とある暗部の軽音少女(バンドガールズ) 4 新メンバー!


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それから数ヶ月後。時は春。

第七学区、桜ヶ丘女子高等学校。
ここは能力開発において比較的レベルの高い学校であり、常盤台中学や長点上機学園ほどではないにせよ、
多くのレベル4、レベル3の学生を抱える名門校である。
そのわりには能力開発のカリキュラムはそれほど厳しくもなく、部活動などが盛んで自由な校風が好評を得ていた。
そしてこの春、学園都市に七人しかいないレベル5の一人が入学したこともあり、今話題の高校であった。

校内では早速、様々な部活が新入生の勧誘活動を行っていた。
そんな中、ジャズ研究会の部室から一人の少女が出てくる。
ギターを背負い、ツインテールのその少女の表情は暗い。

(うーん、なんか本物のジャズとは違う感じかな……)

ふと少女が足を止め、階段の上を見上げると、そこには別の二人の生徒が音楽室の前に立っているのが見えた。

(音楽室……? あそこは、軽音部だったっけ。でも、なくなっちゃったんだよね)

少女はそのまま去っていった。

 


音楽室の前にいた二人の生徒は困惑の表情を浮かべていた。

「あっれ~、誰もいないや。やっぱなくなっちゃったのかな~?」

「うーん、勧誘してる先輩もいないし、チラシもないし、そうなんじゃないかなぁ」

「あ、憂、和先輩に聞いてみればわかるんじゃない?」

「そっか、和さんなら知ってるかも」

憂と呼ばれた少女が携帯を取り出そうとすると、一人の教師が現れた。

「あなたたち、どうしたの?」

「あっ、えっと……音楽の山中先生ですか?」

憂が応える。

「ええ、そうよ。音楽室に何か用かしら」

「ええと、こちらの子、純ちゃんが軽音部に入部希望で……」

「見学に来たんです!  けど、もしかしてなくなっちゃってたりしますか?」

「ええ、残念だけど軽音部は去年廃部になっちゃったのよ」

「やっぱそうかぁ~……」

「残念だったね、純ちゃん」

「あなたたちが部員を四人集めれば、新しく作ることもできるわよ?」

「い、いや、さすがにそこまでは……あはは」

「ありがとうございました、山中先生」

「ええ、いい部活が見つかるといいわね」

二人が去った後、音楽教師の笑顔が消える。

「……学園都市第六位・平沢憂、か。よく似てるわね……」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ある日の放課後。
結局部活に入らなかったツインテールの少女が教室に一人佇んでいた。

(はぁ……いいバンド、ないかなぁ。ジャズ研はなんか違うし、軽音部は存在すらしないし。
 外バンは散々やってきたけど……上手いバンドはあるけど、何かが足りない気がするんだよね)

少女はカバンから音楽プレイヤーを取り出し、イヤホンを装着して聴き始める。
曲は放課後ティータイムの『Don't say"lazy"』だった。

(放課後ティータイムみたいなバンド……ないかな)

この少女の心を射止めたバンドは放課後ティータイムだけだった。
しかし、このバンドはかなり特殊な環境下で生まれたものであり、これと似たようなバンドはそうそういない。

(……誰もいないし、ちょっと弾いていこうかな)

少女はギターをケースから取り出し、曲に合わせて弾き始める。

 


ちょうどそのころ、廊下を歩いていた憂のもとへ、向こうから純が走ってきた。

「憂~!」

「純ちゃん? ジャズ研行ったんじゃなかったの?」

純は結局、かっこいい先輩がいるという理由でジャズ研へと入部を決めていた。

「へへ、忘れ物しちゃって……ん?」

二人が教室の前に到着すると、中からギターの音が聴こえてきた。
しかも、エフェクトがかかった音である。

「え、教室でアンプ使ってんの?  誰だろ……」

純と憂が教室の中をのぞくと、ツインテールの少女がギターを弾いているのが見えた。
しかし、教室内を見渡してもアンプがどこにもない。シールドすら繋がっていなかった。

「上手だね……」

憂が聴き入っていると、純がすかさず突っ込みを入れる。

「いや、ちょっと待って!  なんでアンプないのにそんな音出せんの!?」

純の声に気づいた梓がこちらを振り向く。

「「「あ……」」」

目が合った三人の間に沈黙が流れる。
初めに沈黙を破ったのは憂だった。

「あの、ごめんなさい、練習の邪魔しちゃって」

「い、いえ、こちらこそごめんなさい。勝手に大きな音出して……」

謝る少女に対し、純が明るく話しかける。

「いいよいいよ!  それより、何もないのにどうしてアンプ繋いだ音がするの?」

「あ、これは私の能力で……『空中回路(エリアルサーキット)』って言って、空気中に電子回路を再現できるんです。
 だからアンプがなくても、アンプの中で起きていることを空気中に再現すれば、あとはスピーカーさえあれば音が出せるんです」

そう言って少女は壁に取り付けられた校内放送用のスピーカーを指さす。

「へぇ、すごい能力だね!  いいな~アンプいらないなんて。いつでもどこでも練習できるじゃん。
 ……えっと、同じクラスだよね? たしか……」
 
「――中野梓、です」 

 


それからしばらく、三人は自己紹介などを交え、梓の悩みについて聞いていた。
レベル4の『空中回路』という能力を持つ梓は、電子機器がなくても空気中にそれを再現できるだけでなく、
半径10メートル以内の電子機器の回路を認識し、遠隔操作することもできる、電子機器のエキスパート。
それゆえ音響関係の機材には非常に詳しく、もともとのギターの技術の高さもあいまって、かなりレベルの高いギタリストであった。

そのため、今まで様々なバンドに所属し、そのテクニックを振るってきたのだが、
最近、技術以外の「何か」が足りないと感じるようになっていた。

それを満たしているバンドこそ、放課後ティータイムだと、梓は語る。

「確かに、いいよね放課後ティータイム! なんかよくわかんないけど、惹き付けられるっていうか」

純も放課後ティータイムのファンであり、賛同する。

「純ちゃん、放課後ティータイムって?」

一方の憂はあまり音楽に詳しくないようであり、今話題のバンドですら名前を知らなかった。

「えっ憂、知らないの? 超有名なのに。
 顔を隠して活動する謎の女子高生バンドだよ。すごいかっこいいよー、特にベースのMio!」

「ふふ、純ちゃんもベースだもんね」

「ま、憂は主婦業で忙しいもんね~。知らなくてもしょうがないか」

「えっ!? 結婚してるの憂!?」

梓が驚愕するが、憂がすかさず否定する。

「ち、違うよ! もう、誤解を招くような言い方しないでよ、純ちゃん……」

「あっはは、ゴメン。でも似たようなもんでしょ。
 憂はここの2年生の風紀委員(ジャッジメント)の先輩とルームシェアしてて、先輩が仕事で忙しいから憂が家事担当なんだ」

「そうなんだ……ふふ、確かに主婦みたいだね」

「うう~……そんなんじゃないってば」

「憂の料理、すんごくおいしいんだよ? 家事は完璧、しかもレベル5! こんな完璧な嫁なかなかいないよ」

「……レベル、5?」

梓がぽかんとしている。

「え、知らなかったの? 入学前から噂になってたじゃん!
 へへ~ん、聞くがいい、梓! ここにおわすは学園都市第六位、レベル5の『能力複製(デュプリケイター)』、平沢憂様であるぞ~」

「ちょっと、もう、やめてよ、純ちゃん……」

憂は顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。

「……ええぇぇぇぇぇぇーーっ!?」

音楽一直線で、レベル4ながらあまり能力開発に興味のない梓は、学校一の有名人の存在を知らなかった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

帰宅した梓は、放課後ティータイムの曲を聴きながらぼーっとしていた。
今日はレベル5の友人ができたというイベントはあったものの、結局、悩みは解決していない。

(どうしよう……)

煮詰まってきた梓は、なんとなく今日出来たばかりの友人にメールを送ってみる。

『純、なにかいいバンド知らない?』

返事はすぐに返ってきた。

『まだ悩んでたの? もう放課後ティータイムに入れば? なんてね~』

純の冗談交じりのメールに、梓ははっとする。

(そっか……放課後ティータイムに入ればいいんだ! なんでこんな簡単なことに気づかなかったんだろう)

無謀なことを言っているように見えるが、電子機器の精密操作に特化している梓の能力は、情報処理に関しては超電磁砲(レールガン)に並ぶほどの精度を誇る。
ハッキングを駆使して、隠れている放課後ティータイムの居場所を突き止めることは容易だと梓は考えた。

『そっか、そうだよね! ありがと純!』

『えっ、マジで言ってんの? ……ん~、まあがんばってね』

「……よーし、がんばるぞ~!」

梓は早速パソコンに向かい、キーボードに触れることなく画面とにらめっこし始めた。
能力によって直接電子回路に干渉し、セキュリティを突破して関連会社にハッキングしていく。

(まず、レコード会社のサイト……っと)

梓の長い夜が始まった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

一方、帰宅した憂は夕食の支度を終えると、和が帰ってくるまでの間の時間つぶしのため、
純がオススメと言って半ば押し付けてきた放課後ティータイムのCDを聴くことにした。

(CDなんて、聴くの久しぶりだな……)

憂にとって、音楽を聴くことは行方不明になった姉のことを思い出させるため、今まで自然と避けてきた。
家にある音楽プレイヤーも、何年も前の型のものが一つ、押入れの奥に閉まってあっただけであった。

(あったあった……よいしょ。
 えっと、CDをここに入れて……)

再生ボタンを押すと、一曲目『Cagayake!GIRLS』が流れ始める。
聴こえてくるギターの音はなんだか懐かしい感じがして、憂は姉のことを思い出さざるを得なかった。

(お姉ちゃん……)

そして、前奏が終わり、歌が入る。

『Chatting now――』

(――えっ!?)

その瞬間、雷に打たれたような衝撃が走る。

その声を、聞き間違うはずがない。何年経とうとも、忘れることはない。
まぎれもなく、その声は最愛の姉・唯のものだった。

(う、うそ……えっ、あ――)

混乱した憂は、ただひたすらボーカルの声に聴き入っていた。もはや曲は聴こえてこない。
その場で硬直したまま、一曲目が終了した。

そのまま憂が唖然としていると、二曲目『Happy!? Sorry!!』が流れ始める。
このボーカルもやはり、姉の声であった。

二曲目も終了し、我に返った憂がCDに付属の歌詞カードを読み漁る。
そこに書いてあったのは――

『vox/guitar Yui』

「おねえちゃん……!!」

放課後ティータイムのギターボーカル、Yuiの正体は姉・平沢唯である。
姉は生きている。そう確信した瞬間、憂の目から涙がこぼれた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

しばらくして和が帰ってくる。

「ただいま、憂」

「……和ちゃん~!!」

帰ってくるなり、涙で顔がぐちゃぐちゃの憂がいきなり飛びついてきた。

「ちょっ、どうしたの憂!?」

「和ちゃん! おねえちゃんが、おねえちゃんが……」

「えっ……唯が?」

 


落ち着いた憂から事情を聞き、和も例のCDを聴く。

「唯……!! 間違いないわ……」

和の目からも、涙がこぼれる。
その後、二人はしばらく抱き合って泣いていた。

そして、二人の今後の目標が定まる。
放課後ティータイムの居場所を探し出す、と。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

翌日、登校した純が見かけたのは、グロッキーになっている梓と憂の姿だった。

「おはよ~……って、どうしたの二人とも?」

「うう……寝不足……」

梓は夜通しハッキングにいそしんでいたが、思わぬ苦戦を強いられた。なにせ、相手は琴吹グループ。
そもそもレコード会社自体が、放課後ティータイムに関する情報を知らないため、まったく手がかりは得られなかった。
そのバックにつく琴吹グループが怪しいというところまでは突き止めたものの、尋常ではない堅さのセキュリティに阻まれ、
梓の能力を持ってしても破ることはできなかった。

「まさか梓、本気で放課後ティータイムに入ろうとして探してたの!?」

「……うん」

「うわー、やっぱマジだったんだ。ホント好きだねえ。
 憂はどうしたの、珍しいね? CD聴いた?」

「……ちょっと眠れなくて。CDは聴いたよ、すごくよかった。
 はい、これありがとう」

「でしょ~?」

よかった、の意味はややズレていたが、満足げに純は憂からCDを受け取る。

憂は結局一晩泣き明かし、一睡もしていなかった。
そして今新たに発覚した問題について、徹夜明けの頭を回転させ考える。

(梓ちゃんも、放課後ティータイムを探してるんだ……)

梓と協力して探す、ということはなんとなく気が引けた。

憂は昨晩、和と話し合う中で、放課後ティータイムがなぜ顔を隠すのかについて不自然さを感じていた。
行方不明になった唯が、なぜわざわざ顔を隠して活動する必要があるのか。
居場所を公開してくれれば、憂や和と再会できる。
それができないような何らかの事情があるのでは、というのが二人の見解だった。

そもそも唯が行方不明になった事件では、研究所が破壊されたり、そこの研究員が謎の死を遂げるなどしておきながら、
それに関する捜査は非公開で、意図的に情報を隠すようなことが見受けられた。
そのころから憂と和は学園都市の『闇』の存在を疑い始め、それを暴くために和は風紀委員を志した。

唯がその『闇』が関連する事件に巻き込まれたのは明らかだ。
だからこそ今回も、唯がその存在を隠さなくてはいけない理由に『闇』がからんでいるのではないかと考え、
それに梓を巻き込むのはまずい、と考えた。

(梓ちゃんには悪いけど、隠しておこう……なんとか先に見つけなきゃ)

 


その日から、梓と憂は放課後すぐに帰宅し、それぞれ放課後ティータイムについて調べる日々が始まった。
しかし、音楽に関しては素人な憂はどこから調べていいか検討がつかず、初動が遅れる。

一方の梓は琴吹グループ本社にハッキングすることは諦め、ネット上で情報収集していた。
既に放課後ティータイムの正体に関して考察するサイト、スレッドは山ほどあり、様々な噂が流れていた。

(『放課後ティータイム打ち込み説』? ばかばかしい……打ち込みであんないい演奏できるわけないでしょ。
 こっちは……『デスデビル再結成説』? へえ、昔にも顔を隠したバンドってあったんだ。
 でも、元はデスメタルなのに今は放課後ティータイムとか……さすがにないでしょ)

どれも憶測に過ぎず、有力な情報は得られない。

(『キーボードのMugiは琴吹グループ令嬢の琴吹紬』……これはありえるかも。
 でもあの会社調べても無理だし……あ~もう、思い出したらイライラしてきた)

情報処理能力に自信のあった梓にとって、先日の琴吹グループへの敗北はプライドを傷つけるものだったようである。

その後も梓は全精力をあげて徹底的に調べ上げる。

(そうだ、インディーズ時代の活動を調べれば!)

しかし、放課後ティータイムに下積み時代はない。

(じゃあ、全国の高校の軽音部を調べれば)

学園都市内外のすべての高校の軽音部とそのメンバーを調べ上げるも、該当するものはなさそうだった。

(なら、スタジオの使用履歴を調べれば……)

放課後ティータイムは全ての練習・録音を琴吹家の個人所有のスタジオで行っているため、
一般及びレコード会社のスタジオの使用履歴にそれらしいバンドはいなかった。

(あ~もう! どうなってんの……)

力尽きた梓はそのまま机に突っ伏して眠りについた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

数日後の放課後。
日に日に目の下のクマが増していく梓と憂を心配する純をよそに、梓は校舎をあとにした。

(こうなったら、最終手段――)

梓は『放課後ティータイムっぽい四人組を見かけた』という目撃情報のあったところへ直接出向く作戦に出た。
しかしそのほとんどはハズレであり、一向に手がかりが得られる気配はない。

その後も何日もかけて学園都市中を駆け巡ったが成果はなく、手持ちの目撃情報はすべてなくなってしまった。

 

そして、とある日。
もはや万策尽きた梓は、放課後ティータイムには何の関係もない、単なる噂話を調べていた。

(『第八学区の高級住宅街に女子高生っぽいのが住んでる』……か。
 あてになんないけど……行ってみよう。えっと確か近道が……)

第八学区は、教員などの社会人が多く住む地域。大人や小さい子供の姿は多いが、学生向けの寮、娯楽施設はほとんどない。
そこの高級住宅街に女子高生が住んでいるというのは、確かに不自然だ。

梓は手早く近道を調べ上げ、第八学区へと向かった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その数十分後。
第七学区、とある路地裏にて。
学園都市の闇に抵抗する組織に属する二人の男が立っていた。

「……どうだ?」

「ダメです、もう一時間も連絡ありません」

部下の男が先ほどから何度も電話をかけているが、相手はまったく出ない。
その相手は、彼らと協力関係にあるとある組織。その組織が任務を完了し、連絡が来るのを男たちは待っていたが、
約束の時間を一時間過ぎても音信不通だった。

これが意味することは、その組織は学園都市の闇によって葬られたということである。

「ちっ、またか……くそっ!」

「また、『例の組織』ですか?」

「おそらくそうだろうな……」

『ユニゾン』の快進撃は、彼らのような反抗組織の間では恐怖の対象となっていた。
少しでも上層部の情報を得ようものなら、その組織は翌日には圧倒的な強さでもって速やかに壊滅させられる。
生き残りが一人としていないため、敵組織の情報もほとんど得られない。
おそらく、恐ろしく強い少数精鋭の組織が暗躍しているのでは、という程度の予想しか彼らにはできなかった。

「このままじゃ計画がまったく進みませんよ。なんとかそいつらを見つけて始末するしかないんじゃ……」

「だが、情報がない。今までに奴らに関して得られた有益な情報は、これだけだ」

そう言って、上司の男は携帯の画面を見せる。

「これは先週、別の協力組織のやつが任務中に送ってきたメールだ。これ以降そいつらとは連絡はとれていない。
 このメールを送信した直後、やられたんだろう」

メールの本文には“ギター女、きーぼーd"とだけ表示されていた。
さらに、建物の屋上から地上にいる四人の女を撮影した写真が添付されていた。
画像はブレており顔は不鮮明だが、本文の通りギターを持った女とキーボードを持った女がいるのが辛うじて分かる。
そして、キーボードを持った女は、明らかにこちらを見ている。

「これが……その『組織』?」

「おそらくな。能力者の女四人ってところだろう。この写真を撮ったやつは屋上に隠れていたにも関わらず、
 キーボードの女に気づかれている。しかも本文が入力途中ってことはこの直後にやられたということだ。
 探知能力に、遠距離射撃、ってとこか。どうりで一人残らず殺されるわけだ」

「しっかし……なんで楽器なんですかね?」

「それはわからんが、それがこいつらの最大の特徴だ。それを手がかりに探すしかないだろう……ん?」

そのとき、男の視線の先にギターを背負ったツインテールの少女が走っていくのが見えた。

「ギター……か」

「え? ……ああ、あのガキっすか。ギター持ってるやつなんていくらでもいますって、しかも制服来てるじゃないですか」

「そりゃそうだが……いや待て。なぜこんな路地裏にギターしょったガキがいる?
 この辺は俺らみたいなやつらしか知らない抜け道だ。しかも向こうは第八学区。教師どもが住む学区だ。
 制服着たガキが行くようなところじゃねえ」

「さあ、援交とかじゃないっすか?」

「わざわざギター持っていくか? どんなプレイだよ……
 しかも今はちょうど学校が終わった時間だろう。ギター持ってんだったら部活に出てるはずだ。
 教員どもとバンド組んでるとも思えねえしな。わざわざあっちに行く理由がわからん」

「そうすると……あのガキが例のギター女だと?」

「可能性はある。つけるぞ。やつの素性も調べておけ」

男たちは梓の追跡を開始する。
部下の男は携帯電話で遠方から梓の写真を何枚も撮り、それを組織の情報端末へと送信する。
その写真は、彼らが不正に入手した能力者データバンクと照合され、外見や制服の特徴が一致する学生がすぐに割り出される。

「――出ました。桜ヶ丘女子高一年、中野梓、能力はレベル4の『空中回路』」

「ほう、レベル4か……よし、要注意人物リストに追加しておけ」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

第八学区、高級住宅街。
梓は噂のあった付近を歩いていた。

(このへんのはずだけど……どの家だろう? 出てくるまで待ってようかな)

あたりの家に住むエリート教員たちはまだ仕事の時間であり、住宅街は閑散としていた。
幼い子供が遊ぶ声が遠くから時折聞こえてくる。

(おっきな家……いいなあ)

梓が家を眺めていると、あることに気づく。

(あれ……この家、二階にスタジオがある)

能力により、二階部分に音響機材の存在を感じ取った梓は、その種類や配置などからスタジオだと判断した。
さらに、機材の内部の構造からそのメーカー、グレードまで判別する。

(すごっ……いい機材ばっかじゃん。さすがお金持ち)

レベル4である梓も相当お金は持っているほうだったが、この家においてある機材は格が違った。
そんな高級機材の電子回路を舐めるように堪能していると、突然電流が流れ始める。
演奏が始まったのだ。

スタジオは完全防音であり、外にまったく音は漏れていなかったが、梓は電流の流れ方を感じ取って自らの脳内で曲を再生する。
そしてその曲は――

(……うそ、『Don't say"lazy"』!?)

まさか、本当に放課後ティータイムがこの中にいるのか。
梓は、単なるコピーバンドである可能性を考えた。

(いや、でもこのクセのあるギターは、どう聴いてもYui……。ほんのちょっとだけ走るドラムは、Ritz。
 正確だけど、たまに熱がこもるキーボードは、Mugi。そして、このベースときれいな歌声は……間違いなくMioだ!)

(本物だぁ……本物の放課後ティータイムだ!)

次の瞬間、梓はインターホンを押していた。

 


一方、呼び鈴が鳴り響いたスタジオ内には一気に緊張が走る。
職業柄、予定にない来客は敵襲の可能性を考慮しないといけない。

「……ムギ、どうだ?」

律が低い声で紬に訊ねる。
家にいる際、紬は常に探知能力を使用し、外を監視していた。

「……さっきから、うちの前でギターしょった女の子が立ってて、ずっとこっちを見ていたわ。防音のはずなんだけど……
 見た目からして暗部がらみには見えないけど、微妙なところね」

「ギター? っちゅーことはファンとかか?」

「そうかもしれないけど、一般人だとすると何でここが分かったのかしら……。どちらにしろ、確認する必要があるかも」

そう言うと紬は、スタジオ内に取り付けてあったインターホンのボタンを押す。
画面に梓の姿が映される。

「どちらさまですか?」

『あっ、え、えーと、その……放課後ティータイムさんのお宅ですかっ!?』

梓は明らかに焦っていて、声が裏返っている。
その姿に皆が苦笑する。

「はは……こりゃ暗部の線は薄いか~? 明らかにただのファンだろ~」

「でもそうすると、ムギの言った通りどうやってこのアジトの場所を突き止めたのか確認したほうがいいかな。
 もし暗部にやられてたらと思うとぞっとするよ……」

「ええ、一旦迎え入れて話を聞きましょう。一般人なら、私たちが暗部ってことさえバレなければ大丈夫。念のため、キーボードを持っていくから、みんなも後ろで待機しててもらえる?」

紬は「今開けるから待っててくださいね~」とインターホンに向かって答えると、キーボードを構えたまま、階段を降り玄関へと向かった。

 

 


(まだかな~まだかな~)

紬が出てくるまでの数十秒間は、梓にとって永遠にも感じられていた。
そして、玄関に向かってキーボードが移動してくるのを能力で感じ取る。

(――来たっ、放課後ティータイムのMugiだ!! 本当に会えるなんて……!)

「いらっしゃ~い」

「こ、こんにちは! いきなり押しかけてすみません! あ、あの、私――」

「うふふ、緊張しないで。どうぞあがってください、中でお話しましょう?」

「え……いいんですか!?」

 

 

そのやりとりを、遠方から双眼鏡で見ている者たちがいた。

「……キーボード女! これはビンゴかもな。
 よし、仲間に連絡しろ、総動員だ。あと、赤外線スコープも持ってこさせろ。中に他のメンツもいるはずだ」

 

 

居間に通された梓にお茶が出される。

「あ、すみません、こんなにしていただいて……」

「いいのよ~。さ、みんなどうぞ」

奥の部屋から残りの三人が登場する。

(うわあぁぁ、本当に放課後ティータイムだ~……!)

メンバーの顔は見たことはないものの、だいたい梓のイメージ通りの人物であった。
一人ずつ、自己紹介を始める。

「よく来たな~! あたしがリーダーで、ドラムの律だ」

「ようこそ。私はベースの澪」

「いらっしゃ~い、わたしがギターの唯です!」

(えっ……憂!? そっくりだ……偶然だよね? 憂にお姉さんっていたっけ……)

梓は憂にそっくりな唯の顔を見て驚く。

「……ん? わたしの顔に何かついてるかな?」

「い、いえ、なんでもないです! 私は中野梓と申します、よろしくです」

「私はムギよ。あらためてよろしくね、梓ちゃん」

全員が着席したところで、早速、律が切り出す。

「……なあ、梓ちゃん。どうしてここがわかった?」

「え、あ、えっと……」

「りっちゃん、いきなりじゃだめだよ~! 梓ちゃん怖がってるじゃん」

「あ、ああ、すまん……だって気になるじゃ~ん」

「いえ、こちらこそすみません。勝手に調べて押しかけて……」

梓は自らの能力、そしてここにたどり着いた経緯について語りだす。
話が進むにつれ、皆の、特に紬の表情が驚きへと変わっていく。
琴吹家の情報管理能力に自信のあった紬は、アジトを特定されたことに少なからずショックを受けていた。

「そ、そんな……うちの情報管理もまだまだ甘いわね。すぐに改善させなきゃ……
 すごいわ梓ちゃん、うちの技術部に欲しいくらいよ」

「い、いえ、偶然ですよ……実際、本社のセキュリティはどうしても破れなかったですし……」

互いに謙遜しおだてあうが、二人の間には静かに火花が散っていた。

「いや~しっかし、すごい執念だな……そこまで調べ上げるなんて。最後のほうなんか、ほとんど手当たり次第じゃん」

「それだけ愛されてるってことだ。ありがとう、梓ちゃん」

澪の言葉に、梓の表情がぱあっと明るくなる。

「……は、はい! 放課後ティータイム愛なら誰にも負けません!」

「おお~っ、可愛いねえ~♪」

思わず立ち上がって満面の笑みで愛を叫んだ梓に対し、突然唯が抱きつく。

「に゛ゃっ!? ちょっと、Yuiさん!?」

「おっ、唯の抱きつき癖が始まったか。こりゃ逃げられないぜ~、梓ちゃん」

「初対面なのによくやるよ……」

「…………いいわあ~」

誰一人として唯の抱きつき攻撃を止めるものはいなかった。

「よしよし……梓ちゃんほんと可愛いねぇ~」

(わ……私、放課後ティータイムのYuiにハグされてる!? 撫でられてる~!?)

ボン、と音を立てて、梓は陥落した。

「「「……あ、堕ちた」」」

 


梓が復活した後、今度は梓からの質問タイムが始まった。
といっても、どこの高校に通っているかとか、何者なのかという質問には答えられない。
成り行き上、紬が琴吹家の令嬢であることはバレてしまったが。

「……すいません、やっぱり答えられないですよね」

「ごめんな~。一応、あたしたちも秘密を保たなくちゃいけないからさ」

「はい。ところで、みなさんは高校2年生なんですよね?」

「えー、あ~っと……」

「ええ、そうよ」

設定を忘れかけていた律をすかさず紬がフォローする。
小声で澪の檄が飛ぶ。

(こら、律! ちゃんと覚えておけ!)

(てへへ~、すまん。あぶねあぶね)

「じゃあ、先輩って呼んで良いですか!?」

「せ、せんぱい……!? ああ、いいっ……」

高校生活に憧れている唯は、先輩という言葉に身をよじらせて喜びに浸る。

「先輩方にお願いがあるんです。
 あの……一緒に演奏してくれませんか!!」

梓の提案を、一同は快諾する。

「せっかくギター持ってきてもらったしな。よ~し、やろうぜ!」

「スタジオに案内するわ。どうぞ、梓ちゃん」

「は……はい! ありがとうございます!!」

 


スタジオに移動した一同が楽器の準備をしていると、紬があることに気づく。

「そういえば、梓ちゃん用のアンプがないわ……奥に予備があったかしら」

「あ、大丈夫です。私の能力で、アンプがなくても演奏できますから」

そう言って梓はカバンの中からアンプの部品のようなものを取り出し、床に置く。
ギターの弦を鳴らすと、エフェクトのかかった音が部屋中の壁から響いた。

「おおっ、わたしと同じだね!」

「ええっ、唯先輩もですか!?」

実は唯もアンプなしで演奏できる。しかも部品等も必要なく、音色も自在に変更できる上に、その音はギター自体から響いてくる。
ただ、能力使用に気をとられて演奏がおろそかになることが多かったため、普段はアンプをつないでいた。

「こいつの能力はなんでもありだからな~。本人も原理はよくわからないらしいし」

「むぅ、なんかずるいです……」

対抗意識を燃やす梓に澪は、

「でも、梓の能力もすごいと思うよ。電気の流れ方が手に取るように分かれば、細かい音作りもやりやすいだろうし。
 機材の種類まで分かるなんて、うらやましいな」

と褒める。放課後ティータイムのMioに特に憧れていた梓は、その本人から褒められたことに頬を染める。

「あ、ありがとうございます……澪先輩は、音響機材にも詳しいんですよね? 雑誌のインタビューで見ました」

「まあ、他のみんなよりは、かな。梓もかなり詳しそうだな。たとえば――」

澪と梓のマニアックなトークが始まり、ついていけなくなった唯と律がぶーぶー言い始める。

「澪ちゃん~、はやくやろうよ~」

「そーだそーだ~っ」

「――はっ! ゴメン。じゃあ梓、やろうか」

「はいっ!! みなさんに比べたら、全然へたくそですけど……よろしくお願いします」

 

梓は唯のパートを全て記憶していたため、唯は最近作った別のギターパートを担当し、演奏を開始する。

(す、すごい……これが、放課後ティータイム……! た、楽しい! 私、ついていけてるかな……?)

そして、確信する。やはり自分には、放課後ティータイムしかない。
梓の求めている何かが、そこにはあった。

 

やがて演奏が終了し、テンションが上がりきっている梓がやや息を切らしながら言う。

「す、すごかったです……ありがとうございました! すみません、私……みなさんの足を引っ張っちゃって」

梓は自分の技術が至らないと謝るが、一同は驚きの表情を浮かべていた。特に唯は顔面蒼白である。

((((う、うまい……))))

技術においては、梓は放課後ティータイムのメンバーに並ぶどころか、明らかに唯より上手かった。
なぜか本人は気づいていないが。

「ま、まあまあかな!? あは、あははは……」

「おいこらっ、唯!?」

焦って思わず見栄を張ってしまった唯を横目に、澪と紬は素直に梓を賞賛する。

「驚いたよ、梓。すごく上手いじゃないか」

「足を引っ張るだなんて、全然そんなことなかったわ。ふふ、むしろリードされちゃったかしら……?」

「そ、そんなことないです! みなさん本当にすごく上手で……」

立場が危うくなってきた唯がその場にへたれこむ。

「あうぅ……」

「はは、こりゃ~やられたな、唯。あきらめて練習しろって。まず本を読め」

ギターを片時も離さず生きてきた唯の技術も相当なレベルであったとはいえ、完全な自己流だったため、
知識豊富な梓にはかなわないところがあった。

 

 

その場でしばらく話をしていると、完全下校時刻を伝える放送がスタジオ内のスピーカーから聞こえてきた。

「あ……」

梓が残念そうな表情をする。

「そろそろお別れね、梓ちゃん」

「梓ちゃん、今日はありがとね! わたしたちも楽しかったよ~」

「あ……はい」

しかし、ここで帰るわけにはいかない。まだ、梓の本来の目的は果たされていなかった。

(言わなきゃ……言うんだ私!)

「あ……あの!
 ――私を、放課後ティータイムに入れてくださいっ!!」

 


答えはNOと決まっている。
しかし、それを即答できる者はいなかった。
先ほどの梓を交えての演奏は、放課後ティータイムのメンバーにも影響を与え、
皆、少なからず梓と一緒に演奏したいという感情が芽生えていた。

沈黙が支配するスタジオ内に、キーボードの奇怪な音が一瞬、響く。紬は、念話能力を発動した。

(みんな、聞こえる? 私……少し揺らいじゃった)

(私もだ、ムギ……さっきの演奏、すごく楽しかった)

(ってもな~……入れるわけにはいかねーし。
 暗部組織だってことだけ隠して、たまにアジトに呼んで一緒に演奏するとかはどうだ?)

(でもりっちゃん、もしバレちゃったら……)

もしバレれば、梓にも暗部の手が及ぶ。
自らと同じ思いをさせたくないという思いから、唯は一般人に被害が及ぶことに対しては敏感だった。

(……そだな。残念だけど、却下だ、却下。
 唯、言ってあげな)

(……うん)

 


「……あ、あの。すいません、やっぱり迷惑でしたよね」

沈黙をNOと受け取った梓は、申し訳なさそうに言う。

「梓ちゃん」

「は、はい!」

「……ゴメンね、梓ちゃん。入れてあげることはできないよ」

「……っ、はい」

「でも、梓ちゃんとの演奏、楽しかったよ。わたしはちょっとビビっちゃったけどね、えへへ……
 こんな可愛くて、ギターが上手で、わたしたちのことを慕ってくれる後輩が入ったら、もっと楽しいだろうなって思った。
 梓ちゃんに入って欲しいって、みんな思ってるんだ。これは本当だよ」

「え……」

「でもね、どうしてもそれができない理由があるんだ。それが、わたしたちが顔を隠してる理由でもあるんだけど……
 だから――」

ごめんなさい。
唯がそう言おうとした瞬間――

「――唯ちゃん、バリアー!!」

 

――ドゴオォォォォォォォォォッッ!!!

 

 

「な……なにがあったの?」

突然の轟音に思わず目をつぶっていた梓がその目を開くと、信じられない光景が飛び込んできた。

「えっ……か、壁が、ない……」

二階に位置するスタジオの壁は吹き飛んでいて、外の光景が見えた。
よく見ると、唯を中心に半径5メートルほどの透明なバリアーが展開されており、その外側にある壁、床、天井は跡形もなく消え去っている。
外からバズーカのようなものを撃ち込まれたようだ。
対して、バリアーの内側はまったく被害はなく、彼女たちは全員無事だった。

「ちっ……敵襲かよ!?」

「敵は表に十人! バズーカを持っているのが一人、あとはマシンガンよ!
 あと、裏口にも五人いるわ!」

探知能力を駆使して事前に敵の存在を察知していた紬が、敵の構成を報告する。
その報告通り、直後にマシンガンの弾丸の雨が唯のバリアーを襲う。
バリアーにヒビが入り始めた。

「あわわわ、もうもたないよ!?」

「私に任せてくれ! バリアーが消えた瞬間に衝撃波で一気に仕留める!」

「よし、任せた澪! あたしと唯は裏口にまわる。ムギは梓を頼む」

「ええ、わかったわ。さあ、梓ちゃん、こっちよ」

「……え……あ……」

紬は、目の前で起こっていることに理解が追いつかずに呆然としている梓の目をふさぎ、奥の安全な部屋へと連れて行く。


唯のバリアーは、もう限界近くまで達している。
澪は床をほふく前進しながら、床が存在するギリギリのところまで進み、左手を上げて能力の発動の準備をする。
下を見ると、紬の言った通り九人の男がこちらにむかってマシンガンを撃っており、
中央には駆動鎧(パワードスーツ)を着てバズーカを装備したリーダーとおぼしき男がいた。

「澪ちゃん、バリアーを消すよ! 3、2、1――」

「――今だっ!!」

バリアーが消滅した瞬間に、澪の衝撃波が放たれる。
轟音とともに、男たちは吹き飛ばされ、向かいの家の壁ごと破壊する。
あたりの家の窓ガラスも割れ、遠くからは住民の悲鳴も聞こえてきた。

「よし、唯、行くぞ!」

「了解りっちゃん!」

律は唯を小脇に抱えると、壁や床を破壊しながら高速で移動し、最短距離で裏口へと到着する。

「大胆だねりっちゃん……」

「……どうせこの家はもうだめだしな」

裏口へ到着した二人に紬から声が届く。

(裏口にいる五人は扉の外で銃を構えて待ち伏せしてるわ。
 表をバズーカで破壊して、裏から逃げたところを狙い撃ちしようとしてるみたい)

「へっ、そんなんであたしらがやられるかっつーの。突撃だ!」

「くらえ~、ギー太ビーム!」

唯が裏口の扉に向かって六本のレーザーを放つと、貫通して外の数名に命中したようで、悲鳴が聞こえてきた。

「おりゃ~!!」

律が扉を突き破って外へと出ると、一人は胴を真っ二つにされて既に絶命しており、一人は腕を失って戦闘不能となっていた。
残る三人の銃撃をものともせず、的確に一人ずつ首の骨を折り、あっさりと戦闘は終了した。

 


一方、澪は玄関から出て先ほど倒した男たちを確認しに行く。
向かいの家の壁にめり込んでいる九人は、既に死亡していた。
そして、駆動鎧に身を守られていたリーダーは、まだ息があった。

「これは好都合だな……ムギ! 聞こえてる?」

念話能力で澪の声を聞き取っていた紬が玄関から出てくる。

「澪ちゃん! どう?」

「リーダーはまだ生きてる。どうやってここを見つけたのか、聞き出そう」

「ええ、わかったわ」

紬は空間移動の能力を用い、駆動鎧だけを地中に転移させる。
さらにリーダーを手馴れた手つきで拘束すると、車庫に止めてあった車のトランクへと転移させた。

「幸い、向かいの家には誰もいなかったみたいね」

「ああ。でも、一般人を巻き込んでしまった……」

「……今回の被害の後始末は、うちの会社に任せて。今はここを離れましょう。
 家の中の始末はもう終わったから」

紬は梓を安全な部屋に誘導したあと、家の中にあった重要な物を処分してまわっていた。

さらに、証拠隠滅のため、紬は男たちの遺体を手早く地中へと転移させていく。
澪は車庫にある車のエンジンをかけ、逃げる準備をする。
すると、裏口の処分を終えた律と唯が梓を連れて現れた。

「よっしゃみんな、逃げるぞ!」

律が運転席に乗り込み、澪は助手席に移動する。
唯と紬が梓をはさむように後部座席に乗り込むのを確認すると、律は猛スピードで車を発進させる。

「梓ちゃん、目をつぶっててね?」

呆然としていてもはや言葉も出ない梓の目を唯が優しく手で覆い隠す。

紬が何かの端末のようなもののスイッチを入れると、アジトから爆発音が聞こえ、火の手が上がった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

一同は第八学区を離れ、第七学区を越えて第十学区のアジトへと逃げ込んだ。
このアジトの周りには寂れた廃ビルや、怪しい施設が立ち並び、遠くにはスラム街のような地域が見える。
アジト自体、一見すると廃墟のように見えるが、中はきれいに改装されており、他のアジトと同じく高級感にあふれる部屋が並ぶ。

第八学区の高級住宅街から来た高級車はこの学区の雰囲気に明らかにマッチしないため、
律は皆を下ろした後、車を別の場所に隠してきた。

律がアジトに戻ると、澪が待っていた。

「お、澪。他のみんなは?」

「ムギは敵のリーダーから話を聞きだしてる。ってもほとんど拷問だけど……」

奥の部屋では、紬が精神感応系の能力を駆使してリーダーから情報を引き出している最中だった。
しかしレベル3程度の能力では不十分なようで、それを補うための拷問が行われているのだろうか、悲鳴が時折聞こえてくる。
第十学区は、このようなことを行うのに適していた。

「ムギって、お嬢様なのに意外とえぐいことするよな~……唯は?」

「唯は梓についてるよ。……梓、さっきからずっと放心状態だ」

「まあそうだろうな、一般人がいきなりあんなの見せられたら……。
 で、どうする、澪? ……梓に、ばれちまったな」

一般人である梓に、放課後ティータイムの正体だけでなく、暗部組織であることまで知られてしまった。
当然ながら、証拠隠滅をしなければならない。

「……梓を殺すなんて、考えたくもないよ」

最も残酷で簡単な方法は梓を殺害することだが、その選択肢を澪はすぐに否定した。

「……口封じして、表に返すか? 今回のことでショックを受けてるだろうから、そう簡単にペラペラしゃべっちまうとは思えないしな」

「それは、危険よ」

リーダーから情報を引き出し、処分を終えた紬が奥の部屋から現れた。

「この組織は、梓ちゃんがギターを背負ってたから唯ちゃんだと勘違いして、つけていたみたいなの。
 幸い、私たちの正体やアジトの場所は他には漏れなかったけど、梓ちゃんの素性はもう調べられていて、要注意人物として他の組織にも広く知れ渡ってるみたい……
 だから、元の生活に帰したら、この組織を壊滅させた犯人として、まっ先に狙われることになるわ」

「「……」」

残る答えは、梓を仲間に引き入れ、保護することだった。
放課後ティータイムに入りたいという梓の願いは、最悪の形で叶えられることになる。

「……行こうぜ、唯と梓のところへ」

 


律たち三人が部屋の扉を開けると、中にはうつむいている梓と、彼女を抱きしめている唯の姿があった。

「……梓、聞いてくれ。唯もだ」

「りっちゃん……」

唯が不安そうな目で律を見る。

「梓、見てなんとなく分かったと思うが、あたしらはこういう組織だ。……人殺しだ。
 ま、好きでやってるわけじゃないけどな」

梓はうつむいたまま答えない。

「そんで、お前はさっきの奴らにつけられてたみたいで、顔も割れているらしい。
 たとえ今日のことをきれいさっぱり忘れて元の生活に戻ったとしても、ずっと奴らに狙われ続けることになる。
 だから、お前は今日からあたしたちが保護する、というか……仲間になってもらうしかないんだ」

「そんな、りっちゃん!! 他に方法はないの!?」

一般人からの暗部堕ちという悲劇を二度と繰り返したくない。その思いから、唯が必死に反論する。
しかし、他にいい方法は思い浮かばなかった。

「すまん、梓、唯……わかってくれ」

「うう……そんな……!! ごめんね、梓ちゃん、ごめんね……!!」

唯は泣きながら、梓をさらに強く抱きしめる。
すると、梓がついに口を開いた。

「……いいんです」

「「……え?」」

梓の言葉は、意外なものだった。

「いいんです。どうせ私には、放課後ティータイムしかなかったんですから。憧れの放課後ティータイムに入れて、むしろ嬉しいですよ。
 ……ああ、そうだ。さっき私は、あの組織に襲われて死んだんですよ。死んだはずの人間が、こうやって新しい命を与えられて、
 しかも好きなバンドをやって過ごせるんですよ? あは、そう考えたら、なんか楽になってきました。
 むしろ私、幸せ者じゃないですか。あは、あははは――」

梓の狂った笑いは、いつぞやの唯を思い起こさせる。

「梓ちゃん……泣きたかったら、泣いていいんだよ?」

「う……あ……あああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

数日後、桜ヶ丘女子高にて。

この日、梓が行方不明になったことを告げる全校集会があった。
さらに、学校周辺に不審者の目撃情報が多発しているとのこと。その不審者は、梓を狙ってきた組織の者であった。

事件を受け、警備員(アンチスキル)及び風紀委員は警戒を強化。和は仕事に追われていた。

憂は結局、梓より先に放課後ティータイムを見つけることはできなかった。
和と協力し、インターネットなどで調べるなどしても、梓と同じ道をたどっただけで手がかりは得られない。

そして、梓は行方不明になった。
おそらく、放課後ティータイムの居場所に関して有力な情報を得てしまい、『闇』に巻き込まれたのだろう、と憂は推測した。

 

この日、すべての部活動は中止。
誰もいなくなった放課後の教室に、憂と純がたたずんでいた。

「憂……話って何?」

「……梓ちゃんのこと」

梓が行方不明になったことを受け、憂は純にすべてを話すことにした。

「前に、私のお姉ちゃんのこと、話したよね。あの話には、続きがあって――」

学園都市の『闇』の存在。放課後ティータイムのYui。それと今回の事件の関係について。
レベル5でありながら友達を救えなかった自責の念にかられ、ときおり泣きそうになりながらも、淡々と話した。
そして、話を聞き終えた純が激昂する。

「……憂のバカっ!! なんで今まで黙ってたのさ!!」

「……っ!
 ごめんね、純ちゃん……純ちゃんまで、危ないことに巻き込みたくなかったから……」

「だからって!? 友達でしょ!? そりゃ私は、レベル5に比べたら役に立たないかもしれないけど……
 私だって、知ってたら梓や憂のために協力したかったのに……!」

「ご、ごめん……ね……うぅ……」

ついに憂は泣き出してしまう。

「まったく……憂はいつもそうやって一人で抱え込むんだから。ちょっとは友達を頼ってよ」

「うん……うん……!」

「私も、協力するからね。梓も、憂のお姉ちゃんも、絶対に見つけ出そう?」

 


――――――――――――――――――――――――――――――――――

 


梓が暗部に入ってから数週間が過ぎようとしていた。

梓はまだ精神的に不安定な状態で、あれから一度も全員で演奏はしていない。全員でのティータイムもまばらだ。
仕事のときは、梓の能力は戦闘に向いていないため、基本的にはアジトに残って情報収集を担当していた。

(なんか、いまだに実感わかないな……私は放課後ティータイムの一員、そして、人殺しの組織の一員)

ギターを弾く気も起きなければ、人殺しに加担する気も起きない。
常に憂鬱な気分で、パソコンで仕事を適当にこなすだけの日々が続いていた。

(だめだ……こんなんじゃ、先輩たちの足を引っ張るだけだよ)

実際、その先輩たちはそんなことは微塵も思っていない。仕方ないよ、休んでていいよ、と優しく接してくれている。
しかし、自分がいるせいで放課後ティータイムの音楽活動が止まってしまうのが許せなかった。

(……決めた。人殺しでもなんでも、やってやるんだ。立派な、放課後ティータイムの一員になるんだ)

大好きな放課後ティータイムのため、梓はついに心も闇に染めることを決心した。

 


次の日、梓から仕事へ同行させてほしいと申し出があった。

「……ほんとうにいいの、梓ちゃん?」

唯が心配そうな表情で訊く。

「はい。もう、みなさんに迷惑かけられません」

「……ま、今日の仕事は殺しの予定はないからな。初陣にはちょうどいいんじゃないか?」

律が許可し、梓の同行が決まる。
今日の仕事は、とある研究所に忍び込み、ある『薬品』を盗むこと。警備に見つからないかぎり、無血で済む任務だった。

 

その日の深夜、無人となった研究所の前に一同が集合する。
各人の役割を律が説明する。

「梓には、うちのパソコンからここのシステムにハッキングしてセキュリティを落としてもらう予定だったんだ。
 ま、来てくれたからには直接やっちゃってくれ」

「はい、やってやるです!」

「あたしが唯とムギを抱えて研究所に突入。唯は念のためバリアー、ムギは透視でターゲットを探してくれ」

「「了解~!」」

「澪は梓と留守番な。大丈夫だと思うけど、もし警備が来たらぶっ飛ばしてくれ」

「え……ここで待つのか?」

今は深夜。真っ暗闇の中で長時間待つことを澪は怖がる。

「ははーん……澪、怖いのか~?」

「そ、そんなわけあるか!? 梓は私が守るからな!」

「み、澪先輩……?」

「す~ぐ帰ってくるから安心しろって。じゃ、梓、頼む」

「あ、はい!」

梓が研究所の門へ近づき、入口にあったセキュリティシステムから研究所内全体のシステムへとハッキングする。

(うわ……たいしたことない……お金ないのかな、この研究所)

あっという間に解析は終わり、全てのシステムがダウンした。

「終わりました!」

「早っ! サンキュー梓。行くぜ!」

律が豪快に門を蹴破ると、何も反応はない。セキュリティは完全に停止していた。
ヘッドライト付きのカチューシャを装着し、唯と紬を両脇に抱えると、高速で研究所内へと侵入していった。

残された澪は、ガタガタ震えながら梓に話しかける。

「あ、梓……緊張しなくてもいいぞ!? 律たちがすぐ終わらせてくれるからな~!?」

「は、はあ……」

(澪先輩って、怖がりなんだな……ふふ、意外)

放課後ティータイムのMioといえば、かっこいいイメージで世間に知られている。
メンバーだけが知ることが出来るMioの意外な素顔を見れた梓は、ちょっぴり優越感を感じていた。

 


真っ暗な研究所内をライトで照らしながら、律が高速で駆け抜けていく。
左脇に抱えた唯を中心として球状のバリアーが展開されているが、今のところ迎撃システムからの攻撃はない。
梓のハッキングは完全に成功したようだ。

「あったわ! 三階の一番東の部屋よ!」

紬は電波、赤外線を駆使してターゲットの場所を探し当てた。
律は天井を蹴破り、三階へ速やかに移動し、目的の部屋に到達する。

「ここか。変なトラップ作動しないでくれよ!」

扉を破壊し、中へと侵入する。特に罠は作動しなかった。
奥にある金庫を力ずくでこじ開けると、10cm四方の箱がいくつか敷き詰めてあった。
箱の中には白い粉が入っている。

「一つだけもらえばいいんだったっけか?」

「うん。全部いただいちゃうと、ここの研究が進まなくなっちゃうらしいから。
 そこまでする必要はないから、一つ拝借すれば十分とのことよ」

紬はその一つを取り出す。

「やさしい依頼者さんなんだね~!」

「やさしさなのか……? ここの研究も一応価値はあるから残しておいてやるけどその薬ちょっとよこせ、みたいな感じじゃないか?
 まあどうでもいい、帰るぞ!」

 

 

一方、梓はセキュリティの貧弱さについて考えていた。

(う~ん、なんであんなにしょぼかったんだろ……上層部が欲しがるほどの薬品の研究をしてる研究所なのに。
 もしかして、わざと? だとすると……)

その瞬間、あたりがまぶしくライトで照らされる。

「動くな!!」

「うわあああぁぁぁぁぁぁ!! って、駆動鎧!?」

突然のことに悲鳴を上げた澪だったが、相手が幽霊ではなく駆動鎧だとわかると即座に恐怖心を忘れ、戦闘体制に入る。
逆に、梓は敵の不意打ちに驚き、恐怖する。

「あ……ああ……」

「大丈夫だ、梓。後ろに隠れてて」

怯える梓をかばうように澪が前に立つ。

「動くなと言ってんだろう?」

駆動鎧の胸の部分から放たれるライトのまぶしさに目が慣れてきて、その姿がはっきりと見えてくる。
駆動鎧はかなり大型であり、こちらに銃口を向けて立っていた。その銃口には既に炎の球のようなエネルギーの塊が現れており、今すぐにでも発射できる状態だ。

(あのエネルギーの弾……もし発射されたら、やばいな)

目の前のエネルギーの塊がかなりの威力を持っていることを、澪は直感で感じ取る。
衝撃波を放てば敵は倒せるだろうが、暴発して弾が発射されてしまえば、こちらも無傷ではすまないため、身動きがとれずにいた。

「ケッ、こいつの威力がわかったようだな? こいつはなぁ、超電磁砲を解析して作られたんだよ。
 まだ試作品だが、てめえらをぶっ飛ばすには十分だろうよ」

エネルギーの塊がさらに大きくなる。

「セキュリティを弱くしといて待ってたら、本当に釣れるとはな。
 てめえら、能力体結晶を狙ってきたんだろ? ったく、俺らの研究を無意味だの悪あがきだの散々罵ってくれた上に、
 能力体結晶をよこせだあ? ふざけるのも大概にしやがれ」

「……なんの話だか知らないが、私たちは依頼を受けてきただけだ」

「ケッ、下っ端かよ。面白くねえな。さっさと死ね!」

(まずい! いちかばちか、やるしかない――)

澪が能力を発動しようとした瞬間、今まで黙っていた梓が突然口を開いた。

「解析終わりました。スイッチオフです!」

「――え?」

突然、大きな音を立てて駆動鎧が膝から崩れ落ちた。照明が消え、あたりが再び真っ暗になる。
銃口にあったエネルギーの塊は既に消えていた。

「な、馬鹿な!故障だと!?そんなことがあるはずが――」

ぽかんとしている澪に梓が激を飛ばす。

「何やってるんですか! 今です!」

「……あ、ああ!」

澪がすかさず衝撃波を放つ。至近距離からの直撃を受けた駆動鎧は大破し、吹き飛ばされた。

「……ふう、なんとかなったな。ありがとう、梓」

「……いえ。本当は、無理やり電源を落とそうとしたんですけど、銃が暴発したらまずいと思って……
 解析して安全にスイッチを切ろうとしたんですが、あの機械、すごく複雑で時間がかかってしまいました、すみません」

「お~い、澪、梓、大丈夫か~!?」

律たちが駆けつける。

「ああ、梓ががんばってくれたおかげで撃退できたよ」

「梓ちゃん、大丈夫? よかった~」

唯が梓に抱きつく。

「ちょ、ちょっと唯先輩!?」

「うふふ、無事で何よりね」

 

 

一同は、吹き飛ばされた駆動鎧にライトを当てて確認する。
中に入っていた男は全身の骨を砕かれ、絶命していた。

「うっ……!!」

初めて間近で見る惨殺死体に、梓が吐き気を催す。

「梓ちゃん、大丈夫~……?」

唯の心配をよそに、梓は強がりを見せる。

「だ、大丈夫です……私は、立派な、放課後ティータイムの一員に……ううっ」

「無理しなくてもいいんだぜ、梓?」

「で、でも……」

「梓。お前が私たちについてこようとしてくれるのは、嬉しいよ。
 でも、それでお前が壊れてしまったら意味がない」

「そうよ、梓ちゃん。ゆっくりでいいの。私たちもサポートするから、ね?」

「は、はい……ありがとうございます……」

「梓ちゃん……」

唯がまだ心配そうな目で梓を見つめている。

「大丈夫ですよ、唯先輩。ちょっとずつ慣れて、そのうち私もみなさんと同じラインに立ってみせます。
 それまで……よろしくお願いします」

「うん……わかった。よろしくね、梓ちゃん」

唯が梓を優しく抱きしめる。
梓が闇に染まることを最も嫌がっていた唯だが、梓の決意を聞いてついにそれを認めたようだ。

「あ、あの……毎回抱きつかれるのはどうにかならないんですか?」

「そいつはあきらめるんだな~、梓」

「ああ。あきらめろ、梓」

「そう。あきらめて、梓ちゃん」

「……ええぇ~!?」

 


ふと、梓があることに気づく。

「あ、この銃……まだ使えますね」

駆動鎧に装備されていた、超電磁砲を模して作られた銃。奇跡的にも、損傷が少なくまだ使える状態だった。

「使えるっつっても……そんなでっかいの持ち歩けないだろ?」

「いえ、必要な部品だけあれば能力で回路は再現できます。これなら、多分手持ちサイズにできるはずです」

「おお……梓ちゃんの武器ゲットだね!」

「ほほ~、なるほど。ようし、じゃあ持って帰るか!」

律が巨大な砲身をひょいと持ち上げ、一同はその場を後にした。

 

 

#5へ

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