美琴「……Get Backers?」 > 2


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

――第七学区

銀次「蛮ちゃん、蛮ちゃん! なんかドラム缶が走ってるよ!」

蛮「その程度ではしゃいでんじゃねぇよ……学園都市は外に比べて数十年は進歩した科学技術を持ってんだだ。案外、クローンとかもいるかもしんねぇぜ?」

銀次「かもしれないねー」

銀次は改めて街並みを見渡した。科学技術が進歩していると言われるとなんとなく納得してしまう。しかし、数十年後に新宿の街並みがこのように――自動で掃除をするドラム缶型の機械や、風力発電用の風車がいたるところにある風景に――なるとは到底思えなかった。

銀次「この街ってなんか落ち着かないなぁ」

蛮「ん? そうか? 珍しい物ばっかだからじゃねぇの?」

銀次「そうなのかなぁ……。誰かに見られてるような気が……。ところで蛮ちゃん」

蛮「なんだ?」

銀次「依頼さ、どっちにする?」

蛮「……なんとも言えねぇよ。まだ来たばっかりだしな。この辺りで怪しげなとこに目ぇ付けながら歩いてようぜ」

銀次「う~ん、すごくのんびりした街な気がするんだけど、ホントに、レムナント……だっけ? 奪い合ったりするのかな?」

蛮「ま、今は何処も授業中だろうしな、そりゃ静かだろ」

銀次「授業? 何の?」

蛮「何の? って、そりゃぁ超能力だろ」

銀次「超能力!?」

蛮「……お前、もしかして学園都市知らねぇんじゃねえだろうな」

銀次「え~っと……」

蛮「学園都市の人口は?」

銀次「この人のいなささは……二千人!」

蛮「……」シュッ

銀次「いたっ!」バキッ

蛮「二百三十万人だ馬鹿野郎。いいか、学園都市ってとこは、脳みそを開発することで、科学的に超能力を人間に与えてんだ」

銀次「えぇー!?」

蛮「対象は学生だ。だからこの街には約百八十万人もの学生がいる」

銀次「学生をたくさん集めてたくさん能力者を作ってるって事?」

蛮「あぁ。ま、超能力開発に必要な『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』の発言に大人が向かないらしい。だが、必ずしも能力が発言するわけじゃねぇんだ」

銀次「能力が全く使えない子もいるってこと? それってなんか可哀相だね。わざわざ能力の開発のためにここに来たんでしょ?」

蛮「そうだな。ま、そういうやつはたいていは堕ちて……っ!?」

蛮は言葉を最後まで言い切らず慌てて跳ぶようにして一歩下がった。
そのすぐ後、先ほどまで蛮のいた場所に勢いよくバットが振り下ろされ、ガァン! と金属を叩きつけたような音が辺りに響いた。

タッタッタッ

銀次「蛮ちゃん!?」

蛮「大丈夫だ。それよりも追うぞ! 噂をすればなんとやらだ」ダッ

銀次「う、うん! 蛮ちゃん、噂って?」ダッ

蛮「いまさっき話してた落ちこぼれの話だよ! 能力者ってのは段階に分けるとLEVELが0~5まであんだ! その中で一番下のLEVEL0ってのはこういう風になっちまうんだよ」

銀次「な、なんで!?」

蛮「いくら努力しても変わらない、そんなのが続けばグレたくもなるってもんだ!」

銀次「そんな……もっと努力し続ければ変わったかもしれないのに」

蛮「まぁな。ただ、はっきりと『貴方は能力者になる才能がありません』ってのが突きつけられ続けたんだ。けっこうキツイんじゃねぇか?」

銀次「たしかに、努力してもそんな風に言われちゃうとね……」

蛮「だが、だからといってこんなこと許してやるつもりはねぇよ!!」ザッ

銀次「うん。こんなことは間違ってるって教えなきゃね!!」ザッ

銀次「って、すんごい数だよ! どうするの蛮ちゃん!?」

蛮「ざっと、30人ってとこか? たいしたことねぇだろ。ただ、この中にさっきのやつがいるなら関係ねぇ……1人残らず叩き潰す」

銀次「こ、殺さないようにしてね……」



――時間は遡り、Get Backersがゲートをくぐり抜けた頃。とある一室

カタン

垣根「お、届いたみたいだな」

麦野「郵便物? それに例のモノの場所でも記してあるわけ?」

垣根「いや、外部からのお客様だ。『レムナント』狙う輩は外にもたくさんいるんだよ。そういう連中を把握しようと思ってな」ビリビリ

絹旗「へー、いっぱいいますね。みんな見るからに超怪しいですね」

フレンダ「でも、こっちには〈第二位〉と〈第四位〉いるわけでしょ? 結局外の連中なんて楽勝でしょ?」

垣根「どうだか……。こいつらも外の人間だしな」

???「ふん。テメェ等の強さなんか知ったこっちゃねぇ。ただ、俺はアイツを殺してぇからここにいる」ギシッ

垣根「ま、あんたの目標がいるかは知らんがその力には期待させてもらうぜ。超能力とは違うみてぇだしな」

心理定規「このウニ頭と金髪の二人……なんか強そうには見えないわね」

???「!?」

心理定規「あら、知ってるの?」

???「あぁ。ククク……来るとは思っていたがこんなに早く見付けられるとはなぁ……必ず殺すぜ、美堂ォォ!!」ギシッ

???「二人共知っている。こいつ等は……友達だ」

浜面(そんな風に見えねぇぇぇぇぇx!!)

???「……」クスッ



――廃工場前

蛮「おらおらぁ!! 邪魔だ!!」ブンッ

銀次「うおぉぉぉ!!」バチバチ

スキルアウトA「うあぁぁぁ!!」

戦いは一方的なものであった。握力が200kgあり、バトルの天才と謳われる邪眼の男、美堂 蛮。さらに、ここなどより遥かに治安の悪い裏新宿で悪魔の化身(ディアブロ)と恐れられた雷帝、天野 銀次。
能力を持たない人間がこの二人を相手にできるはずもなかった。

蛮「ちっ、張り合いがねぇなぁ……。これなら無限城でパソコンボーヤが操ってた連中のがましだぜ」ゴキッ

スキルアウトB「こ、こいつら能力者だ! くそったれ、話が違ぇじゃねぇか!」

蛮「あぁ?」バキッ

スキルアウトB「ぐおっ!」バタッ

銀次「俺らが……能力者?」ビリビリ

蛮「超能力っても、念動能力(テレキネシス)や精神感応能力(テレパス)だけじゃねぇんだ。火や水を操ったり、お前みたいに電気でビリビリやるようなのもいるのさ」

銀次「ふ~ん」イナズマキーック

スキルアウトC「くそ! あれを使うぞ!」

キィーン

銀次「!?」

蛮「!?」

スキルアウトC「はは、こんな時のために用意しておいて正解だったな! どうよ!? キャパシティダウンの力は!! ブオッ」グシャ

蛮「……このちんけな音がどうかしたのか? もしもこんなんが奥の手なんだとしたら、これ以上は弱い者イジメになっちまうなぁ!」バキッ

銀次「う~ん……能力者には有効なんじゃない? 俺らを能力者だと思って使ったんだし……。まぁ、超能力開発なんて受けたことないんだけど」ピシピシ

蛮「で、どうなんだ? これ以上は何も出さなくていいのか? お前で最後なんだがよ……」

リーダー「ひぃ!」

銀次「蛮ちゃん……ちゃんと殺してないよね……?」

蛮「当ったり前だろうが」

銀次(確実にヤバイ音がしてたんだけど……)
リーダー「くそっ、くそっ!! なんなんだお前ら!! なんで能力が使えんだよ!?」

蛮「だから能力者じゃねぇっつってんだろ」

リーダー「お前は電撃使い(エレクトロマスター)だろうが!」

銀次「ん? なにそれ?」

蛮「電気、磁力を操る能力者のことだろうよ。で、なんだって俺らを狙った……誰の差し金だ」

リーダー「し、知らねぇ! 誰だかは知らねぇんだ! ただ、なんかやばそうな野郎だった! お前らよりもな!」

蛮「ここは? テメェ等のアジトか? キャパシティダウンとやらはテメェ等のか?」

リーダー「い、いや違う! 全部用意されてたんだ!」

蛮「ふ~ん……。なるほど、よくわかった。あんがとよ」バキッ

リーダー「なん……で」バタン

銀次「う~ん……いったい誰がこんなこと仕向けたんだろうね」

蛮「さぁな。ただ、まだ奥がある、まるで誘ってるみてぇだな」

銀次「誘ってる?」

蛮「俺らはこんだけの人数ぶっ倒した。それにしちゃ動きがなにもないのはおかしい……。まだ中に入ってねえしな。入り口に全員いるってのはな……」

銀次「い、行くの!?」

蛮「こいつらは頼まれてこんなことしたんだぞ? しかも狙いが俺らだ、『レムナント』が関わってる可能性がある」

銀次「なるほど」

蛮「それに、いつの間にか音もやんでるしな……。誰かいるんだろうよ」

――廃工場内

銀次「なにもなさそうだよ?」

蛮「……」

銀次「蛮ちゃ……!?」ゾクリ

蛮「感じたか」ボソッ

銀次「うん。凄い殺気だね……」

蛮「さっさと出て来やがれ! 気配でいるのはわかってんだ!」ワカッテンダー テンダー

銀次(ん? なんだろうこれ……暗くてよく見えなかったけど、テープみたいのがいたるところに……!?)

シュゴォォォォォォォォォ

銀次「蛮ちゃん!!」

蛮「!?」バッ

蛮(なんだいまのは!? 危うく足を持っていかれるとこだったぞ!!)

???「おいおい、美堂ォォ! 少し見ない間に随分丸くなっちまったかぁ!? いまの仕掛けにも気付かねぇとはなぁ!」

銀次「この声!! 蛮ちゃん!!」

蛮「あぁ。まさかお前がこんなところにいるとはな……。あの時、殺しておくべきだったか? えぇ、不動ォォ!!」


不動「ククク……今すぐにでも殺してやりてぇが、依頼人に止められちまってるからなぁ! だが、必ずこの街で殺してやる……」

蛮「はっ、上手に飼われてるみてぇだなぁ。奪い屋からペットに転職か!?」

不動「……」

絹旗「ちょ!? 静かに向かおうとしないで下さい!! ここで戦うのはプランに超そってませんから!」

不動「ちっ」

蛮「本当に飼いならされてんな……!? あ? 人形?」

銀次「蛮ちゃん! 下がって!」バチバチ

蛮「なっ!?」

突如、頭上から落ちてきた人形を雷撃で打ち抜くと、木っ端微塵に破裂した。
それと同時に足元のテープが火花を散らした。

蛮「くそっ、またか!」バッ

絹旗「フレンダもたまには超役に立ちますね」

フレンダ「たまに!?」

蛮「ちっ、女に囲まれて楽しそうだなぁ! さすが、物欲と食欲と性欲の為だけに生き、支配欲と殺戮欲だけで行動するだけはあるな!」

絹旗「え」バッ

フレンダ「え」

不動「……」

フレンダ「絹旗! 離れなさい! 結局外部の人間は信用できないわけよ」

不動「ガキに興味はねぇよ」

蛮(音の聞こえ具合からだいたいの場所はわかった……真正面の暗がりに野郎と超々うるせぇの……。ただ、もう一人、恐らくこのテープを使ってるやつだけ場所が全く違ぇな。不動に近付きながらあのテープを避けるのはきつい……)

銀次「君達! 姿は見えないけど、まだ子供だろ!? その男は危険すぎるよ! それに自分達がなにをやってるのかわかってるの!?」

蛮「銀次……(コイツは本当に真っ直ぐなやつだな……。だが)」

絹旗「超余計なお世話です。私達は『レムナント』を狙っている貴方達を始末しに来てるんですよ?」

銀次「なっ!?」

蛮「無駄だよ。この街も、裏新宿と変わらねぇんだよ。それなりに使える能力者は、こういう使い方ができるのさ」

銀次「そんな……まだ子供だよ!?」

蛮「……俺も、ガキの頃に人を殺してるよ。こんなことに年は関係ねぇ……お前もそうだったろ?」

銀次「……」グッ

フレンダ「ま、そういうこと。結局、どんな場所にも闇はあるってわけよ」

銀次「だとしても……この件から足を引いてくれ……。君達みたいな子と戦いたくはない」

絹旗「……超甘ちゃんですね。まさか、私達が貴方達より弱いとか思ってるんですか? あまり舐めたことを言わないで下さい。超腹が立ちますっ!!」ヒュン

ガゴッ!

銀次「な、何!? いきなり後ろの壁が!?」

蛮「ちっ!! なんて速度でレンガ飛ばしてんだ!?」

絹旗「今のでも超手加減したんですよ? ムカついても当てない私の優しさに超感謝してくださいね? ただ、次も舐めたこと抜かしたら当てます」

蛮「……」ピクッ

絹旗「と言っても、当てようが当てなかろうが貴方達はここでお仕舞いですけど。さて、そろそろ次の仕事に移りましょう」

不動「ふん、もうそんな時間か……おい、金髪!」

フレンダ「ったく、名前くらい覚えろっての! そりゃ」

シュバァァァァァ

フレンダが返事をした直後、工場内に張り巡らされたテープに火花が散った。

フレンダ「ま、結局ここに来た時点であんた達に勝ち目はなかったわけよ。埋もれてなさい!!」

フレンダの用いているものは、本来ドアや壁を焼き切るためのツールである。そのテープが壁や天井に張り巡らされているのである。よって、工場の壁、天井は焼き切れ、崩落する。その中心に蛮と銀次はいた。

銀次「蛮ちゃん! このままじゃ!」

蛮「ち、このために中まで誘ったのか!」

絹旗「いまさら気付いても超遅いです。それでは、さようならGet Backersさん」

すでに、絹旗の声は工場の外からしていた。外に用意された車に不動、フレンダと共に乗り込み、工場を後にした。車内から眺めると今も工場はガラガラと大きな音を立てて崩落している。




――車内

絹旗「超あっけなかったですね。あんなのにわざわざ出向く必要超なかったんじゃないですか?」

フレンダ「結局、外の人間なんてあんなもんだったってわけよ」

不動「ふん、あいつらがこんな程度でくたばるかよ」ギシッ

絹旗「ふーん。ま、次会ったとしても負ける気しないですけどね……。ところで、しょっちゅう腕の具合みてますね? 痛みますか? 超気になるんですけど……」

不動「調子はいいさ。ただ、疼くんだよ」

フレンダ「調子いいのに疼くの? 結局調子いいの? 悪いの?」

不動「無限城製のよりも遥かに合ってるさ。ただ……やつを、美堂を喰い殺せって疼くのさ!! 次に会った時は殺す……いや、殺すだけじゃ物足りねぇ!! 四肢を捥いでから目玉を抉ってすり潰す、それから……」

フレンダ「ストーップ!! 怖い!! 麦野の比じゃないわよ!!」ビクビク

絹旗「正直、あなたとは超戦いたくないですね」ゾクリ

不動「ふん。次会ったら依頼なんか関係なく殺らせてもらう」

絹旗(超巻き込まれたくないですね)

フレンダ(ま、結局あの様子じゃ助かってるわけがないわけよ)

不動「で、他の連中は?」

絹旗「『ピンセット』の場所はわかってますけど、『レムナント』については超出遅れたんで、他の組織がもってます。『ピンセット』は麦野、滝壺さん、バカ面とあの超よくわかんない人が、『レムナント』は垣根 帝督と心理定規が追ってますよ。他にもなにか超探してるらしいですよ?」

不動「んなことは知ってるよ。首尾がどうか聞いてんだ」

絹旗「まだ連絡が……」

フレンダ「ま、私達は仕事こなしたんだし、問題ないっしょ。他の探し物ってのも人なんでしょ? すぐに見付かるんじゃん?」

絹旗「ですかね。ところで、あの刀差してる人はまだしも、もう一人はなんなんですか? 超謎なんですけど。同じ外の人間なんですよね?」

不動「……あいつについては俺も詳しくは知らん」

フレンダ「たしかに、仲良しですってな風には見えないしねぇ」

絹旗「ホントに超謎ですよねぇ……。何を考えてるか超わかんないですし」

不動「ただ、これだけは言える、奴は強い……。恐らく俺よりもな……、直接やりあったことはねぇが」

絹旗「あなたみたいな人がそこまで言うなんて……よっぽどですね」

不動「あぁ……なんせ野郎は、バビロンシティ出身者らしいからな」




???『ザッ……その……ザザッ……バビロンシティってのは……ザッ……どんな場所なんだ?』

フレンダ「うわっ!?」ビクッ

絹旗「超ビックリしましたよ……。で、いつから聞いてたんですか? 垣根 帝督?」

垣根『いまさっき繋がったとこだ。で、聞かせてくれよ』

不動「お前達に……裏新宿の無限城って言ったところでわからねぇだろうな」

絹旗「超知らないですね。学園都市を出たことないですし、外の事は超興味ないですから……。ただ、そのバビロンシティってのは気になりますね」

フレンダ「結局、こんなやばいとこで暗部なんかやってると、外に出るなんて夢のまた夢なわけよ」

垣根『噂程度には聞いたことがあるな。腕時計を着けてると腕ごとぶった切って持ってくとかいう話だったか?』

絹旗「どこのスラムですか!?」

不動「まぁ、それでも最も安全な地域で、下層エリア(ロウアータウン)なんて呼ばれてるがな。上へ行くと死体なんかいくらでも転がっている」

フレンダ「ここよりヤバイんじゃ……」

不動「詳細は知らねぇが、LEVEL2の上からLEVEL3程度ならロウアータウンでもやっていけるだろ……。ただ、中層エリア(ベルトライン)となると次元が変わってくるらしい……。ここはLEVEL4、5でもどうなるかわからねぇな」

絹旗「超ヤバイなんてもんじゃないじゃないですか!!」

不動「ロウアータウンは常にベルトラインからの脅威にさらされているんだと。さっきいた金髪の方が、ベルトラインからの侵攻を防いでいて、無限城の雷帝と恐れられていたらしい」

絹旗「あの、弱っちそうなのがですか!?」

不動「そんで、バビロンシティってのはそのさらに上にあるそうだ」

絹旗「それって超危険人物ってことじゃないですか!!」

垣根『ただ、敵意はなさそうだし、いまのとこは心強いじゃねぇか』

フレンダ「そんなやつと一緒に仕事していたくないわね……」

不動「まぁ、噂だがな」

絹旗「……ところで、垣根 帝督はなんの用で連絡を?」

垣根『おいおい、今は仲間なんだぜ? フルネームで呼ぶなよ堅っ苦しいからよ』

絹旗「……垣根、超なんかようですか?」

垣根『なんか冷てぇな……ただの暇つぶしさ。お前らは仕事終わってんだろ? あっちはまだらしくて、話し相手が欲しかったのさ』

フレンダ「結局、仕事こなしてるのは私達だけってわけね」

垣根『そろそろ見付けられそうなんだがな』

不動「早くしろよ。俺は美堂を殺したくてしょうがねぇんだ……」

垣根『わかってるよ。あ、そうそう、それから……』

――崩壊した廃工場

ガラガラ

銀次「ぷっはー!! 死んじゃうかと思ったよ!!」

蛮「こういう時、お前の能力は便利だよな」

銀次「必死に傘の代わりになる金属探したよ」

蛮「磁力で持ち上げた金属で瓦礫の山を支えるなんてなぁ」

銀次「それにしてもあの人が関わってるなんてね……これからどうするの?」

蛮「あいつは俺を殺す為に来てんだろ。無限城できっかり殺しておくべきだったか……三度目の正直だ、次は……殺す」カチャ

銀次「……っ」ゾクリ

蛮が何気なく位置を正したサングラスから覗く瞳は、さきほどとは違い明らかな殺意を秘めていた。
数多くの強敵を葬ってきた美堂 蛮の見せる、本気の瞳だ。
銀次が初めて蛮と出会ったときも、彼はこのような瞳をしていた。ゆえに、銀次は蛮のこの表情にいまだに恐怖を感じる。蛮が、どこか遠くに行ってしまう。そんな気がするのだった。

蛮「とりあえずここから離れるか。警察かなんかが来ると面倒だしな」スタッ

銀次「う、うん」

銀次は静かに蛮の後を追うのだった。



――第七学区内のファミレス前

男A「な、いいじゃん。奢るからさぁ」

???(何もよくないっつーの……)

男B「そうそう、俺らといい事しようぜ」

???(今どきこんなこと言う奴がいるんだ……)

男C「とりあえずそこ入んない?」

???(入んねぇよ……にしても、誰も彼も関わろうとはしない、か。当然っちゃ当然ね)

男A「さっきから黙っちゃってさぁ、緊張しちゃってんの?」

男B「可愛いねぇ」

???「……ろ」

男C「え? 何?」

???「悪いけど、私も暇じゃないの。だからさ、消えろ」

男D「あぁ!? こっちが下手にでたら……」

???「お~。こんなとこにいたのかぁ、待たせちまったな」
男A「あ? なんだお前」

???「この娘の連れだよ。いやぁ悪いなぁ。授業が長引いちまってさぁ、待ったか?」ギュ

???「……誰? あんた」

男ABCD「「「「……」」」」

???「……」

???「で、いつまで手ぇ握ってんの?」パシン

上条「……だぁぁぁ! せっかくの『人が知り合いのフリして自然にこの場から連れ出す作戦』がぁぁ! どうして上条さんの出会う女性は人の好意を無下にするんでせうか!?」

???「いや、あんたの事情は知らないけど……」

男B「で、なんなの? 知り合いじゃないなら消えてくれよ」

上条(くそっ、四人か……さすがに分が悪い……)

???「ちょっと下がっててくれる?」

上条「な!? 女の子を残して下がるなんて……」

???「助けようとしてくれた人を巻き込むわけにはいかないでしょ?」ポンッ

上条「お、おい」

???「あんた達、原始時代からやり直したら?」フワァ

男A「な、なんか」

男B「いい匂いが」ポンッ

男C「ウキャ?」

男D「ウキャキャ」

上条「な、なんだよこれ……」

???「『退化香』ってやつよ。嗅いだら思考が原始時代のサルに退化するのよ」

上条「それを嗅がせないように一歩下がれって?」

???「そうよ。あんまり巻き込みたくなかったからね」

上条「これ、どう考えてもやばいだろ……あんた何者だよ」

???「私? 私は工藤 卑弥呼。外じゃ、七つの毒香水(ポイズンパフューム)を操る魔女、レディ・ポイズンなんて呼ばれてるわ」

上条「ま、魔女!? まさか、あんた魔術師か!?」

卑弥呼「魔術師? あぁ、魔女ってのは通り名みたいなもんよ。それにしても、あんた学園都市にいるくせに随分オカルトなこと言うのね」

上条「あ、そうですか……でも、外って……」

卑弥呼「学園都市では外の世界に魔術師がいることになってんの?」

上条「いや、あの……」キョロキョロ

卑弥呼(怪しいわね……)

卑弥呼「ま、深くは聞かないことにしてあげる」

上条「あ、あぁ。それで、工藤さんはなにをしに外から来たんでせうか?」

卑弥呼「私、外で運び屋をやっててね……って、こんなこと学園都市の人間に教えていいのかしら……」

上条(なんかやばそうな気が)

卑弥呼「……」

上条「……」

卑弥呼「……」キュポ

上条「わぁぁぁ! 誰にも言いません! 何も知りません! 上条さんはなにも聞いてません! だからポイズンパフュームを取り出さないでくれませんかぁぁ!! 不幸だぁぁぁぁぁ!!」

卑弥呼「冗談よ冗談」

上条「はぁはぁ……」

卑弥呼「『忘却香』って便利なのよね。嗅ぐと二十四時間以内の記憶を抹消できるのよねぇ」チラッ

上条「嗅がせないで下さい! お願いします!」

卑弥呼「あ、違う違う。あんたがちょっと知り合いに似ててね」

上条(っ!? まさか、以前の上条さんの知り合いだったりして……)

卑弥呼「特にそのウニみたいな髪型がねぇ」

上条「……ウニ」ズーン

卑弥呼「あはは、悪かったわね。『忘却香』でいまの嫌なこと忘れる?」スチャ

上条「け、結構です!!」

卑弥呼「あ、そろそろ行かなくちゃ。じゃあね、上条クン。……貴方もおかしなことに足を突っ込んでるみたいだけど……仕事中に会わない事を祈るわ」ダッ

上条「あ、はい……。また、この街でなにか起きているのか?」

蛮「んで、『レムナント』についてはどうだ?」スタスタ

???『……外部から学園都市にハッキングを仕掛けるってのは、大変なんてものじゃないんだよ?』

蛮「だからお前に頼んでんだろ? パソコンボーヤ」

MAKUBEX『全く……わかってるね?』

蛮「……」

MAKUBEX『最新の映像……といっても、五分ほど前のものだけど。たしかにそこ、第七学区にあるよ』

蛮「お前さんの言った場所には物はなっかったけどな……」

MAKUBEX『手掛かりはあったんじゃない?』

蛮「ほとんどねぇな……。ただ、手荒い歓迎なら受けたけどな」カチャ

黒服A「ぐぁ……」ビリビリ

黒服B「がぁ……」ビクンビクン

黒服C「……」ピクピク

銀次「う~ん、なかなかそれっぽいものはなさそうだよ?」

蛮「ちっ、無駄骨か?」

MAKUBEX『いや、そうでもなさそうだよ』

蛮「あん?」

MAKUBEX『そこの奥にある路地、奥のT字路を右、そこから三つ目の横道を左、二つ目の十字路を右に、急いで!』

蛮「は! 見付けたか! 行くぞ銀次!」ダッ

銀次「わかったよ、蛮ちゃん!」ダッ

蛮「あいつらよりも先に手に入れんぞ!」

MAKUBEX『特別危なそうな連中ではないみたいだね』

銀次「ここを左!」ザッ

蛮「右だボケ!!」ザザッ

MAKUBEX『次は三つ目を……』

蛮「左ぃ! 銀次、着いたと同時に仕掛けるぞ!!」ザッ

銀次「わかったよ! ここの十字路を、右だよね!! 喰らえー!!」バチバチ

黒服「「「なっ!?」」」

バチーン

突如通路から人影が現れ、認識すると同時に閃光が瞬いた。トランクの周囲にいた屈強そうな男達は、自らに何が起きたかを正しく把握することなく地面に倒れた。
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。