ミコト「ただいま!」後編1


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翌々日、上条は用事があると言って土御門と共に学園都市の外へ出ていた。

残された美琴と一方通行はいつも通りの一日を過ごし、夕方美琴はオリジナルに会うために第七学区にあるファミレスへと向かった。



その日の話題は妹達のことや一方通行のことだった。

大体の記憶は共有していたが、暗部に都合の悪い記憶はところどころ消されているようだった。

「アンタ今一方通行と一緒にいるんでしょ?何もないの?」

「何って言われてもね……。まあ性格はアレだけどそんなに悪い奴じゃないわよ」

「へえ……。それとあの上条って人、最近どうなの?」

「ぶふっっ!!ど、どうって……べ、別に何もないわよ!」

「はぁ……、我ながら分かりやすい性格してるわね」

最初はかなり気まずい雰囲気だったが、頻繁に顔を合わせていることもあり二人はかなり打ち解けていた。

終バスの時刻が近づき、片方が伝票に手を伸ばす。

「最後に……一つだけ聞いてもいい?」

「何?」

「その……、私を……あなたを倒したのって、誰なの……?」




美琴は人気のない通りを一人歩いていた。

前回は上条が迎えに来てくれたが、彼は今学園都市にいない。

少し寂しく思いながら歩を進める。

先ほどの会話を思い出す。

(「研究施設を襲撃した私はとある暗部組織の待ち伏せにあったの……。その中に……レベル5の一人がいた」)

突然何かに締め付けられるような感触があり、身体が動かなくなった。

「っ!!!」

慌てて身体をよじるが、その場から全く動けない。

(マズいっ!!!)

そう思ったときにはもう遅かった。

みるみる地面が遠ざかり、周囲のビルほどの高さで宙吊りとなる。

(ッ!!!)

これから起こることを予想し、思わず目を閉じる。

すると突然何かがぶつかる感触があり、ガラスを割る音が聞こえた。

驚いて目を開けると、オフィスのような部屋の中で自分を抱える一方通行の姿があった。

「一方通行!?」

一方通行は何も答えず、美琴を抱えたまま反対側の壁をぶち破り建物の外へ飛び出す。

直後ビルが轟音をたて崩れ去る。

「!!」

美琴はわけが分からず一方通行にしがみつく。

一方通行はビルの間を飛ぶように駆け抜けていった。




数分後、二人は10kmほど離れた狭い路地裏にいた。

「一体どういうこと?!」

美琴はわけがわからず一方通行に尋ねた。

「学園都市も一枚岩じゃねェってことだろ」

美琴はその一言で全てを理解した。

土御門は統括理事会の理事長に直接話をつけたと言っていた。

だが上層部には美琴が邪魔になる者がいたのだろう。

それが美琴に刺客をさしむけたのか。

または……



「どういう手品を使ったか知らねェが……」

「!!」

何かが凄まじい速度で美琴に向かって飛来した。

一方通行が片手で払いのけると、それは美琴の背後の壁にめり込みコンクリートを砕いた。

「お出ましだ」

路地の入り口に人影が現れる。

美琴は再び彼女の話を思い出していた。

彼女が話したレベル5の特徴。

180cmほどの長身。

細い目。

青い髪。

そして、最強の念動能力。

「……第6位!」

「なんや、ボクのこと知っとるんか」

男はおよそこの場にふさわしくないようなおどけた関西弁で答えた。

その後から新たな人影が現れる。

自分と同い年くらいの少女だった。

小柄な体躯と茶髪のセミロング。

一方通行がわずかに眉をひそめる。

美琴には見覚えのない少女だった。

(こいつもレベル5?!)

「超違いますよ、元第3位」

「っ!!!」

次の瞬間、一方通行は美琴の腕を掴みビルの隙間から飛び去った。




(どういうことだァ……)

再び距離をとった一方通行は考え込んだ。

「超電磁砲、あの青髪野郎はどういうわけかお前を[ピーーー]気がねェ」

「……」

(それとあのチビ女……)



美琴も理解していた。

念動能力者は学園都市に数え切れないほどいる。

同時に念動能力ほど汎用性に優れる能力はない。

こと戦闘に関しては無類の強さを発揮する。

演算の難度を考慮すれば瞬間移動を超えるかもしれない。

その頂点に立つ能力者が一瞬で命を奪えないはずがない。


そしてあの女。

(心を……読んだ……?!)

「超電磁砲、俺はあのチビ女に用がある。お前はあの青髪をやれ」

「え?」

「心配すンな。逃げ回ってできるだけ勝負を引き延ばせ。用が済ンだらあとは俺がやる」

そう言うと一方通行は、先ほど破った倉庫の窓から音もなく飛び去って行った。




数秒後、大きな音が聞こえわずかに建物が振動する。

窓から外を覗くと、どうやらここは倉庫街の一角のようだった。

女は一方通行が引き離したのだろう。

100メートルほど離れたところに男が一人で立っている。


一方通行は逃げろと言った。

しかし目の前の男には貸しがある。

二人分の貸しだ。

美琴はポケットの中のコインを握り締めた。




「どうした、土御門?」

上条は隣でハンドルを握る土御門に尋ねた。

二人は外での用事を済ませ、学園都市に戻ってきていた。

「魔翌力の流れを感じる」

「美琴か?」

「わからん、だが一つじゃない」

「まさか、侵入者か?!」

土御門は車をわきへ寄せ、停車させる。

「探知用の魔術を使う。カミやんは少し待っていてくれ」

「……」

土御門はそう言い残してドアから出て行った。




ややしてから、再び土御門が車に乗り込んでくる。

「どうだった?」

「一つは超電磁砲のものに違いない、もう一つは……」

「侵入者か?」

「……おそらくそうだ」

「くそっ、こんなタイミングで!」

土御門はエンジンをかけるとアクセルをみ込んだ。

「ここから30分ぐらい、第9学区の倉庫街だ」

「わかった……急いでくれ」


上条の心に不安と焦燥が広がる。

そしてもう一つ。

かすかな違和感が上条の胸に棘のように突き刺さっていた。
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