シャナ「あんた何者なの?」上条「不幸だ……」3


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シャナ「あんたが主?」

フリアグネ「そう、"フリアグネ"、それが私の名だ」

アラストール「フリアグネ……? そうか、フレイムヘイズ殺しの"狩人"か」

フリアグネ「殺しの方で、そう呼ばれるのは好きじゃないな。本来は"紅世の徒"の宝を集める、という意味の"狩人"なのだけど」

 フリアグネは、シャナの胸元のペンダントを見る。

フリアグネ「君は、"天壌の劫火"アラストールだね。……なるほど、これが君の契約者"炎髪灼眼の討ち手"か。噂にたがわぬ美しさだ。でも、少し輝きが強すぎるな」

 二人(三人?)が話しているのを聞いている上条。しかし、全く知らない言葉ばかりですでに頭はパンク寸前である。

 そんな上条をおいて、二人(三人?)はさらに話しを進める。

フリアグネ「マリアンヌ!!」

突然フリアグネが調子っ外れな声をあげる。

フリアグネ「ああ、ごめんよ、私のマリアンヌ! こんな恐い子と戦わせてしまって」

 フリアグネの手には、いつの間にか、ぼろぼろの人形・マリアンヌが柔らかく抱かれていた。

マリアンヌ「申、し訳あ、りませ、ん、ご主人、様」
フリアグネ「謝らないでおくれマリアンヌ。ほら、いま直してあげるからね」

 フリアグネが、ふ、と息を、マリアンヌに吹きかけた。

 すると、マリアンヌが一瞬、薄白い輝きの中で燃え上がり……そして、元の姿に戻っていた。

フリアグネ「さあ、これで元通り。慣れない宝具なんて持たせてごめんよ」

 フリアグネは、そう言うと、初めて上条のことを見る。

フリアグネ「私自慢の『レギュラーシャープ』を一瞬にして消すとは……。面白い、実に面白いよ、君」

 ぞくり、と上条の背筋が凍る。まるで、猫に狙われた鼠のように。
フリアグネは、再びシャナの方を向く。

フリアグネ「うふふ、君はフレイムヘイズのくせに、炎をまともに出せないようだね」

シャナ「……なんですって?」

フリアグネ「そのかなりの業物らしい剣の力を借りて、ようやく内なる炎を呼び出しているようだね」

アラストール「……なるほどな。燐子は、我らの力を見極める囮か。噂通り姑息な狩りをする」

フリアグネ「いやいや、今日様子見をしていたのは、あくまで念のためさ。……にしても、"王"である君の力もまさに『宝の持ち腐れ』だね。ふ、ふふふ」

シャナ「いいわ、持ち腐れかどうか、教えてあげる」

 シャナが灼眼の光を強め、身構える。しかし、フリアグネは困った顔をして言った。

フリアグネ「やれやれ、無粋な子だね。……そうやってムキになって力を暴走させたフレイムヘイズを私は何人も知ってるよ。そんなことになって、万が一そこの少年が死んでしまったら本末転倒だ」

上条「……」

フリアグネ「まぁ、あまりこの町に長居する気はないが、……もう少し、やりやすい状況を作ってから、また伺いよ」

 そう言って、フリアグネは去っていった。

アラストール「やはり、"王"だったな。それも"狩人"フリアグネとは」

シャナ「ふん」

 アラストールの言葉に、シャナが鼻を鳴らして返した。

 上条は教室を見渡した。幸い、上条があのトランプ――『レギュラーシャープ』をそうそう消していたため、怪我人はいなかった。

シャナ「封絶内を直さないとね。まぁ壊れたのは校舎だけだし、私の力で大丈夫ね」

 そう言うと、シャナは校舎をみるみる直していった。

 上条は、考えていた。今回はたまたま、校舎だけですんだ。しかし、もし教室にもっと生徒が残っていたら――と。

 上条は不幸な人間である。まぁ、それは生まれたときからなので、多少は慣れている。


 しかし、そんな彼が、この"幻想殺し"が、回りの 人間まで不幸にしてしまうことに、上条は耐えられなかった。

 そう思っても、なにもできない。不幸なんて、自分のせいではない、と思う上条も頭にいるからだ。

上条(……俺は偽善使いだ)

 

 

 

―――

 

修復も終わり、下校中の上条。隣には、長い黒髪をたなびかせる少女、シャナがいる。

上条「なぁ、これからシャナはどうするんだ?」

 上条はシャナに聞いた。

シャナ「当分は、あんたの側で見張りね。」

上条「……側ってどこ?」

シャナ「あんたの家の屋上とか」

上条「学生寮なんだけど」

シャナ「……」

 沈黙が訪れる。やがてその沈黙を打ち破るように、アラストールが言った。

アラストール「貴様の家しかあるまい……不本意だかな」

 …………

シャナ「変なことしたら、ぶっとばすわよ」

上条「いや、俺、青髪ピアスみたいな趣味してな痛だっ!?」

 ……昼休みの会話は聞かれていたらしかった。

上条の部屋にたどり着いた。上条は、隣人、土御門元春がいないことを確認すると、素早くシャナを家に入れる。

シャナ「狭い部屋ね」

上条「おいこら靴ぐらい脱げ」

 そんな会話をしながら、部屋に入る上条とシャナ。

上条「あれ、御飯とか、普通に食べるんでせうか?」

シャナ「当たり前じゃない、普通にお昼食べてたでしょ」

上条「いや、上条さんね感覚からすると、メロンパンに、みたらし団子、苺大福にシュークリームは普通のお昼とはとても……」

シャナ「うるさいうるさいうるさい、甘いものが好きなんだからしかたないでしょ!!」

上条「ハイハイ」

 ふと、上条はこういう普通の会話を少女とできているのに驚いてた。

上条「で、夕御飯は何が食べたいんだ?」

シャナ「……は?」

上条「いや、だがら、夕飯。どうせ俺が作るんだし」

シャナ「…………なんでもいい」

 シャナが、ぽつりと答えた。

 

―――



上条「いや、ちょっと待って」

 実際に待て、と言われたのは上条だが、とりあえず、そう返答せざるを得ない状況である。

 シャナにベットを使わせるとして、俺は風呂場かなー、不幸だー、とか思ってた上条は、シャナとアラストールに引き止められた…というより、制止命令を受けたのだ。

上条「……いや、さすがに同じ部屋で寝るのはちょっとまずいんじゃないでせうか?」

シャナ「おまえを守るためにいるのに、なんでわざわざ別の部屋になんなきゃなんないのよ」

アラストール「諦めてここで寝ろ」

 アラストールに、完全に命令としか言えない指示を受ける。

 その彼の意思を表すペンダントを、シャナが首から外して、枕のしたに押し込んだ。

上条「…なんでもなにやってんだ?」

シャナ「見ればわかるでしょ、着替えるから、見えないところに行ってもらったの」

 上条はアラストールが隠された枕を見つめる。

アラストール「そういう決まりなのだ。分かったら、貴様もどこかへ潜り込め。」

上条「……不幸だ」

結局、へやの押し入れに詰め込まれた。

シャナ「覗いたらぶっとばすわよ」

 昨日のことを思い出したのか、珍しく顔を薄く染めながらシャナが言った。

 もちろん上条には見えてないが。

上条「不幸だ……」

 ……するり、と音が聞こえる。どうやら服を脱ぎ始めたらしい。

上条(昨日下着姿見ちゃったんだよな……)

 あのときの姿を思い出した上条は、やばいやばい別のこと考えないと、となんとか思考を別のことに変えようとする。

上条「なぁ、いつまで入ってりゃいいんだ」

シャナ「夜中、ずっとに決まってるでしょ」

上条「んな馬鹿な」

 突っ込んだ拍子にバランスを崩す上条。

 気づいた時には、手遅れだった。ふすまを押し倒し、頭から転がり落ちる。

 ふと前を見ると、全部脱いだところらしいシャナがきょとんと立ち尽くしていた。

上条「……えーと、シャナさん、いきなりコートを羽織って、刀をだすっていやマジ洒落にならないからーっ!!」

シャナ「死ね」

 轟っ!!という音とともに上条はノーバウンドで壁に叩きつけられた。灰の中の空気がすべて抜けた。

上条「またかよ……不幸だ……」

 上条の意識はそこで途切れた。寸前で、アラストールの自業自得だ、と言う声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

七月十四日

 シャナにとっての二日目の授業は、前日と同様、突っかかった教師の壮絶な自爆を繰り返していた。

 教師は恐れ、ある生徒はおののき、ある生徒は興奮する(当然青髪ピアスである。)、という状況が三時間目まで続いた。

 しかし、四時間目で、一方に大逆転が起こる。

 四時間目は、体育だった。その担当の教師、災誤先生(ゴリラ)は、生活指導の先生でもある。彼は、最近平井ゆかりという生徒が、騒ぎを起こしている、と聞いたらしい。

 もう一人の体育教師、黄泉川愛穂は話を聞いて、いい馬鹿がいるじゃん、と喜んでいたが、ゴリラ(災誤)は、自分の授業で、その平井とやらをへこませてやろう、と画策した、いやしてしまった。

 彼は、いきなりクラス全員に無制限のランニングをするように言った。

すぐにへばるだろう平井ゆかりは、しかしまったくペースを変えなかった。

 もうすでに、授業は終盤に差し掛かっている。持久走には自信がある上条すらも、もう限界に差し掛かっていた。

 ゴリラは、焦れたが、平井ゆかりがへばるまでは、ランニングを止めることができない。

 やがて、白いカチューシャをつけた女生徒が一人、トラック上でうずくまった。

災誤「こらぁ、速く走れ!!」

 しかし、白いカチューシャの少女は、動けない。クラスメイトたちが彼女に駆け寄る。

上条「先生、いい加減に休ませてあげてください!! てか、なんでいきなり持久走なんですか!」

 白カチュの少女を見て我慢できなくなった上条がゴリラに噛みつく。

災ゴ「うるさい!サボらずしっかり走らん……ぐはっ!!」

 突然、ゴリラが飛んだ。フライングゴリラはずどん、とグラウンドに落ちる。

 その後ろに、平井ゆかりことシャナが、運動靴の底を見せて立っていた。

 シャナが蹴り飛ばした理由は、走行ライン上にゴリラがいたから、というだけである。

シャナ「さっきからずっと走るだけ……。馬鹿な訓練ね、疲れるだけで、なんの意味もないわ」

災ゴ「貴様……教師を足蹴りにしたな!」

シャナ「おまえ、この授業の意味を説明しなさい」

災ゴ「ふんがー!! もう許さん、貴様など停学、いや退学にしてやるぞ!!」

シャナ「……」

 シャナの表情が消える。やばい、と上条は思った。戦闘開始の表情だ、と感じた上条は、思わず叫んだ。

上条「蹴りだ!」

シャナ「?」

 シャナは、はてな、と思いながらも、ゴリラを気持ちよく蹴り飛ばす。轟っ!!と言う音とともに、ゴリラがノーバウンドで五メートルほどぶっ飛び、地面に叩き付けられる。

ゴリラ「がっ、ば……ァァああああああああっ!?」

 ゴリラが戦闘不能になる。ため息をついた上条は、わざとらしく声を張り上げる。

上条「先生、トラックの中に突然入ってきたら危ないでしょう!」

 上条がちらり、と土御門と青髪ピアスを見る。二人はにやりと笑い、

土御門「だにゃー、蹴っ飛ばされても、しょうがないぜよ」

青髪ピアス「せやな、平井ちゃん、足速いから!!」

 クラスメイトたちも同調していく

「先生、平井の前に飛び出したら危ないですよ!」

「先生ーカワイソ!」

「交通事故みたいなもんだな」

ゴリラ「き、きさまら……」

 ゴリラが必死で立ち上がる。

黄泉川「災誤先生、あんたの負けじゃん、いい加減にするじゃんよ」

 ゴリラの後ろに、緑色のジャージを着た、妙に色っぽい先生が立っていた。彼女の名前は、黄泉川愛穂(巨乳)。学園都市の警備員も勤める体育教師である。

黄泉川「おまえたちも、後は自習にするじゃん」

 生徒達が歓声をあげる。
 シャナがきて、始めてクラスが一つになった瞬間だった。

 

 

―――

 

というわけで、平井ゆかりことシャナは、クラスメイトからの人気を集めることになった。

 もともと、上条のクラスは、黄泉川先生が小萌先生に、馬鹿ばっかでいいなー、と呟くようなクラスだったので、クラスメイト側からは、シャナにたいしてほぼ完全に打ち解けていた。

 昼休み、すこしほっとしている上条に、一人の女子クラスメイトが話しかける。

吹寄「上条当麻、平井さんと仲いいの?」

上条「ん?」

 話しかけてきたのは、大きな胸と、出したおでこがチャームポイントの吹寄制理。

 土御門曰く、カミジョー属性に対する最終兵器だ。
 説明しよう。カミジョー属性とは、不幸な目に合いながらも、必ずどこかで女性とフラグをたてる上条についたあだ名である。

 その力はすさまじく、クラスの女子は、吹寄を除き、全員がその毒牙にかかっている。

 しかも、やっかいなことに、上条にはその自覚がなかった。

上条「まぁ、仲がいいと言うかなんというか」

 ゴニョゴニョ、と上条は言葉をにごす。まさか、怪物と戦った仲です、とは言えまい。

吹寄「……そうか。もし仲がよかったら彼女に頼んでもらって勉強を教えてもらおうと思ったのだけど」

 いやー、仲がよかったとしてもそれは無理かなー、と上条はシャナを見ながら呟いた。

 現在、シャナはクラスメイト達にかこまれている。
 流石に今日は昼休みになってもほとんどの生徒が残っていた。

 シャナをクラスに馴染ませることが、意味があるかは上条には、わからなかった。

上条(まぁ取り残されるよりはいいか)

 上条は難しいことを考えるのはやめて、素直に今の状況を受け入れることにした。

 

 

―――

 放課後

 授業が終わり、青髪ピアスや、土御門に誘われないうちに、脱兎の勢いで教室を出ていく上条とシャナ。

 そんな二人を見て青髪ピアスが呟いた。

青髪ピアス「いやー、平井ちゃんも、カミジョー属性に引っ掛かってもうたんかいな。ほんまカミやん範囲広いのー」

 青ピには言われたくないだろうぜい、と思いながら土御門がいった。

土御門「まぁ、あれはちょっと特別ぜよ」

青髪ピアス「? そういえば、前から気になっとったやけど、それ、なに掛けとるん」

 青髪ピアスが土御門の首もとを指した。

土御門「まぁお守りみたいなもんだぜよ」

 そこには、不思議な『栞』のようなものがあった。

学校から離れた上条とシャナは、第七学区のとある公園を歩いていた。

上条「これからどうするんだ?」

 昨日も聞いたような質問を、上条はまたした。

シャナ「夕刻までには、こっちに有利な場所を探しておかないと」

上条「有利な場所なんてあるのか?」

シャナ「とにかく、ほかに人間がいないとこ。おまえってば、放っとくと、すぐに変な真似するから」

上条「そうか、ありがとう」

シャナ「うるさいうるさいうるさい。私はやりたいようにやる、って言ってるだけよ」

 上条が、ハイハイそうですか、と声をかけていると、後ろから聞いたことのある声が聞こえたら。

御坂「ちょろっとー、そこのツンツン頭! とまりなさい」

 …………

御坂「こらー!! 聞こえてんでしょ! 止まれー!」

シャナ「うるさいわね、なに、さっきから。てか、誰あんた?」

 スルーを決め込もうとしていた上条だが、まさかのシャナが振り向いた。

御坂「誰って……そっちこそだれよ!!」

シャナ「聞いてるのはこっち、なに、あんたの知り合い?」

 上条に問いかける。上条は愛想笑いを浮かべ言った。

上条「えーと、ビリビリ?」

御坂「私は御坂美琴だぁー!!」

 御坂の額から電撃が走る。

シャナ「っ!?」

 シャナが驚いているが、気にせず、上条は右手で電撃を打ち消す。

シャナ「……なに? 今の……」

上条「超能力だよ。言ったろ、この街では『開発』が行われているって」

シャナ「アラストール」

アラストール「うむ……、我も初めて見る力だな。一度この世を離れた後でできたものかもしれん」

御坂「? いま何処から声が……」

 御坂が辺りを見渡す。その隙を、チャンスと思った上条は、シャナの手をとり駆け出した。

御坂「あっこら、逃げるな!!」

 無視無視無視。

 

 

―――

 

ビリビリ中学生を振り切った上条とシャナは、とあるスーパーにいた。

上条「……なぁシャナ、もしかして機嫌悪い?」

 上条は聞いた。さっきビリビリから逃げてから、シャナはなぜかずっとむすっとした表情で黙っていたからだ。

シャナ「別に」

 ……明らかに機嫌が悪い。一体何があったんだ、と頭を抱える上条は、自分のせいだと気付いていない。

 そんな状況でも、買い物カゴを一杯にしていたシャナは、最後にレジ近くの棚へ向かう。

上条「ちょっと待て、上条さんそんなに一杯の物買えるほどお金持ちじゃありませんよ!?」

 カゴの中を見た上条が声を張り上げた。

 そんな様子を見て、シャナは呆れたような顔をする。

シャナ「大丈夫よ、金なら手に入れてあるから」

 普通に働いて手に入れたとは思えないお金と量を見せつけられ、上条はその話題を切り上げることにした。

 レジ近くの棚にあるパンコーナーにシャナは立ち止まる。

彼女の視線を釘付けにしているのは、メロンパンだった。

上条(そういえば、昨日も今日も食べてたな……)

 そんなことを考えている上条に気づかず、シャナは、何種類もあるメロンパンを、慎重に吟味していた。

上条「これはどうだ? 本物のメロン果汁入りとか書いてあるぞ」

シャナ「駄目よ」

上条「へ? なんで?」

シャナ「メロンパンってのは、網目の焼き型がついてるからこそのメロンなの! 本物のメロン味なんて、ナンセンスである以上に、邪道だわ!」

 シャナは、買い物カゴと鞄を持った両の手を細い腰に当てて、胸を張って言った。

 突然の大声に、周りのお客さんがざわめく。




「うわー、なんか語ってますよ佐天さん」

「そうだね、なんかメロンパン食べたくなってきちゃったね」

「……メロンパン、か。甘い、そう私と同じね…」

「結局、サバ缶が来てる訳よ」

「フレンダうるさい。真っ二つにするわよ」

「なンかうるせェな、空気の振動を反射っとォ」





上条「はぁ」

 と、上条は、その堂々たるポリシーの表明に、同意するしかない。

 結局、厳選の作業には、それから十分の時を要した。

 そして、上条が買おうとしていた缶コーヒーは、全て売り切れだった。

 

 

―――

 

家に付いた上条は真っ先にお風呂に入っていた。どうやら疲れたらしい。

 上条がお風呂に入っている間に、シャナがアラストールに話しかける。

シャナ「アラストール、この街なにか変じゃない?」
 アラストールは枕の下から、フゴフゴと答える。(いま、シャナは着替え途中である。)

アラストール「うむ」

 アラストールが一言で返した。

シャナ「この街……、トーチが少なすぎる」

 シャナが呟くように言った。

シャナ「街を歩いていても、一つたりとも見当たらないなんて。フリアグネもいるし、もっとないとおかしいのに……」

シャナ「そして、まさに奇跡のように、あいつの後ろの席の、これだけがトーチだった、まるで誘われているみたいね」

アラストール「そして、超能力、か」

シャナ「うん。フレイムヘイズ以外であんな力、見たことない」

アラストール「……」

 二人の会話が途切れた。わからないことが多すぎるからだ。

 その沈黙を破ったのは、二人ではなかった。

上条「ふぅー、いいお湯でしたって……うわぁ!!」

 上条が部屋に入ってきた。

 ちなみに、シャナはまだ着替え中である。

シャナ「二度ならず、三度まで……」

上条「いや、これは上条さんのせいではないと思うんですが、だから、刀は洒落にならな……アッー!!」


 轟っという音とともに以下略。

 

 

―――

 

そんな世界を見下す、あやふやな白い姿が、とある高いビルの屋上の縁にある。

 "狩人"フリアグネである。

フリアグネ「マリアンヌ、ごめんね、君を、君という存在を作るときに、こんな寄り道をして」

マリアンヌ「いえ、ご主人様は"狩人"ですから……。ご主人様のためなら私はなんでもできます」

フリアグネ「マリアンヌ……。君を、"燐子"などという道具ではない、一つの存在に、してみせる。そのための、"御崎市"だ。そのための"都食らい"だ」

マリアンヌ「ご主人様……」

フリアグネ「それに、こんな近くにフレイムヘイズがいたら、いつ邪魔をされるかわからないしね……。狩ろう、これまでのフレイムヘイズどもと同じように、狩ってしまおう」

フリアグネ「そうするべきだよね? マリアンヌ」

マリアンヌ「はい、その通りです、ご主人様」

 ぱっと子供のように顔を明るくして、フリアグネは高らかに、調子っ外れに謳う。

フリアグネ「さぁ歓迎の準備だ、マリアンヌ! 可愛い子らを集めて、盛大におもてなししよう!!」

マリアンヌ「はい、ご主人様!」

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