とある暗部の心理掌握 > 9


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第七学区のとある病院 とある病室


その部屋には、1人の少女が入院していた。

常盤台の最大派閥を率いる女王サマ。精神系では史上最強とまで謳われた“元”レベル5。

そう。彼女は、その『心理掌握』という能力を既に失っていた。

体晶と常盤台ネットワークを使った過度の負荷。

さらに垣根の『自分だけの現実』を無理やり読み取って同化したことにより、

彼女自身の『自分だけの現実』は回復不能なダメージを負っていたのだ。

あの日の夜エイワスが告げたとおり、彼女はすでに能力者としての価値を失ったことになる。

それでも、彼女の顔に後悔や悲しさの色は全くなかった。
「入るぞ」


その彼女の部屋に、わずか数日で自分の体を取り戻した垣根が入ってきた。


「調子はどうだ?」

「それはわたしのセリフなんだけど。帝督の方は動いて平気なの?」

「問題ねえな。色々新しくなって、むしろ調子が良いぐらいだ」

「そう。…本当に良かった」


彼女はそう言って、心の底から嬉しそうに笑った。


「実はな、1つ報告があるんだ」

「?」

「…あの第1位と幻想殺し、おまけに浜面が、『エリザリーナ独立国同盟』へ向かった」

「エリザリーナ独立国同盟って、確かロシアの…」

「そうだ。しかも第1位は、あの『エイワス』のアドバイスを受けた結果そうしたらしい」

「そこに何かあるのね?」

「多分な。面白いだろ?…アレイスターの計画にとって、重要な人物がそこへ集合している」
楽しそうに語る垣根に、彼女は恐る恐る問いただした。


「…置いていかないわよね?」

「…」

「あなたはそこへ行く気なんでしょ?」

「…」

「もう二度と、私を置いて行くなんて許さない」

「そうだな、その通りだ」


垣根が彼女を抱きしめ、耳元で囁いた。


「悪かったな、お前を置いてったりして」

「あれは確かに俺のミスだ」

「考えてみりゃ、この俺が惚れた女ぐらい守れないはずはなかったんだ」

「…帝督…」

「一緒に来い。お前の能力が無くなった程度じゃ、ハンデにもなりゃしねえ」

「…それに、“優秀”な護衛を雇ったらしいじゃねえか」

「え」


言葉と同時に、垣根の翼が病室のドアをこじ開けた。
…そして、絹旗、フレンダ、心理定規の3人が転がるように中に入ってきた。


「こ、これは超違うんです!全てはフレンダの責任です!」

「えー!?結局、絹旗が一番ノリノリだった訳よ!?」

「…あ、その、…垣根、元気?」


気まずそうに弁解する3人を見て、彼女は思わず顔が真っ赤になった。


「い、いつの間に…」

「俺の後をこっそりつけていやがったからな。最初からじゃねーの?」

「それが分かってて…!?」


絶句する彼女を見て、垣根は嬉しそうに笑みを浮かべる。


「とりあえず、どうせお前らも一緒に来るんだろ?」


最初に反応したのは心理定規だった。
「当然でしょ!…私が一番垣根をサポートできるしね」

「…あなたは本気でいらないんだけど?」

「垣根と2人で外国旅行だなんて、“絶対許さない”」

「怖!…いいわ、あなたに色々見せつけてあげる」

「ふん、無能力者同然の女王サマに、負けると思う?」


睨みあう2人をよそに、絹旗が溜息をついた。


「超お子様ですね。まあ、それでも雇用主ですから、超護衛ぐらいはしますけどね」

「結局、このフレンダ様が能力を使わなくても戦える武器を教えてあげる訳よ」


5人分の航空機チケットを予約しながら、垣根は空を見上げた。


(…退屈しねえな、こいつらは)


アレイスターの計算外。決して起こるはずの無い生き残り(キセキ)。

イレギュラーな5人組が、この惑星の争乱の中心、世界で最も苛烈な戦場へ踏み出した。



「…帝督」

「ん?」

「…もう一回抱きしめて」

「仰せのままに、女王サマ?」



終わり

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