上条「なんだこのカード」 > Season1 > 09


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階段をひたすら登る少年がいた

逆に上の階から、誰かが駆け降りる音が聞こえる

(上から人が来ますよ)

上条(ああ。だがこの音からして、駆動鎧じゃない。気にせず登るさ)

血相を変えた男がまるでこけ落ちるようにして下ってきたのが視界に入る

否、こけた。上条に覆いかぶさるようにして、落ちてくる

上条(こんなところでも、私の不幸能力は衰えを知らないんですな…)

平時の上条ならともかく、集中している上条が押しつぶされるようなことは無い

最小限の動きで、避ける

踊り場へ倒れこんだ男は、物理的なダメージのせいか心理的に圧迫されていたせいか、ほどなくして気を失った

(この男、理事会のメンバーですね)

上条(TVに出てたおっさんだな。上で何が有ったんだ?)

(分かりません。ですが、彼自体は重要な証言者になりえるかも知れません。どこかに捕縛しておきましょう)

手近な階のトイレに縛り付けておいた

(これは、もしかすると悠長にデータを見ているような時間は無いかもしれないですね)

上条(ああ、嫌な感じがする。一刻も早く最上層階へ向かうべきだな)

 

 

 

佐天「第三位っていっても、考えることは他の人と同じですね」

御坂に完全に背を向けた状態で喋りかけた

咄嗟の発言に驚くも、気にせず触れようと手を伸ばす

瞬間、振り向いて御坂が伸ばした手を払った

触れない様に圧縮した空気を手と手の間に挟んで払ったので、弾かれた方の御坂の中指などが明後日の方向を向く

とっさに距離を取って、佐天から離れる

右手はしばらく物を持つことが出来ないだろう

左手で銃を構え電磁砲で弾幕を張り、悲鳴を上げる右手で閃光を放つ

佐天「皆同じような攻撃しかしてこない。何度も接近戦での奇襲を味わえば、あたしも学習しますよ」

両手を壁につけ、球体にする。
この特殊な壁は削れること無く球体になり薄くなった部分をすぐに覆ってしまい、どれだけの規模を球に圧縮したのかわからない

佐天「少しハンデがキツイようですから教えますね。私のもう一つの能力、濃度操作は触れたものを最大ボーリングの玉ぐらいに圧縮できるんですよ」

球体を二つ持ちあげ、御坂の方向へ向ける

佐天「最大重量は10tぐらいですけど、コンクリート10t分を球にしたら、どれだけの圧力がかかってることになるでしょうね」

佐天「もしそれが解き放たれて爆発したら、近くで巻き込まれた人間ってどうなるのかなぁ?」

佐天「第三位の御坂さんなら も ち ろ ん 何の問題も無いんでしょうけど。あ、ちなみに今までの同じような攻撃は重さ10kgにも満たない椅子とかですから。頑張ってくださいね」

右手の球が御坂の方向へ打ち出された

電磁砲を打ち込み、迎撃しようとするが、如何せん重量が高すぎて撃ち落とせない

御坂の前1m強の位置で、炸裂した

大小様々な大きさに割れたコンクリートの断片がとんでもない勢いで周りに広がる

部屋の4分の1に破片が当り、くだけ散る

極小なコンクリート片が粉塵となり、佐天には御坂の様子はしばらく見えない

普通に食らっていたならば、恐らく体は粉々に吹き飛んでいただろう

だが、絶望的な状況の中で少女は何とか身を守る方法を編み出し、実行していた

自分の方向へ飛んでくる破片と明後日の方向に飛んでいく破片に電撃を浴びせ磁化し、極力自分の方向へ飛んでくる破片をそらして減らしたのだ

絶望的な量ではあったが、流石はLV5の演算規模である。何とか致命傷は避けられた

御坂(駆動率…82%ダウン。これだと、重いだけの鎧…じゃない。怪我も…して、動け…な、ぃよ)

命は残ってはいるものの、鎧は凹み穴があき、体は打撲・裂傷・刺傷である

体中の到る所で骨折が起きていた

佐天「あれで死なないなんて、さっすが御坂さんですね。すごいなー第3位は。憧れちゃうな―」

佐天「でも可哀相。ほとんど死にかけじゃないですか」

佐天「友達としてそんな酷い状態の御坂さんは見ていられません。だから」

佐天「ひと思いに… こ ろ し て あ げ ちゃ い ま す ね」

左手の球を弾き出す素振りが見えた

御坂(ぁう…ここまで、みたいね。どうせ…なら、アイツに、とう…ま、に、思いを伝えておきたかっ…た)

絶対絶命の状況で視界の端に自分の思い人の姿が現れたような、そんな気がした

 

 

 

ようやく最上層に登った少年の視界に入ったのは

良く知る少女が駆動鎧を着込み、そしてあからさまにボロボロになった光景と

それに追い打ちをかけるように、謎の球体を射出しようとしている少女の姿だった

彼女を守るために必要な行動は一つ

上条(準備は?)

(いつでも)

それを何ら躊躇わず、行った


突如として、能力が消え去る

目の前にある、球体に圧縮された壁にかかっていた圧力が消えた

佐天「…え?」

この言葉が果たして音になる暇が有ったのか、彼女の前の球が爆発した

彼女を守る絶対的な障壁も、今はない

爆発により放たれた大量の破片により、少女の体は一瞬のうちに砕け散った

謎の爆発により、攻撃しようとしていた少女がこの世から消え去ると

上条はボロボロの駆動鎧の元へ走った

明らかに行動を制限しているだけの鎧をはぎ取り、中から少女を助け出す

駆動鎧用のスーツを着ていたためか、出血はすぐさまに死をもたらすものではなさそうだった

四肢の骨が折れてはいるが、脈はあるし、息も特に乱れはない

上条「酷くやられているが、大丈夫か?」

御坂「こんな、所で、会うなんて。あんた…も死んだの?」

顔になんとか笑顔を浮かべる

上条「冗談は言えるみたいだな。ちょっと待ってろ」

着ていた服を裂いたもので傷口を覆い、骨折箇所に適当な物を副子として当てがって固定する

御坂「うん。でも、助けに、来てくれるなら…もっと早く来なさい、よ」

上条「悪かったな。」

御坂「全くよ。手…動かせないと、抱き締めることも、できないじゃない」

上条「後で満足いくまで抱きしめてやるから、今はじっとしてろ」

御坂「うん。約束、だからね…ありがと」

そう言って意識が途切れた

上条(眠っちまったな)

(仕方ないでしょう。死ぬ寸前まで追い込まれて、最後にあなたが現れたら、安心してこうなっちゃいますよ)

上条(お前が何が言いたいのかは置いといて、どうだ?御坂の着てた鎧の保存領域には何か保存されてたか?)

(完璧ですよ。私たちが求めていた物といっても遜色ないでしょう)

上条(こりゃ、感謝してもしきれないな)

(約束を忘れずに守りさえしたら、彼女は満足でしょうけどね。ひとまず、下の男を連れてここを出ましょう。他の理事会員は既に手遅 れでしょうし)

闘いで飛び散った理事会メンバーのを見渡す。見知った顔もあった

上条(…ああ、そうだな)

御坂を背負い、階段を下る

ホルダーの発信器に電気信号を与え、監視しているだろう麦野たちにメッセージを送った

 

 

 

日本国 首相官邸

学園都市での内乱による被害の広がりと遅々として進まない沈静化に対して各国大使館・ホットラインから連絡が大量に入り、大わらわであった

「貴国の治安機構はどうなっているんだ!状況の好転が見受けられないぞ」
「学園都市には我が国からも多額の投資を行っているんだ!分かっているのか!」

学園都市というとんでもない科学先進地域が成立したのは、主に冷戦終結後である

東西国家が冷戦によって軍事方面に特化していたのだが、冷戦終結前後、異常な軍事力が不必要となり世界的に軍縮が進んだ

投資家からすれば、まず間違いなかった投資先としての軍需が消え、それが各国のバブルとして現出した

そのバブルの一つが学園都市の急成長である 1700年の知恵を持つアレイスターの手腕によって世界各国から投資を得、急成長したのである

多くの学生が奨学金だけで生活できるのもそのおかげであった

故に、学園都市の利害は各国の利害に通じるものが有るのだ

その中での最大の投資国であるアメリカは、非公式に大統領が日本の官邸を訪れていた

米国大統領「このまま沈静化が見受けられないならば、我が国の利益を守るため軍事力をもって介入という形になるがよろしいかな?」

日本首相「日米安全保障条約は貴国の介入理由になりません。民主主義国への不適切な軍事介入は国際的に非難を受けることになりますが。その覚悟は御有りか?」

米国大統領「そのような条約は問題にならない。すでに他OECD加盟国には通達済みで好返事が返ってきている。介入理由も この通りだ」

先日のデモの映像が流される。風紀委員の腕章をした能力者が無能力者の集団を一方的に虐殺している映像だった

米「利権的な意味でも、人道主義的にも、我が国の出兵は国際社会の援護をこそ受け、反対されることなどない。私が直々に来たのは既定路線を説明するのが目的ではない」

米「日本国の治安機構には欠陥が有るとして、学園都市の占領統治の計画が議会に上がっている。この議案は、これまでに深刻な人権侵害が横行していて、それがこの度の悲劇を招いた。とするもので」

米「故に世界最大最高の自由を掲げる我が国が日米同盟という責任の下、彼の場所を直接統治しようというものだ」

日本「露骨な内政干渉だ!絶対に我が国としては認められません」

米「それはわかっているよ。しかし、だ。現実の所、悲劇は起きている。原因は日本という自由民主主義国家が実は非常な差別主義的側面を持っていたからだという非難を受けるだろう」

米「そうなれば、我が国を始め経済制裁など貴国への制裁決議を取る国が現れるだろう。輸出入に国家の大半を依拠している貴国にとっては深刻な問題だ」

米「だが、ここで自身の無力を認め、国際社会が認めるアメリカという国家が仕方なく沈静化と健常化の為に動くとなれば、それら批判はかわせる。すでに各国にも手はずはそのように整っている」

米「さて、たった200万程度の子供の為に、他の1億2千万もの人々の私生活を脅かすような決断が、君に取れるかね」

日本「いかにもアメリカ的な脅しですね。被害者が出ているのは我が国だというのに…分かりました。占領統治をお願いします」

米「さぞ断腸の想いだと思われる。安心したまえ。君の政治生命は私が保障しよう」

日本首相「…ありがとうございます。大統領」

 

 

 

夕暮れ 車内

 

麦野「で、どうしてこうなったわけ?」

もともと3列シートの車の中に、今は合計8人の乗員がいる

つまり満員だ

もともと多くの機械や資材を積んでいるので満載になると非常に狭い

その上乗員の内一人は大怪我を負っていてゆったりさせてやる必要が有った

手足を縛られ耳栓目隠し口には布を詰め込まれた初老の男性に至っては、場所を食うので後ろの荷物置きに置かれている

日頃では感じることはない窮屈さを感じて明らかに麦野は機嫌が悪い

フレンダ「さっきまで凄く嬉々としてたのにこの変わりよう。最高齢なのに子供な訳よ」

麦野「人を婆さんみたいに言わないでほしいわね」

やれやれと言った感じのフレンダにヤクザ顔負けのにらみをかます

フレンダ「おー、どう、どう」

絹旗「で、どういう経緯でこんな愉快なパーティメンバーになったんです?」

御坂の隣で処置をしながら答える

上条「連れてくるのを手伝った浜面には教えたけど、このおっさんは統括理事会の生き残りだ」

浜面「で、そこの第三位が理事会室で殺られそうなのを上条が助けた、だろ?」

フレンダ「生き残り、ってことは他11名全員死んじゃったの?つい最近減った分を補充されたばっかりなのに可哀相ね」

上条「運が無かったんだろうな。不幸続きの上条さんとしては人ごととは思えません。あ、オキシドールあるか?」

絹旗「どうぞ」

上条「サンキュ。沁みるだろうけど、我慢しろよー」

意識が無い人間に言葉をかけながら的確な応急処置を下していく。その手際からは慣れを感じる

そして、その処置対象が寝ているはずなのに喜んでいるような表情が浮かんでいるように見え、狭さに増しておもしろくなさそうな人間が一人

麦野「それよりも、どうして、と、当麻が理事会なんかに用があったの?」

作業が粗方終わるのを見計らって、身を乗り出して質問をした

フレ滝壺絹旗浜面AI御坂(とうま、だと…)

上条「あー、多分、殆どこいつと同じだな」

膝の上の少女の額を撫でながら答える

寝ているハズの御坂の表情に変化が有ったが、彼は気が付かなかった

上条「でもって立場上、あなた方には言えませんです」

麦野「ちょっと、この子は知ってて私が知らないのは気に食わないんだけど」

上条「特にここの暗部組織の皆さんとなると、その上に何がいるのか特定できない分、な」

御坂(ということは、今の当麻は学園都市上部とは基本的に対立的な立場にいるってこと?)

(ちょっと待って下さい。既に手遅れかもしれませんよ?今彼女らが上と連絡を取れるかどうか聞いてみてください)

食い下がる気配を見せない麦野が口を開く前に上条が話す

上条「あのですね、今現在、麦野s「しずり!」…沈利さんは暗部の上役と連絡が取れますでしょーか?」

麦野「一応、当麻と浜面が帰ってくるまでに連絡を入れてみたけど、繋がらなかったわ」

上条「じゃあ、今もう一度試してくれるか?」

言われて、怪訝な顔をしたが、携帯端末を取り出し、通話をする

しばらく、時間だけが過ぎた

麦野「やっぱり駄目ね。しかも、さっきまではお留守番サービスに繋がったけど今回はコールの後すぐに切れたわ」

眉をひそめる上条

(これは…やられましたか)

あわてて二列目から三列目のシートの裏で転がっている紳士の方へ身を乗り出し体を探る

その際、三列目に狭そうに座っていた麦野の胸元へ足が当っていたのだが、上条は気付かない

紳士の首の部分にしこりがあった

上条(これはやっぱり)

(ええ、何かを送信してますね。動きを感じます)

救急セットからナイフを取り出し、皮の中から発信器を切り取って破壊した

なぜか顔を赤くしている麦野の方を向き、真剣な顔をして、口を開く

上条「少々、不味いことになりましたよ」

麦野「えっと、何事?」

上条「恐らくだが、君達はこの学園都市を混乱に陥れた連中に、狙われることになった…と思う」

一瞬、間を置き、開校したのは滝壺だった

滝壺「…それは、どういうこと?」

上条「俺や、恐らく御坂もだが、このスキルアウト蜂起から宣戦布告まで何か裏が有ると思って探っていたんだ」

上条「そして、メインタワーへ忍び込んで情報を集めた」

上条「そこで、御坂は敵の能力者と闘って、こんな怪我を負っちまった訳なんだ。推測が正しければ、御坂が戦ったのはそこに居るおっさんを助けるためだ。なぁ、そうだろう?」

また身を乗り出し、紳士に銃口を向けた。恐怖を浮かべ首を縦に振る。それを麦野と滝壺が確認した

上条「なぜこんなおっさんを助けたのかって言うと、コイツはこの学園都市に戦火を点けた連中に加担している可能性が有ったからだ」

上条「御坂が調べたデータと音声データがそう言ってる。これを聞いてくれ」

車の中のスピーカーに佐天と紳士の話が流れる

上条「データによると、地下に大型の兵器生産工場と、学園都市内でもまだロールアウトしていない機種の駆動鎧が一万ほど あったのが確認されている」

上条「そして、この会話では食い違いが起きているようだ。迎えに来るものが違う、ってね」

上条「10中8,9、このおっさんは利用され、今後邪魔になると判断されて、この少女に殺される予定だったんだと思う」

上条「だが、完全なるイレギュラーが現れ、その予定が変わってしまった。連中にとっては大誤算。おっさんの口から自分達の関与が表に出されるわけにはいかない」

上条「もちろん、こんな計画を考えている訳だから、最初から裏切り対策としてこの男には発信器が、それも超高性能な奴が、埋め込まれていた。何時でも暗殺処分出来るようにだ」

上条「この車に麦野の一派が乗っていることは学園都市上層部は分かっている。つまり、内部に工作員が居る連中にもバレてるってことだ」

上条「不必要に情報を知る可能性が有るやつは、つまり不安要素は、削除するのがこの業界の常だ。こいつを救った御坂はもちろん、む…沈利をはじめとして浜面まで、暗殺対象にされちまった可能性が高い」

上条「そう考えると、沈利との連絡が急に切断という人為的回線切断終了の仕方になったのも説明が付くからな」

ここまで一気に話をして、膝に両拳を乗せ、頭を垂れる

上条「状況証拠からの推測だが、間違って無いと思う。俺の判断ミスで巻き込んでしまった。申し訳ない」

浜面「…今更、そんなことを言われてビビるような俺たちじゃねぇよ」

車を運転し、前を向きながら話す

浜面「こちとら、みんな散々危険な経験を積んでんだ。何かに狙われるのは、今が初めてってわけじゃ無いハズだ」

浜面「だから、今俺が、俺たちが聞きたいのはそんなどうしようもない過去の事より、どうすりゃいいのか、だぜ。大将」

フレンダ「ヘタレな浜面にしては言うじゃない。でも、ま、私も同じ意見なわけよ」

滝壺「わたしも、はまづらと同じ意見」

絹旗「下っ端にここまで言われたんです。責任はとってもらいますよ。上条さん」

麦野「もちろん、何か考えてあるわよね?」

いつの間にか目を覚ました御坂までこちらを見ている

上条「ああ、まずは態勢を整えよう。浜面、適当な病院にいってくれ」

浜面「任せろ」

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