垣根「は!?意味わかんねーよ」電話の相手「常盤台の上層部がどうやら知る必要のない情報を手に入れたみたいなので」垣根「だったら、そいつらだけ抹殺すればいいじゃねぇか」電話の相手「それが、最近暗部について調べる輩が増えてきたわけでそいつらに暗部の怖さを見せてやろうとことでして」垣根「つまり見せしめか」電話の相手「わかりやすく言うと、そうなります。あ、それと生徒は殺さないでくださいよ、あくまで見せしめなだけで実際に殺す]のは暗部について知ってしまったやつだけです」垣根「・・・・・・俺に弱者をいたぶる趣味はねぇよ」電話の相手「話が早くて助かります。ではお願いしましたよ」垣根(常盤台ねぇ)ドレスの女「で、本当に常盤台攻撃しにいくの?」垣根「そりゃ仕事だからな。しかしムカツク、お嬢様学校を襲うようなまねをこの俺にさせやがって」ドレスの女「そういうけど、ただのお嬢様学校ってことじゃないぐらい垣根にもわかってるでしょ」垣根「・・・・まぁな。そんじょそこらのチンケな暗部じゃ返り討ちにされるのが落ちだろうな」ドレスの女「確か情報によるとLEVEL5が2人、LEVEL4が47人、それ以外が全員LEVEL3らしいわね」垣根「は!!全生徒が力を合わせればホワイトハウスを攻略できるって噂もあながち間違ってないってか」垣根「そういえば、2人のLEVEL5って誰だった?」ドレスの女「第3位の超電磁砲と第5位の心理掌握よ」垣根「は!?超電磁砲ねぇ。俺の仕事勝手に奪いやがったヤロウか」ドレスの女「まあまあ木山の件は一件落着したし、そういうことに暗部はできるだけ関わらないほうがいいわよ」垣根「はぁ、にしてもやるき起きない仕事だな、オイ。アイテムにでも押しつけりゃいいものを」ドレスの女「・・・アイテムじゃ常盤台は落とせないわよ。あなたそれぐらいわかってるでしょ」垣根「まぁな。あそこ落とせるのは俺か糞第1位ぐらいだ」垣根「さて、じゃあ気はのらねぇが仕事に入ってくるか」ドレスの女「あら、あなたにしては早い行動ね。もうちょっと様子見てからでもいいのに」垣根「だるいから早く終わらしたいんだよ。善は急げってなぁ」ドレスの女「そう・・・じゃあ気をつけていってらしゃい。怪我しないようにね」垣根「てめぇ、誰に対して口きいてんだ、俺がこの程度の仕事で怪我を負うとでも思ってんのか」ドレスの女「あら、挨拶程度で言ったつもりだったけど気に障ったかしら」垣根「・・・・・ムカツク女だ。仕事終わったら覚えとけ」ドレスの女「あら怖い、あなたは「うるせぇ黙れ」・・・って最後まで言わしてよ」
一方そのころの常盤台御坂「はぁ、やっと授業終わったわ。ネムーーーーーイ」友A「御坂さ~ん、一緒にお昼ご飯食べましょ~」御坂「あ、ごめん。私今日食堂行くから」友A「そうですか、わかりました。では」御坂「明日一緒に食べようね~」御坂「食堂行く人今日は少ない見たいだなぁ。仕方ない、一人で行くか」
~~~食堂~~~御坂「はぁ~やっぱり今日は空いてるわね。・・・・・・まぁそのほうがみんなに気を使わせずにすむからいっか」婚后「あら、御坂さん」御坂「あ、婚后さん。婚后さんも食堂?」婚后「いえ、私は外の売店に向かっているところですわ」御坂「そうですか、じゃあやっぱり今日は一人でのお昼か~」婚后「つきあってあげられなくて申し訳ありませんわ。また次の機会に」御坂「そうね、じゃあまたね」
御坂「さてと、今日は何食べようかな。ラーメンは前食べだしそばでいっかな」御坂「あ、そば一つお願いしま~す」
~~~~15分後~~~~アリガトウゴザイマシター御坂「ふう食べた食べた、さて教室に戻って一眠りするか、ってあんたは」黒子「おねぇぇぇぇぇええさまぁぁぁぁぁぁぁ」御坂「学校でも躊躇いなしかアンタはぁぁ」ビリビリ黒子「ああ・・・相変わらず容赦ないお姉様の愛のムチきもちいですの」御坂「懲りないわねアンタも、ところで黒子なんであんた食堂にいるの?たしか今日は弁当もっていってたわよね」黒子「そりゃもちろんお姉様のお顔を拝見しにって嘘ですわよ、その電気おしまいになってくださいまし」御坂「で、理由は?」黒子「はい。それがつい先ほどこの学び舎の園に何者かが侵入したみたいでして、一応お姉さまにもそのことをお伝えしようとしておこうかと」御坂「なんだそんなことか。私なら大丈夫に決まってるでしょ、もし私に喧嘩売ってきたなら返り討ちにしてあげるんだから」黒子「毎度のことながら、これはジャッジメントのお仕事です。一般人のお姉様は手を出さないでもらいますわ」御坂「はいはい、わかってるわよ。少しからかってみただけよ」黒子「では、また後ほど」ヒュン御坂「さて、うるさいのがきえたし教室戻って寝るか~」
それより約5分前
垣根「へ~これが学びやの園って奴か。はじめてきたがヨーロッパかよここは、っていけねジャッジメントだ」垣根(どのみち常盤台ぶっつぶすんだから逃げる必要はないかもしれんが、極力目的地つくまでは騒ぎを起こさないほうがいいな)垣根(ええっと、確かここを左に行ってまっすぐ行くと常盤台中学の正面に位置するコンビニにでんだな)
~~~~5分後~~~~~垣根「やっとついたぜ、さてと、ではでは愉快に素敵に花火を打ち上げるとしますかぁ!!」???「あなたいったいだれですの?」
垣根「あァ?」婚后「ここは男子禁制の学びやの園、それを真昼間から出歩くなんてあなた、只者ではありませんわね」垣根「ッチ・・・、正解だ糞やろう、しかしお前人が気持ちよく正門ぶっ壊してやろうとしてたころを邪魔するなんていい度胸だな、コラ」婚后「なんですって!? ・・・そうですか、どうやらここでお縄にかかる必要があるみたいですわね」垣根「は!?お前みたいな雑魚がどう足掻いたところで俺をとらえることなんざできやしねーよ」婚后「ざ・・雑魚ですって!? あなたこの私を常盤台の婚后光子と知っての狼藉ですか」垣根「生憎そんな三下の知識はねぇな」婚后「・・・・わかりました。では実力で排除させてあげますわ、覚悟なさい」垣根「覚悟するのはお前だよ欠陥品」垣根から6枚の羽が飛び出す
~~~~30秒後~~~~婚后「っく、あなたのその能力は・・・・」垣根「おしゃべりする気はねぇ・・・まぁ命とるきはないから安心して気絶しとけ糞やろう」婚后「きゃっ、・・・・・・・・・」シーン垣根「ふぅ1撃で倒すつもりだったが、少し手間取ったな。ッチ・・・こりゃ予想以上にめんどい仕事になりそうだ」垣根「さてと、じゃあ今度こそ本格的に常盤台攻略はじめますかぁ、まずは正門をぶっつぶす!!そらァァァ」ドゴーン
黒子「っく・・・今の揺れはいったいなんですの、正門の方からですわね、とりあえずテレポートで」ヒュン
~~~~正門~~~~黒子「いったいこれは・・・あ、あなた達しっかりして下さいな」生徒A、B、C、D 「「「「うう・・・・・・・」」」」シーン黒子「・・・・・気絶しているみたいですわね、しかし一体誰がこんな事を」???「オイオイ、早速ジャッジメントのおでましかよ」黒子「あなたは・・・その姿、学びやの園に無断侵入したというのはどうやらあなたのことみたいですわね」垣根「ん?なんでわかった」黒子「侵入者の報告をうけているのですわ、さあ無断侵入及び傷害罪の罪で潔く縄にかかったいただきますわ」垣根「極力ジャッジメントに手は出したくなかったが、まあ常盤台ぶっ潰すからには必然的に相手にするしかないのか」黒子「と・・・常盤台をぶっ潰すですって!? あなた自分が何を言ってるかわかっていますの」垣根「そのつもりだが」黒子「・・・・・・どうやらこれは本格的な馬鹿のようですわね」垣根「おしゃべりはもういいだろ、はやく仕事を「白井さん!!」・・・・あァ?」黒子「あなた方は!?」ジャッジメントA、B,C「私達も侵入者の排除に協力します!!」黒子「ありがとうございます、協力感謝しますの」垣根「ったくめんどくせえな、オイ。てめえらまとめて消してやるよ」黒子「・・・なんですのその羽は、天使にでもなったつもりですか」垣根「あァ、気にすんな。それは俺も自覚している」ジャッジメントB「そんなぺちゃくちゃしゃべってる余裕はあなたにはありませんよ、これで終わりで、グハッ・・・・・・・・」垣根「おせぇよ」ジャッジメントB「・・・はぁはぁ、馬鹿な・・・LEVEL4の肉体強化についてこれるスピードなど・・・」垣根「は!?一人ずつかかってきたところで相手になりゃしねーよ、まとめてかかってこい三下共!!」黒子「いってくれるじゃありませんの、Aさん、Cさんは対象を囲むように攻撃して下さいな、私は援護に回ります」ジャッジメントA,C「了解!!」
~~~~1分後~~~~
ジャッジメントA,C「グハ・・・・・・・」シーン垣根「さて、残るはお前だけだ、そろそろくたばっとけ」黒子「・・・はぁはぁ、この強さはいったい・・・こうなったら釘を体内に直接テレポートで・・・ってそんな・・・はじき返された」垣根「残念だったなぁ、生憎俺に常識は通用しねぇんだわ」黒子「・・・そんな・・・」垣根「おわりだ」ゴオ黒子「きゃ・・・・・」シーン垣根「はん、あっけなかったな。まぁジャッジメント程度でこの俺を止めれるわけがねぇんだがな」黒子「・・・・はぁ・・・・待ってくださいの」垣根「ほう、お前まだ意識があったのか」黒子「治安を守るジャッジメントが・・・はぁはぁ、ただの侵入者に負けられませんわ」垣根「その心意気は認めてやるが、そんなボロボロの状態でどうするってんだ」黒子「・・・・・・・・・」垣根「じゃあもう一回くたばっとけ」ゴオ黒子「っく・・・・・・・・えっ・・・」垣根「なんだぁ、俺の攻撃を止めただと」???「あんた、私の後輩に手ぇだしてんじゃないわよ!!」
~~~数分前~~~
御坂「ちょっとなんなのよこの揺れ」友A「あ、御坂さん大変です」御坂「どうしたの?」友A「それが・・・何者かが常盤台の正門を壊して侵入してきたみたいなんです」御坂「え、侵入者(まさか黒子が言ってた)」友A「はい、そうなんです。それで今ジャッジメントが向かってるらしいんですけど」御坂「ジャッジメントってことはまさか黒子も」友A「恐らくは・・・・・・・きゃ・・・」ドーン御坂「また大きな揺れが・・・これって侵入者って奴が引き起こしてんの?だとしたらなかなかの使い手よ。黒子大丈夫かしら・・・」友A「白井さん以外にもジャッジメントがむか「御坂さーーーーん」・・・あなたは友Bさん」御坂「どうしたの、そんなに慌てて」友B「白井さんが・・・白井さんが・・・」
黒子「お・・・お姉様? なんでここに・・・」御坂「友Bさんから聞いたのよ。あんたが危ないって」黒子「お姉様・・・黒子が不甲斐無いばかりに・・・おねぇ様ぁぁぁ」御坂「はいはい抱きつかないの。ったく少しは私を頼りなさい、あんたの先輩なんだからね」黒子「お姉様・・・黒子は・・・黒子は・・・」御坂「泣かないの、あんたばっかりに「感動の再開に水を差して悪いがそろそろ、ぶっ倒してもいいか?」・・・あんたわかってんでしょうねぇ、誰の後輩に手ぇだしたかを!!」
垣根「うお、いきなりかよ。お嬢様ってのはもうちょっとおしとやかなんじゃねぇのか」御坂「・・・あんた覚悟できてんでしょうね」バチバチ垣根「ったくどいつもこいつも同じようなセリフはきやがって・・・覚悟すんのはお前だよ三下ァ!!」黒子「・・・本当に救いようのない馬鹿ですわね。あなたの目の前にいる人物が誰かわかっておりますの?」垣根「さっきもいったが、三下の知識は俺にはねぇんでな」御坂「だったらその身に直接教えてあげるわ!」ズドーン黒子「ちょっ、お姉様やり過ぎですわ!!」御坂「大丈夫よ、急所ははずしたから。それよりあんたはやく病院に」――――――――――「・・・オイオイ、今の威力半端じゃねぇな、常人なら死んでるぞ」黒子・御坂「!?」
垣根(こいつ・・・ただの雑魚じゃねぇな。っとまてよ、発電能力者でこの威力、それに後輩からの絶対的な信頼・・・は!! なるほど、そういうことかい!)黒子「そんな・・・お姉様の一撃を食らって無傷だなんて・・・」御坂「へぇ~、あんたなかなかやるじゃない。あれ食らって無傷だなんて」垣根「あの程度の攻撃で俺にダメージを与えれるとでもおもったのか? 常盤台の超電磁砲さんよぉ!!」黒子・御坂「!?」御坂「ふーん、あんた気づいてたんだ。ならわかるわよね、あんたには勝ち目がないってことぐらい!」垣根「もしれぇ、やって見やがれ超電磁砲!!」
御坂「簡単に終わらせてあげるわ!!」バリバリバリ垣根「は!!きかねぇな」バチン(翼で電撃をはじき返す垣根)御坂「・・・あんたにその程度の電撃はきかないってわけね・・・わかったわ、じゃあ私の全力見せてあげるわ!!」ズドーン(しかし美琴の全力の雷を簡単に防ぐ垣根)御坂「なんですって!?」垣根「なんだぁ、もう終わりかぁ? オイオイもうちょっと俺を楽しましてくれよ・・・なんもしねぇんなら次はこっちからいくぞ!!」御坂「っく・・・」(6枚の羽で紫外線を麻痺光線に変える垣根、それをなんとか防ぐ御坂)黒子「お姉様!!」御坂「(一体何なのよ!?あの能力は!)」垣根「ほらほらぁ、よそ見してる暇あんのかぁ!!」(6枚の羽を今度は鈍器として使用する垣根)御坂「っく、これなら」(磁力で鉄筋コンクリートを操り垣根に投げつけるのと同時に最大級の砂鉄を垣根の回りに展開させる御坂)
垣根「やけになったか超電磁砲! そんなもん俺にきくとおもってんのかぁ!!」御坂「(奴に私の雷は通用しない・・・あいつの力の源はあの翼、ならあいつが私の攻撃に目を向けて、自分自身の守りが薄くなってるときがチャンス・・・そこに超電磁砲をたたきこむ!!)」(翼を展開しすべてを無にかえす垣根)御坂「・・・待ってたわよこの瞬間を! 私の最強の攻撃をくらええええええーーー!!!!」(垣根に音速の3倍のコインが迫る)垣根「な・・・!!(こいつまさか!!俺が羽を展開して守備が薄くなるときを狙って!?)」ズドーーーーーーーーーーーーーーーーン御坂「はぁ・・・はぁ・・・」黒子「や・・・やりましたの・・・・?」
――――――――――――――「ふぅ・・・今のはあぶなかったぜ」御坂・黒子「!?」垣根「いや驚いたぜ、まさか俺の守備が薄くなった所を狙ってくるなんてな・・・だがお生憎様だな。俺には通用しねぇ」御坂「そんな・・・・・・」垣根「お前がそれなりに戦いなれてることはわかった・・・だがここまでだ! そこで素直におねんねしてるんだなぁ! なぁに心配すんな命までとるつもりはねぇよ。優しいだろ俺?」御坂「馬鹿にしてッ・・・・」ガク(垣根に最後の力を振り絞って電撃を放つも簡単に防がれ地面に膝をつく御坂)垣根「なっさけねぇなぁ、オイ。こんな雑魚がどうやって一方通行に勝ったんだかな」御坂「!?」「なっさけねぇなぁ、オイ。こんな雑魚がどうやって一方通行に勝ったんだかな」挑発ともとれる垣根の言葉が美琴に降り注ぐ。いつもの勝気な彼女なら、こんな発言を聞いて黙ってはいられないだろう。――『一方通行』その少年と初めて出会ったのはいつだったか。「教えてみろよ、第3位?」不敵な笑みを浮かべてゆっくりと垣根が美琴に近づく。アスファルトをそういえばどうやって倒したんだっけ、一方通行を。この男より強い『最強』を。それを考えるときに思い浮かぶのは黒髪のツンツン頭の少年。それに自分とまったく同じ姿の妹達。(たしかに情けないわね)不思議と笑いがこみ上げてくる。過去の一方通行との戦いで勝利したのは自分ではなくあの少年だ。「何笑ってんだ。気でも狂ったか? 殺さねぇって言ってんだから安心しろよ」いつの間にか垣根がすぐ目の前にいた。見下すように自分を見つめる2つの目。背中に見える6つの翼。それらを見据えて一言。「まったく……何が常盤台のエースよ」
足に力を込めて立ち上がる。体が鉛のように重いがそんなことは気にしていられない。垣根が一瞬驚いた表情を見せ、すぐに翼を展開させる。「やろうってか?」「当然!!」垣根へ、音を立てて電撃が飛ぶ。それを面倒くさそうに翼で防ぐ。先ほどと変わらない展開に垣根の表情から笑顔が消える。「つまんねぇ。もう寝てろよ第3位」「それは無理ね。だって、私はここのエースだから」「エースがこのザマか――」垣根の言葉を遮るように美琴の背後からスイカくらいの大きさの火球が3つほど飛びこんだ。驚いたのは垣根だけではない。「あらまぁ、エースのクセにだらしない」「あ、アンタ!」美琴と同じLEVEL5、この常盤台中学校が有するもう一人のLEVEL5とその取り巻きがズラッ十数人立っていた。その取り巻きの中の少女の手の平から煙が出ている。「めんどくさ……ったく、」「「そこを通せよクソガキ共」」綺麗なソプラノと垣根の声がハモった。「あぁ、お前が心理掌握か」(動かないでよ御坂?)念話が美琴に意思を伝える。便利な能力だな、と美琴は思ったが、この能力で垣根に勝つことは出来るのだろうか。周りにいる派閥の人達もせいぜいLEVEL4の能力者。いくら高位能力者といっても、垣根は第2位。第3位でまったく歯が立たないのに第5位と同じ土俵にも上がっていない少女達では敵わないのではないだろうか。
しばらく沈黙が続く。それが美琴はおかしいと感じた。垣根が心理掌握の瞳を見つめたまま動かない。まさか宝石のような少女の瞳に見とれているわけではないだろう。いくら隙を見せても仁王立ちして動かない垣根に、電撃を浴びせてやろうかと思ったが先ほどの念話を思い出しやめる。「……今回はやめとくか」沈黙を破ったのは垣根の言葉だった。「そう。いい子ね」「うっせぇよ。次は、容赦しねぇからな」そう言って早々に踵を返す垣根。何があったのかわからない美琴はただ正門を出てタクシーを拾う垣根の背中を見つめていた。「追わないでよ、御坂。このまま返しちゃった方がいいわ」心を読むように的確に指示をする心理掌握。実際に心を読んでいるのだろうが、読まれている感覚は一切なく違和感もない。何となく恐怖を感じる。「ど、どうして!? 次も来るんでしょ? なら今叩いちゃったほうが」「バカ? それでそんなボロボロになったんでしょうが」返す言葉がない。「随分と精神力が強いわね、彼。あー疲れたー肩揉んで誰かー」自分の肩をグリグリ押しながら校舎の方へ歩く心理掌握。その後姿と周りの取り巻きを見ながらポツンと立つ美琴。その姿はとても小さく、今にも吹き飛ばされてしまいそうであった。
「……お姉さま」先ほどまで口を開くことがなかった白井黒子が話しかける。「ごめん、黒子。しばらく一人にして?」「はい……。ではわたくしは風紀委員として今回の事件を報告してきますの」お願いね、と小さな声で答えると白井は自身の能力で消えた。一人になった美琴は自分の手の平を見つめる。(……やっぱり何にもできなかったなぁ)一方通行のときだって、今回だって自分が出来たことは無い。垣根は自分にどうやって勝ったのか、と尋ねた。勝った? 自分が?それは間違いだ。自分は決して一方通行に勝ってはいない。(悔しいなぁ……)次も垣根はきっとここに来るだろう。明日か明後日か、もしかしたら数時間後にでも。そのとき自分は何をする? 何が出来る?それを考えても何も出てこない。浮かんでくる映像は今回のように自分が膝をつく情けない姿。頬を、伝う大粒の涙がアスファルトの地面を濡らした。
「覚えとけ、って言ってたのはどなた?」「チッ、あのアマ……やられたぜ」心理定規がいて助かった。彼女に精神面でのトレーニングをしてなかったらもしかしたら自分は既に自害していたかもしれない。もしくは向こうの番人として犬のように使われていたかもしれない。「それでどうするの?」携帯電話から『着信音1』が鳴り響く。垣根は着信音など特に気にしないのでデフォルトのままだ。『まずはお疲れ様でした』携帯から若い男の声がする。今回の仕事を命令してきた『電話の相手』というやつだ。実際の正体は知らないし知りたくもない。「何だよ気持ち悪りぃな」『それで次回のご予定は?』「まだやんのか? 見せしめにはなったろ」『上層部の抹殺、そう頼んだはずですが?』そういえばそうだった、と依頼内容を思い出す。「この仕事、期限はいつだ」『そうですね……では、1週間、としましょうか』「了解だ。じゃあな」電源ボタンを押し、通話を終了させる。プツリ、と耳障りな音が一瞬してプープーと電子音が鳴る。
「次は私もついてく?」「そうだな。お前もついてこい。デートしようじゃねぇか」ドレスの端をつまみ、貴族のような挨拶をする。冗談のつもりだというのが口の端がつり上がった表情から見て取れる。「で、次はいつ?」「そうな……明日、でいいか」わかった、と了承して部屋をあとにする心理定規。コツ、コツ、と足音が響く。(殺すな、ってのがめんどくせぇな。心理定規にまとめて頼むか)簡単な、作戦と呼ぶのには単純すぎる攻略法を思案する。雑魚は心理定規に頼み、上層部を抹殺する。場合によっては心理定規の能力で操る真似でも――(ヤツの能力がやっかいか)自分を陥れた少女の顔を思い出しギリ、と歯軋りする。(ムカついてきた。あの女、嫁にいけねぇ体にしてやろうか)おっと、と口を押さえて思考を中断させる。これではまるで一方通行だ。あんな野郎と同じ思考回路を持ってしまった自分を呪う。
「へぇ。珍しい」常盤台中学の一室、心理掌握の派閥が溜まり場としている部屋を美琴は尋ねた。周りの少女達が珍しい来客者にざわり、とざわつく。「占い? それとも辛い記憶でも消すの?」「違うわ。今日の件よ」何事もなかったかのようにふかふかのソファに腰掛けて肩を揉んでもらっている心理掌握の姿に美琴は不快感を隠せない。「警備員でも護衛につければ?」「警備員じゃ敵わないわよ」ふぅー、と自分の爪に息を吹きかける心理掌握。その動作に美琴はついに怒鳴る。「真面目に考えてよ!! 下手したら皆死んじゃうのよ!?」「でも、命はとらないらしいじゃない? あなたの記憶によると」「そんなの信用できないわよ!」顔を上げ美琴の目を見つめる。吸い込まれそうな目にはいったい何が写っているのだろうか。「じゃあ、そのかみじょー君でももってくる?」「!?」
「随分頼りにしてるらしいじゃない。会ったことはないけど、御坂のヒーローさん?」「こ、心読んだの!?」再び爪に目を落とし、顔を左右に振る。「ま、噂なんてすぐ広まるわよ」そっちか、と美琴はある意味ホッっとする。心のうちの恋心、そこを見られるのは誰でも嫌なものだろう。「ううん……アイツには、迷惑かけたくない。それに一般人でしょ」「まったくもう……じゃあどうしましょうかねー」チラリと周りを眺める心理掌握。彼女の行動一つ一つにいったい何の意味が込められているのか美琴にはわからない。「じゃあ戦う?」「それしかない、か」「そうねー」パンパン、と2回手を叩く。「2時間後、ロビーに集合。それまでに学生全員集めといてね」はい、と周りが返事をするのを確認してから部屋をあとにする。「どこ行くの?」「別にいいでしょ。一人になりたくなるときだってあるわ」
「黒子ー」「お姉さま?」「うわっ、いきなり現れないでよ」「呼ばれましたので現れただけですの」美琴以外誰もいなかった美琴と白井の部屋に白井が突然姿をあらわす。「まぁいいわ。わかってるわね?」「はい。集合とは……今日の件で?」頷き肯定する。「あの殿方、随分と強力な能力者でしたけど……」不安そうに声が小さく、弱弱しくなる。戦う、ということになればここの学生全員でも敵うかどうかわからない。「大丈夫。頼りないかもしれないけど、私も頑張るから」「お姉さま……! いえいえ、頼りないだなんて、そんなことはまったく、一切、微塵もございませんの」かなりの好評価に若干引き気味にお礼を言う。集合まで残り1時間と30分。
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