上条「二人で一緒に逃げよう」 美琴「………うん」 > 第一部 > 06


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朝日が窓から射し込み、外には小鳥たちの元気な囀り声。
山中にあったその小屋は、ようやく訪れた平穏な空気に包まれるように、森の中に佇んでいた。

美琴「…………ん」

目を開く美琴。
まず初めに見慣れぬ天井が視界に入った。

美琴「……ここは?」

ゆっくりと顔を巡らす。壁に沿って設置された長椅子。薪ストーブ。そして……寝台の側で椅子に座り顔を俯けながら眠る1人の少年の顔。

美琴「………当麻」

その名を呟く。彼の寝顔を見ると思わず笑みが零れた。

上条「………ん?」

と、その時、上条が急に目を覚まし、美琴と視線が合った。

上条「………御坂?」

美琴「………うん」

穏やかな表情で答える美琴。

上条「お前、起きたのか!?」

慌てたように上条が寝台に近付く。

美琴「今ね」

上条「熱は?」

美琴「まだ頭がクラクラするし……身体もダルいわ……。完全復活にはまだ…程遠いようね……」

上条「そっか。でも大分熱が冷めたようで良かった……」

本当に安心するように上条は言った。

美琴「うん……って、あれ?」

と、そこで美琴は自分の状況に気が付いた。

上条「どうした?」

美琴「…………何これ?」
被っていた布団と毛布を少し上げ中を見る美琴。……下着以外、何も身につけていなかった。

美琴「……………え?」

そして、ベッドの側に顔を向けると、薄いシーツ1枚を身に纏っているものの何故か裸の状態の上条がそこに座っている。2人が着ていたと思われる服はストーブの側に置かれていて………

美琴「ちょちょちょちょちょちょ//////////」

上条「?」

美琴「どどどどどどどどういうことよこれ!?//////////」

急に慌てたように美琴が上体を起こした。一応、布団と毛布で身体を隠すよう気を付けながら。

美琴「ななななななななな何で私とあんたが揃って裸になってんの!?////////」

上条「え!? あ、これか。これはその……」

上条は身に纏っていたシーツをめくろうとする。

美琴「め、めくるなぁ!!//////」

上条「? おいどうした急に?」

美琴「どうしたもこうしたもないわよ!!!////// 私が知らない間に何があったの!!??////// あ、あんた私に何をしたの!!??////////」

何故か顔を赤くしながら慌てる美琴。どうも彼女は何か勘違いしているようだった。

上条「何言ってるのか分からんけど落ち着け」

美琴「おおおおお落ち着いていられるわけ……」フラッ

上条「あ!」

美琴「あ……頭が……」

上体を起こしていた美琴が急にベッドに倒れ込んだ。

上条「バカか! 起きて早々喚くからだ!!」

騒ぎすぎたため頭が一瞬フラついたらしかった。
美琴「だ……だって……」

元気を無くしベッドの上で美琴は恥ずかしそうな顔をする。

上条「何勘違いしてんのか知らねぇけど、さっきお前が熱で倒れてる間に服を脱がして毛布と布団被せて暖まるようにしてただけだ」

美琴「あ…そ、そうだったんだ……。ビックリしちゃった……」

美琴はホッと溜息を吐く。

美琴「でも服を脱がしたって?」ジロッ

上条「う……しゃ、しゃーねーだろ? 服が濡れてたんだから。つか脱がしてる間ずっと目を逸らしてたから何も見てねーよ」

美琴「嘘。絶対見た」

上条「………………(確かに視界の端に見てはいけないものがチラチラ映って何度か誘惑に負けそうになったけど)」

美琴「何で黙ってるの?」ジローリ

上条「い、いや、絶対誓って見てないから!(視界の端に映っただけならカウント外だよな?)」

美琴「顔ニヤついてる」

上条「は、はぁ? んんんなわけねーだろ? みみみ見てねーよお前の貧相な身体なんて」

美琴「貧相で悪かったわね!つか何で貧相って分かるのやっぱり見たんでしょこら白状しなさい」

上条「見てない!」

美琴「本当はじっくり観察した上に触ったんじゃない?」ギロリ

上条「してねーよ!」

美琴「変態」

上条「何で信じてもらえないんだあああ!!!」

美琴「…………」

上条「不幸だああああああああああああ!!!」

美琴「………………」クス

上条「これが上条さんの運命なのかあああああああ?」

美琴「なーんてね」

上条「え?」
1人、苦悩に陥っていた上条だったが、美琴の声がして我に返った。

美琴「冗談よ冗談」

上条「冗談?」

美琴「少しからかっただけ。どうせあんたにそんなことする度胸も無いだろーし」

上条「グサッ! それはそれで何か男として悲しい言われような気が……」

美琴「何? それともやっぱり見たの? 何かしたの?」

上条「ち、違う! それだけはない!」

美琴「フフ。分かってる分かってる」

上条「お前…年上からかって楽しいか?」グギギ

美琴「あんたをからかうのが楽しいだけ」

上条「………」ズーン…

美琴「ウソウソ。フフ……まあ何が言いたいかというと」

上条「?」
上条の顔を見つめ、優しい笑みを浮かべる美琴。

美琴「ありがとね」

上条「………………」

その言葉にしばし呆然としていた上条。が、すぐに彼も笑みを返した。

上条「どういたしまして」

美琴「……」クスッ

上条「……」フッ

上条美琴「「……………………」」

2人はしばらく幸せそうに見つめ合っていた。

上条「とにかく、まだお前は安静にしてろ」

そう声を掛け上条は美琴の頭をクシャッと触る。

美琴「ん」

上条「俺が付いててやるから」

美琴「…………うん」

嬉しそうに美琴は答えた。

 

 

その頃――。

黄泉川「奴らが迷い込んだ山は標高は低いとは言え、山中は険しいことで知られてるじゃん」

黒子「………………」

黄泉川「恐らく、まだ山からは逃げ切れてないだろう」

アンチスキル・黄泉川部隊本部。トレーラー型の装甲車の中に設けられた臨時の本部にて、黄泉川は黒子や部下の警備員たちと共に作戦会議を開いていた。

黄泉川「この山の尾根は2つ。1つは北に、もう1つは南側にあるじゃん」

差し棒を使いながら、標高線が描かれた地図を説明する黄泉川。

黄泉川「これまでの逃走経路を考えると、奴らは南に逃げている可能性が高い。何故わざわざ南に向かっているのかはまだ分からないが……待ち伏せするとしたら、こっちの南の尾根じゃん」

警備員「既に山から逃げてる可能性は?」

黄泉川の説明を聞き、1人の警備員が質問をする。

黄泉川「奴らは我々に追われた末、川に飛び込んだじゃん。おまけにあの時は雨脚も強く風も吹いていた。そんな状況で山を歩くのが困難なのは必至。まだ数時間しか経ってないし、恐らく今も山中にいると思われるじゃん」

警備員「衛星は使えないのですか?」

黄泉川「本部の許可を取るのに時間が要る。ただ、使用したところで険しい木々に包まれた山の中から奴らを探し出すのは難しいじゃん」

最後に黄泉川は1つ付け加えた。

黄泉川「ま、既に死んでるという可能性も高いがな?」

黒子「………………」

黒子と黄泉川の視線が合う。

黄泉川「本部から捜査の主力部隊に命じられたんじゃん。悪いが私の指示に従ってもらうぞ?」

黒子「………………」

黄泉川「また勝手に動かれたら困るからな」

黄泉川を睨む黒子。

黄泉川「ふん。まあ、お前が本部から与えられてるチャンスは後1回だ。奴らが生きてるのか死んでるのか知らんが……どっち道今度失敗したら二度とこの捜査に加われないからな? 覚悟しとくじゃん」

黒子「………………」

黒子はそれでも何も発せず黄泉川をずっと睨んでいた。

 

 

 

山中。昼も目前に迫った頃。

上条「ほら、保存食品だけど食え。元気出るぞ」

小屋の中にあった保存食を見つけた上条と美琴。彼らは今、一緒に昼ご飯を摂ろうとしていた。因みに今は、もう服も全て乾いていたため、2人は裸の状態ではなかった。

美琴「ありがとう……」

上条「ほら、食わしてやるよ」

缶詰の中の中身を、スプーンに乗せる上条。

美琴「なっ!? ちょ、ままままま待ってよ!!」

上条「え?」

空中で上条の手が止まる。不思議そうに彼が見ると、美琴は何故か頬を染めながら尋ねてきた。

美琴「ま、まさかあんた私にアーンさせる気?」

上条「アーン言うな。つか体力ないならそれしか方法ないだろ? 今は病人なんだから素直に甘えとけ」

美琴「あ、甘えとけって……////」

上条「何だお前また顔が赤くなって」ピト

美琴「ふにょあぁ!?」

上条「わっ!? 何だよ急に?」

美琴「私の許可無しに…さ、触らないでよ!//////」

上条「はあ? 今更?」

美琴「今は私がちょっと回復したからいいの!」

上条「何だその理屈。って言うか元気そうならお前1人で食えそうだな」

美琴「え?」

上条「ほら、自分で食べれるんだろ?」

言って上条は缶詰とスプーンを差し出す。何故か、それを見て一瞬だけ残念そうな顔をする美琴。
美琴「な…何言ってるの!? あ、あんた弱ってる女の子に1人で食べさせる気? それが男のやること!?」

上条「は…はあ!? お前さっきと言ってることバラバラだぞ!」

美琴「うううううるさい//////// と、とにかく私は弱ってるから早くアーンしなさい、アーン!!//////////」

上条「とても弱ってるようには見えないのは気のせいですか?」

美琴「つ、つべこべ言ってないでしなさいってば!」

上条「はぁ……ったく」

溜息を零す上条。が、今更上条はそんなことで怒る気は無かった。

上条「ほらよ」

美琴「!」

腕組をし、片目を開ける美琴。すぐ目の前に、上条が差し出してきたスプーンがあった。

上条「口開けろよ。食べれないだろ?」

美琴「………っ」

顔を赤くしながらも、美琴は無言で口を開ける。

上条「はい、アーン」

美琴「あ…アーン……//////」

パクッ!

美琴「………!?」
美琴「……………え?」チラッ

上条「おーうめぇwwwww」モグモグ

美琴「……っ ばかぁ!!!」ポカポカ

上条「おまっ…マジで病人かよ!?」

美琴「うっさいうっさいうっさい!! まじめに私にアーンしろー!!」

上条「わーったわーった! ったく、ホントにわがままなお嬢さまだ。ほら、アーン……」

美琴「………………」プクー

上条「食わないなら俺が食うぞ」

美琴「むー……」

上条「ほら」

美琴「……あ、アーン……////////」

パクッ!

上条「どうだ? お味は?」

美琴「美味しい……」モグモク゛

上条「……」フッ

美琴「じゃ、じゃあ次……////」

上条「へいへい。ほら、アーン」

美琴「あ、アーン……//////」

2人は今、一時の憩いを味わっていた。

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