とある世界の残酷歌劇 > 終幕 > 11


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どうして自分はこんなところにいるのだろう。
そんなことをふと考える。

白と黒の二色に切り分けられた世界で少女は独り思う。

この位置は単にくじ引きの結果のようなものだ。
あたりはずれに一喜一憂することはあってもそれに不満を持つようなことはない。

ただ――もし『あたり』を引いていれば。
そんな愚にもつかない妄想くらいはしてもいいだろう。

はっ、はっ、はっ……。

風はなく、自分の息切れが嫌に煩い。
一歩足を踏み出す度に降り積もった白がぎちぎちと音を立てる。
白銀の平野に一対の足跡を刻みながら少女は体を引き摺るように歩いていた。

途中まで乗ってきた半ば置物と化していた年代物のスノーモービルは燃料を使い果たしたために放棄した。
もっとも燃料がまだあったとしても大差はない。
目的地などないに等しいのだから。

少女はただひたすらに東を目指す。

彼我の距離は徒歩だろうと乗り物があろうとほとんど変わらない。
そこは余りに遠く、辿り着けるはずもないのだと分かっている。
それでもどうしてだろうか。強迫観念のようなものに急かされて足を動かす。

ミサカ一〇七七七号はロシアの雪原を歩み続ける。

東の果て――日本、学園都市を目指して。
少しでも近付こうと、一歩、一歩と足跡を刻み付ける。



はっ、はっ、はっ……。

頬に突き刺さる風の音はイヤーウォーマーのお陰で聞こえない。
だからずっと頭の中に籠もるように自分の吐息だけが響いていた。

けれどそれとは別に、聞こえるはずのない音が脳裏に木霊す。

悲嘆のような、哄笑のような、怨嗟のような、歓喜のような。
あらゆる感情を掻き集めてどろどろに煮詰めたスープのような、そんな声。

耳を塞いでも聞こえてくるその声は音ではない。
二人の超能力者の代理演算が薄く広がった意識に細波を立てる。

そんな声ならぬ声をミサカ一〇七七七号はどこか他人事のように聞いていた。

同じ世界、同じ時間に起きていることだとは、どうしてだろうか、思えなかった。

いわば対岸の火事。
遥か遠い国の出来事をテレビの画面越しに眺めているような、そんな気配。
比喩でもなく今彼女がいる場所は事が起きている学園都市とは遠く離れた国ではあるのだが、彼岸までの物理的な距離はここでは関係ない。
他ならぬ彼女自身が事の当事者であるのだから。

けれど何故だろう。ミサカ一〇七七七号は思う。

自分は紛れもなく当事者だし、実際に今もこうして二人の代理演算の一端を担っている。
間違いなく渦中の人物といえるだろう。

なのに――どうにも現実味が持てないでいます、とミサカは独白します。

どこか朦朧とした思考で。
少女はそんなことを心中呟いた。



今この瞬間、学園都市で文字通りの殺し合いを演じている二人の超能力者のことはよく知っている。

二人が何を思い、何を経て、何のためにそうしなければならなかったのか。
もしかしたら本人たちよりも余程理解しているかもしれない。

はっ、はっ、はっ……。

ふっ――と、走馬灯のように記憶が脳裏を過ぎる。
出会った人たち。過ぎ去った時間。思い出の場所。
そんなものが浮かんでは消え、消えては浮かぶ。

そうして己の短い人生の記憶を掘り返してようやくミサカ一〇七七七号は気付くのだった。

「ああ……なるほど、とミサカは納得します」

画面の向こうのように感じるのも無理もない話だった。

この一週間で起こった出来事。
死んでしまった人たち。
生きている人たち。
殺し合っている者ら。

聞こえてくる声。
悲痛な叫びも。
絶望の嘆きも。
何もかも全て。

――全てただの『知識』でしかないのですから。

ミサカネットワークというフィルタを介してしまえば何もかもが薄らいでしまう。
精彩を欠き鮮烈さは失われ曖昧模糊としたものになってしまう。

それを一言で表すなら――。

「遠い……と言うべきなのでしょうね、とミサカは、」

転んだ。



延々と雪原を歩いてきた少女の体は疲労に苛まれ、ろくに受身も取れぬまま雪の中に倒れ込んだ。

降り積もった雪が地形を覆い隠していた。

路面に凹凸でもあったのか、それとも何かが埋まっていたのか。
それを確かめようとは思わず、ただ刺すような冷たさだけを顔面に感じミサカ一〇七七七号は暫くの間うつ伏せに倒れていた。

「……は、あ」

それから緩慢な動作でごろりと体を返し、仰向けに空を見上げる。

星が見えた。夜天には万の宝石を散りばめたような見事な星空が広がっている。

それら微かな光を遮るような無粋な町明かりは存在しない。
スノーモービルを燃料が尽きるまで飛ばしたのだ。
平原のど真ん中、最も近くの町からも五十キロは離れている。

学園都市からもこの星空が見えるのだろうかとふと思い、すぐに否定した。
あの街の明かりは深夜でも煌びやかで、星空など見えはしない。
その夜景はきっと素敵なものなのだろうけれどこの満天には敵わないだろうと薄く笑った。

視界全てに広がる星の海を映像処理してミサカネットワークにアップロード。
限界を超えた処理能力を更にほんの少しだけ圧迫し、脳にじりじりとした幻痛が走る。

「見えていますでしょうか、とミサカは誰にともなく呼びかけます」



答えはない。
しかしミサカ一〇七七七号は続ける。

「ミサカはこの星空を……美しいと感じます、とミサカは思わず溜め息を漏らします」

そういう感情――感傷はきっと生きる上で最低限必要なものではないだろう。

けれどきっと――人として生きるのであれば必要なものだ。

……それをあなたがミサカに教えてくれました。

自分たちが唯一姉と呼ぶ少女と、自分たちを唯一対等に扱ってくれた少年。
あの二人がいなければこんな感情は持ち得なかっただろうし、そもそも第一位の少年にとっくに消費されていただろう。
しかしあの白髪赤眼の超能力者がいなければ自分たちは生まれてすらいない。

つまりこの美しい景色を見られるのはきっと彼らのお陰で。

感謝――すべきなのだろう。

背に雪の冷たさを感じる。
痛みに近いそれは同時に熱にも似ていた。

その熱は生命の証だ。
心臓が鼓動を打ち、全身を血潮が奔り、脳の中では眼球が捉えた世界に震え火花が散っている。

これこそが生命。
ミサカ一〇七七七号という少女の命の火。

だから、というようにミサカ一〇七七七号は、思考を加速させる。



走馬灯のように駆け巡る少ない記憶を振り返りながら少女は自身の死に向かって疾走する。

体温は失われつつある。
最早体を起こすこともままならないだろう。

転んだ時に何もしなかったのではない。
何も出来ず、ただ無抵抗に転ぶしかなかったのだ。
四肢に力は入らず、呼吸するのですら酷く疲れる。

はっ、はっ、はっ……。

一息一息が血を吐くように苦しい。
生きるというのはこんなにも苦しい事なのだろうかと自問して、すぐに否定する。

もっと辛く、苦しい。
こんなものは苦でも何でもない。

そして――それと同等以上に幸せがあったはずだと少女は思う。

知識の中で二万通りもの生を経験し、一万以上の死をも経験した。
その全ての人生を肯定してくれた少年がいた。

生まれてきてよかったのだと。
生きていてよかったのだと。

ただ道具のように浪費されるだけだった存在の生を認めてくれた。

これを幸いと言わずに何と言えばいいのだろう。



彼がいてくれたから自分は救われたのだと少女は思う。
彼に救われ、短いながらもそれなりの生を謳歌し、今見上げているような美しい景色を知ることもできた。

そして、恋をした。

知識だけでは知りようもない鮮烈な感情。
苦痛と幸福が等しく混ざり合っている酷く矛盾した想い。

その感情を教えてくれたのも彼だった。

そう。自分の人生は間違いなく幸せだった。
ミサカ一〇七七七号は己の生を振り返り思う。

懐いていた感情は行き場を失い心の奥底に埋もれている。
けれど未だ消えないその小さな炎を抱いたまま少女は雪に沈むように星空を見上げる。

「見えて……いますでしょうか」

この美しい空を共有したいと少女は思う。

知識ではなく実感として。
彼と、そして彼女とも、同じ空を見たいと思う。

決して叶わぬと分かっていながらも――そう思わずにはいられなかった。



はっ、はっ……は――。

静寂の世界にたった一つだけ存在していた音が不意に止んだ。
ミサカ一〇七七七号の呼吸が止まった。

そして暫くして――。

「ああ……」

と漸く思い出したように声を漏らした。

息をするのも忘れて少女は呆然と天を仰いでいた。

視界の隅で生まれた小さな光があった。
それはゆっくりと翼を伸ばすように空に広がっていく。
漆黒の中に浮かぶ満天の星の海と、それを覆う虹色が視界を埋め尽くしていた。

本来こんな場所に現れるはずもない。
もっと北でしか見ることのできないはずのそれがどうしてだか目の前に広がっていた。

曙の女神の名を持つ光の天幕。
それが静かに降りてくるようだった。

まるで白夜のよう。
天から降り注ぐ光が地に倒れた少女の体を照らしている。

自然の条理を逸した場景にミサカ一〇七七七号は暫く思考すらも忘れて、ただただ見入っていた。



どれだけそうしていただろうか。

少女はゆっくりと――重たい手を伸ばす。

たったそれだけの動作。
なのに体はろくに言うことを聞かない。

手袋が邪魔だな、と何気なく思う。
どうしてそんなことを考えたのか自分でもよく分からない。

はっ、はっ、はっ……。

ただ、見上げた光る空に届けと何故か願わずにはいられず。

「――――」

ごぼり、と湿った音が思考を遮る。

咳き込む。嫌な響きだ。
石臼を回すような重く濁った音色が少女の喉からせり上がり口から溢れる。

「ごほ、がはっ、ぐ、げぼ……」

小さな体を痙攣させながらも彼女は手を伸ばすのを止めない。

「っ、は――」

漸く何とか喉が暴れるのを抑え、ミサカ一〇七七七号は吐息を漏らす。
空がぼやけて見えるのは、浮かんだ涙の所為か、それとも。

ぽつりと白い雪の上に僅かな赤を落とし、微かに笑った。

「――遠距離はきついぜ」

とさ、と彼女の手が小さな音を立て、それきり何の音もしなくなった。

夜天に翻るオーロラの光はただ静かに少女の体に降り注いでいた。



――――――――――――――――――――




街からは光が消えていた。

学園都市という、この時代の科学最高峰に有るまじき光景が街全体に広がっていた。

大規模停電。
学園都市に限ってそれはあってはならないものだったろう。

超効率の風力発電を主とする学園都市は、それぞれの学区、更には細分化された小さなブロックごとに独立発電を行う術がある。
当然の事ながら要所要所で足りない電力は他の区画から間借りしたり、深夜帯などに余った電力をプールする蓄電施設もある。
他にも地下数千メートルに持つ地熱発電施設や、ゴミ焼却を利用した火力発電など、電力には困らない。

いや、科学の最高峰だからこそ電力に頼らざるを得ない状況がある。
それを補うために過剰なまでの電力供給に心血を注いでいるという背景があった。

停電などもっての外。
学園都市にとっては心臓が停止するに等しい。

だが現在――それが実際のものとして学園都市に闇を落としている。

この現象が示す事実を思い浮かべながら木山春生はただの箱と化したパソコンから眼を逸らした。



今彼女がいる病院は、学園都市の中でもほぼ唯一といっていい電気の光がある地点だった。
万が一の、学園都市においては過剰に過剰を重ねた対策として、独自に緊急発電施設を持っている。

とはいえそれは最低限のもので、通常の電気回線に回す余裕はない。
点灯しているのも僅かな非常灯ばかりで、残りは生命維持装置などの『止まってはならない』機械に全て回されている。

さすがだ、と木山は思う。

この病院で実質的な指導者にあったあの老医師は万全の対策を講じていた。
今やどこの病院でも電子データとなっているというのに、予備として時代錯誤な紙媒体のカルテを用意している。
学園都市という機関に真っ向から反発するアナログ方式。それが最良の対策だと分かっていたのだろう。

予備電源が全てを賄うことなどできはしない。
最効率で最良と最善を尽くすためには限られた電力を無駄に浪費できるはずもなかった。

聞いた話によれば彼の医師は学園都市の創設期からの古株らしい。
最初期の学園都市を木山は知らない。
それは木山に限らず学園都市の住人のほとんどが同じだろう。
だがその設立に関わった人物だからこそ、今や一国と呼んでも差し支えない学園都市の弱点を正確に見抜いていたのだろう。

この学園都市が機能停止状態に陥る事象など在り得ないはずだった。
しかし現に街からは科学の灯が失われている。

そして木山は矢張りと思うのだ。



――この街では在り得ない事が起こる。



科学万能の時代に、その最先端にして最高峰の街で。
そういうオカルトめいたものが犇めき合っているというのは何とも皮肉な話だ。



サーバーにあるコーヒーが冷めないうちにとマグカップに注ぎ、一口飲むと木山は椅子の背に体重を預ける。

パソコンの中に残されていた彼の遺品――『遺産』と言った方がいいだろうか――には大方目を通し終わっていた。
内容を考えるとハードディスクを物理的に破壊した方がいいだろうかと思うが今頃は残らずデータが破損しているだろう。

五感には知覚できないが街全体を高密度の磁気嵐が覆い隠し荒れ狂っているはずだ。
対策を取っていない電子機器は残らず壊滅状態だろう。

僅かな非常灯の下、真っ黒なディスプレイに自分の顔が映っている。

「……」

僅かに目を伏せ、それから視線を逸らした。

窓の外、学園都市の夜景に向けて。

病院だ。高層ビルではない。
比較的高い階にあるとはいえ更に高いビルが虫食いのように四角い額に乱立している。
そのどれもが光を失っている。

だがその姿ははっきりと見ることができた。

降り注ぐ光がビルの森を照らしている。

椅子から立ち上がる。
マグカップは持ったままに、窓へと歩み寄る。

そこから見える景色はまるで学園都市ではなかった。



街に光はない。

だというのに窓から見える景色ははっきりと見て取れる。
天から降り注ぐ光が灰色の森を煌々と照らし出していた。

月明かりなどでは断じてない。
あの柔らかで冷たい光ではない。

降り注ぐのは毒々しい硬質な輝き。

木山が視線を上げると、そこに広がっていたのは夜空ではなかった。

見上げた先にあったのは夜天の黒ではない。

虹色。

鮮烈なまでの色彩が埋め尽くしていた。
全天を覆う旭光がゆるゆると翻る様はどこか海月を髣髴させる。

空の海に漂う七色の天幕。
その下を、そのどれでもない二条の色が走った。

一方は純白。
そしてもう一方は漆黒。

二つの色は互いに絡み合い食らい合うように天を駆ける。

色は、人の形をしているようだった。

「……だから」

木山はその光景を冷めた目で眺めながら小さく呟く。

「だから私は、言ったじゃないか」



極天に舞う二つの影が何者か。
そんなものは分かりきっている。考えるまでもなかった。

遠くに見える彼らに木山は僅かに目を細める。

「私はね、どうしてだろう。そんな予感がしていたよ。御坂美琴」

遠く、聞こえるはずもない相手に向かって木山は語り掛ける。

「君はとても優しく、強く、気高く、そして正しかった。
 まるで漫画の主人公。強気を挫き弱きを助く、正義の味方だ。
 あの時君の前に『悪』として立った私が言うのだ。あながち的外れでもないだろう。
 だが――だからこそ落とし穴があるんだよ」

言葉を切り、コーヒーを一口啜る。

「正義の味方。聞こえはいいが、その実やっている事は皆と大して変わらない。
 誰しもが己の胸に信念、正義を懐いて生きている。
 元来正義なんてものは主観的なもので、世間で言われているのはただの多数決の一般論だ。
 たまたまそこに合致したとりわけ目立つ者がそう呼ばれもてはやされる。果たして君はそれを理解していただろうか」

遠くから地響きのような低く重い音が聞こえてくる。
しかし木山はそれに全く頓着せずぶつぶつと呟きを続ける。

「君は余りにも正し過ぎた。君の行いは崇高で、実直で、それ故に愚かだった。
 もう少し賢ければ――老獪なら、賢しらに生きていればそんな真似はしないだろう。
 理性的と言ってもいいかもしれない。正義は感情論だ。だからこそ、理性はそれと相反する。
 私は君のおおよそ倍程度長く生きている。だから年長者として君を評するなら――」

一息。

「君は子供で、世界というものをろくに分かっていない――多少羨ましくはあるがね」



窓の外に目を焼くような光が閃く。
白雷が大気を切り裂き轟音を生み、建物自体を揺るがした。

「そう、かつての私がそうだったように。
 ――君が果てしない絶望を知ったとき、君を助けてくれる人がいるだろうか」

木山はそれすらもまるで画面の中の出来事かのように無視し言葉を続ける。

「いたのかもしれない。いなかったのかもしれない。
 私にはもうそれを知ることなどできはしないだろうが、結果としてそんな人物は現れなかったのだろう。
 だから君はあっけなく絶望の深淵に呑まれた……空想の域を出ないがね。
 しかし今となってはそこから救い出してくれる者を期待するというのも馬鹿らしい話だろう」

ふ、と木山は嘆息し遠く宙を舞う少女の顔を思い浮かべる。

脳裏に浮かぶのは木山の知る少女の、眩しいばかりの笑顔だ。
けれどきっと今彼女の浮かべているのはそれとは違う表情だろう。

どんな顔をしているのか――木山には想像すらできない。

しかし、例えどんな表情をしていたとしてもあの時の少女の面影はないだろう。

木山には何故だか妙な確信があった。
今は亡きこの部屋の主はきっとこれを予測していたのだろう。
彼の遺した膨大なデータにはその痕跡が見受けられた。

もしかしたら――自分の死すらも予感していたのかもしれない。

下世話な妄想だ、と小さく頭を振り木山はマグカップに口を付ける。



そうして暫く無言で窓の外で荒れ狂う光景を眺めていた後、木山はふと浮かんだ言葉を口にした。

「神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの――絶対能力者、か。
 ああ確かに、その姿を現すには正鵠を得ているのかもしれないな」

背に白と黒の尾を引き天を縦横無尽に駆ける様はさながら流星。
しかしこの場景に最も相応しい言葉で称するなら。

「――天使、か」

白雷の翼と黒風の翼を纏う一対の御使い。
天上の意思を代弁すべく剣を振るう幻想の体現者。
降り注ぐ光の天幕の下で舞うその姿は聖戦か、それとも。

「……いや」

目を伏せ、木山は呟く。

「そうだな。さながら……世界の終わり、といったところか」

そう言って、窓の外の景色に背を向け壁に寄りかかると、最早興味を失ったようにコーヒーを一口飲んだ。



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