありません」

浜面 「今日は俺達が夕食を馳走してやるぜ!」フンス

番外個体 「任せて大丈夫なの?」

浜面 「漢の料理ってのを見せ付けてやるよ!」

番外個体 「もうなんかダメなような気がしてきた」

海原 「及ばずながら、僕もおりますので。ミサワさんの方の首尾は?」

番外個体 「うん、大丈夫。私の部屋に置いてあるから見にいってみようか」

浜面 「入って大丈夫なのか?」

海原 「同じ屋根の下とはいえ、異性の部屋というと戸惑ってしまいますね」

番外個体 「二人してお相手の部屋に通ってるクセに、今更何言ってるんだか」

浜面 「それはそれ」キリッ

海原 「気分の問題ですよ」



~きぬはた荘 番外個体個室~


<ガチャ


浜面 「なんか緊張するな」

番外個体 「別に見られて困るものもな……」

ユリコ 「(・ω・)」モシャモシャ

番外個体 「ちょっとぉ~~!?」

海原 「これはこれは……」

浜面 「こらユリコ、これ食いもんじゃねぇぞ」

ユリコ 「三三三( ・ω・)」ドタタタ

番外個体 「逃げたぞ! 追えーー!」

海原浜面 「「は、はいっ」」


<ユリコさん、お待ちください!
<おい、ユリコ!大人しくいってぇぇぇぇ!?
<シャァァァ

 :
 :
 :

番外個体 「で? 逃がしたと?」

海原 「部屋から顔を出した結標さんに五月蝿いと怒られてしまいまして」

浜面 「そもそも捕まえてどうにかなるもんでもねえし」

番外個体 「ま、そうだけどさ……あー、もう、どうしよコレ」

浜面 「せっかく卒業生に進呈しようと用意した花束なのにな」

海原 「損害はどれぐらいなんですか?」

番外個体 「んー……よく見たら花一輪食べられただけだね」

浜面 「つっても、差がでちゃ不平等だよな」

海原 「そうですね、できれば不公平はなくしたいところですが」

番外個体 「……」ブチッ ブチッ

海原浜面 「「」」

番外個体 「はい、これで平等♪」

海原 「なるほど、押してダメなら引いてみろということですね」

浜面 (無表情で花をちぎるミサワの姐さん超怖ぇ……)



~その頃 第7学区 学舎の園~


絹旗 「超長居してしまいましたね」

婚后 「みんなで昼食もいただきましたし、その他もろもろもございましたから」

白井 「なんだかんだで大賑わいでしたの」

絹旗 「執事さんは、客として入った店でなぜ給仕をしていたんでしょうか」

婚后 「職業病かと……ええ、わたくしからも言っておきますので」

白井 「店長さんが"店員教育をぜひ"と言っていたのが印象的でしたわね」

絹旗 「やっぱりプロは超違いますよね」

婚后 「まあ、あの仕事ばかり何十年とやってる人ですから」

絹旗 「執事さんもそうですけど、普段見ない人も結構いましたね」

白井 「久しぶりにお姉様のお母様も見られましたし、当分は生きていけますの」フンス

婚后 「あそこまでそっくりだとは思いませんでしたわね」

白井 「姉妹といっても通用しますの」

絹旗 (最初綺麗なミサワさんかと思いました)

絹旗 「さて、超遅くなる前に帰りましょうか」

婚后 「……」

白井 「婚后さん?」

婚后 「このゲートをくぐるのも……生徒として、これで本当に最後ですのね」

絹旗 「ここをくぐれば、婚后さんの新たな伝説が始まるというワケですね」

白井 「そうですの、終わりではなく始まりなのですから」

婚后 「伝説ですか? 今度はどのような伝説を残せば良いのやら」クスクス

絹旗 「行きましょうよ。踏みとどまってても始まりませんよ」

婚后 「そうですわね。遅くなっても家の人が心配するでしょうし」

白井 「最終下校時刻を過ぎれば、ここを通るのもいろいろ面倒ですの。そうなると感動も薄まりますの」

絹旗 「さあさあ、超輝かしい一歩を踏み出してくださいよ」

婚后 「ふふ、ではとくと見届けておいてくださいな」


 ピンポン


婚后 (本当に、お世話になりました)



~きぬはた荘 キッチン~


浜面 「おし、始めるか!

海原 「今日用意した食材はこちらです」


  >゚))))彡


浜面 「こりゃなんていう魚だ?」

海原 「スズキです」

浜面 「なんでまたスズキさんなんだ? 縁起物つったら鯛とかだろ」

海原 「鯛でもよかったですね。でも、スズキも普通にアリかと」

浜面 「そりゃまたどうして」

海原 「スズキは出世魚ではないですか。鯛ほどではないにしろ、縁起は良いと思いますよ」

浜面 「なるほど、出世魚か! 普通にアリだな!」

海原 「さて、このスズキをですね」

浜面 「どうすんだ?」

海原 「それを考えるのは浜面さんですよ」

浜面 「は、え? 俺?」

海原 「はい」

浜面 「考えろって言われてもな……このまま丸ごと塩で焼くぐらいしか思いつかねえぞ」

海原 「豪快で良いですね」

浜面 「そうなのか?」

海原 「漢の料理を見せ付けると豪語していたではないですか」

浜面 「そ、そんなことも言ったっけな」

海原 「塩だけでもいいですか、ハーブを添えるとよりベターかもしれません」

浜面 「ハーブか……そうだ、ハーブだな」ゴソゴソ

海原 「?」

浜面 「あったあった。滝壺がお茶用に買ってたドクダミの余りがあったぜ!」

海原 「……それはハーブではありませんよ」

浜面 「え? 違うの?」

海原 「たしかみなさん使った余りが……」ゴソゴソ

浜面 「ハーブなんてハイカラなもん、俺にゃ分からねぇぞ」

海原 「ありましたありました、これを使いましょう」

浜面 「葉っぱにしか見えねぇ」

海原 「バジルとローズマリーですよ。これで丸ごとハーブ焼きといきましょう」

浜面 「おし、いっちょやるか!」

海原 「僕は添え物のサラダとスープを準備します」

浜面 「……海原、ちょっと待て」

海原 「?」

浜面 「このスズキさん、まだ内蔵入ってるぞ」

海原 「そりゃ魚ですから」

浜面 「これ、どうやってとるんだ?」

海原 「口で説明するよりは見て頂いたほうが早いですね」チャキッ

浜面 「よっ、大先生」

海原 「はっ」


  ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ スパン


海原 「はい、これで内蔵が取り出せると」

浜面 「わかんねぇよ」

 :
 :
 :

浜面 「」ゴリゴリゴリゴリ

海原 「おお、見事な手付きですね」

浜面 「鱗とるのって楽しいな」

海原 「あとは塩と葉っぱ乗せて焼くだけですか」

浜面 「これどうやって焼くんだ? BBQセットでも使うのか?」

海原 「オーブンで」

浜面 「これ、魚も焼けるのか。お前、無骨な見た目に似合わず器用だな」


 【オーブン】<バタン


海原 「あとは待つだけですね」


<ギィィィ バタン
<戻りましたの
<ただいま戻りました
<超ただいまです


浜面 「おっ、お嬢たちのご帰還か」



~きぬはた荘 リビング~


絹旗 「はー、帰ってきたら超ドッと疲れましたね」ポスン

白井 「慣れないことばかりでしたし、仕方ございませんの」

婚后 「」ホワーン

絹旗 「婚后さんはまだ余韻に浸ってるんですか」

白井 「今日ぐらいは大目に見てあげてくださいまし」

絹旗 「とりあえず着替えてきましょうよ。制服は超肩が凝ります」

白井 「あの、ここにいると忘れがちなのですが、一応常盤台ではプライベートでも
    制服着用が義務付けられていてですね」

絹旗 「あ、だから白井さんと婚后さんは普段から制服だったんですか?」

白井 「知らなかったんですか!?」

絹旗 「ええまあ」

白井 「4月から復帰なのですから、しっかりしてくださいまし……」ハァ

絹旗 (復帰、ですか……)

絹旗 「でも婚后さんは別に私服でもいいんじゃないんですか?」

白井 「まあ……卒業されましたし」

婚后 「そういえば、制服はどうしましょう」

絹旗 (あ、戻った)

白井 「思い出としてしまっておけばよろしいですの」

絹旗 「もしくは超高く買ってくれる人がいるかもしれません」

白井 「ジャッジメントですの」

絹旗 「いやいやいや、私は売りも買いもしませんよ!?」

婚后 「わたくしが着古した制服など、どこのどなたが買い取るというのですか」

絹旗 「そりゃその道のhモゴッ」

白井 「もう喋らないでくださいまし」

婚后 「?」

白井 「あ、なんでもないですの」

絹旗 「」ジタバタ

 :
 :
 :

絹旗 「うん、やっぱりいつもの服装が楽です」

ユリコ 「( -ω-)=3」

白井 「制服も慣れてしまえばなんてこともございませんの」

婚后 「制服、礼服、外出着、部屋着、寝間着と大活躍でしたわね」

絹旗 「最後おかしくないですか」

白井 「戦闘服と特攻服も追加ですの」

絹旗 「特攻服!?」

婚后 「白井さんは風紀委員ですし」

白井 「ええ、風紀委員ですので」

絹旗 (いや、でも特攻服って……)

白井 「外出着といえば、婚后さんは一度ご実家に戻られるのでは?」

婚后 「ええ。ですので、来週3日ほど家を空けますわね」

絹旗 「お土産を超お願いします」

婚后 「忘れなければ用意しておきますわ」

白井 「わたくしたちも、荷物の整理をしておきませんと」

絹旗 「う……」

白井 「まあ、全財産持っていく必要はないにしろ、最低限のものは」

絹旗 「わ、分かってますよ」

婚后 「そういえば、寮に入ることはみなさんに伝えましたか?」

絹旗 「……まだです」

白井 「話しづらいようであれば、わたくしから」

絹旗 「いいです! 超自分で話しますから!」

白井 「なら良いのですが……時間が経てば経つほど話し辛くなりますの」

絹旗 「分かってます……」

絹旗 (超、辛いです、けど……)

絹旗 (今更覆せません……自分で決めたことですから)


<ガチャ


海原 「そろそろ夕食にしませんか?」



~きぬはた荘 食堂スペース~


白井 「まあ、魚丸ごと一匹焼いたんですの?」

浜面 「俺の自信作だぜ!」フンス

絹旗 「浜面らしい超大雑把な料理ですね」

婚后 「あら、殿方らしく豪快な料理ではございませんか」

浜面 「ただの魚じゃぇねえ。スズキだぜ、出世魚だぜ」

白井 「縁起物ですのね」

婚后 「もしや、滝壺さんのために?」

絹旗 「そういえば、滝壺さんも今日卒業でしたね。浜面にしてはやるじゃないですか」

浜面 「いやいや、お嬢のためでもあるぞ?」

海原 「今日の料理は、卒業を迎えた皆さんへの捧げ物ですよ」ニコニコ

婚后 「まあ、ここまでして頂けるなんて……」


<ガチャ


滝壺 「いい匂い」フンフン

結標 「あれ? 一人足りなくない?」

絹旗 「ミサワさんがいませんね」

結標 「また寝てるのかしら……ちょっと呼んでくるわね」

海原 「あ、いいですよ。すぐいらっしゃいます」

結標 「?」

浜面 「まあまあ、座れ座れ」

海原 「さて、そろそろですかね?」

白井 「まだなにか企んでますの?」


<ガチャ


番外個体 「お待たせー」

婚后 「ミ、ミサワさん、それは……?」

滝壺 「花束、だよね」

番外個体 「んーと、とりあえず浜面さんと海原さんね」

海原 「はい」

浜面 「なんか緊張するな」

結標 「いったい何を始めようっていうのよ」

海原 「結標さん」キリッ

結標 「は、はいっ」

海原 「これはご卒業のお祝いです」

結標 「へ? えっ?」

浜面 「えーと、その、なんだ……お、おめでとさん」

滝壺 「はまづら……ありがとね」

番外個体 「で、もう一つは……白井さんでいいや」

白井 「でいいや、ってヒドイですの!」

絹旗 「白井さんに、ではないですよね? 渡す相手は決まってますよね」

白井 「分かってますの!……はい、ご卒業おめでとうございますの」

婚后 「ありがとうございます……来年から、後輩たちを頼みますわね」

白井 「い、言われなくても分かっておりますの」プイッ

絹旗 「あ、超照れてます」

白井 「照れてません!」

番外個体 「じゃ、渡すものも渡したし、夕食にしよ」

絹旗 「はーまーづーらー、取り分けてくださいよ」

浜面 「悪いがお前は後だ。今日の主役は別だからな」

絹旗 「ぐぬぬ……わ、私だって超復学するんですから!」

浜面 「じゃお前は4番目に取り分けてやろう」

絹旗 「くっ、超仕方ないですね……」

結標 「わざわざここまでしてもらうと、かえって申し訳ないわね」

滝壺 「これ本物の花だ」フンフン

番外個体 「最初はね、もっと大きいのにしようって話もあったんだ」

浜面 「あの、開店したパチンコ屋の前に置いてあるようなヤツな」

海原 「予算の都合で見送ったんですよね」

白井 「あんな大きい物をもらっても困るでしょうに」

婚后 「貰う側としては、これぐらいが一番嬉しいかもしれませんわね」

浜面 「さあ、適度に分けたぜ。食った食った!」

番外個体 「あ、白身魚にはこのワインが合うらしいk」

結標 「没収」ヒュ

番外個体 「……淡希はアルコールに嫌な思い出でもあるの?」

結標 「貴女にだけは絶対に飲ませない」

海原 「まあ、色々あるんですよ」

番外個体 「?」

絹旗 「……これ、浜面が作ったんですよね」

浜面 「その通りでございます」

絹旗 「……」

滝壺 「おいしいよ」モシャモシャ

白井 「あっさりしていてよろしいですの」

婚后 「豪放な外見の割には、美味しいですわね」

浜面 「それ、褒めてんのか?」

絹旗 「お代わり」

浜面 「お、うまいってことか! そうだろうそうだろう」

絹旗 「ち、違いますよ! 浜面が取り分けた量が超少なかったんですよ!」

滝壺 「はまづら、そういうことにしておいてあげて」

浜面 「そうだな、そういうことにしておこう。さあ絹旗、たーんと食うがいい」

絹旗 「なんですかそれ! 超なんですかそれ!」

番外個体 「ねー、一口ぐらいなら」

結標 「ダメったらダメ!」

白井 「未成年の飲酒は禁止されておりますの」

番外個体 「えー、去年のクリスマスとか全員で酔いつぶれてたじゃん」

滝壺 「あ、こんごう。ゆりこが」

ユリコ 「(・ω・)」モシャモシャ

婚后 「こら、ユリコ! 白身魚とはいえ、ネコには濃いですわよ!」

海原 「ユリコさんもお気に召すほど上等な魚だったのでしょうか」

浜面 「いやいや、俺の味付けだろ」フンス

絹旗 「猫向けに作ってないくせに何言ってるんですか。あ、ダメですよ、ユリコ」

ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」

滝壺 「ゆりこは好き嫌いしないよね」

結標 「好き嫌いしなさすぎだと思うんだけど……」



~同日夜 きぬはた荘 絹旗個室~


絹旗 「うー……」

絹旗 「結局、超話せませんでした……」

絹旗 「ここから出なきゃならないって」

ユリコ 「」スピー

絹旗 「分かってるんですよ、いつでも帰ってこれるって」

絹旗 「……自覚してないだけで、超イヤなんでしょうか」

絹旗 「今の生活から離れることが」

絹旗 「でも、私は……」

ユリコ 「」ゴロン

絹旗 「決めたんです、いい加減踏み出さないといけないって」

絹旗 「」ゴシゴシ

絹旗 「超眠い頭で考えても結論はでませんね。今日はもう寝るとしましょう」

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