佐天「…アイテム?」5


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あらすじ
佐天は初めての仕事の依頼をつつがなく終了させた。
ターゲットは死なずに済んだ。

そしてアイテムに電話をすることが彼女の日常になっていく。
アイテムのメンバーは彼女の事を電話の女と呼んでいます。





因みにスーパーマリン社の産業スパイ摘発以後、佐天の元に寄せられた仕事の依頼はこんな感じだった。


1:クローン技術漏洩に関して容疑がもたれている品雨大学教授の“処分”
2:横田基地の米軍将官達と学園都市の理事会員達主催の友好記念祭りの警邏活動
3:日本国防衛庁幹部の学園都市兵器群の視察団の護衛


例えば、防衛庁幹部が学園都市に来園した時、絹旗は警備員に扮したテロリストが乗っているハマーを叩きつぶした。
その手際は防衛庁幹部をテロの恐怖におびえる暇を与えず、むしろその手際の良さから彼らの拍手を誘った。


また、横田基地の交流祭りでは品雨大学の件と同様にフレンダが活躍した。
彼女はアキュラシー・インターナショナルAWSを利用し、過激派のスナイパーを一弾で射殺した。
消音機が常備装着されている狙撃中を放つ、7.62mm弾を持ちいた中距離狙撃を敢行。
ピシュ!と見事な手際で過激派の男を一弾で血と肉の塊にかえた。


佐天はこれらを実際に見た訳ではないが、報告時の彼女たちのハイになった声と麦野の冷静だが、素直に褒めている口ぶりを聞いただけだ。
しかし、それだけで二人は相当な腕前だと言うことが分かる。


滝壺と麦野はまだまだその力の正体を明らかにした訳ではないが、彼女たちは二人とも能力者だ。
その実力は推して知るべし、と言ったところだろう。



これらの依頼の内、防諜活動と言うよりか、寧ろ護衛の様な仕事もある。
これから推測するに、アイテムは雑務も行っているようだ。


とりわけ、1の任務終了後の報告で佐天は衝撃を味わうことになる。
何故なら、品雨大学の教授はアイテムに殺されたから。


顛末はこうだ。


(フレンダの報告書から抜粋)

私が教授を追い詰めた時、彼は腰の背の部分から拳銃を抜く動作を行った。

その動作に気づいた私が彼が引き金を押す前に拳銃を発砲。

頭部と心臓付近に一発ずつ被弾し教授は即死。


押収した武器:デリンジャー
用いた武器:シグザウエルP230

以上。




佐天はこの報告を上層部にメールで送信する時、苦虫をかみつぶしたような表情だった。
それもそのはず。彼女自身が出した指令で初めて死者が出たのだから。



例え、彼女の友人達である初春や白井でもレベル5の御坂美琴であっても人殺しはしていないだろう。
ましてや同じ無能力者のアケミ達なんて絶対に。


佐天はこの時、初めて自分が連絡をするだけの立場では無く、自分が人を殺せる命令を出せる立場にあることを知って恐怖した。


彼女には“殺人をした”という後悔の気持ちだけが心に残った。


(私が…殺した…!)



彼女は罪の意識に苛まされる。
殺人を命じた立場としての重責が彼女にズシンとのしかかる。


(何でおとなしく降参しないのよ…?)


佐天は知らないが、学園都市はその優位性を保つために、最高級の機密を誇っている(らしい)。
その資源も何もない一丘陵地帯が世界の中でトップを誇る技術力と軍事力を誇り続けるためには技術漏洩は御法度だった。


なので降参しても待っているのは長い禁固刑か、死刑だ。
ならば死を選ぶのも懸命な選択肢だと言えよう。


(降参しない、敵が悪いのよ…?私は悪くない…はは…そうよね?みんな?)


みんな、とは誰の事を言っているのだろうか。


いつも一緒に初春や御坂達か。アケミ達か。
或いは、まだ一度も目にしたことのないアイテムのメンバーか。


(飽くまで悪いのは…ターゲットの教授だったのよ…おとなしく捕まっていれば…よかったのに…)


善悪の二元論に陥り、自己を正当化しようとする。


最初の依頼で引き受けたダグラスの様に穏当に行かなかったのはたまたまだ、と自分に何度も言い聞かせる。
彼女はそうする事で人殺しをした免罪符が欲しかったのだ。


(はぁ…なんかとんでもない事やってるのかなぁ…私…)


後悔をしていても、今更後には引けない。


中学生には破格の収入、取り立てて自分の周囲に危害は及ばない。
実際に死んでいる様を見たことが無い故に生じる安堵の気持ち。

人の死がただの数字に見えるまでそれほど時間は必要なかった。


幻想御守の時の様にズルズルと、佐天は学園都市の最奥とは名ばかりの暗部に墜ちていった。




――八月十日

佐天の今日(八月十日)の日課は第七学区におけるマネーカードの捜索だった。


「うーん…この辺りにはもう無いかな…」


「あの…佐天さん?なにやってんの?」


佐天の背後から突如声が掛かる。
彼女の事を呼んだのは一体誰だろうか、後ろを振りかえる。


「あ、御坂さん!!御坂さんも例のカード探しですか?」


「あ、いや…」
(いっつも元気だなぁ…佐天さんは…)


御坂は今年学園都市に来た佐天と風紀委員の白井、初春の交友ルートから知り合いになった。


(えー!?なんで御坂さんがここにいるのよー?)


佐天は動揺しつつも御坂と話す。


「じゃーん!私もう四枚もゲットしましたよー!」


佐天はそう言うと御坂の前で拾ったマネーカードが封入されているカードを見せる。
御坂は「わスゴイわね」と驚く。


「何かあたし金目のものに対して鼻が利くみたいで…」


口から適当に出任せを言う。
マネーカードの予想配置図の存在を言えば、自分の身がどうなるか分かったものではない。


「鼻が利くって…」


という御坂の突っ込みを受け流すと佐天は適当に腕を掴むと走り出す。


(御坂さんと適当に雑談しながらカード探しますかねー)


結局、日が暮れるまで二人は一緒にマネーカードを捜した。
と言っても佐天の適当に探す振りをしてカードを見つけると言う超めんどくさい、出来レースだったが。



「じゃ、今度は初春達と一緒にさがしてみましょー!」


「あ、ばいばい!佐天さん」
(いっちゃった…)


美琴は佐天と裏路地でマネーカード探し一緒にした後、帰ろうとした。
すると背後から男達の会話が聞こえてくる。


「…女が例の封筒を置いてるのを見えてさ…」


なにやら女の話をしている。例の封筒とはマネーカードが包まれている封筒の事だろうか?
男達の会話内容に興味を持った美琴はこっそり後をつけてみる事にした。


(見るからにガラの悪い集団ね…あったま悪そう…何企んでるんだか…)


暫く歩き、男達の後をつけていくと使われなくなった雑居ビルに到着した。
何人かの男の中に一人の女がいた。白衣を着ているので研究者だろうか?


(この状況…結構まずくない…?いつでも男達、ぶっ倒せる様に待機してた方が良いかも)


美琴は白衣の女に万が一の事があった時に備えてビルの影からこっそりと見る。
するとその部屋の電気が消えた。


(ちょっと…!中の女の子…平気なの?)



美琴の懸念をよそに、電気がつくと白衣の女を囲っていた女だけ一人で突っ立っていた。
男達は失神して地面に倒れ込んでいる。


「いやーオモシロイもの見せてもらったわ」
(実際にある能力か怪しいけど…話だけで男を黙らせちゃうなんてすごいわね)


美琴は部屋の電気を暗くた際に白衣を脱いだ女に向かって話しかけた。
するとその女はじろりと美琴を見つめると一言言った。


「あなた、オリジナルね」


「?」
(お、オリジナル?何よ?それ)



美琴がレベル5になってからたまに聞く噂があった。


『超電磁砲のDNAをつかったクローンが製造されるんだって』

『軍用兵器として開発されててもうすぐ実用化されるらしいぜ』


あり得ない、あり得ない。
美琴は今の今までそう思っていた。
しかし、美琴に似ている人物を見た、という目撃談もある位だ。
このギョロ目の女の話をただ笑殺し、看過するのも抵抗があった。



「アンタあの噂の事何か知ってるの!?」

美琴は気づけばギョロ目の女の肩を掴んでいた。


「知っても苦しむだけよ。あなたの力では何も出来ないから」


「私に出来ないってアンタだったら…」


ドゴッ


ギョロ目女のローリングソバットが美琴の脇腹に突き刺さる。
どうやら彼女の前では長幼の序はしっかり守らないといけないようだった。


「マネーカードをまくのもその一環」


そう言うとギョロ目の女はマネーカードを撒く理由を説明する。
カードをまいて普段意識が向かない路地や裏通りに意識を向けさせ、そこで行われるであろう実験を阻止している、と言うのだ。


「え?ちょっと…どういう事?意味が分からないわよ…?」
(実験…?阻止…?しかも私じゃどうにも出来ない事…?)


美琴はギョロ目の女に更に詳しく話しを聞き出そうとするが女は机の引き出しにある冊子に火をつけるとそのままどこかに消えていった。



「え?ちょっと…どういう事?意味が分からないわよ…?」
(実験…?阻止…?しかも私じゃどうにも出来ない事…?)


美琴はギョロ目の女に更に詳しく話しを聞き出そうとするが女は机の引き出しにある冊子に火をつけるとそのままどこかに消えていった。


結局美琴は心の中のもやもやが晴れず、電話ボックスの端末回線から彼女の通っている学校にアクセスしてみる事にした。


(布束砥信…三年生十七才…………樋口製薬第七薬学研究センターでの研究期間を挟んだ後…本学に復学…)


(って言うことは彼女は…ここで私のDNAマップを利用した研究を…?)


現段階で分かるのはここまでが限界だった。
ならば、実際に行って確かめてみるしかない。


今日拾ったマネーカードを利用して大型量販店のラ・マンチャで替えの衣服を購入すると美琴はホテルで着替えて樋口製薬の研究センターに侵入する。




侵入はあっけなく成功した。
電気的な警備システムは美琴の前では全く用を為さない。稚戯に等しい。


セキュリティと言うにはほど遠い勤労意欲に欠けるガードマン達の合間を縫って美琴はいとも簡単に樋口製薬の内部に潜入した。
そこには製薬会社とは名ばかりで人一人が軽く入れる培養器がいくつも配備されていた。



薄明るい研究所のライトに照らされてぱっくりと口の開いた培養器は今にも何か出て来るような気配を彼女に感じさせた。



(な、なによここ…製薬会社にこんなに大きな培養器がなんで…?)


美琴は思った。まさか、ここで私のクローンが作られているのではないかと。
そんな事を考えつつ彼女は奥の部屋に向かっていく。制御室だ。


彼女の得意技であるハッキングで砥衛薬会社のパソコンを起動させる。
そしてデータを復元させる。
するとディスプレイに次々を言葉が表示されていく。



『超電磁砲量産計画 妹達 最終報告』


美琴は一瞬唖然とする。そしてその次に瞬間に体に言いしれぬ悪寒を感じた。


(え?ちょっとあの時のDNAマップが?)

あの時…美琴は幼少時代に医師にDNAマップを提供した事がある。
今回のクローンもそこから作られたと最終報告書には記載されている。

美琴は後悔した。
実は幼少時代、DNAマップを提供したことによって自分のクローンが生まれてしまったのだという事実に。


しかし、この文章には続きがあった。
美琴は最終報告を読み進めていく。

どうやら御坂美琴のクローンはレベル5にはならず、よしんばレベル3のクローンまでしか製造できない、との事だった。


これによって美琴のクローンである妹達は中止し、永久凍結されたそうだ。この研究に携わった各チームも順次解散しているらしい。


「はは…は、やっぱ私のクローンなんているわけないんじゃない…」


「さ、寮監に門限破りがバレる前にさっさと帰りますか」
(何よ、あのギョロ目、脅かしてくれちゃって)


美琴は夕方会ったギョロ目、もとい布束砥信の言っていた事の事実確認を済ませると足早に去っていった。




――八月十五日

美琴は以前風気委員の仕事で知り合った子供達と一緒に街を歩いていた。
その時、不意にキィィィー…と言いしれぬ感覚を感じ取った。


子供達と解散すると美琴はその感覚を知覚した方向に向かって歩いて行った。


そこには木を見つめている、常盤台中学校の制服を着た御坂美琴にそっくりな女の子がたっていた。


「――――――――」


その女は無言で美琴を見据える。
美琴はその視線に耐えかね、たらりと冷や汗を掻く。



「あんた…何者?」






聞けば彼女は御坂美琴のクローンらしい。
しかし美琴には懸念があった。それは数日前に侵入した樋口製薬の中で確かに見た妹達製造計画の凍結。


(確か…妹達の計画は終わったはず…何で私のクローンが?)


「例の計画とやらは終わったはずでしょ。何でアンタみたいのが存在するのよ」


そう。確かにあの計画は終わったはずなのだ。クローン製造計画は中止。
美琴が自分のクローンから答えを待つ。


「ZXC741ASD852QWE963'……」

意味不明な言葉の羅列が帰ってる。
美琴は「あ?」と首をかしげる。


「やはりお姉様は実験の関係者ではないのですね…」


暗視ゴーグルを頭に嵌めた美琴そっくりのクローンは抑揚がない調子で言い放つ。


どこの誰が彼女を作ったのだとか、何の為に作られたのか。
それらの事を美琴はクローンに聞いてみるが機密事項の様で、何も言えない。


ついに業を煮やした美琴はぐいとクローンの腕を引っ張った。


「力ずくで聞いても良いんだけど?」


彼女の力はレベル5。クローンでは劣化した能力を生成するのが限度と昨日の樋口製薬の最終報告書を読んで熟知していた。
それもあってか彼女は強気になってクローンに話しかける。


シーン…


クローンは何も答えなかった。
美琴はあきれ、手を話す。


「もういいわ、私がアナタの後を追いかけて製造者の事とっちめてやるから」




すっかり日はくれてしまった。
美琴はクローンの後を追いかけ(半ば遊ぶような形になったが)ていたが結局彼女の製造者はそれにかんする情報は全く得られなかった。


「ちょっと…いつになったら帰るつもりなのよ」


「ミサカは実験があるので帰りません」


「あ、そうそう。お姉様が知りたい実験の内容や製造者に関してですが、お教えすることは出来ません」


「は?」


美琴の半日が無駄になった。


(おいおいおいおい!マジかい)


だが、美琴とてクローンにあって、「はい、そうですか」と言って帰れる訳がない。


(そう言えば…この子、座標コードみたいなのつぶやいてたわよね…?)


美琴はコードを解析しようと思い、スカートのポケットに入っているPDA端末を取り出そうとする。


カラン…


ポケットから何かを落とす。缶バッチだ。


「これは…?」


美琴が拾うよりも早くクローンが反応する。


「あ、いや、これはハハハ……!」
(あ、良いこと考えた)


美琴はクローンが凝視している缶バッチを拾うと彼女の制服の下腹部の辺りにそのバッチをパチンとつけてやる。


「何でしょうか?」


「これで見分けがつくでしょ?鏡で見るよりももっと客観的にわかるわ」


「いや、ねーだろ」


「?」


その言葉に一瞬狐につままれたような表情になる美琴。


「こんな幼稚なセンスなんて…素体のセンスの無さにミサカは動揺を隠せません」


「じゃ…じゃぁ返しなさいよ…」
(クッソ…自分のクローンにもセンスを否定されるなんて…!)


若干の恥ずかしさと悔しい気持ちが湧く。
美琴はクローンに手を伸ばし、バッチを回収しようとする。


ペチン


「え?」


クローンに手を伸ばした美琴の手ははたかれる。


「な、何よ?」


「お姉様の今行った行為は強奪です。バッチの所有権はミサカに移ったとミサカは主張します」


その後、小一時間バッチの奪い合いに興じる事になるが、美琴は拉致があかないと判断し、バッチを渡した。





「お姉様から頂いた初めてのプレゼントですから」

美琴のクローンは一瞬、ほんの一瞬、笑った。



(結局実験の事は何も聞けなかったなぁ…)


クローンは時間がきたとかなんとか言って立川駅のロッカーに向かっていってしまった。
美琴は寮監にばれないようにどうやって帰ろうか、と考えながら街を一人歩いていた。



(コード…何だったんだろう)


ZXC741ASD852QWE963'…クローンが言っていたコード。


(初春さんならわかるかも…)


美琴は公衆電話に駆け込む。
そこで初春に電話をかける。


「ちょっと良い?初春さん」


美琴はコードの事を初春に聞く。
能力は低いものの、演算能力の早さではかなりの速度を誇る初春なら、このコードも解読できるのではないか、そう考えた。


受話器越しにカタカタと打鍵するキーボードの音が聞こえる。


『なんだかよくわかりませんねぇ…妹達を運用したレベル6への進化法…なんですかね、コレ。一応御坂さんにも送信しますね』


「妹達を運用…?」


嫌な予感がした。
妹達…即ち先程まであっていたクローンの事…『達』と言われている限り、一人ではないと言うことだろうか。


(何よ?レベル6なんて…そんなの存在するの?)


美琴が逡巡していると、初春からメールが送られてくる。


『すいません、御坂さん。私、風紀委員の夏季公募と夏休みの宿題に終われてて…すいませんが…』


「あ、うん!お手数かけちゃってごめんね!」


電話が唐突に切れる。
美琴は初春から送られてきたファイルを食い入るように読んでいく。


『絶対能力進化法(レベル6)』

『学園都市には七人のレベル5が存在するが……レベル6にたどり着ける者は一名のみと判断した』


『当該被験者にカリキュラムを施した場合レベル6に到達するには二五○年もの歳月を要する』


『これを保留し実戦による能力の成長促進を検討した』


『ツリーダイアグラムの予測演算の結果…』




『超電磁砲のクローンを一二八回殺害する事でレベル6にシフトする事が判明した』


『しかし、超電磁砲のクローンを用意する事は不可能な為、妹達のクローンを利用し性能差を埋めることとし…』


『二万体の妹達と戦闘シナリオをもってレベル6へのシフトを達成する』



「ハハハ…狂ってるわよ…こんな事出来るわけがない…」


「私を殺す…?代わりに妹達を…?レベル6?」


美琴は口では否定しつつも頭では否定できなかった。

つい先程まで一緒にいた妹達の内の一人。缶バッチをつけたクローン。
彼女は実験をするためにどこかに消えていってしまった。


美琴はPDA端末のカーソルを下におろしていく。
すると座標が指定されていた。


(ここで…実験が…?)


(…まさかね…?)


彼女はそう思いつつも、拭いきれない懸念と悪寒を胸に、公衆電話を飛び出し、座標地点に向かっていった。




分倍河原 
ここには貨物の操車場がある。


一般人は立ち入り禁止となっているこの場所で戦いと言うにはおこがましい程の戦いが行われていた。


「逃げてばかりじゃァ、オレの事は倒せませンよォ?」


真っ白な肌に、夜でも分かる赤い目、そして銀色の髪。
学園都市第一位一方通行。
彼は缶バッチをつけた御坂美琴のクローン――性格に言えばミサカ9982号と戦っていた。


「ク…ッ…!」


9982号は逃げる事しかできなかった。
銃器の類は全く効かない。どういう訳か全て反射してこちらに跳ね返ってくるではないか。


「オイオイ…逃げ足だけは速ェのな…クカカ」



一方通行はとぼとぼとゆっくり9982号に向かって歩いてくる。
勝敗こそ決していないが、その足取りは既に勝ち誇った勝者のそれだ。
ツールボックス

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