美琴「ちょっとアンタ!」 禁書「なぁに?」 > 04


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小綺麗な市役所を改装したような外観の洋服屋密集ビル、『セブンスミスト』。

そこは女子御用達お出かけ先であり、いわゆる『イマドキ』の女の子たちのオシャレの発信地でもある。

ボブカットにマタニティという『木村カエラ量産計画』の重要な片翼ともなったことでも有名だ。


「ねーねー!見て見てみことー!」


そんなセブンスミストで、


美琴「…………」

禁書「カッコ良く無い?ねぇねぇかっこ良く無い?」クルクル


女友達に試着姿を見せるためにくるくると回っている銀髪の少女は、


美琴(…………………なにこれ)


刑事ドラマを彷彿とさせるような、いわゆるハードボイルドな格好をしていた。

禁書「カッコいいでしょ」フフン

美琴「うん。いますぐ着替えよっか」シャッ

禁書「あー!なんでカーテン閉めるの!」シャッ!

美琴「どこで見つけたのよそんな服。太陽にでも吠えるつもりなの?」シャッ

禁書「意味わからないんだよ!それと閉めないで欲しいかも!」シャッ!

美琴「アタシが選んであげるから、まずはその茶色いトレンチコートと灰色のズボンとサングラスをこっちに渡しなさい」

禁書「………似合ってないかな?」

美琴「似合う似合わない以前に不自然ね」

禁書「………わかったかも…」シャッ

美琴「そこは『わかったんだよ』って言って欲しかったわ」

禁書「」ゴソゴソ

美琴「…………」

美琴「…………」ソーッ

禁書「ひゃわぁ!のぞいちゃダメ!」ワタワタ

美琴「よいではないかよいではないか」グイグイ

禁書「もう!だーめだって言ってるかも!」ググググ…

美琴「いいじゃんいいじゃん女同士じゃ~ん」グイグイ

禁書「…………………目潰しするよ?」

美琴「アタシが悪かったわ」

禁書「まったくもう。ハイ、刑事セット」

美琴「自覚あるじゃない」

禁書「う……そ、そんなことはいいから早く選んできて欲しいかも!」

美琴「はいはい。すぐもどってくるから、その中で待っててね」

禁書「なるべく早くね?」

美琴「わかってるー」タタタ…

 

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美琴「ええと、コレとコレとコレ。あとこれなんかも似合いそうね」

??「」ソ~~ッ

美琴「ていうかなんでも似合いそうね。あの子の場合」

??「ニヒヒ」ソ~~ッ

??「だ、だめですよぅ」ヒソヒソ

美琴「いや、似合うに決まってるわ。あんなに可愛いんだもん。似合わなかったら服の方が悪いわ」ウフフフフ

美琴「アタシのインデックスに似合わない服なんてアタシがこうしてこうして」

??「わっ!!」

美琴「うわぁぁあ!!」バッ!!

??「こんにちわ!御坂さん!」

美琴「なによもぉ~~ビックリしたじゃない」ハァ

??「だからやめようって言ったじゃないですか!」

??「初春も本気でとめなかったじゃん」

初春「それは……止めても聞かないでしょ!佐天さんは!」

美琴「アハハ………こんにちわ、二人とも」

佐天「はい!」

初春「こんにちは!」

美琴「あれ?今日は二人?」

佐天「はい!『でぇと』ってヤツです」ヒヒヒ

初春「もう!誤解を招くような言い方はしないでくださいよぅ!」ポカポカ

佐天「あはは、ごめんごめん」

佐天「ていうか、御坂さんのせいですよ。今日二人になったの」

美琴「ふえっ?アタシ?」

佐天「ええ、そりゃあもう原因です。諸悪の根源です」

初春「使い方間違えてますよ、佐天さん」

美琴「なんでアタシのせいなの?」

初春「簡単に説明しますと、白井さんがグロッキーです」

美琴「…ああ、なるほど………」

初春「白井さんいわく、『お姉様成分が足りない』と」

佐天「昨日、ついに禁断症状を起こしました」ハァ

初春「鎮圧に大変な労力を削ぎましたよ……」ハァ

美琴「そこまでくるともはや病気ね」

初春「お姉様欠乏症ですね」

美琴「その病名やめて」

美琴「黒子は明日学校で会うとして……二人は何してるの?」

佐天「見ての通り、買い物ですよ。御坂さんは一人ですか?」

美琴「いいや、二人よ」

初春「恋人ですか?妄想ですか?」

佐天「黒いのが出てるぞ初春」

美琴「違うわよ。……………『トモダチ』、よ」

佐天「…………『トモダチ』、ですか」

初春「20世紀少年ですね」

佐天「初春?ちょっと黙ろうか?」

美琴「あはは………じゃあ、待たせてるから」

佐天「はい。さようなら」

美琴「え?」

佐天「? 何か?」

美琴「い、いや、なんでもないわ」

初春「さようなら、御坂さん」ノシ

佐天「ではまた」ノシ

美琴「ばいばーい」ヒラヒラ

美琴「…………」

美琴(おかしいわね………いつもなら『私達と行動しませんか』的なことを言ってくるハズなのに)

美琴(ま、いっか。早く戻ろ)





初春「佐天さん」

佐天「なぁに?」

初春「何で『一緒に行動しましょう』って言わなかったんですか?いつもの佐天さんなら……」

佐天「………それはね、」

初春「はい」

佐天「せっかくの初春との『でぇと』を邪魔されたくなかったからだよん」ケラケラ

初春「へっ!? も、も、もう!じ、冗談はよしてください!///」カァァァ

佐天「あっはっは、ごめんごめん」

初春「まったく!」

佐天「冗談、か」ボソッ

初春「? 何か言いましたか?」

佐天「ううん、何でもないよ」

初春「そうですか」

初春(…………///)ドキドキ

 

 

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美琴「あれ?」



女性店員「すみませんお客様。試着室の独占は………」

禁書「ご、ごごご、ごめんなさい!あの、あの、と、友達がもうすぐ帰ってくると思われるますので、もうちょっと待っていただきたく存じあげましょうかっ!?」アタフタ

女性店員「わたくしに聞かれましても…」



美琴「………面白いからここで見てようかな」

 

禁書「あ!あれ!あの人です!」ビシッ

美琴(あ、指さされた)

女性店員「騙されませんよ」フフフフフ

禁書「ホントなんだよ!ほら!あれ!」

美琴(あの店員さんは何者なんだろう)

禁書「みことー!助けてー!」

女性店員「そんなこと言っても、振り向きませんよ」フフフフフフフフフ

禁書「主旨が変わってるよ!?最初の目的を思い出して欲しいかも!」

美琴(そろそろ行ってやるか)

美琴「すみませーん。その子アタシのツレですー」タタッ

女性店員「本当でしたか。当店は試着室の
独占は禁止ですので」

美琴「いやー、すみません。ちょっと遅くなってしまって」

女性店員「以後、お気をつけ下さい。では、ごゆっくりどうぞ」ペコッ

美琴「すみません」ペコッ

美琴「ただいまー」ヘラヘラ

禁書「…………」ムスッ

美琴「ゴメンって」ヘラヘラ

禁書「…………」ジワッ

禁書「なんでもっとはやくきてくれなかったんだよぅぅ」ウルウル

美琴「ゴメンゴメン。なんか面白くって」ナデナデ

禁書「こわかったんだよぉ」ウエエン

美琴「あーよしよし。こわかったね」ギュッ

禁書「……うん」グスッ

美琴「ゴメンね。次はもっと早く来るから」ナデナデ

禁書「………うん!」エヘヘ

美琴「……………」ナデナデ

美琴(………ホントになーんで懐いちゃうのかしら)ナデナデ


時刻はもうすぐ正午になろうとしていた。

小さい子をあやすように抱きしめながら、インデックスの身を案じた美琴であった。

 

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打ち止め「ねぇねぇあなた!この服どう?ってミサカはミサカは体に服をあてがってあなたに質問!」

一方通行「あァ、いいんじゃねェか?」ボケーッ

打ち止め「じゃあこれはこれは?ってミサカはミサカは再び質問!」

一方通行「あァ、いいと思うぜェ」ボケーッ

打ち止め「……………じゃあこれは?ってミサカはミサカは三度目の質問」

一方通行「あァ、なかなかじゃねェか」ボケーッ

打ち止め「………………もやし」ボソッ

一方通行「あァ、最高だ」ボケーッ

打ち止め「もう!!」

一方通行「うおっ!」ビクッ

打ち止め「なんであなたはさっきからボケーっとしてるのってミサカはミサカは怒りをあらわにしてみる!」

一方通行「うるせェな、考えごとしてたンだよ」

打ち止め「考えごとって何!?ミサカの服より大事なこと!?ってミサカはミサカはきぃーー!!」

一方通行「キーキーうるせェうるせェ。考えごとは考えごとだ。それ以上でも以下でもねェよ」

打ち止め「答えになってない!ってミサカはミサカは憤慨してみる!」

一方通行「つゥか、どんだけ時間かかンだよ。服選びくらい2秒で済むだろォが」

打ち止め「それはあなただけだと思うってミサカはミサカはモノトーンオンリーのあなたの間違いを指摘」

一方通行「そォか?」

打ち止め「はぁ、考えごとのことはもういいけど………その、ミサカのこともちゃんと見てねってミサカはミサカはちょっぴり赤面…///」カァァァ

一方通行「はいはい、善処しまァす」

打ち止め「あー!善処どころか気にもとめてないねってミサカはミサカは大激怒ー!」ウガー!

一方通行「だァーもう!さっさと選べェ!」

打ち止め「選んでるもん!あなたが好きそうなの選んでるもんってミサカはミサカは
今日のコンセプトを吐露してみる!」

一方通行「そんなもン気にしてんじゃねェよ」

打ち止め「………あなたってホントに女心がわかってないねってミサカはミサカは呆れてため息」ハァ~

一方通行「ンなもン興味ねェな」

打ち止め「もう………じゃあこれとこれとこれ、それとこれとこれとこれも欲しいなってミサカはミサカはカゴにたくさん詰め込んでみる」ドサドサドサ

一方通行「多いわクソガキ!」

打ち止め「あなたが選ばないからでしょってミサカはミサカは知らん顔」~♪

一方通行「チッ………まァいいか」


58980エンニナリマース

アリガトウゴザイマシター

 

打ち止め「さ!お昼まわってるし、もうケーキバイキング行こうってミサカはミサカは胸をはずませてみる!」

一方通行「……………」

打ち止め「あれ?いつもなら『無い胸をどうやって弾ませンだよ』とか皮肉の一つや二つ言ってくるのに、どうしたのってミサカはミサカはちょっと心配………」

一方通行「そんな心配より、今から会う水ゴリラの方に気ィ向けとけ」

打ち止め「?」

一方通行「あン時は状況が状況だったから共闘って形を取ってたが、今はどうかわからねェ」

打ち止め「??」

一方通行「けどよォ、もし、もしアックアがなンかしてきても、俺が全力で護ってやる」

打ち止め「!」

一方通行「まァ、戦う理由なンざねェから大丈夫だとは思うけどなァ…………ってどォした?」

打ち止め「あ、あの、その、め、面と向かってそんなこと言われるとやっぱり照れるって言うか………///」モジモジ

一方通行「はァ?」

打ち止め「い、嫌じゃ無いんだけど、その、心の準備が………///」モジモジ

一方通行「何言ってンだオマエ。さっさと行くぞォ」

打ち止め「あ!ちょっと待ってってミサカはミサカはあなたの腕に絡みつこうとジャーンプ!」ピョン

一方通行「うおっ」グラッ

打ち止め「えへへ」

一方通行「だァからいきなり飛びつくなって言ってンだろォが」

一方通行「ったくよォ………」

 

 

 

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禁書「ケーキっ♪ケーキっ♪」

美琴「ちょっと落ち着きなさいよ」

禁書「甘いものを前にして落ち着いてられるなんて女の子としてどうかと思うんだよ」フッ

美琴「アンタ食べ物が絡むと毎回落ち着きないじゃない」

禁書「…………き、気のせいなんだよ」

美琴「なんで認めないのよ」

禁書「だ、だって! 人間は神様じゃないもん! 人間は食欲と睡眠欲と物欲と排泄欲と日光欲には耐えられないんだよ!?」

美琴「……欲の多さは百歩譲ってまぁいいとして、日光欲ってなによ日光欲って」

禁書「ひなたぼっこのことなんだよ」フフン

美琴「怠惰の極みじゃないの」

禁書「ちがうもん! 日光浴はとっても大切なことなんだよ!」

美琴「早くも『日光欲』が『日光浴』に変わってるじゃない」

禁書「なんで大事だと思う~?」

美琴「サラッと流したわね」

禁書「なんで大事だと思う~?」チラッチラッ

美琴「…………オシエテホシイナー」

禁書「よろしい!教えてあげるんだよ!」

美琴(ま、どうせあれでしょ。ビタミンDが血中のカルシウム濃度をあげるとか、骨を強くするとかでしょ)

禁書「それはね~~……」

美琴「うんうん」

禁書「『こうごうせい』をするからなんだよ!」

美琴「予想の斜め上を超えて行く解答ね」

禁書「ん?」

禁書「え?なにか間違ってる?」オロオロ

美琴「なんでオロオロしてるのかわかんないけど、間違ってるわよ」

禁書「なんでー?書いてたよー?」

美琴「多分それ植物のところを見たわね。
動物であるヒトにはできないのよ」

禁書「植物にできて人間にできないことなんてないんだよ!」プンプン

美琴「植物バカにすんな」

美琴「よかったら説明しようか? 光合成」

禁書「できないことを無理してやるより、今できることを一生懸命やる人のほうが輝いているんだよ」

美琴「いまさらシスター面してんじゃないわよ」

禁書「だってわたしシスターだもーん」~♪

美琴「…………」イラッ

禁書「~♪」

美琴「…………………えいっ」ギュー

禁書「うはゃ!いはい!いはいんはよみひょと!」ギュー

美琴「おお………いつ触っても柔らかいわね」ミョーンミョーン

禁書「あひょばなひで!はなひて!」バタバタ

美琴「ほふぅ、満足じゃー」ペチン!

禁書「あうっ。う~~痛い……」ヒリヒリ

美琴「なーんでそんなに柔らかほっぺなのかしら?同じ女としてなんか悔しいんだけど」

禁書「しいて言うならば日ごろの行いかな?」ドヤ

美琴「食う・寝る・遊ぶのエブリデイね。把握したわ」

禁書「違!………うって言いたかったけど冷静に考えたら違わなかったんだよ………」

美琴「『ニートで美肌促進!』とかいう本出したら?」

禁書「確実に太りそうだね、それ」

美琴「アンタ太ってないじゃん」

禁書「体質だからね」

美琴「体質、ね。だからそんなにぺったんこなのね」プププ

禁書「…………言ってて悲しくならない?」

美琴「なってるわよ。ああ、なってますともちくしょう」

禁書「ていうかまだなの?」

美琴「ううん。地図によると……このあたりなんだけどね」キョロキョロ

禁書「うーん……あ!あれかも!」

美琴「あ、あれね」

禁書「見つけたよ!わたし見つけたよ!」

美琴「よーしえらいえらい」ナデナデ

禁書「えへへ」ナデナデ

美琴「さ、競争よ!」ダッ

禁書「あ!ずるいんだよみことー!」ダッ

 

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「わぁぁぁぁっ」

「おお、なかなかシャレてるわね」


殺伐としたビル街に、外装に木材を使用したどこか温かみのある建物が建っている。

形はいわゆる『ファミレス』とほぼ同じで、大きなガラス窓から見える店内は混雑しており、まだ開店間も無いが人気を博しているということがわかった。


「みこと!早く入ろうよ!」

「はいはい」


なんだか興奮している可愛らしい少女の背中を眺めながら店内に入ると、木材特有のほのかに甘い匂いと、砂糖の甘い香りが鼻腔を刺激した。

「いらっしゃいませ、何名様でございましょうか」というテンプレートと共に聞こえる水のせせらぎは、上方のスピーカーから出ているとはいえ、なかなかに良い雰囲気を創り出している。


「ねぇみこと何名様!?何名様!?」

「落ち着きなさい。アタシたちは2人よ」


店員は苦笑と共に「2名様でごさいますね。ただいま4人席しか空いておりませんが構いませんか?」と質問。

この質問は、日本人にとってはもはや一種の脅迫である。

店員に『そこでいいよな?』と言われるがままに、私たちは四人席に腰を降ろした。

店員「当店は制限時間制度をとっておりまして、女性のみのご来店の場合は、90分2000円コースとなっております」

美琴「わかりました」

店員「ではごゆっくり」ペコ


禁書「………すっごく丁寧な人だね」

美琴「うんうん。なんだか執事っぽいわよね」

禁書「執事っていうのはもっとこうなんというかそういうものなんだよ」

美琴「どういうものよ」

禁書「あの店員さんみたいな感じかな?」

美琴「なんでさっき反論したのよ」

禁書「わたしに聞かれても困るんだよ」

美琴「じゃあだれに聞けばいいのよ」

禁書「そんなことより、早く取りに行こうよ!」

美琴「そうね。おしゃべりはいつでもできるしね」

禁書「行こっ!」ニコッ

美琴「うん!」ニコッ

色とりどりのケーキが甘い香りのクインテットを奏でている。

二等辺三角形+弧の、いわゆる『ケーキ』の形をしたオーソドックスなもの。

カップからふわふわと盛り上がっているもの。

一口サイズに切られた立方体のものと、種類も豊富だ。

創作メニューコーナーというのもあり、パティシエたちが作った試作品がずらりと並んでいる。

そのあたりを見ていた時、なんだか入り口のあたりが騒がしくなっていた。

客と店員がなにか、口論をしているようだ。

『クレーマーか何かかな?』などと思い覗いてみると、


「おィ、いいかげんにしろよォ?」

「ちょ、ちょっとあなた!ってミサカはミサカは必死で抑止!」アタフタ


なんだか関わりたくない知り合いがいた。

 

店員「申し訳ございません。お客様の言わんとしていることがわたくしめには少々わかりかねるのですが……」

一方通行「おィおィ、俺ァ愉快に素敵に平和的でいきたいンだぜェ?そこンとこどうよ?」

店員「『どうよ?』と問われましても……」

一方通行「だァかァらァさァァ!さっさとアックアに会わせろ!アイツとは一度話さなきゃァなンねェ」

店員「何度も言いますように、『ACQUA』はここでございます」

一方通行「ハァ?オマエがアックア?」

店員「いいえ、わたくしは田中でごさいます」

一方通行「ンなこたァどォでもいいんだよォ!はやくアックアだせ!」

店員「弱りましたね」

美琴「…………」


ぎゃあぎゃあと騒ぐ全身白で統一した少年。

その後ろでおろおろとうろたえているアホ毛の女児。

二人は知り合いである。

しかし、知り合いであっても必ずしも関わらなければならないということは無い。

ーーー『こっそりと戻る』。

私の脳が導き出した最良の選択。

このままやり過ごしてしまおう。

そしてインデックスとの穏やかな休日デートを


禁書「あー!あくせられーたとらすとおーだーだ!おーい!」ブンブン


インデェェェェェェェックス!!

 

一方通行「あァ?」ピクッ

打ち止め「あーインデックスとお姉様だー!ってミサカはミサカは二人に手を振ってあいさつ!」ブンブン


インデックスと打ち止めの間に、友人との遭遇を喜ぶ暖かい空気が流れる。

が、彼女らと少年と私の間には明らかな温度差があった。

一度はこっちを見たものの、なおも店員をにらみつけている少年。

店中の店員、客の視線を一身に浴びる私。

その目は私の監督不行き届きを非難しているような鋭い目だ。

叫びたい。

私は穏便に逃げたかったのだと、声を大にして。


美琴「ハハッ…………」ガクッ

 

禁書「みこと!打ち止めたちなんだよ!ねぇみこと!」グイグイ

美琴「わかってる。わかってるから腕をひっぱらないで視線が痛い」


その時、不意に『チョンチョン』と肩を叩かれた。

振り返るとそこには、額に青筋を浮かべた、にこやかな表情のジェントルマンな店員が立っていた。


美琴「すみません。アタシ、いえ、私の知り合いがご迷惑をおかけしまして本当に、本当に申し訳ございません」ペコペコ


平身低頭、謝る美琴。

それを見ている銀髪シスターはケラケラと笑っている。

どうやらなにも考えていないらしい。


美琴「すぐに、すぐに黙らせますので。どうかここはひとつ」


その一言でにこやかな表情の額に青筋を浮かべたジェントルマンな店員は一礼して身をひるがえし、店の奥へと消えて行った。

さぁ、


美琴「次はあのバカね…………」


ケラケラと笑うインデックスの頭部に、粛清の一撃を放って入り口へ向かう。

 

一方通行「意味わっかンねェ!」

店員「ですから、わたくしは田中でございます」

一方通行「ンなことどうでもいいって言ってンだろォがァァァ!」キシャー!!


騒ぐバカの元へと、ゆっくり歩き出す。

刹那、空気の流れが濃厚になり、肌がそのうねりを敏感に捉える。

コンセントレーションが最高に高まった状態。

仏教でいう『無の境地』に、美琴は至っていた。

水の上を歩く様な感覚の中で、飛びついてきた打ち止めを床に転がす。

「うわぁ~」という声を遠くに聞きながら、身を屈め、腰をひねり、飛び上がったのちに、


美琴「何してんのよこんのクソバカ野郎ーーー!!!」


正拳突きの容量で、少年細い首の延髄あたりに、肘鉄を炸裂させた。

 

少年は「ご…ほっ………!」と言った後、床にビタンと倒れてがくがくと痙攣。

シンとした空気が流れた直後、店内には惜しみない拍手が沸き起こった。

その瞬間、少女はヒロインとなった。

「ありがとうございます」と感謝の意を述べる店員に、「4人で」と言い、席に戻った。

右肩に、白い少年を抱えて。

禁書「あぅぅ~~。痛いんだよみこと」ジンジン

美琴「アンタが悪いのよ。しょうがないでしょうが」

打ち止め「あ~!お姉様『しょうが』ないで『しょうが』だってってミサカはミサカはお姉様のダジャレに敏感に反応!」

美琴「打ち止め?コイツと一緒にねんねしたいの?」ニコッ

一方通行「」ピクピク

打ち止め「ミ、ミサカ、ケーキ取ってくるってミサカはミサカは緊急離脱!」ダッ

禁書「みことって、案外凶暴なんだね」モグモグ

美琴「銃を撃つにはね、必ずひきがねを引かないといけないのよ?」

禁書「わ、わたし引いてないもん!」

美琴「引いてたわよ。ガッツリしっかり引いてたわよ」

美琴「はぁ……アタシも食べよ」イタダキマース

禁書「食べ始めるの遅いね」モグモグ

美琴「もう一発いっとく?」

禁書「暴力は何も産まないんだよ?」モグモグ

美琴「もっともらしいこと言ってんじゃないわよ」モグモグ

禁書「シスターだからね」モグモグ

美琴「シスターは平身低頭謝罪する人間を見てケラケラ笑わないわよ」モグモグ

打ち止め「ただいまーってミサカはミサカは大漁大漁!」ゴトッ

 

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禁書「あと何分?」

美琴「えーっとね………まだ70分以上あるわね」

打ち止め「うわーい!まだまだいっぱい食べられるねってミサカはミサカはばんざーい!」

禁書「で、これどうするの?」グイッ

一方通行「」グデー

美琴「そのまま隣に置いておきなさい」

打ち止め「ぐっすりだねってミサカはミサカはお姉様の肘鉄に恐れをいだいてみる」

禁書「う……ち、ちょっとおしっこ」ガタッ

美琴「こら。女の子がおしっこ言わないの!」

打ち止め「ミサカも!ってミサカはミサカは人生初の連れションに挑戦!」ガタッ

美琴「連れションもだめ!」

美琴「まったく………」


窓辺に置かれた一方通行を見る。

相も変わらず、ぐったりと体を窓辺にゆだねている。


美琴「ねぇ、そろそろ動いてもいいんじゃない?」

一方通行「……………チッ」

美琴「バレてんのよ。レベル5の発電能力者なめんな」

一方通行「ほォ、生体電流を感知したのか……。やるじゃねェか、超電磁砲」ムクッ

美琴「ふん」


ピリピリとした鋭い空気が、二人を支配した。

 

一方通行「でェ?」

美琴「なによ」

一方通行「なァンで俺を起こしたンだァ?


美琴「逆に聞くけど、なぁんで起きたのよ?狸寝入りぶっこくこともできたんじゃないの?」

一方通行「質問に質問で返すのは感心しねェなァ」

美琴「………ふん。まぁいいわ」

一方通行「なにがいいンだよ。なンか俺に言いたいことでもあるンだろ?」

美琴「言いたいことがあるのは、アンタの方じゃないの?」

一方通行「ッ!」

美琴「図星………みたいね」

一方通行「………………」

美琴「………………」

一方通行「……………………オマエは」

美琴「………………」

一方通行「オマエは俺をどう思ってやがる」

美琴「殺したいわよ。今すぐにでもね」

一方通行「ハッ、即答だな。ま、俺みてェなクズにはお似合いの

美琴「でも、感謝してる」

一方通行「………………あァ?」

美琴「あの子たちが産まれたのは、アンタのおかげだしね」

一方通行「………憎くねぇのかよ、この俺が。一万人以上も殺したこの俺が!」

美琴「憎いわよ。憎くて憎くて、今すぐにでも超電磁砲でぶっ飛ばしてやりたいくらい憎いわよ。」

一方通行「だったら軽々しく感謝なンて
使ってンじゃねェよ」

美琴「…………でもね、」

美琴「あの子は、打ち止めは笑ってる。他でもない、アンタの隣で」

一方通行「……………」

美琴「本来なら20000通りの殺されかたを記憶するはずだったあの子が、20000通りの殺しかたをするはずだったアンタの隣で、笑ってる」

一方通行「……………」

美琴「理由はそれだけでじゅうぶんじゃない?」

一方通行「…………くっだらねェ。オマエはそれでいいのかよ」

美琴「当事者のあの子が前に進んだんだもん。お姉様であるアタシが進まないでどうすんのよ」

美琴「それにあの子が、打ち止めが許しちゃったら、アタシは口出しできないしね」ハァ

一方通行「……………………すまねェな」ボソッ

美琴「え?なんて?」

一方通行「なンでもねェよ」プイッ

美琴「ハッキリしゃべりなさい!男でしょうが!」

一方通行「だァもう!なンでもねェって!」

打ち止め「ただいまーってミサカはミサカは………あれ?あなた起きたの?」

一方通行「あァ、たった今なァ」

禁書「おはようなんだよ、あくせられーた」

一方通行「ったく、最悪の寝覚めだァ」フッ

美琴「ふふっ……」

打ち止め「?」

 

----------

 

打ち止め「ねぇあなた」

一方通行「あン?」

打ち止め「それ、何杯目?ってミサカはミサカは若干ヒキながら聞いてみる」

一方通行「52杯目だ」ズズズ

禁書「それ絶対どこかぶっこわれてるよね」モグモグ

一方通行「オマエにだけは言われたくねェよ。それ何皿目だァ?」

禁書「ざっと30皿目なんだよ」モグモグ

美琴「………アンタたち、ホントに控えてくんない?」

一方通行・禁書「「何を?」」

美琴「なんで理解してないのよ」

打ち止め「一口ケーキコーナーとブラックコーヒーサーバーが完全に枯渇してるねってミサカはミサカは店側の深刻な状況を心配してみたり」

一方通行「ちょっと行ってくる」ガタッ

禁書「あ、わたしもー」ガタッ

美琴「やめて。これ以上はホントにやめてあげて」ガシッ

打ち止め「もういいもう休めってミサカはミサカは福本伸行の某マンガのセリフで静止を促してみたり」ガシッ

一方通行「てめェ腕つかむな!俺に、俺にカフェインをォォォ!」グイグイ

打ち止め「離してみこと!糖分がわたしを呼んでるんだよ!」グイグイ




店員「ーーーお客様?」ニコ

美琴「すみません。ウチのバカどもがホントに申し訳ございません。きつく言っておきますので、なにとぞ、なにとぞ」ペコペコ

打ち止め「お姉様のこんなとこ見たくなかったってミサカはミサカはイマジンブレイク」

一方通行「チッ」スタスタ

禁書「いってきまーす」ヒラヒラ

美琴「はぁ……」グデー

打ち止め「お姉様ファイトってミサカはミサカは同情エール…………あ、帰ってきた」

一方通行「チクショウ」ガタッ

禁書「まだいけそうかも」ゴトッ

美琴「インデックス………さすがに胸焼けしそうになってきたわ」オエッ

打ち止め「あなたはなんで不機嫌なのってミサカはミサカは聞いてみる」

一方通行「コーヒーサーバー使用中止だとよォ」ケッ

打ち止め「ホントに枯渇したんだねってミサカはミサカはあなたってホントはバカなんじゃないかなって思ってみたり」

美琴「ホントに何やってんのよ………」

一方通行「クソが。なァにが使用中止だよ。仕事しやがれ仕事」ブツブツ

打ち止め「ケーキ食べなよってミサカはミサカはケーキバイキングで一つもケーキを食べてないあなたに提案してみる」

一方通行「あンなクッソあめェもン食えねェよ」

美琴「じゃあアンタはなんで来たのよ」

一方通行「そこのクソガキがごねたからだ」

打ち止め「おねだりしたら連れて来てくれたの!ってミサカはミサカはお姉様に自慢してみる!」フフン

美琴「よかったわね」ナデナデ

打ち止め「えへへ」

美琴「ま、これでわかったわ」

一方通行「はァ?何が?」

美琴「アンタ、ロリコンでしょ?」

一方通行「オーケェオーケェ、ぶっとばされてェみてェだな」

美琴「いやいや、それだと見ず知らずのインデックスにご飯おごったのも説明がつくのよ」

打ち止め「ねぇ、ロリコンってなぁに?ってミサカはミサカはあなたに質問」

一方通行「ある人いわく、『夢』だ」

打ち止め「そうなんだ!ってミサカはミサカはまたひとつ知識が増えた!」

美琴「それでいいの?」

一方通行「……………」

美琴「ねぇ、アンタはそれで

一方通行「ハッ、当ったり前だろうがァ」

美琴「開き直ってんじゃないわよ」

打ち止め「?」

禁書「おかわりー」ガタッ

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