上条「なんだこのカード」 > Season1 > 07

第一学区 メインタワー近く

 

攻勢に出るために集まっていた第一次機甲部隊・航空部隊が全滅し
その全滅させた少女が最重要防衛対象へ防衛部隊・設備を建物ごと破壊しながらゆっくりと進む最中
隠れ隠れ先に進んだ少女はその恩恵に預かり、無事、メインタワーに侵入できた

タワーは広く、高い
彼女の目的がある階層は地上150m以上という高層区画であった

御坂(隙無く設置されているカメラに、駆動鎧が守るエレベーター。どうやって上に行こうかしら)

鎧部隊がガチガチに守るなかでは、カメラを壊すわけにもいかない為、侵入したダクト内へ戻り、身を伏せていた

御坂(制服が埃と油汚れまみれ…この油ってことは、このダクト調理場にでも繋がってる?)

その方向へしばらく進むと、食堂の天井に繋がった

中は結構な広さが有るが、人の姿は無い。調理場にも人の姿は無く、券売機も電源が入って無いようだ

御坂(これだけ人がいないなら、電磁波でカメラを一時的に妨害しても行けるよね)

ダクトの格子を取り外し、食堂に入る
カメラに映る瞬間だけ電磁波を発し、カメラの画像を乱す

そして、併設してあった女子トイレに駆け込んだ
御坂(ここなら、流石にカメラは無いわよね)

だが、中には先客がいたようで、今にも個室のドアが開きそうだった

違う個室へ入り、隠れる

どうやら女性の駆動鎧兵のようで中身の体格はそこまで御坂と変わりが無い

御坂(あの鎧、奪えたら潜入の幅が広がる…!)
御坂(油断している今なら…!)

通り過ぎたタイミングで個室の上から顔を出した
女性は御坂が隠れた個室の扉に向けて銃を構えていた
が、上から出てくるということを想定していなかったのだろう
反応が一瞬遅れ、電撃により意識を失う

御坂(私が入って来たときの音でバレちゃってたかな)

女性から駆動鎧をはぎ取り、着こむ。同時に、鎧の個別認証をクラッキングした

片側のヘッドマウントディスプレイにマップと光点がいくらか表示されいていた

御坂(ふーん。指揮官用の駆動鎧なのか。…ああ、味方の居場所が分かるのね。そりゃ、物音だけ聞こえて味方の信号が出てなきゃばれてもおかしく無いか)

御坂(でも、都合のいいものを手に入れたわ。油べたべたな制服よりはこっちの方が断然マシよ)

アタッチメントがたくさんついたシステムウェポンのカービン銃を両手で持ち、駆ける

御坂(銃も重くないし、動きが軽い。これなら学園都市の主力な軍事輸出品でも不思議じゃないわね)

自分鎧の反応を消し、進む

上に上る非常階段まで来たが、護衛の鎧兵が警護していて進めそうにない
上級のパスを持つ人間だけ通している

御坂(まぁ、当然っちゃ当然よね。こんな状況だし。でもこうなると何か起こして目を明後日に向けさせないと先には進めない)

左目のディスプレイで確認する

御坂(へぇ、この建物の電力は、地下の核融合炉で自前で供給されてるんだ。)

御坂(一般的には変電設備ってなってる。これはこの存在を隠してるわけだ)

御坂(建物一つに核融合炉って、どんだけ物を詰め込 んでるのよ)

御坂(でも、逆にいえば、この炉さえ一時的に止めてしまえば、施設機能の大部分は止まる計算になるわ。確実に隙は生まれるわね)

考えがまとまると、少女は地下へ駆けた

佐天「さっきから邪魔なのよ!壊れろ壊れろ壊れろおおおぉぉぉ!」

次から次へと出てくる駆動鎧・ヘリ・装甲車を潰しながらタワーそば150mまで来た

今まで壊したヘリは30機を軽く超える

都市側の損耗も激しかったが、彼女自身の疲労も大きい

二つの演算処理のために普通の人工能力者の倍以上の速度で精神力を消費していた

そのことが分かっているのだろう、機械化混成部隊はまるで不清潔な飲食店のゴキブリのように絶えず現れ彼女へ攻撃を繰り返す

本来ならば、各学区の防衛部隊の増援として集められた警備員や防衛部隊を全てこの一人の少女の対処につぎ込んでいた

佐天(糞!糞!糞!糞!糞!糞! )

脳が疲弊し、思考も短絡的になる。慣性制御による障壁も徐々に狭くなっていく

じわじわと彼女の進行速度が遅くなる

そしてついに左足から後退の動きを示そうとした

人間は後ろに目が有るわけでは無い
脳が疲労を吐いている最中、後ろに転がった駆動鎧の生首に足を取られバランスを崩す

一瞬の脳の混乱が能力の維持に失敗を招いた

その一瞬のタイミングで飛んできた5.56mm弾が彼女の左肩に当り、貫通した

思わず顔をしかめるが、大量に分泌されていたアドレナリンが彼女に痛みを忘れさせる

佐天(畜生!畜生!畜生!なんでこんなところでとまってるんだはやくあいつらをころさないところさないとでもちがちがちがちが血血血血血血血)

障壁の不安定な維持のみで、攻撃などできなくなる

余裕の無くなった彼女は敵のに囲まれた状態で立ち往生となる

徐々に迫る敵と、流れ出る血液
明確に近づく彼女の死

「あの小娘一人に甚大な被害が出たが、あと一息だ。総員、最後まで気を抜かずに攻撃を続けろ!」

「 了解!」

小気味の良い返事を繰り出す兵と勝利を確信した現場指揮官

士気は高まり、勝敗は決したかに見えた

だが、突如として、彼女を取り囲む包囲が崩れる

銃撃・電撃・炎撃・風撃・水撃・物撃・爆撃――――

人工能力者集団による攻撃が直撃したのだ

一人の少女に戦力を割きすぎた

本来ならば早期に増援として送られるはずだった兵員約一万と装備・兵器の大半を彼女とメインタワービルの防衛に回していた 為、学区によっては無能力者集団に完全に占拠された所が出てしまっていたのだ

現時点の人工能力者側の被害は総勢で20%。残り人工能力者の数は約四万だ

さらには攻撃型の能力では無い人工能力者も、殺した駆動鎧から奪った鎧と装備を使い攻撃に加わっている

その総数約1000―。しかも、それは第一陣のみの数である。後ろにまだ続いているのが防衛兵には見えた

解かれた包囲網から空力使いが慣性制御の障壁に守られて彼女を回収した

「大英勇佐天涙子の回収に成功した。左肩を負傷している!治癒能力者はいるか?!」

「壊れた兵器や潰れた敵兵の数を見ろ!あの子一人でやったんだ!俺たちも続け!」

「敵は怯んでいる!一気に殲滅だ!」

メインタワービル前の広場は駆動鎧防衛部隊による阿鼻叫喚の巷となった

一気に大量の攻撃と戦況をひっくり返され、確実な敗色と全滅が現実となって彼らの精神を支配する

「ちょっと待てなんだあの数は! 小娘一人にあれだけ手こずったのにこの数か!無茶だ」

「ええぃ!ここを死守せねば結局全滅だ!退くな!」グワァアア…

「お、俺は逃げるぞ!こんなところで死ねるか」

「畜生!明日は娘の誕生日だってのに!でもアイツらがここに居るということは能力者の娘はもう…」

そしてまた赤く染まる第一学区。今度は無能力者ではなく、都市防衛兵によるものだ

しばらくの戦闘で防衛部隊は壊滅した
血と薬莢と瓦礫と兵器の破片とで、そのまま広場のタイルが見えることは無くなった

 

メインタワー 地下

 

標識を見て、彼女は呟く
御坂「何が変電荷電部よ。どう見ても融合炉じゃない」

地下には広大な空間が広がり、大規模な核融合発電設備が敷かれている

御坂(外部には隠れてこんな発電施設が必要な程この上はエネルギーを使うっての?どう考えても不自然すぎる)

白衣の研究員のような風体の人間が制御室に居るのが確認できた

部屋に入り、有無を言わずに電撃を人とカメラに向かってピンポイントに放つ
部屋の制圧に成功し、端末でアクセスした

御坂(電力供給先は上以外にどこへ? )

メインモニターに図が表示される

御坂(さらに地下?公開情報にないわよそんなところ)

そのままハッキングを始める

御坂(HsPS-20?この形式番号って駆動鎧のシリーズナンバーいね。最新式は私の着てる15のはず。さらに新しい駆動鎧、の、量産プラント?すで に生産が終わっている分で1万体分…)

御坂(こんなものが有るのになぜ外の防衛部隊に最新式を回さないの?これらの存在理由は一体)

御坂(ふぅ。わからないことばかりね)

御坂(いずれにせよ、上の層に行かなきゃ)

ハッキングを辞め、炉を止めて冷却させた

照明も一時的にダウンするが、非常電源が作動し、明りが点灯する

御坂(炉を温め直してもう一度電力を供給するには最低1時間が必要)

御坂(この間に、上へ! )

瞬間、目の前に見慣れたツインテールの少女が現れる

白井「…そこの人、お姉さまですのね?」

御坂「どうして黒子がここに?」

白井「決まってますの、お姉さまを連れ戻しにです。さぁ、安全な学び舎の園のシェルターへまいりましょう」

御坂「冗談じゃないわ。ここまで危険な中来たってのに、はいそーですかって帰れるわけないでしょ。私はここで調べれるだけ動く。先に帰ってなさい」

白井「それこそ冗談ですわ。ここまで危険な中来たのは私も同じですの。お姉さまをお連れしないで帰ったんじゃ、それこそ唯のくたびれ儲けです」

御坂「ここまで飛んできたわりには随分と元気がいいじゃない?…!」

良く見ると白井の腕章はいつもの物と違う。しかも電波を発しているのだ

白井「お姉さま。私の立場は風紀委員。ここで何をしていたか存じ上げませんが、立派な違法行為です」

御坂「だったら何よ。逮捕でもしてみる?」

瞬間、白井が距離を詰める。メモをポケットに突っ込んだ。その手は異常に震えていた

御坂「黒子…? 」

白井「お姉さま、いえ、御坂美琴。不法侵入と器物破損で捕まえさせて頂きます」

 

第一学区に向かって爆走する車が一台

 

浜面「なんだって、標的の要望を聞いてやってんだろうな」

麦野「いいのよ浜面。言うとおりにして。この通り、私が人質状態なんだから」

彼女の言った通り、麦野は上条の腕に抱かれて頭部には銃が向けられている

浜面「いや、どう見てもそいつ寝てるだろ!俺にはお前から抱かれにいってるようにしか見えん!」

能力の反動という名の回復で上条は強制的に睡眠を取っていた」


麦野「うるさいわね!どうでもいいのよそんなこと」

本来ならきつい言葉が続くところだが、今の彼女は機嫌がいいようだ

フレンダ「見せ付けてるみたいで嫉妬しちゃうわ。でも、ほんとにどうでもいいみたい。さっきから依頼元に連絡取ろうとしてるんだけど、出ないわ」

滝壺「断定はできないけど、敵じゃ無くなった…? 」

絹旗「その方がいいです。どうあがいても私たちじゃこの人には超太刀打ちできないですし」

寝ている上条に向かって拳を軽く飛ばす
瞬間、寝ているはずの上条がその手を弾く

麦野「絹旗、やめなさい。彼が熟睡できないでしょ」

フレンダ「もう、どうせなら膝枕でもしてあげたらどうなのよ」 麦野「それ、良いわね」

体勢を変えて上条を膝に乗せる。敵意は無かったからか、なされるがまま

に身を預けた 彼の頭を撫でながら顔を覗き込む

しばらく、気持ちよさそうな寝息を立てていたが、目を覚ました

(起きましたか。ちょうど30分ですね)

麦野「起きたわね。この私が膝枕してたんだから、気持ち良く寝れたわよね?」

状況が掴めないといった感じで手を頭の方に回す
偶然、麦野の豊満な胸に手を添わせた

麦野「あん…結構、大胆なんだ。」

意識を取り戻したのか、飛び起きた

上条「あわわわ。いやその上条さんは決してい、い、い、意識的に邪なことをやったわけではありませんよ!」

軽く混乱している上条を見て、クスリと笑った

麦野「あら、ずいぶん余裕がなさそうじゃない。今のあなたじゃ私にとって食われちゃうわよ?」

上条(ちょっとまてどうなってるんだ。彼女は人質だったんじゃないのか)

(いえ、敵意はなさそうでしたし、私も人肌恋しかったですし、彼女もえらくあなたの事を気に入っているようでしたから)

上条(じょ、状況が読めないです)

上条「え、えっと、そうだ、あとどれくらいで着くんだ」

浜面「後10分もかからないな。メインタワーだろ?」

上条「ああ。そうだ。分かった」

麦野「それじゃ、着くまで私をちゃんと捕まえなさい。ひ・と・じ・ちなんだから」

そう言って上条の胸元に体を預け、お腹に上条の腕を巻きつかせる
片腕で銃口を麦野に向けようとすると

麦野「そんな無粋な物、女に向けるものじゃないわよ」

といって銃を取り、上条の腰のホルダーに入れ、余った腕をさらに腹部へ巻かせた

上条(だから、この状況は一体何なんですか…?)

麦野を抱き締めながら、少年は苦悩した

 

 

 

御坂(来る!)

駆動鎧の驚異的な機動性を持ってサイドステップをした

鉄矢がさっきまで胸部の有った位置に現れる

当っていれば、胸に深刻な怪我を負っていただろう

空間を裂いて現れる空間転移は現出する瞬間、転移先のあらゆるエネルギーと物質を空間的に押し出す為、電気使いの人間にとって転移先を読むのは不可能では無い

しかしながら、その現出までの僅かな時間に十分な距離をとることは、通常の人間には不可能である

駆動鎧の機動力と、神経伝達物質を介さずに体の各所に命令の伝達が出来るLV5ならではの回避行動だった

御坂「ちょっと待ちなさい、ここまでやる必要はないじゃない!」

白井「うるさいです。あなたがとっとと御縄につけばいいんですの」

表情は冷たく、こちらに焦点を合わせたまま、ずらしたりもしない

二度目の鉄矢の反応 一度目と同様に避けようとしたが、時間差を逆に利用され避けた先にもう一本の反応

緊急用の圧縮空気を腰の噴出口から発射し、避けた

御坂(小さい鉄の矢だからまだ回避できる。でも上下左右に大きな転移が来ると危険だわ。早くあの子を止めないと)

核融合炉とういうのは核分裂炉と違い、放射能漏れや臨海などの危険性はかなり低い

更に、冷却が始まった以上、核反応など起こりようもない

故に、この広大な空間での戦闘では例外の箇所を除いて躊躇なく電撃を飛ばす

白井に向かって複数の電撃を飛ばすも、少し場所を転移され、綺麗に避けられる

向けた手から、攻撃の方向を読んでいるようだ

御坂(こっちは直線的な攻撃しか基本的に出来ない。あの子に攻撃をあてるには隙がないと)

四度目の反応が移動していた正面に現れる。鎧の靴底の鉄球を電磁石とモーターの要領で急速に回転させ、斜め方向に進み、回避した

そのまま止まらずに、電撃を撃つ

今度はこちらも移動先を読むように、時間差を利用して攻撃した

さらに、ライフルを掃射する

電撃と弾丸の連続攻撃により、連続して転移を繰り返し、御坂の死角へ逃げ込んだ

あらかじめその死角へ投げ込んでいた発煙榴弾が爆発する

御坂(やっぱり、今の黒子には電撃を回避と同時に物を飛ばすような演算能力は無い。あの子が攻撃する瞬間をこっちが管理出来れば、そこへ電撃をたたきこめる)

無論、そのような弱点は、彼女自身も把握していた

発煙の中ではいつどこから攻撃が飛んでくるかわからない為、すぐにそこから離れ、消える

次に現れたのは御坂の背後

一種のレーダー機能を持っている電撃使いにはすぐに把握される

駆動鎧の少女はそのまま利き足で後ろ回し蹴りを繰り出す

駆動鎧を装着した人間の攻撃など食らったなら、中学生の体では耐えきれるはずもない

最初から、それはブラフ。敬愛してやまない先輩の行動パターンを理解していた彼女だからこそ、その攻撃が来るということ を、薄い記憶から弾き出した結果だった

すぐ正面に転移し、片足で不安定な御坂の腰部にドロップキックを加え、地面に着く前にさらに転移し距離を取る

バランスを崩し、倒れた駆動鎧

胸元に空間転移攻撃の反応 咄嗟に、身を転がせて対応したが、後部のバックパックに鉄矢が刺さる

御坂(左の後方噴出ノズルが使用不能・さらに駆動率7%DOWN、手痛い打撃ってところね)

立ちあがった駆動鎧は、少し身体の機敏さが悪くなりながらも、近接攻撃での奇襲に対応し始めた

御坂(やっぱり連続しての自身の空間移転は演算能力上限のせいで出来ないみたいね。どんなに早くても0.46秒を上回れない。な ら…!)

自身の演算には失敗が許されない上に、個体が複雑で気体流体個体が入り交じり、結果として鉄の矢のようにはいかない

それを利用して、何度目か、背後に転移したツインテールに対し、離れるようにして前方に踏み出しつつ、90度体の向きを変える

ほぼ条件反射的に距離を縮めて直接触って来ようとした少女に対し、銃をもった右腕を横に振りながらフルオートで発射する

銃を持った腕がこちらに向くような動きを確認した瞬間に、転移しようとしたが、間に合わず、右腕に弾丸が掠った

痛覚が表情に出て、制服のシャツに鮮血が滲む。こちらを睨みつけながら、消えた

そして、炉を背に向けるようにして現れる

御坂(やるわね。電撃や電磁砲が避けられたら、炉に当る…当りどころが悪くて、ここが壊れたらデータを探せなくなる。相手を追い詰める良い判断じゃない。伊達に風紀委員として修羅場をくぐって来たわけじゃない様ね)

駆動鎧の攻撃の手数・種類が限られた

それに付け込んで、白井が空間転移攻撃を繰り出す

一方的に回避するだけの展開となる

じりじりと時間が経過し、ついに駆け付ける駆動鎧部隊。銃撃が御坂めがけて飛んでくる。

とっさに物陰に隠れるも、空間転移攻撃の反応が出る。

動きを止めている暇を与えはしない

御坂(黒子を攻撃しないってことは、あの子がここに居ることは知られていた?風紀委員だから当然と言えば当然だけど、学び舎の園を抜け出したわけだから、あの子も捕獲対象のはずじゃ?)

アトランダムな動きで、弾幕と空間転移攻撃を回避しつつ駆動鎧へ電撃を放つ

直撃するも、彼らは怯まない。どうやら対電撃装備としてアースを身に着けているようだ

御坂(まるで、私がここに居るのが分かっているかのメタ装備ね…)

電撃から、アサルトカービンと銃弾を媒介にした電磁砲に攻撃を切り替える

人間の反応速度で、マッハ6で打ち出される5.56㍉弾を回避できるわけが無い

駆け付けた6名の体が、左肩を掠っただけで首と左肩がもがれ、胸に直撃を受けた者に至っては足先だけを除いて塵芥と化し た

断末魔を上げる暇も無く、彼らは死亡する

白井「…殺人も追加ですわね」

腕を抑えながら少女は声を出す

御坂「一撃で私を殺せる攻撃し続けておいて、良く言うわ」

白井の側部5mへ駆け、銃の榴弾アタッチメントから発煙弾を放つ

白井が反射的に銃口の直線上から逸れ、後ろのパイプに着弾、辺りに煙が蔓延する

煙の中では視覚による具体的な座標の特定が出来ない為、空間転移攻撃や、空間移動が出来ない

反射的に、足を使って煙から飛び出す

駆動鎧の少女は待っていましたと言わんばかりに、閃光榴弾を電磁砲として足元へ射出

反応できない速さで打ち出され、爆発。白井の視覚が失われた

こうなってしまうと、もう空間転移能力者は無力。少なくとも、戦うことは出来ない

軽く電撃を加え、意識を奪った

周りの安全を確保し、黒子に近づく

とりあえず、白井の居場所の発信器となっている腕章を取り外すそうとした

御坂(うわ、この腕章、針が沢山皮膚に食い込んでる…これがいわゆるパッチ型投薬ってやつね)

腕章の裏側にはパッチのタグが印字されていた

御坂(クロル、プロマジン?これって抗精神病薬として使うものよね)

御坂(ドーパミンの遮断性質…目的・感情・思考・記憶蓄積の抑制作用をもたらす。なんでこんな薬が…)

強引に渡された紙の存在を思い出す

『愛するお姉さまへ。ここへ来る途中、見つかってしまいました。今現在、薬剤によって意識が徐々に薄くなるのを感じています。
範囲型の対能力者装置のエリア内に転移してしまい、駆動鎧兵に保護という名目で捕まりました。
無論、お姉さまの事を言うつもりは無く、口を閉ざしておりましたが、精神操作系統の能力者によって、お姉さまの事が都市側に掴まれてしまい、
更に、精神操作によって、お姉さまを連れて帰るのが難しいと判断された場合に、攻撃に移り、対能力者装置がタワー内に整うまで時間を稼ぐようにと、強烈に洗脳されました。
今こうしてこの文章を書くことが出来るのも長くは無いでしょう。そして恐らく、これを読んでいるときはすでに私は敗れているでしょう。ですが気にしないで下さいまし。
今、お姉さまが考慮すべきは対電撃使い用兵装を固めた敵部隊と、対能力者装置です。
炉の再起動によって莫大な電力供給が開始されるとタワー内部は強力なAIMジャマ―に覆われます。それまでは各鎧部隊の小銃の曳航弾が空力により簡易なキャパシティダウンの役割を果たすもので防衛されるよていです。
ですから鎧兵に出会ったら、間髪いれずに超電磁砲で破壊してください。他にもくぁswでfrtgyふじこlp』

御坂(可哀相に。洗脳の長期維持と効果増幅の為に薬物を投与されながら私と戦わせられていたなんて)

研究員の白衣を破き、包帯のようにして被弾した腕に巻いてやる。酷いところは電撃によってプラズマ化した皮膚で焼き、出血を防いだ

簡易な治療が終わり、制御室のそばにある休憩室のソファに寝かせる

御坂「終わったら、なんでもお願い聞いてあげるから、今はこれで許してね」

髪をあげ、額に軽く口づけをし、駆動鎧の少女は駆けた

残された少女の口元が、少し、微笑みを浮かべたのを見たものはいない

 

 

 

モニターに「Conscious」の文字が浮かぶ

 

「よし。意識が回復した」

「PTSDなんかの後遺症が無ければいいがな」

「この子は英雄様だからな。なぁに、戦えなくなっても、プロパガンダには使える。まだまだ有益さ」

複数人の話し声によって、まどろみから回復する

ベッド上で体を起こした

頭に脳波測定のコードが繋がっていたのが外れ、横の機械からエラー音が発生する

白衣の老人がそれを止めた

その白衣を残して、人が部屋から出る

「目が覚めたかね」

佐天「えっと、ここは?」

「有体に言ったら、野戦病院だ。詳しく言うと、無能力者集団の前線の治療部隊。第一学区の外れさ」

佐天「あなた、どう見ても学生じゃないですよね?むしろ教授?」

「知っている人間はいるだろうけど、君に名乗る程ではないよ。君たちの協力者とでも思っていてくれ給え」

後ろを向き、端末を弄り始めた

「そういえば、吐き気や頭痛は有るか?どこかに違和感などでもいい」

佐天「いえ、特には」

「よろしい、では」

振り向きざまに胸から取り出した銃を向ける

少女は特に怯える様を見せず、銃口をにらんでいる

「よし、特に精神障害が残ったわけではないな」

「すまない、少し試さてもらった。いちいち精神分析するのがめんどくさくからな。手短な方法を取らせてもらた」

佐天「それで、状況は?」

「状況というのは、今の君の事かね?それとも戦況か?」

佐天「戦況に決まってるじゃないですか。アタシの体はこの通りピンピ…ってあれ?」

少女の左腕は金属の、無機質な義手に変わっていた

「君の腕は止血して直るようなものじゃ無かったからね。有り合わせの義手でしばらく我慢してくれ」

「仕組みとしては脳波による操作と人工筋肉によるものだから、普通の腕の感覚で使ってくれて問題は無い。寝ている間に調整しておいた」

佐天「…これじゃ、嫁の貰い手が限られちゃうなぁ」

「気にすることは無い。この戦いが終われば、限りなく人体に近い物に取り替えればいいだけだ。私はこれでも脳や人体のエ キスパートだ。約束しようじゃないか」

佐天「お願いしますねー。で、戦況は?」

「行ってみればわかるが、第一学区の制圧は時間の問題だろう。君は単身で行動していたようだったが、目的は?」

佐天「…理事会の連中を始末すること、ですかね」

「それはいいことだ。彼らは私の研究に口を出し続けてうんざりだったんでね。これを使え」

義手にアタッチメントを取り付ける

「それを使えば、大概のドアロックは解決できるはずだ。君の能力で開けれないような扉がもしあったら、な」

佐天「ありがとうございます。んじゃ、また行ってきます」

「良い結果を期待しているよ」

少女が施設を飛び出し、外から轟音が鳴り響く。超音速で移動したようだ

(二重能力者としての頭脳を調べさせてもらったが、"彼"のデータの通り。"彼"の理論やデータを用いれば私の研究も一足飛びで進む)

(それでこそ、わざわざ奴らの面倒な計画にのった甲斐があるというものだ)

怪しい老人の不気味な笑い声が、施設内に響いた

 

 

 

遠目にメインタワーそして、戦場が見える

 

上条「ここでいい」

浜面「ここから、足だけで行くってのか?遠くないか」

上条「これ以上近づけば、お前らも巻き込んじまうからな。恐らく、対地ミサイルでも降ってくるだろう」

浜面「そいつは勘弁だ。この大型車じゃ回避できねぇ。おっと、降りるなら、そこの幸せそうな奴を起こさないように降りてくれよ」

フレンダ「起こしたら、ついていくとか言いそうよね」

絹旗「この有様なら、あり得ますね」

滝壺「こんな無防備なむぎのを見るのは、はじめてかも」

上条はゆっくりと重心をずらし、抱えていた女性をシートへ寝かせる

幸福そうな顔を浮かべて、眠る女

その光景は、戦場となっている外の風景のせいか、より平穏なものに見えた

思わず、頭を数回、撫でてしまう

気持ちが良かったのか、少し声が漏れた

そのしぐさが愛らしく、上条の口許がほころんだ

そして、決意したかのように、表情を固めた

上条が車外に出て車へ軽く手を振ったあと、メインタワーへ駆けだした

浜面は、止めた車を再び動かし、来た道を戻る

その衝撃で、眠れる美女が目を覚ました

麦野「…あれ?彼は?」

絹旗「もう行っちゃいましたよ。あんまりにも心地よさそうだったから、あの人、起こすのをためらったんです」

麦野「…そっか」

残念そうな表情を浮かべるが、仕方がないといった感じだった

フレンダ「あれ?追っかけようとか言わないのね」

麦野「残念だけど、足手纏いになっちゃうでしょ。LV5の私でも、ね」

絹旗「彼、強いですからね」

麦野「ええ。でも、一応、行動監視はさせてもらいましょう。フレンダ、周波数をこれに合わせて」

フレンダ「え、これって?」

麦野「銃のホルダーに付けといたの、いざとなったとき、私が助けに行けるようにね」

浜面「おいおいそれって一種のストーキングじゃね?」

麦野「違うわ。それに、女にはね、好意のある男の為には何をしてもいいって決まりが有るのよ。この世には」

絹旗「それって超ストーカーの言い分ですよ?」

麦野「そんなもの、気にしたら負けよ」

(発信器つけられてますけど、どうします)

上条(周波数は?)

(一般的ではないですね。少なくともこの町のでは使われてない数字です)

上条(じゃあいいさ。仮にもLV5の攻撃能力だ、いざとなったら利用させてもらおう)

(女性の好意を利用するんですね。酷い人)

上条(好意とは限らないだろ)

(まぁ、一般な標的と負う人間の立場ならそうでしょうが )

上条(だろ?)

(まさか、あれだけベタベタされておきながら、本当にそう思っているなら、脳内異常ですね。治してあげましょうか?)

上条(結構です。…まぁ、その、好意が有るだろうとは思ってるけど、今はそんな場合じゃないだろ。利用できるものは全て使うさ)

(よろしい。さて、もうすぐですが、どうやって忍び込みます?)

上条(メイン電源が落ちている今が侵入のチャンスだ。でも逆に、各所的には警戒は強化されているだろう)

上条(俺自身の攻撃能力なんてのは対して強くない。銃撃を受けたらひとたまりもない。駆動鎧相手に格闘戦なんてのもナン センスだしな)

上条(だからといって、なにも行動しないでこの好機を逃すわけには行かない)

(とりあえず行って見て、状況判断するしかないですね)

上条(そうだな。メイン電源が落ちてる理由も分からないし、罠に注意ながらいかせてもらう)

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最終更新:2011年03月08日 19:22
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