続・夜の散歩編


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夜の街。

 昼間は学生たちでひしめき合うこの街も、夜は静かなものだ。

 大都市といえば不夜城というイメージだが、学園都市においてそれは当て嵌まらない。

 学生の生活時間帯は昼である。必然的に、日が落ちれば道行く人影は途端に少なくなり、ゴールデンタイムが終わろうか、という程度の時刻になれば、それはさらに顕著になる。

「はぁ……はぁ……」

「・・・・・・」

 そんな静かな街並みの中に、コツ、コツ、と足音が響いていた。

 右側に車道。左側には学生寮を囲む塀。

 その間にある、やや幅広の歩道で鳴る足音の数は規則的なものがひとつと、不規則なものがもうひとつだ。
「んぅ……はぁ……ぁあ……」

「・・・・・・」

 上条と美琴。

 白いTシャツにジーンズ、さらに薄手のジャンバーを羽織った上条は、冷たくなってきた夜の空気を吸い込みながら、散歩を愉しむかのようにややゆっくりと脚を進めていた。

 しかしその後ろ、上条から離れること3歩ほどの位置を歩く美琴の歩調は、愉しんでいる、という余裕など一切感じられない、やけにふらついたものだった。

 彼女の着る厚手のコートはこの季節にはまだ早い。首元まで覆われているのが災いしたのか、頬が紅いどころか、どこか目も潤んでいる。

 夜闇の中に吐き出す息も熱く、少し早い呼吸が、ひとつひとつ白い影を夜気の中に残していた。

(あつい…あついよ…)

 ブランドもののパンプスがアスファルトで鳴る音の中に、彼女の呼気が混じる。
 歩いているのは、いつもの道だ。

 上条の部屋から出て、エレベーターを降り、そして寮監のいない門をくぐって出てくる、通いなれた道である。

 普段、上条の部屋に行く道。いつも、上条の部屋から帰る道。

 昼間には常盤台の制服を着て少女として歩いている道。
 
 だがいまその道を歩く美琴の表情は、とても『知らない少女』の風情ではなかった。

 冬用の、太ももくらいまでの厚手のコートから覗く白い脚は、太ももから膝までが粘液に濡れ、背中側に回れば、その裾は彼女の肛門から生えた犬の尻尾にひっかかってしまい、腰のあたりまでまくれ上がった状態なのである。

(こんなんじゃ……誰かが来たら私のお尻、見られちゃうよ……)

 美琴は前を見る。そこにあるのは、自分をこんな風にしてしまった少年の背中。

 正面には彼がいる。

 誰かが来れば、彼はそれを美琴に伝えるだろう―――注意を促すのか恥辱を煽るのかは別にしても。

 だが背中側は?

 歩くたびに、尻尾を模したアナルバイブの取っ手が揺れている。それだけならばまだコートの付属品とも変わったアクセサリーとも言えるかもしれない。

 しかしそれが生えているのは、どこか艶を帯びた丸い尻だ。歩くたびにひっかかった裾の重みでアナルバイブを刺激され、悦楽を生み出してしまうような、淫らな菊孔から生えているのである。

 街頭の灯りの中で注意して見れば、いや注意して見なくとも、まろやかな曲線と、そのぬるぬると濡れた割れ目は容易に見て取れるに違いない。
「は……あぁ……」

 美琴が息を吐き出した。かすれた声のまじったそれは、微かに震えている。

 だがその震えは、恐怖から来るものではなかった。

(誰か後ろにいたら、きっといま私のイヤラしいところを見てるわよね……)

「―――っ」

 ゾクゾク、と美琴の背筋をえもいわれぬ感覚が貫く。

 誰かに見られるかもしれない。誰かに見られているかもしれない。誰かに、見られていたら。

 そんな破滅的な妖しい感覚が、彼女の身体に満ちていった。

(あぁ……わたし……わたしぃ……)

 とろり、と太ももをまた一筋、白く濁った蜜液が滑り落ちていった。

 粘度の高いその粘液は、まるで誰かに―――上条しかいないが―――ねっとりと舐められているように、ゆっくりゆっくり、美琴の肌を撫でる。
「んぅ……」

 美琴は脚の内側と内側をくっつけるように、ぎゅっ、と膝をとじた。濡れた感触が、左右それぞれの脚に感じられる。

 だが歩みはとめない。緩やかな歩調で歩く上条の後を、それよりも遅い歩調でひょこひょこと追いかけていった。

 膝が擦れる。そこに付着した粘液が擦れる。ニチュニチュという音と感触。そして脚を閉じたゆえに締まった菊座がさらに強くアナルバイブをくわえ込み、更なる快美感を美琴に与えた。

「ぁ……はぁ……」

 とろんとした吐息を、美琴が吐き出した。

 そこに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブー……ン……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁあんっ!?」

 不意に肛門から、音と振動と、快楽が沸き起こった。

 美琴の脚がとまり、ピン、とスニーカーの踵が跳ね上がる。彼女の前髪が、ばちっ! と音を立て、闇の中に一条の稲妻が走った。

(えっ!? な、なんでお尻の……!?)

 両手で己が身を抱くようにして悶えながら、美琴は反射的な動きで正面を見る。

「どうしたんだよ、美琴」

 ニヤニヤと笑いながら言う上条。

 そんな彼の左手には、家を出るときにポケットに入れていたタバコ大の小さな箱があった。

「―――!」

 美琴が目を見開く。

 アナルバイブのリモコンだ。

 持ってきているのは珍しいことではない。

 しかしいま、彼の親指はリモコンのスイッチにかかり、ジリジリとその目盛りを『強』と書かれた方に押し上げていっていた。

 尻の中でアナルバイブが動き出し、あられもない声をあげて身悶える美琴。

(そんなっ……こ、ここでしちゃうの!?)

 そう美琴が思うと同時に、上条は一気に半分ほど、目盛りの位置を進ませた。

 アナルバイブの丸まった先端が肛内で円を描いて動き、前側―――秘裂に向かって二股に分かれた『子』の方が小刻みな振動を加える。

「あっ!? あああっ! やあっ! んんんっ! だめっ! 声っ、出ちゃ……あっ! あっ! あっ!」

 後ろに突き出された腰がクネクネと揺れる。だがそんなことでバイブの動きが阻害されるわけがない。

 美琴からすれば逃げようとするその動きは、上条から見れば誘っているようにしか見えなかった。

 だから上条の指はスイッチの位置をさらに押し上げる。

 小さく聞こえていたはずの振動音が、彼の耳にも聞こえてきた。

「ひゃっ! んっ! あっ! だめよこんなのっ! 我慢できないっ! んっ、んんんんっ!」

 振動と快楽が強くなるに従って声が大きくなっていき、声が大きくなるに従って太ももを伝う蜜の量が増える。

「こら美琴、声が大きいぞ? そんなんじゃ誰かに見つかっちまうぜ?」

「や、やだあっ! んんうっ! そんなのっ、わたしっ! んんっ! んんんっ!」

 美琴が口を閉じようとする。だが絶え間なく競りあがってくる快楽が喘ぎに変わり、それを許さない。

 膝が震える。蜜がふくらはぎをとおり、靴下にまで染みていくのがわかった。
「こんなにびっしょり濡らしてまって……まるでおもらししたみたいだぞ? 誰かに見られると思って、興奮したのか?」

「あんっ! んんぅっ! 違うのっ! 違うのっ!」

(そんなこと言わないでっ! 私、当麻以外の人になんか……!)

「何が違うんだよ。道路までこんなに濡らしちまって。それに声もぜんぜん抑えられてないし」

 上条が歩みより、右手で、つい、と美琴の耳を撫でた。

「んああっ!」

 たったそれだけの刺激で、敏感になった美琴は大きく反応を示す。

 ビクビクと肩を震わせ、羞恥と快楽に満ちた瞳から、一雫の涙がこぼれた。

「……美琴、やっぱり誰かに見てもらいんだろ?」

「そんなことっ、そんなことないっ! わたしはっ、こんな、あっ、あんっ! あはぁっ!)

(声、抑えられないよ……聞かれちゃう……見つかっちゃうぅ……!)

 強く首を振る美琴。しかし彼女の言葉に篭められた甘い響きが、その態度を完全に裏切っていた。

 目が霞む。膝が笑う。足元が定まらない。

 いつしか己の身を抱いていた手はコートの前裾に滑り込み、両手の指先がその向こうにある秘密の場所でモゾモゾと動いている。
「だめぇっ、こんなのだめよぉっ」

 指に絡みつく蜜。その温度を意識しながら、美琴は許しを求めるように上条を見た。

 夜の散歩は初めてではない。だがこうしたプレイは、いつも上条の指定する公園についてからだった。

 もちろん公園も十分に人目につく可能性があったが、こんな風に本当に誰が見ているのかわからない状況では、初めてのことだ。

「ほら、いいのか? 声をおさえないと、本当に見つかっちまうぜ? ……ほら、あそこに人影があるんじゃないか?」

 上条は言いながら美琴の耳を撫で、顎で美琴の背後を示した。

「―――っ!」

 ギクリとした美琴が、瞬間的に振り向く。

 だがそれを見計らって、上条は右手を耳から離し、次いでその指を、部屋の中でしたように美琴の口腔にねじ込んだ。

「んんっ! ふぅんっ! んんんっ! んんむううっ!」

 振り向く動作を強制的にとめられながらも、指に舌を絡める美琴。そうするように仕込まれた身体が反応していた。

 舌が指に絡み、数度上下したかと思うと、今度は舌先が第一間接をチロチロと舐める。上条が指を出し入れすると、それに合わせるように美琴が顔を前後させた。
「んんふっ! んんっ! んぶうっ!」

 その間にも、美琴の股間では彼女の指が踊っている。秘裂を左右に開いた左手の人差し指と中指。その二本の指の間を、右手側の二本の指が上下に出入りしていた。

(だめ……やめなくちゃ……誰かいるかもしれないのに……!)

 指を咥えた美琴からは、上条も、先ほど示された背後も見ることはできない。

 誰かいるかもしれない。誰かに、見られているのかもしれない。

 ゾクリ、とした恐怖が美琴の背筋を貫き、しかし、

(やだ、私、私ぃ……やめられないよう……)

 止まらない。

 上下する指も、左右に振る腰も、口腔の舌も、すべてがその速度を増していく。

「んっ! んっ! んっ! んっ!」

 美琴の喘ぎが断続的で高い物に変化を始めた。それは上条にとって聞きなれた絶頂の足音。

 少女の背中がくぐもった声に応じてさらに反り、視界には街灯と、その向こうにある星の瞬く夜空が映った。

(あっ、もう……もう……)
「んんっ! んんんっ! んんんんっ!」

(もう……だめ。我慢なんかできない……)

 そしてついに、美琴の心が快楽に屈服した。

 外で、誰かが見ているかもしれない場所で、アナルバイブを入れた尻を突き出し、コートの裾をまくり、自らの指と肛門からの刺激で。

「んぶっ! んはあっ! んっ! んっ! んぶっ!」

 上条以外の誰かに見られながら絶頂する。それを意識した瞬間、つい先ほど身体を浮かんだ妖しい感覚が、再び美琴の中を駆け巡った。

 誰かに見られるかもしれない。誰かに見られているかもしれない。誰かに、見られていたら―――誰かに、見られたい。

(あ……っ!)

 脳内で、新たな感覚が快楽と直結する。

 美琴の顔が、淫蕩な笑みを浮かべた。

(ああっ! 見て! 私のイッちゃうところ、いっぱい見て!)

 秘裂の中に根元まで埋まった人差し指と中指。それがいっそう強く、自らの膣壁を掻いた。美琴の意識が白に染まる。絶頂に手が届く。
蓄積された快楽が弾けようとする。

 だがその直前、

「おっと」

「ふむう!?」
 
 上条は手元のスイッチを一気にOFFまで降ろしてアナルバイブの動きをとめると、美琴の口から指を引き抜いた。

 口腔愛撫から抜け出した右手は流れる動きで美琴の股間に滑り込み、驚きに一瞬だけ動きを止めていた少女の指を固定。強引に秘孔から離させて、絡む蜜にかまわず、いわゆる恋人つなぎという状態に持っていく。

 さらにリモコンを握った左手は美琴の背中側に周り『尻尾』にひっかかっていた裾をきちんとおろしてから、絶頂の予感で小刻みに震える身体を引き寄せた。

 結果として上条と美琴は『夜の街で手を繋ぎながら抱き合って口付け寸前』という、いわゆるカップルとしてはあり得るだろう"普通"の状態に移行していた―――欲情と渇望に染まった美琴の顔さえ見なければ、だが。

「とうまっ、そんなやめないで・・んんっ!?」

 冷や水をかけられたかのように急速に引いていく快楽と絶頂に、はぁはぁと息を荒げる美琴。

 しかし上条は言葉にこたえず、切なそうに見返してくる彼女の唇に、自分の唇を重ねて、黙らせる。

 すぐに舌は絡め、まだ身をよじろうとする彼女を左手だけで抱きしめた。
「んんっ……んっ……んぅ……」

 最初は戸惑い、また快楽を追おうとしていた美琴が、徐々に静かになっていった。

 数秒。

「…………」

「ぁ……」

 ゆっくりと、唇が離れた。その間にかかった唾液の橋が、一度左右に揺れてから、プツリと切れる。

「…………」

 無言のままの上条。

「あ、な、当麻……」

 だから美琴は、上条に問おうとする。

 なんであんな風に、途中でとめてしまったのかを。



 ……自分はあのままでもよかったのに



 だがそれを美琴が言葉にするよりも一瞬だけ早く。





「なンだァ? 何してやがんだ、てめェら……」

「オリジナル……?」

 



「!」

 美琴の背後約十歩。上条の正面約十一歩。

 その位置から、聞きなれた声と足音が二つ、彼らに投げかけられた。
二人のとった行動は対照的だった。

 驚き、慌てて背を向けた美琴に対し、上条は若干ひきつりぎみの笑顔を作り、彼らに向き直ったのである。

「よ、よお一方通行と・・・あれ、御坂妹? ずいぶん珍しい組合せだけど、お前らこそどうしたんだよ」

 言いながらさりげない動きで美琴の前に立つ上条。右手はつないだまま、左手をジャンパーのポケットに入れる。

 ちらりと美琴の方に視線をやれば、彼女も蜜でビショビショの右手を、慌ててコートのポケットに入れているのが見えた。

「な、なんでてめぇにそんなこと教えなくちゃいけねぇんだよ!?」

 目を逸らし、舌打ちでもしそうな、というよりも、やけに慌てた態度で、一方通行が言った。

「・・・・・・」上条は一方通行に悟られないよう、だが注意深く彼の表情を見た。

 街灯の光に映し出された一方通行の顔は、僅かに紅く染まっているように思える。

 それに、普段であれば決して逸らさない視線を上条からも美琴からも逸らしてたる。

 ひとつ疑問が残るのは、こちら以上に動揺が強いことだが、まぁそれはこういうシーンになれていなかったせいだ、と思うことにする。
「・・・いや、言いたくなけりゃ無理に聞かないけどよ」

 言いながら、上条は一瞬だけ美琴に目を向けた。

 美琴は身をちぢこませるようにして、俯いている。

 右手をポケット、左手を上条と繋いだ状態では、コートの裾を押さえることができなかった。

 裾はついいましがたまで捲れ上がっていたもので、さらに言えば、太ももから・・・いや、股間から足首あたりまで粘液の跡がある。彼女としては少しでも抑えておきたいに違いない。

「・・・・・・」

 内心で笑みを浮かべる上条。

 いま、美琴のいる位置は街灯で照らされた場所から少し外れている。一方通行と『妹達』からは影になり、よく見えないだろう。

「・・・もしかして御坂妹とデートか?」

 だから上条は、不自然にならないように、かつ、一方通行が言葉を返さざる得ない質問を放った。

「な、何とちくるったこと言ってやがるンだァ!? 俺がこンなやつとデ、デートなんざするかってンだ!」

 案の定、一方通行は噛み付いてきた。

 だが彼は慌てながらも、無理に立ち去ろうとはしない。

「・・・・・・」

 上条は確信する。


 見られたのは、キスシーンだけだ。

「・・・?」

 彼の背後でそれこそ言葉もないほど緊張している美琴の視界に、上条の左手がポケットの中で動いたのが映った。

 それは何かを握り直しているような仕種。そして彼の左手が持っていたのは・・・

(まさか、当麻!?)

 嫌な予感のまま、上条の顔を見る。

 その視線に気がついたのか、上条は一方通行たちから一瞬だけ美琴に目を移し、


 ブー・・・ン、という小さな音を、美琴は聴いた。


「っ!」

 ビクッ、と震える美琴。ほぼ反射的に左手で口を押さえる。少しだけ渇いて粘度を増した蜜の感触が唇に纏わり付いた。

 器具の動きは、流石に危険と思ったのか、最弱レベル。辛うじて声は押さえることが可能だ。

 溢れてくる蜜までは、別だが。
「・・・・・・・」

 上条は美琴が再び俯いた―――さきほどとは異なった理由だが―――のを確認。 一方通行たちに視線を戻し、続ける。

「でもよ、こんな時間に二人で歩く用事なんか、それくらいしか思い浮かばねぇし。その、」

 いったん言葉を切り、

「お、俺達も散歩デートしてるところだし」

 ぽりぽり、と鼻の頭を掻く上条。

「・・・・・・」

 一方通行は引き攣った顔で沈黙。

 何回か口を開きかけているところを見ると、なんと返すべきか言葉を探しているようだ。まさに『こういうとき、どんな顔すればいいのかわからない』のだろう。

 目論みどおりである。

「ところでそっちの御坂妹は、俺の知ってるやつなのか? 珍しいな、お前が打ち止め以外と出歩くなんて」

 空いた会話の隙間を埋めるように話題転換。一方通行の隣に立つ『妹達』に話しかけた。

「あ、いやこいつは・・・」

 ギクリ、とした様子の一方通行。だが彼が何か言う前に、

「はじめまして、上条当麻。ミサカは検体番号10033号で貴方とは初対面です、とミサカは他人行儀に自己紹介をします」

 と、『妹達』―――10033号が頭を下げた。
10033号? じゃあ御坂妹の次のやつか」

 上条の左手がポケットから抜き出された。リモコンは中に置いてきたらしく、その手は何も握っていない。

 そしてするりと、左手が後ろに回る。一方通行たちに右肩を少し前にして斜めに立っているため、彼らからは手の行き先はわからない。

「・・・っ!」

 しかしそれを見た美琴が息を呑む。何をするつもりなのか悟ったのである。

「・・・でもなんで一方通行と二人で歩いてるんだ? 打ち止めと同じように、なんか一緒にいなくちゃいけない理由でもあるのか?」

 ゆっくりと美琴に見せ付けるような遅さで左手が動く。その先は一目瞭然。

 コートの裾に隠された、アナルバイブ。

 しかし、美琴にそれを避ける術はない。上条の後ろから出てしまえば、彼らの目に晒されてしまう。

 いまはまだコートの裾がおりている。はじめから『そういう目』で見られないのでそうそう気がつかれないだろうが、それでもアナルバイブは動いているのだ。

 まともに動ける自信はなく、平静を保てるとは思えなかった。
「それは一方通行がミサカのごしゅ―――むぐっ!?」

「ちょっとそこで会ったンだよ! 偶然会ったンですゥ! 俺が杖突いてるからコンビニ袋持つってんで一緒にコンビニに行ってンだよ文句あンのか三下ァ!」

 背中側で一方通行が異常に慌てている気がした。しかし美琴の視線は上条の左手だけに注がれ、そっちの方に気をまわす余裕がない。

「ふーん。でも一方通行。お前の住んでるところってこっちだったのか? 普段ぜんぜん姿見ないけど」

 そして―――上条の手が、コートの上から『尻尾』を掴んだ。

「ひ―――」

 肩がびくりと震え、かみ殺しきれなかった声が漏れた。外に出ている部分が掴まれて固定され、中の振動は強くなったせいだ。

 慌てて一方通行たちに目を向ける。
「そっ、それは、だなァ・・・」

「・・・一方通行の自宅はこの近くではありません、とミサカは説明の苦手な一方通行の代わりに発言します」

「っ、っ、っ」

 幸いにも、彼らは気がついた様子はない。

 追加でも漏れそうになる喘ぎをかみ殺しながらも、内心で安堵する美琴。間違っても口を開いてため息などつけない。

 だから美琴は口に当てたままの左手の内側から己の掌を噛んだ。声を漏らすわけにはいかないのだ。

 だが。

「っ!」

 口の中に入れたことで蜜の味がさらに濃厚になり、また、唾液に濡れた結果、乾いた蜜が再び溶け出したのだ。直接鼻に吸い込まれる淫臭が、美琴の身体をさら
に熱くさせる。

「どういうことだ?」10033号に首をかしげる上条。だが正面を向いて話に聞いているような態度とは裏腹に、

「っ! っ! っ!」

 後ろ手の彼の左手は、一定のリズムを持って掴んだ『尻尾』を出し入れさせていた。

 美琴はなんとか逃れようとするが、元より動けないのだ。叶うはずがない。

 それどころか、つい先ほど絶頂寸前まで持ち上げられていた彼女の身体と、見られることを快楽と直結してしまった神経は、着実にその刺激を飲み込み、快美感に変換していく。
「っ・・・! っ・・・! っ・・・!」

 息を詰める感覚が長くなる。呑むべき喘ぎが大きく強くなっている。

 でも声は出せない。手を口から離すことはできない。

 自然と、ふーっ、ふーっ、と呼吸音は大きくなっていった。

「ミサカはここ最近この学園都市に逗留しているのですが、それがこの近くなのです。そしていまのミサカの住居は一方通行が手配してくれたもので、本日はそのお礼にと、ミサカを召し上が「ごほっ! げほっ! ごほんっ! あァ? なんか吸い込んだかなァ」・・・美味しいモノを召し上がって頂いたのです、とミサカは途中の不自然さを軽やかにごまかしながら長々とした説明を終えます」

「いや軽やかにも何も誤魔化せてないけど・・・って、いまなんて言った? 何を召し上がったって・・・」

 のんきな口調とともに、アナルバイブの動きが変わった。出し入れするものから、円を描く動作に。

「―――っ!」

 機械的な動作とは逆方向にタイミングを合わせてのものだ。刺激はさらに強くなる。

「んっ・・・んうぅっ・・・くぅんっ・・・」

 目尻に涙が浮き、喘ぎが抑えきれなくなってきた。

「いえ、決してミサカと言ったはいませ「だああああ! もういい! もうてめェはしゃべンなァ! それより三下ァ! てめェの背中に隠れた超電磁砲の様子がおかしいぞ体調わりィンじゃねェのかァ!?」

「!」

(―――ばれた!?)


「いや、たぶん恥ずかしがってんだと思うぜ」

「あ、あァ? ・・・恥ずかしい?」

「・・・・・・」


 見られたかもしれない。


「ああ。さっき、見たろ? 俺たちが、その・・・キスしてるとこ」

「う、あ、お、く、な・・・」

「・・・・・・」


(こんなところを)
「前もちょっと別の知り合いに見られたとき、こんな感じになってさ。顔見れない、とか言ってたんだ」

「そ、そうか・・・そりゃ、面倒な話だなァ」

「・・・・・・」


 ばれてしまったかもしれない。


「そういうわけだから、体調が悪いってわけじゃないんだ。心配かけたみたいで悪かったな、一方通行」

「ばっ、バカですかァ!? 誰がてめェらみてェなバカップルの心配なンざするかってンだ! てめェ脳みそ吹っ飛ンでンじゃねェのかァ?!」

「・・・・・・」


(こんなイヤらしいことをしているところを)


「ったく、付き合ってられるかってンだ。俺たちはもう行かせてもらうからなァ」

「ああ。すまないな、デートの邪魔しちまって」


 知られてしまったかもしれない。
「あァ!? デートじゃねェってなンべン言わせりゃ」

「そうですデートではありません、とミサカは一方通行の言葉を肯定します。いまはミサカの要望に応えてノーパ」カチッ「むぐっ!」

「ぜーぜー・・・じゃ、じゃあな三下ァ・・・せいぜいストロベリってやがれェ・・・」

「お、おお。でも、とりあえず口と一緒に鼻を押さえるのはやめてやれよ、な?」


(私がお尻で、感じるようなイヤらしい女の子だって・・・)


「あ・・・」

 ぞくぞく、と美琴の身体の中心を、紛れもない快楽が走り抜ける。

 俯いた視界の中、一方通行が杖をつかずに横を通り過ぎていくのと、『妹達』がそれに引っ張られるような形でついていくのと、上条が彼らの動きにあわせて自分を隠すようにしてくれているのと―――己の膝と膝の間を、ポタリポタリと糸を引いて蜜が落下していくのが見えた。

 スタスタスタ、と足早に一方通行が立ち去っていく。こっちを振り返る様子もない。『妹達』の方も強引に頭を抱えられてるため同様であった。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 そして、彼らとの距離が10メートルを稼いでから、

「さて、美琴」

 と、上条が言った。
「ん―――はあっ、んうぅん・・・とうまぁ」

 美琴は自分の手を口元から離すと、そのまま上条の腕にすがりついた。

 はぁはぁと熱い息とともに上条を見上げる美琴。膝をもじもじとすり合わせる彼女の視線は、恥ずかしげというよりも、そこから来る快楽ゆえに潤んでいる。

「もう我慢できないだろ?」

「う、うん・・・」

 その言葉に迷いなく頷く。

 ニヤリと笑う上条。

「だったら」

 すっ、とその場から横に二歩動いた。

 それは上条の影から外に出されるということ。

 それは、足早とはいえ、一直線の道を歩く一方通行たちが振り返れば、すぐにでも姿が見えるということ。

「!」

 美琴が目を見開く。

 だが美琴がそれ以上の反応するよりも先に、上条は自分にすがり付いていた彼女の手をとり、強引に身体を直立させた。

 動き続ける器具が妙なところにあたって美琴が声を出そうとするが、

「っ・・・」

 まだそう遠くない一方通行たちの背中が目に入り、辛うじて堪える。

 気がつけば、上条の右手は頬に、左手は今度は裾から入り込んで直接『尻尾』に添えた状態で、先程とは逆に美琴の影に上条が隠れる体勢になった。

「ちょっ、とうま」

 と、身をよじった美琴の耳元に上条は唇を寄せ、

「コートを脱いで、自分でしてみろよ」

 と、言った。

「っ!?」

 振り返る。

 しかし見返してくる上条の瞳は、笑いを含みながらも冗談で言っているような色はなかった。

「さっきだって、本当は見られたかったんだろ?」

「あ・・・」

 ずくり、と股間が疼いた。

「俺が気がついてないと思ったのか? あのとき、美琴のここは」

 ぐっ、とアナルバイブが押し込まれた。

「んううっ!」

「この尻尾をきゅんきゅん締め付けてたじゃないか」
「でも、でも・・・」

「見られたかったんだろ? 一方通行や『妹達』に見られるところを想像して、興奮しちまったんだろ?」

「あっ、あっ、う、動かさないでっ、聞こえちゃうよぅ」

 上条の左手が動く。腸液と愛液の混ざった音がぐちゅぐちゅと響き、美琴の尻が、言葉とは裏腹にぐりぐりと上条に押し当てられた。

「きっと凄いことになるぜ? いままでで一番気持ちいいかもな」

「い、いままでで、一番・・・」

 こくり、と美琴の喉が動いた。我知らず彼女の瞳がとろりと溶ける。

 少しずつ離れていく一方通行たち。その後ろで自慰をする自分。

 振り向かれたら、確実に見られてしまう。 

 声が聞かれたら、絶対に振り返られてしまう。

 普通でも大きいと言われる声を、この状態で抑えられるわけがない。

「はあ・・・はあ・・・わたし・・・わたし、こんなの・・・」

 美琴の中で、理性と欲望が激しくせめぎあう。だが―――
「な? するんだよ、美琴・・・」

 ふっ、と上条が美琴の耳に息を吹き掛け、『尻尾』を一度だけ突いた。

「!」

 それが最後の一押し。

 もう完全に『出来上がっている』身体は、その刺激をもって美琴の最後の自制心から離脱した。

「はあっ、はあっ、はあっ」

 パサリ、と小さな衣擦れの音。

 美琴の肩から、コートが落ちた音だ。

「あっ、はあっ、み、見てぇ・・・」

 荒く甘い呼吸を繰り返す美琴。

 晒された股間に彼女の両手が伸び、くちっ、と音をたてて左右に開かれる。

 アスファルトに数滴、液体の染みが華を咲かせた。
 周囲から、下手をすれば国からも隔絶されたこの都市にもエコの波は回避できないらしい。

 夜に極端に人の減る学生寮密集地は、街灯の数も少ない。

 だから逆に点灯している場所は、まるでスポットライトの如く人目を引く状況にあった。

「ぅ・・・・・・ふっ、んぅ・・・・・・」

 そんな暗い中の明るい夜の空気に、吐息とも喘ぎにもつかない声が溶け込んでいく。

 美琴の、まだ年齢的に発展途上と言っていい、いわゆる『膨らみかけ』の胸。

 揉むというには少し足りないその膨らみを撫でさすっているのは、他でもない美琴自身の左手だった。
(わたし、こんなになっちゃってる・・・・・・)

 掌に感じるのは浅い弾力の限界と同居する柔らかさと、全力疾走した後のように激しい鼓動と、そしてグミのように固くしこりたった感触。

 ゆっくりと上下する左手の、指の間と間に逐一ひっかかるその胸の中央の突起は、紛れもない興奮と欲情の証だった。

「くぅん・・・・・・あふぁ・・・・・・んうんっ」

 掌全体で刺激していた乳首を、親指と人差し指が捉えた。くんっ、と美琴の顎が上がる。

 薄いピンク色のそれを指の腹でくりくりと刺激する。そのたびに快楽が沸き上がり、吐息に熱がこもった。

「んくっ、あぁんっ、んんうっ」

(こ、声出ちゃう・・・・・・聞こえちゃうよ・・・・・・見られちゃうよぅ・・・・・・)

 漏れる声を必死に抑えながら、美琴は真正面を見た。

 スタスタと足早に歩き去る白い背中と、その脇に頭を抱えられた『妹達』の背中が、快楽に霞む目に飛び込んでくる。

 白はこちらを振り返ろうとする素振りも雰囲気もない。

 だが、『妹達』は歩きづらいのかどうなのか、少し身をよじっていた。能力を使用している一方通行がこける心配はないが、もし彼が面倒になって『妹達』を放すことにな
れば―――
(わたし、こんなになっちゃってる・・・・・・)

 掌に感じるのは浅い弾力の限界と同居する柔らかさと、全力疾走した後のように激しい鼓動と、そしてグミのように固くしこりたった感触。

 ゆっくりと上下する左手の、指の間と間に逐一ひっかかるその胸の中央の突起は、紛れもない興奮と欲情の証だった。

「くぅん・・・・・・あふぁ・・・・・・んうんっ」

 掌全体で刺激していた乳首を、親指と人差し指が捉えた。くんっ、と美琴の顎が上がる。

 薄いピンク色のそれを指の腹でくりくりと刺激する。そのたびに快楽が沸き上がり、吐息に熱がこもった。

「んくっ、あぁんっ、んんうっ」

(こ、声出ちゃう・・・・・・聞こえちゃうよ・・・・・・見られちゃうよぅ・・・・・・)

 漏れる声を必死に抑えながら、美琴は真正面を見た。

 スタスタと足早に歩き去る白い背中と、その脇に頭を抱えられた『妹達』の背中が、快楽に霞む目に飛び込んでくる。

 白はこちらを振り返ろうとする素振りも雰囲気もない。

 だが、『妹達』は歩きづらいのかどうなのか、少し身をよじっていた。能力を使用している一方通行がこける心配はないが、もし彼が面倒になって『妹達』を放すことにな
れば―――
(ぜ、ぜったい見られちゃう・・・・・・!)

 じゅん、と股間が熱くなる。

 秘裂をあやすように緩く揉んでいた右手に、新たな蜜が絡み付いた。

 見られる。

 『妹達』が気が付けば、一方通行だって気が付くだろう。

 離れたと言ってもまだ10数メートルだ。美琴がなにをしているかなど、一目瞭然である。

「だめぇ・・・・・・だめだよぅ・・・・・・」

 蜜が呼び水となり、ただ揃えられていただけの右手の指が動き出す。

 乳首とおなじように身を固くした陰核の周囲で、人差し指の先が円を描いた。

 部屋から続く度重なる悦楽に晒された快楽のスイッチは、とうの昔に包皮から顔を出し、直接的な刺激を待ち望んでいる。

 しかし美琴は自分自身を焦らすように、くるくると指先を遊ばせた。

 それは一つには声を抑える自信がなかったこと。

 そしていま一つは―――いつも自分を慰めるときの経験から―――そうした方が、絶頂時の快楽が深く強いからだった。

「あはっ、あうぅっ、あっ、あっ、あっ、あっ」

 美琴の声が焦りに似た響きを帯びはじめる。

(はやくいなくなって・・・・・・はやく角を曲がっていって・・・・・・)

 上条の部屋に出入りするようになって、もうかなり経つ。そのため美琴はこの学生寮の近くにある店は、ほぼ知り尽くしていた。

 そしてここから歩いて行ける範囲のコンビニは、もうそろそろ一方通行たちが到達する十字路を左折した先だ。

 彼らさえ曲がっていってくれれば、多少の激しい動きもできるようになる。

 多少の声も、抑えなくてよくなる。

「んああっ、あぁんっ、はやくっ、んくうっ、じゃないとっ、わたしっ」

 にも関わらず、美琴の右手の動きは徐々にはやく、激しくなっていった。

 陰核を弄ぶ指先は円を描くだけでなく、起立した芯の側面を微かにひっかき始める。残った中指と薬指はその動きに連動して、秘裂の右側をめくるように掻き、あるいて時折、膣口の中に滑り込んでいく。

「はあっ、はあっ、ああんっ、あはあっ」

 美琴はもう抑え切れなくなってきた喘ぎを無理に飲み込み、唾液をたっぷりと乗せた舌を出した。

 俯いた舌先から、とろり、と糸をひいて雫が落下する。

 僅かな夜風に糸が揺れるが、珠となった唾液は美琴の望む場所に着地した。

「んっ、んはあっ、あはっ、ぬるぬるっ、してっ」

 それは、左手で弄ばれび続ける、突起の位置。

 粘度の高い唾液はそのまま潤滑油となる。

 つるりつるりとしごきたてる動きが滑らかなり、それに応じて微かに響くニチャニチャという音が、さらに彼女の興奮を煽っていった。

「んんんぅ・・・・・・あはっ、気持ちいい・・・・・・こっちも、もっと、もっとぉ」

 無意識に言葉を漏らしながら、美琴が尻をぐりぐりと後ろに突き出し、上下左右に振りたてた。丸い尻が柔らかそうに形を歪める。

 上条の手で固定された『尻尾』は彼女の尻の動きに応じ、禁断の快楽を身体に響かせていった。
「あぁぁ、あんっ、んむぅ、んんんっ」

 美琴の舌が突き出され、まるで何かを嘗めるように、あるいて何かと絡み合わされているかのように艶かしく動き始めた。唾液が口元を濡らし、街灯の明かりをぬらぬらと反射する。

(だめっ、もう我慢できないよ・・・・・・。はやく、はやく曲がって行ってぇ・・・・・・お願いよぉ)

 美琴の目は、もう一方通行たちしか見えていない。

 誰かに見られるかもしれない周囲も、スポットライトのように浮かび上がった自分の淫らな姿も気にしていなかった。

 一刻もはやく一方通行たちがいなくなることを望み、一刻もはやくこの煮えるような快楽を味わいつくしたかった。

 指が乳首を摘む。秘裂がじゅくじゅくと泡をたてる。踊るように尻が揺れる。

(あぁ・・・・・・でも、でも)

 美琴の右手人差し指が秘芯から離れ、ピン、と伸ばされた。そしていままで陰毛の中に埋もれていただけの親指が、少しだけ下方にずれ動く。

(見られちゃう・・・・・・見れらちゃったら・・・・・・)

 一方通行が去っていく。『妹達』―――10033号の背中が、遠くなっていく。

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」

 一方通行が曲がり角に差し掛かった。左折しようとする。
彼の左手に抱えられた姿勢の10033号が、同じように曲がりかけ、



 そのタイミングで、不意に後ろ手にスカートの裾をまくりあげた。



「っ」

 美琴が息を呑み、目を見開いた。

 上条からは絶対に見えない角度で美琴だけに示された10033号のスカートの下は、紛れもなく肌色が覗くだけで布がなく、そして、

「・・・・・・・・・・・・」

 曲がり角の向こうに消える直前、10033号は確かに美琴に目を向け、薄い笑みを浮かべたのだ。



 気がついていました、とミサカはお姉様の淫らな姿をはっきりと目撃します。



「!」

 MNWに繋がっていないにも関わらず、美琴ははっきりと、10033号の声を聞いた。

 見られた。

 気づかれてた。

 隠そうとしていたものは、とうの昔に知られていたことだった。

 そして『妹達』に知られるということは、全世界の『妹達』が知ることと同義で―――

(っ!!!)

 凄まじい絶望感とそれを圧する圧倒的な快感が美琴を、貫いた。
ビクビクと身体の奥が震える。絶頂の予感。

「はああっ! あっ! あっ! ああ―――んむぅっ!」

 それを察した上条の右手指が口の中に滑り込んだ。

 喘ぎを封じられ、何度も左右に首を振る。

 だがもう息苦しさも何もかも、美琴にはわからなくなっていた。

 ひとりでに左手の人差し指と親指が乳首を強くしごきたてる。よだれが落ちる。

(イッちゃう! わたしっ、もうだめっ! イくっ!)

 何も映っていない視界に浮かぶのは、さきほど見えた10033号の下半身。

 己のクローンである彼女の恥態は、そのまま、自分自身に恥態をはっきりと認識させるもの。

「んんっ! んんんんっ! ひっひゃうっ! ひくっ!」

(見て! わたしっ、オナニーしてるのっ! 外で裸になって、こんなにイヤらしくて!)

 そして、さきほどから放置されていた秘芯。

 小さく震えるそれを、美琴の人差し指と親指が、きゅっ、と摘み潰した。

「―――ひ」

 ビクン、と跳ねる美琴。

 視界と思考が真っ白になり、いままで溜まりに溜まっていた欲望が爆発した。

「んんっ、んんんんんんんーっ!」

 街灯のスポットライトに浮き上がった、美琴の裸身。

 海老のようにのけ反った淫らな少女の股間から、びゅるっ! と粘度の低い液体
が何度も噴き出し、飛沫を散らした。
 ぴくんっ、ぴくんっ、と何度も震え、その度に秘裂から液体をちらす。

 そして―――

「う、ううん・・・・・・んんん・・・・・・・ふぁあ・・・・・・・・」

 くたりと上条の腕の中にその身を沈めた美琴。

 その股間から、ちょろろろ、とまったく別の水音が鳴った。

 湯気をたてるその液体は、蜜とは異なり小さく放物線を描いて道路に落ち、大きな水溜まりをつくっていく。

「ぁぁ・・・・・・ぁぁぁぁ・・・・・・」

 しかし水溜まりはすぐに決壊し、溢れた液体が、脱ぎ捨てられていた美琴のコートをびしょびしょに濡らしていった。
 僅かに離れた場所。

 10033号を小脇に抱えた一方通行は、不意に二回、パシパシと左膝を叩かれる感触に脚をとめた。

 『ストップ』のサインだ。

「あ、あァ?」

 反射的に腕を緩め、10033号の顔を見る一方通行。

 だが見上げてくる少女は、パクパクと口を動かすものの、何かいう気配がない。

「なんだァ?」

 一方通行は首を傾げる。10033号はしばらく口をパクパクさせていたが、やがてもう一度ストップサインを送ってきた。

 そこに至ってようやく、一方通行は彼女の口パクの理由に思い至った。

(しまった、忘れてたぜェ・・・・・・呼び止められてもめンどくせェから音を反射してたンだった・・・・・・)

 カチリ、とチョーカーのスイッチを通常に戻し、ついでに腕を緩める。

 すると、10033号はするりと彼の腕から抜け、顔をあげた。

「申し訳ありませんご主人様、とミサカは謝りながらも急いでスカートの裾を直します」

 言いながら、裾を直す10033号。

 その仕種で、一方通行は自分の失態を悟った。

 常盤台の制服は、意外とスカートが短い。

 いまの10033号の状態であんな風に頭をかかえていたら、下手をすれば丸見えになってしまう。

「す、すまねェ、ちょっと動揺してたもンでなァ・・・・・・」

 思わず謝ってしまう。

 普段は誰にだってこんな態度はとらないのだが、なぜか10033号にだけは―――彼女は自分の奴隷でそういう謝罪とはもっとも無縁でいいはずなのだが―――謝ってしまう癖がついていた。

 だが10033号は、いいえ、と首を振り、

「ストップサインは裾もありますが、それは自業自得ですしむしろ望むところなので問題ではありません、とミサカは自分の露出願望をご主人様に申告します」

「・・・・・・・・・・・・」

(むしろってなンだ・・・・・・)

 普段は一方通行だが、プレイ中は『ご主人様』で統一されている。

 まだ慣れない自分への呼称もアレだが、聞き捨てならない台詞があった気がした。

 だが10033号は一方通行の問う視線には構わず、

「すみません少し急いでいるので失礼します、とミサカは目を閉じます。ちょっとだけ話し掛けないでくださると助かります」

 と言って、目を閉じた。

 美琴はMNWにアクセスすることはできない。だからネットワーク越しの個人通信は無理だが、ただの電子信号を送ることなら可能だった。

 だから10033号は、いまの思考を、50メートルも離れていない『お姉様』相手に送信する。
 彼女も自分のことは黙っていてほしいにちがいない。

 10033号とて、他のミサカたち以外には性癖を知られるつもりはないのだ。まぁ、口を滑らせることはあるが。


 安心してください。いまのことはお互いの秘密です。


「・・・・・・・・・・・・」

 送信完了。この内容ならば、他の誰かに傍受されても意味がわかるまい。

「・・・・・・・・・・・・」

 目を開けば、一方通行が訝しげな視線を投げかけてきていた。

 だが10033号は、このことを説明しない。主人の疑問に応えないのは奴隷失格かもしれないが、

(・・・・・・ご主人様の奴隷だと他の人に知られたくないのは、ミサカもお姉様さまも同じだとミサカは確信します)

「・・・・・・お待たせしましたご主人様。散歩を続けましょう、とミサカは欲望に濡れた瞳でご主人様を見ます」

 だから10033号は深々と頭をさげ、一方通行の左手をとった。

 そのままブラジャーをつけていない胸を押し付けるようにして、隣に並ぶ。そして彼の掌を、スカートの中に入れた。

「お、おォ・・・・・・」

 頷く一方通行。

 微妙な顔つきだが、その頬は赤く染まっている。腕を振り払うつもりもなさそうだった。

 そんな『ご主人様』に10033号は欲情と愛情がない混ぜになった笑みを向ける。

 彼の指が触れた10033号の秘裂が、クチリ、と水音をたてた。

 

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