佐天「時を止める能力……」 > 09


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第 二 章  魔 術 の 世 界  E m e r g e n c y C a l l

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──血溜まりに一人の女学生が倒れている




佐天「オリアナ=トムソン、聞こえてますか?
あたしは貴女に一つだけ質問したいことがあります……

『どうしてあの人を傷つけたのですか?』

貴女が傷つけたあの人はこんなにも苦しんでいます
正直、正直貴女にはがっかりです──関係のない人を巻き込むなんて

ねぇ?聞こえてます?見えていますか?あそこに倒れている女の人が
オリアナ=トムソン、貴女はどうして傷つけたんです?
人の命で遊ぶなんて──絶対に許さないッ!!

貴女は直接あたしが止めます……その魔術ごと──その幻想を止めてやるッ!!」

 

──遡る事十数時間前──


佐天「昨日あれほどやる気に満ち溢れていたのに……」

初春「私はやる気はさほどありませんが、佐天さんの言うことは分かります……」

佐天「どうして校長先生の話は長いのよ!!それに12人も話すなんて聞いてない!!」

初春「静かにしてください佐天さん、暑さと話の長さで今にも倒れそうです」

佐天「しゅーん……辛いよぅ……」

 

 

 

校長L「──で、あるからにして学園都市の生徒という誇りを持ってこの大覇星祭を楽しんでもらいたい次第であります。
そして、生徒の皆さんは十分にいや、十二分に実力を発揮していただきたいッ!!
静かに、目立たず──こういった学生は皆さんの中には居ないことを信じています、外の方からも沢山の方が来られています。
皆さんの親御さんも我が子が心配で来られていることでしょう。その親御さんに『自分は元気だよっ!元気にやっているよっ!』
こういうアピールをしていただきたいッ!!本来学生の本業は勉強ですが、この学園都市に至っては違うと言わざるを得ないでしょう。
なぜなら能力があるからです。能力を使用、または観測することも勉強なのです!学生さんには向上心を持って
この大覇星祭を楽しんでもらいたい。
そして怪我には気をつけて貰いたい、しかし心配はしなくてもよろしいっ!
では我が学園都市が誇る設備の数々の紹介に移りましょう!!
まずは擦り傷等をしてしまった生徒に対して処置されるであろうこのトウモロコシの繊維を使った絆創膏です!
これはトウモロコシの繊維が傷口と同化し、やがて傷跡もろともなくなってしまうという優れものです
傷を負ったのならばすぐに試用していただきたい。
次にこれは少々厄介ですが、骨折等をした生徒が居た場合はこの酸素カプセルです。
これは外にある既存の酸素カプセルと違い単純骨折程度なら1週間以内で完治できるという既存の酸素カプセルの常識を覆す──
( 中 略 )
──最後になりますが、生徒の皆さんには不屈の魂をもって頑張ってもらいたい次第であります。
単純そうに見えて実は凄い効果を持つのですよ、この頑張る!という気持ちは!!
勉強もしかり、恋愛もしかり──能力もしかりなのです。
そうこの大覇星祭はその頑張る気持ちで生徒さんたちの能力向上を目的としています。
なぜならばここは学園都市であり、生徒の多くは可能性を秘めているのです!私の知り合いの先生は言いました
「頑張る気持ちこそが能力向上への近道」と
これは学園都市の論文にも記載されている立派な、非常に立派な理論なのです。自分です!自分が自分を成長させるのです!
その先生はこうも論文で仰っていました「人間はちっぽけな存在だが、可能性はとても大きい」と!
これを読んだ私の衝撃と言ったら筆舌に尽くしがたいでしょう!
その論文を読んだその日は同僚20人ほどと朝まで飲み屋で語り明かしたものです、非常にすばらしい!
私達大人は可能性を潰すのではなく、咲かせることが宿命なのです。これは大変難しく、そして大変有意義な宿命です!
だからこの学園都市は大覇星祭を開催するのです!!
そう!生徒達皆さんは可能性という種なのです!!その種はいずれ花を咲かすのでしょう!!
その役に立てるのなら私達先生一同は何でも協力しましょう!!
常日頃から思っていたのですが生徒達にはもっと先生を頼るという事をしたまえっ!!先生はそのために居るのだから!!
使い潰す、利用しつくす気持ちで頼ってやれッ!!おっとまだまだ喋り足りないが時間のほうが無いな。
学生の時間を無駄にするつもりは無い、私の話はこれにて終わらせていただこう!ではここに宣言する!

──大覇星祭の開催を!!」

 

 

 

 


佐天「(さすがにうぜぇ……)」

初春「(あの爺……いつか殺す……)」




佐天「……うぇ……もうこんな時間かぁー」

初春「私はあの糞爺の所為で生まれたストレスを病院で暇そうにしている白井さんにぶつけて来ますね」ビキビキ

佐天「え、えぇ……頑……張って?い、いってらっしゃい(青筋!!青筋でてますよ初春さん!!)」

 

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佐天「さってとー今日はあたしの競技ないし、どうしようかねー」

佐天「屋台とかでてるし、食べ歩きしよっかなー」

??「あーっと佐天涙子さんだよね?僕はステイル=マグヌスという者なんだけどちょっとお話いいかな?」

佐天「えっ?どうしてあたしの名前……(神父服?でナンパ?なのかコレは……)」

ステイル「僕も本来なら上条当麻と土御門の3人で行動する予定だったのだけどね、やむ終えない事情で……」

ステイル「佐天涙子、僕、上条当麻、土御門の4人で学園都市に侵入した『魔術師』を追わなきゃいけないんだ」

佐天「はぁ?お兄さん何を言っているんです?『魔術師』って……居るわけないじゃないですかーこの科学の街に」

ステイル「……(魔術を知らない?嘘をついているようには見えないけれど……アレイスターめ何を……)」

ステイル「まぁ実際に見てもらったほうが早そうだね、ちょっとこっちに来てくれないか」(路地裏)

佐天「いやいやいや、怪しすぎますって!そんなんで着いて行く女子はいませんよ!!お兄さんナンパなら──」

上条「いやー、怪しそうに見えるけどステイルは信用してもいい奴だからさ、ねっ?涙子ちゃん」

佐天「えっ!!当麻さん??どうしてコンナ怪しい神父風ナンパ男と……」

ステイル「馴れ馴れしく呼ぶなよ上条当麻──気持ち悪いね殺すぞ……後誰が怪しい神父風ナンパ男だって?」

佐天「!!(怖っ……)」

佐天「てか話がそれていると思うんですけど、『魔術師』とか嘘……ですよね?」

上条「えーっと本当、なんだけどなぁ……どう説明すりゃ──」

佐天「これは当麻さんに化けたナンパ男の友達の能力者ですねっ!あたしは騙されませんよ!!」

上条「えぇー参ったなぁ……あっ!コレならどう?涙子ちゃん」

──上条当麻の右手と佐天涙子の右手が触れ合う。
佐天涙子はこの状況を若干冷静に見ていた。右手に触れた当麻さんに化けた能力者を静止させようと──



佐天「あれ?あたしの能力が──嘘??ホントに当麻さんなの……??」

上条「ようやく信じてくれたか、涙子ちゃんに手伝ってもらいたいことがあるんだけど」

佐天「あたしに?あのナンパ男が言っていた『魔術師』を追うってヤツですか?」

上条「あー、その辺は俺たちが何とかするからさ、『オリアナ』って女を見つけたら電話くれるだけでいいから」


上条「詳しい話は路地裏でしようか涙子ちゃん。土御門も待ってるからさ」

佐天「は、はい……(流されるままに着いていっちゃうあたしって……)」






ステイル「ていうか何時まで君達は手を繋いでいるんだい?」

佐天「はっ!?……はぅ///」

上条「わっ!!ごめん涙子ちゃん!!」ババッ

 

 

 

──路地裏──

ステイル「まぁここに来てもらう前に上条当麻が話した通りだから説明は不要かな?」

土御門「にゃー、カミやんがまたフラグ立ててきたんだ、相変わらずフラグビンビンにゃー」

土御門「佐天さん。君の能力を知っておきたいんだがーその前に質問があるなら聞くにゃー」

佐天「え、えっと……お兄さん達って、その『魔術師』なんですか?」

土御門「俺とステイルはそうだが、俺は魔術を軽々しく使えないからにゃー、ステイル何か見せてやれ」

ステイル「彼女の能力を見るのではなかったのかい?……やればいいんだろう!!やれば!!くそっ」

ステイル「まぁ、僕の能力は詳しくは省くけど炎の魔術を使うことが出来る」ボッ

佐天「おぉ?でもお兄さん若干発火能力に似ているような──」

ステイル「彼が言うには上条当麻と同属の力を持っているということで──」

土御門「おい、ステイル────」




ステイルという神父風の男が手の上の小さな火に何かを呟くと、火は何十倍にも膨らみ──
その手の上の火を佐天涙子に投げるようなモーションで飛ばした。


佐天「きゃっ…………あ、あぶ……」



人間の頭ほどの大きさの火は佐天涙子を焦がすことなく
佐天涙子の右手に触れ、そしてそのまま静止していた。

 

ステイル「なっ……信じられない……一体どういう──」

上条「ステイルてめぇえええええええ」

土御門「ま、まぁまぁカミやん抑えるにゃー……ステイルは火傷治療も得意だし、何より当たった瞬間に消える魔術だったにゃー」

上条「それでも突然涙子ちゃんを狙うなんて──」

ステイル「いいいじゃないか、これで彼女の能力は分かった……といいたいけれど良く分からないね」

ステイル「一体その右手はどういう事なんだい?」

佐天「あーっと……まぁ色々静止させることが出来ます……」

土御門「なるほどにゃー、カミやんと同属の能力ねぇ……」

ステイル「戦力にはなりそうだけれどね、それでも君に危険な事はさせないさ」

ステイル「僕達がオリアナを何とか追い詰めるから、君のその能力で上条当麻をサポートしてほしいんだ」

佐天「は、はぁ……別にいいですけど……」

佐天「それで、オリアナって人はこの学園都市で何をしようとしているんですか?」


土御門「簡単に言うと翳すだけで人を殺せる道具を使う予定らしいにゃー、厳密には違うんだけどそう思ってくれて問題ないにゃー」

佐天「人を殺す!?そんな……風紀委員や警備員に──」

上条「それがダメなんだ、えーっと簡単に言うと…………えっと……」

ステイル「まぁこの科学の街で『魔術師がこの都市で人を殺そうとしている』と通報しても相手にしてくれないって事さ」

佐天「な、なるほど……」



土御門「まっ、そうと決まればカミやん、行くにゃー」

上条「ホッントにごめん!!涙子ちゃんは絶対に危険な事をして欲しくなかったんだけど……ごめん!!」

ステイル「オリアナを追い詰め次第君に電話をするから、それまでこの大覇星祭とやらを楽しんでいてくれればいいよ」

上条「それじゃっ!!……もしオリアナを見つけたと思ってもやっつけようとは思わないで!俺たちを必ず呼んでくれよな!」ダッ!

ステイル「…………(彼女が僕の炎を止めたとき──魔術とも言えないような力を一瞬感じ取れた、一体……)」






佐天「は、はぁ………行っちゃった……」

佐天「まぁ……屋台でも回りますか……」ポヨン

佐天「おとっ!?すいません!!ぶつかってしまって……」

??「あら?貴女みたいな可愛いらしいお嬢さんならいくらでもお姉さん歓迎よ」

佐天「う……(す、すごい美人さん!!それにすごいセクシー……固法さんよりあるかも……)ってハッ!」

佐天「す、すいません!!ぶつかった上にガン見してしまって!!」

??「うふふ、可愛いのねお嬢ちゃん……お姉さんの体でよかったらもっと堪能していいのよ」

??「あらっと?ちょっとお姉さん急いでるからまた今度イロイロ遊びましょうね」ヒラッ








佐天「……なんと言うか、すごい……初春とは二百億倍くらい凄い色気だった──ってうん?」

佐天「何か紙切れが落ちてるけどあのお姉さんの落し物かな??何か英語?みたいな文字が書いてあるけど」

佐天「あのお姉さんの落し物だったら届けなきゃ!!お姉さーん!!待ってぇぇぇぇ!!落し物ですううー」ダダダ

 

 

 

??「ふう……色々と面倒な街ねぇ、ってうん?誰か私に向かってくる??」

??「『裏表の静寂』の魔術を使っているのに……?勘違いじゃなさそうだけど……」

佐天「ハァハァ……やっと追いついた……お姉さん……お、落し物……です……ハァハァ…」

??「!?どうしてそれを?貴女一体──」

佐天「あたしと別れるときに落としたんですよー、お姉さん歩くの超早くないですか?追いつくの大変だったんですけど……」

??「え、えぇ……ありがとうね、お姉さんの為に……(かく乱用の魔術は確かにあの時私があそこに設置したはずなのに)」

??「(このお嬢ちゃんは魔術師には全く見えないし……どうしようかしらぁ……)」

佐天「えっと、もしかして一般来場者の方ですか?」

??「えぇ、そうよこの学園都市は人も多くて何処を見て回ればいいのか分からないわぁ」

佐天「ちょうど良かった!あたし暇してるんでお姉さん一緒に回りませんか?」

??「(ちょっと困ったわねぇ……お嬢ちゃんにリードされるのも興奮しちゃうのだけれど)」

??「(ちょっと今はまずいのよねぇ……うん?お姉さんいい事考えちゃったー!)」

??「そうね!一緒に回ってくれるとお姉さん大分助かっちゃうわ」

佐天「やったー!!あたしの名前は佐天涙子っていいます!お姉さんの名前は?」

??「オリアナ=トムソンよ、ヨロシクね」

佐天「!?(オリアナって……当麻さん達が探してるあの?)」

オリアナ「あら?どうしたのかしら?お姉さんの名前がそんなに不思議?」

佐天「い、いえっ!!あの、名前も綺麗だなって──(こんな優しそうなお姉さんが人殺しの道具を使うなんて信じられない)」

オリアナ「やーん、可愛らしいのね貴女ってお姉さんこんな可愛い妹が欲しかったわ」

佐天「か、可愛いだなんて/// (信じない!!きっと同名の人違いですよね?暫く一緒に居て判断しよう!!)」

オリアナ「さて、お嬢ちゃん、お姉さんをちゃんとリードしてね。うふふっ年下の女の子とデートなんて興奮しちゃう」

佐天「デ、デートだなんて///え、えっと!!まずは屋台を見ましょう!!」

オリアナ「うふふ、楽しみだわ(本当にね……)」

佐天「じゃっ、あそこの新感覚たこ焼きを食べましょう!」

オリアナ「新感覚ねぇうふふ、新しい刺激というのは楽しみね」

佐天「この学園都市は色々と『新しいことへの挑戦』が前面に出てますからね」

佐天「まぁ普段の学生達は食べ物系で実験させられてる気分ですけどね」

オリアナ「うふふ、お姉さんも学園都市に住んでみたいわね」

佐天「この街に居ると退屈しませんしねぇー、おじさん!たこ焼き2パックください!」

オリアナ「新感覚、とても楽しみね……どんな風にお姉さんを楽しませてくれるのかしら」

佐天「あたしも楽しみですよー、っと出来たみたいですねーあそこのベンチで食べましょう」



佐天「じゃっ、いただきまーす」モグモグ

 

オリアナ「……これは、そのなんと言うか、あれ…よね」

佐天「あれ、ですね……」

佐天「半熟……」

オリアナ「たこ焼き、ね……お姉さんたこ焼きは初体験なのだけれど、こういうものなのかしら」

佐天「い、いえっ!!普通は中まで熱々なんですけれどもコレはなんと言うか」

オリアナ「外はパリっとしていて熱いのに中側にいくにつれジェラートになっているのよね」

佐天「でも、9月のこの暑さですし、アリ……といえばアリですかね?」

オリアナ「不思議な感覚の食べ物ね、学園都市というものは不思議があふれてるわ」

佐天「あー、あのたこ焼き屋の機械に秘密があると睨みました」

オリアナ「普通の鉄板に見えるけれども、特殊な技術ってヤツかしら」

佐天「特殊かどうかは分かりませんが内側から瞬間冷凍のような機能でもあるんでしょうね」

オリアナ「それでも結構イケるわね……それでもお姉さんを満足させるにはもうちょっとした刺激が──」

 


上条「あれ?涙子ちゃん!こんな所で何をしてるんだ?」

上条「うん?新感覚たこ焼きかー1個いただけますか?」

佐天「あ、当麻さんと──」

吹寄「上条、こんな女の子にまで手を出すとは……」

上条「わー!!誤解です吹寄サン!!知り合いの中学生の友達で──」

吹寄「へぇ中学生の知り合いの友達ねぇ……やはり上条当麻は上条当麻だな」

上条「怖いです!!吹寄様!!中学生といってもただの友達で──」

佐天「当麻さん?あたしの事ただの友達だと思ってたんですか……?」ウルウル

吹寄「やはり貴様はいっぺん死んだほうがいいな」ゴリッ

上条「ぎゃー、足を踏んできた!!地味に痛いのに目立たない攻撃だー!!」ヨロッ

上条「っとと、すいません……えっと、涙子ちゃんのお友達の方ですか?」

オリアナ「うふふ、可愛い男の子ね急に抱きついてくるのだから、強引なのも好きよ」

オリアナ「さ、立てるかしら?立てるわよね?若いんだもの」スッ

上条「あ、ありがとう────」スッ

 

──パギン




吹寄「は?……今なんか……」

上条「………………」

オリアナ「………………」

オリアナ「お姉さんはもう少し学園都市を見て回るからいくわね」

上条「あ、あぁ……気をつけてな、この季節は──変なやつが多いから」

オリアナ「うふふ、こっちは可愛いお嬢ちゃんがリードしてくれるから大丈夫よ」

オリアナ「じゃあね、今度会ったらもう少し遊びましょう?」

オリアナ「行きましょう、お嬢ちゃん」サッ

佐天「あ、はい……じゃあ当麻さん今度ー」ニコニコ

上条「ウルウルしてたのは演技かー!!」

佐天「はて?何のことでしょうー?あたしは分かりませんー」

 

──────



佐天「じゃー今度は何処に行きましょうか?希望あります?」

オリアナ「もう少し暗くなったら行きたい所は有るのだけれど今はまだ早いわね」

オリアナ「少し歩きましょうか、適当に歩いてればいいものがあるかもしれないわ」

佐天「そうですね、そうしましょっか(多分……さっきのは──)」

オリアナ「少しとはいえ食べた後だしね運動しなきゃいけないわ(んー、『裏表の静寂』が壊れてるわねぇ)」

佐天「……(──それでも、それでもこの人が悪いようには感じない……)」

オリアナ「……(何にせよ後ろの坊やを撒かないとね……それからお嬢ちゃんを使おうかしら)」

オリアナ「少し疲れたわ、あそこを抜けましょう」

佐天「うげ、路地裏ですかぁあまりいい思い出ないんですよね」

オリアナ「悪い思い出なんて薙ぎ払えばいいのよ、優しくね」

佐天「は、はぁ……」

 

──────



佐天「じゃー今度は何処に行きましょうか?希望あります?」

オリアナ「もう少し暗くなったら行きたい所は有るのだけれど今はまだ早いわね」

オリアナ「少し歩きましょうか、適当に歩いてればいいものがあるかもしれないわ」

佐天「そうですね、そうしましょっか(多分……さっきのは──)」

オリアナ「少しとはいえ食べた後だしね運動しなきゃいけないわ(んー、『裏表の静寂』が壊れてるわねぇ)」

佐天「……(──それでも、それでもこの人が悪いようには感じない……)」

オリアナ「……(何にせよ後ろの坊やを撒かないとね……それからお嬢ちゃんを使おうかしら)」

オリアナ「少し疲れたわ、あそこを抜けましょう」

佐天「うげ、路地裏ですかぁあまりいい思い出ないんですよね」

オリアナ「悪い思い出なんて薙ぎ払えばいいのよ、優しくね」

佐天「は、はぁ……」


────────────


オリアナ「(さてさて、撒いたというよりかは引っ込んだ感じね──オトコノコはそうでなくちゃね)」

佐天「はぁはぁ、お姉さん早いです……」

オリアナ「あーごめんなさいね、お姉さんも言うほど路地裏好きじゃないのよ」

オリアナ「ほら手をどうぞお嬢ちゃん、そこのベンチに座りましょうか」スッ

オリアナ「お姉さんはあそこにある学校に届け物があるからちょっとあそこの辺りで待っててもらえるかしら」

佐天「いいですけれど、仕事があるなら先に言ってくださいよー」

オリアナ「ごめんね!後でおっぱい揉ませてあげるから」ダッ

佐天「いやいや……いやいや……」

 

──とある学校の体育倉庫

オリアナ「ふぅ、ちょっと無理があったけどここに迎撃術式を設置完了っと」ピッ

オリアナ「あー、聞こえてるかしらリドヴィア=ロレンツェッティ」

リドヴィア「だから本名はやめなさいと──」

オリアナ「ちょーっとばかし厄介なことになっているわ」

リドヴィア「何かあったので?」

オリアナ「んー『裏表の静寂』が壊されたのはまぁおいておいて、今一般人のお嬢ちゃんと遊んでいるのだけれど」

リドヴィア「……、何のつもりですか?一般人に手を出すことは──」

オリアナ「手を出す気はないわ、ただ追手は魔術師のようなので『お嬢ちゃんにも迎撃魔術を施しといた』だけよ」

リドヴィア「そうですか、追手はどの程度?」

オリアナ「お姉さんを満足させるには少々役者不足ってところかしら」

オリアナ「ってアン♪──ビンゴねぇ……あちらさんはお姉さんの罠に嵌ってくれたみたい」

リドヴィア「仕留めたのです?」

オリアナ「まさか。この程度でヤられるような子達じゃなさそうよ」

リドヴィア「それでどうするので?」

オリアナ「そうね、お嬢ちゃんには悪いんだけれどお嬢ちゃんを置いて逃げようかしら」

リドヴィア「そう。それじゃ、また何かあったらかけて頂戴」ピッ

オリアナ「かけられたこと無いくせにぃ──って直ぐ切っちゃうんだからぁ」

オリアナ「さてと、お姉さんは仕事に戻るわね。お嬢ちゃん、たこ焼き美味しかったわよ」

 

 

 

──1時間後──


佐天「お姉さん遅いなぁ……いやいや、流石に遅すぎるよねぇ……」

御坂「あら?佐天さんどうしたの?こんな所で」

佐天「御坂さん!?御坂さんこそどうしてここに?」

御坂「『玉入れ』の競技場所ここなのよね、佐天さんは?」

佐天「あはは、あたしは友達に待ってろって言われてかれこれ1時間ほど……」

御坂「1時間も?何かあったんじゃ──」

佐天「どうなんでしょうね、金髪酔眼でナイスバディーなお姉さんなんですけど、見ませんでした?」

御坂「あー、そういえばここに来る途中で見たかも」

佐天「な、なんですとっ!うぅ……御坂さん、あたし置いていかれたんでしょうか」

御坂「あ、はは……もしかしたら急用があったとかじゃ……」

佐天「うへぇ……じゃああたしはその辺ふらふらしてきますー」

御坂「分かったわ、まぁその、元気出して!」

佐天「はい……」

 

──────────


佐天「ふらふらと彷徨っているうちに少し時間がたったなぁ」

佐天「やっぱりお姉さんは最後まで悪い人には見えなかったけど……」

佐天「でも何か引っかかるのよねぇ……ってん?」

佐天「急病人?『玉入れ』の競技で……さっきの所の!?」

佐天「──あ、お姉さんだ……」



オリアナ=トムソンは佐天涙子と同じく電光掲示板を見つめていた。
人の行きかう大通りの中心で立っている所為もあるが、少し目立っていた。

──少し困ったような表情と泣きそうな表情で電光掲示板を見つめていた。

佐天「おーい、お姉さーん」

オリアナ「──!?……お嬢ちゃん…どうして」

佐天「迷子になったんじゃないかと思ってー、探しましたよー」

オリアナ「──そう、優しいのねお嬢ちゃんは……(迷子、か…)」

オリアナ「でもね、お姉さんは急な仕事が入っちゃってね、直ぐに行かなきゃいけないの」

オリアナ「楽しかったわ、今度あったらまた遊びましょうね」タッタッ

















佐天「行っちゃった……(お姉さん、どうしてそんなに悲しい顔していたんだろう)」

PiPiPiPi

佐天「ん?誰からだろう……『もしもし?』」

土御門『あー土御門だにゃーそっちがオリアナと一緒にいたって事について聞きたくて』

佐天「は、はぁ……あまり悪そうな人には見えなかったんですけども……」

土御門『●●学校で先ほど急病人が出たって事は知ってるかにゃー?』

佐天「は、はぁ……一応(それ、以上は……)」

土御門『──オリアナの迎撃魔術に触れた所為だにゃー』

土御門『いいか、良く聞くんだ』

土御門『オリアナも自分なりの正義を持っている。悪気があるとかないとか、そういう次元じゃないんだにゃー』

佐天「…………」

土御門『オリアナだって出来る限り一般人は巻き込まないようにする筈だが、それでも限界はある』

土御門『だからといって邪魔をする一般人を傷つけないとは限らない、分かるよな?』

佐天「……はい」

土御門『……それで、オリアナは何処に居るのか分かるかにゃー?』

佐天「それは──」

 

────

土御門『成る程、事情は分かった』

土御門『色々思うことがあるかも知れないけど、当初の通り俺達からの連絡を待つにゃー』

佐天「はい……分かりました」

土御門『──辛いだろうけど、気を確かにな。──じゃっ……』ピッ




佐天「はぁ……お姉さんの正義か……」

佐天「でも、さっきのお姉さんの顔は──」

佐天「(本当に目的のためなら一般人を傷つけることを厭わないのかな?)」

佐天「確かめたい、電光掲示板を見ていた“あの”お姉さんが本当に悪い人なのか」

佐天「すこし、休憩してからお姉さんを探そう」

 

──喫茶店にて──


佐天「でも、確かめるったって見つけることできるのかしら…」

佐天「当麻さん達が必死に探しても見つからないのに、あたしがどうすれば」

佐天「結局のところ、あたしが足を棒にして捜すしかない訳ね」

佐天「よしっ!行こう!!会って、本当にお姉さんが悪いことしようとしているのか確かめなきゃ」

佐天「ってうん?」PiPiPi


佐天「はい?どなたですか?」

土御門『土御門、だにゃー……オリアナと、ちょっとした戦闘があった……』

土御門『それで、まぁ……オリアナには逃げられた形にはなるが……』

佐天「戦闘?大丈夫なんですか?(声が随分と弱弱しい……)」

土御門『はは、大丈夫だにゃー……。それで、オリアナは佐天さんの居る学区の方に向かっているにゃー』

土御門『ステイルや、カミやんも向かっているが……佐天さんも適当に探してくれないか……』

土御門『オリアナはまだ佐天さんを一般人だと思い込んでるにゃー、会ったら時間を少しでも稼いでくれ……』

佐天「はい、分かりました……といってもこの学区はちょっと広いんですけど」

土御門『無理に探さなくていいにゃー、あくまでオリアナと出会ったら時間を稼ぐ、でいいにゃー』

佐天「そうですか、わかりました。出来る限りのことはしますね」

土御門『危なくなったら、もしオリアナが単語帳のようなモノを口に咥えたら逃げるにゃー』

土御門『魔術を使って攻撃してくることはまず無いだろうが、一応注意だけは頼む』

土御門『それじゃ、切るにゃー。気を付けてくれ』ピッ







佐天「さて、と。お姉さんを探すにしてもこんな喫茶店にいちゃしょうがないよね」

佐天「少し、歩きながら探してみますか」

 


─────・・・


佐天「っと、結構な時間お姉さんを探してるけど──」キョロキョロ

佐天「大覇星祭期間中だし、やっぱり凄い人の多さだなぁ」キョロキョロ

佐天「って……アレは──」


──道路を挟んだ向こう側の歩道にオリアナ=トムソンは歩いていた。
すこし焦っているようにも見え、その所為で若干周囲から浮いていた。




佐天「お姉さん!!見つけた……、とりあえず向こう側に行かなきゃ!!」ダッ




佐天「っと、お姉さんは何処行ったのかな……」キョロキョロ

佐天「いた!少し先の路地裏に入ったわね──」


オリアナ「(カンザキカオリか、聖人対策を練るためにちょっとゆっくり考える場所が必要ね)」スタスタ

オリアナ「(基本的には、聖人並のスピードが必要よね)」ブツブツ

オリアナ「……(勝つというのは何も敵を葬るだけじゃないわけだし、逃げ切れることさえできれば──)」


──ドン!

??「きゃっ」

オリアナ「!!!!」

オリアナ「(追手!?いや……ただの通行人ね)」


オリアナと衝突した身長一三十五センチ程度のチアガール服を着た少女は
その衝撃で後ろを歩いていた黒髪の少女にぶつかった。

──バシャッ!!っとチアガール服を着ていた少女が持っていたジュースが黒髪の少女の胸元に降り注いだ。


「……小萌先生、よくもやってくれた」
オリアナ「(カンザキカオリか、聖人対策を練るためにちょっとゆっくり考える場所が必要ね)」スタスタ

オリアナ「(基本的には、聖人並のスピードが必要よね)」ブツブツ

オリアナ「……(勝つというのは何も敵を葬るだけじゃないわけだし、逃げ切れることさえできれば──)」


──ドン!

??「きゃっ」

オリアナ「!!!!」

オリアナ「(追手!?いや……ただの通行人ね)」


オリアナと衝突した身長一三十五センチ程度のチアガール服を着た少女は
その衝撃で後ろを歩いていた黒髪の少女にぶつかった。

──バシャッ!!っとチアガール服を着ていた少女が持っていたジュースが黒髪の少女の胸元に降り注いだ。


「……小萌先生、よくもやってくれた」

「ご、ごめんなさいなのですよ!!でも先生もびしょ濡れだからおあいこなのです!」

「あ、そっちの人は大丈夫なのですか?」

オリアナ「ええ、お姉さんは平気よ。それより、そちらの方のほうが心配かな?」ニコッ

オリアナ「そのまま表通りを歩くには少し扇情的な格好よ?」

「あぁっ!姫神ちゃんが濡れ濡れの透け透けになっているのです!」

「小萌先生も。胸の辺りが尖ってるけど」

「なっ!!見ちゃダメなのです!!」ババッ


オリアナ「(さて、と……そろそろ先に行かないと──)」


オリアナは黒髪の少女の胸元にあるモノを見てしまった。
それはジュースを浴びてピンク地に緑色のリボンで飾り付けられた少女の下着ではなく、その横の

 

 

 

 

 


──イギリス清教のアレンジが加わった、ケルト十字を。

 

 

 

 

オリアナ「(なっ!!!英国側の魔術師!?しかもそんな!!)」

オリアナ「(『歩く教会』!?あの禁書目録の保護に使われているモノと同じ霊装を携えてるなんて──)」

オリアナ「(この怪物は──!!)」バッ


黒髪の少女の十字架を見て、その重要度を知った瞬間、オリアナの手は動いていた。
細い金属の輪に束ねられた単語帳の一部を口に運び。
一気に引きちぎる。
そして、その表面に流れるような筆記体で文字が浮かび上がり──。

 

 

 


────────────
S o i l _ S y m b o l
────────────





佐天「はぁはぁ、やっぱお姉さん歩くの早すぎって──」









──黒髪の少女に炸裂した。

 

 

 

 

血。

 

 

 

 

佐天涙子の目の前で、黒髪の少女が爆ぜるように倒れていった。
一瞬で路地裏は血の海になる。


佐天「なん、で……お姉さん……?」

オリアナ「!!お嬢ちゃん──っ!?」ダッ

佐天「待って!!どういうことか──説明してくれないんですか?」

オリアナ「っ!!そんな暇ないの!!」タッタッタ










佐天「──ない……──るさない!!」



佐天「許さない!!許されない!!オリアナ=トムソン!!!!」


佐天「魔術とか、そんな事以前に──!!人間として──許すわけにはいけない!!」

佐天「オリアナ=トムソン、聞こえていますか?
人の命で遊ぶような真似をするなんて……。
──絶対に許さない!!」


佐天「その魔術の計画ごと絶対に!!あたしが直接止めてやるッ!!」

 

 

────・・・・・・


上条「こ、これは……る、涙子ちゃん!?」

小萌「か、上条ちゃぁぁん!!」

ステイル「こ、れは……」

上条「な、なぁ……あそこに倒れてるのって──」

上条「なんで姫神が?……先生、涙子ちゃんここで何が」

小萌「わ、わからないんです、ここで先生は女の人とぶつかって……」

小萌「ごめんなさいっって謝って、その女の人は笑って許してくれたと思ったんですけど──」

小萌「姫神ちゃんを見て怖い顔になって──それで、いきなり姫神ちゃんに──!!」


上条「なんで……どうして姫神が」

ステイル「アレだろう、その子の『歩く教会』だ」

ステイル「……随分と舐めた真似をしてくれるね、十中八九この子を追手の魔術師、それもかなりの手練と勘違いして攻撃したんだろう」

上条「間違えて……?そんな事……」

佐天「──すいません、当麻さんステイルさん」

ステイル「うん?どうした?状況的に君が思い悩むことは──」

佐天「この人をお願いできますか?私の能力じゃ『生命活動をも静止』させちゃうかもしれませんし」

佐天「あたしはオリアナを追います、では……」ダッ

ステイル「!?待つんだ!!危険すぎ──」

 

 

佐天涙子は走っていた、ただオリアナ=トムソンを追って。
オリアナ=トムソンが何処へ行ったのか分からない、しかしそんな事はどうでも良かった。


佐天「(オリアナ=トムソン!!絶対に──絶対に止めてみせる!!)」

佐天「(あたしが甘かった、あたしがオリアナの名前を聞いたときに当麻さん達に連絡しておけば)」

佐天「(そうすれば、あの女の人は──!!)」


佐天涙子は走っていた。しかし、がむしゃらには走っていない。
金色の髪の毛をした人を一人も見逃さずに、観察しながら走っていたが──。
オリアナの姿は無く……。
ただ時間だけが過ぎていく。

佐天「くっ!!あの人も違う……あの人も……、一体何処に!!」

 

 

──午後5時半──

佐天「ぜっ……ハァハァ……違う……オリアナじゃない…」

佐天「くっ、もうこんな時間……オリアナは何処に──」

PiPiPiPi

佐天「土御門さん?──いや、非通知?『はい、もしもし』」

??『こんばんは、土御門から番号を聞いた。佐天涙子さん』

??『私は──そうだな、今は名乗るほどのものではない、ただ土御門達は君に情報を連絡するのを渋っていたようなのでね』

佐天「??どういうことですか?あたしがオリアナを追っているのを知っているんですか?」

??『ふふ、そうさ。そう、オリアナ=トムソンは今第二三学区のとある場所にいる』

佐天「その情報を簡単に信じるとでも?」

??『ふふ、そうだね君は冷静で頭が良いのだな。しかし当ても無く探すつもりか?』

佐天「……、貴方が本当のことを言っているという証拠はあるのですか?」

??『そうだな、第二三学区の鉄身航空技術研究所付属実験空港の敷地に行けばあるさ』

佐天「そうですか、つまり今すぐに出せる証拠なんて無いって事ですよね?」

??『冷静に分析するのはいいが、考えてばかりでは何も始まりはしない』

??『冷静とは言ったが沈着とは言えないな。ここでどうすべきなのかは明白だろう?』






??『──なぜなら私は答えを言っているのだから』

 

 


──第二三学区を佐天涙子は走っていた。


佐天「くっ……腑に落ちないけど行動しなきゃ意味が無いわよね!!」タッタッタ

佐天「『鉄身航空技術研究所付属実験空港』ここね──」

佐天「フェンスに挟まってる紙、あれは……」

佐天「罠よね、でも──右手で罠自体を止めれば問題ない」ピッ







フェンスの先、距離はおよそ五百メートル強。
小さな滑走路を挟んだ向かいの建物の壁に寄りかかっている金髪の女が見えた。
佐天涙子が来たのが意外だったのか、フェンスに手をかけた瞬間に何かをしようと思ったのだろうか、少しあわてていたが
佐天涙子が『平然』とフェンスをよじ登ったのを見て、悟ったのだろう。

──あぁ、自分を止めに着た敵なのか、と。


佐天「……見つけた」

距離が遠い。30秒ほど時間をスローにしても近づくには遠すぎる距離。
──だが

佐天「近づかないことには、オリアナを止められないわよ、ねっ!!」ダッ


オリアナ「(……お馬鹿さん!!)」バッ


オリアナは単語帳の一つを噛み千切ると
ドッ!!という轟音と共に巨大な火の玉が真っ直ぐこちらに向かってくる。

──しかし、佐天涙子は怯んだりはしなかった。

佐天「こんなもの!!邪魔よっ!!」

佐天涙子の右手で巨大な火の玉を受け止めるとピタリと火の玉は静止した。
──カチリ

佐天「!?──なっ!!」

最初からあったのか、それとも火の玉に隠してたのか
佐天涙子の足元に単語帳の一つが落ちている。

それは淡い光を帯びて──爆発した。


佐天「ぐっ!!(右手でっ!!)」

佐天「(爆発の規模は分からない、時間を止めて避けても衝撃波でやられるかも知れない──なら!!)」

佐天「(単語帳を中心とした半径数十センチの空間の静止!!間に合え)」



オリアナ「唖然ってカンジね──どんな超能力を使ったのかしら」

オリアナ「でも、本当にお馬鹿さん……!!あの爆発はお嬢ちゃんの気を失わせる程度の威力しかなかったのに」

オリアナ「用意してある魔術で一番弱いのはもう、ない。ここからはお姉さん少し本気よ?」




佐天「上等ッ!!範囲指定の空間静止はどうやら成功したようね!!」

オリアナまでの距離はおよそ三五〇。

佐天「直ぐに貴女の幻想を止めてやるから、覚悟しなさい!!」




オリアナ「うふふ、女の子同士でヤりあうのも面白いわね!!てっきりあの聖人が来るのかと思ったけどね!!」

オリアナ「止められるのなら止めて見せなさい!!」

オリアナまでの距離は三五〇──まだ遠い。

佐天「(時間を遅くして近づくにしても、最低でも一五〇メートル前後まで近づかないとダメ)」

佐天「それでもっ!!前進するしかないわよね!!」ダッ


オリアナ「うふふ、緩急を付けて攻めるなんてお嬢ちゃんテクニシャンね!!」ブチッ

オリアナが単語帳を口に運び噛み千切った枚数は3枚。

真っ直ぐに佐天涙子を目掛けて飛ぶバスケットボール大の氷の塊が一つ。
視界の端から彼女を引き裂こうとする風の刃が一つ。

──そして地面を這う影の刃が一つ。

三種三様の魔術による攻撃が佐天涙子に襲い掛かる。



佐天「三つ!!少し多いけど──対応できないほどの数じゃない!!」

佐天「(右手で氷を止めて、後は時間を遅くして避ければ、いい!!)」バッ


オリアナ「うふふお嬢ちゃんの能力が少し分かった気がするわ」

オリアナ「(第一候補としては……この能力であって欲しいというお姉さんの願望だけど、身体能力向上系かな)」ピッ


オリアナは単語帳の一つを噛み千切ると、野球の球ほどの炎の玉が佐天涙子を目掛けて真っ直ぐ飛んでいく。
佐天涙子はそれを右手で静止させると、炎の玉は役目を終えたかのごとく音も無く消えた。


オリアナ「炎の玉を消したところを見るとあの坊やを思い出すけれど、ちょっと違うわね」

オリアナ「炎の玉が消える直前に静止していた。やっぱりあの右手は──」ゾクッ






オリアナ「『時間の神クロノス』の力を持つ右手ってトコロかしら……うふふ、うふふふ……」

オリアナ「聖人なんか目じゃないわね……だってあのお嬢ちゃんは神の力を持っているのようふふふ、けど!!」ブチッ


不敵な笑みを浮かべるオリアナが単語帳から引きちぎった枚数は9枚。
佐天涙子を倒そうと様々な角度から魔術による攻撃が迫る。

佐天「!?これは避けきれない……ッ!!──なら!!!」

佐天「範囲指定の時間静止!!対象は『あたしの周囲』半径1メートル!!」ビタッ



9つの魔術による様々な攻撃は、佐天涙子の半径1メートルに到着すると音も無く静止し、消えた。




佐天「……、はぁはぁ、能力の連続使用は体力が……でも!!」

佐天「お姉さんの魔術の攻撃は防げた」

佐天「御坂さんの超電磁砲なんかは静止させたところで消えないんだろうけど……」

佐天「どうやら魔術は静止させると消えちゃうみたいね」


オリアナ「どうやらその“右手”の力は完全じゃないようね、うふふ」

オリアナ「完全に神の力を行使できるならお姉さんなんてとっくに殺されてるもの」

オリアナ「なら、勝機は必ずあるわ」



──距離は後二百。


佐天「ここからならあたしの声が聞こえるでしょう!!お姉さん、一つ質問があります!!」

オリアナ「何かしら?あまりプライベートな質問はお姉さん答えかねるんだけど、うふふ」

佐天「一つ、たった一つです!どうして関係の無い人を巻き込んだんですか!!質問はそれだけです」

佐天「目的のために関係の無い人を傷つけても構わないのがお姉さんの正義なんですか!!」


オリアナ「お姉さんだって傷つけたくて傷つけてるわけじゃないわよ!!」

オリアナ「お姉さんの正義ねぇ……。お嬢ちゃんこの世の中にどれだけの数の主義主張信仰思想善悪好悪があると思う?」

オリアナ「答えはね、いっぱいなの。全世界の人類の数だけあるといってもいいわ」

オリアナ「ねぇお嬢ちゃん、想像もつかない出来事なんてね、いっぱいあるのよ。
例えば迷子の女の子を教会に預けたらその子はイギリス清教から逃げてきた子で髪を掴まれて処刑塔に引きずられていったとか」

オリアナ「そういう落とし穴がいっぱいあるのが世の中ってやつなの」

オリアナ「困ってる人が居ても、行動しても結果その人を傷つけるだけなんて、お姉さんはどうしたらいいのかしらね」

オリアナ「おかしいと思わない?隣人を愛する人々が、その実、隣に立つ人すら守れずにいるだなんて」

オリアナ「だからお姉さんは求めるのよ、お姉さんの上に立つ誰かに」

オリアナ「──この世界に散らばる主義主張を上手に支配してくださいって」

オリアナ「それがお姉さんの、オリアナ=トムソンの正義なのよ」


佐天「そんなの、そんなのただの詭弁じゃないですか!!お姉さんは間違ってる!」

佐天「そんなので関係の無い人が傷ついてもいい理由になんてならない!!そんな幻想あたしが止めてみせる!!」

 

 


──距離は一五〇メートル。オリアナ=トムソンに届く距離まで来た。


佐天「そんな幻想、止めてあげます。今すぐに!!」

佐天「(時間遅延の射程距離範囲!!今だ!!)」ダッ



時間を遅くし、全力でオリアナ=トムソンに駆け出す佐天涙子。
15秒ほど全力疾走し、オリアナとの距離は数十メートルまで来た。


佐天「一気に!!オリアナまで届くまで時間を遅くッ!!」


一気に距離をつめ、オリアナ=トムソンに手を伸ばす──


佐天「──これでお姉さんを静止させて終わりよっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 













オリアナ「ざぁんねぇーん!!お嬢ちゃんの手はバレバレよ♪」ヒュッ

右手でオリアナに掴みかかろうとした瞬間、時間が遅れているのにもかかわらず

──オリアナは佐天涙子と同じ速度で動いていた。




オリアナ「本来は!!お嬢ちゃん用じゃないんだけど、例のカンザキカオリ対策の魔法を用意してて良かったわ!!」バキッ




佐天「うぐっ……、がっ……は……」



時間が遅れている中であるにも関わらず、目にも留まらぬ速度の蹴りを佐天涙子の腹部に放つ。

──冗談みたいな衝撃。佐天涙子は十数メートル弧を描き吹っ飛ぶ。

オリアナ「あらあら?一発で終わりかしら?お姉さんはまだまだイケるわよ?」

オリアナ「一人だけで満足するなんてダメよ、ちゃんと相手も満足させなきゃ」

佐天「……、ぐぅ……(どうして……あの時間の遅さの中……)」

オリアナ「うふふ、不思議かしら?あなたのその右手の力はとても凄いとは思うわ──でもね」

オリアナ「まだ未完成、まだまだ未熟な蕾なのよ……。時間を遅くするのも甘い、とぉっても甘いわ」

オリアナ「そう、このお姉さんの聖人対策用の速度強化の魔術で追いつける程度にね!!」

佐天「そ、そん……な……」

オリアナ「うふふ、お嬢ちゃんの相手はお姉さん一人だけだろうけどね、お姉さんは後3人かもうプラス一人相手にしなきゃいけないからね」

オリアナ「悪いんだけどお嬢ちゃんはここで寝ててちょうだいね♪」スタスタ







佐天「……(そんな……また……?また負けるの?嫌……!!もう負けて何も出来ないのは──嫌!!)」

オリアナまで後数十センチまで迫った。
あともう少しだった。

──もうすこし、もう少しだったんだ。







佐天「待ちな……さいよ……。待ちなさい!!オリアナ=トムソン!!」

立っているのも辛い、目がかすんでオリアナの姿がぼやける。
オリアナに蹴られた箇所を触ると激痛が走る。どうやら肋骨が数本折れているようだ。

激痛に身を任せ倒れてしまいたかった。
負けて、負けて楽になりたかった。
でも、絶対に負けたくない。
負けて、また何も出来ずに惨めな気持ちになるのは絶対に嫌だった。


佐天「待ちなさいよ……待ちなさい!!まだ勝負はついてないわ!!」

オリアナ「!?……、お嬢ちゃんそこで寝ていてって聞こえなかったのかしら?」

オリアナ「お嬢ちゃんがそこで寝て居てくればお姉さんは殺しはしないわ」

佐天「それでも!!負けられないのよ!!」

オリアナ「時間を遅くしてもね、お姉さんには届きやしないの!!どうして分からないの!!」

佐天「……」ダッ

オリアナ「お馬鹿さん!!ホントに──!!」

 

 

 

 ドォ────z____ン!!

 

佐天「な、にも……時間を遅くするだけじゃないんだから……」



──佐天涙子の右手がオリアナ=トムソンに届く。



佐天「これで……止まる……。お姉さんの計画も……お姉さん、も」バタッ

 

 

 

 

 

 

──それから


オリアナ=トムソンを止めた後すぐに当麻さんたちが来て、静止したオリアナとあたしを見つけたそうだ。
オリアナは直ぐに当麻さんの右手で時間静止を解き、計画の全貌を話させたそうで──。






佐天「しかし、『使徒十字』かぁ……、そんなものを使おうとしてたんだ」

佐天「でも、結果的に止めることが出来たんだねぇよかったよかった」


トントン


佐天「はーい、どうぞー?」

ステイル「失礼するよ、佐天涙子さん」

佐天「あ、ステイルさん……、まだ学園都市にいらしたんですね」

ステイル「そうだねもう帰国する予定なんだが君に挨拶をしておこうと思ってね」

佐天「あー別にいいのに、あたしが勝手に行動しただけなんで──」

ステイル「いや、結果オリアナを捕まえることが出来た。ありがとう」

佐天「うーなんだかお礼を言われると恥ずかしいな……」

ステイル「それに、今回の件で少々うちのボスが君に少し興味を持ったようなんでね」

佐天「え?」

ステイル「また近いうちに会うことになるかもしれないね、じゃ」バタン

 

コンコン

佐天「ど、どうぞー……」

医者「どうしたんだい?どうやら随分と元気がないようだけれど」

佐天「いや、ちょっと肩透かしというか……」

医者「そうかい、まぁ暫くは安静にしていることだね?何せ肋骨4本に折れた肋骨が肺に穴を開けていたんだからね」

医者「怪我に関してはこんな所だけど何か質問はあるかな?」

佐天「えーっとあたしの事じゃないんですけれど、ここに運び込まれた長い黒髪の女の人が来たと思うんですけど」

佐天「どう、なりましたか?」

医者「僕を誰だと思っているんだい?酷い怪我だったけれど安心していい、応急手当がよくてね命に別条は無いさ」

佐天「……、よかったぁ~」

医者「あっちのほうは大丈夫さ直ぐに退院できるさ、じゃっ僕は他の患者を見てくるから安静にね?」

 

 

こうしてあたしの大覇星祭は幕を閉じた。
──次に学園都市に降りかかる未曾有の大混乱が幕を開けることを知らずに。

 

 

 

 

佐天涙子の暫定的能力解説。


時間遅延→40秒くらい可

時間静止→5秒ほど可

範囲指定の時間静止

指定できる所は佐天涙子を中心として5メートル程度まで。
時間静止の壁にぶつかった魔法は基本的に当たったとみなされて消える。
しかし、御坂美琴の超電磁砲のような物質的な攻撃はただ止まるだけで、範囲指定の時間静止を解いたら動き出す。

 

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