【第四話・困惑! アルカイザー変身不可能!!】


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 『フラッシュスクリュー!!』


 片腕が鉤爪になった、一見着ぐるみのような鴨型怪人の腹深くに拳をめり込ませた。
 拳に溜め込まれたエネルギーが膨張し、引き抜くと同時に爆発を起こす……

 怪人は体内から光り輝き、四方に爆散した。

 それを見た戦闘員たちが一斉に逃げ出す。

黒子「お、お待ちなさい!!」

 戦闘員を追って、白井黒子は一人走り出した。



アルカイザー「……ふぅ」


 戦うことに慣れてきているのを感じる。
 まるで体が戦い方を知っているかのように。

 戦えば戦うほど、このヒーローの力の使い方が理解できるようになってきた。


初春「あ、ありがとうございます……アルカイザーさん」

アルカイザー「いえいえ。どういたしまして!」

 その場に取り残された初春がおずおずと頭を下げた。
 そんなつもりはないけど。お礼を言われるのはやっぱり気分がいい。


初春「それにしても……佐天さんは大丈夫かな?」

アルカイザー「え!? あ、ああ!! 向こう! 向こうで休んでます!!」


 【第四話・困惑! アルカイザー変身不可能!!】




初春「あの……聞いてもいいですか?」

アルカイザー「え、ええ? はい……何でしょう?」


 どうしてこうなった……


アルカイザー『じゃあ私はこれで……』

初春『ま、待って下さい!』

アルカイザー『はい?』

初春『ひょっとしたら、佐天さんの方にもまだ怪人がいるかも知れません。一緒に来てもらえませんか?』

アルカイザー『ええ!? いや……大丈夫じゃ……ないかな?』

初春『そんな! どうして分かるんですか!?』

アルカイザー『え!? いや、だって――』

初春『正義の味方なんでしょう!? もし佐天さんに何かあったらどうするんですか!!?』

アルカイザー『はい……ごめんなさい……』


 いやいや……! このままじゃ戻れ無いじゃん!


初春「その……その格好って……趣味ですか?」

アルカイザー「……」

 何を聞いてるんだろうね、この子は。

初春「あ! ごめんなさい! カッコよかったのでつい!!」

 苦しい。その言い訳は苦しいよ初春。


アルカイザー「うん。ありがと。趣味ではないよ?」

初春「はぁ……じゃあ、やっぱり駆動鎧『パワードスーツ』かなにかですか?」

アルカイザー「そうだね。まあそんなようなものかな」


 適当に流そう。
 それよりも、この状況をどうするか……


初春「警備員ではないんですよね?」

アルカイザー「ええ……一人で活動してます……」

初春「そうなんですかー……へー」


 いや。興味湧くのは分かるけどね?
 風紀委員的にも知っときたいんだろうし……


アルカイザー「あの……機密なんで。これ以上はちょっと……」

初春「あ! そ、そうですよね! すみません……」

 ……何だかなー?

初春「あ! 御坂さん!!」

アルカイザー「!?」

 まず――!

 いや――ナイス!!


初春「御坂さーん!」

美琴「……初春さん。どうしたの? こんな所で」

初春「いえ。あ! そうだアル――」

美琴「アル?」

初春「あれ?」

美琴「どうしたの? 中国人?」

初春「いえ……あれぇ? ど、何処行っちゃったんですかぁ??」

美琴「??」


 うーいーはーるー!


初春「あ! 佐天さん!」

佐天「どうしたの?」

初春「い、今アルカイザーさんが!!」

美琴「――――!?」

初春「どこ行っちゃったんだろ……? 佐天さん! 私本物のアルカイザー見ちゃいました!」

佐天「へ、へー……」

初春「カッコよかったんですよー! 紅くて! 角生えてて!!」


 マジかよこの子。

 あれから、私はアルカイザーとしての活動を本格化させた。


 『ブライトナックル!!』


 怪人が現れるとすぐさま変身し、駆けつける。


 『シャイニングキック!!!』


 学園都市中に、アルカイザーの名が響き渡った。


 『アルブラスター!!!』


 何故か?
 そんなの決まってる――


 皆を守るためだ。

佐天「あーー……疲れた……」

 これだけ怪人が暴れているというのに、何故学校というものは平常運転なのだろう?


佐天「休みになってもいいと思わない? ねぇ?」

 公園のベンチに座り、となりで日向ぼっこしている猫に話しかけてみる。
 猫は「にゃー」としか返さない。


佐天「宿題なんかしてる暇ないよねー」

猫「にゃー」

佐天「にゃー」

猫「にゃー」

 「にゃー」

佐天「にゃー?」

 「にゃー」

佐天「……」

 「どうも……お久しぶりです」


 そこに立っていたのは、眉を前髪で隠した、良く知った少女。

 「重福(じゅうふく)です。またお会いできましたね」


佐天「……にゃー…………恥ずかしくて死にたいにゃー……」

 重福さんに強引に引っ張られ、私は近所のファミリーレストランに入った。

 その一番奥のテーブルに――

 「あ……ひ、ひさしぶり……」

 「……おう」

 「……ふん……」

 胡散臭い面々。


佐天「この人たちって……」

重福「うん。幻想御手事件の被害者……」



 幻想御手『レベルアッパー』。

 使用者の能力を強化し、レベルを上昇させてくれる夢の装置。
 かつて都市伝説として出回り、その実態を突き止めた低レベルの学生達に出回った。


 ある者は、才能の無い自分の救いを求めた。

 ある者は、その力で犯罪を犯した。

 ある者は、純粋に力が欲しかった。

 ある者は、高位能力者への復讐を企てた。


 レベルに振り回される、この学園都市の学生達。
 その中でも、私達低レベルの能力者は弱者であり、踏みにじられる対象だ。

 そう――

 私もまた、幻想御手の使用者だった…………

 それをズルだと知りつつ、誘惑に勝てなかった。

 目の前で、誰かが傷ついている。
 目の前で、高位の能力者が力を使う。
 目の前で、レベルの低さを、才能の無さを突きつけられる……

 力を手に入れた私達は歓喜した。
 初めての感覚。
 能力を発動する感覚。


 が、その使用者たちは皆、謎の昏睡に見舞われる――


 それは、反則を犯してまで力を求めた代償だったのか。

 結局。風紀委員や警備員の活躍で、幻想御手の開発者は逮捕され、事件は決着した。


 それが――
 私と御坂さん、白井さん、そして初春の絆を深くした、一連の事件の、その一端だ。



重福「連絡先の分かる人だけ集めて、久しぶりに集まったの」

佐天「そうだったんだ」

重福「そうだったんだ、って。やっぱり。佐天さん手紙まだ読んでなかったんだ……」

佐天「へ?」

重福「……手紙に……書いておいたんだけど……」

佐天「ご、ごめん! 最近忙しくて!!」

 やべー。やべー。
 毎回長々と愛のポエムが書いてあるからスルーしてたよ……

 私以外に集まっていたのは四人。

 重福省帆(じゅうふく みほ)。
 介旅初矢(かいたび はつや)。
 鋼盾くん。

 そして――

 「おい! 何見てんだよコラ!」

佐天「ちょ……! 店員さんに絡むの止めてくださーい!!」

 姉御さん(?)。


姉御「つーかよぉ! お前らも折角集まってやってんのにしけた面ばっかしやがってよぉ!!」

介旅「……何でいるんだよこの女」

姉御「ああ!? 何か言ったかガリ眼鏡!?」

鋼盾「わ、あわわわ……や、やめましょうよぉ……」

 いや、本当に何で来てるんだろうこの人……意外と人付き合い良いのか?


重福「うふふふ~……佐天さんの隣~」

 あんたもちょっと周りを見なさい。

姉御「んで? あんたらどうしてんのよ?」

介旅「……」

姉御「何か言えよ!!」

鋼盾「ぼ、僕は……ちょっとだけ……評価上がった……」

重福「え? 鋼盾くんレベル上がったの?」

鋼盾「い、いやいや!! まだ……ちょっと……評価が上がっただけ……」

介旅「そりゃそうだろ。んな簡単にレベル上がるかよ」

姉御「でなきゃ。アタシらだってあんなモン使わないっつーの」


 一瞬、空気が凍った――――

 なんつーこと言うんだこの人は!!
 話を! 話を進めなきゃ!!


佐天「じ、重福さんは?」

重福「全然。まだどうしたらいいかも分からないよ」

介旅「みんなそうだろぉ? どうせ……」

姉御「学校まじめに通ってもなぁ……教師も役に立つこと言わねぇしよぉ」

 「何だよ猫がどうとかって」と、はき捨てるように呟いて、姉御さんはコーラを一気飲みした。


佐天「学校通ってるんですね。姉御さん……」

姉御「ああ?」

佐天「いえ……何でも……」

 ああ。やっぱり根は真面目なんだこの人。

 常盤台中学のシャワールーム。
 頭から熱いシャワーを浴び、白井黒子はあの日のこと思い出していた。

黒子「お姉さま……」


 『触るな』


黒子「何がありましたの……?」


 あれから毎日。街中を駆けずり回って、アルカイザーの情報を集めているようだ。


黒子「あのビルの中で……何が?」


 いや、御坂美琴だけではない。
 この学園都市全体でなにかが起こっている……

 これまでに、黒子が立ち向かったことの無いような巨大な敵が、この街に潜んでいる……!


黒子「いつまでも落ち込んではいられませんの!」


 黒子は歯を食いしばり、パンッ! と頬を打った。
 気合を入れなおし、シャワールームを出る。


黒子「お姉さまが戻ってくるまで。この街は私が守りますの!!」

鋼盾「最近さ。アルカイザーっての、居るらしいね」

姉御「ああ……あの妙なコスプレ野郎な」

佐天「あ、姉御さん……見たことあるんですか?」

姉御「あるよ。遠くからだけど……ありゃ駄目だ。脳みそが」

佐天「……」

介旅「ふん……どうせどっかの高レベル能力者の暇つぶしだろ?」


 何だかんだで。


重福「でね? その女の子が後ろを振り返ると……」

鋼盾「な、何があったの……?」

重福「その男の乳首に……何故か星型のニプレスが……!!」

介旅「くだらね」

姉御「マジくだらね」

佐天「何か息合ってきてません?」

介旅・姉御「「ねーーよ!!!」」


 時間は過ぎる。

 元々、同じコンプレックスを持つ、同類ばかりだ。
 負い目も同じ。相手の傷も理解できる。
 そりゃ、居心地もいいだろう。

 その中で――


佐天「……」

 何となく。居心地の悪さを感じ始めていた……


 ウーーー!! ウーーー!!


佐天「!? 警報!!?」

 まさか――

鋼盾「か……怪人だ!!」

佐天「!!?」


怪人「ブヒャあああああああああああああ!!!!!」


 鉄球を振り回す豚男。

 その巨大な鉄の塊をそこら中にぶつけ、建物を崩壊させていく。
 倒壊する瓦礫の下敷きになって動けなくなった学生を、戦闘員達が攫っていこうとする。


佐天「な、なんつー大雑把でいい加減な作戦……」

 何にせよ、私の目の前でそんなことやらせるもんか!
 よし、変身して……


重福「佐天さん! 隠れて!!」

 飛び出そうとした瞬間。重福さんに腕を引っ張られて、テーブルの下に引き摺りこまれた。

佐天「え!? ちょ……!!」

重福「静かに……! ここでじっとしてよ?」


 あ――――まずい。

 みんなが居たら……変身が――

介旅「……くそ……まただ……またかよクソ!!」

姉御「うるせぇよ!! 黙って隠れてろ!!」

介旅「まただ……何時も何時も……何で助けてくれないんだよ……!!」

佐天「……」

介旅「俺が困ってるとき……風紀委員も……警備員も……いつも奴ら現れない……!」

姉御「おい!」

介旅「いつも……全部終わってから現れやがる!! 何で今ここに――」


 ここに助けてくれる人間が居ないんだよ……!!!


佐天「……」

 今、私が変身すれば皆助かる……?

 けど、記憶が……!

重福「だ、大丈夫だよ……最近は警備員も風紀委員も巡回強化してるし……」

鋼盾「そ、そうそう! すぐ来てくれるって……」


姉御「……だいたいよぉ。連中が襲ってんのってレベル3以上の奴らだろ?」


佐天「え……」

姉御「だったらアタシら平気じゃん? 悪の組織も、こんな雑魚共には興味ないってよ!!」

鋼盾「……確かに……そうかも……」


 そんな……
 自分達だけ助かろうだなんて……

 そんなこと……!

 それなのに……
 姉御さんの言葉で、テーブルの下に安心したような空気が流れる……


 違う――――!!

 私は違う! 私は戦える!! 
 私はそんなんじゃない!! 私はヒーローになれるのに!!


 私は戦うことを決意したのに……!!



佐天「だ……けど……」


 だけど…………どうする?
 変身は出来ない……


佐天「みんな……」


 変身できなくても……
 何とか、注意を引いたりとか……
 いや……けど……


佐天「……」


 背中の熱を思い出す。

 体が冷たくなっていく感覚。
 視界が霞んで、目蓋が重くなる感覚。


 所詮は借り物の力……

 変身できなければ、私は……相変わらず無力だ……

 「ブヒキィアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!?」

 怪人の悲鳴が聞こえた。


佐天「な、何!?」

重福「あ! 佐天さん!!」

 思わずテーブルから飛び出し、辺りを見回す。
 そこにいたのは――


美琴「……」


 体を帯電させて、怪人に対峙する御坂さんだった。

 周囲を囲むように戦闘員が倒れている。
 御坂さんに倒されたのだろう。体から漏電して、ピクピクと蠢いている。


美琴「あいつ……今日は現れないの……?」

怪人「ブキィイイイイイイイイイイイ!!!」

美琴「あんたも……こんなとこで暴れてんじゃないわよぉ!!!」


 御坂さんの腕から激しい稲妻が発生し猛り唸る。
 それをかわした豚男は、あっさり背を向けて走り出した。


美琴「逃げる気……!? 待て!!!」

 見た目よりも素早い豚男を追って、御坂さんは瓦礫の山を駆け上った。


 跡に残されたのは――

介旅「ほらな……やっぱりだよ」

 それを見ていることしか出来ない、落ちこぼれ達だった。

介旅「やっぱそうなんだよ。何とかできんのはああいう連中なんだよ」

佐天「……」

姉御「……ふん」


 取り残された私達は、以前にも感じた無力感に打ちひしがれていた。


鋼盾「で、でも……ぼくらにも、何か出来たかも……」

介旅「は! いまさらそれかよ……大体何が出来るってんだよ?」

重福「……怪我人。助けよ?」

姉御「……警備員の仕事だろ?」

佐天「そうしよ。ね? 介旅くん? 姉御さん?」

介旅「……ちっ」


 それくらいしか、今の私達には出来ない。
 怪人と戦うことは出来ない。
 誰かを守ることも出来ない。


佐天「だから……あの時も力が欲しかったんだよね……」

 幻想御手に手を出したあの時――
 守られてばかりの自分が嫌だった。


佐天「……ねぇ? 重福さん? 力があったら、戦えたよね?」

重福「え? う、うん……」

佐天「誰かを守るために力が欲しいって、間違ってないよね?」

重福「……うん」


 間違ってない……

 この気持ちに間違いはないはずなんだ……

美琴「待てやゴラぁあああああああああああ!!!」

 御坂美琴は咆哮した。

 その目は怪人を追っていない。
 美琴の目に映っているのは、紅い女。
 アルカイザーの幻影は、馬鹿にするように美琴を振り返る。


美琴「負けてない……! 負けてないんだからあああ!!!」

 美琴の体から、二度、三度、雷撃が放たれる。
 がむしゃらに撃ち出された稲妻が、豚男をかすめ地面をえぐった。

美琴「ちぃぃ! 豚のクセにちょこまかとぉぉ!!!」


 走って走って、いつの間にか街を出て公園の中に入った。
 いつもは子どもで賑わっている公園だ。
 だが、怪人が出るようになったころから、警戒して子どもを一人で遊ばせないようにしていた。


美琴「いた! そこ動くなぁあぁあ!!!」

 美琴の全身を駆け巡っていた電流が、右腕に集中する。
 振りかぶり、ハンドボールの要領で放り投げた電撃は、標的を貫こうと槍のように延びた。
 雷の槍は豚男を壁際に追い詰め――


 あっさりと横にかわされ、その奥に居た男の子に襲い掛かった……!


美琴「……!!? あ、あぶな――――」


 最近静かだった公園。

 気の立っていた美琴は、誰も居ないと決め付け周囲に気を配らなかった。

 我に返った美琴は手を伸ばす。しかし、一度放たれたモノは止まらない。
 雷鳴を轟かせ、男の子に迫る電撃は――



 パキィィィィィィィィィン……!



 と、音を立てて消え去った。

 「危ないだろうが!!」

美琴「……あんた」

 「こんな所で、そんな能力振り回してんじゃねぇよ!!」


 美琴の目の前に、ツンツン頭の少年が立っていた。
 美琴の渾身の電撃を受けとめた右手には、傷一つ付いていない。

 豚男は、美琴が驚いている隙にさっさと逃げてしまった。

 男の子も、大声で泣きながら走り去っていった。


美琴「あんた……何でこんな所に!」

 「それより先に、言うべきことがあるだろ!?」

美琴「うるさい!! 今はアンタの説教なんか聞いてる場合じゃないのよぉ!!!」

 「!! っ! このビリビリ女!!」

美琴「ビリビリっていうな! 私は御坂美琴だって何度も言ってんでしょぉ!!!」


 美琴の激情を体現した電撃が、彼女の額から溢れ出す。

 が――
 またもあっさり、彼の右手に掻き消された。


美琴「……相変わらずムカつく能力ね……!」

 「…………」

 さて、どうしてもんか……?

 ツンツン頭の少年・上条当麻(かみじょう とうま)は困惑していた。


美琴「ビリビリっていうな! 私は御坂美琴だって何度も言ってんでしょぉ!!!」

 どうやら、彼女は自分の知り合いらしい。


 実は、上条当麻はとある事情で記憶を失っている。

 それは、ある少女を助けようとした代償だった。
 しかし今はそのことは重要ではない。


 目の前に雷撃が迫る。
 それを再び右手で迎え撃ち、掻き消す――

美琴「……相変わらずムカつく能力ね……!」

 彼の右手に備わる特別な力。
 それが異能の力であれば、神さまの奇跡でさえ問答無用で打ち消す。


 幻想殺し『イマジンブレイカー』。


 この力で、彼女の攻撃は全て防ぐことが出来そうだ。
 だが、問題は――


上条「お前……何をそんなに取り乱してんだよ?」

美琴「……は?」

上条「普段のお前なら、良くわかんねぇけど……こういうことしないんじゃないのか?」

美琴「……はあ? ……何言ってんのよ?」

上条「いや、何って……」

美琴「私がアンタを追い掛け回して電撃浴びせるのなんて、いつものことじゃない」


 そうなのか……
 うわ……嫌な事実が発覚してしまった……


 が――上条当麻が言いたいのはそうじゃない。

上条「じゃあお前は、いつもこんな風に所構わず……誰が巻き込まれようと構わずに!」

上条「あんな小さな子どもを危険に晒すようなマネやってんのかよ!!!」


美琴「な……!?」


上条「それだったら……俺ももう容赦しねぇぞ! 手加減無しでお前を止めてやる!!」


 それを聞いて、少女の表情が変わった――

 そうだ……アンタも……


上条「え?」

美琴「アンタも……私のこと見下して!! 手加減して!! 馬鹿にしてぇ!!!」

 少女の全身から、いまだかつて無いほどの電撃が迸った……!!

上条「馬鹿に……って!? お前何言って――」

美琴「アルカイザー……」

上条「アル……?」

美琴「私の方が……強い! 私の方がぁぁぁぁぁぁ!!! 見下すなあああああああああああ!!!!!」



 ………………いいぜ。

美琴「……!?」


上条「そのアルカイザーってのはよく分かんねぇけど、お前が苦しんでるのは分かった!!」

上条「けど、それを誰彼構わず撒き散らすってんなら話は別だ!!」

上条「苦しいなら! 痛いなら! 自分以外の人間の痛みだって分かるはずだろう!?」

上条「本当は気付いてんじゃねぇのか? 今の自分がおかしいってことに!!」

上条「だったら人の所為にしてんじゃねぇよ!! 今、人を傷つけてんのはお前だろ!!!」

上条「それでも、どうしたって耐えられないっていうのなら、この俺が相手になってやる!!」

上条「手加減なんかじゃねぇ! 同情でも見下してんでもねぇ! これが俺に出来る全力だ!!」

上条「思う存分かかって来い! そんで、その怒りも苦しみも全部吐き出しちまえばいいだろ!!」

上条「幻想なんかに掻き乱されて、そんな風に自分で自分を殺してんじゃねぇよ!!!」

上条「そんなにお前が強いってんなら! そんな下らねぇ被害妄想なんか振り切って見せろよ!!!!!」


美琴「知ったような口を聞くなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 駆け出す少女。

 それを受け止めるために、少年は右手に力を込める……!


上条「いいぜ。お前の目が現実を映さないのなら……まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!!!!」

 ……………………

 …………


佐天「……ただいま」


 自宅に帰って、私はすぐベッドに倒れこんだ。

 色々な思いが頭を駆け巡って、もう何が何だか分からなくなって……


佐天「……」


 あの時の御坂さんも、こんな気分だったんだろうか?

 自分にどうすることもできない何かを、誰かが目の前で何とかしてしまう。


佐天「でも私はずっと、それを経験し続けてきたんですよ?」


 貴女の隣で、貴女が、貴女たちが何かを成し遂げるたびに。


 お前は無能力者なんだって、そう突きつけられているようで。


 だから、幻想御手になんか手を出したんだ……


佐天「力が欲しい……誰にも負けない力が……」


 ヒーローに、なりたい……。



 落ちこぼれのヒーローは、過去に囚われた。




 【次回予告】

 学園都市に蔓延する怪しいクスリ!

 その裏に、ブラッククロスの黒い影が!!

 戦え黒子! 風紀委員の意地を見せるときだ!!

 次回! 第五話!! 【錯綜! 人のココロ!!】

 ご期待ください!!


 【補足という名の言い訳のコーナー】

 ・上条さんについて。
  禁書目録本編の主人公さん。ヒロインのインデックスを助けるために記憶喪失になった後です。
  妹達編前なので、記憶喪失後はこれが初対面ですね。
  超電磁砲のSSということで、上条さんがからんでくるのはどうかと思ったのですが、
  やっぱり美琴を救うのは上条さんの役割だと思います。
  上条さんっぽい説教は書くの難しいです。かまちーのセンスパネェ。

 ・星ニプレス
  彼です。本編には出てきません。多分。
  誰のことか分からないサガフロ未プレイの方は、一方さんが新しい趣味でも始めたと思ってください。
  魔術師の仕業です。多分。
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