上条「なんだこのカード」 > Season1 > 08


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野戦病院から轟音と共に飛び出した少女は、数秒で音速を超え一瞬で戦場へ帰還した

弾の先端についた風穴によってキャパシティダウンの効果を持つ音を出す弾丸の登場で 一度はビル前まで進んでいた前線も押し戻され、人工能力者の死体が転がっていた

そこへ彼女が轟音と共に現れ、壁や崩れた破片や装甲車を盾に銃撃をしていた防衛部隊を、その盾ごと弾き飛ばす

「戦女が復帰したぞ!」

「早速やってくれた!流石は英雄様だ!今ので防衛線が崩れたぞ!押し込めえぇ! 」

「待て!今前線を押し上げてどうする!さっき撤退命令が出たばかりだろ!」

佐天「アタシはあの中に入りたいだけだから!注意をひきつけているうちに退くなら退いて! 」

「了解した!オイ!女の子一人単身突入するのに見守るだけってわけにはいかないよな!」

「俺たちも突撃だ!攻撃先を二分させるぞ!障壁能力持ってるやつはいるか!?」

全体は撤退、少数が突出し、攻撃が少女と囮部隊に集中する

メインエントランスの防衛部隊が扉ごと吹き飛び、少女が中に滑り込んだ

背後で味方の断末魔が聞こえたが、振り返らない

佐天(メインエレベーターは動いてない。非常灯しかついてないし、階段から上がる!)

非常階段へ走る

そこは、血とミンチ状になった肉と壊れた機械の部品が大量に転がった惨状だった

ところどころに焦げ跡が残っている

佐天(うぇっ、誰か他にも侵入してる?でも、手間が省けたわ)

理事会員の場所は最上層部、300m以上の区画

そこまで階段を駆けていくのは、体力的に負担が大きい

もちろん、少し自分を浮かせて、能力による移動だ

宙に浮けば一階一階の移動など、さしたる時間がかかるわけではない

150m地点までは敵に出会うこと無く、登れた

上っている最中、ところどころで血と肉片が壁に飛び散っていて、その原因であるかのような、焦げも同時に存在した

佐天(ここにも丸い円状の跡。恐らくこの人はここに立っていて、一撃でやられたみたい)

佐天(ここに立って角度で攻撃を加えられて、あっち側に弾痕が無いってことは、反撃の暇も無く瞬殺されたのか)

佐天(駆動鎧を一発でここまでミンチに出来る威力っていうと、アタシの知ってるではあの人しかいない)

佐天(なんでここに居るのかわからないけど、もし敵として出会ったら構わず、戦おう)

150mでは扉が完全に壊され、中にも血飛沫で赤く染まった所が見える

彼女にとっては関係の無い場所であるので、無論気にせず上に進む

少し上の階の階段に差し掛かった時、踊り場で駆動歩兵と遭遇してしまった

見下ろすように銃を構えていて、躊躇なく射撃する

建物内で死体以外の敵と遭遇していない彼女は反応が遅れる

負担を抑えるため、移動以外に極力能力の使用を抑えていたので特殊弾頭・領域減衰弾の音が耳に入ってしまう

不快音が頭に響く

佐天(これがあの時皆が悩まされていた音…。見た目以上にキツいよこれ)

今までの戦闘経験から、銃口が向けられていたのを確認した時点で、反射的に踊り場から退避した為、直撃は無いが制服に銃弾が掠り、右肩が露出

両肩が破れてしまった為、下着姿があらわになるが、それどころではない

なんとか、苦痛に悩まされながらも慣性障壁を自分の周りに張った

通常の能力者ならそんなことは不可能だっただろうが、彼女は特別だった 2つの人工的な演算領域と蓄積炉の構築と使用によって、幻想御手の際に酷使された彼女自身の演算領域と微細な炉が、両ユニットのバランス調整という役割を担い、自発的な脳内活性によって成熟していた

それらの領域を並列でつなぎ、それぞれの演算ユニットに僅かに残った演算領域を一つの能力へ集合させたからこそ、持ち直すことが出来た

一方で、タワーの警護を任されたエリート駆動鎧部隊も甘い判断を下したりしない。

特殊弾射撃による効果が無くなったと分かった時点で、二名の内片方が距離を詰め、接近戦を挑んできた

上の踊り場から、とび蹴りをしつつ急降下

当然障壁に当り、勢いを無くすがそれも計算の内で、見事に着地。障壁内へ手を差し込み、鎧内に収納してあった小型榴弾砲を打ち出した

所詮はLV4である。障壁内に二重に障壁を作ることは出来ない。だが、彼女にはもう一つの能力が有る

手が入った時点でその方向へ右手を伸ばし空気の壁を作っていた その壁に当り、炸裂する榴弾。

その時に出た爆風を義手の左手で集め、上の踊り場にいるもう一人へと投げつける

高圧の固い空気をぶつけられ、鎧は壊れ肋骨にヒビが入る。さらに止めと言わんばかりに球体に固まっていた爆風を胸に当った状態で解き放つ

その爆圧により、吹き飛ばされ、直撃を受けた肋骨はおろか、肺と心臓が破裂した。駆動鎧のフェイスガードが口から溢れる血で真っ赤に染まる

接近戦を挑んだもう一人の方は、すでにバスケットボール大の球へと変化し、もともとはそれが人間とバトルスーツであったことを感じさせない

その球を階下へ落とし、落下中に解放、階下の壁に赤い染みが一つ増えた

佐天(…ふぅ、焦った。って、ブラ丸出しじゃん!圧縮して殺さずに、スーツ奪えばよかった)

取り敢えず、破れた布地を結び会わせた

佐天(さっきのはマジで危なかった。これから上にはもっといるだろうから、出し惜しみはしないでおこう)

障壁をそのままに、奇襲を意識して上層へ宙を駆った

 

 

 

今までで50人弱の人間を出会うたびに一瞬で絶命させてきた

その返り血や肉片・オイルで怪しい気配を漂わせる鎧を着、

暗い部屋で小さな端末の前に少女は立っていた

学園都市のクラウドサーバーが立ち並ぶフロアで主電力の回復を待っている

御坂(私が地下から離れて一時間弱。そろそろ主電力が回復するはず)

御坂(黒子が言うにはタワー全域にAIMジャマ―が発動する。そうなると電磁砲も使えないし、手打ちでデータを閲覧しなきゃならない)

御坂(時間と手間のかかる手動入力でデータ閲覧中に攻撃されたら、私はただの駆動鎧を着込んだ女子中学生。恐らく、上から増援も来る。上層防衛部隊はエリート部隊だろうから能力無じゃ敵いっこない)

目の前の端末を起こす
非常電源下の管理用端末という表示が映し出された。
現在は全サーバーに十分な電力が供給されず、アクセスは出来ないようだ

御坂(理想は電力が回復しても能力が使える状態。せめてこのフロアだけでも)

施設全体の電力供給が図示される

御坂(ダメ。これだけじゃどこにジャマ―が配置されているかなんてわかんない)

構造図を見てこの状況を解決する方法を探し出す

各階へ電気をつたえる動力線は施設中央でまとめられているのを確認した

御坂(…!あるじゃない。方法)

予備のケーブルを資材室から大量に引っ張り出し、メインコンピュータに挿入した

それを肩にかけ、上の階に登る

御坂(これをサーバー設置が無い階まで持って上がってっと)

ある程度上がったところで、駆動鎧の亡骸が有った

御坂(わ、むごい)

胸部に巨大な鉄球が直撃したかのような跡が残り、肉体から折れた肋骨が飛び出していた

御坂(私がここまで来るまでに、やられている駆動鎧はなかった)

御坂(ということは、私がサーバーの階層に着いた後から他の侵入者が来て上に行ったって可能性が大きい)

御坂(でも、一体誰が?かなりの能力者の仕業なのは分かるけど)

そんなことを考えながら、上の、違う階層に着いた。
そこにいた駆動鎧兵を極音速弾で射抜き、血の飛沫が壁と床に広がる

御坂(制圧完了。後は適当な固定端末はあるかしら)

オフィスのような部屋には無数の端末が有った

どうやら都市行政の上層階層らしい

一番近くの端末の電源を入れる
非常電源でも立ちあがった

その端末にここまで伸ばしたコードを接続し、ひとまずこの部屋を出る

タワーの中央を通る動力線が内包されている柱の前に立ち、銃を構えた

電磁砲独特の轟音と共に一弾倉全て柱へ叩き込むと、柱の中からいろいろな管や配線が現れる

御坂(上に電気を供給してるのは…これね)

少し離れ、榴弾を穴のあいた柱へ射出し、完全に断線していることを確認した

御坂(これで、サーバーフロアより上のフロアには核融合炉からの電気の供給は届かない。その範囲ではAIMジャマ―は使えくなるはず)

オフィスルームへ戻り接続した端末を弄る

ちょうど電力が回復したようでクラウドサーバーにアクセスが出来るようになった

鎧の腰にある記憶領域からコードを伸ばし、接続する

御坂(さって、洗いざらい調べさせてもらうわよぉ!)

 

 

「なんでAIMジャマ―が発動しないんだ!」

「電気が途中で断線してるんだよ!理由は知らん! 」

「いや、もともとこいつには効果が無いらしい!今ある装備で倒すしかないぞ!」

「無理に決まってるだろう!ここまで何人やられたと思ってるんだ! 」

絶望的な会話と銃声がしばらく続いたが、すぐに音は聞こえなくなった

最上層部を守る防衛部隊を倒しきり、ついに理事会員がいるはずのフロアに辿り着いた

そこには、ただ白いだけの壁が広がっているだけで、固定端末一つを除いて扉も何もなかった

佐天(この壁の向こうに居るんだよね。だったらやることは一つ!)

壁に触れ、人が通れるぐらいの穴が開くように球に圧縮しようとする

確かに圧縮された壁の塊のような球はできたが、穴は開かない

まるで、水の上の一部だけが氷になっただけのような見た目だった

佐天(なにこれ?一部を球にしても他がすぐそれを補ってる。液体?いや、触感は普通の壁だし)

試しに、圧縮空気弾を放つ。が、傷もできず少し表面が揺れた程度だった

佐天(何か分からないけど、アタシの力じゃ破ることはできないみたい)

打ち破る方法を考えていると、一つの事実に気がつく

佐天(待ってよ、常にこんなものが有るんだとしたら、出入り口が無いわけないよね)

壁に併設されている端末に目が行く

そして都合よくある腕の解錠装置

佐天(まーた誰かの手の平の上かぁ。いいよ、こうなったら最後まで役者やり続けてやるだけだ)

端末の表面を覆うカバーを取り外し、ジャックを取り付ける

自動で解錠プログラムが起動した

佐天(何、これっ。あたしの頭使ってる?! )

頭にズズッと重くなるような感覚と共に、解いている機械言語が頭の中を駆け巡る

彼女の持つ演算機能のほぼすべてを使って、プロテクトを解除しようとしているようだった

佐天(こノf:TM→Mts∈TジョウたいdimT(k)<dimH(k)ダとd=logxK能力どコろか、マfytiuoi@jとCVvhoqqもに動けな XXXXXXXXxxxx■い)

なまじ中途半端に脳内の人工演算装置と本来の演算ユニットが連なっている為に、彼女の脳のいろいろな分野が演算に使用さ れ、最低限の生存行為以外の行動を許さない

仮に、今攻撃を受けようものなら反撃もできず、死んでしまうだろう

誰も来ないことを彼女は祈った

だが、そこへひょろりとした白髪の男が現れる

一方「理事会の連中も守れと言われて飛んで来たら、転がってるのは死体ばかりで手遅れかと思ったぜ」

一方「駆動鎧のどもをなぎ倒して、せっかくここまで来れたけども、残念だったなァ。お前の活躍もここで終ェだ」

一方「怨むなら、その中途半端な運命を怨ンでくれよ」

身動きが出来ない少女へ一歩一歩近づく

終わらない解錠行為と、動けないという状況で、少女は顔が徐々に生気を失っているのを感じた

ここで死ぬのが運命なのかと半ば諦めて覚悟をしようとしたが、

?「この子の役割はまだ終わってへん。そこの扉を開くまではおとなしゅうしとってや」

白髪少年の背後からさらに男が現れる

一方「お前は!なンでここに?!」

青髪「うちは一応無能力者側なんでね。その英雄の女の子が心配で手助けに来たんよ」

一方「先に役割とかぬかしておいて良く言うじゃねェか。どうやらこのアマは先に殺さねェといけないらしいな!」

一方通行が動けない少女へ、手を頭に乗せようとする

青髪「それはさせへん! 」

青髪が距離を詰め、一方通行に蹴りを加える

反射をフルにしていたはずの一方通行が豪快に飛ばされた

一方「ぐァっ!…」

自分が蹴り飛ばされるということが完全に予想外だったため厳しいところへ直撃した

飛ばされた瞬間にベクトルを操作し体勢を立て直す

一方(何をしやがった?確に奴の蹴りは反射が反応したハズだ)

理由が分からないといった一方通行へ青髪が手招きする

青髪「ここじゃ狭い。外で戦おうや」

そう言って青髪は窓から外へ出た

しばらくの歩いて進み、立ち止まった

高度300mの空中で青髪は一方通行の方を向き、立っている

一方(どういうなってんだ?奴は何かのエネルギーで重力に対抗してるわけじゃねェ。奴の体から出てるのは1Gに対抗する分だけのエネルギーしか発していない。つまりただ立っているだけだ)

一方(不明確な点だらけだが、一つだけ分かってるのは、あのアマの解錠作業を止めたくないってことだけだ)

一方(何を思ったかアイツは外へ出た。なら女を今のうちに殺すのが得策だ)

佐天の方へ詰め寄ろうとする仕草を見せた瞬間、一方通行の体が外へ吸い出される

一方(なんだこれはァ?!ベクトル操作が利かねェ?!いや、働いてはいる?!)

青髪「男と男の真剣勝負をほっといて、女の子の方に走るとは、第一位ってのは男気が無いんやな」

一方「ああン?!上等だァ!細切れにしてやンよォ! 」

ベクトル操作を使い、超音速で突撃する

だが、目の前に突然障害物の反応が出た

音速でぶつかるわけにもいかず急停止

一方(これは何だ?構成要素は窒素酸素アルゴン二酸化炭素ネオンヘリウム…成分的には空気だな)

一方(だがなんだこの質量は。こんな空気の壁にぶち当たるのは危険だ)

青髪「あれあれ~、なんでそんなところで止まるんかなぁ?」

一方「黙れ。罠みたいな壁を作っておいて何言ってやがる

青髪「バレとったか。じゃあ、こういうのはどうかな?」

一方通行の周りを覆うように空気の壁が現出する

青髪「重いと思うけど、君には問題ないよな~?」

ちょうど一方通行一人を取り囲むように現れた空気の塊は、その重さによって重力に引かれ、一方通行ごと落下を始める

一方「しゃらくせェ!」

ベクトルの向きを変更し、空気の塊を上方向へ弾き飛ばす

青髪「正解や。じゃあこういうのはどうかな?」

またも、一方通行の周りに重量が増大した空気の塊が発生する

一方「何度も同じことをさせンな!効きゃしねェよ!」

先ほどと同じように重力方向のベクトルの向きを変更し、吹き飛ばそうとした

が、飛ばない。下降すら止めることが出来ない

一方(さっき蹴飛ばされた時と同じ。能力が通じねェ。いや、これは)

周りのベクトルを視覚的に見直した

一方(やっぱりか。俺が反対方向にベクトルの向きを変えた瞬間にさらに重量を増加させてやがる)

通常、重力が1Gの環境で1kgの物の重力方向へ持つ位置エネルギーを1kg/Gとすると上方向に上昇させるためには1kg/Gよりも大きなエネルギーで押し上げなくてはならない

青髪は、一方通行が押し上げようと設定したエネルギー量に対して、それをちょうど上回る量に物質の質量を変化させている

要するに、一方通行が自分にのしかかった空気の塊を上に上げようとすればするほど、それに対応して質量を増大させているのだ

落下を抑えることが出来ず、地面が近づく

一方(さっき蹴られた時も、アイツは反射に対応して足の質量を変化させやがったわけだ)

一方(理屈が分かれば何のことは無ェ。全力で押し戻すまでだ!)

ベクトルの向きと大きさを全力をもってして上方向に向ける

なんとか、地面スレスレで弾き返すことに成功した

それを確認して、青髪が同じ高度まで下りてくる

青髪「土壇場で正解や。でも困ったな。今の君じゃ、近距離でしか僕に攻撃できへん」

青髪「今ので君をもっと追い込もうと思うとったのに。見せてくれん?黒い翼ってやつ」

一方「はン。今までのことでてめェの底は知れた。今のままで十分だ」

青髪「OK。そこまで言うなら、ちょいと本気を出させてもらうわ」

そう言ってまた、空気の質量を増大させる

今度は一方通行の上方向だった

一方「何かと思えばまたそれか?芸がねぇな」

青髪「僕はピエロじゃないからなー。一つしか能力が無いんや。でもな」

質量を増大させ続ける。次第に、周りのものがその部分に向かって吸い寄せられるようになった

吸い寄せるエネルギーのベクトルに対して同量の反対ベクトルを紡ぎだし、打ち消して、そこに居続ける

青髪「さて、このまま質量を増大させ続けると何が起きるか、第一位の頭脳なら当然分かってるよな~?」

瞬間、辺りから光が消える

巨大な質量が作り出す尋常ではない重力が、光すら逃さない

そこに、極小のブラックホールが誕生した

あらゆる次元の集束を誘う無限な力に対し、一方通行が認識できる空間のベクトルなどという些末な力では対抗などできようはずも無く、彼もその吸引力に逆らえなくなる。

彼が耐えられないのを見た瞬間、高めた質量を元に戻す

その場に、光が戻った

ほんの一瞬の出来事だったが、一方通行と青髪を除いて、半径100m近くの物が消え、地面には大きなクレーターが誕生していた

青髪「黒い翼を出していない君のサンプリングは完了した。やっぱり、電池が無いと駄目ってのは酷いハンディキャップやな。って、聞こえてないか」

この、一瞬の反射ベクトルの演算で、一方通行の電池は消費しきっていた

3次元空間だけでなく、4・5…と増え続ける他次元空間からの吸い寄せにも限界まで対応していた為、電池はすぐに底をつき、脳疲労も絶頂で、意識はすでに無くなっていた

青い髪の男が白髪の少年を背負う

青髪「本当に必要なんは、本気を出した君の限界なんやけどなぁ」

そう呟いて、男は消えた

 

 

 

佐天(…開いた!)

脳内の疲労もそれなりに、何もない唯の白い壁に扉が現れる

ノブを引き、扉を開くと、中へ新鮮な空気が入っていく

中には、円卓が広がり、席に人が付いている

部屋は暗い
彼女の存在に気が付いていないのか、部屋に入って来て、動くものはない

座っている11人を良く注視すると、まるで授業中に耐えられず、寝てしまいましたという体勢の者ばかりだ

この部屋には窓が無く、あの謎の壁で覆われ、出入り口以外には扉が一つあるだけ

その扉も、かなり頑丈な物のようで、機密性も高そうだ

手前に居た一人の肩に手を置き、起こすように体を揺さぶる

まるで人形のように動かないで、椅子から崩れ落ちた

佐天(まさか、死んでる…? )

手首に手を添えると、脈は無く、息もない

他の10人全ての生命反応をチェックしたが、反応が帰ってくることは無かった

佐天(穏健派といわれる人から急進派まで、皆、死んでる)

佐天(状況から見て、酸欠ね。死後いくら経ったか分からないけど)

酸素が極端に少ないと、死体の腐敗もなかなか進まない。
何の予備知識もない彼女に死後いくら経ったのかなど分かろうはずもなかった

呆然としていると、奥の頑丈な扉が開き、12人目が現れた

男は他の人間の死を確認して、少女の方を見た。
TVで理事会の発表をした眼鏡の男である


「計画通りだな。おい、君。早く私をこんな場所から連れ出せ」

急に現れた男の第一発言は、もちろん何の事だか佐天には良く分からない。返答ができなかった

「おい、聞いているのか?!こっちは君たちの命令通りにこいつらを始末して意思決定も指令も鎧も用意したんだ。今度は約束を守るのはそっちだろ!」

誰かと勘違いをしている?といった疑問が少女の脳内に浮かぶ 「ちょっと待て、来るのは青髪の男だと聞いていたぞ?君は何だ? 」

男は焦っている。話しぶりからして、理事会を裏切って何かと結託しているようだ

「ずっと話が違う事ばかりだ!いつになったら軍は動く?いつになったらあの忌々しい理事長を引き下ろすのだ?」

頭を掻き毟り、取り乱す。TVで見た落ち着いた紳士の姿は無くなった

「だから私は反対したんだ!糞の役にも立たない、金ばかりかかる無能力者の屑共を使って事を起こすなんてのは!」

少女にはこの男が何を言っているか分からなかったが、自分達を屑といった

これだけで、何をすべきかは決まる

佐天(そうだよ。あたしはこいつらを殺しに来たんだ。残ってるのがこいつだけなら、この人も殺せばいいだけじゃない)

やってしまおうと、右手前に出し、空気を圧縮し始める

それを見た男は怯え、立ちすくんだ

今にも打ち出そうとした瞬間、銃声が響き彼女のほほを掠った

御坂「殺しては駄目!」

突如として現れた駆動鎧に助けられ、呆然としている男と少女

動いたのは、少女だった

圧縮空気弾を男へ向けて発射する

それを駆動鎧が電磁砲で弾き飛ばす

御坂「あんたにはまだ死んでもらっちゃ困るのよ!私がこの子を抑える内に逃げなさい!」

眼鏡の男は駆動鎧からの声を聞き、はっとなって走り去った

佐天「その声、御坂さんだよね。なんであたしの邪魔するんですか」

御坂「待って、あの人には死なれちゃ困るの。私の言うことを聞いて頂戴」

佐天「能力者の都合なんて知りません。邪魔するなら御坂さんでも容赦しないですよ」

御坂「あなた達にも意味のあることよ。とりあえず、その手を下げなさい」

銃を佐天へ向ける。その銃は帯電し、青筋を放っていた

佐天「分かりました。前々から思っていたんですが、たまに出る、その見下げた口調が気に食わなかったんです、よ!」

圧縮した空気弾を御坂へ向けて放った

無論、当ってやったりなどしない

当らなかった空気弾は円卓の一部とそばの死体を吹き飛ばした

威力は致死レベル

明らかに殺意のこもった一撃を加えられ、御坂も覚悟を決める

御坂「そっちがその気なら、良いわよ。第三位の実力見せてあげるわ!」

佐天に向けて電撃をフラッシュ状に放ち、暗い空間で閃光弾のような働きを見せる

光で怯んだ瞬間に跳躍と壁との電磁力で円卓を飛び越し、佐天の右斜め後方へ立ち、セミオートで数発電磁砲をお見舞いする

が、彼女の作り出す慣性障壁で極音速の勢いは止まり、弾丸は自由落下する

御坂(ちょ、何なのよあれ)

佐天「やっぱり、下の駆動鎧を始末したのは御坂さんだったんですね」

ゆっくりと振り返り、手前のイスを球体に圧縮したものを投げつける

もちろん回避運動を取ったが、御坂の前で弾け、鉄製のイスだったものの破片が駆動鎧に食い込んだ

フェイスガードにもヒビが入る

御坂(駆動率がさらに2%低下。ちょっとした範囲兵器ね、あの攻撃は。気をつけないと)

圧縮空気弾を避けつつ、稀に打ち出される圧縮固体炸裂弾を的確に撃ちぬいていく

佐天「あれれ?逃げてばっかりですよ。第三位なんてこんなもの何ですか?」

少女はその場から殆ど動かないで一方的な攻撃を続ける

遠距離攻撃主体の御坂の攻撃には回避が必要ないと判断したのだろう

やられてばかりというわけにもいかないのでグレネードのアタッチメントから発煙弾を打ち出す

部屋に煙が蔓延する

佐天の周り数メートルの半径一律にで煙の広がりが止まっていた

御坂(つまり、あの半径が遠距離攻撃の防御範囲なわけね)

御坂(遠距離で攻撃が通じないなら、近接攻撃しかない。あの壁の中に入れば!)

手榴弾のピンを抜き後ろへ投げる

煙の中を高速で移動し、円卓の内側に身を伏せて爆発を待つ

手榴弾が爆発し、その音で佐天がそっちに意識を向けた瞬間に、障壁内へ入りこんだ

御坂(後は体に触れて、電撃を流せばそれで―)

 

 

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