黒春編


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「はぁ・・・」

 美琴は目の前で起立する『それ』にうっとりとした視線を当てると、熱のこもった吐息を漏らした。

 瑞瑞しい唇の間を流れ出た甘い息は、ぬるりと『それ』に絡み付き、目には見えない艶化粧を施し、消える。

 僅かに残るのは、空気の流れのみ。

「んっ・・・」

 まるで吸い寄せられるように、少女の唇が『それ』に近付いていった。

「ちゅっ・・・」

 唇を僅かに押し当て、小さく吸い込み、すぐに離す。そしてそれを繰り返す。

 啄むような、いわゆるバードキスだ。

 音だけはある意味無垢に、しかしそれを為す表情はどこまでも淫蕩に、『それ』と唇の挨拶が幾度も幾度も交わされた。

 固い弾力を持つ幹部分、不器用な円みを持つ先端部分。

 飛び石を跳ぶように、上下に唇が動く。

「はぁ・・・んぁ・・・」

 そして根本近くに鼻先を埋めたところで、美琴は動きをとめた。

 だがそれはキスの位置をとめただけに過ぎない。唇自体は、もう次の動きに移っている。

「はふ・・・」

 顔を横に傾け、幹部分を唇で挟む。

 半分も覆わない。幹周りの手前三分の一程度を浅くくわえ、ゆっくりと、小刻みに首を振った。

 美琴から見れば横に、しかし実際の動きは上下に、『それ』の表面を唇で撫でる。
「ん・・・」

 ちろり、と僅かに舌を伸ばす美琴。

 唇の隙間に内側から差し込まれた舌先が『それ』に触れる。

 顔の動きにあわせ、幹部分に唾液による湿り気が付加されていった。

「ん・・・ふ・・・んむ・・・」

 薄く目を開ける。

 そそり立つ『それ』を視界の端に捉らえながら、美琴は己の髪を一房、右手でつまんだ。

 髪は長くない。いや、どちらかと言えば短い方だろう。

 しかしそれでも十分だった。

 目の前に立つ『それ』を、くすぐる程度であるならば。

「んふっ」

 幹部分を唇と舌であやしながら、美琴はつまんだ髪の一房を、『それ』の先端にあわせた。

 小さく、指を左右に動かし、表面を撫でる。

 美琴の髪質は固い。

 だがそれ以上に固く張り詰めた『それ』の先端は、間違いなくくすぐるような感触を快楽のひとさじに変えるだろう。

 唇と、髪。

 ぬるりと、サラリと。

 異なる刺激による奉仕の時間が、ゆるゆると過ぎていく。

 そして美琴の首の上下回数が三桁に達しようしたとき、

「ふあ・・・」

 すっ、と少女は首を引いた。

 唇と舌が幹部分から離れ、極細の唾液の糸が、プツリと切れる。
「はぁ・・・はぁ・・・」

 『それ』の根本に指を絡めた左手。変わらず髪で撫でる右手。

 美琴はねっとりとした視線を『それ』に注ぎ、そして、こくっ、と唾を飲み込んだ。

 視線の中に色濃い欲望を滲ませながら、美琴は口を開いた。

「んっ・・・」

 餌をねだるように、舌を出す。

 たっぷりと乗った唾液が、軽く回された舌の上で、ぬらぁっ、と踊る。

 少女の頬は赤く染まり、瞳には隷属の悦びが浮かんでいる。だらしなく開いた口から漏れる吐息は、熱く濡れていた。



 淫靡。



 そう形容するに、相応しい顔だ。

「はぁ、はぁ、はぁ」

 唾液が零れないよう、舌がゆっくりと上下された。

 小刻みに震える美琴の顔が、引っ張られるように『それ』に近付いていく。

「んっ・・・」

 ピチャ、という水音が、小さく、しかし確かに響いた。
 水音は連続する。

 ピチャリ、ピチャリと、ちょうど犬がそうするように舐めあげる動作。

 舐め上げ、離れ、また下から。

「んっ・・・んっ・・・んんっ・・・」

 塗り重ねられた唾液の上に、熱い吐息がかかる。いつのまにか余裕がなくなった美琴の右手は髪による愛撫をやめてしまっていたが、代わりに幹部分の反った側を摩る動きへと変化していた。

「んぅ・・・」

 美琴は舌を強く押し当て、舐め続ける。その合間に、幹部分に柔らかな頬を当て、さらに異なる刺激も加えた。

 そして、

「んふぁ・・・もう、だめ・・・」

 ぼんやりとした口調で呟く美琴。

 口の端にたまった唾液が、糸をひいて落ちる。

「お願い当麻・・・ご奉仕、させて・・・」

 そう言って、美琴は『それ』の先端に唇を寄せ、

「はぷっ」

 かわいらしく、好物でも頬張るように、くわえ込んだ。

「んっ、んっ、んっ」

 美琴の頭が規則正しく上下をはじめる。

 唇が幹部分を柔らかく締め付け、口内で舌が踊る。

 根本まで飲み込むのにあわせて強く、先端に戻るにつれて弱く、根本まで飲み込むのに合わせて幹部分に絡め、先端に戻るにつれて舌先で円を描く。
「んぷっ、んんんっ、んむぅっ」

 上下運動が激しくなる。

 唇の端から泡になった唾液が溢れ、飛沫となって落下した。

 そして、

「~~~っ」

 美琴が一際深く頭を下ろし、『それ』を喉奥にまでくわえ込み―――







「白井さーん? いますかー?」







 初春飾利の声が響き、寮室のドアがノックされた。

「んぐうっ!?」

 驚いたのは美琴だ。

 早く返事をしなければ、ドアを開けられてしまう。しかしこの状況を見られてしまうわけにはいかない。

 焦りゆえに思わずたてられた歯が、『それ』―――舐められ続けてふやけたバナナを、あっさりとその身を切断した。
「んんぐっ!」

 口内にある長さゆえに飲み込むこともできず、それ以前にあわててしまって咀嚼もままならない。

「えっ!? この声、御坂さん……!? だ、大丈夫ですか!? 開けますよ!?」

 こちらの声がドア向こうにも届いたのだろう。飾利の声があせったものに変わり、次いでドアノブがガチャリと回された。

(―――っ、そういえば、鍵……!)

 少しだけのつもりで『練習』を始めたことと、白井から遅くなるというメールを受けていたため、油断していた。

 服は着ている。特に自慰のようなことをしていたわけでもない。

 ただ、口淫の練習をしていたところなど、相手にわかるわけがないと思いながらも、見られるのは色々と厳しい。

「んんんんっ!!」

 ちょっと待って。

 そう言おうとするが、言葉にならなければ伝わらないのも道理である。

 目を白黒させる美琴の祈りも空しく、ガチャリ、とドアが開き、飾利が飛び込んできた。
「じゃあ、ゆっくり休んでくださいね」

「う、うん。ごめんね初春さん。何もおかまいできなくって」

「なに言ってるんですか。体調悪いんですから、そんなこと気にしないでください。それじゃあ、失礼しますね」

 そう言って、飾利は部屋を出て行った。

 パタン、と軽い音が響き、ドアが閉まる。

「……」

 美琴は一拍だけ沈黙したあと、

「はー…」

 ため息をつき、ベッドに寝転がった。

「初春さんでよかった……」

 体調が悪かったので、バナナを食べて寝ようと思っていた。

 そんな説明に、疑うことなく頷いてくれた彼女の純真さに感謝する。

 顔が赤いことも疑問に思わなかったようだ。これが白井や佐天涙子あたりならば妙な勘繰りをされたに違いない。

「……今後は、もう少し場所を考えなきゃね」

 白井も時折、空間移動で帰宅する場合がある。

 トイレはちょっとあれだが、それでも寮での練習は控えた方がいいだろう。

(じゃあやっぱりアイツの家、かなぁ)

 だがおそらく、そういうことになれば、練習どころか実地研修になることは間違いない。

「……ん」

 トクン、と胸が騒ぎ出す。

(って、だめだめ! 寮じゃ絶対危ないってさっきわかったじゃない!)

 ブンブン、と頭を振り、美琴は脳裏に浮かんだ光景をかき消した。

(寝よう! 今日はもう寝ちゃおう!)

 そして勢いよくベッドに横になる。

 制服が皺になるだろうが、明日明後日は休日である。なんとでもなるだろう。

 胸の動悸と身体の疼きを強引にごまかしながら、美琴は目を閉じた。 
 部屋の、外。

「……」

 飾利はゆっくりとドアを閉めてから、

「んー…」

 と、口元に手を当てた。

 僅かに天井を見上げるその横顔は、何事かを考えているものだ。

(今日は御坂さん、いるんですね。上条さん、何かあったのかな)

 連休であるし、間違いなく彼の家に泊まりこんでいると思っていたのだが。

(まぁでも、)

 と、飾利は口元を隠しながら、笑みを浮かべる。

 それは普段の彼女からは想像もつかないような、妖艶な笑み。

(……練習するんなら、きちんと場所を考えないと駄目ですよ、御坂さん)
 赤い頬、潤んだ瞳、布団にあった。唾液の跡。そしてバナナ。

 美琴は風邪と言っていたが、それはちょっと無理があるだろう。

(きっと今頃、ナニかしてると思いますけど……)

 聞き耳を立てれば、もしかしたら聞こえるかもしれないが、録音までは無理だ。

 美琴のあられもない声が手に入れば、

(……白井さんの調教にも効果あるかもしれません)

 それを聞かせながら攻めれば、よい反応を見せてくれるだろう。

 とはいえ、盗聴器もない今では、それは無理な話だった。

 飾利は、はぁ、とため息をつく。

 白井の不在は予想していたが、美琴がいるとは思っていなかった。

 予定では歩いて帰ってくる白井を、美琴の香りがするベッドで苛め抜くつもりだったのだが…。

(まぁ、今日は支部で我慢しますか。きっとここから迎えに行けば、そっちの方の近くで落ち合うでしょうし)

 陰核にローター、肛門にアナルバールをつけられた状態での空間移動は不可能だ。

 仕事が終わって同時に支部を出たが、自分の方が早く寮についたということは、間違いなく歩きだろう。

 今頃、ひょこひょこと少しでも不自然にならないよう、しかしそれがゆえに不自然な歩き方になっていると気がつかずに、ゆっくりと歩いているに違いなかった。

 そうと決まれば、ここには用はない。

 寮監に風紀委員の仕事で迎えに来たと告げれば、外泊許可はすぐに下りるだろう。

「くすっ」

 飾利は小さく含み笑いをこぼしながら、脚を踏み出した。

 今夜、白井はどんな風に泣き、喘ぎ、そして懇願してくるだろう。

「白井さんって、攻められると弱いんですから……」

 飾利の呟きは、誰にも聞かれることなく、静寂な廊下の中に消えていった。

 

 

 


『んん・・・あっ、ああんっ、いいよぉ・・・』
「んーっ! んんーっ! んーっ!」
 常盤台学生寮の一室に、艶めいた喘ぎと唸るような喘ぎが響いていた。
 艶めいた喘ぎは、携帯電話に映し出された動画からのもの。 
 普段は季節季節の花束が表示される待受画面には、今は赤毛の少女の恥態が映し出されている。喘ぎは、スピーカーから、電気的に再生されたものだ。
 対して、唸るような喘ぎは、それを見る人物からのもの。
 外ならぬ動画の少女のベッドに転がされ、細い両手首と両脚を掃除用の箒に括りつけられたーーM字開脚で固定されたーー全裸の少女の唇からだった。
 唇、という表現は、やや正確ではないかもしれない。
 なぜなら少女の口にはボールギャグが噛まされ、喘ぎはその穴から漏れているのだから。
「ほら、どうですか白井さん。憧れのお姉様のベッドで、憧れのお姉様の香りに包まれて見る、憧れのお姉様のオナニーシーン。やっぱり興奮しちゃいます?」
 全裸の少女ーー白井に、クスクスと笑い混じりの声が投げ掛けられた。
 声の元は、白井のすぐ隣。
 両手の使えない白井に携帯電話を見せている、白井と同年代の少女である。
「んんーっ! んんんーっ!」
 しかし白井はその少女ーー飾利の方に目を向けない。
 興奮に満ちた瞳で、携帯電話の画面を凝視している。戒められた彼女の両手は必死の勢いで空を掻き、固定された手首からは、無理に動かしているせいか血が滲んでいたーートプトプと粘液を漏らす己の股間に、触れようとして。
「あー、やっぱりちょっと薬が多すぎましたか。失敗しました」
 飾利はため息をひとつ。
 感度をあげるために媚薬を使ったのだが、量を間違えたらしい。
 もう少し抵抗されることを期待していたのだが、これでは拍子抜けである。
(まぁ、これはこれで活かすことにしましょう)
 このまましっかりと焦らせば、白井の心と身体に渇望を刻むことができるだろう。
 その上でおねだりをさせ、自分の手で快楽を与えてやる。
 これを何回も繰り返せば、白井は初春飾利という存在を意識する度に快楽を思い出すようになるはずだ。
(心を崩すには、まず身体を屈服させないといけませんからね)
 今日は休日前夜。美琴は上条の家に泊まりにいっている。
 明日の朝まで、時間はたっぷりとあった。
「じゃあ、はじめますか」
 くすっ、と笑いながら、指先を白井の喉元に這わせる飾利。
 白井が未成熟な身体が大きく震え、情欲にまみれた嬌声があがった。
 

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