絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 > 5スレ目 > 03


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~1月中旬 とある夜 一方通行邸~


 差出人:ワースト
      <m-worst@comodo.ne.jp>
 件名:Re:Re:
 日付:20yy/m/d 21:16
 ───────────────
 そっか、じゃあ仕方ないね。
 また別の機会にってことで。


一方通行 「……」

一方通行 (また、断っちまったンだなァ……)

一方通行 (これで何回目だよ)

一方通行 (カウントダウンイベントに水族館に……)

一方通行 「やれやれだぜ……」ズズ...

一方通行 (声掛けてもらえるのは悪くねェが)

一方通行 (人間が多い場所じゃ、杖付いてる俺は足手まといにしかならねェ)

一方通行 (もっと静かな場所ならな……アイツはどっちかつうと派手好きだからなァ)

打ち止め 「」ミョンミョン

一方通行 「」ハァ

打ち止め 「なに溜息ついてるのー、ってミサカはミサカはあなたの背後から携帯をぶんどってみる!」バッ

一方通行 「あっ、おいコラ!」

打ち止め 「またお断りしたの!? ワーストが可哀想、ってミサカはミサカは同情を隠せない」

一方通行 「オマエには関係ねェ」

打ち止め 「関係あるもん! 姉妹だもん! ってミサカはミサカは正当性を主張してみる!」プンスコ

一方通行 「はいはい、そォでしたねェ、お姉ちゃン」

打ち止め 「……ワーストのこと、嫌いなの? ってミサカはミサカは確認してみる」

一方通行 「ンでそォなるンだ!」

打ち止め 「だってワーストのお誘い断ってばっかり、ってミサカはミサカは理由を述べてみる」

一方通行 「……」

打ち止め 「どうなの?」

一方通行 「嫌いだったとしたら、オマエはどうすンだよ」

打ち止め 「え……それは……」

一方通行 「心配するな、嫌いなヤツを家に泊めるほど寛容でもねェよ」ガシガシ

打ち止め 「はわわ、ってミサカはミサカは髪がグシャグシャになっちゃうー」

一方通行 (とは言ったものの……向こうが凹ンでるかもしれねェのも確かか)

一方通行 (どォすりゃいいンだ……)



~同じ頃 きぬはた荘 番外個体個室~


番外個体 「もうイヤぁ!」

結標 「?」

番外個体 「いつまでこんな微妙な距離を保ってるんだ!」

結標 「何の話よ」

番外個体 「ねえ、私の気持ちも一方通行なの?」ユサユサ

結標 「まずは落ち着きなさい」ピコッ

番外個体 「いたっ」

結標 「貴女が学園都市に来て10ヶ月ぐらい?」

番外個体 「そうだね……去年の3月半ばだったから」

結標 「で、ちょくちょく外泊してるけど、決定打に欠けるのよね」

番外個体 「決定打って?」

結標 「それは……ほら、そういうアレよ」

番外個体 「?」

結標 「まあ、あの漂白エノキだったら他の女に取られる心配はないんだろうけど」

番外個体 「なぐるぞ」

結標 「あら? やっぱり愛しの彼を貶されるのは我慢ならないのね?」クスクス

番外個体 「……」ジジジ

結標 「ほらほら、漏電してるわよ」

番外個体 「誰のせいだと」

結標 「そんなことより。貴女としては次のステップに進みたいのよね?」

番外個体 「どうなんだろ……最初は、傍に居られるだけでもいいと思ってたのに」

結標 「現状に満足できなくなってきてるんでしょ? そんなもんよ」

番外個体 「こうなったら、あの人のチョーカーに電気で干渉して」

結標 「見てる分には面白そうだけど、早まるのはやめておきなさい」

番外個体 「あーもー」ガシガシ

結標 「見てて焦れったいのよね。貴女達の関係ってさ」

番外個体 「それ言い出したら淡希だって海原さんと」

結標 「今は私の話はいいのよ」

番外個体 「な、なんでよ」

結標 「こっちの方が面白そうだもん」

番外個体 「」

番外個体 (あとでこっちのターンになったら弄りまわしてやる)

結標 「あれ? でも貴女がバイトしてる店にはちょくちょく来てるんじゃなかった?」

番外個体 「……店にはちょくちょく来てくれるけど、コーヒー目当てだろうね」

結標 「それはどうかしら?」

番外個体 「いや、コーヒー目当てだよ。ここのコーヒーは悪くねェ、って言ってたもん」

結標 「ふーん……つまり、貴女が淹れたコーヒーがお気に入りってことね」

番外個体 「」

結標 「だって飲み物は貴女の担当でしょ?」

番外個体 「そ、そうだけどさ、別に私が淹れたから特別って訳でも……ただのカフェイン中毒でしょ」

結標 「だったら缶コーヒーでもカフェイン錠剤でもいいじゃない」

番外個体 「むぐ……」

結標 「分かったでしょ? 少なくとも向こうは貴女を悪く思ってない。ならすべきことは一つよ」

番外個体 「なに」

結標 「思いの丈をぶつけなさい」

番外個体 「それってつまり、告白しろってこと?」

結標 「うん」

番外個体 「はあ……うすうす分かってたけど、そうしたほうがいいよね」

結標 「分かってるなら話は早いわね」

番外個体 「ええと、ま、え、か、ら……」カチカチカチカチ

結標 「はい、没収」フッ

番外個体 「あ、返せ!」

結標 「なにメールで済まそうとしてるのよ!」

番外個体 「……分かったよ。紙とペン貸して」

結標 「直接言いなさい!」

番外個体 「…………む、無理」

結標 「何を怖気付いてるの」

番外個体 「どういう風に言えばいいか分からないし……」

結標 「思ったまま言えばいいのよ」

番外個体 「そうかもしれないけど」

結標 「もー、貴女らしくないわね」

番外個体 「……淡希だったらなんて言うの?」

結標 「え?」

番外個体 「ほら、このウサギさんを海原さんか何かだと思って」

結標 「そ、そんな考えてないわよ」

番外個体 「考えるな、感じるんだ」

結標 「あ……」

番外個体 「思ったまま言えばいいんでしょ?」

結標 「え、えと……」

番外個体 「さあ!」

結標 「~っ」プルプル


 【携帯電話】<トーキヲカーケー アナターノ スーガタサーガシ イーキテキター♪


結標個体 「「」」ビクッ

番外個体 「……」

結標 「ほ、ほら。電話なってるわよ?」

番外個体 「……逃げんなよ」ピッ


<もしもし……うん、どうしたの?


結標 (助かった……?)

結標 (それにしても、あの着メロ)

結標 (あの後に続く歌詞って確か……)

結標 「……ま、そこまで考えてないわよね」

番外個体 「はいはい、それじゃね」ピッ

結標 「終わった?」

番外個体 「うん、ゴメンゴメン」

番外個体 「ええと、それで。淡希の告白の予行練習だったね」

結標 「なんでよ!」


<コンコン


番外個体 「? はい?」


<お風呂あとお二人だけですので。お湯抜いておいてくださいな。


結標 「わざわざゴメンね」

番外個体 「……はー、仕切り直し? 風呂入ってくるかな」

結標 (今度こそ助かった……?)



~同日夜 きぬはた荘 バスルーム~


結標 「で、結局どうするの?」チャプ

番外個体 「その前に。何当たり前のように一緒に入ってんの」

結標 「貴女出るの待ってたら遅くなるじゃない」

番外個体 「……何かしようとしたら放電s「するかボケ!」

結標 「別に一緒に入るのだって初めてじゃないでしょ」

番外個体 「一人になりたいときだってあるんですゥ」

結標 「お邪魔してゴメンなさいねー」

番外個体 「…………さっきの、話だけど」

結標 「うん?」

番外個体 「告白するとか、それより前にやることがあるような気がして」

結標 「なに?」

番外個体 「いや、どっちを先にすべきなんだろうなあ。そこよく分からないけど」

結標 「私には貴女が何言ってるか分からない」

番外個体 「」ブクブクブクブク

結標 「沈むな」

番外個体 「プハ……要は、私だけじゃないってこと」

結標 「ライバルってこと?」

番外個体 「うん。最小にして最大のライバルがいる」

結標 「ほっといても……ってワケにはいかないか」

番外個体 「そっちをどうするべきかと思ってて」

結標 「それとなく向こうの出方を窺ってみたら? ライバルさんと交流があるなら、だけど」

番外個体 (交流があるどころの話じゃねーぞ)

結標 (でもそれって……考えてみたら私にも言えることよね)

番外個体 (告白したとして。どっちに転んでも、最終信号に会いづらくなるよね……)

結標 (大覇星祭以来、あの義妹さん?とは仲良くさせてもらってるけど……
    一歩踏み込んだ時、これまで通りに接し合うことができるのかしら)

結標個体 「「はあ……どうしよ」」


~30分後 きぬはた荘 リビング~


番外個体 「うあー、のぼせた……」グッタリ

結標 「あぅー」グッタリ

番外個体 「淡希ー、部屋まで飛ばしてー」

結標 「無理ー、演算できる頭じゃない」

番外個体 「正直、このまま寝たい」

結標 「同感だけど、確実に風邪ひくわよー。髪も乾かしてないし……」

番外個体 「んなのいつもだし」

結標 「乾かせって言ってるでしょ」

番外個体 「ねー」

結標 「んー?」

番外個体 「私たち、どうなるのかなー」

結標 「どうなるのかしらね」

番外個体 「結局さー……フォローがどうとかって話してたけど」

結標 「けど?」

番外個体 「それってさ、ただの欲張りだよね」

結標 「……そうよね。でも、何も失いたくないって思うのは当然のことよ」

番外個体 「そうだけど……そうじゃなくて……」

結標 「言いたいことは分かるわよ。自分は傷つきたくない、他の人も傷つけたくない。
    そんなのは都合がよすぎませんかってことでしょ」

番外個体 「そんな感じ」

結標 「別にいいじゃない。ちょっとぐらい欲張ったって」

番外個体 「……そうなのかな」

結標 「そうなのよ」

番外個体 「断言したね」

結標 「だって私、欲張りだもの」

番外個体 「はは、そりゃ結構なことで」

結標 「……ねえ、真琴。ツラくなったらいつでも言いなさい」

番外個体 「淡希もね」



~翌日 第7学区 とある病院 屋上~


結標 「」カシュッ

結標 「……ふう」


<キィ バタン...


結標 「おかえり。検査は終わったの?」

番外個体 「うん。いつも通り」

結標 「そ、よかったわね。ほら、奢りよ」ポイッ

番外個体 「(パシッ)糖分増量カフェオレ? 趣味悪ーい」

結標 「イヤなら返しなさい」

番外個体 「いただきまーす」カシュッ

結標 「それ、私でもどうかと思うぐらい甘いのよね」

番外個体 「…………うぇっ、激甘」

結標 「甘すぎないほうが丁度いいかしら? コーヒーも人間関係も」

番外個体 「微糖ぐらいがいいでしょ。ブラックみたいに苦い関係も微妙だし」

番外個体 「にしても、なんで寒空の下で待ってたの? 中にも待合室ぐらいあるのに」

結標 「こっちの方が人が少なくて落ち着くのよ……ちょっと寒いけど」

番外個体 「寒さには弱いんだね、露出狂なのに」

結標 「なんか言った?」

番外個体 「別に」

結標 「貴女、この後は?」

番外個体 「午後からバイト。だから、わざわざ病院まで付いてきてくれなくてもよかったのに」

結標 「別に貴女のためだけじゃないもの」

番外個体 「なに、なんか用があるの?」

結標 「んー、お見舞い?」

番外個体 「ふーん」

結標 「もう病院の食堂空いてるでしょ? お昼ぐらい付き合いなさい」

番外個体 「ま、それぐらいの時間はあるかね」

結標 「行きましょうよ。混む前にさ」



~とある病院 食堂~


結標 「にしても今朝は散々だったわ」

番外個体 「まさか二人してリビングで寝ちゃうとはね」

結標 「しかも暖房つけっぱなしよ。滝壺さんに怒られちゃった」

番外個体 「あの状態で寝るなっつうほうが無理」

結標 「まあね。でも、第一発見者が滝壺さんで良かったわ」

番外個体 「海原さんか浜面さんだったら確実に死んでた。恥ずかしさで」

結標 「あられもない姿だったものね。風邪ひかずに済んだのも幸運だわ」

番外個体 「ホントだよ……あ、やば! もう行かないと!」

結標 「飛ばしてあげよっか?」

番外個体 「いや、ここからなら近いから大丈夫」

結標 「頑張りなさい。色々とね」

番外個体 「そっちもね」


<ダダダダダ
<おい、そこのバカ!病院でパルクールしてんじゃねぇ!(ズガン)
<その病院でビーム撃つ人に言われたくないし!


結標 「……さて、私も行きますか」

結標 (と言っても、何話すかなんて考えてないけど)

結標 「ま、なんとかなるわよね」


 【伝票】<ハーイ


結標 「……あれ?」

結標 「真琴、自分の分ぐらい払っていきなさいよ……」

 :
 :
 :

結標 「着いた着いた」コンコン


<誰だ?


結標 (悪意がないのはもう知ってるけど……もうちょっと言い方ってものをね)

結標 「入るわね」ガラッ

ショチトル 「ああ、貴女だったのか」

結標 「ええ、調子はどう?」

ショチトル 「変わりはない。良くも悪くもな」

結標 「でもちょっとずつよくなってるんじゃない?」

ショチトル 「あぁ……今日は、一人なのか?」

結標 「あら、やっぱりお兄ちゃんがいないと寂しい?」

ショチトル 「そっ、そそ、そんなんじゃない! むしろいない方が静かでいい!」

結標 「そんなこと言ってると、私がもらっちゃうわよ?」

ショチトル 「え?」

結標 「あ」

ショチトル 「も、もら、え、もらうって、え?」

結標 (口が滑っちゃった)

ショチトル 「お、お兄ちゃんはダメー!」

結標 「ちょ、ちょっと落ち着いて!」



~5分後~


ショチトル 「取り乱して済まなかった」

結標 「いえ、気にしないで」

結標 (さっきのが紛れもない本音なのよね)

ショチトル (油断していたとはいえ、私はなんということを……)

結標 「やっぱりお兄ちゃんを取られるのは我慢ならないんだ」

ショチトル 「そ、そうではない! そうではなくて……あの」

結標 「あの?」

ショチトル 「そうだ! あのロクデナシに引っかかる犠牲者を増やしたくないんだ!」

結標 「それで"お兄ちゃんはダメ"?」

ショチトル 「そ、そういうことだ」

結標 「うん、貴女がお兄ちゃん大好きなのはよく分かったわ」クスクス

ショチトル 「」

結標 (……心苦しいわね、三角関係ってのも。でも……)

結標 「でも、私も好きなのよ?」

ショチトル 「……やっぱりな」

結標 「もっと驚いてくれると思ってたのに」

ショチトル 「貴女の前では隠し事もムダだからな。私は顔にすぐ出るんだろう?」

結標 「そんなことも話してたわね」

ショチトル 「なあ、分かっているんだろう? あの男は偽物だぞ?」

結標 「承知の上よ」

ショチトル 「だったらなぜ……」

結標 「子どもには分からないかしら?」

ショチトル 「なっ、はあぁ!? 大して違わないくせに!」

結標 「でもお姉さんのほうが年上よ?」ニヤニヤ

ショチトル 「ちょっとだけ! ちょっとだけじゃないか!」ムキー

結標 「ちょっとだけでも年上は年上だもん」


<ワギャー
<ビャース


冥土帰し 「……ふむ、賑やかだね?」



~第7学区 隠れ家的喫茶店~


<カランカラン♪


番外個体 「お大事にー」

マスター 「ミサワさん、間違っているのである」

番外個体 「……失礼しました。素で間違えました」

マスター 「少々疲れているようであるが」

番外個体 (昨日熟睡できてないからかな……)

マスター 「病院帰りということもあるし、あまりは無理はしない方が良い」

番外個体 「大丈夫ですよー、病院って言っても検査だけですから」


<カランカラン♪


番外個体 「いらっしゃいませー」

打ち止め 「いらっしゃいましたー、ってミサカはミサカはきちんと挨拶してみる」

番外個体 「あれ? 最終信号? 一人なの?」

打ち止め 「うん、黙って出てきちゃった! ってミサカはミサカはほくそ笑んでみる」

番外個体 「それって大丈夫なのかな……」

マスター 「注文は」

打ち止め 「グレープフルーツジュース! ってミサカはミサカは元気よく頼んでみる」

マスター 「了解した」

番外個体 「お金あるの?」

打ち止め 「あの人がくれたお小遣いがあるよ! ってミサカはミサカはゲコ太財布を見せつけてみる!」

番外個体 「ちょっと見せて……ねー、マスター」

マスター 「なんであるか」

番外個体 「これぐらいの歳の子に、小遣いとしてクレカ一枚ってどう思います?」

マスター 「よろしくないであろう」

番外個体 「ですよねー」

打ち止め 「?」

マスター 「」カチャカチャ

打ち止め 「? ミサカ、ケーキは頼んでないよ? ってミサカはミサカは目の前に置かれたケーキを凝視してみる」

マスター 「試作品である。故に、代金は感想で頂くのである」

打ち止め 「マスターのおじさん、ありがとー! ってミサカはミサカは飛びついてみる!」ピョーン

マスター 「//」

番外個体 (マスター……)

打ち止め 「あ、それでねそれでね。今日はワーストに用事があるの! ってミサカはミサカはケーキに手をつけてみる」

番外個体 「?」

打ち止め 「ワーストもあのひふぉのほとってみはははみははは」

番外個体 「こら、飲み込んでから喋れ」ズビシッ

打ち止め 「……うー、ミサカにチョップはあの人専用なのに!」

番外個体 「で? 何?」

打ち止め 「ワーストもあの人のこと好きなんだよね? ってミサカはミサカは周知の事実を述べてみる」

番外個体 「は……な、なんで今その話をするのかな……」

打ち止め 「ふふーん」


~同日夜 きぬはた荘 バスルーム~


番外個体 「」ブクブクブクブク

結標 「」チャプ

番外個体 「だからなんでいるんだよぉ!」

結標 「さっさと入って、さっさと寝たいのよ」

番外個体 「好きにしろ、もう」

結標 「……今日ね、告白してきちゃった」

番外個体 「」ドボン

結標 「おい」

番外個体 「プハー……驚いてコケちゃったよ。海原さんに?」

結標 「ううん、妹さんに」

番外個体 「……淡希、闘わなきゃ現実と」

結標 「どう解釈してるのよ、貴女は」グイ バシャ

番外個体 「モボガボゴボガブボガブ」ジタバタ

番外個体 「ぇほっ……殺す気か!」

結標 「変なこと言うからでしょ」

番外個体 「はあ、それで? どういう意図でやらかしたの?」

結標 「正直……深く考えてなかった」

番外個体 「なんだそれ」

結標 「会話の流れの中で、つい言っちゃったというか」

番外個体 「……それ、後々ややこしくならない?」

結標 「なるようになるわよ。中々進展しないから、とにかく動きたかったの」

番外個体 「一石を投じる、ってヤツ? さあ、この先どう動くのかねぇ」

結標 「さてね……貴女はどうしてるのよ」

番外個体 「……何もなくはない」

結標 「あら、聞き捨てならないわね」

番外個体 「でもヒミツ」

結標 「ずるい! 私だって話したでしょ!」

番外個体 「聞いてないもん。そっちが勝手に話し始めたんでしょ」

結標 「ぐぬぬ……」



~30分後 きぬはた荘 リビング~


番外個体 「はー、風呂上がりに飲む冷えた缶コーヒーのうまいこと」

結標 「コーヒーばっか飲んでるとペッタンコになるわよ」

番外個体 「あれは都市伝説と解釈した」

結標 「信じる信じないは自由だけどねー」ズズ...

番外個体 「だったら、淡希こそコーヒーを飲みまくるべきじゃない?」

結標 「なんでよ」

番外個体 「邪魔でしょ? そんなにあったら」

結標 「…………なに、羨ましいの? 僻んでるの?」

番外個体 「は? そ、そんな訳……」

結標 「そーだもんねー、貴女は性格や顔つきと真逆で胸は慎ましやかだもんねー」

番外個体 「」ヒクッ

結標 「ゴメンねー、すぐ気付いてあげられなくってー」タユン

番外個体 「……もう許さん」

結標 「えっ? ちょ、目が笑ってないわよ? ねぇ、冗談……ひっ……!?」



結標 「」プスプス

番外個体 「……」

番外個体 (最終信号はどういう意図があって、あんな話をしたんだろ)



~遡ること半日~


番外個体 「は……な、なんで今その話をするのかな……」

打ち止め 「ふふーん」

番外個体 (え、何この勝ち誇った笑みは)

打ち止め 「ワーストって、いつもあの人誘っては断られてるよね? ってミサカはミサカは核心をついてみる」

番外個体 「!?」

マスター (気配が変わったであるな。痛いところをつかれたか)

番外個体 「……で? それがどうかした? あなたには関係ないでしょ?」

打ち止め (う、ちょっと恐いかも……)

マスター 「ミサワさん、少々大人気ないであるぞ」

番外個体 (あー、そうだよ。誘っては断られ、今年に入ってから3連敗、通算11連敗中だよ)

番外個体 (大覇星祭のときは向こうから誘ってくれたのにな……あれ? でも考えてみたらそれ以来……)

番外個体 「…………どうせ」ウルウル

打ち止め 「あっ、違う、違うの! ミサカの話聞いて! ってミサカはミサカはワーストのエプロンを引っ張ってみる」グイグイ

番外個体 「話って……?」

打ち止め 「んーと、どこから話そうかな……」

番外個体 「……いいんだよ、最終信号。私にも問題はあったんだろうし」ナデナデ

打ち止め 「え?」

番外個体 「やっぱり、あの人にとって私は」

打ち止め 「違うってばー!」ポカポカ

マスター 「ミサワさん、やはり今日は本調子ではないようであるな」

番外個体 「そんなことは……」

マスター 「無理はするものではない。今日は帰って休むのである」

番外個体 「ご、ゴメンなさい……」

マスター 「この子の飲食分は給料から天引きしておくであるから、安心するのである」

番外個体 「……ぎゃふん」

 :
 :
 :

番外個体 (何やってるんだかなぁ……)

番外個体 「」ズーン

打ち止め 「ワースト、大丈夫? ってミサカはミサカはあまりの落ち込みっぷりに若干引いてみる」

番外個体 「」ポケー

打ち止め 「ね、ねえ、そのままでいいから聞いて、ってミサカはミサカは本題を切りだしてみる」

番外個体 「んー?」

打ち止め 「あの人はね、ワーストが嫌いだから断ってるんじゃないよ! ってミサカはミサカは真相を述べてみる!」

番外個体 「それってどういう……」


<あ、いやがったなクソガキ!


番外止め 「「!?」」

一方通行 「テメェ、フラフラと出歩きやがって! 何考えてやがる!」

打ち止め 「あっ、もしかして探しにきてくれたの!? ってミサカはミサカはBダッシュ!」

一方通行 「ったく……悪かったな、また世話かけちまって」

番外個体 「……ううん、いいよ」

一方通行 「何シケたツラして……」

一方通行 (やっぱ気にしてンのか?)

番外個体 「私もう帰るね」

一方通行 「あ、あァ」

打ち止め 「……」



~今に至る~


番外個体 「あぁぁぁ、なんであんな言い方しちゃったんだよぉぉぉ!」

結標 「あいたたた……」

番外個体 「でもあの人もさ……ちょっとぐらい引き止めてくれたっていいじゃん」

結標 「あ! 服コゲちゃってるじゃない!」

番外個体 「うーーー」ジジジジ

結標 「ちょっと漏電やめてよ。こっちは電気がトラウマになりかけてるんだから」



~数日後 とある病院~


ショチトル 「」ペラペラ

ショチトル 「この雑誌も読み飽きたな」ポイ

ショチトル 「……」


  ――でも、私も好きなのよ?


ショチトル 「冗談には聞こえなかった……」

ショチトル (お兄ちゃんを取られる?)

ショチトル 「……でも、あの人は私とも姉妹みたいに接してくれるし……」

ショチトル 「どうすれば……」


<コンコン


ショチトル 「? 誰?」


<ガラッ


海原 「やあ、調子はいかがですか」

ショチトル 「なんだ、エツァリか」

海原 「? 今日は機嫌が悪いようですね」

ショチトル 「そんなことはない」

海原 「まあまあ、お土産に鳩山サブレを持ってきたので、これで機嫌を直してください」

ショチトル 「食べる」

海原 「どうぞ、たくさんありますからね」

ショチトル (人がこんなに悩んでるというのにこいつは……)サクサクサクサク

海原 「今日はいい天気ですね。屋上にでも出ますか?」

ショチトル 「寒いからいい。なあ……それより」

海原 「はい、牛乳ですね」

ショチトル 「違う! 例えば、例えばだぞ? 例えばの話なんだが」

海原 「?」

ショチトル 「異性から好意を向けられている時、エツァリならどうする?」

海原 「ほう、難しい質問ですね」

ショチトル 「……」

海原 「分かりませんね。生まれてこの方、女性に好かれたことがないので」

ショチトル (本気で言ってるの!?)

海原 「どうも僕は、そういう星のもとに生まれたみたいですね」ニコニコ

ショチトル (なんだか、一人で悩んでるのがアホらしくなってきた)

ショチトル (……そっか。そもそも悩む必要なんてなかったんだ)

ショチトル (決めるのはお兄ちゃんなんだから)

海原 「しかし、なぜそんな質問を?」

ショチトル 「さあな。だが、これだけは言っておく」

海原 「はい?」

ショチトル 「身近にありすぎると、逆に気付きづらいものなんだ」

海原 「?? はあ、わかりました」

ショチトル (お兄ちゃんが選ぶのが、私かあの人か)

ショチトル (どんな結果でも、お兄ちゃんが決めたことなら受け入れる……)



~その頃 きぬはた荘 番外個体個室~


番外個体 「……」


  ――ワーストが嫌いだから断ってるんじゃないよ!


番外個体 「……じゃあ、なんで来てくれないの? もう、わからないよ」

番外個体 「悩んでてもどうにもならない、よね。こうなりゃ一世一代の大博打だ」カチカチ


 件名:
 日付:20yy/m/d 15:25
 ───────────────
 話したいことがあるの。
 明日の朝8時ぐらい、会えないかな。
                                  コンコン ガチャ

番外個体 「送信、っと……」

番外個体 (……まさか、これも、ダメ……?)

番外個体 「あ、返事きた。返信はいつも早いんだよね」


 差出人:いっつう
      <misaka-love@mnw.ne.jp>
 件名:Re:
 日付:20yy/m/d 15:28
 ───────────────
 朝は寝るもんでしょうが


番外個体 「ッ……!」

番外個体 (……泣いちゃダメ……今度ばかりは食い下がらないと)カチカチ


 件名:Re:Re:
 日付:20yy/m/d 15:31
 ───────────────
 お願い。15分だけでもいいから。


番外個体 「……」ピッ

番外個体 (お願い……!)


 差出人:いっつう
      <misaka-love@mnw.ne.jp>
 件名:Re:Re:Re:
 日付:20yy/m/d 15:32
 ───────────────
 どこ行きゃいいですか


番外個体 「!」

番外個体 「あ、あの公園のベンチで……」カチカチ

番外個体 「送信……」ピッ

番外個体 「……ふはぁ」ヘナヘナ

結標 「終わった?」

番外個体 「ふぎゃぁぁ!?」ビックゥ

結標 「そんな驚くことないでしょ」

番外個体 「テレポで侵入しないでよ!」

結標 「ドアから入ったわよ。でも貴女、携帯いじるのに夢中で気付かなかったんじゃない」

番外個体 「……マジ?」

結標 「それよりどうしたの? なんか深刻な表情してたけど」

番外個体 「……明日の朝、アイツに会えることになった」

結標 「あら、やったわね」

番外個体 「もう全部、洗いざらいブチまけてこようと思う」

結標 「そう……じゃあ、気合入れていかないとね」

番外個体 「服とか?」

結標 「それもだけど、他にもあるでしょ?」

番外個体 「?」

結標 「明日の朝、私の部屋に来なさい」

番外個体 「なんかあんの?」

結標 「ふふっ、ぱふぱふしてあげる」



~翌朝 きぬはた荘 結標個室~


番外個体 「来たけれども」

結標 「じゃあ、そこに座って」

番外個体 「?」ストン

結標 「ちょっと前髪あげるわよ……で、髪留めで」バチン

番外個体 「いてて。なにするつもりなの?」

結標 「メイクアップ」スチャ

番外個体 「メイク……化粧なんてするの初めてだよ」

結標 「いい機会だから、最低限のメイクぐらい覚えなさい」

番外個体 「気が向いたらね」

結標 「いずれ必要になるわよ? ちょっと目閉じて」

番外個体 「生きてる内に、こんな着飾る日が来るなんて思ってなかったな」

結標 「大袈裟なのよ」

 :
 :
 :

結標 「うん、こんな感じでどう?」つ【鏡】

番外個体 「……うっわ。ここまで印象変わるんだ」

結標 「時間あれば、眉毛もいじりたかったんだけどね」

番外個体 「そこまでしなくても……」

結標 「ほら、仕上げぐらいは自分でやりなさい」

番外個体 「? なにこれ? 印鑑?」

結標 「バカ、リップよ。それはあげるわ。ちなみに、新品だからね」

番外個体 「別に古いので良かったのに」ヌリヌリ

結標 「そしたら間接キスすることになるじゃない」

番外個体 「……新品ありがと」

結標 「できたわね。いい感じじゃない」

番外個体 「変じゃないかな」

結標 「ギャップ萌えって知ってる? 普段ラフで横着な貴女がこうすることによって」

番外個体 「うるさい、ほっといてよ」

結標 「……ほら、もう行きなさい」クスッ

番外個体 「……行ってくる」

結標 「結果を楽しみにしてるわね」

番外個体 「うん」

結標 「泣きたいんであれば、胸ぐらいは貸してあげるから」

番外個体 「そうならないといいんだけどね」



~同日 第7学区 とある公園 ベンチ~


番外個体 「……ちょっと早かったな」

番外個体 「ここ、学園都市に来てから初めてあの人と話した場所で」

番外個体 「ピアスをもらったのもここだったね」

番外個体 「」ポスン

番外個体 「ここまで来たんなら考えてもムダだよね」

番外個体 「思ったまま言え、って言ってたし」

番外個体 「……お、来たかな」

番外個体 「深呼吸深呼吸……」


 ザリッ


番外個体 「やっほう。お早い到着だね」

一方通行 「待たせちまったか?」

番外個体 「いんや、全然。さっき来たばっかだし」

一方通行 (なンだこいつ……いつもと感じが違くねぇか……?)

番外個体 (う、ダメだ……心臓がバクバクいって喉から飛び出そう……)

一方通行 「で? 人をこんな早朝に呼び出してなンの用だ?」

番外個体 「8時で早朝って……ま、いいや。んーと、まず」

一方通行 「なンだよ」

番外個体 「私が……ど、どっか誘っても来てくれなくなったのは、なんで?」

一方通行 「……」

番外個体 「あなたは数えてないだろうけど、11連敗だよ?
       私に問題があるなら、言ってくれたほうがまだマシなんだけど」

一方通行 「オマエの問題じゃねェよ……チッ、やっぱ気にしてンのか」

番外個体 「……なにそれ。どういう意味?」

一方通行 「あー、なンだ。見ての通り、俺は杖なしじゃマトモに歩けねェ。
       オマエが誘ってくるような人の多い場所に行くには向かねェ身体なンだよ」

番外個体 「もしかして……迷惑かかると思ってた?」

一方通行 「……オマエだって、介護したいワケじゃねェだろ」

番外個体 「………………ぷ」

一方通行 「あァ!? 今笑ったなァ!?」

番外個体 「だってだって! あなたそんなキャラだっけ? しおらしくなっちゃって。
       やめなよ、似合ってないからさ」

一方通行 「テッメェ……人が気を使ってやってンだろォがァ!」

番外個体 「だから似合ってないんだって。……私たちには」

一方通行 「……?」

番外個体 (ちょっと笑ったら力が抜けた。感謝しないとね)

番外個体 「気を使い合って、遠慮し合うような仲でもないでしょ?」

番外個体 「憎まれ口たたき合って、小馬鹿にしたみたいに笑ってあげるほうが私たちっぽくない?」

一方通行 「……」

番外個体 「だから、私が隣にいる時ぐらいはあなたは何も気にしなくていい。
       別にそれで迷惑だとか絶対に思ったりしないから」

一方通行 「オマエ……」

番外個体 「だって、私」

番外個体 (言え、言うんだミサカ!)



番外個体 「……あなたのことが大好きだから」



一方通行 「!?」

番外個体 「」プシュー

番外個体 (言ってやった言ってやった!)

一方通行 「オイ……頭のネジ外れちまったのか?」

番外個体 「……外れてるのは生まれつきだよ。本気で、言ってるんだから、ね?」

一方通行 「俺は……」

番外個体 「聞きたくない」

一方通行 「あァ?」

番外個体 「俺は悪党だとか、オマエの姉妹をどうとかいう話はいいよ」

番外個体 「それは百も承知。あなたが答えるべきは"イエス"か"ダー"のどっちか」

一方通行 「オマエそれどっちも肯定の返事じゃねェか……」

番外個体 「……今すぐじゃなくていいから、ちゃんと返事してね」

番外個体 「じゃ私、バイト行くから」ダッ

一方通行 「あ、オイ!」

一方通行 「なンなンだよ……」



~第7学区 とある路地~


番外個体 「はあはあ……う……」

番外個体 「……あれじゃ逃げてきたみたいじゃん」

番外個体 「でも、言えたよね」

番外個体 「思ってたことは全部……」

番外個体 「……よし、後は返事を待つだけ」

番外個体 「店に行かないと」



~その頃 一方通行邸~


一方通行 「」キィ バタン

打ち止め 「あ! どこ行ってたのー! ってミサカはミサカは出迎えてみる」

一方通行 「なンだ、起きてたのか」

打ち止め 「起きたらいないから心配したんだからね! ってミサカはミサカは!」ポカポカ

一方通行 「悪かった。コーヒーが切れてたからコンビニ行ってたンだよ」ナデナデ

打ち止め 「……でも、手ぶらだよね? ってミサカはミサカは訝しんでみる」

一方通行 「うるせェ。我慢できずに飲ンじまったンだよ」

打ち止め 「ふーん。それよりお腹すいたー! ってミサカはミサカは朝食を催促してみる」

一方通行 「はいはい、少々お待ちくださァい」

打ち止め (ホント、ウソはヘタなんだから)

 :
 :
 :

打ち止め 「ねーねー、今日はワーストのお店行かないの? ってミサカはミサカは今日の予定を確認してみる」

一方通行 「あー……どうすっかねェ」

一方通行 (バイト行くっつってたから、今日はいるンだよなァ)

打ち止め 「この間行ったらワーストお休みでガッカリしたよね、ってミサカはミサカは辛い思い出を噛み締めてみる」

一方通行 「ンなもン噛み締めンな」

一方通行 (ガッカリした……? してたのか? 俺は……)

打ち止め 「」ポイポイ

一方通行 「打ち止めさァん? なんで俺の皿にミニトマト投げ入れてるンですかねェ?」



~数時間後~


一方通行 「」ポケー


  ――ちゃんと返事してね。


一方通行 (何を……返事しろってンだよ)

一方通行 (アイツはああ言ってた。なら、俺はアイツをどォ思ってる?)

一方通行 (……俺はアイツを……だが……)

打ち止め 「ラストオーダープレーース!」ピョーン

一方通行 「ぐぼうェ!?」

打ち止め 「ってミサカはミサカはフィニッシュムーブを披露しt(ズビシ)ふぎゃ」

一方通行 「それヤメロって何度言ったらわかンだァ!」ズビシズビシズビシ

打ち止め 「痛い痛い! だってあなた、朝から上の空だから元気づけてあげようと思って!」

一方通行 「」ピタッ

打ち止め 「ワーストのこと? ってミサカはミサカはカマをかけてみる」

一方通行 「……オマエには関係ねェ」

打ち止め 「あなたはもっと自分に素直になるべき、ってミサカはミサカはアドバイスしてみる」

一方通行 「オマエは素直すぎンけどなァ」

打ち止め 「ねえ、聞いて。ミサカはね」

打ち止め 「あなたとずっと一緒にいたい。でもそれ以上に、あなたが普通の幸せを手に入れることを
       願ってるんだよ? ってミサカはミサカはこれまで口にしなかった本音を暴露してみる」

一方通行 「……」

打ち止め 「あなたがもう少しで、自分の手で幸せを掴めるなら、それを掴んできてほしいの、
       ってミサカはミサカは背中を蹴飛ばしてみる」ゲシッ

一方通行 「打ち止め」

打ち止め 「ひゃい!?」

一方通行 「ありがとな」ナデナデ

打ち止め 「ふにゃー」

一方通行 「ちょっと出てくる。夜までには戻るからな」

打ち止め 「いってらっしゃーい、ってミサカはミサカは元気よく見送ってみる!」


<バタン


打ち止め 「……頑張って、ってミサカはミサカは応援してみる」

打ち止め 「……」

打ち止め 「でもやっぱくーやーしーいー!!」バタバタ



~第7学区 隠れ家的喫茶店~


<最近平和で……
<いいことだ。
<それより聞いてよ。


マスター 「あのトリオ、最近ちょくちょく来るであるな」

番外個体 「三人のうち二人はよく知ってる顔なんですよね」


<カランカラン♪


番外個体 「いらっしゃいm……って」

一方通行 「よォ」

番外個体 「い、いつものでいい?」

一方通行 「あァ」

番外個体 (まさか来るとは……)カチャカチャ

番外個体 「はい、お待たせ」

一方通行 「……さっきの返事だ。聞いてくれるか」

番外個体 「は? 今? ここで?」

マスター (なんか始まったであるぞ)

一方通行 「正直言うとな……オマエが望むような関係になれる自信はねェ」

番外個体 「……」

一方通行 「だが、オマエのことは好きだし護りたいと思ってる。そこに嘘偽りはねェよ」

番外個体 「えっ……」

一方通行 「何があろうともオマエを護ってやる。だから……」

番外個体 「……だから?」

一方通行 「ずっと傍にいてくれねェか?」

番外個体 「」パチクリ

番外個体 「……う、ぁ……」ポロポロ

一方通行 (な、泣くほどイヤか!? クソ、どこで失敗した……!)

番外個体 「一方通行ぁぁぁ!」ダキッ

一方通行 「え、オイ!?」

番外個体 「私が……私なんかで、よければ……ずっと傍に、いて……」グスグス

一方通行 「あー、まず泣きやめ」

番外個体 「うん……でも……1ついいかな……」

一方通行 「なンだ?」

番外個体 「すごく嬉しいよ、嬉しいけどさ……」プルプル

一方通行 「ン?」

番外個体 「なんで今ここで言うかなぁ~~!!」

一方通行 「……なンかマズかったか?」

番外個体 「周り見ろ周り!」

一方通行 「?」

土御門 「お父さんは認めないにゃー!」

結標 「」ニヤニヤ

海原 「」●REC

マスター 「若さであるな」ウンウン

一方通行 「」

番外個体 「バイト先でこんな……もう嫁にいけない……」

結標 「そんな心配する必要ないじゃない。こいつがもらってくれるんだから」

一方通行 「あァ!? なンでそうなってるンだ!?」

海原 「なんでもなにも、さっきのはどう見てもプロポーズですよ」

土御門 「傍にいてくれねぇか」キリリッ

一方通行 「今死ね! すぐ死ね! 骨まで砕けろォ!!」カチッ


<総員撤退だにゃー!
<これ、披露宴で流します?
<テメェらァァァァ!!
<ケンカなら外でするのである。


結標 「……真琴、やったわね」

番外個体 「うん……ありがとね。次は淡希の番だよ」

結標 「分かってるわよ」クスッ



~同日夕方 第7学区 とある公園~


番外個体 「まーったく、人のバイト先で何してくれてるんだか」

一方通行 「アレは悪かった。今思い出すと、ねェわって思える」

番外個体 「しかも淡希とか海原さんが居る前でさ」

一方通行 「ンでアイツらがいるンだよ……」

番外個体 「もうなに? 第一位は空気の読めなさも第一位だったりするワケ?」プギャー

一方通行 「返す言葉もございませン……」

番外個体 「……でも、嬉しかった」

一方通行 「……」

番外個体 「ね、出会ったときのこと覚えてる?」

一方通行 「これ以上ない最悪の出会いだったしなァ、そうそう忘れられねェよ」

番外個体 「私はあなたを殺すために造られた"元"軍用クローン」

番外個体 「今となってはそんなつもりは毛頭ないけど、あなたを殺していいのは私だけ」

番外個体 「なので、私より先に死ぬことは絶対に許さないからね?」

一方通行 「……ハッ、俺を誰だと思ってやがる」

番外個体 「んー、どうかな。あなた、能力は最強だけど身体は貧弱そのものだし」

一方通行 「ほっといてくれ」

番外個体 「肉ばっか食べるのは、やっぱ虚弱体質を気にしてるから?」

一方通行 「……口は減らねェな」

番外個体 「そう思うなら……塞いでよ。口をさ」

一方通行 「……後から文句言うンじゃねェぞ」スッ

番外個体 「それはあなた次第だと思うけど」

番外個体 (淡希、リップもらっといて正解だったよ)

一方通行 「こォいう時、眼閉じるもンじゃねェの?」

番外個体 「このままがいい。あなたの目って近くでみると綺麗だから」

一方通行 「……ンなこと初めて言われたわ」

番外個体 「何度でも言ってあげるよ?」

一方通行 「よしてくれ、痒くなる」

番外個体 「だったらほら、口をふさg……っ、ん……」

番外個体 (……もう幸せすぎて、怖いぐらい……)



~数日後 きぬはた荘 番外個体個室~


番外個体 「それでね、一緒に寝よーって誘ったら部屋から追い出されちゃって」

結標 「……」

番外個体 「あんまりムカついたから、次の日の朝ごはんはあの人が大ッキライな
       ピーマンをふんだんに使ってあげて」

結標 「……」

番外個体 「それでも涙目になって食べようしてるところがまた……」

結標 「うん、その話を聞くのは今日6回目なんだけど」

番外個体 「え? そうだっけ?」

結標 「そうだっけじゃないわよ。それでなくとも幸せオーラ振りまいちゃって」

番外個体 「振りまいてるんじゃないよ、勝手に滲み出てくるんだよ」

結標 「同じよ!」

番外個体 「むー」

結標 「気持ちは分からなくもないけどね。ロシアから来て時間かけて、ようやく実ったんだし」

番外個体 「だよね」

結標 「でも程々にしておきなさい。白井さんとか血の涙を流してたわよ」

番外個体 「……善処する」

結標 「それより、いい加減あれ教えてよ」

番外個体 「あれって?」

結標 「決め手の一言」

番外個体 「」

結標 「ねー、なんて言ったの?」

番外個体 「あ、それは……」

結標 「後学のために、聞かせてほしいなー」

番外個体 「」ゴニョゴニョ

結標 「聞こえない」

番外個体 「……あなたの事が大好きだから」

結標 「あら、ストレートでいいじゃない」

番外個体 「……う」

結標 「? ちょっと?」

番外個体 「うああああ///」バタバタ

結標 (何これ可愛い)

番外個体 「……今にして思えば、よく言えたもんだよ」

結標 「そんなもんよ」

番外個体 「で、淡希はどうするつもりなの?」

結標 「それなんだけどね……」

番外個体 「?」

結標 「明日、食事に行く約束を取り付けてるの」

番外個体 「そこで、ってこと?」

結標 「どのタイミングか……どっちみち、その日のどっかで決着は付けてくるわよ」

番外個体 「……どう伝えるつもりなの?」

結標 「貴女に言ったとおり、思ったまま言ってくるわよ」

番外個体 「うん、それでいいと思う」

結標 「はあ……今日眠れるかしら」



~翌日夕方 第7学区 隠れ家的喫茶店~


番外個体 「まさか、ここで待ち合わせするとは……」

結標 「だってここ、縁結びのご利益がありそうじゃない」

マスター 「あんなことがあったであるからな」

番外個体 「……すいません」

マスター 「責めてるつもりはない。若さとは良い物である」

結標 「ね、今日の服装、変じゃないかな?」

番外個体 「いや……いいんじゃないかな。ていうか」

結標 「?」

番外個体 「いつもの露出狂趣味はどこに行ったやら」

結標 「露出狂じゃないって何度言えば分かるのよ!」

番外個体 「マスターはどう思います?」

マスター 「落ち着いていて良いのではないか」

結標 「さすが、マスターは分かってらっしゃるわ」

番外個体 「で、今日のプランは考えてあるの?」

結標 「それなりにはね」


<カランカラン♪


番外個体 「いらっしゃいませ……あ、海原さん」

海原 「おや、先を越されていましたか」

結標 「時間通りね」

海原 「すいません。もう少し早く来るつもりだったんですが」

番外個体 「何か頼む? それともそのまま行く?」

海原 「何も頼まないのも失礼ですしね。烏龍茶を1つ」

番外個体 「はいはーい」

結標 「今日はどういうお店に連れて行ってくれるの?」

海原 「色々考えたんですが、やはり結標さんのご意見も伺いたいかと」

結標 「私は別に……なんでもいいけど」

海原 「うーん、一番困る返答ですね」ニコニコ

結標 「あっ、じゃあ……魚」

海原 「心得ました。魚料理なら、評判のいいお店を知ってますよ」

番外個体 「お待ちどうさま」カチャ

海原 「あ、いただきます」

結標 「それ飲み終わったら行きましょうよ」

海原 「ええ、そうしましょうか」

 :
 :
 :

番外個体 「はい、まいどどうも」

海原 「ごちそうさまでした」

番外個体 (……淡希、頑張って)チラッ

結標 「」コクリ


<カランカラン♪


マスター 「……あの二人も、そういうアレであるか」

番外個体 「そういうアレです」



~同日 第5学区 とあるレストラン~


結標 「へー……貴方と来ると、いつも落ち着いて雰囲気のお店よね」

海原 「ええ、どうしてもそうなってしまいますね」

結標 「ガヤガヤしてるよりはずっといいわね」

海原 「結標さんは静かなところがお好きかと思いまして」

結標 「えっ……あ、よくわかってるじゃない」

海原 「さて、何にしましょうか?」

結標 「んー、どうしよっかなー」ペラペラ

海原 「……」

結標 「♪」

海原 「……」ジー

結標 「? ど、どうしたの?」

海原 「あぁ、いや、なんでもないですよ」

海原 (気のせいか、いつもと雰囲気が違いますね)

海原 「それにしても、先日の事件は驚かされたましたね」

結標 「事件?」

海原 「あの喫茶店での出来事ですよ」

結標 「ああ、あれね」

海原 「まさか、彼の口からあんな言葉が飛び出るとは」

結標 「んー、でもあそこまでキッパリと言われるとすごい嬉しいと思うわよ?」

海原 「結標さんでも言われれば嬉しいですか?」

結標 「そりゃね」

海原 「……」

結標 「……どうしたの、さっきから」

海原 「あ、すいません。ちょっと考え事を」

結標 「人と話してる最中に考え事って……失礼ね」

海原 「はは、これは失礼しました」

海原 (どうにも……先日、ショチトルが言っていたことを思い出してしまいますね)

海原 (ですが……)

結標 「そういえば、妹さんの調子はどうなの?」

海原 「えっ、ええ。経過は順調だそうですよ」

結標 「そう、よかったわね。……あれぐらいの歳だと、もっと色々したいでしょうに」

海原 「そうですね。結標さんと会えるのがいい刺激になってるみたいですよ」

結標 「私が?」

海原 「いつぞや、姉ができたようだと言っていましたよ」

結標 「そんな、大したことしてないのに」

海原 「ですが、いい方向に向かっているのは確かですよ。僕からもお礼を言わせてください」

結標 「だったら私と……」ゴニョゴニョ

海原 「?」

結標 「ご、ゴメンなさい。なんでもないの」

結標 (まだ言うには早いわね……)

海原 「? は、はあ」

結標 「ね、この後ってどうするつもりなの?」

海原 「この後ですか? 特に考えていませんが」

結標 「ちょっと……ちょっとだけでいいの。付き合ってくれない?」

海原 「構いませんよ」

結標 「そう、悪いわね」

海原 「いえいえ、お気になさらず。どちらに向かうんですか?」

結標 (どこか人が少ない場所……となると)

結標 「家の近くの公園は? 初日の出を見た場所」

海原 「はい? そんなところに?」

結標 「なんかおかしい?」

海原 「いえ、どこかのお店だと思っていたものですから」

結標 「残念だったわね」クスクス

海原 「しかし、そんなところに行って何を?」

結標 「……話があるの。すっごい大事な話」

海原 「?」

結標 (いよいよね)



~2時間後 第7学区 とある公園~


結標 「夜は冷えるわね……」

海原 「まだ1月ですから」

結標 「ねえ、手が冷たいんだけど。気がきいてないわね」

海原 「おっと、これは失礼しました」ギュッ

結標 (……緊張してきた)

海原 「ところで、お話というのは?」

結標 「……まず、これから言う事は嘘でも冗談でもないからね」

海原 「はい」

結標 「貴方にとっては耳を疑うような話かもしれないけど、真剣に聞いてほしいの」

海原 「心得ました」

結標 (……落ち着いて、思ったまま言うのよ)

結標 「私、前から貴方の事が好きだった」

海原 「……は、え?」

結標 「いつからかしらね……自分でもよく分からないけど。でも、ね」

海原 「……」

結標 「貴方が、私が作った料理を黙って食べてくれたとき、すごく嬉しかったのは覚えてる」

海原 「あの、結標さん」

結標 「どうしたの?」

海原 「僕の正体をご存知なのでは? この顔だって借り物」

結標 「貴方、私が顔だけでここまで決心すると思ってるの?」

海原 「そうではありませんが」

結標 「だったら!」ガシッ

海原 「」ビクッ

結標 「貴方の化けの皮、今この場で力ずくでひっぺがしてやってもいいのよ!?」

海原 「……」

結標 「その上で、何度だって言ってあげるわ! 貴方のことが好きだって!」

海原 「……」


  ――身近にありすぎると、逆に気付きづらいものなんだ。


海原 (まさか、ショチトルが言わんとしていたことは……)

結標 「……ねえ、なにか言ってよ」

海原 (僕は……)

結標 「どんな答えでも聞く覚悟はできてる。だから、返事を聞かせて」

海原 「……それより先に、やることがありますので」パキン

結標 「えっ」

海原 「一大決心に対して、偽装したまま返答するのは不誠実でしょう?」パキパキパキパキパキ

結標 「……」

海原 「……うん、この顔を人目にさらすのも久しぶりですね」ペタペタ

結標 「なんで……目が赤く光ってるの?」

海原 「すぐ戻ります。お返事はその後に」

結標 「……分かった」



~きぬはた荘 番外個体個室~


番外個体 「」ゴロゴロ

番外個体 (淡希はちゃんとやったんだろうか……)

番外個体 (考えてみたら、淡希の場合って事情が複雑だよね)

番外個体 (同じ家に住んでる以上、フラれた場合は気まずいってレベルじゃないワケで……)


 [[携帯電話]]<ユーガットメイル!


番外個体 「お?」ピッ

番外個体 (淡希から……?)


 差出人:あわきん
      <move_point@comodo.ne.jp>
 件名:
 日付:20yy/m/d 21:38
 ───────────────
 \(^o^)/


番外個体 「……」

番外個体 「?」



~時は少し遡り 第7学区 とある公園~


海原 「戻りましたかね」

結標 「ねえ、顔よく見せて」

海原 「なんだか照れますね」

結標 「……なによ、すごいイケメンじゃない」

海原 「がっかりさせてしまいましたか?」

結標 「自分の顔に自信がなくて、イケメンの顔借りてると思ってたから」

海原 「ご期待に沿えなかったようで」

結標 「でも、こっちの方が好みかな」

海原 「おやおや、光栄ですね」

結標 「で?」

海原 「?」

結標 「私は思いを伝えた。貴方の返事は?」

海原 「やはり逃がしてはもらえませんか」

結標 「当然よ。こっちがどれだけ悩んでここまで辿り着いたと思ってるの」

海原 「……結標さんがご満足頂けるような返答を出来るかはわかりません」

結標 「……」

海原 「なにぶん隠し事が多い身ですから。このまま結標さんのお気持ちを受けるのも気が引けます」

結標 「そう……」

結標 (ダメ、ってことかぁ)

結標 「じゃあ、この話はお終いね」

海原 「はい? あの、まだ」

結標 「ゴメン、先帰ってて」タッ

海原 「あ、ちょっと……」


 フッ


海原 「……」

海原 「……何かまずかったのでしょうか」

海原 「とにかく探しにいきませんと」

海原 (時間も遅いですし、スキルアウトに絡まれでもしたら……)

海原 (……まあ、結標さんなら問題ないでしょう)

海原 (ですが、放っておくわけにもいきませんか)

海原 「いえ、放っておけない、と言ったほうが正確ですね」

海原 (まだ、僕の返事は終わっていないのですし……)

海原 (これを機に、僕も前に進むとしましょう)

海原 「となると、なんとしてでも見つけないといけませんね」



~30分後 第7学区 某所~


結標 「……」コツコツ

結標 「あれじゃ逃げてきたみたいじゃない」

結標 「……いや、みたいじゃないわね。逃げてきたのか」

結標 (決定的な一言が聞きたくなかったから)

結標 「……」カチカチ ピッ

結標 「って、何してんの……こんな顔文字だけのメール送られても困るでしょうに」

結標 「ええと、どう送ればいいかしら」

結標 ("ダメだった。ちょっと気持ち落ち着けてから帰る"……)カチカチカチカチ

結標 (……やだ、メール打ってたら泣きそうになってきちゃった)

結標 「もう……バッカみたい」


<あっ、結標さん


結標 「?」

海原 「探しましたよ……座標移動で逃げられては適いませんね」

結標 「なっ……どうして?」

海原 「? どうしてと申されますと?」

結標 「何しに来たのよ……」

海原 「まだ僕の話は終わっておりませんので」

結標 「……」

海原 「先程の続きです。聞いて頂けますか」

結標 「……うん」

海原 「結標さんのお気持ちは正直に嬉しいのも確かです」

結標 「えっ」

海原 「結標さんさえよろしければ」

結標 「……?」

海原 「お互いをよく知り合うところから始めませんか?」

結標 「えっ、それって……」

海原 「これからも、末永くよろしくお願い致します」ペコリ

結標 「」

海原 「?」

結標 「」

海原 「? あの」

結標 「」スパーン

海原 「ごふっ」

結標 「何よ! なんなのよ! 嫌われたのかと! 本気で思ったじゃない!」

海原 「そ、それは最後まで聞いて頂けないから」

結標 「この……バカァ!」ポカポカ

海原 「……あの……泣いておられるんですか?」

結標 「泣いてない!」グスッ

海原 「泣いてますよね」

結標 「うー……女の子泣かせた責任ぐらいは取りなさいよ」

海原 「出来る限りは」ニコニコ

 :
 :
 :

結標 「はい、烏龍茶でいいの?」

海原 「いただきますね。いや、走りまわったお陰で喉がカラカラです」

結標 「ゴ、ゴメン……」

海原 「そういえば、前にもこんなことがありましたよね」

結標 「あぁ、水族館に行った帰りね」

海原 「あの時は突然飛ばされたものですから、驚きましたよ」

結標 「……ねえ、あの時と同じことやってもいい?」

海原 「また飛ばされるんですか?」

結標 「そっちじゃなくて!」

海原 「?」

結標 「いいから、少しの間目閉じて」

海原 「ええ」パチリ

結標 「いいって言うまで開けないでよ」

結標 (よっと……あれ? なんか……)グッ

結標 「身長縮んだ?」

海原 「真似ていたのは顔だけではないということです」

結標 「へえ……やっぱこっちのほうがいいわね」

海原 「そんなもんですかね?」

結標 「そんなもんなの」

結標 (あの時はほっぺただっだけど……今日は、いいわよね)

結標 「……っ……」

結標 (しちゃった、唇に)


  ガシッ


結標 (え、なっ、なんで!? 抱きしめ……)

結標 「う、なばら……」

海原 「この顔でも海原と呼ばれるのは不思議な気分ですね」

結標 「だって……他の名前知らないもの」

海原 「本当の名前はエツァリといいます」

結標 「……言いにくいわね」

海原 「そう言わないでくださいよ」

結標 「とりあえず、離してよ……顔の距離が数cmは会話するには近いわ」

海原 「おっと、これは失礼しました」

結標 「もう……それで、名前だっけ?」

海原 「名前というか顔、ですね。こちらの方が好みと褒められましたし」

結標 「海原として過ごせばいいんじゃない? みんなだってびっくりするでしょ」

海原 「そうですね……悩ましいところです」

結標 「それに、さ」

海原 「?」

結標 「今の家で貴方の本当の顔を知ってるのは私だけ。それってなんか気分がいいし」

海原 「なるほど、そういう見方もありますか」

結標 「でも、そうね」

結標 「私と二人きりの時と、妹さんの前でぐらいは素顔でいてほしいかな」

海原 「仰せのままに。そんなに手間がかかる話でもありませんしね」

結標 「じゃ、ほら。帰りましょ」ギュ

海原 「そうですね、もうこんな時間ですし」

結標 「せめて、家の近くまでは今のままでいてよ」

海原 「ええ、そうさせて頂きます」

結標 「……これからも、よろしくね」スリスリ



~数日後 きぬはた荘 バスルーム~


結標 「」ブクブクブクブク

番外個体 「もう突っ込む気も起きない」

結標 「でも、よかったわね」

番外個体 「何が?」

結標 「私たち、片方だけフラれてたらどうなってたかしら……」

番外個体 「きまずいね、そりゃ」

結標 「でしょうね。そう考えれば最上の結果に辿りつけたわよ」

番外個体 「でも、私はフラれたら淡希でもいいかなーって思ってた」

結標 「は? やめてよ! 私にそっちの趣味はないんだから!」

番外個体 「え? テレポ屋さんってみんな百合属性持ちじゃないの?」

結標 「……」

番外個体 「冗談だよ」ケラケラ

結標 「貴女の理論を借りるなら、発電能力者は全員ツンデレかヤンデレってことになるわよ」

番外個体 「……うん、なんか私が悪かった」

結標 「分かればいいのよ」

番外個体 「それよりさ、あの人に会うたびに"髪伸びたな"って言われるんだけど」

結標 「実際伸びたじゃない。伸ばしてるんでしょ?」

番外個体 「いや、どう受け取ればいいのかな」

結標 「どういうこと?」

番外個体 「短いほうがいいって言ってるの? 長くなってきてよかったって言ってるの?」

結標 「……どっちかしらね。でも、好みが分かったとしてそれに合わせるつもりはあるの?」

番外個体 「ない」

結標 「だったら気にする必要ないじゃない」

番外個体 「そうなんだけどね……」

結標 「そういえば貴女、滝壺さんから話聞いた?」

番外個体 「? なんの?」

結標 「私たちにも付き合う相手が出来たって、もうみんな知ってるでしょ?」

番外個体 「うん、隠すつもりもなかったしね」

結標 「それで滝壺さんがね」


 ***

滝壺 「トリプルデートしよう」wktk

 ***


結標 「って言ってたのよ」

番外個体 「いいんじゃない? 別に」

結標 「貴女の彼ってそういうの来たがる? コミュ障でしょ?」

番外個体 「コミュ障!? そこまで酷くないよ!」

結標 「じゃ行くって言っておくから、誘っておいてね」

番外個体 「う……分かった」

結標 「大丈夫でしょ、貴女が頼めば来るわよ」

番外個体 「そうだとは思うけど……」

結標 「ふふ、当日が楽しみね。どんな騒ぎになるかしら」



~更に数日後 第7学区某所~


番外個体 「ほら、少しは急ぎなよ! 確実に遅刻だよ!」

一方通行 「無茶言うンじゃねェ! こっちゃ杖ついてンだぞ!」

番外個体 「もーー! 8時には起きろって言ったじゃん!」

一方通行 「早すぎンだボケェ!」

番外個体 「早くねーし! 私はバイト朝番だったら働いてる時間だぞ!」

一歩通行 「知るかっつの!……あ? おい、あそこで手振ってる連中がそうか?」

番外個体 「……あー、やっぱり私たちが最後だよ。あなたのせいだ」

結標 「10分の遅刻ね」

海原 「やあ、一方通行さん。お久しぶりですね」ニコニコ

一方通行 「え、オイ……なに、付き合ってるってオマエ達だったの?」

海原 「ええ、そういうことになりました」

一方通行 「」

浜面 「あ、え、え? ミサワの姐さんの相手って……一方通行か!?」

一方通行 「あァ!? 三下2号か!? 生きてやがったのか!」

浜面 「おい色々ひどいぞ!」

滝壺 「久しぶりだね、あくせられーた」

一方通行 「あ、オマエは確かあの時の……そうか、助かったのか。良かったじゃねェか」

浜面 「扱い違いすぎね!?」

一方通行 「おい、このチンピラとはどういう関係だ? なンもされてねェか?」

番外個体 「友達だよ。……あ、もしかして妬いてる?」ニヤニヤ

海原 「大切な人が他の男と親しいのは見過ごせないのですよ」ニコニコ

浜面 「赤いぞ、超能力者」

一方通行 「テメェらうるせェぞォォォ!!」ウガー

滝壺 「大丈夫だよ、そんな嫉妬深い第一位も私は応援する」

結標 「さすがの第一位も、これじゃ形無しね」クスクス

一方通行 「だからイヤだって言ったンだよォォ!」


<まあまあ、今日は楽しもうぜ。
<そうですよ、せっかく集まったんですし。
<こうなりゃとことン付き合ってやらァ!


番外個体 「……初っ端から騒がしいなぁ」

滝壺 「でも楽しくなりそうだよね」

結標 「たまにはいいわね、こういうのも」

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