キョン「お前まさか……ハルヒの事が好きなのか?」6


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

 

―― とあるビルの一室 ――

「……報告書にある通り、『敵』の殲滅には失敗いたしました。誠に申し訳ございません」

「別に謝る必要なんてないですよぉ。新川さんがやりたくてやった事なんですから」

「はっ。しかし、小型キャパシティダウンを二つ失ってしまったのは……」

「いいんですよぉ。学園都市から脱出する時に、何かに使えるかな~って持ってきたものなんですから」

「……はっ」

「でも、新川さん。帰って来た時はバニースーツだったのに、今は学生服(女子)に着替えてるんですね」
「もしかして……アレ。期待してません?」

「そ、それは……」

「いいんですよぉ。……そぉれぃ! パンツはいてるかぁい?」

「ぬっふぇ! ……スカートめくられ! たまりませんなぁ!」

「いつでも言ってくれていいんですよぉ? しかし水玉とはねぇ」

「ははは。しかし、これはご褒美とすることにしましょう」
「彼……『幻想殺し』だけは、我々の現在の状態を台無しにする存在……排除せねばなりません」
「その為には、どのような犠牲を払っても……。その暁には、ぜひスカートを……」

「あ、これ最後のキャパシティダウン。持ってってください」

「……良いのですか? ありがとうございます。では……」

「報告書……『御坂さん』に『白井さん』も、来ちゃってたかぁ」
「あんまり友達と戦うハメにはなりたくないなぁ」
「でも、しょうがないよね。『敵』になっちゃったら、ねぇ」

(初春……)
(……のスカート、久しぶりにめくりたいなぁ)
(友達……だと思ってたのに。あたしの言う事、聞かないから)
(だから、花飾り毟っちゃうハメになっちゃったんだよ?)
(あたしは……悪くないよね……?)

 

 

 

 

 

―― 長門家 ――

朝比奈さんとインデックスさんとよつばがいない?
どういう事だ、長門?

「分からない。しかし、朝比奈みくるは昨日遅く、インデックスと話していた」

『わたしたち、役に立ててないような気がするんです』

『ハンバーグカレーが食べたいな』

『戦闘でも、漏らしたり気絶したりで……』

『焼肉、また食べたいな』

『でも! 情報収集くらいはできると思うんです!』

『うん。やっぱりお肉だよねえ』

『インデックスさん! 力を合わせて頑張りましょう!』

『シェイクは三つなんだよ!』

「……と」

まさか。
朝比奈さんとインデックスさんは二人で外に出たというのか?

「多分、よつばって子も一緒みたい。靴が無かったわ」

御坂が確認してくる。

「……まずいな」

ああ、ウニ条。
戦力にならない、お荷物だった二人が、単独行動に出た事で足手まといになっちまいやがった。

白井が言う。

「すぐに探しに行きませんと!」
白井の言葉を無視し、俺たちは朝飯(カレー)を食べた。
そしてプリキュアを見て時間を潰した。
何故かは分からないが、そういう気分だった。
ウニ条とは、つぼみ派かえりか派で意見が分かれ、ついには殺し合いにまで発展。
御坂に何故か怒られる。

そろそろ昼飯(カレー)の時間だという時に、チャイムが鳴った。

「誰か出て」

長門はプリキュアの録画を観直している。
やれやれ、俺が出るか。
決して親切心からではなく、このメイド服姿を他人に見せびらかせたい、その一身での思いだった。

ドアを開ける。

そこには血まみれで、ボロボロになったよつばが倒れていた。

俺は関わりたくないので、そっとドアを閉じた。

「誰だったの?」

御坂が聞いてくる。

ピンポンダッシュだ、気にするな。

俺がそう答えたのにも関わらず、御坂は確認しようとドアを開けた。

「きゃあ! よつばちゃん!」

うるせえ。ウニ条、つぼみこそプリキュアだぞ? えりかは確かに可愛いが……。

「そんな事、言ってる場合か! 長門さん、よつばを早く!」

俺はウニ条の後頭部を銃のグリップで思いっきり殴って昏倒させた。

長門は二人、治療するはめになった。
全く手間をかけさせる奴らだ。
怪我が癒えたよつばは、涙目で興奮状態だった。

「たいへん! たいへんなの! もーすごく! なー?」

分からん。さっぱり分からん。
またしても銃のグリップで殴ろうとしたところを、白井が止める。
お前も殴ったろか。

「よつばさん。落ち着いて、始めから話してくださいまし」

すると、よつばは泣きながら、ぽつりぽつり話し始めた。

朝比奈さんとインデックスさんが夜明けに出かけるのを見て、よつばはついて行ったという。
恐らく二人は、よつばを残して出かけて俺たちが制止するのを恐れたのだろう、連れて行ったと推測。
そして、ある公園に辿り着いた時。

「てきがなー、おそってきた」

敵?

「おっちゃんだった。てっぽうをもっててな、みくるも、いんでっくすも、うたれたんだ……」
「よつばはたたかおうとしたけど、みくるたちはにげろ、ってなー」
「ころんでけがしたけど、なかなかった」

「……よく、貴方だけでも帰ってきました事。偉いですわ」

「でも……みくるといんでっくすはてきにつかまった」
「よつばがよわかったから……」

俺はよつばに言ってやった。

よつば。貴様は地球上で最下等の生命体だ 。貴様は人間ではない。両生動物のクソをかき集めた値打ちしかない!

「くそかぁ……」

「ちょっとキョン! 小さい子に何を言ってんのよ!」

うるせえよ。
俺はまだ続ける。
朝比奈さんとインデックスさんを助けたいか?

「うん……」

なら、俺が鍛えてやる。話しかけられたとき以外は口を開くな。口でクソたれる前と後に“サー”と言え。
分かったか、ウジ虫!

「さー! わかりました、さー!」

よし。

ウニ条が言う

「キョン。何を考えてるんだ?」

分からんか?
現在、俺たちは戦力が不足している。
たとえ子供でも、全ての力を持って当たるべきだ。
妹も連れて行く。
……
総力戦というやつだ。

「そんな……!?」

御坂よ。子供を危険に遭わせたくないのは分からんでもない。
しかし、この長門の部屋に置いていっても、俺たちがいない時を狙われたら終わりだ。
人質が増えるだけだ。
いや、捕まるだけならいいが、殺される可能性もある。

全員、無言だった。

俺は、やはり、昼飯(カレー)を提案した。
腹が減っては戦ができぬ、しっかり休息は摂るべきだ。

いいともでは二ヶ月連続でAKB48がテレフォンショッキングに出演している。
俺はTVを蹴り壊した。
もはや、誰も意見するものはなかった。

「私の、TV……」

小さい事に拘るな、長門。
その後、食休みをしてから、俺は銃を検めた。
警官から大量に奪ったものだ。
数十丁はある。

妹、よつば、長門、ウニ条に、それぞれ一丁ずつ貸し与える。

「銃、か……。俺はこういうのは好きじゃないんだが」

甘ったれるなウニめ。
銃でも持たない限り、お前に戦闘力は無い。カス条だ。
それは他の三人も同じ事だ。

妹、よつばは勿論だが、今の長門は回復要員でしかない。

「その通り。貴方の判断は正しい」

「はー、これがほんもののてっぽうかー」

「キョンくん、なんか怖いよ……」

うじ虫ども、よく聞け。
貴様らはミジンコ以下の虫けらだ。俺が貴様らを人殺しにしてやる。
死にたくなかったら殺せ。
返事は!

「さー!」

「サー?」

「おい、こんな子供にまで……」

ウニ条の側頭部に銃口を当てる。

うだうだ言ってても状況は変わらない。
子供だからとぼんやりしてると、そのうちに死体に変わる。
それともお前……、自分が誰かを守りきれると本気で信じているんじゃないだろうな?
もしそうなら、そんな幻想はぶち殺す。

「それ……は……」
ウニ条はうな垂れていた。

現状把握と、自分の希望。
俺だって妹を参戦させたくはない ―本気だぜ?― が、戦力が足りない。圧倒的に。
新川さんがいる以上、駒は必要だ。

「キョン。俺に、銃を教えてくれ」

良く言った、ウニ条。
気に入った。
家に来て、妹をファックしていいぞ。

「キョンくん、ファックってなあに?」

それはな……。

「そ、そこから先は説明無用ですわ!」

話のこしを折るのは白井だ。
意味を理解しているらしい。

御坂が白井に耳打ちして聞いている。
真っ赤な顔で怒鳴り出す。

「ア、ア、アンタ! なんて事を言うのよ!」

うるさい電気ウナギだ。
全員の心を戦闘ムードに高めようとしているのが分からんのか。

「……確かに。乱暴な軍隊式ですけど今はキョンさんに賭けるしかないかもしれません」

よく言った、白井。
家に来て、妹をファックしていいぞ。

「それはもう、いいですの。それより、わたくしたちは銃は……」

必要ないだろうな。
超能力とやらが使えれば、銃より戦力になるし、あのキャパシティダウンとやらを使われたら……

「銃を使う余裕も無くなる、ってわけね」
午後の時間は、四人の銃訓練に充てた。

長門は流石に飲み込みが早く、すぐに他のやつらへ指導するレベルに達した。

妹も、ハサミを投げる感覚が応用が利いたようで、小学生にしちゃ上出来だった。
よし、家に来て、妹をファックしていいぞ。
……
この場合、オナニーになるのだろうか?

ウニ条は、まあまあ、と言ったところか。
しかし、こいつが人間相手に発砲できるか、そこがネックだ。

そしてよつば。
最初は肩を脱臼したり、反動でひっくり返ったりしたものの、最終的にはまともに撃てるようになった。

「よつばは、みくるといんでっくすのかたきをとる!」

立派だ。
家に来て、妹をファックしていいぞ。

「……いい加減、それやめないか?」

ウニ条。これ、俺のお気に入りなんだ。

俺が爽やかに言うと、奴も諦めた。

少し、早い晩飯(カレー)を食べる。
ちびまるちゃんと、サザエさんを予約録画したかったが、TVが壊れていた。
思わず長門に平手打ちをする。

「……いい。ゾクゾクする」

長門が新たな性癖に目覚めそうだったので、今回はここまでにしておく。
また、時間的な余裕があるときに開発すべきだ。

さあ、準備は整った。
全員、戦闘の顔をしろ!
殺せ! 殺せ! 殺せ!

俺たちは、長門の部屋から出た。

 

 

 

 

 

一階に降り、腐臭を嗅ぐ。

管理人の死体が、早くも腐っている。
しかし、どうでもいい。

公園を目指し、歩く。
まだ外は明るいが、すぐに日は落ちるだろう。

しかし、おかしな集団だ。

メイド服の俺はともかく、学生服の男子高校生一人、女子高生が一人、女子中学生が二人。
小学生の女児に、幼稚園くらいの外国人の女児。

警察に職質されればなんて言い訳をしようか。
そう考えて、苦笑いする。
警官なんて殺せばいい。

役に立たない法律をかざして大事件を解決しようとする勇士に、いちゃもんをつける輩は処刑だ。

俺は銃を撃ちたくて、警官の姿を探したが、どこにも見当たらなかった。
買い物帰りの主婦や、定時帰りのサラリーマンを撃っても、面白くない。

戦場は、公園だ。

高鳴る鼓動を抑えきれずに、俺は走り出した。

「キョン!」

ウニ条が叫んだ。
知るか。
俺は走る。
可憐に、美的に。
そう、メイド服を着ているからだ。
その走りは、まるでバレリーノのようだったと、俺は思う。
行き交う人々が、俺を見たからだ。
サービスでスカートをめくったりもした。
ああ! 俺って、なんて素晴らしいんだ!

気がつくと、公園の入り口に俺は立っていた。
ここが、俺の戦場だ。
んっちゃ んっちゃ んっちゃ んっちゃ ん
ぽっぽっぽっぽー ぽろろっぽ
ぽっぽっぽっぽっぽー ぽろろっぽ
ぽっぽっぽっぽっぽ~ちゃ・ちゃらららら

ひとしきり白鳥の湖を踊り続けて十分ほど。

白井が現れた。

「はぁはぁ……テレポートでも追いつけない脚力ってどういうことですの……」

俺は黙って足を高く上げ、にっこりと微笑んだ。

更に数分して、全員がやってくる。
ウニ条はよつばを、長門は妹を負ぶさっている。
全員、息を切らせている。

情けない奴らだ。
金玉ついてんのか?

「わ、悪いが俺とキョン以外はついてないと思うぞ……」

揚げ足取りめ。
俺はウニを軽蔑の目で見つめながら、言う。

ここからが本番だ。
見事、朝比奈さんとインデックスさんを助け出し、
あわよくば新川さんをぶち殺す。
いいな! みんな!

全員、ふらふらだが士気は高まっている。
いける。
俺は確信を持った。

そして、日も暮れはじめ、辺りが橙色になっている公園へと、足を踏み入れた。

俺は自分の確信が、間違っている事に気づいていなかった。
あんな事になるなんて、思いもしなかったんだ。

俺は、悪くない。

 

公園には人気は無く、無人のように見えた。

しかし。

強い殺気を感じる。

公園にある時計塔の、あの細い棒の上だ。

そこには、朝比奈さんとインデックスさんの二人が、縛られていた。
そこそこ高い時計塔の先端部分。
古泉の死体を思い出す。

「キョンくん! た、助けて……」

「とうま! おなかへったんだよ!」

その声に、ほっとする暇も無く、俺たちは構える。
殺気は、あの二人の方から流れてくる。
彼女らがこんな殺気を放てるわけがない。
と、すると……?

みんな! 感覚、心の目をよく凝らせ!
奴は『あそこ』にいるはずだ!

長門がいち早く気づく。

「……見えた」

俺たちにも確認できた。

「……やあ、お久しぶりです」

……
新川さん。

今の新川さんは、ハルヒの制服を着ていた。
恐らく戦闘に向いているからだろう。
バニースーツは、武器を隠す場所が少ないからな。

拘束されている二人の、更に上に立つセーラー服の新川さん。
敵ながら、美しささえあった。
「しかし、遅かったですね。そこの子を逃がしてから、ほぼ半日以上、経っていますよ」

巌流島での、宮本武蔵と佐々木小次郎の話を知ってますか、新川さん?

「ははっ。待たせて冷静な判断力を失わせる……そんな小細工が私に通用するとでも?」

いや、別に待たせる気はなかったんですがね。
こちらも色々と準備してきたんですよ?

「ほほう……。しかし! 私の勝ちは決定しています」

新川さんが小さな機械のスイッチを入れる。
キャパシティダウンというやつだ。

御坂と白井が、地に膝を着く。

ウニ条! 長門! 妹! よつば! 新川さんを狙え!

五発の銃声。

俺を入れて、五人が発砲した。
ウニ条とよつばの弾はあさっての方角へ。
俺と長門、妹の弾は、新川さんが、拳銃のグリップで叩き落した。

……
なんて反射神経だ、糞っ!

俺は諦めず、引き金を何度も引く。

その全てを、銃のグリップ部分で叩き落す新川さん。
銃弾で弾く必要もないってことか?

「……キャパシティダウンを!」

御坂が呻く。
ああ、俺もそいつを狙ってるんだけどな。
全く、隙が無いんだ。

新川さん。
あんた、本当に人間なのかよ?
「さ……てと」

新川さんが呟く。

「このお二人のお嬢さん……何の為に生け捕ったと思いますか?」

どういう事だ?
人質、なんだろう?

「人質……そんなものは必要ないのですよ」
「私は、貴方たち全員を相手にしても、勝つ自信があるのですから」
「スカートめくられ、というご褒美を前に、私は限界を更に超えているのです」

何を言ってる?
スカートめくられ?

人質ではない。
なら、何が目的で……?

「貴方たちに絶望を与える為ですよ」
「彼女たちを、助けに来たのでしょう?」

新川さんの手に持っている物が、拳銃からナイフに変わっていた。

まさか。

やめろーーーっ!

新川さんが軽く腕を動かす。
朝比奈さんの、インデックスさんの。

首が、胴体から離れた。

地面に、熟れた柘榴が落ちる、そんな音がした。

時計塔の上の、二人の身体には、首が無かった。

ただ、血飛沫だけが、新川さんと首の無い胴体を染め上げていた。

朝比奈さんとインデックスさんは、殺された。

 

 

 

 

 

 

目の前が赤く染まる。
走る。

「いけない。彼は二人が殺された事よりも、血でメイド服や修道服を汚されたのを怒るタイプ」

長門が何か言う。

走る。
新川さんを、殺す!

突如、足が熱くなる。
俺は転んだ。
見ると、銃創が足に出来ている。
血が、噴出している。

「キョン……くん。ダメだよぉ……行っちゃ、殺されちゃうよぉ……」

妹が涙目で拳銃を構えている。
撃ったのは妹。

暴走しかけた俺を止めるために、足を撃ったんだ。

「良い判断。直ぐに治療を行う」

長門が高速詠唱に入る。

妹よ。
ありがとな。
頭に血が昇った状態で、新川さんに特攻なんざ無謀にもほどがある。
家に来て妹をファツクしていいぞ。

……
よし、頭は冷えた。
後は、足の回復を待って……。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

ウニ条!?

奴の形相は普段とは比べ物にならないほどに歪んでいた。
そして、新川さんに向かって走っている!
インデックスさんを殺された怒りだろう。
俺たちの声も届くまい。

俺はウニ条の足を狙って撃った。

外れた。

馬鹿な!
俺が外すだと!?

妹! よつば! ウニ条の足を止めろ!

四発の銃声。

しかし。

全て外れた。

否。

避わされたんだ。

「上条当麻の脳のリミッターが解除されたと思われる……」

長門が、一瞬呟く。

だとしても!

無謀にもほどがある!

「やれやれ。やっと本命が近くに来ましたね」

新川さんの持っているのは、軽機関銃だった。

「『幻想殺し』! 貴方が一番殺されねばならない存在なのです!」

銃弾の雨がウニ条を襲った。
馬鹿野朗!

「な……なんと!?」
ウニ条は、軽機関銃の全ての弾丸を避わしていた。

なんだよ、それ……化け物か、あいつは?

「そんなはずは!」

新川さんが軽機関銃のマガジンを入れ替え、再度引き金を引く。

ウニ条には当たらない。

「あがああああああああああああああああああああああっ!」

ウニ条は、一度の跳躍で時計塔の新川さんの懐へ飛び込んだ。

「そげぶらああああああああああああああああああああっ!」

右手で、一撃。

新川さんは、軽機関銃を取り落とす。

「ぐっ……! しかし、何度もあの『お方』の風に当てられた私に、一撃入れただけで……」

新川さんの言葉の最中に、更にもう一発、渾身の一撃。

「ぷげらぷげらあああああああああああああああああっ!」

最後に、大きく身を沈め、右手のアッパーカット!

「俺の最弱はああああああああああああああああああっ!」
「かなり効くぜえええええええええええええええええっ!」

言葉の意味は不明だが、新川さんが宙に浮いている、今が勝機だ!

長門! 妹! よつば!
新川さんの頭部を狙え!

四発の銃声。

四つの鉛弾は、見事に新川さんの頭にめり込んだ。
新川さんと、ウニ条が地面に降り立つ。
いや、立ったのはウニ条だけだ。

新川さんは、地面に叩きつけられた。

「そげぶ! そげぶ! そげぶ! そげぶ! そげぶ!」

ウニ条が、新川さんを殴り続ける。

俺は、足の怪我が治っているのを確認し、ウニ条に近づく。

「そげぶ! そげぶ! そげぶ! そげぶ! そげぶ!」

ウニ条。

「そげぶ! そげぶ! そげぶ! そげぶ! そげぶ!」

ウニ条、やめろ!
……
もう、終わったんだ。

「そげ……ぶ?」

……
ああ。
お前は、インデックスさんの仇を討った。

「そげ……そげ……ぶぶ……」

泣けよ。
……
言っただろ?
お前が、守りきれるとは、限らないって。

「イン……デックス……」
「うわああああああああああああああああああああっ!」

俺は、新川さんの近くに落ちていた機械を踏み壊す。
御坂と白井が、こちらにくる。

「そんな……」

「殺されて、しまったのですか……」
沈黙。

いや、ウニ条の泣き声と、御坂、白井のすすり泣きがBGMだ。

俺は長門と共に、朝比奈さんとインデックスさんの身体を塔から下ろした。
首の所に、首を置く。

「……俺は……助けられなかった」
「インデックスを……助けられなかった……」

ウニ条の胸倉を掴み、顔面を殴る。

誰だって、失敗することはある。
それが取り返しのつかない失敗であっても、だ。
けど、それで終わるのか?
ウニ条。
お前は、ここで泣く事しかできないのか?
なら、いいさ。
ここで、好きなだけ後悔してろ。
泣いていろ。
『佐天涙子』とやらは、俺が倒す。
……
お前は、休め。

俺は長門に頼んで、朝比奈さんとインデックスさんの首だけでもつなげてもらった。
女の子が、首無しじゃあ、可哀相だからな。

「あ……」

どうした、長門?

「二人の身体と首を間違えた」

……
ということは、メイド服の巨乳がインデックスさんで、
修道服の貧乳が朝比奈さんになっちまったわけか?

「そう。……もう一度、切断して付け直す?」

……
流石に死体にそれはまずいだろう、と思う。古泉じゃないんだから。

「残念だけどその通り……」
……ウニ条がやってきた。

どうした。泣くのは終わりか?

「泣いてても、インデックスが生き返るわけじゃ……ない」

……
その通りだ、ウニ条。
俺は朝比奈さんのメイド服を着る事にした。
彼女の分まで戦う証にな。
お前は……どうする?

「……俺も、インデックスの修道服を着るよ」
「あいつの分まで、……俺が戦う」

……
良く言った。

着替えの間、皆、無言だった。
白井辺りが、死者の、それも女性の服を着るのは如何かと思いますの! とか言うかと思ってたが、
彼女も分かったらしい。

俺と、ウニ条の、覚悟が。

そう。ふざけてるんじゃないんだ。
大真面目なんだ。
だから、俺はメイド服を着るし、ウニ条は修道服を着る。
これは儀式であり、誠意であり、追悼でもある。

着替え終わった俺たちは、互いの姿を見た。

「……キョンは、あまり変わってないのな」

ウニ条め。よく見ろ、ここのステッチとか違うだろ? それより……似合ってるぜ、修道服。

「へへ……」

ウニ条は気色の悪い笑みを浮かべると、こう言った。

「もう、後悔はしたくない。少なくとも過ぎた事に囚われない」

オーケィ。貴様は立派な戦士だ。

 

ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。