上条「誰を助けりゃいいんだよ……」 > 02


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上条は一旦家に帰ることにした。
目の前で友人を攫われたにしては薄情な行動だが、彼は全く心配していなかった。
多分、その内ひょっこり帰ってくるだろう。
それよりも心配しなくてはならない人物が山ほどいる。
一度コーヒーでも飲んで冷静になろうと、部屋のドアを開けた。

するとそこには、思いもよらない人物がいた。
勝手に。

「おー。お邪魔してるぞー」

土御門舞夏。
と、


「にゃー」


意外ッ!! それはスフィンクスッ!!


「意外でも何でもねえよ! 普通に帰ってきてんじゃねえか!」

「どうしたー?」
「にゃー」

スフィンクスは少し遠出の散歩をしていただけらしい。
ペット誘拐を疑うなんて馬鹿ばかしい話だった。
知人が誘拐され過ぎて感覚がおかしくなっているのかもしれない。

「……舞夏。お前はここで何してるんだよ」
「スフィンクスと遊んでた」
「そうか。勝手にか」
「勝手に掃除と洗濯物の取り込みと晩御飯の準備もしといたぞー」
「ありがとうございます!!!」

一応、舞夏に義兄が連れ去られた経緯を告げてみた。
すると、彼女はこともなげに言った。

「んー。心配しなくても大丈夫かな。
 兄貴はいっつも私が見てないところで攫われたり襲われたり食われたりしてるけど、
 あとできちんと帰ってくるからなー」
「……そうなのか」
「兄貴はヒロイン体質なんだなー」
「……そう、なのか?」
「学園都市が舞台の小説が出来るとしたら、確実にヒロインは兄貴だなー」
「……そう、なの……か……?」

ヒーロー役の誰かにはお悔やみを申し上げるしかない。

上条の部屋に来たのは義兄の部屋の片付けのついでだったのだという。
雑談に一区切り付いたところで、舞夏は寮に帰ると言い出した。

「スフィンクスも無事だったことだし。俺もそろそろ出発するかな」
「にゃー」

額を撫でてやると、スフィンクスは迷惑そうに鳴いた。


午後3時半。
外ならスーパーへ向かう主婦で街が賑わう時間帯か。
上条はスフィンクスと共に静かな住宅街を歩いていた。
スフィンクスを連れて来る気は無かったのだが、勝手についてきて勝手に横を歩いている。
食べ物でも食いに出かけると思っているのだろうか。

「にゃー」

ふいに、そのスフィンクスが鳴き声を上げた。
1本の細い道を曲がろうとした時だった。

「ん? どうした?」
「……にゃー」

そっちには曲がるな、と言いたいらしい。

「いや、別に嫌ならついて来なくてもいいんだからさ」

上条が構わず曲がると、スフィンクスは仕方なさそうに付いて来た。

「……チッ」

「え? お前今舌打ちした? ねえ、今チッて言ったよね?」
「にゃーん」

どこへ行く当てもない。
頼れる人もいない。
さてどうしようかと思いながら、何となく駅へ向かって歩みを進める。
次の角を曲がって、歩道橋を渡れば……

「にゃー」

まただ。
スフィンクスが鳴いた。

「曲がるなって言いたいのか?」

上条が見つめると、猫の方も見つめ返して来た。
そっちは嫌だ。そう言っているように見える。

「何が嫌なんだよ。ここは危ない学区じゃないし、駅に向かう以外は何も……」
「……もしかして」
「にゃ!?」

上条はいきなりスフィンクスを抱え上げると、逃げないようにがっちりホールドし、
スフィンクスの嫌がる方向へと曲がった。

「……」

憮然とするお猫様。

「スフィンクス……お前の嫌がる方へ嫌がる方へと向かっていけば……」


御坂美琴は、そのクローンである妹達は、ある1つの悩みを持っている。
それは、小動物に嫌われること。
彼女たちは電気系の能力者だ。無意識だが常に微弱な電磁波を体外に放っている。
敏感な動物にとっては、それが怖いらしいのだ。


「――その先に、電気系の能力者がいるかもしれない!」
「猫をソナー代わりに使う……」


「これぞ『ソニャー』!!」



(俺は何を言ってるんだ)


「にゃー……」
「お、こっちがいやなのか? おうおう、嫌か? やめてほしいか? じゃこっちー」

「…………」
「こっちの道はお厭じゃないようですね。だったらあっちか」

「にゃー…………」
「次はこっちか。大通りからは離れて来たな」


「にゃー……にゃー……」
「鳴く頻度が上がってきたかも」


「にゃー…にゃー…にゃー…」

「にゃーにゃーにゃーにゃー」

「にゃにゃにゃにゃにゃにゃ」


「おお……これは……近いかも……!」

「にゃにゃにゃにゃにゃにゃ」
「にゃにゃにゃににににににににnnnnnnn」


「フギャーーーーッ!!!!!!」


「? あ、猫……」

ついにスフィンクスがキレて逃げていったところで、
上条は1人の少女を見つけた。


「み、御坂妹……?」


ソニャー恐るべし。

「御坂妹だよな?」

胸のペンダントを確認しつつ上条が問うと、少女は首をこくんと肯いた。

「はい。ミサカの検体番号は10032。
 貴方が『御坂妹』と呼称している個体に間違いありません、
 とミサカは肯定します」
「連絡がつかないって聞いたけど、元気そうだな」
「そうでもありません、とミサカは今度は否定します」

無表情のまま首を振る御坂妹。

「ミサカが連絡不能になったのは、ミサカネットワークが切断されてしまったせいなのです
 と、ミサカは眉尻を下げ困り顔で解説します」

無表情のまま困り顔の御坂妹。

「切断ってどういうことだ?」
「そのままの意味です、とミサカは理解力の無いあなたの頭を心配しつつ話を続けます。
 ミサカはミサカネットワークから切り離されてしまったようなのです」

いつも繋がっているネットワークに繋げない。
その通信機能に普段頼っている御坂妹は、突然の出来事に戸惑っていた。

「そりゃまた、何で?」
「それが分かれば苦労はしません、
 とミサカは『馬鹿ですか?』と聞きたい気持ちをぐっとこらえて和やかなコミュニケーションに努めます」
「……すいません、馬鹿で」
「謝ることはありません。貴方が悪いのではないのですから、とミサカは母性あふれる笑顔で慰めます
 ところで、病院へ行って調整してもらえれば治るかもしれない、とミサカは考えているのですが……」

始終無表情の御坂妹は、若干上目遣いで上条の顔を覗き見た。

「……送れってことか?」
「おお、とどうせ伝わらないだろうと思っていたミサカは貴方の察しの良さに感嘆の声を漏らします」

無表情だが若干頬を染める御坂妹。
なぜそこで頬が染まるのかについては、上条には知る由も無い。

「うーん……まあ、いいか」
「……忙しかったのですか?
 と、ミサカは何なら聞き分けのいい女の子を演じてみようかと考えるのですが……」
「いやいや。演じなくていいから。行くよ。体に何かあったら心配だもんな」

上条が承諾すると、御坂妹の表情が少し明るくなったように見えた。
鈍い上条にも分かる程度に。

2人連れだって総合病院にたどり着く。
お馴染みの、もはや学校よりお馴染みになってしまったのではないかと思うほどお馴染みの病院だ。

受付に行き、用件を話す。

「調整をお願いしたいのですが……」

すると、受付に座っていた看護士は、申し訳なさそうにこう答えた。


「すみません。
 先生は一週間前から欠勤されていて、連絡も無いんです。
 すでに警備員にも相談していて……
 ですので、調整は後日にしていただけますか?」


■■■■救助リスト(抜粋)■■■■

===学園都市===

御坂勢力
   御坂美琴         【誘拐】
   妹達(10033-20000)     【音信不通】
   御坂妹          【発見】
   白井黒子         【誘拐】
   初春飾利         【誘拐】
   佐天涙子         【誘拐】
   エツァリ         【行方不明】
    ショチトル       【行方不明】

その他
   風斬氷華         【現出不安定】
   スフィンクス       【解決済】
new! カエル顔の医者      【音信不通】




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