気がついた頃には、午後5時をまわっていた。斜陽が間もなく完全下校時刻だと告げている。朱い光線が休憩所に射し込んで来たのを無意識的に悟り、3人は『ペガスス座』を後にした。
禁書「~♪」トテテテテ絹旗「……………あの、御坂」美琴「ん?」絹旗「超化け物ですか?あれ」美琴「化け物って………インデックスはいつもこんな感じよ?」絹旗「いやいや『こんな感じよ?』で超済ませないでくださいよ。『飲んだ』んですよ?ポップコーンを。私の分まで。ざらざらーって」美琴「? そんなもんでしょ」絹旗「えっ」美琴「えっ」
絹旗「………御坂……………」美琴「なんでそんな かわいそうなモノを見るような目で見るのよ」絹旗「だって感覚が超狂っているとしか思えないし………」美琴「く、狂ってないわよ! それに、狂ってるのは絹旗さんの口癖の方じゃない!」禁書「?」クルッ絹旗「なっ……!ち、超狂ってませんよ!」美琴「超超狂ってるわよ」ヘヘン絹旗「『超』を超真似しないでください!」ウガー!禁書「もうっ、二人とも!ケンカしちゃダメなんだよ!」美琴「はぁ?事の発端が何言ってるのよ」絹旗「元々の超原因はインデックスですよ!」禁書「わたしの知らない所で何かが うごめいているんだよ………」
美琴「ていうかアンタ、何をそんなに急いでるのよ?」禁書「もう5時過ぎなんだよ?」美琴「うん、そうね」禁書「てことは、もうすぐ『某平安貴族の少年の物語』が始まっちゃうんだよ」絹旗「あぁ、あの超教育テレビの。超不思議な『しゃく』を持った超貴族の子が石が大好きな超小学生の家に超居候するアレですね」美琴「超超うるさいー」絹旗「超ほっといてください!」
禁書「その後の『某忍者少年達の日常の記録』も見たいし………」美琴「あぁ、あれか。土井先生素敵よねー」絹旗「私は山田先生が………」美琴「えっ、あの男色ティーチャー?」絹旗「あの人は超男色じゃありませんよ。あの変装の良さが分からないなんて、御坂も超まだまだですねー」禁書「やっばり『はなぶさ まきえもん』なんだよ!」美琴「無いわ」絹旗「超最弱デブ浪人じゃないですか」禁書「むぅ、名前カッコいいのにー!」
美琴「そもそも『まきえもん』って。何を巻いてんのよって感じじゃない?」絹旗「御坂、超何言ってんですか?」禁書「理解できないんだよ」美琴「今なんで同時に考えるのをやめたの?」絹旗「ま、超結局『フルハウス』が一番って訳ですよ」美琴「今その話題じゃ無禁書「うんうん、あれ面白いよね!」美琴「もうなんでも有りか」
絹旗「じゃ、そろそろ」美琴「え? 家あっちなの?」絹旗「はい。オンボロ寮にひっそりと暮らしてますよ」美琴「そうなんだ。………大変なのね」絹旗「いえいえ、『アイテム』の時超貯めた かなりの額の貯金が有りますので」禁書「………さいあい、ウチ来ない?」絹旗「えっ………でも、」チラッ美琴「? アタシはいいわよ」絹旗「…………いや、今日は、今日はいいです」美琴「あれー?遠慮してんの?」絹旗「ち、違います!超やることがあるんですよ!」禁書「そうなんだ……。いつでも来ていいからね」絹旗「ありがとうインデックス。ホントに今日は、超感謝してます」禁書「えへへ………」美琴「よかったわね、インデックス」
絹旗「それと、御坂」美琴「?」絹旗「私はもう伝えられませんが、御坂はまだ大丈夫なんでしょう?」絹旗「だったら一回、超ぶつかってみるのもいいと思いますよ」美琴「…………そう、かな?」絹旗「そうですよ!ぶつかれる時に超ぶつかっておかないと、いつか超後悔しますよ」美琴「…………そうよね、うん。ありがと」禁書「?」
絹旗「では、また超いつか」美琴「『超いつか』っていつよ」クスッ禁書「ばいばーい!」ブンブン美琴「じゃあね」ヒラヒラ
絹旗「……………」絹旗「ふぅ…………」絹旗「超久しぶりですねぇ。こんな風に談笑したのは」絹旗「アイテム崩壊後初かも知れませんね」絹旗「…………もう、戻れないんですよね………」絹旗「……………はぁ、やめやめ。考えるだけ超ムダ。思い出すだけ超損です」絹旗「………………」絹旗「…………サバ缶でも、買って帰りますか」
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禁書「ただいまー」ガチャ美琴「はーい、おかえり」禁書「おかえり、みこと」ニコッ美琴「ただいま、インデックス」フフッ禁書「さ、てれびなんだよ!」タタタッ美琴「え? あ、こら!手洗ってうがいしなさい!」禁書「えー」ブーブー美琴「ちゃんとしないと、ご飯作ってやんないわよ?」禁書「え!? そ、それは困るんだよ!」ビクッ美琴「じゃ、さっさと手洗いうがいする!」禁書「は、はーい!」タタタッ
「さて、と。夕飯の準備でもしますか」そう言ってエプロンを装着し、流し台で手洗いとうがいを済ませる。今日の献立を考えようと冷蔵庫を開け、肉皿や野菜室を確認する。あったのは豚肉と白ネギ、それに玉ねぎ。その他チューブ系調味料がちらほら。「…………あれ?」なにかがおかしい。そう思い、野菜室をごそごそと探る。が、見当たらない。
「あれ………?おっかしいな…………」再度、ごそごそと野菜室を探る。が、やはり見当たらないのだ。見つかったのは変色したレタスの葉2枚のみだった。「ふんふふ~ん♪」突如、鼻歌が横から聞こえてきた。インデックスが洗面所から出てきたのだ。リビングに向かって上機嫌に直進する彼女を、「ちょっと、インデックス」尋問するために呼び止めた。
禁書「ん?なぁに?」ピタッ美琴「…………夜中さ、お腹減らない?」禁書「? 質問の意図はわかんないけど、まぁ減るかな?」美琴「そうなんだー。そうよねー」禁書「そうだよそうだよ」ウンウン美琴「何か食べたくなるわよねー」禁書「そりゃあもうね」美琴「たとえば…………トマト………とか?」禁書「」ギクッ美琴「たとえば…………バナナとか」禁書「」ギクギクッ美琴「…………ゴーヤとか」禁書「…………し、知らない……かも」美琴「『知らない』?」禁書「あっ」美琴「『知らない』って?」禁書「あ、そ、それは、その、」アタフタ美琴「………………」禁書「うぅ………」シュン
美琴「………はぁ、まぁいいわ」禁書「えっ………」美琴「夜食にしたんでしょ?野菜」禁書「う、うん」美琴「で、野菜はちゃんと洗ってから食べたの?」禁書「ううん。そのまま食べたんだよ」美琴「………お腹、痛くならなかった?」禁書「大丈夫だったんだよ」美琴「バナナは?産地はちゃんと見た?」禁書「うーん………覚えてないから見てないんだよ」美琴「バナナはアイツが買ったやつよね………てことはフィリピン産?」ブツブツ禁書「? みこと?」
美琴「フィリピンバナナってまだポストハーベストやってんのかな? もしやってたとしたら…………の、農薬まみれのバナナがインデックスの体に………」ブルブル禁書「み、みこと?どうしたの?」美琴「てことは農薬にどっぷり浸かったバナナの悪い成分がインデックスの血に乗って全身を駆け巡っているというの!?」ヒィィッ!禁書「ひゃっ! い、いきなりどうしたの!?」ビクッ美琴「あぁ………どうしよう、どうしよう! 大丈夫? なんともない?体とか心とか痛くない?」オロオロ禁書「だ、大丈夫! わたしは大丈夫だから! ね!? 心身共に元気花まるなんだよ!」アワアワ美琴「ほんと? ホントになんともない?」禁書「ほ、ほら! 元気元気なんだよ! ね!?」美琴「はぁ、良かった………」ハァ禁書(もう、夜食はやめるんだよ………)
禁書「じ、じゃあ、居間にいるんだよ」タタッ美琴「………………ふぅ」美琴「これくらいしとけば、もうつまみ食いみたいなことはしないでしょ」美琴「さーて、冷蔵庫ー冷蔵庫ー」ガチャ美琴「うーん…………今日は、生姜焼き……かな?」美琴「お醤油とお砂糖は………っと」
調理開始から20分弱で、およそ4人前の生姜焼きの山ができた。白米が山盛りの茶碗に、小盛りの茶碗。それを配膳していると、銀髪の少女が前にちょこんと座った。見ていたテレビそっちのけで「いただきます」を今か今かと待ち焦がれている、そんな食欲旺盛な愛らしい少女が。「ねぇみこと、食べてもいいかな?食べてもいいかな?」「ふふっ、『ダメ』って言ったら?」「もぉ、意地悪しないで欲しいかも!」「ごめんごめん。じゃ、食べましょっか」「うん!」「「いただきまーす!」」
それと同時に少女は『ガツガツ』という擬音がよく似合う気持ちの良い食べ方をする。この子はどんな料理でも笑顔で「おいしいよ!」といいながら食べてくれる。おそらく、そういうところにも惹かれたのだろう。食事が始まって数分で、生姜焼きの山はサラ地になった。「ごちそうさまでした!」「はい、おそまつさまでした」「みこと」「ん?」「今日のごはんもとってもおいしかったんだよ!」ニコリと屈託のない笑みを見せる少女。また一つ、「ふふっ、ありがと」ほんの少しだけど、また一つ好きになった。
美琴「じゃあ洗い物しちゃうから、お風呂入ってきなさい」禁書「やだ」美琴「……………」禁書「……………」美琴「洗い物しちゃうから、お風呂入ってきなさい」禁書「だから『やだ』って言ってるかも」美琴「……………」禁書「……………」美琴「何? 反抗期? お望みは? 鉄拳制裁?」ユラリ‥‥禁書「ぅえ!? ち、違うんだよ!話しは最後まで聞くものなんだよ!」アタフタ美琴「…………話?」禁書「そ、そうだよ! 短気はダメなんだよ、みこと!」美琴「短気言うな!………で、話って何よ?」
禁書「うん、あのね………その、ね?」美琴「いや、『ね?』って言われても………」禁書「だから、そのぉ…………」モジモジ美琴「?」美琴(……………)美琴(………………)美琴(…………………ハッ!)美琴(もしかして、もしかしてこれはっ………!)禁書「えっとね、その、たいしたことじゃ無いんだけどね、」モジモジ美琴(このもじもじはっ………見たことある! ってかアタシやったことある!)美琴(アイツとたまたま会った時のっ! あの甘酸っぱい、なんだか切ないもじもじ!)禁書「た、たいしたことじゃないんだよ?」モジモジ美琴「う、うん」ドキドキ
美琴(も、もしかして、もしかしちゃったり? もしかしちゃってもしかしてたりもする!?)美琴(『みことの事、好きなんだよ』)美琴(『ええっ!? だ、だってアタシたち女の子同士だし………』)美琴(『ふっ……………二人の愛に性別なんてオマケ程度にしかならないんだよ』)美琴(『あぁん! インデックスぅ!』)美琴(『ハハッ、わたしの腕の中で存分に甘えるといいんだよ』)美琴(ってね! なんてね! なんちゃってね! キャーッ!)モジモジ禁書「……………みこと、聞いてる?」美琴「えっ? えへへへへへ」ニヤニヤ禁書「うえっ!?」ビクッ美琴「コホン、あーあー………。インデックス、心の準備は出来てるわ」キリッ禁書(…………なんだかキリッとしたかも。それに、なんかいい声だし)美琴「さぁインデックス。話してごらん」キリッ禁書「う、うん。あのね、」美琴「あぁ」キリッ
禁書「…………さ、先にお風呂、入って?」美琴(さ、『先に風呂入れよ』って………え?もうシちゃうの? サれちゃうの!?)美琴「え………で、でもぉ」モジモジ禁書「いいから! 早く早く!」美琴「う………うん///」ドキドキ禁書「なるべくゆっくりね!」美琴「は、はぁい///」ドキドキ禁書「…………………よぉし!」
シャーーー キュッ美琴「ふー、さっぱりした」美琴「こ、この後アタシ達は………うへへ///」美琴「あ、お皿洗ってないや」美琴「………ま、いっか。インデックスが入ってる時に洗えば」フキフキ<キャーーー!!美琴「ッ!? インデックス!?」美琴「インデックス! どうしたの!?」ガチャッ!禁書「うぅ………み、みことぉぉ………」グスッ美琴「な、 何があったの!?」禁書「……………お皿…………」美琴「お皿? お皿に何かされたの!?」禁書「お皿、割っちゃったんだよぉぉぉ!」ウワァァァン!美琴「…………はい?」
美琴「…………え? なんでインデックスがお皿を?」禁書「あのね、みことがね、お風呂に入ってる間にね、洗っておこうとおもったんだよ」グスッ禁書「でもね、石鹸で手が滑っちゃってね、お皿を、お皿割っちゃったんだよ」ヒッグ美琴「…………だからさっき先にお風呂入れって言ったの?」禁書「うん」グスッ美琴「…………………」禁書「ぐすっ……ひっぐ………」ポロポロ美琴「……………………はぁ、もおっ」ギュッ禁書「ふえっ!?」ギュウッ美琴「ありがとね。インデックス」ナデナデ禁書「え………? わたし、お皿割っちゃったんだよ? 『ありがとう』は日本語的におかしいかも」美琴「いいのよ。インデックスがお皿洗ってくれたことに、アタシは感謝してるのよ」ナデナデ禁書「で、でも、わたし、割って美琴「結果そうなっただけじゃない。アタシはインデックスがアタシのためにお皿洗ってくれてたことが嬉しいのよ」ナデナデ禁書「…………ほんと? おこってない?」ウルウル美琴「怒ったりなんてしないわよ。それと、ケガしてない? 」ナデナデ禁書「う、うん、大丈夫かも」美琴「よかった」ナデナデ
禁書「……………」美琴「……………」ナデナデ禁書「………み、みこと、あのね、」美琴「なぁに?」ナデナデ禁書「さ、さすがに裸にタオル一枚で抱きしめられるのは…………///」美琴「え? ………うええっ!?///」バッ禁書「…………///」美琴「あの、わ、わざとじゃないわよ!? 事故なのよ!? ///」アタフタ禁書「…………///」美琴「…………///」禁書「あ、あの、えっと、///」禁書「た、たいへん慎ましやかでございました///」ペコリ美琴「う、うるさいっ!///」ウガーッ!美琴「お、お皿はアタシが片付けておくから、アンタはさっはとお風呂入ってきなさいよ///」禁書「う、うん///」
禁書「うわぁぁぁん!」
----------ドアを開けると、暖かい湿り気が体を包んだ。御坂美琴と同じシャンプーの匂い。それにある種の安らぎを感じながら服を脱ぐ。思い返せば、誰かの後に風呂に入るのは久しぶりかもしれない。そんなことを考えている間にも暖かい湿気は着々と冷たくなっていく。生ぬるい湿気を肌で感じながらシャワーハンドルに手を掛け、手を止めた。美琴と同居してから、シャワーハンドルを回すと不可解な事が起こる。どの禁書にも載っていないどころか、微小な魔力さえ感じられない魔術が、シャワーハンドルを回すと発動するのだ。湯気の立ち込める、幻想の世界。その世界で私は幻想に拘束され、虜囚となる。しかし、冷気が私をせかし、異界へと歩む私の背中を押す。肌寒さに全身が震えるのと同時に、キュッ暖かい雨と共に、私は幻想に迎えられた。
ザーーーーーーーーーー私は、迷子になっている。中央の台に天秤が乗せられた大きな広場で、とても小さな重りを手のひらに持って、さまよっている。ザーーーーーーーーーーゆらゆら揺れる錆び付いた天秤。その両翼の皿に乗せられている、人の形をした二つの金属の塊。その二つは明らかに大きさが違う。にも関わらず天秤は、ゆらゆらと、ゆらゆらと揺れ続け、どちらかに傾こうとはしない。まるで私が持っている小さな重りを待っているかのように、ゆらゆらと、ゆらゆらと。ザーーーーーーーーーーこの小さな、本当に小さな重りをどちらかにおいてしまうと、もう戻れはしないだろう。うろうろしながら決めあぐねていると、金属製の人形の口が動いた。金色の、少女の形をした金属製の人形が。銀色の、少年の形をした金属製の人形が。御坂美琴か上条当麻か、どちらかを選べと告げる。ゆらゆらと揺れていた天秤の両翼が、がたがたと震えだす。
ザーーーーーーーーーーいったい私は、どちらが好きなんだろう。上条当麻か、それとも御坂美琴か。私の心よ。私の体のどこかで私を笑っている私の心よ。私の体のどこかで私を憂いている私の心よ。私の体のどこかで私を怒っている私の心よ。どうか教えて下さい。この小さな、とても小さな重りを、この小さな、とても重たい重りを、この小さな、少し赤錆びた重りを、どちらにおけば、『正解』なのでしょうか。ザーーーーーーーーーー真っ白な幻想の世界をさまよっていた私は、錆び付いた天秤の前に立っていた。揺れのない、静寂に包まれた天秤。その両翼の皿の上の金属製の人形は閉口し、横たわっている。異常な静けさ。その静けさの中で私は、銀色の少年の皿の上に重りを持った手のひらをゆっくりと持ってゆく。迷いは、無かった。そして私は手のひらに隠した小さな重りを、
ザーーーーーーーーーー真っ白な幻想の世界に、思いきり投げ捨てた。その途端、朽ちて崩壊する天秤。両翼から金属製の二つの人形が落てゆく。キュッ「がらん」という音を立て地面に落ちた二つの金属製の人形。その二つの人形の恨めしそうな慟哭を背に、私は幻想の世界から逃げた。
風呂場から出て、ベランダへ直行した。冷たい風が私の体を、頭を冷やしてゆく。この感覚がたまらなく好きだった。そこへ、「インデックス? 寒くないの?」御坂美琴がやってきた。「うん。きもちいいんだよ」その問いに笑顔で答えたが、幻想世界の『もや』がまだ残っている。「じゃあ、アタシも」そう言って御坂美琴は、私の隣に来た。
禁書「寒くないの?」美琴「うーん………ちょっと、寒いかな?」禁書「じゃあ来なきゃいいのに………」美琴「む。別にいいじゃない。それに………」ダキッ禁書「ひゃっ!」美琴「風呂上がりのアンタに抱きついちゃえば、あったかいしね」ギューッ禁書「もうっ。ちょっとだけだからね」美琴「ケチケチしないの。んー、あったかい」禁書「背中が暑いんだよ~」美琴「アタシはあったかいからいいの」禁書「エゴイスト」ボソッ美琴「なんとでも言いなさい。抱きしめやすいサイズの背中したアンタが悪いのよ」禁書「むぅ、今遠回しに『小さい』って言ったね」美琴「事実じゃないの」禁書「相手への配慮は日本人の基本理念なんだよ」美琴「はいはい。インデックスちゃんはおっきいですね~」禁書「あ、それもバカにしてるかも!」
暖かい、小さな身体。良い匂いのする、銀色の髪。もしも天使がいるのなら、きっとこの子のことをそう言うのだろう。このまま、ずっと抱きしめてたい。このまま、ずっと話していたい。このまま、ずっと独占したい。このまま、このまま、「インデックス…………」ずっと、ずっと、「なぁに?」私の、「…………ううん、」「ちょっと、呼んでみただけ」「ふふっ。変なみこと」私の、腕の中で。
おわり
編者注:続編は2011年3月より連載開始とのことです。
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