とある夏雲の座標殺し(ブルーブラッド) > とある夏雲の織女星祭(サマーフェスティバル) > 03


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~上条&麦野・垣根&初春・浜面&滝壺~

滝壺「(ムスッ)」

麦野「あれー?あれー?滝壺の機嫌がさっきと違うけど…あれー?」

浜面「それがわかんねえんだよ…なんか削板と飲み比べしてたら怒られちまった」

垣根「彼女ほったらかして男とばっか遊んでたからヘソ曲げたんじゃねえのか?クックック」

滝壺「違う。はまづらのせいじゃない」

麦野「はーまづら。こうなったらテコでも動かないよ。意外と頑固だからね。ってな訳でジョニーウォーカーとって。ブルーラベルね」

浜面「どんな訳だよ!でもってまたドリンクバー職人かよ!」

また、とある一角では所帯持ちが三組顔を突き合わせていた。
上条当麻と麦野沈利、垣根帝督と初春飾利、浜面仕上と滝壺理后である。
そしてそこにさりげなく――アイスペールとミネラルウォーターを運んでくるは

上条「ふいー。ったく。アンチスキルに通報されないか上条さんはヒヤヒヤものですよ」

垣根「貸し切りにしてっから安心しろ。そんくらいの常識はある」

初春「本当に常識あったら未成年に飲ませちゃダメなんですよ?」メッ

垣根「うっ…たまに羽伸ばすくらいいいじゃねえかかーざーりー」ギュッ

初春「ひゃっ!」

上条当麻である。水と氷が上条、酒とつまみは浜面が運んでくる。
かく言う垣根はと言うと…初春を膝にちょこんと乗せていた。
それを見て麦野は呆れ顔になる。トング片手に肉をひっくり返しながら。

麦野「伸びてんのは羽じゃなくて鼻の下だろクソメルヘン。デレデレしやがって。見てらんないわ。当麻ー鞍下食べるー?」ジュージュー

初春「(この人が…麦野沈利)」

以前、一度だけ会った事があると初春は想起する。
同時に垣根からも聞かされていた。この麦野絡みで上条は二度生死の境をさまよっている。
御坂達と共に上条を見舞いに行った時など、あのカエル顔の医者でなければ間違いなく命を落としていたほどの大怪我。
それも――他ならぬ麦野自らがその上条の身体に一生消えない傷をいくつも刻んだと。

垣根「実際大したもんだと思うぜ。ブッ壊す事しか知らないイカレたライオンみたいな女を飼い慣らしてるアイツはよ。今はもう…ライオンっつうかネコだなありゃ」

初春「そんなに…すごかったんですか?」

垣根「すげえなんてレベルの話じゃねえな。アイツの前に敵として立ちはだかって、アイツの横で味方として寄り添うって言うのはそういう事だ。血を見ずにライオンと生きてくのが不可能なようにな」

そう語る垣根の目は遠い。他ならぬ二人を知らず知らずの内に、結果として結ばれるよう後押ししたのは垣根である。
むしろ、垣根なくして上条と麦野はぶつかり合う事も、上条が告白する事も有り得なかっただろう。

滝壺「でも、かみじょうとケンカしてむぎの家出した事ある」

浜面「なんだそりゃ。可愛いもんじゃん。しまちょう食べるか?(おっ、反応した)」

滝壺「うん、食べる。それで第十九学区のブリッジが落ちた」ガジガジ

浜面「いや何やってんの?ねえ今橋が落ちたって聞こえたけどオレ酔ってるか?」


垣根「ちなみにだ飾利。コイツらは超音速旅客機パクッてロシアまで逃げたらしいぞ。でもって第三次世界大戦だ」

初春「ええー!?」

思わずスカジャンとジャージ姿の二人を見る。自分と垣根の出会いも一般的に考えれば最悪の部類に入る。
しかしなんなのだこの二人は。まるでハリウッドのヒーローとヒロインのようだと。
しかし当の浜面と滝壺はと言うと――

浜面「ジャックダニエルのシルバーか…品揃えいいなあ…何本か持って帰りてえ。俺の稼ぎじゃビールが精一杯だ」

滝壺「はまづら。焼いたらお肉持って帰っても大丈夫かな…?」

浜面「どうだろうなあ…とりあえず食おうぜ!もっぺんいただきまーす!」

いたって普通である。実に美味しそうにカルビばかりをご飯に乗せて食べている浜面と、手羽先をかじっている滝壺。
よほどご飯とお肉が嬉しそうなのか、甘いのとは違った意味で雰囲気がフワフワしている。
ワカメスープねえかななどとウロウロしたりしている。

上条「艦長さんのもなんか取りませうか?」

垣根「その呼び方やめろよなー。んじゃー鴨むねととうがらし取ってくれ」

上条「一味?七味か?」

垣根「いや、とうがらしってのはその串に刺さってる鶏肉のだ」

上条「これとうがらしってのか…えーっと初春さんは?」

初春「あっ…私は馬肉のたてがみを――」

垣根「食え食え。食わねえと大きくなれねえからな。飾利はいつまでもちっちゃいし。背の代わりに伸びたのは髪くらいか」

初春「ひどいです垣根さん!」

上条「(オレが沈利に言ったら怒られんだろうなあ…)」

ほとんど親戚の子供を膝に乗せているおじさん状態で垣根は箸を進める。
さりげなく初春の好きそうなものから優先して取り分ける辺りを見て上条は思う。
やっぱり女の子慣れしてる男は違うなと。そして麦野は――

麦野「一番変わったのはアイツだと思わない?かーみじょう」

上条「かも知れねえなあ。オレが会った時はもっとこう…ゴニョゴニョ」

麦野「とっかえひっかえだったでしょ?女をチューインガムと勘違いしてんじゃないっての!」

上条「ちょっ!声デカいって!」

滝壺「むぎの。伊勢エビ食べたい」

浜面「麦野ー!山賊焼き食いたい!」

垣根「第四位ー!自然薯頼むわー」

初春「あっ、あの…豚ハラミお願い出来ますか?」

麦野「私はテメエらのママじゃねえんだよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」

鮭がないのを不満そうにしながら焼きはらすを炙る麦野。獅子唐や銀杏や唐黍を串に刺して行く上条。
味がなくなったら吐き捨てるとまで評する麦野に、上条はそんなに悪い人じゃないんだけどなと微苦笑を浮かべた。
そしてジョニーウォーカーを一気にあおりながら肉を捌いて行く。

麦野「あーもう水で割るのも面倒臭え。ま、あの花飾りの子も大したタマね」

垣根の素性を知ってか知らずか、はたまた全て知った上で傍らにいるのか。それは麦野にもわからない事だが――
いずれにせよ見た目より腹が座っているのだろう。自分が上条当麻に寄り添うと腹を括ったように。

麦野「かーみじょう。アンタも食べなさいよ」

上条「ああ、オレいいよ。麦野こそ食えよ。代わるぞ」

麦野「麦野って呼ばない!いい加減慣れなさいよねー」

上条と出会い、共にインデックスの記憶を助けるべく奔走した去年の夏。
あの辺りからかななどと回顧する。そして今年の夏はこんな調子だ。
来年はどうなっているか見当もつかない。ただ、再来年の事だけはわかる。それは――

麦野「再来年には私も“上条”なんだからさ―――」


~織女星祭・夜店巡り~

至る所から祭り囃子と風鈴の音、ソースの焼ける匂い。
空にはいくつもの花火が浮かんでは消え口を描く。
ごった返す人波と学生達の中でも、その少年の髪色は際立って目立った。
そう、それはまるで群青色に近い髪に、チャラチャラとなるピアス――

青髪「あーアカンアカン。デメキンを真ん中ですくったらあかんねん」

そこには金魚すくいの水槽の前にしゃがみこんでいる青髪ピアスと、

心理掌握「・・・・・・」ヒョイ

金魚がすくえずにつまらなそうにしている、常盤台中学の制服に身を包んだ女学生『心理掌握(メンタルアウト)』がいた。

青髪「ん?こんなんするん生まれて初めてやって?そらそうかー常盤台のお嬢様やもんなあ」

心理掌握「......」クイックイッ

青髪「ん?僕はやれへんのかって?悪い悪い。おっちゃーん!この娘とおんなじポイちょうだい!」

店主「(げっ…コイツ知ってやがる)」

思わず店主の顔が引きつる。女性客に渡すポイの方が若干厚めなのを見抜かれていると。
仕方無しに手渡すと、青髪は心理掌握を振り返りながらニヤリと笑った。

青髪「狙うは姉金や。よー見とき?」

すると青髪は…水槽の中でも一際大きく、赤々とした金魚をその笑い目で追う。
手にしたお椀もさりげなく近づけながら。それを心理掌握も見やる。

青髪「こー言うんはな、隅っこに来るまで待つねん。そいでポイを斜めつけるとか半分つけるとか破れやすうなるだけや…」

朗々と講釈を歌い上げつつ…青髪は姉金を隅まで追い詰めた後、ポイを一気に水に浸し――

青髪「こういう時は思い切って…そいやっ!」

パシャッ!

心理掌握「!」

近づけていたお椀に水ごと金魚達をすくうようにしてゲットした。しかも

青髪「奥義、一発二匹捕りや!」

心理掌握「‐‐‐‐‐‐」キラキラ

なんと、一回のトライでまさかの二匹同時にすくい上げるという離れ技に心理掌握も目をキラキラさせる。

青髪「せやけど、これやると一回でポイが破れる諸刃の剣や。素人にはおすすめせえへん」

心理掌握「・・・・・・」コクコク

セオリーと邪道な技を組み合わせた、一回限りのテクニックだ。
あまりやると金魚すくいの店主に荒らしと見做され嫌われてしまうからだ。

青髪「ふふん。まさにどや顔や。はい!」

心理掌握「?」

青髪「君のんや。大事にしたり」

心理掌握「!?」

そこで青髪は袋に入れられた金魚のペアを心理掌握に手渡す。
それに困惑する心理掌握。しかし青髪は他者にわからぬよう、『心を読まれている』のを前提に心の中で話し掛ける。

青髪『これ(金魚)やったら、君かて心を読まれへん。声も聞こえへん。金魚もひとりぼっちにならんよう二匹やで。これで向かい合えるやろ?一個の命に』

心理掌握『――――――』

青髪『もう、周りの人間を風避けにせんでええねん。出といで』

心理掌握にとって、人間とは口から出す声と心の声を二重音声で喚き立てるつまみのイカレたスピーカーでしかなかった。
無差別に、無軌道に、無分別に心の声を垂れ流す『人間』に倦んでいた。
いつしか、心の声を垂れ流される前に周囲の人間の精神を操作し、自分の周りを無風状態にしていた。

心理掌握『………………』

自分の周りでくらい静かでいたかった。ずっと人間の心の声を聞かされ続けるのは苦痛を通り越して地獄そのものだったから。
精神を一時的な白紙にした人間をバリケード代わりに使っていると、それは派閥となり、いつしか女王様と呼ばれるようになった。
あの世に地獄なんてない。地獄は人間の心の中に存在すると悟ってから

心理掌握「…貴様、名前は?…」

今、金魚という小さな命から始めてはどうかと勧めて来た男の心が読めない。
まるで外国の絵本のようだった。絵ではストーリーを理解出来るが、文字が異国の文字を見るような訳のわからなさ。
だから話し掛けてしまった。肉声で、今金魚を手渡してきた青い髪の男に――

青髪「おおーロリな見た目よりずっとハスキーな声や。しかも尊大口調!自分、女王様キャラやろ?けどかまへんで!僕はありとあらゆるタイプを受け入れられる心の持ち主やねん!ええやろ!そんかわし、次は君が名乗るんやで!」

能力不明。本名不明。初めて自分と対等(レベル5)の中で出会ったその男の名は――

青髪「僕の名前はな――」



~禁書目録と超電磁砲~

禁書「短髪、いくら何でも飲み過ぎなんだよ。流石にもう止めた方がいいかも」

御坂「ひっくっ…ひっくっ…」

その頃、御坂美琴は開けた酒瓶や缶ビールでボウリングが出来るほど飲み尽くしていた。
涙の嗚咽なのか回った酔いなのかは机に突っ伏したままではわからなかったが、その震わせる肩を見やりながらインデックスは焼きトウモロコシにバター醤油で味つけしていたものをかじっていた。

禁書「わかるんだよ短髪。でも今日は明るいお酒にするんだよ。涙が混じったらみんな心配しちゃうかも」

御坂「どうして…かなあ」

そこで組んだ腕を枕にしていた御坂のシャンパンゴールドの髪が揺らめく。
俯き加減にまで顔を上げる事は出来ても、被さった前髪が目元を隠す。
インデックスはそれらを敢えて見ないようつとめながら夜空の花火を仰ぐ。
一年前、学園都市に駆け込んで来たのも御坂と出会ったのもこんな季節だったかと想起しながら。

御坂「思うのっ…考えるのっ…どうして私じゃなかったんだろうって…」

禁書「それはしずりじゃなくて自分だったら、って事でいいのかな?」

御坂「違う」

そして手元にあるお冷やに手を伸ばす。それを一息に飲み干す。

御坂「もっと早く出会えてたらって」

泣いても泣いても楽にならない。

御坂「もっと早く知り合えてたらって」

ただの塩水の一滴一滴が

御坂「気がついた時には第四位がいて、アンタがいて」

重くて仕方無いと言わんばかりに。

御坂「もう――私が入れる場所なんてどこにもなかった!」

タンッ!とグラスを音高くテーブルに置き、御坂の常盤台中学の制服のスカートにポタポタと涙の雫が落ちる。


禁書「短髪…」

こらえても押さえても、溢れて来る涙が涙腺を焦がし、嗚咽が喉を焼く。

禁書「それは私もおんなじなんだよ。私だって、出会った時にはもうしずりが側にいたんだよ」

インデックスはそれを空いた手でポムポムと御坂の頭を撫でながら語る。

御坂「それでも…近くに、側に、居られるアンタが…私はうらやましい…こんな風に思う自分なんて…大っ嫌いなのにっ!」

禁書「…見た目ほど良くないかも?気だって色々使うんだよ。辛くて、イギリスに帰りたくなった事もあるんだよ」

御坂「…インデックス…」

禁書「今の短髪みたいに、こっそり泣いた事もあるんだよ。しずりと一緒に泣きながらケンカした事だって何度もあったかも!」

御坂「なら…どうして」

インデックスは思う。自分だって聖女ではないし麦野だって良妻賢母などではない。
一人の一個の独立した人間であり確立された人格を持っている以上、人並みに喧嘩だってする。ぶつかったりする。
御坂が“女友達”で居ると決めたように、自分は“家族”になると決めたのだから。

禁書「――短髪と同じ理由なんだよ。離れた方が楽かもって何回思っても――」

喧嘩して、仲直りして、くだらないテレビで笑って、陳腐なドラマに泣いて――
特別な事なんて何もない日常が、何より特別だと知っているから

禁書「――出逢わなければ良かった、なんて一回も思わなかったんだよ?」

微苦笑を浮かべながらインデックスは語る。

自分達はなんて馬鹿で

鈍感で

他人の痛みを放っておけないのに

女心のわからない男を好きになってしまったんだろうと。

禁書「変だね短髪。私達は、おんなじ男の子に助けられて、おんなじ男の子を好きになったんだよ」

御坂「…ね。第四位も言ってた。私達三人、どうしてあんなバカの事…いつから好きになっちゃったんだろうね。ホント、馬っ鹿みたいね」クスッ

禁書「――いつからだったかなんて、もう忘れちゃったかも!」

御坂「…完全記憶能力はどこ行っちゃったのよ?」クスクス

禁書「短髪こそ、えんざんのうりょくはどこにいったのかな?」クスクス

御坂「残念ね!お酒回って訳わかんなくなってる」クスッ

かつて麦野沈利は語った。上条がいなければ自分は取り返しのつかない場所で、破滅的な最期を迎えていただろうと。
御坂は絶対能力進化計画で、インデックスは奪われ続ける記憶の中で、一人の力では浮かび上がれない血だまりの闇の底に沈んでいただろうと。

御坂「…馬鹿ついでに、馬鹿騒ぎするわよインデックス!あの馬鹿に飲ませまくってやる!第四位ー!ソイツ借りるわよー!」

麦野「ちゃんと後で返しなー!ほらほら行った行った!!」ドンッ

上条「うえっ!?酒臭いぞビリビリ!こっちまで匂ってるっての!やめろっ、なにすんだ!」

禁書「今夜はぶれいこーなんだよ!とうま!」

その背中を麦野は静かに見送り――それから杯を傾けた。
自分達を救った罪作りな男の背中を叩く、自分と同じ女達の笑顔を

麦野「…苦労、かけるわねー…」



~一方通行と番外個体~

一方通行「あァン?何言ってンだ呂律が回ってねェぞ」

黄泉川『今夜は桔梗や他の先生達と朝までコースだから帰らないじゃーん!だから打ち止め達にも伝えて欲しいじゃん?あっ』

芳川『一方通行?電話代わったわ。なんだか今日の愛穂、飲みたい飲みたいって聞かないのよ。構わないかしら?』

一方通行「構わねェもなにもこちとらガキじゃねえンだ。クソガキ共はきっちり寝かしつけといてやっから行き遅れのババァ同士死ぬまで飲ンでろ。ぎゃはっ」

芳川『そう。じゃあお言葉に甘えて。ほら愛穂。立って』プツッ…ツー…ツー…

あちらこちらでどんちゃん騒ぎの馬鹿騒ぎの中、一方通行は乱痴気騒ぎから少し離れた場所から打ち止めと番外個体の保護者両名からの連絡を切った。
結標達は気付いた時にはいなくなっていたが、別段気には止めなかった。が

番外個体「なんだってー?」

一方通行「黄泉川と芳川は今夜帰らねェ。男日照りを酒で潤すンだと」

番外個体「ハッ。あなたと一つ屋根の下とかゾッとしないね。どうする?あの二人がいない中でミサカが大声出したら一発で立派な性犯罪者(あくとう)の出来上がりだねえ?一方通行」

そうやって皮肉たっぷりの外連見ある笑顔を投げかけて来るのは番外個体だ。
避難所にも寄り付かず、一方通行の帰国後にフラリと姿を現したのだ。
今もニヤニヤと一方通行を見やりながらわざとらしく手羽先を食い千切って。

一方通行「ふざけンなクソが。余計な真似しやがったらお望み通り素っ裸に剥いて叩き出すぞ」

番外個体「いいねいいね一方通行。さっきの女の人じゃないけど、柄にもなく日和ったリアクションだったらミサカがっかりだよ。こんな島国くんだり殺しに追っかけて来た甲斐があったってもんだ」

かつて打ち止めと出歩いた大覇星祭のナイトパレードのように輝く夜空を見上げながら、一方通行はテーブルに足を投げ出す。

一方通行「ご苦労様ァ。テメエにいつ寝首かかれるか今から楽しみだァ」

行儀悪く椅子に身を沈め、頭の後ろに組んだ両腕を枕代わりにして。
端から見れば救いようのない裏路地のギャングの組み合わせだ。
さしずめ愛も恋も絡まないボニー&クライドのように。

番外個体「寝顔だけは可愛いもんだよ。締め殺してやろうか縊り殺してやろうか、そればっかり考えてたらいつも朝になるんだ。ミサカが大嫌いな朝に」

そう独り言のように語りながら、番外個体は御坂美琴を見やる。
白服の修道女と共に、未だ網焼きに乗せられていないウニのような頭の少年と肩を組んで一升瓶片手に笑っている。
それをやや眩しそうに見つめるのは、夜空に上がる花火の度を越した光量ゆえか。

一方通行「…コーヒー飲みてェ。取って来い」

番外個体「酒はやらないの?新発見だね。飲めないんだ。悪党気取ってたクセに」

一方通行「どんちゃン騒ぎン中で飲む気になンざならねェよ。早くしろ」

番外個体「あはっ。毒入りでも知らないよ」

そして、ドリンクとアルコールがわんさと詰まれたテーブルへと歩を進める。
熱いのがいいか冷たいのがいいか、それを聞いておけば良かったと思いながら――


いいや、2つ持っていけば




~女子会~

雲川「大将(リーダー)が馬鹿過ぎて生きるのが辛いんだけど」グビッ

白井「目が座ってますの…」

結標「いつもの事じゃない」

絹旗「超好き過ぎて生きるのがツラいの間違いじゃないんですか?」

雲川「意味がわからないんだけど」

その頃、照葉樹林(グリーンティーのカクテル)を飲みながら味噌漬けホルモンを口に運ぶ雲川は文句タラタラだった。
それにこんがり焼いた香ばしいソーセージを頬張りながら合いの手を入れたのは絹旗だった。

雲川「私の話は聞かない。すぐいなくなる。一人で勝手に決めちゃう。もうやってらんないんだけど。うんざりなんだけど。ああ足が痛いんだけど」

心理定規「明日多分むくんでるわよ。特に暴飲暴食が重なると一発よ一発。なんで慣れない浴衣なんて着てきたの面倒臭い」

神裂「慣れると普通の服よりも楽ですよ。私も昔着ていましたしね」

姫神「すごくわかる。ゆったりする」

佐天「いや、焼肉大会にドレスっておかしいですよね?お姉さん達の格好も普通じゃないですよ?」

神裂「(ぷいっ)」

心理定規「(プイッ)」

姫神「グビッ」

佐天「こっち向いて下さい」

御坂妹「着た切り雀のミサカには羨ましい限りです、といいつつミサカは残りの青林檎サワーを一気します」

打ち止め「あの人のシャツはとってもいい匂いがするの!ってミサカはミサカは自慢してみる!」

佐天「(初春に先を越されこんな小さい子にまで…)」

骨付きの牛肉に岩塩をまぶしながら佐天は独り言ちた。
もう夏だと言うのに浮いた話一つないまま終わってしまうのかと。
そしてそんな佐天の横で、子豚の丸焼きの皮をパリパリと食すは――

フレンダ「彼シャツねえ…結局、最近の子は進んでるって訳よ」ムシャムシャ

姫神「あの白い人の?淡希。割って」

結標「白州12年…秋沙、貴女強くないんだからもう少しライトなのにした方が良いんじゃない?吹寄さんからも言ってあげて」

吹寄「そ、そうよ姫神さん…というか私達女子高(ry」

姫神「お清め。淡希。早く」

オルソラ「ラム肉が運ばれて来たのでございますよ」

フレンダ「(結局、巫女服の方がタチで二つ結びがネコな訳よ)」ヒソヒソ

白井「(強気ドSに見えてヘタレ受けはセオリーですの)」モシャモシャ

フレンダと白井である。あの中庭の一件で姫神と結標の関係を知る数少ない人間でもある。
黒ビール片手にはたと二人のやりとりを見やる。ああ、この大人しそうで年下らしい方が力関係は上なのかと。

心理定規「彼もまた大量に頼んだわ…このままだと鹿肉やジビエ(野兎)まで並びそうだわ」

御坂妹「ほとんどお肉屋さんの見本市ですね、とミサカは今更ながら制服に染み付いた焼肉臭に思い当たります」クンクン

神裂「私ももう手遅れでしょうね…ずいぶん酒臭いのも移ってしまいましたし」

オルソラ「それでは焼いてしまいましょう。ジンギスカンでございます」ジュージュー

雲川「言ってる矢先でそれはないと思うんだけど…もういい。やけ食いなんだけど」

白井「そして翌日の体重計を見る度後悔いたしますの…それでも止まらないのが乙女の悲しい性ですの」

佐天「大丈夫ですよ皆さん!赤信号、みんなで渡れば――」

姫神「全滅」

佐天「」

結標「やめなさい秋沙。私はもういいわ。なんか甘いのでしめる」

絹旗「甘いのは超別腹ですからね!」

姫神「太るのは。同じ腹」

絹旗「orz」

結標「だからやめなさい秋沙。貴女酔ってるでしょう?」

御坂妹「ジンギスカンの歌は歌えますか?とミサカは上位個体に無茶振りをします」

打ち止め「…?ジーン、ジーン、ジーンギスカーン?ってミサカはミサカ隣のお姉さんにバトンタッチ!」


神裂「ジーンギスカーン…ふーふふーふーふふーふーふふふふふ…あ、あら?続きはどうでしたっけ?」

そして、色とりどりの花が咲き乱れる向こうでは――



~花より男子組~

服部「この中に裏切り者が3人いる」

ドン!とビッグマンの4リットルボトルを前に芝生に座り込みながら服部半蔵は厳かに、そしてキッパリと言い放った。

垣根「何の話だよ。あと焼酎を牛乳で割るんじゃねえ気色悪い。せめてコーラにしろよ」

訳がわからないと言った風体で神戸スタイルのハイボールをあおるは垣根帝督。
キンキンに冷やしたグラスとウイスキーとソーダで自作した氷無しである。

浜面「おい、大丈夫か?しこたま飲まされたな」パシャッ

上条「ま、まだ大丈夫だ…沈利と付き合ってなかったら完全にアウトだったけどな…ビリビリ強過ぎる…」

そしてテーブルに突っ伏したまま緑茶で酒気を追い払おうと務めるは上条当麻。
その隣で物珍しいイケムのワインボトルを携帯電話のカメラで写メるは浜面仕上。

一方通行「リアル電氣ブランだなァ!かかききくけここpwpwujmwmduj死d.dkqwgmg」

番外個体の罠により、無味無臭のウォッカをコーヒーにぶち込まれ壊れているのは一方通行。
演算補助も切られていないのに呂律が回らず、ベクトル操作でアルコールを飛ばす事すらままならない。

土御門「裏切り者って俺の事かにゃー?」

ステイル「まだ生きていたのか」

土御門「夏だからこんがり小麦色ってレベルじゃなかったにゃー」

そしてようやく女子供から離れられ、思う存分タバコを飲んでいるステイル=マグヌス。
そして危うく焼け死にかけながらも生還した土御門元春が豚の生レバーをつまんでいた。

フィアンマ「裏切り者とはなんだ。俺様はお前達の仲間になった覚えはないぞ。そして貴様。その手形はなんだ」

削板「雲川にひっぱたかれた!根性で耐えねば奥歯を持っていかれた!」

フィアンマ「そうか。ところでそのドラゴンはなんだ」

削板「よくぞ聞いてくれた!これは型抜きだ!俺の根性の一作、昇り龍!!」

削板が遊んでいた型抜きの昇竜をしげしげと見やるは右方のフィアンマ。
さらにほっぺたに夜空に浮かぶ花火より真っ赤なビンタを食らったのは削板軍覇だ。しかもとうの半蔵は

服部「俺の!俺の!俺の話を聞けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

上条「古っ!上条さんだってわかるっつうの!」

垣根「五分も聞いてやれねえぞ。なんだってムサい男ばっかで飲まなきゃならねえんだ。酔いが冷めちまう」

フィアンマ「おいそこの忍者。二分に縮めろ」

白けた様子で垣根が首を傾げる。垣根は醒めるほど酔ってはいないが半蔵の目は座っている。
焼酎の牛乳割りなどと悪酔いしそうなゲテモノを飲みながら、半蔵は叫ぶ。

服部「裏切り者ってのは他でもない…垣根浜面ウニ頭!お前らだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」デデーン!

一方通行「チンピラ・三下、アウトォーあはっぎゃはっforilubmgzl-」

三人「「「オレ!?」」」

削板「避難所の仲間を裏切るとは根性の腐ったヤツらめ!ブッ飛ばしてやる!」ファッ!

垣根「落ち着けナンバーセブン!おら!ポッペン咥えろポッペン!」

土御門「オレじゃなかったんだぜい。でも…ぷぷっ…なんでその三人が裏切り者なのか…くくっ…教えてくれないかにゃー?」

いきなりの告発にギョッとする三人。そこに土御門がビールケースに腰掛けながらニヤニヤと豚タンを味噌で味付けしながらかじっていた。
すでにわかりきってはいたが、敢えて言わせたいのだろう。そこに

フィアンマ「なるほど。女か」

フィアンマの合いの手が入り

服部「そうだ赤いヤツ!お前達三人の罪…それは彼女持ちだって事だ!!」

ドーン!と効果音のつきそうな人差し指を突きつける半蔵の告発に

垣根「はあー?」

耳に手を当てもう一回言ってみろのジェスチャーを送る垣根

上条「ちょっ、ちょっと待てって!上条さんは寝耳に水ですよ!?」

突き出した両手を振って無罪を訴える上条

浜面「そんなこったろうって思ったよ…長い付き合いだしなあ…あっ、赤毛のお兄さんもう一回火貸してもらっていいスか?」

ステイル「ふむ」シュボッ

垣根「オレも吸う。浜面一本くれ」シュボッ

浜面「お前吸うのか」プハー

垣根「飾利と付き合ってから止めてたんだが、酒入るとたまーに吸いたくなる」

ステイル「何を吸っていたんだい?」

垣根「ダビドフ。マグナムな」

ステイル「ああ。そのブランドなら香水は買った事があるよ」

服部「話はまだ終わってねえぞ!」

呆れ顔でマイルドセブンを咥える浜面、火を貸しつつ自分も二本目に火をつけるステイル、そこに垣根も加わる。
もちろん上条も一方通行もフィアンマも削板も吸わないためなんの話かわからないが――

浜面「なんでだよ。郭がいるだろ」

服部「アイツは違う!そういう対象じゃねえ!」

垣根「わかった。あの警備員か」

一方通行「黄泉川かァ?黄泉川なら今頃飲み歩いてンぞォ?三十路間近で女子(笑)飲みだとよォ」

フィアンマ「男の嫉妬は見苦しいぞ」

上条「(完璧に酔ってるもんなあ…弱ったなあ)」

口々に好き放題に言う面々。半蔵曰く、不思議系天然美少女だの、年上の綺麗なお姉さんだの、年下も年下の妹系中学生など持っての他だと。
それを聞いて土御門はニヤニヤし、削板は夜店が買ったガラス風船のポッペンで遊んでいた。だが

削板「なら、ここで根性出して誰かに話しかけてみたらどうだ?」ポッペンポッペン

服部「お前ら分けろ!むしろもげろ!そうだ声かけ―――えええ!!?」

そこで、削板の言葉に半蔵の弾劾が一時止む。そこに削板がさらにかぶせる。

削板「?オレは硬派だからよくわからんが、こういうのは男から声をかけるものなんだろう?」

キョトンとしながらポッペンを膨らませたり吸ったりして遊んでいる。
次はヨーヨーで遊ぼうと思案している合間の何気ない一言だったのだろう。
しかしこんな展開を待っていたのか――

土御門「ここから先は俺に仕切らせてもらうんだぜい!」

全員「!?」

土御門が立ち上がった。


~男闘呼組(欠席:青髪ピアス)~

土御門「という訳で仕切りはオレがやる。異論、異存はないな?」

一方通行「ウォッカに火点けンじゃねえ」←やっと抜けてきた

何故か囲んだ卓の中心になみなみと注がれたバルカンウォッカに火を点け会議を開く土御門元春。
他のメンバーはめいめい好き勝手やりながらその席についている。議題はもちろん…

土御門「服部半蔵を男にする。が、既に収まってしまった麦野沈利、初春飾利、滝壺理后は除かせてもらう」

上条「上条さんは沈利一筋ですよ」

垣根「飾利はオレの花だ。何人たりとも触れさせねえ」

浜面「(言えねえ…まだキスしかしてねえだなんて言える空気じゃねえ)」

頭をポリポリとかく上条。そう、内容は至って単純…半蔵が女の子一人一人を見定め、それを他の男がジャッジし、GOサインを出すか否かである。
そう、一言で言うなれば――『お前ら中学生か』という話である。

服部「じゃあ…あそこのグラマラスでポニーテールのお姉さんだ!!見た感じ年上!やっぱり女は二十代半ばからだろ!」

そこで半蔵が焼酎の牛乳割り片手に指名したのは――『聖人』神裂火織であった。が

土御門「デテーン!半蔵、アウトー」

フィアンマ「ふんっ」ドゴオオオ!

服部「ごっ、があああああああああァァァァァァァァ!!?」

いきなりのチョイスミスにフィアンマの『聖なる右』が尻に突き刺さる。
黄泉川と似たようなスタイル、落ち着いた物腰に惹かれたにも関わらず、だ。

服部「いきなりクライマックスかよ!理由を言ってくれ!」

『聖なる右』で尻をブッ飛ばされて尚立ち上がる時点でもう色々おかしいが、ともかく半蔵は起き上がった。

土御門「理由は二つだにゃー。まずねーちんはまだ18、本人に聞こえたらキレる。でもってカミやん寄りだから脈は薄いんだぜい」

服部「くっ…じゃあ隣に座ってる、あのムチムチした修道女さんだ!顔しか肌が出てないけどそこがまた禁欲的でいい!」

土御門「それもまた外れなんだぜい…オルソラは本物のシスターだ。男性との接触は本来好ましくない上にカミやん寄りなんだにゃー」

服部「…念の為聞く、あの白いシスターは?」

土御門「――カミやんと麦野と暮らしてる。後はわかるな?」

服部「ウニ頭!お前って奴は!お前って奴は!!」ガクンガクン!

上条「上条さんのせいでせうか?!濡れ衣だー!」

いきなりの三枚落ちに上条の肩がガックンガックンと揺すられる。
この場に青髪ピアスがいれば言っただろう。美少女独占禁止法違反で死刑だと。

上条「」

服部「ちくしょう…持って行かれた!」

フィアンマ「不様だな」

一方通行「まさかねェとは思うが、うちのガキ連中名指しにしたら愉快なオブジェでスクラップだかンな。あと超電磁砲も三下寄りだァ」

浜面「女子20人だから…もう半数は声かけらんねえ計算になるか」

垣根「心理掌握も見当たらねえ。残り9人だな」

ステイル「女性を品評するような真似は好ましくないと僕は思うがね…」フー

残すは姫神・結標・吹寄・佐天・黒子・フレンダ・絹旗・心理定規・雲川である。
だいぶ絞り込めたな、と土御門は悪い笑みを浮かべる。本番はここからだと。

服部「悪いんだが…流石に中学生は勘弁してくれ。垣根ほど開き直れない」

垣根「法律もアグネスもクソッ喰らえだ。オレが好きだと言っている。あとあのドレス着た女も確か中学生だぞ」

服部「本当かよ!?ホステスかと思ったぞ!」

浜面「なら絹旗も抜いて…フレンダは微妙だな。グレーか」

土御門「最終的には姫神秋沙、結標淡希、吹寄制理、フレンダ、雲川芹亜だぜい」

土御門がまとめに入る。中学生はアンチスキルのお縄になりたくとの理由から女子高生ばかりがリストアップされた。が

服部「雲川副委員長は外してくれ」

上条「雲川先輩が?」

そこで半蔵が挙手する。まだ1ヶ月半程度の付き合いだが、見えてくるものも確かにあるのだ。それは

服部「(雲川は多分…)」チラッ

削板「なんだ?まだ紅葉が残ってるか?」

服部「いや…ところで削板…お前は雲川をどう思う?」

削板「ん!根性のある女だ!仕事はタフだし、踵落としも大した威力だ!」

服部「…なんでもねー。聞いたオレが馬鹿だった…(雲川が不憫過ぎて泣けてくる…)」

ムシャムシャと焼き鳥のちょうちんを貪る削板を見やりハーと溜め息が出る。
こんな脳内メーカーが『根性』で埋め尽くされているような男が相手では到底無理だ、と雲川に心底同情せざるを得ない。

人を見る目は確かなのに、毒を持つ人間を受け入れるだけの器の広さを持っているのに、何故女心だけわからないのか問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。その上

垣根「オラオラ行け行け。骨は拾ってやるからよ」

服部「フラれるの前提かよ!」

さらに垣根が尻を叩き

削板「当たって砕けろの根性だ!涙の数だけ強くなれる」

服部「アスファルトの花じゃねえ!砕けたら意味ねえだろ!」

削板が肩を叩き

フィアンマ「安心しろ。酒だけはある」

服部「優しいけど!優しいけど優しさの捉え方がねじ曲がってんだよ!」

フィアンマが無責任に背中を押し

ステイル「行け。無能力者」プカプカ

服部「そこで使うセリフじゃないだろ!しかも輪っかつくりやがってちくしょう」

ステイルがおざなりなエールを送った。

上条「いいぜ…お前が(ry」

服部「その幻想は殺さないでくれ頼むから!!」

土御門「男は度胸!なんでも試してみるもんなんだぜい!」グイグイ

服部「押すな押すな!押すなー!」

そう――ここから始めるのだ。服部半蔵を

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