美琴「……Get Backers?」 > 3


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蛮「ふぅ……案外あっさりしてたなぁ」シュボ

銀次「学生の街だよ? 煙草吸ってていいの?」

蛮「こんな辛気臭ぇとこまで見えてねぇさ」スパー

銀次「でも、『レムナント』って思ってたのより小さいね。人工衛星に積んであったものなのに」

蛮「さらに、そのサイズで世界最高のスーパーコンピューターとしての演算能力までありやがるしな」

MAKUBEX『そんな所でくつろいでていいのかい?』

蛮「ふん。こっちは朝っぱらから街中を走り回ってたんだぜ? 一服くらいさせろよな」スパー

銀次「この人達は誰に雇われてたんだろうねぇ」ガサゴソ

蛮「ロクでもねぇとこだろうよ。それにしても、この街はおかしな所ばっかりだな……。少し奥に入っただけで、あそこまで血の匂いを漂わせてんだからなぁ」

銀次「やっぱり、無限城に空気が似てるよね……」

蛮「ま、こんな物騒なもんの取引するには最適なんだがな」ポンポン


蛮が何気なく『レムナント』の入ったキャリーケースを叩いた。
すると、キャリーケースが消え去ってしまった。

蛮「なっ!?」

銀次「どうしたの蛮ちゃ……!? 蛮ちゃん!? キャリーケースはどうしたの!?」

MAKUBEX『一体なにg……』フッ

……カチャン

蛮の持っていた携帯電話は、キャリーケースと同じ様に突然消え去った。
そして折りたたまれ、コルク抜きに貫かれた状態で突如蛮の目の前の空間に現れ、地面に落ち無機質な音を立てた。

蛮「くそっ! 一体どうなってやがんだ!?」

蛮は慌てて周囲を見渡す。すると視界の端に、奇妙な格好をした女がキャリーケースに腰掛けている姿が映った。

銀次「あの娘が座ってるのって……まさか……」

蛮「おい、そこの露出狂女……。けしからん格好してやがるが……そんなことよりもいま、何をしやがった? 返答次第では、どうなるかわかってんだろうな」

???「ふふ、どうするつもりなのかしら?」

蛮「……」カチャ

蛮はサングラスの位置を正し女を睨み付ける。本気を出すつもりなのだ。

???「あら、そんな怖い顔しないでよ」

???「まぁ、これだけの距離ならあなたが私に近付く前にこれで打ち抜くけどね」カチャ

言いながら、懐中電灯を振り回すと、携帯電話を貫いていたコルク抜きが女の手の中に納まっていた。

蛮(ちっ、もしや空間移動能力者(テレポーター)か!? くそが! 触れずに物体を移動させるなんて反則だろ!!)

蛮「銀次!!」

銀次「うん、てぇぇい!」バチバチ

???「ち、電撃使い(エレクトロマスター)……今回の仕事内容といい、私への当て付けかしら?」スッ

ヒュン

銀次が雷撃を放つと同時に、女が手に持った懐中電灯を二人の足元へ向けた。すると、蛮と銀次の足元で横たわっていた男達が女の前にまるで盾になるように出現した。

銀次「くそ!」ギュイン

とっさに雷撃の軌道をずらし壁に打ち付けた。

???「気を失った人間には当てたくないって!? 甘っちょろいのね……っ!?」

しかし、目の前の男達が地面に落ち、視界が開けると、すぐそこに拳を握り締めた男がいた。

蛮「寝てろやぁぁぁ!!」ブン

フッ

しかし、たしかに女の目と鼻の先まで迫っていた蛮の拳は物体に当る感触を感じることなく、空に向かって打ち出されていた。
さらに力強く踏み込んでいたはずなのだが、体は異様な浮遊感にみまわれ、重力に引きずり込まれるように背中から地面に打ち付けられた。
その上に、先ほどの男達四人が降ってきた。

蛮「がぁぁ!」ドスンドスン

銀次「蛮ちゃん!? 大丈夫!?」

蛮「……」

???「あら、この程度でお仕舞いかしら? ひどくあっけないわね……ふふ」

女はその艶かしい豊満な胸の下で腕を組んで余裕の表情を浮かべている。
しかし、その額には汗がじんわりと浮かんでいた。

???(まさか、私が盾を張って一時的に視界を悪くすることを読んでの動きかしら……。でなければ私が能力を使ってから動いたことになる……。私達の距離は十メートルはあったのよ? とんでもない判断能力に運動能力ね……)

銀次「く、テレポートなんて……どうすれば」

???「あら、私の能力をあんな半端なものと一緒にしないで欲しいわね」

ヤレヤレと女は肩をすくめる。

???「そういえば、まだ名乗ってすらなかったわね」

結標「私の名前は結標 淡希。能力はLEVEL4の空間移動系、能力名は『座標移動(ムーブポイント)』。テレポートなんかと違って空間移動させる物体に触れる必要がないの」クルクル

自らを語りながら手に持った懐中電灯をバトンのように回している。

銀次「……その懐中電灯で対象を決定しているんだね?」

結標「あら、案外鋭いのね? 微妙に違うけど、そんなものよ……。これが無くても能力は使用できるけどね」

銀次「……自分の手の内を、そんな簡単に明かしちゃっていいのかな」

結標「理解したからって私の能力から逃げられると? 私の座標移動は飛距離は800メートル以上、重量は最大4.52トンまで転移可能よ?」

銀次「くっ……」グッ

結標「それに、自分がどんな人間に殺されるのか……。何も知らないのは嫌でしょ?」スッ

そう言うと結標は懐中電灯を銀次へと向けた。

銀次「……キャリーケース、どうするつもりなの?」

結標「……いまさらこれを使ってどうこうしようって気は、ないわね」

銀次「前に、それを利用しようとしたんだね?」

結標「……えぇ、そのおかげで今はこんな仕事をやらされてるんだけれど」

結標は苦虫を噛み潰したような顔をした。

銀次「『レムナント』の回収?」

結標「いいえ、『レムナント』を狙った連中の始末よ。これを不用意に使われるのは、学園都市的には避けたいみたいね」

銀次「それで……君は、上手くいかなかったんだね?」

結標「……。本当にね……。あんなまがい物に振り回されるなんて、お笑いよね、ふふ……」

結標は自嘲気味に笑う。

結標「都合よく『レムナント』が手に入り、それを生かしてくれそうな組織も見付かる。出来すぎよね?」

銀次「……」

結標「結局、掴まされたのは偽物だった。最も、今回の件がなければいつまでも自分がしくじっただけだと思い続けていたでしょうけど……。風紀委員(ジャッジメント)の小娘には言い負かされて、仲間は人質として今も捕らえられたまま……。恐らく、私を暗部に引きずり込むためのものだったのよ……あの騒動自体がね」

蛮「そいつは……不運だったな」ガサッズルッ

銀次「蛮ちゃん! 大丈夫!?」

蛮「あぁ、ったく男四人も乗せやがって……」

結標「あら、壁に埋められなかっただけマシじゃない?」

蛮「うるせえな、殺すぞ?」

結標「出来るかしら?」

蛮「楽勝だな。だから、殺されたくないならそいつを置いてさっさと消えな。もっとも、テメェ自身をテレポートさせられるんだったらな」

結標「っ!?」

蛮「気付かねぇとでも思ったか? さっきから一回もお前自身がテレポートしてんのを見てねぇんだせ? 少しは怪しいと思うだろ。ま、今のリアクションを見る限り予想通りみたいだな」

結標「ふん、だから? それが、私を殺せる理由になるの?」スッ

結標は懐中電灯を銀次から蛮へと向け直す。

蛮「あぁ……俺様の、とっておきを見せてやるよ……」カチャ

蛮は、サングラスを軽く指で持ち上げ、結標を睨み付けた。



――第十八学区 素粒子工学研究所

麦野「予想以上にショボイ守りだったわね……」

滝壺「そうだね。本来、ここを『スクール』が襲撃したら、私達に防衛させたかもね」

そう会話する二人の周りには無数の死体が散乱していた。

麦野「ま、あっちに付くとはあの女も思わなかったでしょうね。それなりの能力者でもいるかと思ったのに……あんた連れてくる必要なかったかしら」

滝壺「別に暇だったからいいよ……。きぬはた達は終わったみたいだね」

麦野「そうみたいね、さっさとこいつを運び出しましょうか」

麦野がパンパンと手を叩く。
二人の横にいた男二人が金属製の巨大な箱へと近付いていった。

滝壺「それにしても大きいね、『ピンセット』って感じには見えないんだけれど……」

麦野「ま、大方これをばらしてからまた組み立てたりするんでしょうよ」

二人の男が巨大な箱に手をかけた時だった。
麦野と滝壺が見ている巨大な箱の奥で、バギン!! と音を立てて、壁がドアのように四角く切り取られていた。

麦野「あぁ?」

滝壺「誰もいないね……」

しかし、突如目の前から「ギャァァァァァ!!!!」と絶叫が響き渡る。
巨大な箱の近くにいた男達の皮膚が消失していた。
それからも様々な部位が消失し、最後には骨だけになり、人であったものは崩れ落ちた。

麦野「……どうなってんのよ……トラップ!?」

滝壺「わからない……でも、むぎのここは危険かも……」

ターゲットを運び出そうとすると襲撃を受けるのか、たった今襲撃が行われたのか。それが、わからずにいるため、二人は動き出せずにいた。
部屋の中に声が響いた。

???「LEVEL5を失うのは心苦しいな。君にもそれ相応の価値があっただろうに」

どこからともなく聞こえる。

麦野「は? なにあんた? 誰に喧嘩売ってるかわかってるわけ?」

???「〈第四位〉『原子崩し(メルトダウナー)』の麦野沈利だろう? ……それに『能力追跡(AIMストーカー)』の滝壺理后か……実に惜しい人材だな」

麦野「わかってるわけね……」

???「これでも学園都市統括理事長直属部隊だからな。我々は。そろそろお別れの時間だ、神への祈りでも済ませたまえ。もっとも、この世に神などいないがね……」




――第十八学区 素粒子工学研究所 裏口

???「さて、次は〈第二位〉だったかね?」

白衣を纏った中年男性が言う。それに答えるのは彼の右隣にいる銀色の獣型のロボットだった。

機械の獣『えぇ。それにしても、LEVEL5がこうもあっさり倒せてしまうとわ……流石ですね博士』

博士「『オジギソウ』自体が目視できる物でないからな。いくら高位の能力者でも、こちらを認識する前に倒してしまえば問題ない」

機械の獣『しかし、上の連中はもっと早く情報を知らせるべきですね。もう少しで持っていかれるところでしたよ? 『ピンセット』』

博士「上には上の考えがあるのさ」

そう言って博士と呼ばれた男は、機械の獣の頭を撫でた。

機械の獣『それで、〈第二位〉は現在第七学――』

機械の獣が、跡形も無く吹き飛んだ。博士の右腕の肘から先と共に。

博士「ぐぁっ!?!?」

博士は無駄とわかっていても右腕の傷口を左手で押さえる。

???「ありゃー? 外れちゃったかにゃーん?」

博士は声のした方――第十八学区 素粒子工学研究所へ目を向けた。
先ほどまでなかったはずの巨大な穴から、女が二人出て来ていた。

麦野「声が二つしたと思ったんだけど、吹き飛ばしたかな?」

博士「貴様……」

麦野「ま、どうでもいいけどね。声の感じからして、私が用あんのはあんただし」

博士「なぜ……」

麦野「正直、何をされてるかがイマイチわかんなかったのよね。だから、ナノデバイスかそれに近い極小の物質かなんかだとふんだわけ。ま、だから私の能力で当り一面吹っ飛ばしてみたのよ」

博士「無茶苦茶な……!!」

麦野「これがLEVEL5なのよ? 舐めてんじゃねぇよクソ野朗」

博士「くっ!!」カチャ

博士は慌てて小型端末に手を伸ばし、『オジギソウ』へ指示を飛ばそうとした。

ドォッ!!

しかし、操作を行う前に左腕が消し飛んだ。〈第四位〉『原子崩し(メルトダウナー)』の能力によって。

博士「がぁぁぁぁ!!」ブシュッ

麦野「さて、えぇっと……。あーっと……。あ、そうそう、『そろそろお別れの時間だ、神への祈りでも済ませたまえ。もっとも、』そんなことしてもブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い。だけどなぁ!!」

ズバァ!! 無数の光線が発射された。



――とある一室

ガチャリ

麦野「いま帰ったわよ」

滝壺「ただいま」

絹旗「あ、おかえりなさい。あれ? バカ面はどうしました? やっと死にましたか?」

麦野「あぁ、うん。巻き込んじゃった」テヘッ

絹旗「へ……? ……へ?」

楽しそうな表情を浮かべる麦野。溜まっていたゴミを全部捨て去ったような、清々しい笑顔だ。
一方で、笑顔で迎え入れたはずの絹旗の表情はなんとも言えないものである。まるでこれは、

麦野「そんな、ペットが死んじゃった……みたいな顔しないの。また、どっかで拾ってくるからさ」

絹旗「……はい」

絹旗は俯いて力なく返事をした。

浜面「ちょっと待てーーー!!」ググッ

麦野「あら、遅かったわね」

浜面「予想以上に重いんだぞ!? これ!! あと、勝手に殺すなよ!! あとあと、なんだよペットって!! 仲間だろ!? ……仲間でしょ? 仲間だよ……な……?」

絹旗「……」ゴッ

浜面「ぐぉっぱ!!」ドゴンッ

絹旗が渾身の力(能力未使用)で浜面の鳩尾を殴った。

浜面「な、なぜ……」ドサッ

絹旗「バ、バカ面のクセに私に心配させるなんて超ムカついたからです!!」

浜面「あ、心配してくれてブルァァァ!!」ドゴガス

絹旗「っ!!」

顔を赤らめた絹旗が、ただひたすらに浜面を蹴りまくる。

麦野「それ壊すなよー」

滝壺「大丈夫。私はそんなはまづらも応援してる」

???「……」クスッ

浜面「た、助け……」



――第七学区 裏路地

???「そいつぁ、ちょっと待ってもらおうか」バサ

言葉の後、結標は壁に叩きつけられていた。真っ白な翼によって。

結標「がぁぁ!?」ドゴン

銀次「な、なに今の……? もしかして……」

蛮「邪眼じゃ……ねぇよ」

キャリーケースの隣に天使が降り立った。正確には、天使の翼を生やした新人ホストのような風貌の男だが。

???「争うなら俺がコイツを持ち去ってからにしてくれ」ガシッ

そう言うと長身で茶髪のその男は、『レムナント』の入ったキャリーケースに手を掛けた。

結標「がはっ、ごほっ……。アンタ、それは私が持って行くのよ!!」

???「やってみろよ。お前の能力がこの俺の前で使えるんならな」

結標が懐中電灯を向けても男は何もしなかった。そして、キャリーケースも男も転移されることはなかった。

結標「なっ……!? なんでよ!? くそっ!!」

???「ここは俺の未元物質で満たされてる。お前らはこの3次元の空間を、一度11次元の座標に置き換えてから3次元の空間で物を転移させるわけだ。だが、その大元になる空間を俺の未元物質が歪めてんだ、ここはもうお前の知ってる空間じゃねぇんだよ。さっさと消えな、俺は格下のやつをわざわざ殺すほどまだ人間を捨ててねぇ。テメェの周囲はまだ普通だから、さっさと転移しろ」

結標「くっ! アンタが〈第二位〉なのね……。アンタの相手は……私ごときじゃつとまらないか……」シュン

結標は、男を忌々しげに睨み付けてから消えた。

???「さてと……あんた達も消えてくれねぇか? あの女が言った通り、俺は序列〈第二位〉の垣根 帝督だ。能力は『未元物質(ダークマター)』、ただの人間にどうにかできるものじゃねぇと自負してるぜ?」

蛮「あ? なにアホなこと抜かしてやがるんだ? ファンシーな翼生やしやがって、似合ってねぇぞ?」

垣根「心配するな。自覚してる」バサッ

そう言うと、垣根は翼を大きくはためかせ、烈風を発生させた。

蛮「は、その程度でどうにかなるとでも思ったのかよ!!」

蛮はその中を一気に走り抜け、垣根の目の前で拳を振るい、それは柔らかそうに動く一枚の翼へと突き刺さった。

蛮「なっ!?」ミシィッ

だが、翼はその見た目に反してそこらの鉄骨を超えるほどの強度を誇っていた。蛮の拳から血が滲みでた。

垣根「動きは能力者と比べても圧倒的に速い、腕力も異常だな……。さすが、『バトルの天才』だな。ただ、その程度でどうにかなると思ったのか?」バサッ

他の翼を蛮に打ち付ける。すると蛮は先ほどまでいた場所にノーバウンドで弾かれた。
それを銀次が支える。

銀次「大丈夫!? 蛮ちゃん!?」

蛮「くそ……」

垣根「お前の力を見せてみろよ雷帝」

銀次「く、うおぉぉぉ!!」ビリビリ

銀次は雷撃を撃ちだした。

垣根「……こんなものか? 雷帝の力ってぇのは……。正直、期待外れだな」

垣根は自分に覆いかぶせるように翼を展開させる。銀次の雷撃は翼に当たると消失した。

銀次「へ!? なら!!」

銀次はすかさず、先ほどよりも高威力な雷撃を放つ。

垣根「おいおい、俺の未元物質はまず電気を通してねぇんだぜ? もちろん磁力もな。だから、いくら威力を高めても無駄だぜ? ちっとは学習しろよ」

銀次「うおぉぉぉ!!」バチバチ

銀次はさらに力を込める。

垣根「あぁ、なるほど……。電気を利用した熱で未元物質を破ろうとしたか。だがよ、その程度のことに俺が気付かないとでも思ったのか? ……底が知れるぜ? 雷帝」

呆れたように呟くと、垣根は翼をはためかせ、再び烈風を生み出した。無数の真空の刃が含まれたそれが銀次を襲う。

銀次「がぁぁぁ!!」シュパ

蛮「銀次!?」

銀次「大丈夫、少し切れただけだよ。動くのにも問題ない。……ただ、あいつヤバいよ……普通じゃない」

蛮「これが、学園都市のLEVEL5の力か……。ち、一千万程度じゃ割に合わねぇぞ!!」

二人は改めてこの街の恐ろしさを知った。ただの街ではないことはとっくに気付いてはいたが、ここまで出鱈目な力を取り扱っているとは思いもよらなかったのだ。
ゴクリと唾を飲み込み、緊張な面持ちでいる二人を、垣根はつまらなそうに眺めていた。

垣根「噂のGet Backersもこの程度かよ。連中が騒いでたからどんなもんかと思えば……。片方はただのパワー馬鹿で、もう一方は……これなら超電磁砲(レールガン)のがまだマシってレベルだしな……わざわざ足止めさせる必要もなかったかもな。外の世界ってのは予想以上に大したことなさそうだ。お前はどう思う?」

フレンダ「いや、あの状態から怪我一つないんだし、十分化物よ……。結局、LEVEL5がそれを上回る化物だったってだけじゃないの?」

銀次「き、君は……」

フレンダ「やっほー。さっきは顔合わせなかったけど、また会ったわね。あれで死なないなんてとんだ化物ね、あんた達」

蛮「さっきはどうも……おかげで無駄に時間喰っちまったよ」

垣根「ふん、埋もれたフリでもしてりゃ、こんなことにならなかったのにな……」

蛮「は、どういう意味だよ」

垣根「弱っちい姿さらして、惨めな思いしなくてすんだのになってことだよ」

蛮「んだとぉ!!」ダッ

???「止めなさい」

垣根の元へ駆け寄った蛮だが、その一言で動きを止めた。声は、垣根の後ろにいたドレスを纏った少女から発せられていた。

垣根「わざわざ止める必要なんてなかったぜ? 心理定規(メジャーハート)」

心理定規「この人、なかなか興味深いのよ。人との心の距離のバラつきが極端でね」クスッ

蛮「くっ」ブルブル

蛮は拳を振りかぶった状態で止まっている。

心理定規「特に興味深いのは、工藤卑弥呼ね。この感じはまるで……っ!?」

蛮「うおぉぉぉぉぉ!!!! 蛇咬(スネークバイト)ォォ!!」バチン

垣根「ちぃ!!」バッ

心理定規へと向けられた拳を垣根が未元物質で受け止めた。しかし、先ほどとは違い勢いに押される。

垣根「好奇心旺盛なのは構わねぇが、面倒ごとを増やすんじゃねぇよ」ドゴッ

翼を蛮に打ち付ける。またも蛮の体は弾き飛ばされた。

心理定規「ありえない……私の能力を自力で打ち破ったなんて……」

垣根「なんか、触れちゃならんことにでも触れたんじゃねぇか? ああ見えてだいぶ繊細みてぇだぜ?」

垣根(にしても、今のはなんだ? さっきまでと比べると明らかに違ぇじゃねぇか……)

蛮「てめぇら……」ユラリ

蛮は銀次からさし伸ばされた手を払いのけ、静かに体を起こす。そして、

蛮「調子乗ってんじゃねぇぞ!!」

一気に駆け出した。が、人影に遮られる。

???「蛮、少しは落ち着きなさいよ! 今のままじゃ絶対に勝てないわよ!」

銀次「卑弥呼ちゃん!? なんでここに!?」

卑弥呼「仕事よ。あんた達と一緒でね」

蛮「……邪魔だ」ドン

卑弥呼を横にどかし、歩を進める蛮。

垣根「なんだ? 仲間が増えたか? ま、そんな女一人で何が変わるとも思えねぇが……」

卑弥呼「……あら、舐めてると痛い目見るわよ?」

そう言いながら卑弥呼は小瓶を口元へ近づける。
すると、ゴウッ!! と轟音を響かせ火を噴き出した。

垣根「んだ? ただの曲芸か? くだらね……っ!?」

目の前に迫る炎へ翼を展開させる。しかし、その時には卑弥呼と蛮は垣根の横に回り込んでいた。

フレンダ「なっ!? はやっ!?」バッ

フレンダはすぐさま小さな道具を取り出す。あらかじめ仕掛けておいたテープを着火させるためのツールだ。

卑弥呼「遅いわね。あんたじゃ、『加速香』を吸った私の相手にならないわ!」フッ

卑弥呼は手に持っていた小瓶を振りかざす。

フレンダ「は!? なによ……そ……れ……」パタン

卑弥呼「『催眠香』よ、しばらく眠ってなさい」

蛮「隙だらけだぜ!! ……ッ!?」

フレンダが地面に倒れこんだその横で、蛮は今まさに垣根に拳を打ちつけようとしてる。

???「貴様もな。美堂 蛮!!」ズバァ

その背中を大きな刀が切りつけた。

銀次「な、なんで君までこんなところに!?」

蛮「……弥勒 夏彦!!」

夏彦「ほう、いまのをかわすか。流石だな……だが」チャキ

次はない、と静かに呟くと、夏彦は居合いの構えを取る。すでにその姿は夏彦ではなかった。

蛮「ち、緋影かっ!! この距離じゃ!!」

蛮が動き出す前に、弥勒 緋影は刀を抜いた。ヒュンっと空気を裂く音と共に蛮の体に傷が刻まれた。

蛮「相変わらずとんでもねぇな!! くそったれが!!」

緋影「紙一重でかわしたか……しかし」ダッ

緋影が一歩踏み込む。次に現れたのは時貞。自らの身長程もある長刀小鉄を横一戦に振るった。

時貞「その首、貰った」ドゴッ

凄まじい音と共に横のビルの壁が抉れた。蛮は辛うじてしゃがんで回避していた。目と鼻の先まで迫っていた垣根から、どんどんと遠ざかっていく。

蛮「この距離だとっ!!」

椿「串刺しだコノヤロウ」ビュン

続いて、サバイバルナイフが蛮の脳天へと振り下ろされる。慌てて下がり、回避した蛮へ椿は舌打ちした。そして、青龍刀が握られた。

右狂「ヒャハハハ!! こいつでお陀仏だぁぁ!!」シュシュン

変則的に振るわれる青龍刀をなんとかかわしていく蛮。そして、足元を掬う様な攻撃を跳んでかわす。

奇羅々「ふふ、いただき」ブン

空中に浮いたままの蛮の体を槍が突いた。

銀次「蛮ちゃん!!」ブン

それを銀次が払いのける。

夏彦「また会ったな、天野 銀次」

銀次「弥勒……。雪彦君は……」

夏彦「……」スッ

夏彦の姿が、別の人物へと変わっていく。

雪彦「呼んだかい? 銀次君」

銀次「また、戦うの……?」

雪彦「……しょうがないさ、美堂 蛮は許しちゃいけない……。それに、仕事でもあるよ。護り屋としてのね」

垣根の近くへいた卑弥呼が、蛮の隣へやってくる。

卑弥呼「なんなのよ、あいつ」

蛮「弥勒さ。七人の弥勒」

卑弥呼「なんでさっきから姿が変わってんのよ!? しかも、完全に女の子もいたわよ」

蛮「あれが、七人の弥勒なのさ。一つの体に七人の人格を持つ超多重人格者。一人がダメージを受けても他の六人には影響がない。それに個々の能力も違うから、常に七人と相手してるようなもんなんだよ」

卑弥呼「それが、七人の弥勒……。で? あんたをしつこく狙ってるみたいだけど?」

蛮「……。ただの、昔馴染みさ……」カチャ

バサッ、と翼をはためかせる音がした。
銀次「蛮ちゃん!!」ブン

それを銀次が払いのける。

夏彦「また会ったな、天野 銀次」

銀次「弥勒……。雪彦君は……」

夏彦「……」スッ

夏彦の姿が、別の人物へと変わっていく。

雪彦「呼んだかい? 銀次君」

銀次「また、戦うの……?」

雪彦「……しょうがないさ、美堂 蛮は許しちゃいけない……。それに、仕事でもあるよ。護り屋としてのね」

垣根の近くへいた卑弥呼が、蛮の隣へやってくる。

卑弥呼「なんなのよ、あいつ」

蛮「弥勒さ。七人の弥勒」

卑弥呼「なんでさっきから姿が変わってんのよ!? しかも、完全に女の子もいたわよ」

蛮「あれが、七人の弥勒なのさ。一つの体に七人の人格を持つ超多重人格者。一人がダメージを受けても他の六人には影響がない。それに個々の能力も違うから、常に七人と相手してるようなもんなんだよ」

卑弥呼「それが、七人の弥勒……。で? あんたをしつこく狙ってるみたいだけど?」

蛮「……。ただの、昔馴染みさ……」カチャ

バサッ、と翼をはためかせる音がした。

垣根「弥勒、俺達はそろそろ戻るぞ。あまり時間を無駄にしてられねぇ」

右脇に眠っているフレンダ。左脇に心理定規を抱えている垣根。キャリーケースの取っ手(?)、を掴んでいる心理定規は不服そうな表情を浮かべている。

雪彦「わかりました、先に行ってて下さい」

垣根「……さっさと来いよ。お前の雇い主は俺だぜ?」

雪彦「……結局、僕を連れて行く手段はありませんよ。そんな顔をしないで下さい、すぐに後を追います。彼らの足止めもしなければならないですし」

垣根「ち、しゃーねぇ……。勝手なことはすんなよ? まだ仕事は終わってねぇんだ……。それに、あいつらが来るかもしれねぇ」バサ

蛮「待ちやがれ!! ホストもどき野郎!!」

垣根「あぁ? なんの用だよ。第一ホストもどきってなんだよ……。こう見えても俺は硬派なんだぜ?」

蛮「テメェ、逃げんのか?」

しばらく、キョトンとした表情を浮かべる垣根。次第に、その表情は呆れへと変わっていく。
                                                ・ ・ ・ ・ ・ ・
垣根「はぁー。何を勘違いしてんだ……? 俺は逃げるわけじゃねぇよ。お前らを見逃してやるんだ。格下のお前らから逃げる理由なんかねぇんだよ。生かしてもらえることをありがたく思えよ?」バサッ

心理定規「次は……禁書目録だったかしら?」

あぁ、と垣根は相槌を打ち、飛び去っていった。

蛮「……」ギリッ

雪彦「そういうわけで……」フッ

飛び去っていく垣根の背中を眺める三人の前に、雪彦は円月剣(チャクラム)を放った。
高速回転した円月剣はその重量(1マイクロメートルの厚さで100キロを越す)ゆえに輪の中心にブラックホールを出現させた。
三人は慌てて裏路地から表通りへと走って行く。
表通りから確認すると、そこに雪彦の姿はなかった。

蛮「くそがっ!!」ドゴン

蛮は目の前の自動販売機を殴りつけ、破壊した。

銀次「ば、蛮ちゃん!?」

蛮「あの野郎……『見逃してやる』だと……? あいつと同じ台詞吐きやがって……。殺す……」

卑弥呼「……アホらし」

蛮「あぁ!?」

卑弥呼「逃げられたのはしょうがないでしょ? あたしは他にやることあるし、じゃぁね」スタッ

銀次「あ、卑弥呼ちゃん!!」

銀次の呼びかけに対して卑弥呼は片手を挙げて応え、そのまま去っていった。

銀次「どうするの?」

蛮「追うに決まってんだろ? さっさとしろよ」ザッ

???「残念だけどよォ……そいつは出来ねェ相談なンだわ」

???「『レムナント』を追う組織の抹殺。これがウチらの仕事なんだにゃー」

表通りだというのにいつの間にか辺りには人がいなかった。正確には、ここにいる五人を除いて。

蛮「なんだ? テメェ等」

???「『グループ』ですよ。結標さんから聞いていませんか?」
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