絹旗「つまり超修行ってことです」4


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     *―*―*

絹旗「パソコンなんかを超立ち上げて何やってるんですか?」

一方通行「ン……」カチカチッ

絹旗「なんですか、この超豪邸……?」

一方通行「一人二人ならまだしも、これから『妹達』を匿っていくとなるとここじゃあ狭いだろォ……」

絹旗「……超アホですね」

一方通行「あン!?」

絹旗「一体いくらすると超思ってるんですか!?
   三億超ですよ、三億!」

一方通行「……でェ?」

絹旗「……超すみません、私が超アホでした。
   どうせなら、第三学区の物件より第十学区の方にしたらどうですか?」

一方通行「治安悪ィだろ」

絹旗「娘とか出来たら絶対超過保護になるタイプですよね……」

一方通行「は、はァっ!?」

絹旗「木を隠すなら森の中とも言いますし、超適当に打ち捨てられた研究所でも買い取ったらどうですか?」

一方通行「なるほどなァ……それなら充分なスペースも確保出来るかァ……。
     あの二人の話じゃ『妹達』を調整をしねェとなンねェっつゥ話だし……」

絹旗「それなら必要機材なんかも超揃えないと」

一方通行「だなァ……人員も欲しいところだけど、『妹達』の情報が漏れる可能性があるしィ……。
     そォだ、人員なら日増しに増えていくじゃねェか! 『妹達』自身で……」

絹旗「なんか組織を立ち上げるみたいで、超ワクワクしますね」

一方通行「……絹旗」

絹旗「超不謹慎だ、とか超説教ですか?」

一方通行「いや……その、ありがとよ……」

絹旗「……超寒気が」ブルッ

一方通行「身体暖めてさっさと寝ろ」




     *―*―* 

絹旗「こほっ……」

一方通行「…………」

絹旗「…………」

一方通行「……風邪だな」

絹旗「超違いま、こほっ、す」

一方通行「認めろ、アホモアイ!
     クソッ……38度5分ってとこかァ……」

絹旗「超解るん……そっか、熱量……。
   ならその能力で超熱を……」

一方通行「アホか、風邪を引いてなンで熱が出ンのかも解らなくなるくらい朦朧としてンのかよ」

絹旗「こほっ……!」バッ

一方通行「ほら、布団を剥ぐな……。
     風邪なンて引かねェしなァ……とりあえず氷嚢か……」

絹旗「…………」

一方通行「ほら……病院行くかァ?」

絹旗「冷たっ……やっぱ超過保護ですね。
   これくらい寝てれば治ります、こほっこほっ……!」

一方通行「…………」ピッピッピッ

絹旗「私のことよr」

一方通行「……もしもしィ、芳川かァ?
     風邪引いた、あァ、嘘なンか吐くわけねェだろ。
     悪ィ、天井が? 言わせとけ……じゃあなァ」

絹旗「…………」

一方通行「出てくる、オマエは寝てろ」

絹旗「こほっ、はい……」

一方通行「いいか、ちゃンと寝ンだぞ……」バタン

絹旗「…………」

絹旗(本当に……超家族が出来たみたいです……)




     *―*―*

「そうですね……その症状なら、こちらのお薬でいかがでしょうか?」

一方通行「じゃ、それ」

「ありがとうございます」

一方通行「食欲の方は解らねェンですけどォ……何喰わせたら……」

「そうですねー……消化の早いお粥は定番ですね。
 まだ小さなお子さんなんかだと、さっぱりしたゼリーなどは大変喜ばれますよ」

一方通行「どォも……」ペコッ

「あ、私が風邪を引いた母がよく桃やパイナップルの缶詰めを買ってきてくれましたねー」

一方通行「そォですか……」

一方通行(冷却シートに、風邪薬はこれでよしィ……。
     あとは土鍋と米……粥はそのまンま喰うのかァ? 味気ねェよなァ。
     アイツ、まだガキだしゼリーもォ……念のため缶詰めも……)

「ありがとうございましたー」

一方通行(ったく、慣れねェことさせンじゃねェよ……)




     *―*―*

絹旗「こほっ、こほっ……!」

絹旗(身体は焼けるように超熱いのに、何でこんなに寒く……。
   って、アホですか私は。超典型的な風邪の症状じゃないですか)

絹旗「こほっ、超遅いですね……」

絹旗(あ……実際十分も経ってないんですか。
   な、なんですか! どれだけ寂しがり屋なんですか!)

絹旗「……頼れるものが出来てしまったから、超心細く感じる。
   つまり、超一方通行のせい、こほっ、です!」

絹旗(……これじゃあ超独り言ですよね)

絹旗「早く……超帰ってこないかな……」

絹旗「こほっ……」





     *―*―*

絹旗「…………」スースー

一方通行「呑気に寝息立てやがっ……いいのか、俺が寝てろっつったンだしィ……」

一方通行「まずはァ……」ガサガサ

絹旗「うぅん……」

一方通行「…………」ハリハリ

絹旗「……あ、超おかえりさない……」

一方通行「あァ」

絹旗「これ、超気持ちいいです……」

一方通行「そォかよ」ポンッ

絹旗「ん……」

一方通行「何ニヤけてンだ、ほら、水分摂れ」

絹旗「こくっ、こくっ……はぁ、超美味しいです……」

一方通行「……やっぱ病院行くか?」

絹旗「いえ、超こうしてるのがいいです……」

一方通行「だったら寝てろ。
     今から飯作ってやるから、それまで少しでもなァ」

絹旗「それは超もったいないです……こんなに超よくしてもらってるのに……」

一方通行「馬鹿言ってねェで、瞼閉じてろ」

絹旗「ふふ……」

一方通行「出来たぞ、身体起こせ」

絹旗「……超なんですか、それムクリッ

一方通行「粥だよ、粥ゥ……」

絹旗「そういえばさっき……コレ、超わざわざ作ってくれたんですか?
   それも土鍋まで……今時コンビニに行けばパックのものが超置いてあるのに……」

一方通行「チッ……マジかよ……。
     ンっ、まァ、さっさと喰え」グッ

絹旗「超アーンですか。
   超頑なに拒んでいたのに」

一方通行「黙って喰え」

絹旗「でも、超熱そうです」

一方通行「……ふゥ~、ふゥ~」グッ

絹旗「…………」パクッモグモグ

一方通行「塩振ってあっけど、味気ねェようなら言え。
     梅干しにゴマ塩、しぐれ昆布に漬け物もあるぜ」

絹旗「じゃあ超全部……」

一方通行「気持ち悪くなったりすンなよ……ふゥ~、ふゥ~!」

絹旗「一方通行」

一方通行「あン?」

絹旗「超美味しいです……超ありがとうございます……」

一方通行「……感想も礼も要らねェから、早く治せ。
     風邪薬買ってきたから、喰い終わったらそれ飲め」

絹旗「…………」コクリ




     *―*―*

絹旗「んんぅ……」

一方通行「…………」スースー

絹旗「一方通行……? 超寝てます?」

一方通行「…………」スースー

絹旗(二時過ぎ……もう超夜中ですか……)

絹旗(超看ててくれたみたいですね)

絹旗「超キュンとする場面ですけど、私は……別に……」

一方通行「…………」スースー

絹旗(……あれ? どうして超反射されないんでしょうか?)ツンツン。

絹旗(まぁ、超当然といえば当然ですよね。
   戦闘になったら、反射のレベルを上げるんでしょうか?」

絹旗(……寝よう)

一方通行「…………」スースー

絹旗「超おやすみなさい……」ナデッ




     *―*―*

絹旗「絹旗最愛、超ふっかぁーつ!」

一方通行「病み上がりなンだから寝てろっ!」

絹旗「む、やっぱり超過保護ですね」

一方通行「言ってろ」

絹旗「過・保・護! 過・保・護!」

一方通行「D・V・Dみたいに言うンじゃねェよ!
     腹減ってンなら、ゼリーと果物の缶詰めが冷蔵庫にあンぞ」

絹旗「お粥……超美味しかったですね……」

一方通行「…………」

絹旗「お粥……」

一方通行「あァァっ! 解ったよ、作ってやるよォ!」

絹旗「よっ、流石にレベル5の頂点! いえ、超頂点!」

一方通行「うっぜェ!」

絹旗(……超好物がまた一つ増えちゃいましたね)

一方通行「完治したら精の付くもン喰わせてやるからよ……」

絹旗「……私が超気を遣ったと?  まったく、これだから一方通行は……これは?」

絹旗(漫画? ……これは親子でしょうか?
   娘が風邪を……まさかこれを超参考にしたんじゃ……)

一方通行「…………」ザッザッザッ

絹旗「米を研ぐ姿が超様になってますね」

一方通行「うっせェ……」

絹旗(超コミュニケーションが苦手で、その上家族も居そうにないですから、ね……)

絹旗「本当に……超超超っ、ありがとうごいました……」

一方通行「あン?」

絹旗「超なんでもないです」




絹旗「超ごちそうさまでした」

一方通行「お粗末さン」

絹旗「それは謙遜してるわけではないんですよね。
   『オマエにはそンなもンでじゅーぶンだァ』って感じですか」

一方通行「微妙にクォリティーが向上してるのが余計にうっぜェ……」

絹旗「くっくっ、伊達に超修行を積んでるわけではありません」

一方通行「なンの修行してンだ、テメェは!」

絹旗「これから超本格的に家事を学びます」

一方通行「花嫁修業かよォっ!」

絹旗「滝行もいずれは」

一方通行「あァ、そりゃあたしかに修行だな」

絹旗「そういえば、超体術仕込む話がありましたよね。
   ここはいっちょ精神と時の部屋に入りませんか?」

一方通行「案内出来るもンならしてみろよ」

絹旗「超おふざけはこれくらいにして、今日はあの実験はないんですか?」

一方通行「残念ながらあンだよなァ。それもかなりハードなもンになるだろォよ。
     実質二日間停滞してたからなァ……つーわけでオマエは大人しく留守番してろよ……」

絹旗「えぇー……超えぇー……」

一方通行「自業自得だっつゥのォ」

絹旗「本当に行ってしまうんですか……?
   超寂しい……です……」ウルッ

一方通行「っ……」

絹旗「どうでしたか? 超素晴らしい演技力ですよね?
   ハリウッド女優も超真っ青な、痛っ!」ゴツッ

一方通行「ふっざけンな……!」

絹旗「超卑怯ですよ! やっぱり私の『窒素装甲』を除けられるんじゃないですか!」

一方通行「昨日、散々熱測ったり、頭に手ェ置いたりしたじゃねェか……」

絹旗「……私に超触れた男はあなたが初めてですよ。
   超責任取ってください!」

一方通行「なンの責任だ……」

絹旗「超孕みました」

一方通行「小学生ってレベルじゃねェぞ!」

絹旗「男の子なら最太で、女の子なら零愛にしましょうか……うふふ……」サスサス

一方通行「腹摩ンじゃねェよ!
     つゥか後者の名前は絶っ対ェやめとけ、確実にグレンぞ……」

絹旗「私達の超恋と超愛の証……すなわち零愛!」

一方通行「よく産む気になったな……」

絹旗「子供に超罪はありませんから」

一方通行「……もォ行くわァ」

絹旗「あ、蹴った……!
   きっとパパに『超いってらっしゃい、超稼いでこいよ』って言ってるに違いありません」

一方通行「絶対ェ俺の子じゃねェ!!」バタンッ

絹旗「出ました、超最低発言」




     *―*―*

芳川「本日の実験に使われる子達には、ミサカネットワークとの接続を切って事情を説明してわ。
   だけど、イマイチ納得がいかなかったようなの。
   『実験動物として価値しかないミサカ達を何故生かそうとするのですか?』ってね」

一方通行「チッ……」

芳川「まぁ、『学習装置』でそうインストールされてるのだから、しょうがないわ」

布束「However 00001号は違った。
   そう思っていたとしても、あんな自殺行為に出たのは、あなたのためであると推測出来る。
   一方通行、あなたを困らせないように。でなければ、私にあんなことを頼むはずがない」

一方通行「……オマエが、アイツらに生きていて欲しいと思ってる。
   それで充分だろ、生きる意味てよォ。
   それをこれから、俺が一人一人に教えてやりゃあいい話だ」

布束「一方通行……」

芳川「あら、あなたは違うのかしら?
   それと一応私もその中に、加えておいて欲しいわね」

一方通行「うるせェよ……」

布束「血糊を仕込んでおいたわ。
   どの部位に仕込んだかは、この資料に目を通してちょうだいで今から」

一方通行「今日一日で三〇〇人強ってとこかァ……随分イージーじゃねェか……」

布束「天井達は四〇〇人近く殺らせようとしてたのだけど、どうやら必要なかったみたいね」

一方通行「俺を誰だと思ってやがる……?」

芳川「そうね……ヒーローじゃない?
   布束と、そして『妹達』のね」

一方通行「ハッ、いいねいいねェ……最っ高に似合わねェとこがよ……。
     それと、回収した『妹達』の輸送先と輸送方法についてだけどよォ」

一方通行「直送してくれる運送屋に頼む。
     まァ、その分料金は高額だけど、なンの問題ねェ。
     それで、その運送屋トラックが昨日のうちに買い取った隣の研究施設に――――」




     *―*―*

00112号「――――」

《――第112次実験、終了だ》

一方通行「でェ、次はァ?」

《はははっ、このハイペースは見ていて気持ちがいい。
 初日とは打って変わって淡々としているじゃないか》

一方通行「気分じゃなかったンだよ」

《クククッ……それを聞いて安心したよ……》

一方通行「つゥか、さっさとしてくれませんかァ?
     早くこの生ゴミ片付けろよ」ゲシッ

00112号「うっ……」

一方通行「……!? コ、コラァ……」アセアセ

00112号「すみません。と、ミサカは細心の注意を払って囁きます……」ボソッ

《ん? どうかしたか?》

一方通行「なンでもねェよ……」

《では、その第三験場から再び第一実験場を移ってくれ》

一方通行「あァ……」

00112号「――――」

一方通行「またあとでなァ……」ボソッ

00112号「…………」コクッ




     *―*―*

一方通行「はァ……だりィ……」

芳川「お疲れ様」

天井「なんだ? お前とあろう者が疲れたのか?」

一方通行「作業的で飽きンだよ、まるでレーンに乗ってきたもンを叩き壊すみてェなァ……」

天井「それはそれは頼もしい限りだ。
   私は疲れたよ……だが、この充実感はなんとも言えん……」

一方通行「愉快に素敵に狂ってやがンなァ……」

天井「ベクトルは違えど、同類にそう言われるのは光栄の極みだ」

一方通行「チッ……ン、どォかしたかァ?」

布束「肩を揉もうかと……」ワキワキ

一方通行「…………」

布束「…………」

天井「珍しいこともあるものだな、この実験に消極的だった布束が」

芳川「そ、そうね……」

布束「あっ……反射が解けていないわ……」キュイン

一方通行「やンなくていいっつゥの……」




     *―*―*

一方通行「……ここだ」

布束「芳川さんがコンテナから出て待機しておくように、と言っておいたようだけど……」

一方通行「行くぞ」カツカツ

芳川「Incidently……『妹達』の調整も含め、芳川氏と私が頻繁に出入りしても問題ないかしら?」

一方通行「そりゃ間違いなく生じちまう可能性があるだろォよ……。
     まァ、それも直接来ちまったらの話だ。
     下水道やらなンやら調べて、別ルートを確保しといてやる」

布束「申し訳ないわ……」

一方通行「ハッ、なンでだよ。
     要はオマエら長ァい距離を歩くンだぜ、文句の一つでも垂れてみやがれってンだァ」

布束「……意外と優しいのね」

一方通行「……はァ? ったく、オマエといい……」

布束「絹旗最愛?」

一方通行「……違ェよ」

布束「妬けてしまうわ」

一方通行「あンなガキにかァ……?
     どっちかっつゥと俺は、あンなちンちくりンより、オマエの方がよっぽどタイプだぜ」

布束「……物好きな人もいたものね」

一方通行「ただ影のある女がタイプなだけだァ」

布束「コンプレックスだから自ら言うのは憚られるんだけど、こんなギョロ目のどこがいいのかしらね」

一方通行「はァ? チャームポイントの間違いだろ」

布束「口説いてる……?」

一方通行「……あァ、なンっか違ェと思った。
     多分、こりゃあアイツと会話からくる弊害だ……」

布束「……と、とりあえず、脱いだらいいのかしら?」

一方通行「キャラ被る、とだけ言っとこォか」




     *―*―*

00045号「ミサカはこれは一種のリサイクルなのだと考えます。
     ミサカ達は殺すことなく売り飛ばして、そこから出たお金を孤児院などに寄付するのです。
     と、00045号のミサカは自らの考えを述べます」

00168号「しかし、それでは実験の意味がなくなります。
     と、00168号のミサカは冷静に返します」

00009号「同意です、『絶対能力進化』は我々を二万回殺害しなければ意味がないはずです。
     こんなことで上がるのは、ミサカ達の演技力だけですよ。
     と、00009号のミサカはあの時の胸の高まりが忘れられません」

00076号「なるほど、それは人の感情の一つである『恋』というものですね。
     と、00076号のミサカは淡々に分析します」

00198号「明らかに緊張によるものです。
     と、00198号のミサカは即座に否定にかかります」

00019号「恋ですか? まさか被験者一方通行にでしょうか?
     と、00019号のミサカは恐ろしいことを口に出します」

00028号「まさか、まさかの可能性ですが、被験者一方通行はミサカ達を性欲処理に使うため生かしたのでは?
     と、00028号のミサカは使い捨てにされることを恐れます」

00100号「おや、ミサカ号は何故捨てられることを恐れているのですか?
     と、00100号のミサカは興味を示します」

00251号「ミサカも恐ろしいです……。
     ミサカは実験から解放されて、初めて生を実感した気がするのです。
     と、00251号のミサカは明日へ微かな希望を抱きます」

00333号「しかし、ネットワークで繋がっていないというのは不便ですね。
     と、00333号のミサカは空気を読まずに発言します」

00002号「それが人間というものです。
     と、00002号のミサカは解ったようなことを口にします」

00301号「要するに我々はプライバシーというものを手に入れたのです。
     と、00301号のミサカはカッコイイ横文字を言い放ちます」

00099号「大してカッコよくありませんが、言わんとしていることは伝わりましたよ。
     と、00099号のミサカは呆れ気味に肩を竦めます」

00319号「おお、その仕草はまさに人間そのものです。
     と、00319号のミサカはミサカ00099号に倣って肩を竦めます」



 ワイワイ……ガヤガヤ……

一方通行「……杞憂だったみてェだな」

布束「ええ……」

一方通行「泣いてンのかよ……?」

布束「私……あの子達に真の感情を入力しようと考えていたわ……。
   そうすれば万が一……いえ、億が一の可能性ではあったのだけど、
   あなたや研究員達が考え直してくれるんじゃないか、と。
   でも、それはきっと――」

一方通行「必要ねェ」

布束「ええ……よかったわ、間違えなく済んで……」

一方通行「そォかよ」

布束「ありがとう……この恩は一生をかけてでも、必ず返すわ……」

一方通行「元はと言やァ俺もこの忌々しィ実験の原因の一つだ……」

布束「それは私もよ」

一方通行「まァな、だから恩義なンて感じる必要はねェってこった」

布束「それでも、よ。
   こんな私で良ければ、身も心もあなたに捧げさせてもらうわ」

一方通行「自分を安売りすンじゃねェよ」

00003号「一方通行……!?
     と、ミサカは驚きのあまりこれ以上言葉が出ません」

一方通行「出てンじゃねェか……。
     ところで箒なンてレトロなもン持って何してンだ?」

00026号「掃除です、これから悪世羅・零太さんとミサカ達が住まう場所ですから、綺麗にしようということになりました。
     と、ミサカは00003号を押し退けて懇切丁寧に説明します」

一方通行「あン……? 俺は住まねェぞ。
     いや、そうした方がいいかァ……?」

00026号「絶対そのほうがいいですっ!
     と、ミサカは飛びかかってきたミサカ00003号と掴み合いながら推奨します」

布束「こらこら、喧嘩やめなさい」

一方通行「カカッ! いやいや、喧嘩すンなら徹底的にやれ! でェ、それで終いにしろよ」




     *―*―*

一方通行「食糧はァ……とりあえず今晩の消費量から計算して補充量を考えていくかァ……」

布束「先が見えない以上、いずれは二〇〇〇〇人分を確保することを想定しておかなければならないわ。
   私も援助するけど、微々たるものよ」

一方通行「いくら俺でも無限に金を出せるわけじゃねェしなァ……。
     今まで蹴ってたのも含めて、他の実験に協力して稼ぐしかねェか……」

布束「あなたばかり苦労をかけて……何度頭を下げたらいいやら……」

一方通行「下げる必要はねェっての。俺が勝手に、俺のためにやってることだしなァ。
     それにしても、二〇〇〇〇人ねェ……ひどく非現実的な数だ……」

布束「……一つ、危惧していることがあるの」

一方通行「あァ……実験が終わらず、妹達が再び量産されていくことだろ……?」

布束「『樹計図の設計者』の出したプランだもの、研究者達が簡単に諦めてくれるとは思えないわ。
   再演算されたとして、結果変わらないはず。
   つまり改めてもう一度、同じことが繰り返される……。
   そうなれば『負担』は水膨れのようにどんどん膨れ上がって、そして破裂する……」

一方通行「だから、『樹計図の設計者』をなンとしてでも破壊しなきゃなンねェ……。
     それを今考えてるとこだ、オマエが頭を抱える必要はねェ。
     今と少し先のことだけを見据えてりゃあいいンだよ、オマエはな」

布束「……私に協力出来ることは、なんだってするわ」

一方通行「あァ……それと、『負担』言ってやンな。
     無意識のうちなンだろォけど、俺もそンな風に思っちゃいねェンだからよ」

布束「…………」トスッ

一方通行「どォした、いきなり突っ伏して?」

布束「…………」ジッ

一方通行「言いたいことがあンなら遠慮すンな」

布束「……やめておくわ」

一方通行「……さァてとォ、この計画が上手くいった時のことも、考えとかねェとなァ」

布束「そうね、それが一番の難題なのかもしれないわ……。
   たとえ上手く実験凍結に持ち込んだとして、
   実は『妹達』を一人として殺していなかった、と上が知れば……」

一方通行「俺の身は兎も角、『妹達』にも危害がいく可能性は大だからなァ……。
     外へ逃がす……それも、学園都市側目が届かない海外へやるのがいいと思うけどよォ……」

布束「外へ出すのだけでも、難しいのに……」

一方通行「チッ、悩みの種は尽きねェ……」

一方通行(全てが無謀、か……まァ、そンなこと最っ初から解りきってたことじゃねェか……)
一方通行(その上で、選び取った道だろ……)

00172号「……あの、食事の準備が調ったのでご一緒しませんか?
     と、ミサカは会議中の二人におずおずと問いかけます」

一方通行「……そォだな、喰うか。行くぞ、布束ァ」

布束「えっ……私も……?」

一方通行「当たり前だろォが」

布束「…………」コクン

00172号「こちらです、みんな首を長くして待っていますよ。
     と、ミサカは二人の手を引いて歩調を速めます」


一方通行(…………)

一方通行(……最終手段としては、総括理事との交渉か。
     この実験のことだって容認してるような野郎だ……いけ好かねェが、コイツらのためなら――――)




     *―*―*

絹旗「あ、超おかえりなさい」

一方通行「あァ……」バタッ

絹旗「超お疲れのようですね」

一方通行「あァ……悪ィ、冷蔵庫からコーヒー取ってくれ……」

絹旗「もう、超甘えんぼさんっ」

一方通行「やっぱいいわ」ムクッ

絹旗「まともに返してくれもしないなんて、超冷たいですよ」

一方通行「オマエを構う気力が出ねェンだよ……」

絹旗「超昔はそんな人じゃなかったのに……」

一方通行「…………」

絹旗「本当に超疲れてるみたいですね、はい」ピトッ

一方通行「冷ェ……」

絹旗「あれ? 超反射されない……」

一方通行「凄まじィ疲労感で思考力が低下してるからなァ……」

絹旗「オート演算もままならないほどって……ちょっと超無理し過ぎなンじゃ……」

一方通行「どっちだよ……」

絹旗「私が超暗殺者だったらどうするんですか」

一方通行「もォ少しだけ、大体八ヶ月くらいだけでいいから待ってくれ……」

絹旗「……超冗談に決まってるじゃないですか。
   ほら、コーヒー超開けてあげましたよ」

一方通行「ン……」

絹旗「……超ダイブ!」

一方通行「ぐェっ!?」

絹旗「ふっふっふっ、油断大敵ですよ」

一方通行「」

絹旗「…………」

一方通行「」

絹旗「……超死んでる!」

一方通行「なわけあるかっつゥのォ……!」

絹旗「んー……」

一方通行「……オイ、降りろ」

絹旗「重いとか言ったら超コロス」

一方通行「オマエみてェなチビ重くねェよ」

絹旗「じゃあ超気にしない気にしない」

一方通行「……こンな骨張った身体をベッドにしても気持ちよくねェだろ」

絹旗「んー……どうでしょうか……」

一方通行「人肌の恋しいガキかよ、オマエは」

絹旗「それで超構いません」

一方通行「反射しちまってもいいか?」

絹旗「超ダメ」

一方通行「…………」

絹旗「…………」パタパタ

一方通行「脚振ンな」

絹旗「超かわいい私と密着出来てるんですから、このくらい超我慢してください」

一方通行「チッ……」

絹旗「舌打ち超禁止」

一方通行「……超かわいい絹旗さンとォ、密着出来て嬉しいンですけどォ、もォ充分満足ですゥ。
     ほら、いい加減降りろチビモアイ」

絹旗「超仕方ないですね……じゃあ今日は超特別に一緒に寝てあげましょうか」

一方通行「……振り落とす」ブンブン

絹旗「超しがみつく」ガシッ

一方通行「これからオマエを背にして床に転げ落ちる」

絹旗「超残念、『窒素装甲』があります」

一方通行「…………」

絹旗「…………」ニヤリッ

一方通行「……しっかし、貧相な身体だなァ」ボソッ

絹旗「」

一方通行「満足したか? さァ、退け」ニヤリッ

絹旗「くくっ、超逆効果ですよ……久々に超キレました……。
   こうなったら私の超ワガママボディで超悩殺してくれるーっ!」

一方通行「どこがワガママなンだよォ! 超素直じゃねェかァ!」

絹旗「超コロス……!」

一方通行「やれるもンならやってみろォ、コケシが!」

絹旗「コ、コココ……コケ……
   超超超超超超超っ、超コロスぅっ!!」




一方通行「はァっ……はァっ……!」

絹旗「はぁっ、はぁっ……!」

一方通行「はァっ、アホらしィ……」ゴクッゴクッ

絹旗「コケシは、はぁっ、超訂正させないと気が済みません……」

一方通行「一生一人でやってろ……俺は寝る……」バタッ

絹旗「あっ! それは私の超ベッドですよ」

一方通行「いや、俺のだし、これはただのベッドだ……オマエはそのままソファーで寝ろ……」

絹旗「私の超いい匂いが染み付いたベッドでハァハァ超独り善るつもりなんですね。
   うわぁ、一方通行ったら超不潔です」

一方通行「……小便臭ェガキの臭いしかしねェなァ」

絹旗「」

一方通行「おやすみィ……」

絹旗「……超窒素ダイブ!」ドスッ

一方通行「ぐゃはァっ!?」

絹旗「超直接嗅いでみてください!
   ほらっ、まるで私の可愛さを演出するようなラベンダーの香りが漂ってきませんか?」

一方通行「オマエはトイレの芳香剤かっ!」

絹旗「私は思いの外超傷ついてます……超不貞寝してやる……」

一方通行「妙に絡んできやがって……ン?
     そォかァ、モアイちゃンは一人で留守番すンのが寂しかったンですねェ」

絹旗「…………」

一方通行「…………」

絹旗「バッ、バカなこと言わないでくれますか?。
   誰がそんな超子供みたいな感情で……」

一方通行「間があった上に、動揺してンぞ」

一方通行「チッ……ほら、降りろ……」ゴロン

絹旗「うわっ……、そのですね、超違いますからね?
   別に、ただじゃれついただけであって」

一方通行「解った解ったァ、もォいい」

絹旗「ぐぬぬぅぅ……超不覚……」ボスッ

一方通行「窒息すンぞ……。
     いいじゃねェか、オマエにも年相応の可愛げがあったってことだ」

絹旗「超バカにしてるようにしか聞こえません……」

一方通行「寝るならさっさと寝ろ……」

絹旗「…………」

一方通行「…………」

絹旗「超……温かいです……」

一方通行「寒ィのか?」

絹旗「この背中があるから超平気です」

一方通行「俺は暖房代わりかよォ……」

絹旗「超アホですね」

一方通行「あン……!?」

絹旗「むしろ私の方が超ぽかぽかしてますから、その超恩恵を受けてるのはあなたですよ」

一方通行「あァ、ガキは新陳代謝が活発らしいしなァ……暑苦しィ……」

絹旗「そうですか、なら絶対離れてあげません」

一方通行「そォですかァ……」
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