土御門「捕らえられてた連中を学園都市に強制送還しといたぜい」
上条「おう、サンキュー」
土御門「ワシリーサはロシア成教で保護してるみたいだし、とりあえず心配ないですたい」
上条「『新たなる光』は解放してあるし、完璧だな。で、」
上条「お前は何で残ってるの?」
レッサー「ロシアで活躍の場がなかったことを気に病んでいるのなら、是非協力してほしいことがあるんです」
上条「女王様たちの救出か?」
レッサー「彼女たちが人質にされたままでは、私達も自由ではありませんから」
土御門「リストには入ってるんだし、結局やるのは変わらないぜよ」
上条「そうだなあ……でも、どこにいるんだ?」
レッサー「陛下達が捕まっているのはバチカンですよ」
土御門「んじゃ、早速とうまんくす号でローマに行くんだぜい!」
上条「待て土御門。何でそのネーミングを知ってる」
<とうまんくす号機内>
土御門「もうすぐイタリアですたい」
上条「ああ……くじで一等当てて、ひどい目に遭って帰って来た思い出の土地だ」
土御門「今度こそいい思い出が出来るとは期待しない方がいいかもな」
土御門「ところでカミやん、今朝の新聞読んだかにゃー?」
上条「いや……ロシアにいたし」
土御門「じゃあ、読んでみるといいぜい」ハイ
上条「?……ありがとう」
上条「……」
上条「『誘拐されていたイギリス王室の面々、無事生還』」
上条「おい!」
土御門「助けに行くまでもなく助かってるぜい」
上条「これ今朝の新聞だって言ったよな!? 知ってたんだよな!? 出発する前に言えよ!」
土御門「ローマには今回の王室誘拐の犯人が捕まってる!! どういうつもりだったか話を聞きに行くぜよ!!」
上条「何で新聞読んで終わりじゃダメなんだ」
<ローマ市街>
土御門「空港からタクシー飛ばして到着!」
上条「……」
土御門「早速犯人に話を聞きに行くんだぜい」
上条「……」
土御門「どうしたカミやん! 今回の謎の答えを知りなくないのか!?」
上条「別に……」
土御門「知りたがれ!!」
上条「何ちょっとカオナシみたいなこと言ってんだよ……犯人って誰だ」
土御門「まあ、会えば分かる。独房へれっつごーですたい」
上条「その、ちょっと後に引っ張るクセ、何とかならない?」
<独房>
土御門「それでは、王室誘拐の犯人を発表するぜい!」
土御門「オープンザプライス!!」
上条(え? プライス……え?)
扉「ギギィーーーー……」
リドヴィア「 わ た し ^o^ で す 」
上条「おまえだったのか」
土御門「これは意外!
『使徒十字』の一件で処刑塔に幽閉されていたはずのリドヴィア=ロレンツェッティ!
なんと犯人だったなんて!
一体どうやって脱走したというんだ!?
そしてその目的は!?」
上条「ありがとな、土御門」
リドヴィア「えぇえぇ、どうせ私がやりましたとも」
上条「何かふてくされてない?」
土御門「こいつがこんな逆境にあってふてくされるなんて、相当なことがあったんだろうな」
リドヴィア「どうせですから、聞いていただきましょうか」
上条「お、あっさり白状してくれるらしいぞ」
土御門「ここで粘られたら困るからにゃー」
リドヴィア「私を処刑塔から脱走させてくれたのは、オリアナでした」
リドヴィア「彼女は腕の立つ魔術師ですので。イギリス清教に協力することで、一定の自由を得ていました」
リドヴィア「そこで、一瞬の隙をつき。私を助け出してくれたので」
リドヴィア「処刑塔を脱出する時、私はついでにもう一人解放してもらうよう、オリアナに求めました。」
土御門「そりゃもしかして、ビアージオ=ブゾーニか」
上条「え……あいつも外へ出しちゃったのか?」
リドヴィア「獄中で彼の計画を聞き。面白そうだと思いましたので」
土御門「計画って、どんな?」
リドヴィア「詳細は聞きませんでしたが。どうやら、学園都市に損害を与えるもののようで」
リドヴィア「これ幸いと」
上条「つまり、学園都市への嫌がらせのために手を貸したのか」
土御門「花火に負けたのがそんなに悔しかったの? ねえねえ、どんな気持ち?」
リドヴィア「大きなお世話かと」
上条「じゃあ、そのビアージオの計画に協力したのか?」
リドヴィア「いいえ。彼と共に脱獄した後、ある事実が判明したので」
リドヴィア「彼は学園都市へ嫌がらせするだけでなく、ローマ教皇の誘拐を企んでおり」
リドヴィア「教皇に危害を加えるなど、許されることではありません」
上条「助けておいて、止めようとしてたわけか」
リドヴィア「はい。ビアージオが教皇を襲うタイミングを、逆に襲う作戦でした」
土御門「狩りの基本ぜよ。相手が獲物を狙う瞬間を、こっちも狙うと」
リドヴィア「ええ。それであの男を拘束してしまえば、ひとまずは混乱も避けられるかと」
上条「それがどうしてイギリス王室の誘拐になるんだよ?」
リドヴィア「……流石の私も、こんなことになるとは思いませんでした」
<リドヴィアの回想>
リドヴィア「何としても、教皇を守らなければ」
オリアナ「でも、どうする? こっちは二人だけど、あいつは早速昔の部下を集めてるわよん」
リドヴィア「彼が教皇を襲う瞬間。それを狙います」
オリアナ「いつ実行するのか分かっているわけ?」
リドヴィア「ええ」
リドヴィア「近々、英国の王室とローマ教皇が公式会談を行います」
オリアナ「あの大騒ぎになってるイベントね」
リドヴィア「そのお祭り騒ぎのタイミングで、彼は教皇を狙う手筈ですので」
オリアナ「何でわざわざ目立つ時を選ぶの? ばかなの? スーパースターマンなの?」
リドヴィア「ばかかも知れませんが。スーパースターマンは無いのではないかと」
リドヴィア「私が教皇を保護しますので。貴女にはあの男を捕獲していただきたく」
オリアナ「具体的にはどうするつもり?」
リドヴィア「会談の舞台はバチカン。英国側が訪問する形になっています」
リドヴィア「当然、ビショップ=ビアージオもやってくるはず」
リドヴィア「そこで……」
リドヴィア「バチカンに、落とし穴を掘ります!!」
リドヴィア「教皇を落とし、保護します!!」
オリアナ「……」
リドヴィア「そのパニックに乗じて、ビアージオを縛り上げてください」
オリアナ「……わ、分かった……」
<独房>
上条「分かっちゃったんだ……オリアナ……」
リドヴィア「完璧な作戦かと。と、その時は思っていたのですが……」
<回想・サン・ピエトロ大聖堂前 地下>
リドヴィア「ふっふっふ……」
リドヴィア「落とし穴のトラップもカンペキに仕掛けられました」
リドヴィア「あとは教皇が落ちてくるのを待つだけ……」
<ドッシーン
リドヴィア「!! 来ました!」
リドヴィア「ローマ教皇! 突然のご無礼をお許……し……」
エリザード「いたた……何だここは?」
リドヴィア「」
オリアナ『ちょっと、リドヴィアちゃーん!?
女王様も教皇様も消えちゃったって、上は大混乱よ!?」
リドヴィア「な、何ですって!? 教皇も消えた?」
オリアナ『どうやら作戦は失敗ね。お姉さんはビアージオのオジサンを追うから、そっちはそっちで何とかしてね』
リドヴィア「ど、どうしろと」
オリアナ『知るわけないでしょ』
リドヴィア「あわばばばばば」
<独房>
上条「ええええええええええぇぇぇぇぇ」
リドヴィア「ま、間違えて英国女王陛下を落としてしまったので……」
土御門「ドジっ子どころの話じゃないぜよ!」
リドヴィア「どうやら、最初に教皇が出迎えるポイントを若干ずれて想定していたようで」
上条「だからってさあ……すぐに謝って解放すればよかったじゃねえか」
土御門「そうだぜい。何でわざわざ閉じ込めておいたんだ」
リドヴィア「私も最初はすぐに解放するつもりでした」
リドヴィア「陛下には事情を説明し。一応は納得していただけたので」
<回想・落とし穴下>
エリザード「事情は分かった。とにかくここから出して欲しいな」
リドヴィア「はい。まさか貴女を落とすことになるとは思わなかったので。出口に案内します」
トットコ・・・
エリザード「あー、ちょっとその前に」
リドヴィア「はい?」ピタ
エリザード「その男の計画。面白いじゃないか。詳しく聞かせなさい」
リドヴィア「? はあ……」
リドヴィア「かくかくしかじかですので」
エリザード「なるほど……?」
エリザード「……何がしたいのか分からないな、その男」
リドヴィア「ええ。目的までは聞きませんでしたので」
<回想・サン・ピエトロ大聖堂前>
騎士「陛下と教皇のお二人が挨拶を交わした瞬間、消えてしまわれました」
リメエア「母上たちが消えたのはこの辺り。間違いないのね?」
騎士「はい。何しろ目撃者は大勢いましたから」
リメエア「教皇の方はとりあえずあちらに任せるとして……母上の行方は突き止めなければならないわ」
騎士「失踪から二時間ほど経過していますが……」
リメエア「消えた現場から痕跡を探しましょう。任せておきなさい」
騎士「『頭脳』の長女様なら余裕ですね」
リメエア「何かのトリックがあるはず」
リメエア「必ず、暴いて見せる」
リメエア「じっちゃんの名に掛けズボッ
騎士「……殿下?」
騎士「うわあああああぁぁぁ殿下消えたぁぁぁぁぁぁぁ」
<回想・落とし穴下>
<ドッシーン
リドヴィア「!?」
エリザード「誰か落ちたようだな」
リドヴィア「確かめてきますので。お待ちいただきたく」
エリザード「どうぞどうぞ」
リメエア「いたた……何なのここは?」
リドヴィア「……」
リドヴィア「うわあああああぁぁぁ殿下落ちたぁぁぁぁぁぁぁ」
エリザード「何だ、リメエアじゃないか」
リメエア「あら、あら、母上。こんな簡単なトリックだったなんて」
<独房>
上条「ええええええええええぇぇぇぇぇ」
リドヴィア「だ、第一王女まで間違えて落ちてきてしまったので……」
土御門「どんだけ精巧な落とし穴作ったんだ」
リドヴィア「そして、私には王室誘拐の容疑が二倍になって圧し掛かってまいりましたので」
上条「でもさあ……やっぱりすぐに謝って解放すればよかったじゃねえか」
土御門「そうだぜい。何でわざわざ閉じ込めておいたんだ」
リドヴィア「私も最初はすぐに解放するつもりでした」
リドヴィア「殿下にも事情を説明し。一応は納得していただけたので」
リドヴィア「ところがその頃、地上では……」
<回想・サン・ピエトロ大聖堂前>
キャーリサ「全く。母上も姉上も揃って間抜けだし」
キャーリサ「やすやすとっ捕まるなんて、同じ王族として恥ずかしーの」
キャーリサ「さて、二人が消えた現場はこの先」
キャーリサ「さっさと片付けて英国へ帰ズボッ
<三分後>
ヴィリアン「母上も姉上たちも、このあたりで行方不明になった……」
ヴィリアン「ということは、近くに犯人の方が潜んでいるはず」
ヴィリアン「あの……私、話し合いをしたいのですけど……」
ヴィリアン「どなたか、犯人の方、いらっしゃズボッ
<回想・落とし穴下>
リドヴィア「……というわけでしたので」
リメエア「あらあら。何とも間抜けなお話ね」
エリザード「お前も落ちただろう」
<ドッシーン
( ゚д゚ )
( ゚д゚ )
( ゚д゚ )
<ドッシーン②
(゚д゚ )
(゚д゚ )
(゚д゚ )
キャーリサ「いたた……」
ヴィリアン「お、落とし穴……?」
エリザード「お」
リメエア「キャーリサにヴィリアンじゃないの」
キャーリサ「母上と姉上……どーやら無事だったよーだし」
ヴィリアン「あの、これは一体、どういう」
リドヴィア(何だ何だよ何なのでぇぇぇぇ!?)
リドヴィア(どうしてドイツもコイツも同じ穴に落ちやがりますのでぇぇぇええ!?)
リドヴィア(いけません!)
リドヴィア(こんな危険な穴は早く埋めてしまわないと!)
<回想・サン・ピエトロ大聖堂 地下>
騎士団長「リメエア様が地下へ落とされるのを部下が目撃している」
ウィリアム「敵は陛下たちを地下に閉じ込めているということであるか」
騎士団長「そうだな。不思議なコネでバチカン地下の地図を手に入れたが、最近新しく不自然な地下室が作られたらしい」
ウィリアム「不思議なコネとは何だ」
騎士団長「この先だ、抜かるなよウィリアム!!」
ウィリアム「……う、うむ」
<回想・サン・ピエトロ大聖堂前>
リドヴィア「……これでよし」
リドヴィア「やたらと王族が落ちる危険な穴は塞ぎましたので」
エリザード「やっと地上に出られたな」
リメエア「何だかんだで長話してしまったものね」
ヴィリアン「みなさん、心配しているのでは……」
リドヴィア「それでは、下の部屋を爆破して証拠隠滅をさせていただきますので」
キャーリサ「何の証拠を消したいのかよく分からないけど、やりたいなら好きにすればいーの」
リドヴィア「では爆破ボタンをポチっとなですので」
地下室「ドカーン!!」
ウィリアム『ギャー!!』
騎士団長『ウオー!!』
ヴィリアン「……今、下から野太い悲鳴が……」
リドヴィア「」
リドヴィア「ピャー!!!!」
<独房>
リドヴィア「それで、キレた騎士団長と聖人に追いかけまわされる羽目に……」
上条「爆破なんて余計なことするから……」
土御門「まず、ローマ教皇を穴に落とすって発想がイカれてるぜよ」
リドヴィア「何とでも言って下さいと。ですが、まんまと攫われてしまった教皇が心配です」
上条「そうだなあ。まさかビアージオに攫われるなんて」
リドヴィア「そうです。正直なところ、相手がビアージオだから油断した部分もありますので」
土御門「気持ちは分からんでもないがな」
上条「それで、リドヴィアはこれからどうなるんだ?」
土御門「うーん……脱走した上に王族を四人誘拐して、騎士団長と王室と懇意の傭兵を爆破、か」
土御門「碌な処分は下らないと思うぜよ」
リドヴィア「ふふ……これこそ、主が私に与えたもうた試練ですので……ふふ……」
上条「すげえポジティブ」
土御門「むしろ自暴自棄気味に見えるんだけどにゃー」
■■■■救助リスト(抜粋)■■■■
===英国王室===
エリザード 【解決済】
リメエア 【解決済】
キャーリサ 【解決済】
ヴィリアン 【解決済】
===騎士派===
騎士団長 【復帰】
===ローマ正教===
ローマ教皇 【誘拐:ビアージオ】
神の右席
フィアンマ 【捕縛】
ヴェント 【捕縛】
アックア 【復帰】
最終更新:2011年06月05日 15:26