続・上条「あの日、もしかしてお前は、俺以上に」3


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上条「うっぷ、飲み過ぎた……」

 

大覇星祭の一日目、ガンガンする頭と、こみ上げえてくる吐き気に耐えながら上条はマンションの自室の扉を開ける

上条「ただいまー、あっ」

静寂
上条の背後から差し込む廊下の明かりと、幾つかの電子製品の電子表示だけに照らされた闇。

上条「……つい言っちまった」

大覇星祭の最初の三日間、警備員の勤務が詰まりかつ、担当クラスの参加種目が集中していたため、まことを実家の両親のもとに預けていた。しかし、後半は一緒に大覇星祭を楽しむつもりだ

だが、そのことを女上司二人に知られてしまったのが運の尽きだった。「じゃあ、今日は遅くなっても平気ですねー」「じゃんじゃん呑むじゃん」

垣根は逃げ、のこされたのは上条と、絶対に呑ませてはいけない(と上条が思ってる)御坂妹だけであった。だから、一人で犠牲になったのだ

上条「……もうしばらく酒はいいや」

明かりをつけ、ネクタイをゆるめながらソファに腰掛ける

上条「なんか、広いな……」

一人で暮らしてきた時には、そう感じる事はなかったのに

上条「よってんな、俺」

立ち上がり、夜風に当たろうとベランダに出る
上条「あー良い風」

何となく夜景に目を落とす。
広がるのは見慣れた街並み

『よし、アンタここにしなさいよ!』

上条「やばいな、酒のせいで弱気になってんのか」

見慣れているからこそ、思い出してしまうこともある

ごく当り前で、だからこそ大切だったあの日を……

店員『こちらは駅から五分で……』

美琴『うーん。でも間取りがねぇ』

上条『おい』

店員『でしたらこちらはいかがでしょう』

美琴『わるくないわね。でもエレベーターなしの四階かぁ』

上条『だから、おい』

店員『では、こちらは……』
美琴『そっちはどうなの?』

上条『だから! なんで上条さんの部屋探しで美琴さんが仕切ってんの!』

美琴『うるさいわね。アンタ一人じゃ失敗しそうだから手伝ってんじゃないの』

上条『それはどうも! でも少しは俺の意見も聞いて!』

美琴『だいたい、アンタが一人選ぶと、またなんかあって不幸だーとか言い出すんでしょ』

上条『ぐぅ』

美琴『たび重なる建物への負担で、急速な老朽化って何があったのよ。今住んでるとこ』

上条『ま、魔術師が……』

美琴『それに私が手伝えば、何かあった時に私のせいにもできるでしょ』

上条『へ?』

美琴『さ、次のは……』

上条『?』

美琴『ん、この住所で、この間取りだと……。よし! この部屋良いですね。ちょっと現物みせてもらってもいいですか?』

店員『かしこまりました』

上条『? 美琴?』

美琴『ほら! ぼっーとしてないで! さっさと移動するわよ』

上条『お、おう』

店員『ではこちらになります』

美琴『へえ、良い感じですね』

上条『一人で暮らすには広くねえか』

店員『彼女さんが遊びに来ても大丈夫な広さです』

上条『いえ、そんなこと聞いてませんから』

美琴『では、確認……』

美琴が窓を開け、ベランダに出る

上条『おい、美琴』

外に出た美琴に上条が声を掛ける

 


『よし、アンタここにしなさいよ!』

急かされながら、上条もベランダに出る

上条『どうしたんだよ』

美琴『ほら、見てあの公園……』

上条『あれは……』

美琴『やっぱりここからだとよく見えるでしょ』

上条『お前が蹴りまくってた自販機が』

美琴『そうそう……。って違う!! いや、違わないけどそうじゃなくて!』

美琴は上条を見つめながら、そっと微笑んで

美琴『ベランダに出れば、いつでも思い出せるでしょ』

 

 

『アンタが最初に私に出会ったとき』

上条『……いや、もっと前なんだろ、ホントは』

美琴『そっちは私が思い出すからいいの。それに仕方ないわよ』

上条『まぁ記憶喪失だからな……』

美琴『だから、時々思い出してよ。アンタの中で私と出会った日をさ』

上条『お前の顔見りゃすぐに思い出すよ』

美琴『……うん。そうだね』

上条「アイツがあっちに行くって聞く、少し前の話だったかな……」

まことのために今度こそ強くなる
そう決めたのに

上条「ホントに、今日は呑まされたんだな。全然酔いがさめねえ」

思い出すだけで

上条「やべ、吐きそう」

胸が苦しくなる

でも

ぱん! 両手で勢いよくほおを張る

上条「よし! 酔いさめた」

思い出を捨てる事はしない

約束したから

上条「まことに心配かけちまう」

話すと

大切だったアイツとの思い出を

今、一番大切なあの子に

 

ピンポーン

 

上条「何だ? こんな時間に」

一方「バカですかァ。なンで酔っ払いに酒持ってくンですかァ」

垣根「二日酔いには迎え酒ってんだろ。コーヒーしか持ってきてねえやつがいうな」

一方「オマエ、コーヒー馬鹿にすンじゃねェ! カフェイン漬にすっぞ!」

垣根「できるもんならやって見やがれ! つか、カフェイン漬ってなんだよ!」

一方「カフェインの漬けだよォ!」

垣根「そのまんまかよ!」

土御門「落ち着け二人とも。近所迷惑だ」

青ピ「かーみーやーん。見まいにきたでー」

ガチャ

上条「お前ら……、こんな時間になんだよ」

土御門「上やんが、呑み過ぎてグロッキーってきいたから様子を見に来たにゃー」

垣根「おい、聞いてくれよ。こいつコーヒーしか持ってきてねえんだぜ」

一方「酒持ってきたやつが言うンじゃねェ!」

上条「……ただ、遊びに来ただけか」
土御門「そうともいうにゃー」

上条「ま、あがれよ」

しかし

わかっている
こいつらは
まことがいない事で上条が落ち込んでないかと
心配で来たことを

上条「素直じゃねェな」

一方「あン? 何か言ったかァ」

上条「いや、何でもない」

人は言葉の裏にも表にも想いを込める
あの日の美琴のように

でも、丸ごとあの子に届けよう

上条「はやく、四日目にならないかな」

表か裏だけでは、足りないから

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