とあるミサカと天草式十字凄教 > 07


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9月8日(午後11時45分)、パラレルスウィーツパーク


建宮は、戦いの末傷つきながらも逃走したステイルを追いかけていた。

彼は一緒に居た純白のシスターが大切らしく、自分を盾にしてでも守ろうとしているのが見て取れる。


(そういう戦い方をするヤツは嫌いじゃないが…ローマ正教に味方するなら斬るしかない)


だが、ここが戦場だと理解している建宮は、その弱点を遠慮なく狙って攻撃していた。


(ふん。思った通り、相手が常に移動するよう仕向ければ、ルーン魔術なぞ怖くないのよな)

(ただ、このままだとタイムリミットが来てしまう)

(まったく香焼のやつめ、保護していたオルソラを見失っちまうとは情けないのよな…)
建宮は急いで決着をつけるため、ステイルが逃げ込んだ店舗の壁ごと木っ端微塵に打ち砕いた。


「くっく。なぁにをやっとんのよイギリス清教の神父様」

「おら、英国紳士の誇りはどこ行った? この建宮斎字に見せてみろ」

「いかんよなぁ、そんなんじゃ女の1人も守れんぞ」


挑発に答える事も無く、必死にステイルが立ち上がろうとする。

その横には、何故かオルソラと魔術師ではなさそうな少年――そして意識の無いフルチューニングがいた。
(……)

(…レイたちをこいつがやったのか…?)

(随分と真っ直ぐな目をしているじゃないの…こういうのは殺したくないんだがなぁ)

(だが、ここまで体を張ったレイたちの為にも、オルソラを渡す訳にはいかんのよ)


そして、建宮は目の前の少年と幾つか言葉を交わした。


――彼が魔術の素人で、ほとんど丸腰であると言う事

――浦上やレイを倒したのが彼で間違いないという事

――彼が、他の人のために行動できる人間だと言う事


そんな彼が、どうしてローマ正教にオルソラを引き渡そうとしているのかは分からないが…


「けどまぁ、やるってんなら仕方がねえ。今日がお前さんの命日だ」


傷ついた仲間の為、オルソラを救う為、建宮は目の前の少年に斬りかかった。
奇妙な静寂の中、フルチューニングは朦朧としながら意識を取り戻した。


(…静か…)

(戦闘が終わっている…?)

(天草式は、オルソラさんは?)


状況が分からず戸惑うだけのフルチューニングに、建宮の切り裂くような鋭い声が届いた。


「断言できるなら根拠を言え。できないならば自分の疑念に立ち向かえ!」

「冷静になれば誰でも分かるだろうよ、どちらが本当の敵なのかぐらい!」


霞む目でよく見ると、建宮は体のあちこちにルーンのカードを張られ、拘束されていた。


(まさか、あの建宮さんが負けたのですか!?)

(あの酷い少年が、建宮さんに勝った…!?)

(でもそれなら、今の言葉はどういう意味でしょうか…)

ぼんやりとする頭で2人の会話を聞く限り、どうやらあの少年もオルソラを助けに来たらしい。

天草式に誘拐されたオルソラを、仲間のローマ正教の元へ返すために戦ったという事だ。


(つまり、この馬鹿(現在の友好度:最悪)はアニェーゼに騙されていた、と)

(…えー)


それでもなお、天草式を信じられない少年に、建宮は自分たち天草式の行動理由を語り出す。

それは、フルチューニングも聞いていなかった思い出。

天草式十字凄教の女教皇が、今は共にいない理由そのものだった。
他人の為にどこまでも優しさを示した女教皇は、その優しさゆえに仲間の死に耐えられなかった。

その仲間の死を全て自分の責任だと思った女教皇は、自らの居場所を捨てて旅立ってしまった。

だが、それに苦しんだのは女教皇だけではない。

他ならぬ天草式十字凄教の仲間こそが、その決断に苦しんだ。

自分たちの未熟さ、弱さ。それこそが女教皇を苦しめた、と自分たちを責めた。

故に彼らは決意した。

誰も傷つかず、誰も悲しまず、誰かの笑顔の為に戦い、その幸せを守るために迷わず全員が立ちあがれる居場所。

自分たちの女教皇が戻るに相応しい、そんな居場所を必ず取り戻して見せると。


(そうだったのですか…だから、レイを助けたときに…)

――だから、我らも救われぬ者に救いの手を差し伸べる

――未熟さというのは辛いのよな

(あの時の顔は、悔しさだったのですか)

(そんな思いをしても、諦めることなくレイやオルソラを救おうとしていたのですね)

(ならば、レイも寝ている訳にはいきません…!)
「た、建宮さん…」

「!」


今まで気絶していた少女の突然の呼びかけに、建宮だけでなく上条も驚いた。


「オルソラさんは…今どこですか?」

「すまないなぁレイ。俺たち以外の天草式メンバーと一緒に、ローマ正教の連中に連れて行かれた」

「!…そうですか、なら助けに行かなくてはいけませんね」


そう言って立ちあがるフルチューニングを見て、上条は愕然とした。


「じゃあやっぱり、天草式はオルソラを助けるために行動してたのかよ…」

「……」


上条が事実を知って後悔するのと同時、静かすぎるほど静かだった夜に絶叫が響き渡った。

そしてそれは、オルソラの出したものに違いなかった。
(どんな事をされれば、こんな声を上げるのですか…!)

(早く、助けに行かないと本当に危ない気がします)

(…今動けるのは、何故か拘束されていなかったレイだけです)

(魔術に詳しくないレイでは、建宮さんに張られたルーンを解除できませんし…)

(!)

(どうやら、悠長に待っている時間もなさそうです!)


自分の発した電磁波から、敵の修道女たちが近づいてくるのを察知したフルチューニングは、

痛む体を無視して1人で走り去って行った。

 

 

9月9日(午前0時30分)、オルソラ教会


フルチューニングは、走りながら電磁性ソナーを発動。

こんな時間に200人以上の人間がいる、この教会が怪しいと判断して踏み込むことにした。

だが、フルチューニングはその扉に『アエギディウスの加護』と呼ばれる結界が用意されているのを知らない。

躊躇せずその扉に触れたフルチューニングに激痛が襲いかかり、彼女は叫び声をあげて倒れた。


「ああああああァァァ!!!」

「おやおや、確か天草式のお仲間じゃないですか」

「あ、ニェー、ぜ…」

「良いザマですねー、こんな結界に引っかかるなんて。流石は聖典も読めない獣、這い蹲る姿がお似合いですよ」

「…オル、ソラさん…は…?」

「ははぁ。罪人同士気が合うんですかね?…良いですよ、見せてあげましょう」


アニェーゼはそう言うと、部下の修道女に命令してフルチューニングを中へ引きずり込んだ。
その闇の中、教会の大聖堂でフルチューニングが見たものは――狂気そのものだった。

数百人の修道女がオルソラ1人を殴り、蹴り、踏みつけ、笑い、蔑んでいた。

そしてそんな状況で尚、オルソラはフルチューニングを見て弱弱しく謝罪した。


「レイさん…本当に…申し訳…ありません…」

「オルソラさん…!」

「私が…天草式の…方々を…あなたを…信じていれば…こんな事には…」


その姿を見て、フルチューニングは建宮に言われた事を思い出した。


「…建宮さんが…言っていました」

「私たちの…やり方は…言葉では何も…伝わらない、と」

「…実際に…助け出すという…行動で示すしかない、と」

「レイも…天草式の、一員。…待っていて…ください…信じさせて…見せます」

「かつて…レイを実際に…救ってくれた、みんなと同じように!」


そして、互いにボロボロの体でありながら、フルチューニングとオルソラは笑い合った。

そんな2人をつまらなさそうに眺めていたアニェーゼが、冷酷に指示を出す。


「オルソラはともかく、こっちの女は生かす理由がありません」

「ただ…めんどいですが、この大聖堂を異教徒の血で汚す訳にはいきませんね」

「奥の倉庫に連れてって、始末しておいてください」

「はい、分かりました」


何のためらいも無く頷いた修道女たちが、フルチューニングを奥の倉庫へ乱暴に連れて行った。

そして倉庫に入った途端、フルチューニングはゴミのように投げ飛ばされる。

続いて中に5人の修道女が入ってくる。最後の1人が、しっかりと扉を閉め鍵まで掛けた。
「……」

「……」


もはや侮蔑の言葉すら投げかけることなく、修道女たちは無力なフルチューニングを踏みつけた。

力も入らず、碌に抵抗できないフルチューニングは、ひたすら踏まれ続ける。


「…ッ」

「……」


徐々に体が冷たくなり、フルチューニングが死を意識したその時。

1人の修道女が、フルチューニングの頭を思い切り踏みつけた。

それが、異変の始まり(キッカケ)であった。

目から完全に光を無くしたフルチューニングから、突然ハッキリと言葉が紡ぎだされた。


「――魔術変換用チップの重大な損傷を確認」

「――自己修復完了まで残りおよそ400秒」

「――魔術使用モードを強制的に終了します」

「――通常モードでネットワーク再接続開始」

「――成功。当個体の現在状況を送信します」

「――危険度A判定。解決方法を受信します」

「――敵対勢力の無力化を最優先項目に設定」

「――有効な解決法:酸素の電気分解と判断」

「――検体番号10032号のデータを受信」


今までが嘘のようにしっかりとフルチューニングは立ちあがった。

そして、彼女の周囲で電気の火花がバチバチと音を立て始める。

だが、修道女たちはそれでも慌てずに構えていた。


「感電攻撃は無意味です」

「すでにシスター・ルチアから、あなたの攻撃方法は電流だと報告を受けています」

「ですから、私たちは電撃を無効化する魔術を構築しています」

「今さら抵抗したところで、あなたに勝ち目など…」


「いいえ。ミサカの勝ちです、とミサカは断言します」


御坂妹が同じ方法を使った時と異なり、ここは狭い密室空間。

しかも今回の使い手は強力なレベル4の発電能力者。

その効果は劇的に現れた。
「…がはっ」

「ごえぇ…」


酸素が分解され、有毒なオゾンが大量に発生。

警戒をしていなかった修道女たちは、それを吸い込んで昏倒した。

フルチューニングは呼吸を止め、その様子をじっと冷たく見ている。

そして全員の無力化を確認すると、倉庫の扉を開けて大聖堂へ向かった。


「…オルソラの救出にいかなくては、とミサカは自分を鼓舞します」



その目に、今まで確かにあった美しい光を宿さないままで。

 

 

 

 

9月9日(午前1時00分)、オルソラ教会


ボロボロになり、死にかけていたオルソラは、それでも笑っていた。

自分を引き渡した馬鹿どもを恨みながら死ね、とアニェーゼに言われているのに。

なぜなら、彼女は幸せだったから。

天草式やあの少年は、見ず知らずの自分を助けようとしてくれた。

そんな理由も、義務も無かったにも関わらず。

それ以上に素敵な贈り物など、この世界のどこにもないではないか。

だから。

オルソラは朦朧としながらも、アニェーゼの見当違いの言葉に言い返す。
「…こんなにも、素晴らしい贈り物をくださった……方々に…」

「私は…一体、何を恨めば…よいと言うので…ございますか?」


その言葉に答えるように、2億ボルトの電流が周りの修道女たちに襲いかかった。

無警戒のまま強力なエネルギーを受けた修道女が、4,5人ほどまとめて吹っ飛んでいく。


「……」

「はっ、そういう事ですか」


ゆっくりと近づくフルチューニングの姿を見て、アニェーゼは何かを確信したかのように笑った。


「こちらに解析できない“謎の魔術”の正体は…超能力っつー事ですね」
「ですが、そいつは妙な話ですね。能力者に魔術は使えない、って言うのは常識でしょう」

「一体どんな方法で超能力と魔術を両立してるのか、是非とも教えて欲しいもんです」

「それに、何だって学園都市の人間が天草式と一緒に行動しちまってたんですか?」

「……」


フルチューニングは、侮蔑するような態度のアニェーゼに言葉で返答しなかった。

言葉の代わりに、隠し持っていた最後の鋼糸を展開する。それも、アニェーゼを縛るのではなく切り刻むために。


「まだそんだけの事が出来る力があったとは驚きです。…が、無駄ってもんですよ」


アニェーゼは欠片も動じない。

傍に控えていた沢山の修道女たちが、それぞれの魔術で鋼糸を迎撃し、バラバラにしてしまった。
「大体ですね、『アエギディウスの加護』の直撃を食らった上に、体中怪我しちまってるじゃないですか」

「そんな動く死体と変わらねえ様な能力者1人、何も出来やしませんよ」

「……」

「大方、ご自慢の能力とやらで無理やり体を動かしてるんでしょうが、無駄なあがきってもんです」

「…それでもミサカは諦めません、とミサカは端的に告げます」

「…? すでに口調もいかれちまいましたか?」

「いかれてるのはテメーの頭だボケナス、とミサカはあなたをバカにします」


フルチューニングの安い挑発に、アニェーゼは溜息をついた。
「…もう良いですね。ほら、皆さんさっさとコレを始末してください」

「倉庫は使えねえし…しょうがないから、ここでパパッと終わりにしちまいましょう」

「ああ、なるべく血で汚さねえようにに頼みます、掃除が面倒ですからね」




「もう…止めてください…」

「!」


今にも戦闘が始まろうとしたその時、オルソラのか細い声が全員の注意を引いた。


「…レイさん…もう、私は…十分なのです…」

「何を…言っているのですか、とミサカは…!」
「“レイさん”。…あなたたちが、こんな…私の為に…立ちあがってくれた…それで十分です…」

「最期に…あなたたちのような…素敵な方々と…出会えた…それで…満足です…」

「私には…これ以上の…幸せなど…とても…抱えきれませんから…止めてください…」


そう言って美しく微笑むオルソラに、フルチューニングは何も言い返せない。

それでも前に進もうとしたフルチューニングの頭の中で、再び異変が起こる。


「――魔術変換用チップの完全修復を確認」

「――魔術使用モードの再起動を行います」

「――ネットワークの通常接続を強制終了」


400秒経過したことで、チップは修復を完了し、再び魔術を使えるようになる。

だがそれは、もうミサカネットワークへ普通に接続できないという意味でもあった。

フルチューニングは“レイ”を取り戻すと同時、能力の優れた応用法や戦闘知識を参照できなくなる。
(一体、レイは体に何をされたのですか…?)

(どうして、レイは妹達と接続できなくなるのですか…!)


フルチューニングが愕然とする中、わずかに繋がっている妹達が、最も親しく知る人物の接近を感知した。


(この気配は…あの時の少年…?)


通常の接続が切れるその瞬間、フルチューニングに妹達から次々に寄せられる声(キオク)が届いた。


『俺は、お前を助けるためにここに立ってんだよ!』

『――お前は、世界でたった一人しかいねえだろうが!』

『――今からお前を助けてやる』


それは紛れもなく、あの日実験を止めたヒーローの話だった。


(そうでしたか…あの時役立たずだったレイの代わりに、妹達を救ってくれたのが…)

(ならば、今こうして“上条当麻”が来ている理由もきっと…)
事情を知ったフルチューニングは、こんな状況なのに思わず笑いたくなる。

しかも、トドメとばかりに最後に届いたのは、元気いっぱいの末っ子からの応援メッセージだった。


『あなたがアマクサシキから教わったように、ミサカも彼から教えてもらったの』

『ミサカ単体の命にも価値があり、その死に涙を流す人がいるんだっていうことを』

『だから“ミサカ”は、これ以上1人だって死んでやる事はできない』

『あなたはレイだけど、あなたもミサカだから、絶対に死ぬ事は許さない!ってミサカはミサカは激励してみる!』


「ふふ…妹の頼みぐらい、しっかり聞かないといけませんね…」


突然笑い出したフルチューニングに、アニェーゼが怪訝な顔で質問する。
「何がおかしくて、笑ってるんですか?」

「…オルソラさん」

「え…?」


完全にアニェーゼを無視して、フルチューニングは誇らしげに宣言した。


「あなたの、そしてレイの幸福は――まだ止まらないみたいですよ?」


次の瞬間。先ほどレイを痛めつけた『アエギディウスの加護』が、完全に消し飛ばされた。

考えられない事態に動揺するアニェーゼ部隊。

急いで敵を探そうとするが、それよりも早く“敵”が中へ踏み込んできた。

250人の相手。恐ろしい魔術を使う修道女部隊のただ中に、たった1人で。

かつて学園都市最強のレベル5と戦って、妹達を救い出した無能力者(ヒーロー)。

――“戦う理由”ではなく、“戦い続けたい理由”で行動できる素人。上条当麻その人が。

 

「ったく、本当に馬鹿も馬鹿、大馬鹿ですね」

「ほら、これが最後のチャンスです」

「自分が何をすべきかぐらい分かっちまってますよね?」


その上条に、アニェーゼは挑発するように近づいて行く。

250人を相手に戦えるはずが無い。だから何も出来ないと確信して。

胸の悪くなるようなその態度に、フルチューニングの怒りが燃える。


(いくら上条当麻とはいえ、1人で良い格好はさせません…借りは返さなくてはいけませんから)


次に上条がとる行動を“本当に確信した”フルチューニングが、アニェーゼに電撃を放つ。

鬱陶しそうにそれを払いのけるアニェーゼが、次に見たものは――


「何をすべきか、ね」

「確かにこれが最後のチャンスだ。良く分かってるよ」


電撃に反応して、碌にガードも取れない自分の顔を、迷わず右手で殴るド素人の姿だった。
「き、サマら。何の真似だ、これはァ―――!」

アニェーゼの怒りに、フルチューニングと上条は2人そろって答えた。


「「助けるに決まってんだろうが(るじゃないですか)!!」」

「おもしろいですね…この状況で、たかが2人に何が出来るっていうんですか!」


250人の敵が、たった2人相手に武器を構えたその刹那。


「まったく、勝手に始めないで欲しいね」


爆炎を司るルーンの魔術師、ステイルがその象徴である炎剣と共に現れた。

ステイルの話を聞く限り、彼ら魔術師がこの問題を決着させる予定だったらしい。

にも関わらず、もう関係の無くなった上条が1人でここに来てしまった、ということだ。
(やっぱり、上条当麻は妹達を助けた時と変わらないのですね)

(誰かの為に、命懸けで戦う事の出来る…天草式のみんなのような人です)

(もっともそのせいで、誤解を受けたレイや建宮さんは酷い目に遭いましたが…)

(…ん?)

(…建宮さん…魔術師が決着…もしかして…?)


フルチューニングがある可能性に気付いた時、アニェーゼが苦々しく吐き捨てた。


「2人が3人に増えたところで、何が…!?」


その言葉に答えたのは、フルチューニングが一番声を聞きたい人だった。


「3人で済むとか思ってんじゃねえのよ」

「建宮さん!」


横合いの壁を吹き飛ばし、捕まっていたはずの天草式メンバー全員と一緒に、教皇代理の建宮が姿を見せる。
「待たせてすまんかった、レイ」

「諫早さん」

「ごめんね、レイちゃん」

「…五和さん」

「後はまかせといていいすよ」

「…香焼」

「いやいや。…レイ、お前さんに戦う理由はまだあるか?」


涙で滲みそうになる視界を、ゴシゴシとこすって必死に見つめる。

涙で震えそうになる返事を、出来る限りシャッキリしようとする。

「…はい、教皇代理」


「っ…どいつもこいつも!!」

激昂したアニェーゼがただ一言、殺せ、と250人の部下に命令した。

それに従い飛びかかってくる修道女たち。


「さあさあ、我らがやるべき事はただ一つよな?」


対し、正反対の指示を受けた天草式十字凄教が、果敢に声を上げて迎撃する。


「救われぬ者に救いの手を!!」

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