絹旗「つまり超修行ってことです」8


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     *―*―*

一方通行「どォおして実験が停滞してやがる!? 納得のいく説明をしやがれ!!」ダンッ

天井「お、落ち着け……前にも話だろうが、虫螻共g」

一方通行「こっちはテメォが思ってるほど暇じゃねェンだ! 今度こそその虫螻共を俺が潰してきてやるからよォ!」

芳川「実験は予想以上にハイペースで進んでいるわ。あなたが身体を休めるにはちょうどいいでしょう?」

一方通行「俺を嘗めてンのか……?」

天井「今は屋内実験で我慢してくれ。外部移設も始まってることだ、いずれは様々な状況下で戦わせてやる」

一方通行「外部移設だァ……?」

芳川「そこは私達に任せてちょうだい」ボソッ

一方通行「……チッ」

天井「はぁ……ん? 布束はどうした?」

芳川「彼女も表向きは一介の学生よ」

天井「表も裏もないだろう」

一方通行(こっちはアイツらを一刻も早くこンなクソみてェな場所から、連れ出してやりてぇっつーのに……)

一方通行(……らしくねェな。どうにも感情的になり過ぎてやがる)

一方通行(事を急がすことは自分の首を絞めるだけじゃなく、協力してくれてる二人や『妹達』の首も絞めることに繋がるだろうが)

一方通行(やっぱ一杯一杯になってンのかもしンねェなァ……時には休息も必要、か……)




     *―*―*

絹旗「お、おかえりなさい!」

一方通行「あァ……」

絹旗「…………」

一方通行「……、どうした?」ポスッ

絹旗「いえ、別に……」

一方通行「よし、いいぜ。構ってやンぞ」

絹旗「よ、よし、って! 超子供扱いしないでください!」

一方通行「まァ、いいけどよォ。ただの気紛れだしなァ」

絹旗「…………」

一方通行「寝るか……」ゴロン

絹旗「…………」

一方通行「ンン……」

絹旗「…………」

一方通行「……何見てンだよ? ってか、いつまでそう突っ立ったままでいンだ?」

絹旗「そっ、そんなの他人の勝手ですよ!」

一方通行「そォかい……」

絹旗「…………」

一方通行(何しょぼくれてンだ、コイツ……)




     *―*―*

絹旗(素直に構ってもらえば……)

絹旗(でも、キャラじゃないですよね……いえ、ここは冗談っぽく抱きつけば……)

絹旗(……後悔先に立たずとはこのことですね)

一方通行「…………」スースー

絹旗(ベッドならぬソファーに潜り込んだり……)

絹旗「って、バカですか! 超バカです!」

一方通行「ン……」スースー

絹旗(危ない危ない……。そういえばこの前はベッドで一緒に寝たんですよね)

絹旗(……だ、抱きついて! 超平然と!)

絹旗(超落ち着くんですよね! あったかくて!)

絹旗(目を醒ます様子はない……どうしましょうか……)

絹旗(ソファーじゃ狭いですからベッドに運んで……って、もう一緒に寝るのは決定ですか!?)

絹旗(らしくないですよ、私……でも、別にやましい気持ちは……)

絹旗「…………」ソォー

一方通行「…………」スースー

絹旗「よしっ……!」ツンツン

絹旗「ふぅ……」

一方通行「…………」スースー

絹旗(とりあえずベッドに移し終えましたね、変に超意識してここまで三〇分近くかかりましたけど)

絹旗(さて、と……布束さんは今日も帰らないと思いますけど、念のため鍵を……)ガチャリ

絹旗(ふっふっふっ……いざ……!!)

絹旗(これは夜這いじゃない夜這いじゃない夜這いじゃない夜這いじゃない)

絹旗(相手が一方通行だけに一方的なものですし、情を通じるわけじゃないんですよ!)

一方通行「ンっ……」

絹旗「」ビクッ

一方通行「…………」スースー

絹旗(超冷や冷やさせてくれますね……)ホッ

絹旗(では、改めて……まずは前にしようか、後ろにしようか)

絹旗(前なら抱擁するだけじゃなくて逆に抱擁されることもまた……。
   しかし、後ろ――背後もまたそれはそれで……)

絹旗(……今の私、超アホですね。この思考がだだ漏れだったら超[ピーーー]ます)

一方通行「…………」スースー

絹旗(初めてこの寝顔を見た時も思いましたけど、普段の凶悪な容貌とは打って変わって……その、超かわいいです、よね……?
   ギャップってやつです、うん! まったく、超罪な男ですよ!)カァァ

絹旗(あぁ、超顔が熱い……何かを殴り飛ばしたい気分です……)

絹旗(超脱線しまくりましたけど、今度こそ……!)

絹旗「…………」ソォー

一方通行「……………」スースー

絹旗(よし、やっぱり向き合う形がいいですよね……)スッポリ

絹旗(で、でも、ちょっと近いような……いえ、超気のせい気のせい気にしない気にしない……)

絹旗(胸が高鳴って……瞼を開けられません……!)

一方通行「ンン、ン……」ゴロッ

絹旗(不味い! ――寝返り!?)

一方通行「…………」スースー

絹旗「」

絹旗(あ……ありのまま今起こったことを話します!
   『一方通行が寝返りを打ったと思ったら、その一方通行が私に覆い被さっていて超密着』。
   な……何を言ってるのか解らないと思いますが、私も何をされたの解らなかった……。
   超頭がどうにかなりそうだった、超胸が爆発しそうだった……。
   催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃ断じてあり得ません。
   もっと恐ろしいものの片鱗を味わいました)

絹旗「んっ……」ビクッ

一方通行「…………」スースー

絹旗(耳元に超鼻息が……!)プルプル

絹旗「あっ……んんっ……」カァァ

絹旗「(こここっ、これじゃ何、いえ、ナニしてるようにしか見えませんよね……!?)




     *―*―*

一方通行「ンゥ……あァ、久々によく寝たなァ……」ノビッ

一方通行「あン……?」コツン

絹旗「」

一方通行(マグロ!?)

一方通行(まるで寝返り一つ打ってねェような……直立不動、いや、直寝不動……)

一方通行(ってか、俺はソファーで寝てたはずなンだけどよォ。こりゃあ夢か……?)

一方通行「いや、完全に覚醒してンな」

一方通行「……オイ、絹旗」

絹旗「」

一方通行「おら、とっとと起きやがれ! マグロがっ!」

絹旗「……い、いえ」

一方通行「あァ?」

絹旗「私、超敏感みたいです……」ポッ

一方通行(コイツは何を言ってるンだ……)

絹旗「…………」トントントントン

一方通行(アレから一言も喋らねェな、無言で朝飯の支度なンかしてやがる。
     そォいやァ昨夜から様子が可笑しかったなァ……一体何があったンだか……)

一方通行(まァ、大したことじゃねェだろォけどよ)

絹旗「…………」コトッ

一方通行「白飯にみそ汁、焼き魚にお新香ねェ。早速いただくとするかァ」カチャ

絹旗「……、もうお嫁にいけないっ!」

一方通行(どォやら大したことだったらしいなァ……)

一方通行「……何があった? 話したきゃ話せ」

絹旗「私にあんなことをしておきながら超しらばっくれる気ですか……」

一方通行「はァ……?」

絹旗「一晩中……超弄って……」

一方通行「……ンなことより、俺はソファーで寝てたはずなンだけどよォ」

絹旗「私がベッドまで運び……突然起き上がったと思ったら、ルパンダイブで飛び込んできたじゃないですか!」

一方通行「ほとンど言っちまってるじゃねェか! どんだけ往生際が悪ィンだよ、オマエっ!」

絹旗「ちょ、ちょっと悪戯しようと思っただけです!」

一方通行「悪戯ってなンだそりゃ……まさか性的悪戯ですかァ? モアイちゃンもお年頃なンですねェ」

絹旗「…………」

一方通行「…………」

絹旗「…………」モジッ

一方通行「こンな時どンな顔すればいいか解ンねェ」

一方通行「でェ……? 俺がどこを弄ったっつーンだよ?」ジロッ

絹旗「…………」バッ

一方通行「胸、ねェ……。弄るほどねェだろ」

絹旗「必要なくらいはあります!」

一方通行「生々しいっつゥのォ!」

絹旗「それはもう超開発されましたよ」

一方通行「さっきまでの羞恥心はどこへ行った……。
     まァ、このことは犬に噛まれたとでも思うンだな」

絹旗「そこは超男らしく『俺が責任取ってやるからよォ』くらい言ってください」

一方通行「出直せ」パクッ

絹旗「……では、数年後に」

一方通行「愉快な思考回路してンな。しょっぺェな、このみそ汁」ズズッ

絹旗「早死にさせて老後は気楽に。絹旗最愛は静かに暮らしたいんです」

一方通行「そォかい」パクッモグモグ

絹旗「フウウウウウウ~~~~。私は……子供の頃……レオナルド・ダ・ビンチの『モナリザ』ってありますよね……あの絵……画集で見た時にですね、
   あの『モナリザ』が膝のところで組んでいる『手』……あれ……初めて見た時……その……下品なんですが……フフ……勃k」

一方通行「あァ、解ってるから言わなくていいぜ」

絹旗「因みに昨晩の一方通行はバッチリ機能してました。一方通行の一方通行が、超一方通行n」

一方通行「気ィ付けるわ」ズズッ

絹旗「……こっちから超ガンガンいってるんですから、ちゃんと構ってくださいよ!」

一方通行「いや、まず飯喰えよ。冷めンだろうが」




一方通行「さァて、今日はどうすっかなァ……実験は無くてもやらなきゃなンねェことは山ほど……」

一方通行(『樹形図の設計者』の方に当たるかァ……?)

絹旗「今日は一日ゆっくりしてみるというのはどうですか? はい、缶コーヒー」

一方通行「ン……それも悪かねェな……」カシュッ

絹旗「じゃ、じゃあどこかへ遊びに!!」

一方通行「ゆっくりしろとか言ってなかったかァ?」ゴクッ

絹旗「それとこれとは話が別です」

一方通行「遊びって……どォせ映画だろ……」

絹旗「どォせ、ってなんですか! ここはもう超乙女チックに遊園地と言ってやります!」

一方通行「却下ァ。この俺に遊園地でキャッキャッとはしゃげっつーのか?」

絹旗「キモッ……くない……!?」

一方通行「いや、心底気持ち悪ィよ」

絹旗「今の絹旗・アイには超フィルターがかかってるんです」

一方通行「それ、あンま上手いこと言えてねェからな」

絹旗「そこじゃないですよ、拾うとこ! まったく、超鈍感で安心してる自分が嫌です。
   話を戻しますね。……あ、プールなんかどうですか?」

一方通行「そンなに貧相な身体晒してェか」

絹旗「そんなこと言って鼻を吹き出しても介抱してあげませんからね」

一方通行「違ェよ、俺の方だ」

絹旗「……私は長身痩躯の男性がタイプなんですよね。
   おや、顔はともかくこんなところに理想の男性像が!」

一方通行「慰めンならもっと上手くやれ」




     *―*―*

絹旗(水着も買いましたし、一方通行を超悩殺してやります……ふふっ……)

絹旗「でも、第六学区って……どうせならプライベートプールを借りてくださいよ!」

一方通行「空いてるし、ガキはここで充分だろ。
     お、世界最長と銘打ったウォータースライダーがあるみてェだぞ」

絹旗「一人で遊ばせる気満々ですね」

一方通行「俺は端で惰眠を貪っとくから精々楽しめ」

絹旗「まさか、泳げないんですか……? ぷぷっ!」

一方通行「あン? 水泳なンざベクトル操作でちょちょいのちょいだっつーのォ」

絹旗「能力を使わないと泳げない、と。
   超安心してください、ここは流れるプールみたいですからね。ただ歩いて流されるだけでも楽しいですよ」

一方通行「……その流れるプールに入ってる時に能力が暴発しちまうかもしんねェな。
     温水なわけだしィ、丁度いい温度になるように掻き回しちまったりしてなァ」

絹旗「暴発するのは下の掻き回し棒だけにしてください。さ、行きましょう」トテトテ

一方通行「最近オマエが解ンねェよ、俺」カツカツ

一方通行「…………」ユスリユスリ

一方通行「いつまで待たせンだ、アイツゥ……」

一方通行「……絹旗と同い年くれェのガキも居ンな。こンな真っ昼間から何やってンだか」

絹旗「超お待たせしました」

一方通行「おっせェよ」

絹旗「宮本武蔵に倣って超焦らし焦らしで、想像力を掻き立てる作戦でした」

一方通行「何の意味があンだよそれ……」
絹旗(さて、どうですか……!? この敢えてのワンピースの水着、超似合ってるでしょう?)エッヘン

一方通行「ってか、結局その水着にしたンだな」

絹旗「それだけですか……感想は?」

一方通行「感想ねェ……年相応でいいンじゃねェの……?」

絹旗「…………」ジトォ

一方通行「……ンだよ」

絹旗「超かわいいとか、超似合ってるとかあるでしょう!」

一方通行「チョウカワイイィ、チョウニアッテルゥ」

絹旗「言わされてる感を隠す気がまるでないですね!」

一方通行「おら、荷物寄越せ。俺は寝てっから遊んでこい」シッシッ

絹旗「一緒に遊んでくれなきゃ超ヤダヤダぁ!」ジタバタ

一方通行「あンまキャラじゃねェことすンな」

絹旗「…………」スィー

絹旗(一人で遊んでも超つまらないじゃないですか……)

絹旗「……おや?」ジャバッ




「結局、私が一番速いって訳よ」

「待って――」




絹旗「前方の二人……フレンダと滝壺さんっぽい後ろ姿ですけど、まさか違いますよね……」

絹旗(そろそろ、一旦戻りましょうか。
   やっぱり一人じゃ超つまらないですし、無理矢理にでも引っ張って来ましょう)

絹旗(そういえばデジカメを持ってきていましたね。
   寝顔でも撮影して……見せたら消されるから、内緒にしておきましょう……)




     *―*―*

一方通行(一つしかプールサイドチェアが空いてねェとか……)

一方通行(端のが空いてたのはいいけどよォ……隣の女、退いてくンねぇかなァ……)

一方通行(起きてンのか寝てンのか知らねェけど、何のためにプールに来てンだよ)

「……何ガン飛ばしてんのよ」

一方通行「あァン……?」

「そこ、連れが取ってたはずなんだけど」

一方通行「ならなンか置いとけよ」

「……まっ、いいわ」

一方通行「そォかよ」

「…………」

一方通行「…………」

「……ねぇ」

一方通行「あ?」

「喉渇かない?」

一方通行「……逆ナンですかァ? 生憎ババアは趣味じゃないンでェ」

「その眼孔に嵌めてるのは紅玉? 趣味悪いわね」

一方通行「言うじゃねェか……」

「アンタもね。連れの二人がなかなか帰って来ないから、気紛れで誘ってあげたのよ」

一方通行「ほォ、奇遇だねェ……いいぜ、乗ってやるよ……」

「よいしょ……じゃあ行きましょうか」




     * * *

絹旗(……いない。まったく、荷物を置きっぱなしにしてどこへ……?)

絹旗「こうなったら探し出して……」ガサゴソ

絹旗「超嫌がらせに、このデジカメで超パシャパシャやってやりましょう」

絹旗「どれ、試しに一枚」パシャリ

フレンダ「あれ? 絹旗じゃん」

絹旗「……滝壺さん! 違う金髪が写り込みました!」

滝壺「ハエまでくっきり」

フレンダ「え、どこどこ!?」

絹旗「……それで、二人ともどうしてここに?」

滝壺「きぬはた、ここはプールだよ。プールに入る以外に来るところじゃない」

フレンダ「まぁ、結局麦野は昼寝に来てるようなものだからそれは……」

絹旗「私の方の、その、一緒に来た方もそんな感じですね」

フレンダ「それって――」

滝壺「あれ……? むぎのがいないよ?」

フレンダ「本当だ。どこに行ったんだろ? トイレかな?」

絹旗「わ、私はこれで失礼しますね」

滝壺「待って、きぬはた。あくせられーたを紹介して欲しい」ガシッ

フレンダ「あ、そーそー。結局、今は麦野よりそれが目的って訳よ」

絹旗「…………」




     * * *

フレンダ「んーっ、いないわねー」

滝壺「白髪の人なら目立つはずなのに」

絹旗「……も、もういいですから! 二人は麦野のところへ戻った方が……」

フレンダ「ああ、いいのいいの。気にしなくて。
     麦野が私達を二人で行かせたんだか、ら……?」

滝壺「どうしたの、ふれんだ?」




一方通行「…………」ゴクッゴクッ

麦野「…………」チューチュー




絹旗(ア、一方通行……!? どどど、どうして!?)

フレンダ「何あのツーショット……睨み合ってなんか飲んでるし……」

滝壺「大丈夫だよ、きぬはた」パシャリ

絹旗「何が大丈夫なんですか……って、私のデジカメで勝手に撮らないでください!」

フレンダ「ふむ、結局これはNTRって訳よ……」

絹旗「超怒りますよ」ガシリッ

フレンダ「と、とりあえず様子見といかない? ほ、ほら、私の頭から早く手をいたたたたたたっ!?」




     * * *

一方通行(てっきりやり合うのかと思って付いていったら、マジでお茶するだけときやがった……)

一方通行(しかもこの女、俺に奢らせやがってェ……)ゴクッ

麦野「……さっきから何? 考えてることは解らなくもないけど、そうね、小っせぇオトコ」

一方通行「随分と口が悪ィみてェだな、素は。
     そのケバい化粧で、口の悪さもちゃンと隠しとけよ」

麦野「ブ・チ・コ・ロ・シ確定……といきたいところだけど、ここでやり合う気はないわ。命拾いしたわね」

一方通行「ハッ、最後のは俺の台詞だ――」



滝壺「きぬはた、ずいぶんココナッツジュースが大好きみたいだね」

絹旗「うん、すごく好きなんです……ココナッツ」ヌゥー




一方通行「――ぜ……?」

麦野「……? どうかした?」

一方通行「いや……」

一方通行(今、三つ隣のテーブルに不気味な顔した絹旗がいなかったァ……?)

麦野「アイスティー飽きちゃった。そのコーヒーちょうだい」

一方通行「あ、あァ……」

一方通行(……やっぱ絹旗じゃねェか)チラッ

一方通行(何睨ンでンだよ……しっかし、アレはいつチェリーをレロレロし出してもおかしくねぇ顔だな……)

一方通行(ってか、対面にいる女はなンだ……ン、金髪の女も合流したみてェだな……)

麦野「ていうか、あんたはこんな時間にこんなところで一体何してんの?」

一方通行「あァン? ……そっちこそどォなンだよ?」

麦野「チッ……」

一方通行「チッ……」

麦野「ふふ……」

一方通行「くかっ……」

麦野「そうね……優しい上司が部下の願いを聞き入れてやって、って感じかしら?」

一方通行「優しい上司ィ? そりゃテメェのことか? なら、厳しいの間違いじゃないンですかァ?」

麦野「言うわねぇ……。それで、そっちは?」

一方通行「そォだな………優しい師匠が弟子の願いを聞き入れやって、って感じかァ?」

麦野「優しい師匠ぉ? それって自分のこと? なら、敢しい師匠じゃない?」

一方通行「ツ冠が足りねェだろ! つゥか、『あえしい』ってどンな意味だ!」

麦野「儚げな、とか?」

一方通行「だったら、既存の敢えないって言葉を使えよ。……あ? 俺が儚げたァどォいうことですかねェ!?」

麦野「あ、はははっ! 忙しいのね!」

一方通行「誰のせいだコラ」

一方通行(クソが……主に絹旗のせいでむやみやたらツッコミ入れちまう……)

麦野「いいわね、あんた。ちょっと気に入った。鮭弁の次くらいに」

一方通行「なンとも微妙な評価をどォも……」

麦野「鮭弁を馬鹿にするならブチコロシ確定なわけだけど……。
   その前にいい? これから小一時間鮭弁に対する思いの丈をぶちまけるから」

一方通行「ふざけろ、サーモン狂」




     *―*―*

絹旗「…………」

フレンダ「おお、麦野が鮭弁の次くらいに~だって。それってちょっとどころじゃないでしょ」

滝壺「あんなむぎの、初めて見た」

フレンダ「出るに出られなくなっちゃった感じだけど、結局どうする訳? このまま観察わけにもいかないよねー?」

絹旗「……フレンダ、そのトロピカルジュースに浮いているチェリーをもらえませんか?」

滝壺「きぬはた、もういいよ。ジョジョネタはやり過ぎると罵倒がくるから」

絹旗「だが断る。この絹旗最愛が超好きなことの一つは、ジョジョネタばかりで嫌気が差している奴に、『すみません』と断りを入れることです」

滝壺「きぬはた……反省すると、強いね……」

フレンダ「盛り上がってるとこ悪いんだけど、本当に意味解らないから自粛して」


滝壺「だが断る。この滝t(ry」

絹旗「さて、どうしま……くぅ! なんであんなに超楽しそうなんですか……!」

フレンダ「一方通行の方は勘弁してくれって顔してるように私には見えるけど……」

絹旗「私の時はたまに超澄ました顔して、まるで聞こえていないかのごとく、超聞き流すんですよ!」

滝壺「きぬはた、落ち着いて」

絹旗「はぁ? 超落ち着いてますけど、何か?」

フレンダ「何その面倒臭い女の典型……今は出るタイミングを見計いつつ観察ってことでいいよね?」

絹旗「はい……」

絹旗(超胸がもやもやします……少し苦しくもありますし、ああもう……)




     *―*―*

一方通行(こりゃあマジで小一時間語りかねねェぞ……どォしてこォなった……)

麦野「ちょっと、聞いてる? で、昨日の鮭弁より今日の鮭弁の方が美味しい気がしたのよ」

一方通行「毎日毎日鮭弁ばかりで味蕾がイかれちまってンだよ。間違いなく気のせいだから安心しろ」

麦野「そうとも言い切れないでしょ。鮭一匹一匹脂の乗りだって身の締まり具合だって違うだろうし。
   数百数千切れ単位で焼かれてるとしたら、焼き具合にムラが生じても何ら不思議はないんだから」

一方通行「……あのよォ、連れが待ちぼうけてるかもしンねェンだ。長々とテメェの鮭トークに付き合ってらンねェンだよ」

麦野「最低でも一ヶ月は付き合ってもらわないと、満足しないわよ」

一方通行「ああ、クソ……解った解ったァ! 気が向いたらまた聞いてやるよ……」

麦野「……そのギャップと、白皙の美貌で誑し込むのが手ね」

一方通行「どこの十四代目だ」

麦野「一方通行対超能兵団」

一方通行「……テメェ、何者だ?」

麦野「隣の隣の、そのまた隣のテーブルに着いてる子の上司よ。ほら、あんたらもいい加減絹旗がお世話になってる第一位に挨拶くらいしなさい」

フレンダ「あはは……結局、最初から気付かれてた訳ね……」

滝壺「…………」ペコリ

絹旗「あ、えっと……ちょっとチェリーを口に含むまで待ってもらえますか?」

一方通行「もう花京院はいい」

麦野「暗部組織『アイテム』のリーダー、『原子崩し』の麦野沈利。主立った業務内容は、上や勘違いした集団の暴走の阻止」

一方通行「クソ御丁寧な御紹介ありがてェ。随分と楽しそうなことしてンだなァ……」

フレンダ「言っちゃっていいの? あ、私はフレンダねー」

滝壺「滝壺理后。きぬはたがお世話になってます」ペコ

麦野「バックに組織が付いてなきゃ出来ないことをやってるって噂もあるし、まぁ、いいんじゃない?」

フレンダ「不確定情報じゃん……」

一方通行「…………」

絹旗「…………」

滝壺「…………」

フレンダ「……、絹旗。普段からこんなギスギスした関係な訳?」

麦野「よくやっていけるわねぇ……」

絹旗「そ、そんなことありませんよ! 普段は馴れ合いを通り越して舐め合いです! そう、超ペッティング!」

一方通行「嘗め合いの間違いだろ。アレだ、超バッシング」

絹旗「よっ、夜のホームラン王!」

一方通行「くたばれ、マセガキ」

麦野「ぷっ……」

フレンダ「あはははは、ひーっ! あー、お腹苦しい! 結局、仲がいいって訳ね」

滝壺「夫婦漫才だね」

絹旗「超普通にやってけますね、私達」グッ

一方通行「サムズアップやめろ」

フレンダ「ねぇねぇ、実際名前はなんて言う訳?」

一方通行「忘れた」

滝壺「髪、白いね」

一方通行「ああ、紫外線やらを反射しちまってるからこォなってんだ」

フレンダ「じゃあ目も?」

一方通行「いや、瞳は普通色素が薄くなったりしたら翠玉っぽい色になるはずなンだけどよォ……野暮なツッコミは無しだ。
     染色体がどうにかなったのかもしンねェってことで頼む」

滝壺「好きなものは?」

一方通行「……コーヒー」

フレンダ「好きなタイプとか」

一方通行「エスパー」

絹旗「かくとう」

フレンダ「はいはいっ、そう来ると思った!」

麦野「はぁ……もういいでしょ……?
   あんたも意外ね、素直に質問責めに遭って」

滝壺「あくせられーたは優しいね」

一方通行(……ほンっとに変遷してンな。いいことなのか、悪いことなのかはさておき……)

麦野「そろそろ学校によっては放課後になるわね。人が増える前に遊んできたら?」

フレンダ「麦野は?」

麦野「行くと思う?」

一方通行「オマエも行ってこい。混雑し出すようなら即刻帰ンぞ」

絹旗「はい、あ、でも……」

麦野「取って食ったりしないわよ」

絹旗「そ、そうじゃ……もういいです! 滝壺さん、フレンダ行きましょう!」

一方通行(女友達と――いや、そうじゃねェけど、年相応にはしゃげるか……ハッ!
     違ェな、全然違ェよなァ……以前の俺と、よ……)

麦野「……変わったわね」

一方通行「あン……?」

麦野「あのチビッコよ。あんたと一緒にいると輪を掛けて、いえ、一方通行的に言うなら――」

一方通行「ベクトルが違う、ってかァ?」

麦野「そ。ベクトルの違うガキっぽさが出てるっていうか、ね」

一方通行「……オマエらといる時のアイツを知らねェからなンとも言えねェな」

麦野「へぇ、なるほど……。テメェとオマエはそう使い分けるのね」

一方通行「……意識してやってるわけじゃねェよ」

麦野「ふぅん、なんだか拍子抜けだわ。こんなのが第一位だなんてさ」

一方通行「そォかい」

麦野「益々……。話は戻るけど、あんたはどう思う? 変わること、変わったことに対して」

一方通行「よくはねェだろォよ。俺らといる時のアイツに人殺しなンざ出来るように思えねェ。
     けど、アイツは器用だ。以前とは変っちまってようが、上手く切り替えは出来るだろうよ」

麦野「へぇ……安心したわ、様々な意味でね……」

一方通行「自分のことしか考えてねェンだな」

麦野「解ったような口聞くわね。組織のリーダーとしては当然でしょう?」

一方通行「どォだか」

麦野「……私も変わってみようかしら」

一方通行「それなら、一度ブッ壊れてみるといいぜ」

一方通行(切っ掛けは絹旗だったけど、考えてみりゃそっからだよなァ……)

麦野「そんな機会があればいいけど」

一方通行「いつかあるンじゃねェか? そっからどうなるかはオマエ次第だろォけどなァ」

麦野「心に留めておくわ」

一方通行「あァ……」

一方通行「……チッ、人が増えてきたな」

麦野「これだからレジャー施設は嫌ね。やっぱりプライベートプールの方が気楽でいいと思わない?」

一方通行「生憎今は無駄遣いは出来ねェ状況にあるンで……さァて、絹旗を連れ戻して帰るとすっかァ……」

麦野「そうだ――これの奢りの代わりと言ってはなんだけど、いいこと教えてあげよっか?」

一方通行「……言ってみろ」

麦野「統括理事がレベル5の一人を召還した、なんて眉唾物の情報があったのよ」

一方通行「……どォして俺にそンなことを知らせたンだ?」

麦野「どうしてって、しらばっくれる気? それともやっぱ……」

一方通行「チッ、いいから話せ」

麦野「……こっちも真偽の方は定かじゃないけど、あんたが統括理事との交渉権を得たってが話がどこからともなく浮かび上がったのよ」

一方通行「……はァ?」

麦野「その様子じゃ違ったみたいね」

一方通行「あァ……」




     *―*―*

一方通行(クソがっ……どういうことだ……?
     レベル5の召還に交渉権だァ……? 共通すンのは統括理事か。
      麦野はどちらも眉唾物だと言ってやがったけど、火の無いところに煙は立たねェだろうが)

絹旗「超泳ぎ疲れました……今夜はぐっすり眠れそうです……」ウトウト

一方通行「……今夜と言わず帰ってすぐ寝ろ。俺は妹達のところに顔出してくる」

絹旗「また私を超蔑ろにして……」

一方通行「……一旦帰ンぞ。おら、乗れ」

絹旗「……おんぶですか?」

一方通行「あァ、そして寝てろ」

絹旗「お姫様抱っこで!」

一方通行「この往来でオマエは堪えられんのか?」

絹旗「私は超すやすやと眠らないといけないみたいですから。そうなると、好奇や奇異といった目はまったくもって気になりません」

一方通行「目ェ醒めたようだし、せっせと脚を動かせ」

絹旗「おんぶ! 超おんぶしてください!」

一方通行「は、お断りだねェ」

絹旗「ぅ安価ぁぁぁぁああ!」ガバッ

一方通行「とっ……危ねェだろ。いきなり飛び乗るンじゃねェ。
     ってか、何が安価だコラ!」

絹旗「検索したら目についたもので……。おお、結構乗り心地がいいですね。
   これは睡眠など取っている場合ではありますまい」

一方通行「とっとと寝ろ」

絹旗「あれ? 今の変態的なトラブル漫画の校長を超意識したんですけど」

一方通行「解りにくいことこの上ねェっつーの……」

一方通行(いいはずがねェ、いいはずがねェけど……全てあやふやなこのままだったら……)

一方通行「……馬鹿か」

絹旗「私が馬鹿っぽい……?」

一方通行「いい加減にしろ」




     *―*―*

《この夏オープンした学園都市最大規模の室内プール『ウォーター・パーク』では……》

フレンダ「プールかぁ……あの一方通行と遭遇したプールさ、煽りを受けて潰れちゃうんじゃない?
     結局さ、私はそんなことはどうでもいいんだけ、どぉ……」ズズー

麦野「何も好き好んで人でごった返したとこ行くことないでしょ」

滝壺「あくせられーたから、信号が来てる……」

フレンダ「あの人は今実験の最中ですよ。
     というかどこ行ってもこの時期人がいることには超変わりないんですが」ペラッ

麦野「そういや第三学区にプライベートプール借りっぱなしだっな」

フレンダ「ホントに!?」

麦野「暇なら行くか?」

フレンダ「行く行く! わーっ、麦野愛してる!」ダキッ

麦野「コラ、暑いんだからくっつくな。両断すんぞ」グイッ

《あ……えー、ここで番組の途中ですが臨時ニュース……。
 あ、いえ、臨時のリクエストです》

麦野「何だそりゃ。……、何か不思議な……曲?」

絹旗「何だ、この曲は? 五感に訴えかけてくるような……」

滝壺「きぬはた、それは名も無き先生の台詞」

フレンダ「私らもちょっとでいいからアニメで台詞が欲しかったよねー……」

麦野「メタな発言は控えなさい。
   ……この曲、特に害はないみたいだから気にしないくていいか」

絹旗「そうですね、私達には実際超関係ないので」

麦野「だから、実際とか言うな」
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