上条「二人で一緒に逃げよう」 美琴「………うん」 > 第二部 > 1


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美琴「……………………」スゥー…





美琴「どーーーーーーん!!!!!!」





上条「ぶふぉっ!!!!!!」


ガバッ!!


上条「な、何だあ!!?? ってまたお前か御坂!!!!」

大声と共に布団の中から顔を出す上条。見ると、布団の上に腰掛けるようにして………

美琴「遅い。もう朝の9時前なんですけど?」



……美琴が乗っていた。

 

 

上条「だからって2日連続で飛び乗ってきて起こしてんじゃねーよ!」

美琴「何言ってるの? 約束したじゃない。今日は一緒に朝ご飯食べながら『ゲコ太 MAX』見るって」

上条「………何で高校生にもなってんなもん見ないと……」

美琴「あっれ~? じゃあ2日前の深夜にこっそり私の目を盗んで『ドキッ☆お姉さんたちの眠れぬ夜』を見てたことを、あのインデックスって子に言っちゃっていいのかな~~?」ニヤニヤ

上条「ち、違う!! あ、あれはたまたまテレビを点けたら映ってただけで……っ!」

美琴「さーてインデックスちゃんに電話しよーっと」

上条「はいごめんなさい正直に言うと見てましたですからインデックスさんだけには言わないで下さい」

美琴「分かればいいの。ほら、早く起きて起きて!」

と言いつつ、美琴はベッドに腰掛けたまま上条に顔を近付ける。

上条「うっ……」オドオド

美琴「?」

上条「あ、あのさ……」

美琴「何よ?」

上条「顔、近いから………////」

美琴「!!!!!!」
美琴「な、何発情してんのあんた!!??//// バ、バカじゃないの!!??//////」

慌てふためきながら、急いでベッドから飛び上がった美琴はキッチンへ向かっていく。

上条「……おめぇが顔近づけてきたんだろ……」ボソッ

そんな美琴の背中を見て視線を逸らしながら恥ずかしそうに呟く上条だった。
テレビ『くらえゲコ太マックスフルショット!!!』ズゴーン!!

上条「………………」

美琴「……」ワクワクドキドキ

テレビ『ま、まさか君が悪の帝王スネークキングだったなんて』ドドーン!!

上条「………………」

美琴「……」ワクワクドキドキ

箸を止め、食い入るようにテレビを視聴する美琴。

上条「(……そんな面白いのかこれ?)」

テレビ『ゲコ太の運命はどうなってしまうのか!? 次回へ続く!!』

美琴「あーもう。何でこんな良いところで切るのよ! ゲコ太のことが気になるじゃない!」

上条「(お前は子供か)」

美琴「常盤台の寮じゃテレビなくて見れなかったから、せっかくこっちで見ようと思ったのにーーー!!! テレビ局のアホ!!」

上条「アニメなんてこんなもんだよ。子供向け番組はまだマシだけど、原作つきの少年向けアニメなんて毎週引き伸ばしがすごいぞ」ムシャモグムシャモグ

美琴「でも! ようやく念願の『ゲコ太 MAX』を見れたのよ!? 理不尽にも程があるじゃない!」

上条「………いや、それは俺に言われたって……ん?」

美琴「え? な、何よ!?」

上条「んーーーーーー?」ジーッ

美琴「ちょ、ちょっといきなり何見つめてきてるの!?////」

上条「んーーーーーーーーーー?」ジーッ

美琴「/////////////」アタフタ
上条「ご飯粒」ヒョイ

美琴「え?」

上条「ついてた」パクッ

美琴「……………!!!!//////」カーッ

上条「お嬢さまなんだから食事ぐらい優雅に食えよ」

美琴「………………//////」プンスカー

上条「それともお前はたった1週間ほどお嬢さま生活から離れただけで作法も忘れちまうのかよ?」ムシャモグ

美琴「………!」

上条「……って何だよ?」

美琴「ご飯粒」ジッ

上条「え? どこ?」

美琴「ままま待って! い、いいいい今わ、私が取って(そして食べて)あげるから!!////」

上条「あ、ホントだ」ヒョイパクッ

美琴「………!!!」ガーン

上条「はは、俺も人のこと言えねーな……と、どうした?」

美琴「………っ」ブルブルブル

上条「おい御坂ー?」

美琴「知らないアホ!! ボケ!! 間抜け!!」プイ

上条「え? えーーーー!!??」

美琴の理不尽な罵りを理解出来ない鈍感な上条であった。
上条「つーわけで何故か食後に御坂とゲームをすることになったのですが……何故格闘ゲーム!!??」

美琴「ふん。何だっていいでしょ。ストレス解消するには」

上条「お、お前まだ怒ってる? 俺何かしたっけ?」

美琴「さ、始めるわよ。私このキャラ取ったー」

上条「って無視かよ! そして俺の持ちキャラが取られた!!」

美琴「早くキャラ選びなさいよ」

上条「……チッ…なら少し頼りないがこいつで……」

テレビ『レディ……GO!!』

美琴「死ね死ね死ねーーーー!!!!」ピコピコピコ

上条「うわちょっやめれーーーー」ピコピコピコ


数分後――。


美琴「…………」グスッ

上条「はははははざまぁみろ!!! 弱小キャラでも裏技駆使すれば勝てるんだよ!!」

美琴「………もう1回」ボソッ

上条「ああ? 勝負は着いたろ」

美琴「もう1回!!」

上条「はいはい。でも何度やっても結果は同じだけどなぁ?」ニヤンニヤン

テレビ『レディ……GO!!』

上条「オラ! 目潰し攻撃に金的攻撃そして敗れたフリを見せて隙を見せた敵に奇襲加える攻撃じゃー!! てやっ! ふん!」ピコピコ

美琴「………………」ピコピコ

上条「ふふん。おいどうした御坂さっきの威勢は? このままじゃ負けちまうぞー」ピコピコ

美琴「…………」スッ…ピトッ

上条「!!!!!!」ピコピコ
上条「(ちょ、ちょっと待て!!?? 何でこいつ俺に接近してきんの!!??)」ピコ…ピコ…

美琴「…………」ピコピコ

上条「あ、あのー御坂さん……? ちょっと離れていただけないでせうか……」ピコ………ピコ……

美琴「…………」ピコピコ

上条「正直これはやり辛いと言うか……////」ピコ……ピコ………

美琴「………」ムシ

上条「おーい(し、仕方ない。このままでは何だか色々とヤバイ気がするので肘でちょっとつついて……)」ツンツン




美琴「ひ…ゃぁん////」




上条「!!!!!!!!」ピコピーーーーー

テレビ『ゲームセッ!』カンカンカン

上条「あーーーーーーーー!!!!!!」

美琴「やった私の勝ちいいいいいい!!!!!!」

上条「て……てめぇずるいぞ!!」

美琴「ん? 何のことかしら?」ケロッ

上条「お…お前、わ、わざと俺にくっついてきて……へ、変な声出して俺の手元を狂わせた……ろ?////」

美琴「さて、これでゲームは終わり、っと」

上条「無視すんなーーーーーーーー!!!」

ゲームでも女子中学生に主導権を握られる上条であった。

 

 

昼――。

上条「何と言うか……お前と暮らすとこうもお前のペースに引き摺られるとは思ってなかったわ」ハァー

美琴「ふふ。私を甘く見た罰ね」ドヤ

上条「で、用意は出来たのか?」

美琴「ええ、OKよ」

上条「ったく、ただ外出するだけじゃねぇか」

美琴「久しぶりに外出るんだから身嗜みぐらいはちゃんとしないと」

上条「ふーん……お前も何だかんだ言って女の子なんだな」ガチャッ

美琴「はぁ? 何それ? あんたっていつも一言多いわよね?」

上条「いや、その別に悪気があったわけじゃ……」

美琴「なーにブツブツ言ってんの?」

と言ってワンピース姿の美琴が上条の顔を覗き込む。

上条「(うっ……)」ドキッ

美琴「ほら、いこ!」ギュッ

上条「お、おい……」

困惑する上条のことなど知ったことではないように、美琴は彼の手を取り走り出す。

上条「(やれやれ、でもまあ……『外』に出てから初めての外出なんだ。今日は付き合ってやるか)」

腕を引かれながら、上条は笑みを零した。

 

 

映画館・劇場――。

ザワザワザワ

美琴「何見たい?」

上条「…………」キョロキョロ

美琴「ちょっと聞いてるの?」

上条「え? ああ……」

美琴「で、何見る?」

上条「うーんじゃあ……この『機動兵器ガンタム000』を……」

美琴「もちろん『ゲコ太の冒険』に決まってるわよね?」ニコッ

上条「お前…俺に選択権は無しかよ」

美琴「『ゲコ太の冒険』は、あの『わんわんにゃんにゃん物語』を監督した人の作品なのよ? 見ない訳にはいかないでしょう?」

上条「いや、ちょっと見てみろよ。『ゲコ太の冒険』のシアター2の前で待ってる客、ほとんど親子連れだぞ。お前も中学生なんだからちょっとは大人っぽいの見ろよ」

美琴「『ガンタム』だって子供向けじゃない」ムスッ

上条「はぁ!? 『ガンタム』は子供向けじゃねぇよ! 大人も見れる崇高な作品だ! お前は知らないだろうけどな『ガンタム』は裏の世界観が壮大ですごいんだよ! しかも、アニメとは思えないほど戦闘シーンは迫力があるんだ!! それに一見ただのアニメに見えても実は戦争と言う重いテーマを扱ってんだよ! 特に原作者の御大はな、このシリーズを開拓したクリエイターとしてアニメ業界でも重ち」

美琴「『ゲコ太の冒険』高校生と中学生1枚ずつお願いしまーす」 

上条「」

美琴「どうしたの?」キョトン

上条「お前なー……もう」

美琴「だって訳の分からないこと語り始めるんだもん。それにロボットとか何が面白いのかよく分からないし」

上条「ロボットじゃねぇよ! 機動兵器だ! 『ガンタム』だ!! 男のロマンだ!!」

美琴「だからそれが分からないの!」

上条「だからって『ゲコ太』はねぇだろ」

美琴「じゃあ『マンダム』見ろっての?」

上条「『マンダム』じゃねぇよ『ガンタム』! あーもうこれじゃあ埒があかねぇ! 何ならこれ見ようぜこれ!」

美琴「………え? ……こ、これって……////」カァァァ
映画『……私、貴方のことが好きだったの』

映画『僕もだよ。愛してる』

上条「………………」

美琴「………………」

映画『や……もっと……優しくして……レロレロ』

映画『ふふふ、僕を本気にさせたこと後悔させてあげるよ……ムチュプチュ』

上条「……………………」

美琴「……………………」

『いや……ああん……愛してる愛してる!!!」

『僕もだ!! あああああ!!! 愛してるよ!!!』



上条美琴「「(気まずい………)」」



上条「(やべー適当に選んだらエッチな映画だったし……)」

美琴「(ちょっ……何よこれ。お、男の人と女の人があんな……//// な、何でこの馬鹿はこの映画をチョイスしたのよ!!////)」

上条「(うお、すっげ……)」ムフー

美琴「(ひゃー見てられなーい//// こいつ、私にこんなの見せて何か変なことでも考えてんの!?//////)」

上条「(やはりこういうのは大画面で見るのが1番……ジュース飲もうっと)」スッ

美琴「(もう嫌。ジュース飲んで気を紛らわそう…ってジュース左と右どっち置いたっけ?)」スッ



ピトッ



上条「え?」

美琴「へ?」
上条「(この小さい手は御坂……だよな?)」

美琴「(ちょっ…な、何なの? こんな暗い中で人の手握ってきて……////)」

上条「あ、あの……」ヒソヒソ

美琴「ちょ、ちょっと! 何のつもり!? きゅ、きゅきゅ急にひ、ひひひ人の手に、にににに握ってきて////」ヒソヒソ

上条「べ、別に握ってねーよ! ジュース取ろうとしたらたまたまお前の手があっただけで……」ヒソヒソ

美琴「え? あ、そ、そうなんだ……ふ、ふーん……」

上条「って何だよ急に黙って」

美琴「(な、何だ……べ、別に握りたいから握ってきたわけじゃないんだ。バッカみたい私1人舞い上がって……)」ショボン

上条「悪い。じゃ手離すぞ」

美琴「あ、ま、待って……っ!」

上条「………え?」

美琴「その………」

上条「どうした?」




美琴「手……離さないで………」




上条「!」
美琴「この間みたいに……怖い人たちに追っかけられたり襲われるの……嫌だし……」ボソボソ

上条「………………」

美琴「…………、」

上条「…………」スッ

美琴「あ……(離しちゃった……。……やっぱり無理だよね、わがままばっかり言ってるから……)」

上条「…………」



ギュッ



美琴「!!!!!!」

上条「どうした? 怖いんだろ? それとも俺に握られるのは嫌だったか?」

美琴「あ……う……その……」

上条「ん?」

美琴「嫌……じゃない……////」カーッ

上条「そうか」ニッ

美琴「手……」

上条「え?」

美琴「ちゃんと、握っててよ………//////」

上条「…………おう」

映画が終わるまで、互いの手を強く握り締める2人だった。

ザワザワ


美琴「………終わった(結局手のことが気になって映画に集中出来なかった……。いや、逆にあんな映画集中しなくて良かったけど……)」

上条「………」キョロキョロ

美琴「? どうしたの?」

上条「え? あ、いや……」

美琴「変なの」

上条「(……姿は見えないけど、あいつらのことだから上手く隠れて護衛してくれてんだろ。なら、安心だな)」

美琴「ねぇ!」

上条「ん? 何だ?」

美琴「この後ショッピング付き合ってくれるんでしょ?」

上条「ああ、そうだな」

美琴「久しぶりの買い物なのよねー。可愛い服買いたいからちゃんと選んでよね?」

上条「分かってる分かってる」

美琴「じゃ……」ガシッ

上条「お」

歳相応の嬉しそうな笑顔を浮かべ、美琴は上条の腕を組む。

美琴「行こ!」

上条「わっ……待て待て」

そんな彼女に引かれて走る上条の顔も満更そうではなかった。

 

 

デパート――。

上条「まだかー?」

美琴「わっ! ちょっと! 開けたりしないでよ!!」

上条「バカか。痴漢じゃないから開けるわけないだろ」

カジュアルショップの試着室の前に、腕組をして立つ上条の姿があった。もちろん側の試着室に入っているのは美琴で………


シャッ!


上条「お?」

カーテンが開き、最新の冬モデルらしき可愛らしい服とスカートを着た美琴が姿を現した。

美琴「ど……どうかな?////」

上条「………!」

美琴「変……じゃないよね?」オドオド

上条「いや、変と言うか……(………可愛い)」

美琴「な、何よ?」

上条「んーっと……その……何て言うのかな……」

美琴「もう! はっきり言ってよ! こっちだって恥ずかしいんだから!////」



上条「あー……可愛い……かな?////」



顔を背け頭をポリポリ掻きながら上条は呟く。

美琴「!!!!!!!!」ボンッ
美琴「か……かわ……う……あ……//////」

上条「に、似合ってるよ……//////」

美琴「そ、そんなこと……分かってるわよ//////」

顔を真っ赤にさせつつ美琴も顔を背ける。

上条「………………」

美琴「………………」

上条美琴「「………………」」

上条美琴「「それで!」」

上条美琴「「………………」」

上条美琴「「この服だけどさ!」」

上条美琴「「………………」

上条美琴「「買おうか!?」」

上条美琴「「(……何故シンクロする!!??)」

上条美琴「「………………」

上条「……あ、あー分かった。その服気に入ったんだろ?」

美琴「え? 気に入ったって言うか、あんたが『可愛い』って褒めてくれたかr……って何言わすのよあんたは!!////」

上条「買ってやるよ」

美琴「え?」

上条「俺が買ってやる」

美琴「ほ、ホント!!??」パァァ

上条「ああ」

美琴「でもお金とか……」

上条「バカ。中学生が金のこと心配してんじゃねぇ。俺がお前のその服『可愛い』って言ったんだ。お前が欲しがってるのに『可愛い』って言ったその張本人が買ってやらないのはかっこがつかないだろ?」

美琴「……………うん//////」
店員「お買いあげありがとうございます。もし良ければ当店のポイントカードをお作りになられますか?」

美琴「あ、はーい。お願いしまーす」

上条「………」キョロキョロ

店員「当店では現在、開店10周年を記念して様々なサービスを行っております。こちらのクジをお引きなり、当たりが出れば半年間、当店の商品を2割引で購入出来るクーポン券をご利用出来るようになります」

美琴「え? それ本当ですか?」

上条「………」キョロキョロ

客1「お、この上着いけてね?」

上条「!」

客2「えーダサくなーい?」

上条「…………」

客1「安いし。これにしようぜ」

客2「じゃあ、あたしのも買ってよー」

上条「…………」ホッ

美琴「ねぇ」グイグイ

上条「え!? わっ! 何!?」

美琴「聞いてるの?」

上条「は!? な、何が!?」
美琴「もう。このクジ引いて当たりが出ると半年間このお店の商品が2割引になるんだって」

上条「へー……それは良い特典だな」

美琴「そ! だから引いてみてよ!」

上条「え!? 俺が!?」

美琴「あんたが私の服買ってくれたんだからさ、当然じゃない」

上条「つっても俺は右手のせいでこんなの当たった試し1度もねぇぞ?」

美琴「いいからいいから! ダメで元々なんだから」

上条「……分かったよ。やればいいんだろ」

言って上条は、店員が差し出してきたボックスの中に右手を入れる。

上条「(適当にどれでもいいや)」

美琴「…………」ワクワクドキドキ

後ろでは美琴が上条の服を掴みながら目を輝かせてその様子を見守っている。

上条「じゃあこれ」

店員「かしこまりましたー。今確認しますねー」

上条「………………」

美琴「………」ワクワクドキドキ
店員「おめでとうございます!! 当たりが出ました!!」

美琴「やったーーー!!!」

上条「えーーー」

店員「それではお客様には半年間いつでも当店の商品を2割引でご購入できるクーポン券を差し上げますね」

美琴「やれば出来るじゃないの!」

上条「今更当たりが出たって納得出来ねー」

美琴「あはは。幸運の女神美琴ちゃんがついてたお陰ねー」バシッバシッ

上条「いって! ……お前なあ……」

美琴「さあ、今日は映画も見たし服も買ってもらったし」

上条「帰るのか?」

美琴「はあ!? これだからデリカシーのない男ってのは……」ハァ

上条「な、何だよ!?」

美琴「スイーツ食べに行こう、ぐらい言えないの?」

上条「ああ、はいはいそういうことね。んじゃあ美琴さま、スイーツ食べに行きませんか?」

美琴「よろしい。ふふふ」

上条「(ま、今日は甘えさせてやってもいいかな)」

美琴「早く行こうよー」

美琴の嬉しそうな笑顔を見ながら、上条は胸中に呟く。

上条「(しばらく御坂とは会えなくなるんだし……)」
店を出、待ちに出る2人。

美琴「あ、ほら! 横断歩道の向こうよ! あのお店今流行りのパフェが置いてある喫茶なの!」

上条「はぁ…」

美琴「と、待って」キョロキョロ

上条「え?」

美琴「あそこに公園あるからちょっとトイレ行ってくるね」

上条「え!? おい!」

美琴「先にお店行ってて!!」ダッ

それだけ残し去っていく美琴。

上条「ちょっと待………!!!」

ササッ……!

上条「(人が動く気配……。……あいつらか)」
上条「(……なら大丈夫か……)」

♪ピッポピッポピッポピッポ♪

上条「(あ、青になったな)」

信号を確認し、上条は横断歩道を渡り始める。

上条「(にしても、御坂とは明日を最後にしばらくのお別れか。……まあしょうがないと言えばしょうがないけど)」

足元を見ながら上条は歩く。

上条「(別に一生会えないってわけじゃないけど……遠いからな。滅多に会うことも出来なくなるだろうな……)」

上条の脳裏に美琴の笑顔が蘇る。

上条「(……俺はこのままでいいんだろうか……。あいつと別れてしまって……)」

僅かに上条の表情に陰りが灯る。

上条「(まあ、あいつの幸せのためだ。仕方ない……)」

と、その時だった。

 

 

ブウウウウウウウウウウウウウン!!!!!!



上条「!!!!!!!!」


「どけどけーーーーーー!!!!」


咄嗟に顔を上げる上条。見ると、猛スピードを上げて走るバイクがすぐ側まで迫っていた。

上条「(轢かれる……!?)」

即座に避けようとする上条だったが、間に合いそうになかった。

上条「(死ぬのか……俺は……!?)」



グイッ!!



上条「え?」

 

 


ドサッ!!



突如、後ろに引っ張られる感覚を覚え、そのまま腰をつく上条。


ブオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!


「ひゃっはー!!!」

直後、上条が今まで立っていた場所をバイクが通過していった。

「止まりなさい!! そこのバイク止まりなさい!!」

次いで、サイレンを鳴らしながらパトカーが目の前を通り過ぎていく。

上条「………………」ボーッ

九死に一生を得た上条は、ゆっくりと後ろを振り返った。




美琴「あんた何やってんの!!?? 今死ぬところだったのよ!!!」




上条「御坂……」

そこに、仁王立ちする美琴の姿があった。

上条「お前が……助けてくれたのか?」

美琴「そうよ!! 公園のトイレが混んでたし、どうせ喫茶店にトイレがあるからと思って急いで戻ってみたら、あんた歩道の真ん中でバイクに轢かれそうになってて……冷や汗かいたわよ!!」

上条「ご、ごめん……」

美琴「はぁ……。……ったく……もういいから。あんたの命知らずな行動には慣れてるし。ほら、信号が変わりそうだから渡っちゃいましょ」

上条「お、おお」

差し出された美琴の手を掴み、上条は立ち上がる。

上条「………………」

美琴「さ、心配かけてくれたお礼に奢ってもらうからね」

上条「ま、マジかよ!?」

美琴「とーぜん」

再びいつもの調子に戻った2人は歩道を渡り終え、喫茶店に入っていった。
喫茶店――。

美琴「ん~~~美味しい!」

幸せそうな笑顔を浮かべ、美琴は注文したパフェを食べる。

上条「そんなに美味しいのかよ」

美琴「流行ってるんだから当然じゃない。で、何であんたは紅茶一杯なわけ?」

上条「熱膨張って知ってっか?」

美琴「はぁ?」

上条「いや何でもありません今のは忘れて下さい」

美琴「にしても本当甘くて美味しいわね」パクモグ

上条「学園都市で食べたのとどっちが美味い?」ズズ…

美琴「甲乙つけがたいわね。でも向こうにいた頃はみんなと一緒に食べてたからそもそも比較は出来ないかも」

上条「みんな、って?」

美琴「そりゃもちろん黒子とか佐天さんとか初春さん……とか…………」

上条「……? どうした?」

急に美琴の声が小さくなった。

美琴「………………」

上条「御坂?」

見ると彼女は表情を暗くして半ば俯いていた。

上条「!」

上条は理解する。何故彼女が急に押し黙ってしまったのかを。

上条「あ……あ、ああああのさ御坂!」

美琴「………?」

上条「そ、その……それ美味いんだろ? だ、だったら俺にも食わせてくれよ!」

美琴「……え?」

落ち込んだ彼女を元気付けるため上条が咄嗟に思いついたのはこれだった。
上条「お、俺も1度そのパフェがどんな味か知りたくてさ!」

美琴「………別にいいけど、スプーンは?」

上条「え?」

美琴「だって、スプーンは私の分しかないけど?」

上条「あ………」

美琴「………………」

上条「………………」
上条「(やべー……話題変えるために言ったつもりだったけど、これは盲点だったぜ。……しかし、今更引くわけにはいかない…っ!)」

美琴「どうするの?」

上条「食べさせてくれ!」

美琴「は?」

上条「だからそのスプーンで俺に食べさせてくれ!」

美琴「え?」

自然と、右手で握っていたスプーンに視線を向ける美琴。

美琴「え!? え!? ええええええええええっ!!??//////」

上条「お願いだ!!(もうどうにでもなーれ)」

美琴「へぅっ…////」

上条「俺も食ってみたいんだ」

美琴「な……う……(でもそれって間接キスってことじゃあ……)//////」

上条「ダメなのか?」ジッ

美琴「え……あ……ダメじゃ……ないれす……////」カ~ッ
上条「た、頼む」

美琴「こ、後悔しないでよ?////」

上条「お、おう……(何で俺が後悔するんだ?)」

美琴「じゃあ……あ~ん」

上条「!!!」

美琴「ど、どうしたの? は、恥ずかしいんだから早くしなさいよ////」

上条「(ちょっと待て何がどうなってこんな展開になったよく落ち着いて考えてみろ確か俺は御坂を慰めるために俺もパフェを食いたいとか訳の分からないことを言ってしかし気付いたら御坂が上目遣いでスプーンを差し出してきて『あーん』ってまるでギャルゲ展開みたいになって)」

美琴「ほら。あ、あ~~ん////」

上条「……っ ……あ、あ~~ん(何かデジャヴュだけど)////」

パクッ

美琴「ど、どう?////」

上条「う、美味いな……」

美琴「そ、そう………」

上条「おう。も、もういいや……」

美琴「次あんた!」

上条「へ?」

美琴「次、あんたの番……//////」

顔を背けながら、スプーンの持ち手を差し出してくる美琴。当然彼女が何をしてほしいのかは上条にも分かった。

上条「えっ!? ちょっ……そ、それは……」

美琴「あ、ああああんただけずるいのよ!!////」

上条「ず、ずるいって……」

美琴「私だけ恥ずかしい思いさせて、あんたは何もしないなんてずるいでしょ!!//////」
上条「い、いやだけど……そ、それは……」

美琴「お願い。あ~~んして////」ジッ

上条「………!!」

美琴「………ダメ?」ジッ

上条「OK」

自分の中で何かの勝負に負けた上条は潔くスプーンを受け取る。

上条「ほ、ほら……あ…あ~~ん(何言ってんだ俺は)」

美琴「う………////」キョロキョロ

上条「な、何だよ早くしろよ……//」

美琴「スプーン遠い……」ボソッ

上条「ええい、これだからお嬢さまは……っ! ……ほら、あ~~ん////」

美琴「あ、あ~~ん////」

パクッ

上条「……ど、どうだお味のほどは?」


美琴「美味しい……////」ニコッ


上条「………っ」ドキッ

美琴「じゃ、今度は私の番ね」

上条「ええっ!? もう1回!!??」

美琴「う、うっさいわよ! わ、私の機嫌が直るまで何回でもやってもらうからね!////」

上条「マジっすかーーー!!!」

美琴「だからほら、あ~~ん////」

上条「もうこうなったら自棄だあ~~ん」

どっからどう見てもバカップルな2人だった。

 

 

帰り道――。

夕日が染まる街を、上条と美琴は2人して歩く。

美琴「今日は楽しかったよ。ありがとう!」

上条「いや、礼を言いたいのはこっちだよ」

美琴「そう?」

上条「ああ。もう明日にはお前と別れちゃうけどさ、最後に楽しい思い出作れてよかったよ……ってまあ別に今生の別れじゃないんだから少し大袈裟かな?」

美琴「………………」

上条「………御坂?」

俯き、無言で歩く美琴。

上条「……あ、その……ごめん。俺もなるべくお前と一緒にいてやりたいんだけどさ……」

美琴「………………」

上条「でもお前なら……どこ行ってもすぐに友達出来るだろうし……ってフォローになってねぇなこれじゃあ」

美琴「気にしてないよ」

上条「え?」

美琴「あんたの言う通り、イギリス行ってもたくさん友達作ってみせるからさ!」

上条「だけど……」

美琴「大丈夫! 私も中学生で子供じゃないんだから!」
美琴「それとも当麻くんは保護者の私がいないと寂しいのかなー?」ニヤニヤ

上条「なっ!? お、お前が俺の保護者かよ! 普通逆だろ!」

美琴「ふふふ、冗談冗談~」

言って両手を広げクルリと一回りしながら、美琴は小走りに先を行く。
上条「………………」

美琴「だけどね」ピタ

上条「?」

と、そこで背中を向けながら立ち止まる美琴。

美琴「あんたがいなくて寂しいのはホントだよ?」

彼女は静かにそう呟いた。

美琴「………………」

上条「………………」

美琴「だからさ!」

その声と共に振り返ると、美琴は背中で両手を組んで、腰を折るようにこっちを見てきた。彼女の華奢な身体を、オレンジ色に輝く夕日が後ろから照らす。

美琴「たまには会いに来てね」

上条「………………」

美琴「……」ニコッ

彼女の顔が、夕日の光によって美しく映える。

美琴「………返事は?」

上条「………………」

美琴「………………」

上条「…………ああ」

僅かに寂しげな表情を見せながら、上条は静かに答えた。

 

 

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