キョン「お前まさか……ハルヒの事が好きなのか?」2

 

相変わらず殺風景な長門の部屋に上がりこんだ俺は、違和感を感じた。
目の前に座っている、北高の制服を着た長門。
これはいつもの光景だ。
というか変わらなさ過ぎて安心したぐらいだ。

問題は長門の横に座っている奴らだ。
俺より先に、この部屋に人がいた。
それも二人。

一人は男、俺と同じくらいで多分高校生だろう。白いシャツに黒いズボンの制服を着ている。
間の抜けた顔つきだと思ったが、俺だって同じようなものなので、そこについては触れないでおこう。
ウニみたいにつんつんした髪型にツッコミを入れたかったが、そこもモミアゲという点で引き分けなので触れなかった。

もう一人は女の子で、外国人だ。長い銀髪と碧眼で、美少女と言って差し支えないだろう。
背は低く中学生くらいに見えるが、それよりは服装だ。
いわゆる修道女みたいな服を着ている。実際に見たことはないが、確かにそんな感じだ。
俺は後で適切な値段で売ってもらえないかと思い、銀行残高を思い出す。
うん、古泉に売るスクール水着は値段を二倍にしよう、そうしよう。

長門は俺から幼女を受け取ると、別室に寝かせてから俺たちにお茶を出した。

とりあえず飲む。
男子高校生と修道女?も飲む。

視線が痛い。まるでヤバイ奴を見るような目だ。
俺だって好きでメイド服で来たわけじゃないんだ。
愚息はまだいきり立ったままだ。ちくしょう。

「貴方は銃を手放すべき」

ああ、そうか。
長門に言われてやっと気づく。
こんな剣呑なものを、俺はまだ構えていたのか。
それじゃ変人を見る目つきで見られても文句は言えないな。
とりあえず、この二人が何者かは分からないが、長門がいれば問題はないだろう。
俺は拳銃をメイド服のベルトに差した。

で、長門。
この二人はどこのどなたなんだ?
長門は二人に視線を向け、言った。

「知らない人たち。窓から不法侵入してきた」

そうか。俺は再び拳銃を抜き、引き金を引いた。
が、いつの間に近くに寄ったのか、長門が拳銃のシリンダーを押さえていた。
おいおい、長門。これじゃ弾が出ないぞ?

「さっきのは冗談。彼らは客人」

オーケイ、長門。お前の冗談は俺にとっては難しすぎる。
ちゃんとした説明をしてくれるか?

「了解。その前に自己紹介をすべき」

まあ、お互いの名前も知らずに細かい話をするのもおかしいよな。
俺の名は『禁則事項』。皆からはキョン、って呼ばれている。
見てもらったら分かるだろうが、ごく普通の高校生だ。

せっかく俺が自己紹介をしたというのに、二人はまるで怪物を見るような目で俺を見つめる。
何なんだ? そんなに人を信用できないのか? 俺は至って平凡かつ人畜無害な男だというのに。

長門が言う。

「心配ない。彼は良い人。貴方達に危害を加えるような真似はしない。というか私がさせない」

長門の援護が効いたのか、まず修道服を着た美少女が言葉を発した。

「わたしの名前はインデックス。シスターなんだよ」

へえ、本物のシスターさんか。日本語上手だな、おい。
それよりその修道服はいくらで取り引きできるんだろうか?
その辺の細部を決めていきたい。

「俺は……上条、当麻。本当の意味での、平凡な高校生だ」

インデックスさん、その服の値段はいくらでしょう?
ひとまず十万円から始めたいと思うのだが。
何日着ているのか、汗をかいているのかで付加価値が付き、価格を上げる事は可能です。

「え? 俺は無視ですか? というか何だこの人? 変態さんか?」

うるさいウニだ。叩き割って中身喰うぞコラ。

 

 



銃声。

俺は拳銃を引き抜くとウニの額に照準を合わせ、引き金を引いた。
この間、実に0.02秒。
次元大介も真っ青の早撃ちだ。
にも関わらず、ウニは倒れず、俺から見てだいぶ斜め前の部屋の壁に弾痕ができた。

長門がぶつかってきたせいだ。
この宇宙人め、俺の射撃の邪魔をするとは!

見ると長門は、左足と両の腕をおかしな方向に曲げていた。
俺に体当たりを食らわせたせいで骨折したらしい。

「落ち着いて。今、彼を殺せば修道服は手に入らなくなる」

何だと?
おい、どういうことだ長門!

「上条当麻とインデックスは非常に仲が良い。同棲までしている」
「大切な人を殺されて、その犯人に自分の衣服を売却する女性は少ないと思われる」

なるほど、そういう事か。
ならば仕方がない。

見ると、反れた銃弾がかすめたらしく、インデックスさんの顔色が真っ青だった。
そして妙な水音が聞こえ、彼女の修道服の下半身の部分に大きな染みが出来上がった。

そう、失禁したんだ。

長門、結果オーライとは言え、体当たりを責めて悪かったな。
これであの修道服の価値が、より高まった。値段も跳ね上がっちまったがな。

「構わない。それより、貴方の状況を聞かせて」

そうだ。こうしちゃいられないんだ。
古泉の命が危ない。

長門、お茶のお替りを頼む。
長門が出してくれたお茶と、お菓子を食べつつ俺は語った。

機関の一部の人間が集い、各々が自分の所持している、女性の衣服を着込み、楽しむ集会――通称『機関限定コスプレ集会』。
その参加を、古泉から勧められた俺は、大金を払って入手した森さんのメイド服を着込み、出席した。
今日のメンバーは、新川さん、古泉、俺の三人だけだった。
他にも機関には、多くの愛好者がいるそうだが、任務の関係で参加できなかったそうだ。

最初のうちは、そこは天国のような場所だった。
古泉は俺の妹のスクール水着を無理やり着込み、くねくねのたうちまわり。
新川さんはハルヒの制服を見事に着こなし、至福の笑みを浮かべていた。
俺だって、家では着る事の出来ない森さんのメイド服を、堂々と着て姿見を眺め、恍惚の中で永遠に思える快楽を楽しんでいた。

しかし。

新川さんの乱心で、極楽は地獄に成り代わった。
古泉のスクール水着は無残にもただの細かい布切れに。俺のカチュ-シャは焦げてカチューシャであることをやめた。

俺の命を狙った新川さんは、古泉の自己犠牲精神により武器を失い。
俺自身は朝比奈さん(大)の力を借りて、かろうじてここ、長門の部屋まで辿り着いた。

俺は悔しくてたまらず、テーブルを叩いた。

カチュ-シャよ!
スクール水着よ!
二度とはもう、戻らない、あの唯一無二の、至高の宝よ!

ウニとインデックスさんの、俺を見る目は、何故か冷ややかなものだった。

「……やはり」

長門が言い、二人に視線を向ける。

「貴方たちの追っている存在が、彼らに影響を及ぼした、と考えるのが妥当」

その言葉に、ウニは表情を引き締め、頷く。
インデックスさんも、同じだ。

可愛いよインデックスさんインデックスさん可愛いよ。
失禁してるのも忘れているようだ。

 

 

 

 

 

 

「彼らは学園都市から来た」

学園都市? 確か、超能力の開発をしているってところだろ?
それに、だいぶ遠いはずだ。わざわざ何でこんな地域に?

「それは俺が説明する」

ウニがしゃしゃり出る。

「俺たちは、ある人物を追っている」
「そいつは変わった能力の持ち主で……その力を使った『実験』を行っているんだ」
「その能力ってのは『対象の理性を極端に抑え、本能や欲望を優先し、行動させる』というものらしい」
「学園都市で暴れた後、一度はアンチスキルに捕まったんだが……」
「どうやったのかは分からねえけど、拘束から抜け出して、学園都市外へ逃げ出した」
「それだけならまだしも……そいつは人質を取ってる」
「俺たちは、そいつの『実験』を止めると共に、その人質も助けたい」
「だから、ここまでやってきたんだ」

ふーん。そーなんだ、すごいね!

インデックスさんが語り出す。

「その悪い人の行きそうな場所が、この地域だったの」
「なんで分かったのかっていうと、わたしが魔術で突き止めたんだよ」
「でも、大まかな場所しか分からなくって……」
「一緒に学園都市から出発した、短髪とくろこともはぐれちゃったし……」

魔術が使えるなんて凄いじゃないですか、インデックスさん!
気に病むことはありませんよ。大まかでも、その犯罪者の潜伏してる場所が分かるんですから!

「……あんた、いきなり魔術なんて言われて、信じるのか?」

うるせえウニ。俺の周りは宇宙人・未来人・超能力者に神様が揃ってるんだ。
今更、魔法使いが出てきても驚きはしないさ。

「問題は」

と長門。

「既にその能力者の『実験』に貴方が巻き込まれてしまった事」

どういう事だ、長門?

「……今の貴方は、普通ではない。いつもの貴方では、ありえない行動をしている」

何をおっしゃる長門さん。
普通人代表である、この俺が普通でないなんて笑ってしまうぜ?
その証拠に、ほうら見てみろ。股間の愚息もいきり立ったままだ! いやっほぉい!

 

長いスカートをたくし上げ、その愚息を見せつけながら(ああ、もちろん森さんのスキャンティは穿いているのだが)、俺は踊った。

ホットッペッパ ピップペッパッピ♪
ペッパッペッパ ピップペッポッピ♪
ホットペッパ ピップペッパッピ♪
ペッパッペッパ ピップペッポ♪
ヘイ!
ホットッペッパ ピップペッパッピ♪
ペッパッペッパ ピップペッポッピ♪
ホットペッパ ピップペッパッピ♪
ペッパッペッパ ピップペッポ♪
ホゥ!

あろう事か、ウニはインデックスさんの目を塞ごうとし、長門は傍目にも分かるくらいに大きく目を見開いていた。
殺風景な部屋の空気が、一瞬にして凍りつく。
何故だ?
木村カエラを知らないとでもいうのか?
それとも……。

まさか?

そうだ! 俺は重大な事に気がついた。

リングディンドン。
今はそちらが話題じゃないか。
ああ、リングディンドン、リングディンドン。

しかし、今更止める事など出来るわけがない。
そんな勇気は俺には、無かった。

一時間。そう、一時間もの間、俺は踊りぬいてみせた。

――
古泉、俺はやってのけたぜ?

 

 

 

長い静寂の後、俺は口を開いた。

そもそも何故、ウニとインデックスさんは長門と知り合った?
どうして長門に、そんな超能力犯罪者の話をしたんだ?
長門が、いわゆる宇宙人だって知っていたのか?
そして学園都市では、木村カエラは有名ではないのか?

長門が答える。

「……彼らは、この地域にくるまでに、幾度かの戦闘を潜り抜けていた」
「その戦闘の一つに偶然、私は遭遇し、彼らに助勢を行い、その後この部屋に保護した」
「これは二日前の事」
「これらの判断は、私という個体のみではなく、思念体の意思も介在している」

ウニがほざく。

「……で、ここに厄介になってる間、長門さんが、えーと、宇宙人?で強力な力を持っていると教えてもらった」
「まあ、力のほうは戦いで助けてくれた時に見せてもらってたしな。すげえもんだったぜ」

インデックスさんは、

「ホットッペッパ ピップペッパッピ……ペッパッペッパ ピップペッポッピ……」

と目を空ろにして呟いている。
俺の渾身のダンシングが心に刻まれたようで何よりだ。
何故か俺は、彼女がこれを生涯、忘れないだろうと確信していた。

説明を聞いて、またもや疑問も湧いてくる。

長門の力なら、その超能力犯罪者の居場所もすぐに分かるんじゃないのか?
致命的な被害が出ないうちに、終わらせちまったほうがいい。

「それが、できない」

残念そうな調子で言う長門。ウニには長門の感情の、僅かな変化は分かるまい。

「思念体は今回の出来事を、人類の自律進化に関わると判断した」
「私に許された権限は観察と制限された情報操作のみ」
「現状では、貴方に及んでいる『対象の理性を極端に抑え、本能や欲望を優先し、行動させる』効果を消し去る事もできない」
「出来るのは、肉体的な怪我を修復する程度まで」
「……本当に、ごめんなさい」

何を謝る事がある、長門。
俺たちで、そのふざけた犯罪者を倒せばいいんだ。
大丈夫、たまには俺を頼ってくれよ。

長門はガラスの様な目で俺を見つめた。
「懸念事項はもう一つある」

長門はいつもの無表情に戻り言う。

「この地域に、『対象の理性を極端に抑え、本能や欲望を優先し、行動させる』事が出来る能力を持った者が存在し」
「意図は不明であるけれど、能力を使用して多くの人間――新川や貴方のような――を、どうしようもないボンクラにしている事は事実」

俺はともかく、新川さんの変貌は……恐らくその超能力者の仕業だろうな。

「問題は、涼宮ハルヒの存在」
「もし、その能力者が、涼宮ハルヒに力を行使したら」

そういえば、古泉が以前、言っていたな。

『涼宮さんは、ああ見えて常識人です。意外に思われるかもしれませんが、とても理性的な方なのですよ』

……
言ってたっけ? 多分、そんな感じの事だったはず。あれ? やっぱり言ってなかったか?
というか……古泉って誰だっけ? 古畑なら知ってるんだが。任三郎。今度DVDレンタルして通して観てみよう。
昔のドラマだから安いだろう。

思考の深みにはまりかけた俺の意識を、長門の言葉が現実へと引き戻した。

「涼宮ハルヒから理性が失われた場合。彼女の深層意識によって暴走した『力』が引き起こす現象により、この世界は終わる」

そうか。またしても、世界の危機ってやつか。
超能力犯罪者にしろハルヒにしろ、どっちも厄介な相手だなこりゃ。

「なあ。この二日間で長門さんから聞いたんだが、その涼宮ハルヒってのは、本当にそんな『力』を持ってるのか?」

まあ、ウニが信じられんのも無理は無い。俺でさえ、今だ半信半疑なところはあるからな。
だけど、その『力』のおかげで毎度毎度、とんでもない事が起きて、それに俺は巻き込まれているんだよ。

「どんな非常識なことでも思ったことを実現させる『力』……。本当だとしたら、まるで神様そのものなんだよ?」

そうですね、インデックスさん。
あいつはとても厄介で、最強最悪な神様だと言えます。本人が自覚してないだけに、更に始末に負えない。

だけど。
どんな大きな力を持っていようが、性格が歪んでようが。
ハルヒは、泣いたり笑ったり、怒ったり悲しんだりする一人の女の子なんだ。
世界がどうのなんて正直、俺の知った事じゃない。
一人の人間として、守ってやりたい。ただそれだけだ。

お、今の俺、格好良くね? 長門、携帯で動画撮っといてくれた?

「ばっちり撮れた。安心して」

俺はメイド服の裾を持ち上げて、にっこりと微笑んだ。
何故か二人は汚物を見るような目で俺を見ていた。
俺の脳裏に、古泉の笑顔が浮かんだ。
こうしちゃいられない!
早くあいつを助けに行かなくては!

この時の俺の中では、古泉は古畑任三郎の顔でしか思い出せなかったが、それはさしたる問題ではない。

あそこから逃げてきてから、既に一時間以上が過ぎている。
こんなことならホットペッパーなんて踊るんじゃなかった、と形だけ激しく後悔してみた。

俺の演技に胸を打たれたのか、ウニとインデックスさんは一緒に来てくれると言ってくれた。
長門は、今日は観たいTV番組があるだの何だのとごねていたが、
俺が白目をむいて宇宙語で頼み込むと、舌打ちしながらも同行してくれる事を約束してくれた。

真の意味での仲間となった俺たち四人は、雄叫びを上げながら部屋を飛び出し、非常階段を駆け下りた。

急げ! 急げ!

管理人室の前を通り過ぎた時、ウニが「人が死んでる!」などと叫んだが、俺は一喝した。

死んでる人間より、生きている人間を助けるほうが先だ!と。

ウニは納得したらしく、俺に続いてマンションの玄関から外に飛び出した。

と、そこに人影が現われた。
いや、俺たちが来る前にそこにいたようだ。

俺は反射的に、メイド服のベルトから拳銃を取り出した。

銃声。

朝比奈さんが、地面に崩れ落ちた。
 今回は対象を完全に目視できず、抜き撃ちだった為、額ではなく心臓付近に弾はめり込んだようだ。
倒れた朝比奈さんは、完全に白目をむいていて、口からは血の泡をこぼしている。
胸からは噴水のように血が吹き出していて、その小さな身体はがくがくと痙攣を起こしている。

「うわああああああああああああっ!」

インデックスさんの叫び声だ。うるせえ。苛々する。
銃口を向けたくなったが、万が一、修道服が血で汚れては適わんので我慢する。

ウニが叫ぶ。

「お前ぇ! なにやってんだよ! いきなり銃を撃つなんて……いくら知らない人でも、こんな女の子が敵なわけないだろうが!」

当たり前だ! この人は朝比奈さんという名でな! 長門から聞いてるかも知れんが、俺たちSOS団の仲間だよ!

「み、未来人だという……? いや、お前……自分の友達を撃っちまったんだぞ? 何も感じないのかよ!」

そんなわけあるか! 今まで一撃で殺せなかった事は無かったんだぞ! 畜生が! 今から止めを刺してやる!

「……敵の能力のせいで、理性が抑えられ、本能と欲望を抑えきれなくなっているとしても!」
「今のお前には、友情や愛情は欠片も残って無いっていうのかよ!」
「もし、お前の本能が、殺戮にしか興味が無いなんて言うのなら!」

ウニが左手で俺の襟首を掴む。

「まずはその幻想をぶっ」

拳銃のグリップで、ウニの顔面を殴打。
ウニは続きを言う事無く、膝を落とす。

言わせねえよ?

「と、とうま……!」

インデックスさんが怖がっている。
俺は安心させる為に笑顔を向けると、ウニの鳩尾に遠慮の無い蹴りを数回、入れた。

それよりも朝比奈さんだ。
まだこの人から、衣装を購入していない。何とかせねばならない。
長門が俺の腕を軽く叩き、言った。

「私は今晩、シーフードカレーにするかハンバーグカレーにするか迷っている。助言を」

おいおい、何を言ってるんだこの食欲宇宙人は。俺はしばらく考え、答えた。

シーフードカレーにハンバーグを乗っければいいんじゃないか?

「グッドアイデア。どちらも楽しめる」

ふと見ると、インデックスさんがまた、失禁していた。


それより長門。朝比奈さんの怪我を治してくれるか?
確か、情報操作は制限されているけど、負傷の治療くらいはできるはずだったよな。
すると長門は、ぽつりと呟いた。

「面倒くさい」

俺は左手で長門の髪を掴み、マンションの塀に顔面を叩きつけた。

お前、仲間の朝比奈さんが死にかけてるって時に、面倒くさいはないだろうが!
嫌な手ごたえがしたので、こちらに顔を向けさせてみると、長門の前歯が折れていた。

「ごめんなさい。治療する」

一瞬、長門は舌打ちしたように思えたが、それは多分俺の勘違いだろう。
折れた歯を吐き出しただけだ。

長門に朝比奈さんの治療を任せ、俺はウニを起こしにかかる。
インデックスさんが、ウニに寄り添っている。

「ち、近づかないで!」

どうしたんですか、インデックスさん?
早くウニを起こして古泉を助けに行かないと。

「貴方は……こんな酷い事をして、なんで笑っていられるの!?」

全く意味が分からない。
何なんだ、このシスターさんは。苛々する。古泉が危ないんだぞ? お前の前歯も折ってやろうか?
それを実行する前に、ウニが起き上がった。

「……大丈夫だ、インデックス」

「とうま!」

「こいつは……あの能力者のせいでこんな風になっちまったんだ。悪いのはキョンじゃない」

「でも!」

「この事件を解決して、ちゃんと元通りになった後……謝ってもらうさ」

「……うん。そう、だね」

何、この三文芝居。阿呆らしかったが、勝手に話がまとまったみたいなので良しとするか。
「ぎゃああああああああっ!」

回復した朝比奈さんの叫び声だ。
まあ、大体見当はついている。
恐らく長門の外見が異常だからだろう。
口からはぼたぼたと血の混じった涎を垂らしているし、左足と両手は骨折していて、ありえない方向に曲がっている。
流石に朝比奈さんには刺激が強すぎるか。

俺は長門に労いの言葉をかけ、朝比奈さんに話しかけた。

「あ、あのっ……長門さんが……それとわたし、キョンくんに撃たれて……」

だいぶ混乱しているようだ。
まずは長門の事ですが、心配いりませんよ。

「で、でも!」

……
心配いりませんよ?

「は、はいぃ!」

そして、すみません。貴女を拳銃で撃ってしまったのは俺です。
まさか朝比奈さんだとは思わなかったものですから。
怪我は長門が治してくれたはずです。どこか痛むところは? そうですか、大丈夫ですか。
本当に申しわけありません。謝って済む事ではありませんが……。

「いえ……わたしも、未来から指令が来て、何か大変な事が起こっているのは知っています」
「詳しい情報は、わたしに権限が無いので教えてもらえなかったんですけど」

そうですか。実はかなり厄介な事になっているんです。
ですが今は、詳しく説明している時間がありません。
古泉の命が危ないんです。

「えっ! て、敵ですか!?」

はい。俺たちは――そこの二人の協力者と一緒に、あいつを助けに行くところだったんです。
朝比奈さん。貴女を傷つけた俺が言うのもおこがましいですが、どうか協力して頂けないでしょうか?

朝比奈さんは一瞬の躊躇いもなく頷いた。

「もちろんです! わたしがどこまで役に立てるか分かりませんけど。SOS団の仲間を助けるのを躊躇ったりはしません!」

ああ、この人はなんと純粋なんだろう。
ついさっき、俺に殺されかけたのも忘れてるみたいだ。
天使の様な、という例えはこの人の為にあるようなものだ。
本当の天使にしてしまいたくなって、つい拳銃に手が伸びる。おいおい俺よ、自重しろ。

今はまだ、その時ではない。


「なあ、俺は思ったんだが」

なんだウニ?

「このメンバーって、目立ちすぎやしないか?」
「インデックスは外国人で修道服、長門さんは腕や足が変な風に曲がってて前歯が折れてる」
「朝比奈さんの服は血まみれだ。それに一番異常なのはキョ」

確かにな。このまま街を歩くには、ちとまずいかも知れん。
まあ、長門は自分で怪我を治してくれたら済むだろう。
朝比奈さんは……。

「それも私が何とかする」
「情報操作に制限をかけられてはいるが、衣服を変換させるくらいは何とかなる」

長門が例の高速詠唱を唱え終わると、長門自身の怪我は綺麗サッパリ治っていた。
そして朝比奈さんの服は、何故か団室で着ているいつものメイド服になっていた。

「すごいよ! まるで魔法使いみたいなんだよ!」

「ふぇえ、あのう長門さん、なんでメイド服なんですか?」

「……適当な衣服を思い出せなかった。一番、見覚えのあるその服にしただけ」

「いやいや、とても似合ってますよ朝比奈さん。上条さんとしては可愛らしい格好が見られて満足です」

「うぅー、とうま! でれでれしてる場合じゃないんだよ!」

「べ、別にでれでれなんかしてないぞ? ……というかキョン。お前のその服が一番目立つと思うんだが」

そんなに俺が羨ましいか?
しかし俺はこのメイド服を脱ぐ気は、一切無いぞ!
もしもお前が俺を別の服に着替えさせたい、あわよくば自分が着てみたいなんて思っているのなら!
まずは、その幻想をぶち殺す!

「……だから、それは俺の決めセリフでな? それに別に着たいなんて思っちゃいないしな?」

「とうま。心が折れたら負けなんだよ? 必ずとうまがそげぶを言えるチャンスはあるはずなんだよ!」

まあ、俺のこだわり以外にも理由はあるぞ。
街を歩くのに、変わった格好の奴が一人いれば変に思われるだろう。
しかし、メイド服が二人、修道服が一人、ウニが一匹なんて集団なら、どこかのコスプレ好きの集まりにしか見えん。
木を隠すには森の中って言うだろう?
俺の完璧な作戦に皆が納得した。
朝比奈さんは、理解しているのかどうか良く分からなかったが、この人に頭脳労働を求めるのも酷だろう。
俺たちは、古泉救出の為に『機関限定コスプレ集会』の開かれた場所であるビルへと出発した。

道中、色んな事を話した。
『ハルヒ』の新刊はいつ出るのか。『とある』の登場キャラの多さはやりすぎじゃないのか。
話題は尽きず、途中で喫茶店によって三時間ほどダベったりもした。
インデックスさんが、長門レベルの食欲を発揮し、二人が店の全メニューを制覇したり。
ウニが自分の不幸自慢を始めたので、俺も負けずに張り合い、形ばかりの友情が生まれたりもした。

そして、ついに。
俺が四時間前に逃げ出した、あのビルの近くまでやってきたのだ。

しかし、その周囲にはロープが張られ、警官が大勢、何やら作業をしていた。
俺は近くにいた、スーツ姿で、冴えない風貌の、髪の毛の薄い男に声をかけた。

何かあったんですか?

「え? うん、実はね、ここで殺人事件があったんだよ」

まさか! じゃあ古泉は、もう?

「被害者は若い主婦でね? 銃で眉間を撃ち抜かれていて、即死だったんだ。酷いよね?」

良かった。古泉じゃなかった。
俺は安堵すると、男に訪ねた。

詳しく知っているところをみると、貴方は警察の人ですか?

「うん! 僕は刑事なんだ。まあ、いけ好かない上司も来てるんだけどね」

「んー、いけ好かない上司というのは私の事かな、今泉君?」

「あ痛! お、おでこを叩かないで下さいよぅ! 古畑さん」

おいおい、本物の古畑任三郎の御登場だ。
DVD
を借りる手間が省けたな。


「どうも。部下が失礼をしたようで」

いえいえ。まだ失礼な事はされてませんよ、古畑さん。

「おや? 私を知ってる?」

そりゃあ有名ですから。あのSMAPの事件を解決された刑事さんですよね?
俺、スペシャル観てました。

「そうなの! いや、何だか恥ずかしいねぇ、ふふふ」
「……で、今泉君。彼らは何の御用なの?」

「えっ? 何だろう? 通りすがりの野次馬?みたいですよ」

「ふぅん。しかし変わった服装だねぇー。若い人の間では、こんなのが流行ってるの。へぇ」

「メイド服ってやつですね! うわー、可愛いなあ!」

「そっちの外国人の子は修道女ってやつかな?」

「アレですね、古畑さん。いわゆる、コスプレってやつですよ! いいなあ! 僕も着てみたいなあ!」

「止めときなさい、気持ち悪いから」

「ぼ、僕は似合うと思いますよ! 自信あります!」

「私の方が似合うよ。着ないけどね」

すげえ。
生で古畑が見れるなんて思わなかった。
それにしても今泉のおっさんのメイド姿は見たくない。
なんでそんなに自信あるんだよ?
馬鹿か? ああ、そうか、馬鹿なんだった。
古畑さんが俺に声をかけてきた。

「ねえ。君は男性なのに、何でメイドさんの格好してるの? 正直に言わせてもらうと、気持ち悪いよ」

え? 俺の美しさが分からないとは、古畑さん、センス無いんじゃありませんか?

俺はその場でくるりと一回転し、スカートをひるがえした。

「だよねぇ! 古畑さんは、こういうの分かんないから、すぐ否定したがるんだ。悪い癖だと思いますよ! ほんと!」

馬鹿の癖に見る目はあるようだ。
だけどお前は絶対着るなよ?

「そうかなぁ? ま、趣味は人それぞれだから、文句をつける気はないけどね」
「たださ……ちょっと気になる事があるんだよねぇ」
「ほら、数時間前にさ。警察に通報があったじゃない?」
「北口駅前で、メイド服を着た若い男が、小さな女の子を抱えて拳銃を発砲してたって、アレ」

……


「あっ、それ聞きましたよ! 何でも、すごい美人が突然現われて、そのメイド服の男と一緒に、煙のように消えてしまったって!」

「うん。ここで殺害されていた若い主婦さんね。銃で撃たれてたんだよね」
「そして身元確認の結果、小さな娘さんがいるそうなんだけど、その子、行方不明なんだって」

古畑さんは俺に向かって言う。

「ねえ、君。どう思う? 駅前にいたメイド服の男。主婦を殺害した犯人と、何か関連があるのかも知れない」
「似たような格好をしている君なら、もしかして何か知ってるんじゃないかな?」

まさか……古畑さん、俺の事を疑ってるんですか?
メイド服を着た男だってだけで?
ちょっと軽率過ぎやしませんか?
その理屈で言うと、この辺でメイド服を着ている男は、みんな殺人犯だって事になっちまう。
古畑さんは俺を、じっと見つめながら言った。

「えー、申し訳ないんですが、身体検査をさせて頂いても宜しいでしょうか?」

……
あくまで俺が犯人だと言うんですね?

「いえいえ! 本当に形式的な事です」
「しかしぃ、『駅前で発砲したメイド服の男』と『主婦殺人の犯人』。この二人が同一人物であるかもしれない」
「ならば、メイド服を着た方を、見逃すわけにはいきません」
「別に貴方を疑っているという訳ではありません」
「が、念のためということで、ご協力頂けないでしょうか? んふっ」

……
口調が、犯人を追い詰める時のような感じになってきましたね。
いいでしょう。
そんなに調べたければ、ご自由にどうぞ。

俺が言うと、ウニとインデックスさんに緊張が走る。
それを目で抑え、俺は促す。

さあ、どうぞ?

「どうもすみません。……今泉君、お願いね」

「は、はい古畑さん」

今泉のハゲは、俺の身体を丹念に調べ始めた。
森さんのメイド服を、こんなおっさんに触られるのは業腹だが我慢する。

「古畑さん! 何か、固い物があります!」

「! ちょっと見せて」

「これは! 古畑さん!」

そう。
それは俺の、いきり立った愚息ですよ!
確かに固く、太く、立派なモノである事は認めるとしましょう!
しかし!
これで殺人ができますか!?
『女殺し』と言われる事があるかもしれませんが、意味が違います!
それに俺は童貞ですよ!
あは、あは、あははははははははははははははははははははははははっ!






銃声。

古畑さんの額に、黒い穴が開いた。
敏腕刑事であった警部補、古畑任三郎は、何が起こったのかも知る事無く地面に転がり、息絶えた。

「……え? 古畑、さん……?」

今泉が、こいつも何が起こったのか分からない様子で呟く。

俺の両手には、何も握られていない。
そう。
今回、拳銃の引き金を引いたのは、無言で成り行きを見守っていた、長門有希だった。

この場所にくるまでの三時間の間。
俺は、主婦の死体が警察に発見されている事を予測していた。
その時、思った。
このまま俺が拳銃を所持していたら、逮捕は免れない。
だから、喫茶店に入った時に、長門に拳銃を渡しておいたのだ。

そして、さっき。
古畑さんと今泉が、俺の身体検査に夢中になり、愚息の発見に驚き、
他の人間の動向を観察する余裕が無くなったところを、長門は狙った。

俺の勝ちだ、古畑さん。
ははっ! もう聞こえてないか!

「ふっ古畑さぁぁぁぁん!」

今泉が叫ぶ。
五月蝿い奴だ。
長門、こいつも始末しちまえ!

「了解」

長門は拳銃を今泉に向けて引き金を引く。

しかし、弾丸は発射されなかった。

しまった! 弾切れだ!

新川さんから奪った、この拳銃は、標準的なリボルバーだ。
弾数は六発。
まず、新川さんが、俺のカチューシャに一発。
そして俺が主婦に一発。
駅前で、空に一発。
長門の部屋で、ウニに一発。
マンションの前で、朝比奈さんに一発。

そして、長門が古畑さんに一発。

弾の無くなった拳銃は、今やただの鉄くずに過ぎない。
「ひいいいいいいいいぃぃぃぃっ!」

涙だか鼻水だかを撒き散らしながら、今泉がわめく。
騒ぐな、馬鹿め。
こうなったら素手ででも黙らせないとならないが、現在の俺は愚息がいきり立っていた。
腰が抜け、立ち上がれなくなっているというのに、器用に動き回る今泉を仕留めるのは、難しい。

おい、ウニ。お前の出番だ!

「え? お、俺?」

そうだ! よく考えろ!
今、ここで俺たちが警察に捕まったら、誰が古泉を助ける?
学園都市からやってきた、糞ったれの超能力犯罪者を、誰が止める?
大局を見ろ! 大事の前の小事だ!

「お、れは……」

やるんだ! お前の必殺の、アレをぶちかましてやれ!

俺の言葉に、ウニの身体に精気が戻った。

「そう……か。そうだよな」

ウニは今泉に歩み寄る。

「今泉さん。あんた、目の前で上司が、古畑さんが殺されたんだろ?」
「自分も殺されるかもしれない。その事実に恐怖するのは仕方が無い」
「だけどな」
「あんたは刑事だろ! 同僚が目の前で殺されたんだぞ!」
「悔しくないのかよ! それでも法を守る警察なのかよ!」
「あんたがそうやって、自分の任務から目を背け、古畑さんの仇も討てない、その勇気もない」
「そんな寝言を言うのなら!」
「まずは、その幻想をぶっ殺す!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

ウニは地面を蹴り、今泉に渾身のストレートパンチをぶち当てた。
今泉の身体は、優に二十メートルは吹っ飛んで、奴の意識を断ち切った。

「……やった、やったんだ俺は」

ウニは涙を流していた。

「インデックス……見ていてくれたか? 俺は、そげぶをやってのけたぜ?」

インデックスさんも泣いていた。

「……かっこよかったよ、とうま」

俺たちは泣いた。ウニの、上条当麻の、アイデンティティが復活した事に対する、歓喜の涙だった。
よし! 踊ろう!

俺は提案した。
皆、異存は無かった。

ホットッペッパ ピップペッパッピ♪
ペッパッペッパ ピップペッポッピ♪
ホットペッパ ピップペッパッピ♪
ペッパッペッパ ピップペッポ♪
ヘイ!
ホットッペッパ ピップペッパッピ♪
ペッパッペッパ ピップペッポッピ♪
ホットペッパ ピップペッパッピ♪
ペッパッペッパ ピップペッポ♪
ホゥ!

前回と違い、今度はウニも、インデックスも、長門も踊った。
多分、心が通じ合ったっていうのは、こういう事なんだろう。
楽しいな。楽しいな。あは、あは、あはは!

ただ一人、朝比奈さんだけは、まるで異常なモノを見る目をして微動だにしなかった。
寂しい事だけど、未来人の朝比奈さんには、今はまだ理解できないのかも知れない。

その思いを、いつかは分かってくれると信じて、俺たちは朝比奈さんを中心に輪になり、踊り狂った。

ホットッペッパ ピップペッパッピ♪
ペッパッペッパ ピップペッポッピ♪
ホットペッパ ピップペッパッピ♪
ペッパッペッパ ピップペッポ♪
ヘイ!
ホットッペッパ ピップペッパッピ♪
ペッパッペッパ ピップペッポッピ♪
ホットペッパ ピップペッパッピ♪
ペッパッペッパ ピップペッポ♪
ホゥ!

ほんの少しは伝わったのか、朝比奈さんはまるで子供のように泣き喚いた。
俺たちは、それで充分だった。

しかし、幸せな時間は突然、無残にも終わる事になった。

俺たちの周囲を、古畑さんの部下であろう警官たち、総勢二十名ほどか、取り囲んでいたのだ。
まずい事になった。こちらにはもう、武器は無い。
警官たちは俺たちに銃を向けながら投降を呼びかけてくる。
この税金泥棒め! 善良な一般市民を相手に、なんて態度だ!
正論を吐いてみても、この状況を何とか打開しないとならない事は変わらない。

おい。ウニ条、お前こいつら全員殴り倒して来いよ。

「無茶言うな! チンピラ相手じゃあるまいし、警官無双なんて出来るわけないだろ!」

ちっ、役立たずめ。
インデックスさん、確か魔術が使えるんですよね? 何とかなりませんか。

「……ごめんなさい。わたしにはそんな魔術は無理なんだよ」

まあ、修道服に免じて許しましょう。
長門よ。お得意の情報操作で、警官どもの頭を破裂させたりできないか?

「無理。今の私の力は思念体によって制限されている。攻撃的な情報操作は、できない」

肝心な時に役に立たないなお前。まあ後で俺に思念体の恥骨を砕かせろよ。
しかし……この状況、もうどうすることも出来ないのか!

「あ、あのキョンくん」

ん? 何ですか朝比奈さん?

「わたしには何も言わないんですか?」

はっはっはっ。朝比奈さんがどうしようもない役立たずなのは常識ですよ。
大人しく泣いたり騒いだり慌てたりしていてください。

何故か朝比奈さんはとても落ち込んだ様子で、地面にのの字を書き始めた。
何だこの人?

銃声が数発。

警官が威嚇射撃をしたらしい。
こいつはヘビーだぜ。

「重力は関係ない」

ウニ条、お前バック・トゥ・ザ・フューチャー好きなのか?
俺もだよ。気が合うな。あれは名作だよな、うん。

また銃声。
心なしか、さっきより警官たちが殺気だってきている。

固唾を呑みながら、バック・トゥ・ザ・フューチャーについて語り合おうとしたその時。

轟音と共に、視界が閃光に包まれた。
とりあえず、「目が~! 目が~!」と言ってみる。


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最終更新:2010年09月23日 00:22
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