とある世界の残酷歌劇 > 終幕 > 14


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「っぎ――――」

硬い地面に叩きつけられ、一方通行は肺の中身を血と一緒に吐き出した。

ベクトル操作の能力が失われている訳ではない。
そうでなければ遥か上空から墜落して生きていることもないだろう。

ただ満足に能力を働かせることができず、衝撃は一方通行の身を襲った。

けれどまだ死んでいない。
恐らくそう遠くない時分、精々が数分も経たぬうちに命が尽きるだろう。

ただそれだけ。

だからこれは、死の直前のほんの一瞬に過ぎない。

「…………」

一方通行の落下したのは、御坂との戦いの最初の場だった。
タイルには落下の衝撃でクレーターを刻んでいるし、周囲は戦いの余波で酷い有様だった。

「っ……が……」

立ち上がろうとして、直後に身を崩し、右手がないことに気付く。
既に痛みはない。そういう次元を超えてしまっているのだろう。
五感全てがどうにも虚ろだった。



「……っ……」

それでもどうにかして立ち上がる。
左手一本で体を支え、身を引き摺るようにして強引に起き上がらせ、這うようにして進んだ。

ずっ……ずっ……ずっ……。

時間の感覚すらも曖昧なまま一方通行は無心に体を進める。

そしてようやく、左手を伸ばし、渾身の力を込めて身を引き上げた。

「っ……はァ」

最後の大仕事を終え、一方通行は疲れた溜め息を一つ吐く。

「……よォ」

どさり、と倒れ込むようにベンチに座った彼は、隣の少女に向かって言葉を投げる。

「悪りィな、打ち止め。オマエのお姉様、殺したぞ」

返事はない。

彼とてそれを理解している。
隣で眠る少女はもう二度と目覚めることもなければ無邪気な笑顔を向けることもない。

「結局俺は……最初から最後まで、オマエらを殺すだけだったなァ」

目を瞑り自嘲的な笑みを浮かべ一方通行は独白する。

きっとそれが己に架せられた業だったのだろう。
彼は終始御坂美琴という存在を殺すためだけにあったのだとつい思ってしまうほどに両者の関係は因縁めいていた。



誰かを救えるのではという考え自体が、もしかしたら前提条件から間違っていたのかもしれない。
自分は首尾一貫して、殺戮でしか事を成せないような、そういう存在だったように思える。

だったら、これは必然だ。

御坂美琴を殺すことで一方通行という存在は終了する。

「どォせこれもオマエの掌の上なンだろォがなァ、アレイスター」

は、と聞いているのかも分からない相手に向かって嘆息した。

「まァ……第一位から第五位までがこれで総崩れだ。
 オマエのプランとやらも流石にそろそろ限界じゃねェのか」

無論そんなことはないのだろうが――返事がないのをいい事に好き放題に言うくらいはいいだろう。

「つっ……かれたァ……」

もう一度大きく息を吐き全身の力を抜く。
体が泥に沈んだように重い。こんな感覚はいつ以来だろうか。

このまま眠ってしまいたくなる。

それも悪くない……と頭の隅で思うが、その一方でこんな終わり方が許されるのかと自問する。

自分のような存在は、苦しみに苦しみ抜いて死ぬべきではないのか。
そうでなければ帳尻が合わない。そうでなければ『彼女達』に申し訳がない。

だから、その言葉が掛けられた時にこれは既に死後の夢ではないのかと思ってしまった。



「お疲れ様でした、とミサカは聞こえているのか分からないあなたに労いの言葉を掛けます」

「……なンだよ。化けて出るならもォ少しマシな言葉を吐いたらどォだ」

薄目を開けて見遣ると、そこには嫌になるほど見飽きた顔が立っていた。

御坂美琴――と同じ顔をした少女。
軍用ゴーグルを乗せた顔が、すぐ傍でこちらを見下ろしていた。

首から伸びる細い鎖の先にはハート型のペンダントトップが提げられている。

「オマエ、生きてたのか」

「はい、とミサカは肯定します。ミサカだけはネットワーク接続を切りスタンダローン化していましたので。
 ぶっちゃけた言い方をするとまったく無傷です、とミサカは元気さをアピールするために腕を軽く振り上げます」

「そォかい。どォせなら他の奴らも同じ事やってくれてりゃ楽に済んだのによォ」

「この個体が特別なだけです、とミサカは甘い幻想を打ち砕きます」

「どォして」

「最後まで見届けるため」

……とミサカはシンプルな解を提示します、と続け、少女は薄く笑う。



「……なァ」

「はい」

「本当にそれだけか?」

「と言いますと、とミサカはしらばっくれて口笛を吹く真似をします」

「……こっちは今にも死にそォなンだが」

無表情のまま唇を尖らせ音の出ない息を吐く少女を半眼で眇める。
何故だか一言毎に余計に疲れる気がする。すぐにでも意識を失ってしまいそうだ。

「もォ一度聞く。生きてたのかよ」

「これはもしかしてバレてますか、とミサカはあなたの感の鋭さに戦慄を覚えずにはいられません」

「アホか。気付かねェ訳がねェだろォが」

そう言って一方通行はまた大きく嘆息した。


               ラストオーダー
「オマエ、何やってンだよ、打ち止め」



「……」

「……」

「……あは」
     、 、 、 、
少女はにっこりと無邪気な笑みを浮かべ一方通行に向けた。



「ちぇー、やっぱりあなたは騙せないなあ、ってミサカはミサカは口を尖らせてみたり」

「単にオマエが間抜けなだけだろ」

隣に腰掛けた少女に一瞥もくれずにべもなく一方通行は一蹴した。

「詰めが甘いンだよ。オマエ前に似たよォな事やってンじゃねェか。
 ミサカネットワークにバックアップ取るのが趣味なンだろ?」

「趣味って、なんか今酷い言われ様をしてるかも……
 ってミサカはミサカは相変わらずのツンツンっぷりにいつになったらデレてくれるのかなーって少しばかりの期待を込めて流し目を送ってみたり」

「うるせェよ。何語だそりゃ」

「つれないなあ、もう」

少女は柔らかく微笑み、一拍。

「ミサカがここにいるのはね、さっき言ったように最後まで見届けるため、ってミサカはミサカはあなたに嘘なんかつくはずないってことをアピールしてみる」

「それこそ悪趣味だろ。なンでよりによってオマエなンだよ。大人しく死ンどけっつーの」

「ひどっ。折角ならあなたのために最後まで居残り決め込んだミサカの一途っぷりに
 少しくらい感動してほしいなー、ってミサカはミサカはどうせ無駄だと分かってるけど言わずにはいられなかったり」

「うぜェ。鬱陶しい。結局最後までオマエの相手かよ面倒くせェ」

……とはいえ、実際のところそう悪い気分ではない自分がいるのだが。
そんな愚考が浮かぶ辺りどうにも頭に血が足りていないのかもしれない。

勿論そのことを口に出したりなどはしない。



「一〇〇三二号はどォした」

「いるよ?」

即答する。

「それだけじゃない。他のみんなだってここにいる。
 ミサカは全ミサカを代表して人格を形成してるだけで、そうだなあ……、
 ミサカっていう多重人格者って表現するのが分かりやすいかも、ってミサカはミサカは例えてみる」

「オマエら元からそンなもンだろ」

「うん。ただ、今までは体が人格の数だけあったから、ねえ?」

苦笑する。

「今の主人格はミサカで、まあミサカ自体がエミュレートされてる亡霊みたいなものなんだけど。
 だから化けて出たって表現もあながち間違ってないかも。だってミサカの元の肉体は生命活動を停止してそこにある訳だし。
 うわあ自分の死体を見るって凄く貴重な体験、ってミサカはミサカは実は他のミサカは大体やってることをようやく体験してみる」

「笑顔で言うなよそンな事」

ごほ、と血の混じった咳を吐き思わず崩れ落ちそうになる。

「……それにしたって、それはオマエが出てくる意味にならねェ。
 さっさとゲロっちまえよ。オマエはどォして大人しく死ンでねェで俺の前に現れたンだよ。嫌がらせかオイ」

「容赦ないなあ……そんな意地悪な子に見えますか、ってミサカはミサカは頬を膨らませてみる」

「趣味が悪いのは見ての通りだなァ」

ぜひ、と掠れた音で笑い、一方通行は薄く目を開く。
視界はぼやけてしまっていて、夜闇の中では余計に碌なものが見えない。

それでもどうにかして首を動かし、隣の少女――生きて動いている方――に視線を向ける。

「俺を、殺しに来たか」



「……」

「……」

二人が視線を交錯させ、しばらく無言の後、彼女はようやく唇を開き。

「はぁ? ってミサカはミサカは何言ってんだコイツみたいな馬鹿にした顔であなたを見てみる」

「おいオマエら実は別人格とかじゃなくて普通に混ざってるだろ」

「うーん、やっぱり少し肉体のフォーマットに引っ張られるのかなあ、ってミサカはミサカは予想してみたり」

不思議そうに小首を傾げて自分の胸元を見下ろす少女に一方通行は無言で疲れた半眼を向けるしかなかった。

「おおっ、さすが肉体年齢中学二年生。
 ミサカになかったものが慎ましやかながら備わっている、ってミサカはミサカは感動に打ち震えてみたり……!」

「できれば後にしてくれねェかなァお嬢さン。こっちはそろそろ死ぬってンだから」

「ごめんごめん。それで何の話だっけ、ってミサカはミサカは脱線しかけた話題を軌道修正してみる」

「オマエが化けて出た理由」

「率直な意見。それを聞いてどうするの、ってミサカはミサカは純真な素直さをアピールしてみたり」

「特に理由はねェよ。今際の暇潰しか冥土の土産くらいにしとけ。つかそれ自分で言ってたら世話ねェだろ」

「しまった……!」

まったく忙しい奴だ、と一方通行は目を伏せる。



「ミサカが化けて出た理由は二つ、ってミサカはミサカはビシィって指を突きつけながらうわあ自分で化けて出たって言っちゃったよって公開に打ちひしがれてみたり」

彼女は言った通りに指を二本立てているのだろう。
見えてはいないが丁寧にも実況してくれる。

「一つはあなたに自慢するため」

自慢……?

「ミサカが作られた目的はあなたに殺されるためだったかもしれない。
 でもね、ミサカ自身に架せられた目的はそれとは別にあった、ってミサカはミサカは説明してみる」

息を吸い、少女は告げる。

「ミサカはあなたを倒すように作られた。
 そして、今日、ようやくあなたに勝ったよ、ってミサカはミサカは勝利を宣言してみたり」

……ああ、なるほど。

確かに彼女らは終始そのために生きていたのだろう。
結果的に自分に殺され、結果的に実験の糧として使い潰されていただけで。

彼女たちの命題はそこにあったはずだ。

実験が立ち消えた後でもそれは失われていなかった。

「まあ実際にやったのはお姉様なんだけど、そこは共同戦線とかそういう感じで、ってミサカはミサカは都合のいい解釈をしてみる」

しかしそれではまだ理由にならない。
それが彼女でなければならない必要はない。

だから、早く。

どうにも眠くて仕方がないのだ。



「もう一つの理由はね」

あァ。

「あなたにお礼を言うため」

……はァ?

なンだそりゃァ。
どォして礼なンか言うンだよ。

「ミサカがね、あなたのお陰で生まれてきたから。
 だからお礼、ってミサカはミサカはようやく面と向かって口にしてみる」

だとしても、だ。
殺されるために生まれてきて、殺す相手に礼を言うなンて可笑しな話だ。

「ううん、そうじゃないよ、ってミサカはミサカは首を振ってみる」

……おい。

どォして口にしてないのに会話が成立するンだよ。

「だって、他のミサカはもうみんな死んじゃったし。
 だから普段は分散してるけど今あなたの代理演算をしているのはこのミサカだけで。
 つまりあなたの思考はぶっちゃけミサカに筒抜けなのでした、ってミサカはミサカは意地悪な視線をあなたに送ってみる」

……面倒臭せェ。



「ミサカはね、ミサカだけは、ミサカ二〇〇〇〇号だけは違うよ、ってミサカはミサカはあなたの手を取ってみたり」

そう彼女は言うのだけれど、どうにも手の感覚がない。

触れられている気はする。
でもどうしてだか蜃気楼のように曖昧で、実感が持てない。

「ミサカだけは製造目的が違ったからね。
 唯一の例外。あなたに殺されるために生まれてきた訳じゃない」

……。

「ミサカは、あなたのために生まれてきた訳じゃない。
 でも、父親も母親もいないミサカにとってあなたはもしかすると、
 ミサカの親みたいなものなんじゃないかなあって、ミサカはミサカは自分で言っててよく分かんないけど」

……多分そういうことなんだ、と。
きっと彼女は少し照れたようにはにかんでいるのだろう。

「だから、お礼。ミサカを生んでくれてありがとう」

……なンだよ。

「ミサカは多分、あなたを愛するために生まれてきたんじゃないのかな」

なンだよ、それは……。

「たとえ世界中があなたの事を憎んでも。
 たとえあなた自身が自分を嫌悪しても。
 ミサカだけはあなたを好きでい続けるから。
 ミサカを守ろうとしてくれたあなたを、ずっとずっと、大好きでいるから、ってミサカはミサカは――」

最後の方はよく聞き取れなかった。

けれど、どうにかして言い返してやろうと、重い唇をゆっくりと動かし。

「…………好きに、しろよ、クソガキ」

最後までどうにか体裁ばかりの悪態をついてやることにした。



「…………」

ずるり、とベンチの背に凭れていた体が傾ぎ、崩れ落ちる。

枯れ木のように軽い少年を両腕で抱き止め、ゆっくりと膝の上に寝かせると少女は優しくその髪を撫でた。

「お疲れ様……お休みなさい」





目を閉じたままの彼の顔は、母の腕で安らかに眠るあどけない子供のような。

――天使のようなと称される寝顔に似ていた。





――――――――――――――――――――





なんだか酷く長い夢を見ていた気がする。



「…………」

目を開くと、そこはいつもの寮の部屋ではなかった。

けれど知らない場所だという訳でもない。
それどころか、実に思い出深い場所だった。

公園だ。

忘れもしない、あのとき彼と過ごした、あの場所。

そう。今腰掛けているベンチ。
ここで初めてキスをした。

それがつい昨日のように思い出せる。

実際にはさほど日は経っていないのだが、その間に随分色々な事があった気がする。

「っ――はぁ――」

鉄錆の味がする重い息を吐き出し頭上を見上げた。

そこにはごく当たり前の空があって、僅かに白んだ闇色の中に星が瞬いていた。



「は――」

吐く息が白い。道理で寒いはずだ。
体からは熱が丸ごと抜き取られて、全身が冷たい鉄か何かに変わってしまったように冷たく、重かった。

「さむ……」

震える手で左腕を抱くようにして身を竦ませる。
そうするとほんの少しだけ暖かな気がした。

首を縮こまらせていた方がきっと寒くはないのだろうが、どうしてだか見上げた空から目が離せなかった。

酷い頭痛が絶え間なく繰り返していた。
重い息を吐き出し、軽くこめかみを押さえる。
そんなことをしても頭の中でがんがんと鳴り響く鐘の音はちっとも止んではくれない。

「…………」

重力に任せ滑り落ちた指に絡まった何かがずるりと抜け落ちる。
何やら大変な事態になっている気がしたが。

「……もう、いいや」

疲れた。

ただそれだけだ。



ふと何か気配を感じてゆっくりと視線を巡らせる。

「……アンタ」

彼はベンチに一人座った自分から少し離れた位置に静かに立っていた。

柔らかく、静かに微笑んで。

「なんだ……」

目を細め、少女は少しばかりの笑みを作った。

「アンタ、そっちの顔も中々かっこいいじゃない」

なんだか見覚えのある笑顔をした褐色の肌の見知らぬ少年は彼女の言葉にただ無言で微笑むだけだった。

「……ねえ」

たったそれだけの短い言葉に彼は頷き、羽織ったスーツのポケットに手を入れる。

「……ん」

ゆっくりと取り出した手には黒い石で出来た民族工芸のようなナイフが握られていた。
それを彼は、つい、と目の前に掲げる。

「――――」

天の端に浮かぶ明けの明星の光に黒曜石の刃が煌いた。



ばきん、と破滅的な音が鳴る。

捲り上げた左袖から覗く義腕がばらばらと砕け落ちた。

一緒に何やらびちゃびちゃとぬめったものが零れたようにも見えたが、気にしないでおく。

「ありがと」

一緒に落ちないように優しく握っていたその手を胸に抱き、目を伏せる。

数呼吸の間そうしてから目を開くと、そこに彼の姿は無かった。
気を利かせてくれたのかな、と少しばつの悪い笑顔を浮かべ。

「あ……」

と小さく呟く。

「結局……名前、聞いてなかったなあ……」

まあいいか、とすぐに思考から消して、胸に抱き寄せる腕にほんの少しだけ力を込める。

なんだか酷く長い夢を見ていた気がする。
それがよく思い出せずにいる。

寒い。それに頭痛が酷い。

意識は靄が掛かったみたいに朦朧としていて、音もよく聞こえないのは辺りが静かなだけだろうか。

浅い呼吸を繰り返しながら、碌に見えぬ目を伏せた。



一体自分は何がしたかったのだろう、と今更ながらに考える。

こんな事を言ってしまえば怒られるのだろうが、どうせ辺りには誰もいない。
それに声にしなければ誰かがいたとしても分かるはずもない。

とはいえ答えなどとうに出てしまっている。

「幸福も不幸も、いらない」

欲しかったのは最初から一つだ。
たった一つ、それが満たされれば他の事などどうでもよかった。

「私はただ」

簡潔にして単純明解。
きっと自分のような年頃の少女なら同じようなことを思うだろう。

「もう一度だけでいいから……」

それが叶うことなどないと分かっていた。
なのに、せめてもう一度だけと願わずにはいられなかった。

「名前を……呼んで……」

その声に答える相手などいもしないのに。

「当、麻ぁ……」

その名を口にせずにはいられず。
やっぱり少しだけ泣いてしまった。








          










                         










               








「――――――」

声が、聞こえた気がした。

目も見えない。音も聞こえない。
頭の中では鐘ががんがんと鳴り止まない。
息をするだけでも妙に疲れる。

なのにその声だけははっきりと聞こえたような気がして。

「なぁんだ――」

そんな些細なことは全部どうでもよくなって。

ただ自然と笑ってしまった。

「遅い――じゃない――」

もしかしたらこれは夢の続きなのかもしれない。
それでもきっとよかった。

「また――遅刻して――」

それがたとえ夢であっても。

たとえ現実であったとしても。

彼がいるのなら。

「ほら――デート、なん――」

手を、伸ばす。













「――行くわよ、当麻」













とさり、と腕が落ち、それきり二度と動かなかった。










物語は、終わる。

けれど世界はそれとは関係なく続いてゆく。



悲劇の夜が明け、朝日が昇る。

柔らかな光が少女の横顔を照らしていた。



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