そこはどこまでも深い青色の世界だった青と言うよりは、ネイビーやコバルトと言った方が正確かもしれない空は星が一つも無く、月だけが唯一その暗く青い空を照らしているだが不思議な事に、その月は赤く輝いている下はどこまでも水が広がっている前も後ろも右も左も、どこを見渡しても水平線ばかりここは海なのか?しかし、水は自分のふくらはぎの辺りまでしか浸かっていない海にしては浅すぎる浅いとは思うのだが、底は全く見えないそれにしても、随分と殺風景だ静かというよりは、ほとんど無音に近いここは天国なのか地獄なのか?そもそも自分は誰なのか?名前すらも思い出せない存在してるのかしていないのかも曖昧だ自分は何者で、この世界で何をすれば良いのか……
そんな事を考えていると、突然目の前に何者かが現れた修道服を着た金髪の少女長い前髪から僅かに見える、こちらを覗く金色の瞳それは本来の月の光にも似ている自分はこの少女を良く知っている気がするしかしどこか、ほんの些細な部分が違う気がする?「nips天ergn世sigd」何を言ってるのか理解できない?「sbrg未snmt死phish失exdrspi」なるほどわからん?「nth戻ggbvrfl」だからなんて言ってるのか分からないってばサーシャ「日本語しゃべれよ日本語ォォオオオ!!!(がばっ!)まあ私はロシア人ですけど」五和「サーシャ…ちゃん……?」サーシャ「五和…?」五和「サーシャちゃああああん!!!」サーシャ「むぎゅっ!なぜか目が覚めたらいつものホールド」五和「ぐすっ、本当に…よかった…良かったですっ!!!」サーシャ「第一の解答ですが、どうやらここが本当の死後の世界ですか。望み通り、また会えましたね。いや、会えたという事は、もしや五和は……」五和「グスッ、何をいってるんですか?サーシャちゃんは助かったんですよ?」サーシャ「助かった?……第二の解答ですが、たしか腹部に…」確認してみたら、確かに傷はまだ残っていた五和「どうやら、サーシャちゃんは回復術式と相性が良かったみたいです。」サーシャ「つまり、運が良かったという事ですか。」それとも、先程見た夢のおかげか?水を司る、青を象徴とする力赤い月サーシャの目の前に現れた謎の人物…サーシャ「第三の解答ですが五和、顔が酷い事になってますよ。まあそれでも可愛いと思いますが。」五和「ばかぁ!誰のせいだと思ってるんですか!(ぎゅっ)」サーシャ「五和…そんなに強く抱きしめられると傷口が……」どうやら五和の話によると、サーシャはあの後寮に運ばれて回復術式による治療を受けたらしいしかも驚くべき事に、短時間で息を吹き返し、傷口も殆ど塞がったとか誰もがまさに神の奇跡だと喜んだという
その頃、寮の外ではアンジェレネ「みなさーん!シスターサーシャが目を覚ましましたよー!」アニェーゼ「本当ですか!」ルチア「良かった…本当に…」アンジェレネもアニェーゼもルチアもみんな目が赤くなっているそれはけして寝不足で充血してるわけではないアニェーゼ「ぶっちゃけあの傷を見た時はもうダメかと思いましたけど、奇跡ってのはやっぱりあるんですね。」ルチア「神様が敬虔な教徒であるサーシャに加護を与えて下さったのです。ああ、今日ほど十字教を信仰して良かったと思う日はありません」?「ほんと良かったわ。死んだら私の首も一緒に飛ぶところだったのよ。」全員「!?」その声を聞いた瞬間に、一気にその場が和やかなムードから張り詰めた空気に変ったアニェーゼ「やはり来ましたか。」アニェーゼは蓮の杖を構える
ヴェロニカ「早速ですが、サーシャ・クロイツェフの引き渡しを要求します。彼女は国際指名手配犯。まさか神を信ずるあなた方が、罪人を匿ったりはしませんよね?」アニェーゼ「あんたら如きが神を語るなんて、十字教文化も舐められたもんですね。罪人は見捨てるものじゃない、教えを諭し、正しい道を歩ませるものなんじゃねえですか?」ヴェロニカ「なら、その役割は我々に引き受けさせてもらいましょうか」アニェーゼ「いいえ、あなた方も我々が正しい道へと導かねばならない対象ですよ?安心してください。あなた方みたいなクソッタレの猿頭にも理解できる様に分かりやすく教えてあげますから。少々痛い思いをするかもしれませんけどね。」ヴェロニカ「どうあっても我々殲滅白書と対峙すると?」アニェーゼ「いちいち言わないと分からねえんですか?」その言葉を皮切りに、前方の闇から隊列を成した足音が響いてくる現れたのは、ヴェロニカを中心とした殲滅白書のシスター達だ先頭のヴェロニカは白い修道服を着ており、赤い修道服で統一された他のシスター達の中で浮いていたヴェロニカの修道服はまっさらな雪の様に白く、その上から体を包む様に羽織っている外套も白い。そして、その外套を胸の当たりで留めている金色の装飾物がある双頭の鷲だかつては神聖ローマ帝国を統べるハプスブルク家の紋章であり、イヴァン三世が第三のローマを称し、ロシアの主権を主張すると共にロシアで採用された守護聖獣現在もロシアの象徴として国旗に描かれているヴェロニカ「宣戦布告と見なしても良いですね?」アニェーゼ「さっさとかかってきやがれってんですよォ!!!」必要悪の教会と殲滅白書の戦争がここに受理されたヴェロニカ「オルガ!ローザ!それぞれ部隊を左右に展開!アーニャは中心を固めなさい!術式が完成するまで持ちこたえるのよ!」アニェーゼ「ルチア!ローザの方をやっちゃってください!残りは部隊を二つに分けて、一方はあの頭悪そうなデカ女を、もう片方は私と一緒にあの白い猿をぶっ潰しますよ!」アニェーゼ部隊のメンバーは総勢252人それに対してヴェロニカ部隊のメンバーはその四分の一にも満たない数ではアニェーゼ部隊が圧倒的に多いオルガ「へっへっへっ、やっと自由にうごけますねー♪」彼女は術式強化された鉄パイプの様な長い棒を振り回し、アニェーゼ部隊のシスター達を薙ぎ払っていくもしも修道服に防御術式が無ければ大変な事になっていただろうローザ「русалка、その名は美しき水の精霊、惑わし人を溺れさせる水の精霊、水は恵みであり脅威となる」ローザの詠唱と同時に、彼女の周囲に水の塊が集まる。その水の塊が、まるで散弾銃の様にシスター達に襲いかかったルチア「罪の無いものに罰は下らぬ、罪のある者にこそ罰は下る!」ルチアの抱えていた車輪が爆発し、こちらも散弾銃の様に殲滅白書に襲いかかる木片と水の塊は撃ち合い、相殺し合うローゼ「やりますね。聖カテリナの車輪伝説ですか?」ルチア「あなたのは水の精霊ルサールカですね。水難事故の原因とされ恐れられていたとか。水属性の精霊の加護を基に、水の脅威の面を術式として構築したと言ったところでしょうか?」ローザ「なるほど、ロシアの民間伝承に関する知識があるみたいですね。なら、これも分かりますか?」ローザの周りに集まっていた水の塊が、突然光り出し、バチバチとした音が鳴り響く同時に水の塊は一匹の蛇の形になり、ルチアに襲いかかるルチア「これはッ!」電気を帯びた水の蛇がルチアに絡みつき、縛り上げるローザ「ツモクという稲光を起こす蛇を模したものです。」ギリギリとルチアの体を縛り付ける水の蛇同時、体中から放電するルチア「ぐっ…あああッ!」ローザ「良い眺めですね。防護術式のかけられた修道服が無ければ黒こげになっていたでしょうに。」ルチア「こんな……ものッ!」ルチアは縛られながらも右手を動かし、周囲に散らばった車輪の木片を自分の体を締め付ける水の蛇に向けて集める大量の木片の襲撃を食らった水の蛇はバラバラの水の塊となり飛散した
ルチア「大した事ありませんね!!」ローザ「なッ!」ルチアは鋭い目つきでローザを睨むルチアの周囲には、木片の集合体が一定の軌道を描きながらグルグルと渦巻いている。まるで、木でできた龍が彼女の周りを飛んでいる様だ。ルチアが右手を振ると、木片はまるで生き物の様にローザに襲いかかるローザ「ルサールカ!」自分の周りに水の塊を集め、木片の襲撃を防ごうとする。だがローザ「…ッ…防ぎきれないっ!」幾つかの木片は防ぎきれず、ローザの体に刺さるローザ「うっ…!なんてこと……」ルチア「まだまだこの程度では終わりませんよ。」シスターモブ「シスタールチア、いつの間にそんな技を使えるようになったのですか?」ルチア「二次創作では全ての設定はそげぶされるのです!」
アニェーゼvsアーニャアニェーゼ「私の推測ですが、たぶんあなたが部隊で一番強いんじゃないですか?」アーニャ「がおー」(ゴオッ!)ふざけた言葉を吐いている様に思えるが、同時に灼熱の炎が彼女の口から放たれるからシャレにならないアニェーゼはそれを横に飛んで回避する。アーニャの舌には魔法陣が刻まれている。それだけではない。背中にも二カ所に対比する様な形で魔法陣が刻まれており、そこから炎が噴き出している。まるで、一対の炎の翼の様だ。彼女の魔術は、スラヴ神話のスヴァローグという炎の蛇が元になっている。スヴァローグはスラヴ神話の太陽神であり、炎の翼を持つドラゴンの姿で描かれているのだが、東欧に伝わるにつれ、悪竜とされたり守護竜とされたりと色々と形が変って来た。ちなみに聖ダミアヌス、聖ミカエルなどはこのスヴァローグと同一視されており、復興異教主義においては最高神に列せられている。まあ何が言いたいかと言うと、非常に格式の高い神様であり、そんな神様を模した魔術を使えるアーニャは凄いという事だ舌に一つ、背中に二つ、そして右手に一つの合計四つの魔法陣が体に刻まれているアーニャ魔道書の原典の恐ろしさを知る者なら分かるだろうが、体に魔術のノウハウである魔法陣を刻む事は、自分自身が原典と同じレベルの負荷を背負う事と同じであり、非常に危険な事である。それを平気な顔して耐えているところがアーニャの天才と呼ばれる由縁でもあるのだ。インデックス級の彼女の食欲は、もしかしたらその反動なのかもしれないアーニャ「もえろー!もっと熱くなれよ!!」背中の炎の翼が無茶苦茶に暴れまくるアニェーゼ「あちち…これじゃ近づけませんね。こんな化け物を中心に置いて白猿を守らせているという事は、やはりあの白猿が部隊の要の様ですね。」アーニャ「そ、そ、そ、それはちがうよ?」アニェーゼ「無茶苦茶動揺してんじゃねえですか」アーニャ「いずれにせよあなたはヴェロニカには近づけない」アニェーゼ「随分と舐められたもんですね。」アニェーゼは再び蓮の杖を構え、詠唱するアニェーゼ「万物照応。五大の元素の元の第五。平和と秩序の象徴『司教杖』を展開。偶像の一。神の子と十字架の法則に従い、異なる物と異なる者を接続せよ。」詠唱すると同時に、杖に衝撃を与えるアーニャ「あうっ!」見えない力がアーニャを吹き飛ばしたアニェーゼ「万物全ての属性を持つエーテルを操る私の杖と、強大な炎を操るあなたの術式、はたしてどっちが強いんでしょうねえ。」アーニャ「ぐぬぬ。」アニェーゼ「さて、さっさとそこをどいてもらいましょうか?」
オルガ「アッハッハッハ!散れ―飛んでけー!」シスターA「なんなの?あの孫悟空みたいなのは!」シスターB「だめ!束になっても抑えられない!」オルガ「はいそこー!お喋りしてる余裕はないよー!」シスターB「きゃっ!」一人のシスターの頭上に鉄の棒を振り下ろすオルガガキッ!シスターB「ひっ!……あれ?」サーシャ「随分と好き勝手しくれましたね。」いつのまにか、オルガの一撃を片手に握られたバールで受け止めるサーシャがそこに居たサーシャ「第一の解答ですが、もう大丈夫ですよ」シスターB「サーシャちゃん/////」オルガ「サーシャちゃん、もう動いて大丈夫なのー?」サーシャ「ええ、第二の解答ですが、おかげさまでね!!」サーシャはもう片方の手に金槌を握り、横からオルガの体を殴りつけて吹っ飛ばしたオルガ「ゴッハァアッ!!」そして、オルガが吹き飛んでいく先には、五和が槍を構えている五和「これはさっきのお返しですっ!!」まるでバッティングの要領でオルガに槍を打ち付けるオルガ「なんですかそりゃあー!!へぶっ!!」さらにそのまま反対方向へ吹っ飛んでいくオルガそれを見て動揺する殲滅白書のシスター達戦局はイギリス清教側に有利な展開になっていたヴェロニカ「むむむ、不味いわね。あと少しで完成するんだけど。」?「何だ貴様ら!」?「きゃあッ!」後ろが何やら騒がしい建宮「やれやれ、後方の守りは薄いみたいなのよ」ヴェロニカ「おや、天草式ですか?」どうやら先程の声は、ヴェロニカの後ろを守らせていたシスター達の悲鳴だった様だ建宮「さて、指揮官であるお前さんを倒せば、全て終わるってわけだが。」ヴェロニカ「あ、そう。」建宮「ここで降参するってんなら命まではとらんのよ。」ヴェロニカ「そう言えば、私の部下が五和という少女を痛めつけてしまったわね。我慢しないで一発くらい殴ったらどう?降参する気なんてどうせ無いし。」建宮「そうかい。じゃあ少し痛い目にあってもらうのよ!」建宮はフランベルジュを構え、ヴェロニカに斬りかかったしかし殺す]つもりは無く、あくまでも剣の平らな部分を打ち付けるバギン!建宮「なにっ!!」なぜかヴェロニカの修道服に剣を打ち付けると同時に、剣の方が真っ二つに折れてしまったヴェロニカ「守護聖獣の加護を受けた法衣。名前はそのまんま”双頭の鷲”よ。今回の任務のために上が用意してくれたの。羨ましい?」ヴェロニカ「イギリス清教では10万3000冊の魔道図書館を守るために、”歩く協会”っていう最高の防御力を誇る修道服を着せてるみたいだけど、この双頭の鷲はそれに勝るとも劣らない防御力があるのよ。」建宮「クソッタレ!」ヴェロニカ「それと、あなた達が後方から攻めてくる事なんて最初から分かってたわ。守りの薄いとこを攻めるのは戦いの基本でしょ?だけど、あえてそれを罠にするのも戦術の基本なのよ。」牛深「教皇代理!早く逃げて下さい!その女の周辺に、防衛術式が展開されてます」ヴェロニカ「遅いわよ。双頭の鷲は絶対的な権力と支配の象徴。楯つく者を全て駆逐する。」突然ヴェロニカの周りに風が巻き起こり、強風となって建宮を襲う建宮「ぐあっ!」強風だけではない、それに加えてかまいたちの様なものも襲いかかる。まるで、巨大な鷲の鉤爪に裂かれた様だ。ヴェロニカの前から吹き飛ばされた建宮は、体中に切り傷を負ってボロボロになっていたヴェロニカ「絶対的権力の象徴である双頭の鷲を着た私に攻撃することは、絶対的権力者に反抗する事と同じ。あなたが私に攻撃すれば、それは権力者への反逆に対する罪となってあなた自身に返っていくのよ。あなた達、いつまで寝てるの?術式が完成したわよ?」その言葉を聞き、先程建宮達に倒されたはずのシスター達がむくりと起き上がるヴェロニカ「遥か昔、キエフを守護する英雄に希望の光を与えた三人の老賢者。歩けない者には足を、目の見えぬ者には光を、耳の聞こえぬ者には歌を、そして、弱きものには全てを覆す力を」ヴェロニカが詠唱を始めたその瞬間から、今まで押されていた殲滅白書のシスター達の目の色が変ったサーシャ「第一の解答ですが、遅かった…非常に不味いです…」
オルガ「あはっ!すごい!力が湧いてくるー!!」オルガは鉄の棒をサーシャに打ち付けた先程は片手で防げた筈の一撃しかし、バールで受け止めたはずの一撃は、威力を殺せずにサーシャの体ごと吹き飛ばした。まるで交通安全に使われる人形の様だ。五和「えっ?これは一体どういう事…」オルガ「こういうことー♪」速い、いつの間にか目の前に現れて、五和もサーシャ同様に薙ぎ払われたおかしい、明らかにスピードもパワーも先程までとは格段に違うルチア「何ですか…これは……?」ルチアの前には、うわばみと言えるくらの巨大な水の蛇が立ち塞がっている。こちらも今までのローザでは考えられないくらいの力だ。ローザ「どうやら、ムウロメツの薬が完成したようですね。今までのお返しです。」巨大な水の蛇は、目にもとまらぬ速さでその巨大な尻尾でルチアを弾き飛ばしたアーニャ「……」アニェーゼ「……」アニェーゼの額に嫌な汗が浮かぶヴェロニカ部隊最強の少女は、さらに手がつけられない状態になっている巨大なニ対の炎の翼手にはこれまた巨大な炎の剣見た目だけでなく、その威力も格段に上がっている。イメージで言うと、機動力を得たイノケンティウスだ。アニェーゼは蓮の杖にナイフで傷を付け、目に見えないの力をぶつけようとするが、アーニャは巨大な炎剣を一振りしてその力ごとアニェーゼを吹き飛ばしたアニェーゼ「ぐっ!…やばいですね…こんな時に幻想殺しが居てくれたら…」サーシャ「本当は、こうなる前に終わらせたかったのですが……」五和「サーシャちゃん、これは何なんですか?なぜみんな先程とは比べ物にならないくらいに強くなってるのですか!?」サーシャ「第一の解答ですが、これがヴェロニカの魔術の真髄です。自分が味方であると認識した者の身体能力と魔翌力を爆発的に高めるドーピングの様な魔術。彼女はこれをムウロメツの薬と呼んでいます。」五和「ムウロメツの薬……ってなんですか?」
サーシャ「イリヤ・ムウロメツという英雄伝を知っていますか?ロシアでは有名な民話です。とある子宝に恵まれない老夫婦の間に一人の子供が生まれたのですが、その子供は生まれつき足が悪く、歩けなかったのです。しかし三十歳になったある日、三人の老賢者が彼の前に現れて、彼に薬を与えたのです。すると、歩けなかったはずの彼は超人的な力を手に入れ、その後キエフを守るために異民族と戦う英雄になったという話なのですが…」五和「要するに、その伝承を元に組み上げた身体魔翌力強化の術式というわけですか。対策は何か無いのですか?」サーシャ「第二の解答ですが、この術式はヴェロニカを中心に展開されています。そしてヴェロニカの魔翌力が途切れると、自動的にムロウメツの薬による効果は消滅します。」五和「つまり、ヴェロニカを倒せばどうにかなるのですね!」サーシャ「第三の解答ですが、それが出来たら苦労しません。まず、彼女の元に辿り着くためにはアーニャを倒さねばなりません。彼女も非常に強いです。そして、ヴェロニカの着ている真っ白な修道服は、おそらく双頭の鷲というものでしょう。あれは、歩く協会に匹敵するくらいに強力な防護服です。その上、攻撃してきた者を自動的に強力な魔術で排除する機能も付いています。」五和「何ですかそのチート性能、もはやどうにもならないじゃないですか。」サーシャ「第三の解答ですが五和、オルソラのもとに行って下さい。彼女なら、何か対策を打てるかもしれません」
五和「でも!」五和の脳裏に、先程の死にかけたサーシャの姿が浮かぶサーシャ「第四の解答ですが、私は大丈夫です。もうあなたを悲しませたりはしません。」五和「絶対……絶対ですよ!約束してください!」サーシャ「約束します。父と子と精霊の御名において」五和はサーシャの元を離れ、寮の内部へ向かうオルガ「あはっ♪みーつけたー!」五和「しまっ」五和の姿を確認して襲いかかるオルガだが、攻撃が届く前にサーシャがオルガに横からとび蹴りを食らわせたサーシャ「五和!早く!」オルガ「ぜーんぜん効いてないよ?」その言葉の通り、オルガには全くダメージは無かった
オルガ「ねえサーシャちゃん、ヴェロニカ部隊に来ない?そうしたら、ここでボコボコに痛めつけるのは勘弁してあげるよー?」サーシャ「第一の解答ですが、あなた方の仲間になるくらいなら恥ずかしい服を着てワシリーサの下で働いたほうがマシです!」(ガギッ!)鉄の棒とバールがぶつかり合い、つばぜり合いになるガリガリと鉄と鉄が擦れ合い、削れる音がするオルガ「じゃあアタシの物になりなよ。アタシの実家は金持ちだからさー、何でも好きなもの買って上げられるよー?」サーシャ「口説くならもう少しマシな言葉を聞きたいものです。そんなんじゃ虫けら一匹落とせやしませんよ!」オルガ「もう、つれないんだから。でもそんなところが可愛いよねぇッ!!!」鉄の棒を薙ぎ払い、サーシャの体が簡単に弾かれるサーシャ「くっ…五和…ッ!」
五和「オルソラさん!」オルソラ「五和さん!御無事でございましたか!」オルソラは非戦闘員のため、シェリーと共に寮内で殲滅白書に関する様々なデータを集めていたシェリー「やれやれ、こんな時に神裂でも居りゃ良いんだが。」五和「残念ながら、女教皇様は別の任務についています。」シェリー「在らざるモノか。どうやらここ最近の在らざるモノの事件は、あの殲滅白書の奴等が原因ってことで間違い無さそうだな。」五和「どういう事ですか?」シェリー「分からないか?奴等が何らかの方法で在らざるモノをイギリス各地に流し込み、実力のある魔術師達を各地に分散させてるって事だ。つまり、この戦争に神裂みたいな聖人クラスの魔術師を介入させないために、わざと事件を各地に起こる様に仕組んだってことよ。」五和「そんな事が可能なのですか?」シェリー「殲滅白書は在らざるモノに関する知識も魔術もトップクラスの機関だ。在らざるモノを誘導させ、罠を仕掛ける魔術を転用させればこんくらいの事は可能だろ。まあ、証拠が見つかっちまえば国際問題に発展する事は間違いねえけどよ、そんなヘマを犯さねえ辺りが奴等の実力を示してるのかしらね。」五和「なるほど…」シェリー「感心してる場合かよ。で、アンタは何しに来たんだ?逃げ帰ってきたわけじゃないわよね?」五和「そうでした!オルソラさん、ムウロメツを御存じですか?」オルソラ「ええ、ロシアの民話でございますね。」五和はサーシャから聞いた話をオルソラに伝えるオルソラ「なるほど、ムウロメツの伝承を元にした術式でございますか…」五和「何か手はありますか?」オルソラ「ムウロメツは……確か、天軍にも勝てるという慢心の言葉を吐いた事により、最後は後悔の祈りと共に石像になってのでございます………良い案がございますわ!サーシャさんをここに連れてきてください!」五和「はい!わかr」シェリー「私が行くよ。」五和「シェリーさん!」シェリー「アンタはここに残ってオルソラの手伝いをしろ。」そう言うと、シェリーは白いチョークを握りしめ、戦場へ向かっていった五和「シェリーさん…」オルソラ「五和さん」五和「はい?」オルソラ「あなたに聞きたいことがございます。」五和「はい!私の知っている事ならなんでも!」オルソラ「では神の右席について、あなたの戦った経験を詳しく話してください。」オルガ「どうしたのー?張り合いがないなー!」サーシャ「うっ…」そろそろ体力の限界が来ているこのままでは…オルガ「そろそろ終わりにしようかな。楽しかったよー?サーシャちゃん♪」オルガは気絶させる程度に計算された力でサーシャに渾身の一撃を食らわせようとするもはやそれを防ぐだけの力はサーシャには無いサーシャ「五和、すみません…守れそうにないです……」シェリー「シケた面してんじゃないわよ!」サーシャ「えっ」突然巨大なゴーレムが現れ、オルガの体を殴り飛ばしたシェリー「やれやれ、なんだよそのザマは」サーシャ「シェリー……ありg」シェリー「良いからさっさと五和の元に行け!お前が必要らしい。」サーシャ「第一の質問ですg」シェリー「質問なんかしてねえでさっさと行けって言ってんのよ!」サーシャ「はい!」シェリー「さーて、そこの銀髪。ガキと楽しそうに遊んでくれたみたいね?」オルガ「だから何ですかー?」シェリー「ムカツクガキを痛ぶってくれて感謝するわ。でもガキはお疲れみたいだから、今度は私が相手をしてあげる。行くよエリス!」エリス「グオオオオオオオオ!!!」
サーシャ「五和!」五和「サーシャちゃん!オルソラさん、来ましたよ!」オルソラ「ええ!サーシャさんも御無事でなによりでございます!」サーシャ「はぁ…はぁ…別に無事というわけではないですが、それで、私に用とは…?解決の糸口が見つかったのですか?」オルソラ「はい。早速ですが、イリヤ・ムウロメツは、味方の一人が天軍に勝てると慢心したのが衰退の原因なのでございますよね?」サーシャ「第一の解答ですが、その通りです。」オルソラ「では、ここイギリスで言う天軍とは?」サーシャ「第二の解答ですが、ヘンリー8世の天使軍でしょう。現在の王国騎士団ですね。」オルソラ「その通りでございます。そして、その天使軍を象徴する武器と言えば」サーシャ「……まさか、※カーテナを?」※王家の者しか使えない慈悲の剣で英国最大の霊装。術者は天使長としての力を宿すことで強化され、その剣からは全次元切断術式の発動できる。つまりヤバい剣。ちなみにヘンリー8世が天使長を名乗ったのはローマ教皇に対抗し、教皇こえる地位であるとアピールするため詳しくは禁書原作17巻と18巻をサーシャ「あれは王家の者にしか使えませんよ?」オルソラ「ええ、ですからあなたに女王様になってもらうのでございます。」サーシャ「……はい?」この人はいきなり何を言い出すんだ
オルソラ「簡潔に言えば、今すぐここで即位式をやってもらいます」サーシャ「あの…話が見えてこないのですが…」オルソラ「もちろん本物の即位式ではありません。全部偽物で代用し、あなたにはたった一度だけの仮初の女王様になってもらうのでございます。」サーシャ「第一の解答ですが、それでカーテナの力など使えるのですか?」オルソラ「おそらくたった一度しか使えないでしょう。全て偽物なのですから。」つまり、即位ごっこと女王様ごっこでカーテナの力を借りるというわけだサーシャ「成功する可能性は?」オルソラ「他に方法がございましたら、そちらを選択させていただきます。」サーシャ「……」オルソラ「では五和さん、先程指示した物を用意して下さい。」五和「あ、はい!」
サーシャ「第二の解答ですが、あなたの案に賛同しましょう。ですが、なぜ私がクイーンを?」オルソラ「はい。失礼ながら、サーシャさんの事を調べさせていただきました。どうやら、あなたは神の力、後方の青を司る大天使ガブリエルをその身に宿した事があるのでございますよね?」サーシャ「そこまで調べたのですか…?」オルソラ「そして、その時にミーシャと名乗ったと?」サーシャ「覚えは無いのですが、そう聞いています。」オルソラ「やはりそうですか。本来、大天使が自分の名前を変えて名乗ることなどあり得ないのです。なぜならその名は神の力と性質を示すのですから、勝手に名を変える事は神への冒涜になるのでございます。」オルソラ「ですが、あなたの体に宿ったガブリエルは、ロシア語でミカエルの名前を示すミーシャと名乗った。これは明らかにおかしいことでございます。」サーシャ「確かに、ミカエルの火とガブリエルの水では、全く性質が異なります。」オルソラ「なぜこの様な現象が起きたのかは分かりません。しかし、もしも私の推測が正しいのならば、今この世界では四大元素の歪みが起きているのではないかと思います。」サーシャ「例えそうだとしても、それと私に何の関係があるのですか?」オルソラ「ガブリエルは青と水の象徴。しかし、この歪みにより赤と火による浸食を受けてしまったのです。ミカエルの属性に浸食されつつある中で、あなたはガブリエルにとって宿主として最適だと判断されたのでしょう。」サーシャ「それはつまり…」オルソラ「あなたには、ミカエルに似た性質があるのではないでしょうか?」サーシャ「……」話がぶっ飛び過ぎて付いていけないオルソラの仮説はこうだまず第一に、大天使のテレズマを丸ごと身に納める事は普通の人間にはできない。例えるなら、安い電卓にパソコンの機能を全てぶち込むのと同じ事だ。そして過去に莫大なテレズマを身に納めた特別な人間として、聖母マリアがいる。第二に聖母崇拝と言うものがあるが、これによると聖母は神の子を身に宿した時点で原罪から免れたという。つまり、大天使のテレズマを受け入れられるかどうかは、その宿主の原罪の濃さに影響があるという事だ。第三に、原罪を薄め、神や大天使の力の一部を行使できる者達が居る。神の右席だ。彼らは四人居て、それぞれミカエル、ウリエル、ガブリエル、ラファエルと同じ性質を持ちあわせている。オルソラ「つまりサーシャさん。あなたは生まれながらにして原罪を免れる者であり、ミカエルと同等の性質を持って生まれて来たのではないでしょうか?そしてあなたの目が赤いのは、赤を象徴とするミカエルの性質の名残ではないかと思うのでございますよ。」
五和「しかし、大天使の性質を持つ者は、普通の人間の魔術は使えないはずですよ?」オルソラ「はい。ですが、アックアとの戦いを思い出して下さい。彼は聖母の原罪を免れる性質を転じて、普通の魔術が使えないというルールから免れる事ができたはずでございます。」オルソラ「神の右席は、原罪を薄めるという事で力を得ています。つまり、原罪から逃れられぬ者がそれに抵抗するという事になります。ですが、サーシャさんの場合、初めから原罪の束縛を受けぬ者として生まれたのではないでしょうか?だとしたら、性質がガブリエルの生母の慈悲ではなくても、ルールから逸脱する事は可能でございます。」五和「逃れる者と縛られぬ者の違いですか……とすると、もしかしたら女教皇様よりも強いのでは?」オルソラ「受け入れる器があるという事と、その器がミカエルに似ているというだけの話でございます。力を行使できるだけの能力があるかどうかはまた別の話になるのでございましょう。」サーシャ「第一の解答ですが、こんな原作ガン無視な設定を上げてますが、結局凄いのか凄くないのかは微妙なところですね。」オルソラ「そんな事はございませんよ?」サーシャ「?」
オルソラ「これも私の推測ですが、本質がミカエルとは言え過去にガブリエルを身に宿したあなたは、今はガブリエルの性質の方が濃くなっているはずです。ガブリエルは最期の審判において終焉のラッパを吹き、死者を復活させる天使でございます。つまり、神の理を無視した力を行使できる天使でもあるのでございますよ。」サーシャ「もしかして第一の質問ですが、私が助かったのは、回復術式との相性が良かったというわけではないという事ですか?」オルソラ「ええ、おそらくはガブリエルの加護によって死から逃れたという事でしょう。おそらくガブリエルはまだ四大元素の歪みによる影響から解放されていないため、運良く見つけたあなたという器を失うわけにはいかなかったのかもしれません。」サーシャ「第二の解答ですが、なんだかさっきから話が飛び過ぎていて、まるでとんでもな物語でも聞かされている様な気分です。」それもそうだろう。自分がミカエルと同等の性質だの、原罪を免れる者だの、あまつさえ自分のコンプレックスだった赤い目はその影響だのと言う話だ納得して全てを受け入れろと言うのも無茶であるオルソラ「全てが正しいというわけではありませんし、もしかしたら全部まちがっているのかもしれません。ですが、私はあなたに可能性を見出しているのでございますよ。」オルソラ「カーテナの力の性質は天使長であるミカエルと同義。つまり、ミカエルと同じ性質を持つあなたなら、擬似的なカーテナの力を振るえるのではないかということでございます。」サーシャ「第一の解答ですが、私がクイーンの役をやる理由は分かりました。私に出来るのであれば、喜んで引き受けさせていただきます。」オルソラ「まあ!ありがとうございます!」五和「えーっと、これで全部揃ってるでしょうか?」五和が用意した戴冠式ごっこのレシピ指輪白い手袋赤いペンキで塗られ、先端に棒磁石を埋め込んだ杖白い杖サーシャの着てた拘束衣の赤い外套椅子正方形の座布団みたいな石(シェリーの作業場から拝借)香油聖水サーシャの修道服のベールカーテナの力を移すための聖水で清めたナイフオルソラ「では、蝋燭を西に、聖水の入った小瓶は南に、北はアニェーゼさんの部屋から拝借した小型扇風機、東にシェリーさんが彫刻に使っていた石を。」オルソラの指示通り、それぞれの場所に、赤い蝋燭、青いビンに入れられた聖水、黄色い絵の具で塗られた扇風機、そして緑色に着色された石が置かれた戴冠式のための簡単な儀式場を作ったのである。しかし、何かがおかしいサーシャ「第一の質問ですが、風と黄色を象徴とするラファエルは東方の性質を与えられています。位置が違うのでは?あと、それアニェーゼに怒られますよ。」オルソラ「先程も説明した通り、四大元素に歪みが生じてる可能性があります。大天使の四大元素の力を行使する神の右席では、前方が黄色と風を象徴とするウリエル、左方が土と緑を象徴とするラファエルになっていたのでございます。」サーシャ「一体どうなってるのでしょうかね?」オルソラ「きっと神様の国で痴話喧嘩でもあったのでございますよ。さて、ではサーシャさん、部屋の中央に来て下さい。」サーシャ「はい。」オルソラ「では、五和さん、サーシャさん、よろしいでございますか?戴冠式の真似事とは言え、カーテナの力を宿すための儀式でございます。道具は全て偽物ばかりのなんちゃって戴冠式ですが、あなた方の英国と神への忠誠は本物である事を証明しなければなりません。」オルソラ「覚悟はよろしいでございますか?」サーシャ・五和「はい…(ごくっ)」今、世界で一番滑稽な戴冠式が始まったルチア「まったく、一体何なんですか!」ルチアは不条理な状況に文句を垂れつつ車輪を巨大な水の蛇に向けて、両手と体全体を使って円盤投げの要領で投げる。そして、巨大な水の蛇に車輪がぶつかると同時に爆発する巨大な水の蛇は爆発によって頭部が木っ端微塵に吹き飛んだルチア「やった!?」ローザ「無駄ですよ。」木っ端微塵に吹き飛んだ蛇の頭は信じられないくらいのスピードで再生するローザ「ツモク!」ローザがその蛇の名を叫ぶと、巨大な蛇の口に光が溜まり始めるローザ「消し飛びなさい!」巨大な蛇の口から極太の光線と化した電撃が放たれたまるで荷粒子砲の様だルチア「……!!?」蛇の口が光り始めた時点で危険を察知したのか、ギリギリでかわす事が出来たルチアあんなものをまともに食らったら、髪の毛一本すらこの世に残らないだろうローザ「さあ、いつまで避け続けることができるでしょうか?」再び蛇の巨大な口が光り出すアンジェレネ「シスターアニェーゼ、ここは一端引きましょうよぉ…」アニェーゼ「無理ですよ、あのスピードからは逃れられません。アンジェレネ、危ないから下がってください。」アンジェレネ「シスターアニェーゼッ!」アーニャ「吹き飛べ」アーニャは上空からとてつもないスピードでアニェーゼに向かって滑空してくるそしてその勢いのまま、自分の身長の倍近くある炎の剣の切っ先を向けてアニェーゼを潰そうとしてきたアニェーゼ「クソ暑苦しいんですよぉ!!!」アニェーゼも負けじとナイフで傷付けた蓮の杖を振り回すしかし、その力を持ってしても相殺する事すら敵わずに、炎の剣の爆発に巻き込まれる爆発とともにアニェーゼの体は吹き飛ばされたアンジェレネ「シスターアニェーゼ!!!」まるで道路に打ち捨てられたゴミの様に、吹き飛ばされその体は地面を跳ねる様に叩きつけられるアニェーゼ「…対火術式なんて…これじゃああってもなくても同じですね……」来ている修道服は焼け焦げてボロボロになっているそれだけならまだ良いが、アニェーゼの柔和な白い肌も裂傷や火傷だらけで痛々しい姿だアンジェレネ「ぐっ……!(ぎりっ)」奥歯を噛みしめるアンジェレネ腰につけている硬化袋を取り外し、十二使徒の一人、徴税者マタイの名を唱えながら硬化袋を頭上に投げるすると、硬化袋から六つの羽が生え、同時に中から数枚の硬化が弾丸の様なスピードでアーニャに向かって発射されたしかし、アーニャのもとに辿り着く前に硬化は燃え尽きてドロドロに溶けてしまう当のアーニャは「良く見てなかったけど、何かしたの?」とでも言わんばかりの表情をしていた。悔しかった何もできない自分が目の前で傷ついてる仲間が居るのに、何もできない無力な自分が彼女も五和と同じだ建宮「くそっ……」半分に折れた剣を手に、ボロボロに傷付いた体を庇いながら、建宮はふら付く足で立ち上がりヴェロニカを睨みつける他の天草式の連中は、後方の防衛を任されていた殲滅白書のシスターと戦闘していた先程は難無く撃破できたはずなのだが、今はヴェロニカの魔術のせいで苦戦を強いられているヴェロニカ「もう諦めたら?どんなに頑張っても私には傷一つ付けられないわよ?それなのにそんなボロボロになるまで頑張るなんて無駄じゃないかしら?」建宮「黙れってんのよ……テメェには、どうしても一発ぶちかましてやらねえと気が済まねえのよ!テメェらに利用され、自分の友人をその手で殺しかけるなんて事をさせられた、どんな拷問よりも地獄に落ちる事よりも耐え難い絶望的な思いをした奴がいるんだよ!!こんなとこで諦めたら、俺は五和にも女教皇様にも他のみんなにも顔向けできねえのよ!!」ヴェロニカ「へえ、あなた随分と部下思いの上司みたいね。そういう上司は大好きよ。」建宮はヴェロニカの話など全く聞いていないすべき事は、あの澄ました端正な顔に一撃を与える事建宮はヴェロニカに向かって突撃し、剣を振るうしかし、ヴェロニカは簡単な動作でそれをかわした
もはやボロボロでまともに剣を振るう力すらない建宮の一撃など、わざわざ注意して避けるまでも無い。そもそも双頭の鷲の加護があるので避ける必要すらないのだが。ヴェロニカ「私も二年前までは良い上司の下で働いてたの。あなたとは違っておちゃらけた感じの人。まああなたも普段はどうなのか知らないけれどもね。変態的な趣味の持ち主で変な服を着させられてたけど、それでもドライでギスギスした殲滅白書の中では、珍しく人懐こくて明るい人だったわ。」建宮「おらァ!!」(ブンッ!)今の自分に出せる全力の一撃しかし、そんな建宮の奮闘など微塵も意に介さずまるで頑張りを嘲笑うかの如く簡単に避けるいや、避けているいうよりは、むしろどいているという感じだ
ヴェロニカ「実力を認められて、一部隊を任せられた時は嬉しかった。同時に、絶対にその人を超えてみせるってヤル気まで湧いてきた。私にとっては憧れの様な人だったのかもしれない。」建宮はヴェロニカの話に耳を傾ける事は無いそれでもヴェロニカは建宮の剣を避けながら、話を続ける誰も聞いてはいないなのに、なぜこんな身の上話を建宮の前でするのか、彼女自信も疑問に感じていた。もしかしたら、建宮の部下を想う姿に何か感じ入るものがあったのだろうか。ヴェロニカ「あなたには分かるのかしらね?自分の行動や言動だけじゃない。その態度や表情の細かい部分一つ一つ、本当に自分でも意識していない部分でも、それは部下に影響を与えるの。上司を心から信頼し、その指導を仰ぐ部下にとってはね。」ヴェロニカ「上司の笑顔や褒め言葉一つでいつもの百倍は頑張れる様な気がする。逆にため息や暗い顔ひとつで部下は不安な気持ちになるのよ。だから、私は彼女達の前では極力明るく振舞う様にしてるわ。人望なんて大して無いかもしれないし、憧れなんてこれっぽっちも持たれてはいないかもしれないけれど。」ヴェロニカ「上司ってそういうものなの。特に憧れ信頼してる上司は。だから分かる?そんな上司の落ち込んでるとこなんて見たくないっていう部下の気持ちが?上に立つ者は絶対にそういう雰囲気を出しちゃいけないし、不安な言葉を吐く事も弱みを見せる事もしちゃいけない。なのに、自分の憧れていた元上司がそんな情けない姿を晒している事がどれだけ耐え難い事か。」斬りかかって来た建宮を、右腕を軽く翻すだけで風を起こして吹き飛ばしたそれでも立ち上がる建宮斎字建宮「分かんねえわ、そんなの…うちはあんたらみたいにデカイ組織じゃないからよぉ……部下である以前に、上司である以前に仲間なんだよウチらは……確かに……アンタらの組織の体裁は立派だとは思うが……」ヴェロニカ「あら、聞いてたの?」建宮「うおおおおおお!!!」再びヴェロニカに向けて突進するヴェロニカ「はぁ……無駄だと言うのn!?」ビュン!と何かが高速で顔の横を通り過ぎた建宮が最後の力を振り絞って投げた剣だ建宮が投げた折れたフランベルジュはヴェロニカの頬を掠め、修道服のベールごと遠くに吹き飛ばした建宮「修道服の外側は鉄壁でも、内側はそうでもない…か……そういうもんなのよ、アンタらの関係は……」何度でも立ち上がって来た建宮は、最後の一撃がようやく届いた事を確認し、そのまま倒れ伏したヴェロニカ「……」倒れた建宮を見つめるヴェロニカ絹の様に滑らかで白い肌に、一つの赤い線ができているそこから血が流れてくるが、彼女は気に留めていなかったヴェロニカ「建宮さんと言ったかしら……私も昔はそうだった。自分が上に立つ様になってから、それを忘れてしまったのかもしれないわ……あの人の弱り果てた姿は、あの人の下を去ってから初めて見たから……」ヴェロニカは、普段は部下に明るく振舞っている。部下からの暴言だって許している。頼りないが近寄り易い上司を演じている。自分の憧れたかつての上司がそうであった様に。演じているのだ。どこまでも演じているだけで、その枠を超える事は無いのだ。それは例え苦しい事があっても悲しい事があっても、いつも同じ仮面を被って同じ自分を演じなければならないのと一緒。けして自分の本質をさらけ出してはいけない。体裁なんか気にしない様に見えるが、実際はその関係など体裁の塊に過ぎないのだ。ヴェロニカ「もしかしたら、私はあの娘に嫉妬していたのかもしれないわね……」その頃、バッキンガム宮殿ではエリザード「ん?……カーテナが…?」騎士団長「カーテナがどうかしましたか?まさか変な細工したとか壊したとかそんなんじゃないでしょうね?エリザード「どんだけ主君を信用してないんだよお前は」英国王家の者だけが手にするカーテナ・セカンド英国女王エリザードは、そのカーテナに違和感を覚えた。まるで面白そうな者を見つけた好奇心旺盛な動物の様に、カーテナに宿る力が何かに反応しているのを感じる。騎士団長「ウエストミンスターの清教派の女子寮で抗争が確認されました。どうやら、襲撃者はロシア成教殲滅白書の一部隊の様ですが…」エリザード「知らんよ。そういうのはアイツの領分だ。あの女の事だ、むざむざとロシアの連中の侵入を許したわけでも無いだろうし、何か企んでるだろうね。まあ大方予想は付くが。」騎士団長「ちなみに、あの女子寮周辺で強力な結界も確認されたそうです。どうやら、戦争が始まると同時に発動する仕掛けで、外側から援軍を送る事ができない状態になっています。範囲は限られているとは言え、あれだけの密度の高い結界ですから、最低でも一カ月近くかけて念入りに調整を施したのでしょう。解除するには最低でも一日は要するかと。」エリザード「だから知らないよそんなの。あの女がどうにかなるって判断したんだろ。」騎士団長「しかし、最近の在らざるモノの事件の急激な増加もありました。この様な事態になるまで放置した最大主教には責任という物があると思いますが?」エリザード「大切なのはこの国の国益だ。最終的にどう転ぶかを見届けるまでは判断できん。」(戴冠式とか見た事ないので詳細は分かりません。というわけで割愛します。)サーシャ「これは……?」オルソラ「どうやら成功したみたいでございますね…」サーシャはカーテナの代用品であるナイフを右手に握っているのだが、そのナイフが異様な光を帯びている五和「まさか本当に成功するなんて……」オルソラ「ええ、私も半信半疑でございました。」五和「いや、オルソラさんが考えたんでしょ」オルソラ「とにかくサーシャさん。今この時だけ、あなたは英国女王と同等であり、天使長ミカエルの力を有しています。ただし、その擬似カーテナは一度しか使えません。」サーシャ「第一の解答ですが、分かっています。さあ、行きましょう!反撃開始です!」ヴェロニカ「さて、そろそろ決着がつきそうですね。予備のために組み込んでおいたコレも必要無かったみたいです。」戦局は完璧に殲滅白書優勢ムウロメツの薬の力を得た殲滅白書のシスター達は、一人で10人分の働きをする。アニェーゼもルチアも、みんな傷だらけで辛うじて生きている様な状態だ。シェリー「エリス!」オルガ「無駄ァー!」(ドゴン!)エリス「ゴオオォォ…」ゴーレムがオルガの一撃で簡単に崩れ去っていくシェリー「クソッ!化け物かアイツは!」ローザ「さて、そろそろ終わらせますか。今まで避け続けた事は素直に賞賛します。まあ、全て無駄に終わりそうですけど。」ルチア「はぁ…はぁ……ッ…!」体中が痛む極太のレーザーみたいなのは運よく一撃も当たっていないが、あの巨大な蛇には何発かテールアタックを食らってしまったもしかしたら、わざと一撃必殺の技を当てないでじわじわと痛めつけていたのかもしれない
アンジェレネ「アニェーゼ!起きて下さい!目を覚ましてください!」アニェーゼ「……」もはや戦える状態では無い生きている事が不思議なくらいボロボロになってしまっているアーニャ「もう終わり?つまらない」巨大な炎の翼を背負い巨大な炎剣を携え喋るたびに口から炎がこぼれるそんな怪物がアンジェレネとアニェーゼの前に迫ってくるアンジェレネ「……絶対に」アンジェレネは、アニェーゼを庇う様に両手を広げ、立ちふさがるアンジェレネ「絶対にアニェーゼを殺させたりはしませんよ!!」足が震える恐怖が全身を駆け巡る敵わないのは分かってるこのままでは自分は確実に死ぬそれでも彼女は逃げようとは思わなかった逃げたところで、このまま生き延びたとこでその先に幸せなど存在しないルチアやアニェーゼ達が居ない世界に幸せなど無い彼女はその幸せを守るために戦うアーニャ「邪魔。」例え彼女の小さな幸せと大きな勇気が、アーニャの振り上げた炎剣の前に簡単に消えてしまうとしてもアーニャの炎剣がアンジェレネの頭上にギロチンの様に振り下ろされる一瞬で灰と化すだろう……と思われたアンジェレネ「ひっ!………あれ?」
アンジェレネの頭上で、その炎剣は止まる熱気でアンジェレネのフードの先が少し焦げ、アンジェレネは頭上の炎剣の圧迫感に思わず腰を抜かしてしまったアーニャ「おかしい……」自分の振るう力に違和感を感じるその違和感を感じていたのはアーニャだけではないヴェロニカ「何かしら……さっきから魔翌力が乱れて……」そして気がついた今もイギリス清教と殲滅白書のシスター達が戦っている戦場その奥に、異様な光が見えるそれはサーシャ・クロイツェフと、右手に握られている謎の武器その武器が異様な光を放っているヴェロニカ「……何よアレ…?」あれは良くないものだ本能でそう感じるしかし、対策が思い浮かばない。なぜなら、あれがどういうものでどの様な影響があるのかを理解できないからであるサーシャ「第一の解答ですが、これで終わりですよ、ヴェロニカ。」カーテナ・イミテーションサーシャはたった一度だけ使える偽物の慈悲の剣を天に翳したカーテナの力は地球という惑星から英国領土を切り離し、その内部を制御管理できるというもの。まさにイギリスを支配する国王に相応しい剣だ(原作参照)しかし、偽物ゆえにその力はカーテナ・セカンドの1割あるかどうかと言ったところだが。それでも、「ムウロメツの薬をヴェロニカの全ての魔翌力ごと根こそぎ打ち消す」くらいは簡単にできるヴェロニカ「なっ!一体どうなってるの!」ヴェロニカの体から魔翌力が光となってあふれ出てくるあふれ出た魔翌力が全て空へと登り、消えて行くまるで光るシャボン玉を見てる様な気分だ……アーニャ「あれ…?」アーニャの手から炎剣が消えた同時に背中の炎も消えるローザ「どういうこと……?」ローザの水の蛇も形を維持できなくなり、崩れたオルガ「力が…抜けてく…」エリス「グオオオオオオ(すごいパーンチ)」オルガ「ビブルチッ!」ドガーン!
ルチア「これは……サーシャ!」アニェーゼ「いたたっ…どうやら……再び私達に勝機が訪れたみたいですね……アンジェレネ?」アンジェレネ「すみません、腰が抜けて立てません……」五和「やった!やりましたよオルソラさん!」オルソラ「ええ!まさに奇跡でございます!」まだ戦争が終わったわけでもないのに二人ははしゃいでいた殲滅白書のシスター達は誰もが負けを確信したそもそも元々の戦力差が違うのだヴェロニカのムウロメツの薬が無ければ勝てない戦いであるどんな時でも、辛い時でも悲しい時でも、例え負けそうになって絶望しても、絶対に上に立つ者はそれを隠さなければならない上司とはそういうものだと高説垂れていたヴェロニカヴェロニカ「あはっ……あははははははははははっ!」サーシャ「どうしました?敗北が確定して気でも狂いましたか?」サーシャは、全ての魔翌力を失い立てなくなってその場に座り込んでいるヴェロニカの前に立ったヴェロニカ「違うわ。素直に満足してるの。まさかここまで私が追いつめられるなんて、今まで無かったもの。」サーシャ「第一の解答ですが、やはり狂ったみたいですね。」ヴェロニカ「そうじゃないって言ってるでしょ?」突然、ヴェロニカの足元に青白い光が溢れだし、その光がヴェロニカを包んでいくサーシャ「……!?」ヴェロニカ「ふふっ、予備のために術式を組んでおいて正解だったわ。まさか、私がムウロメツの薬を破壊された時のための対策を立てていない思ってたのかしら?」サーシャはヴェロニカを殺そうと、カーテナの効力を失ったタダのナイフでヴェロニカの額に切りかかるしかしヴェロニカはそれを避け、ナイフはヴェロニカの修道服に当たった双頭の鷲への攻撃は、自分へ返ってくる強風とかまいたちで切り傷だらけになったサーシャの体が吹き飛んだヴェロニカ「さて、第二ラウンドと行きましょうか」サーシャ「うっ……」ヴェロニカ「ねえサーシャ、スヴェントヴィトって知ってるかしら?」サーシャ「スラヴ神話の…軍神…」ヴェロニカ「そうよ。スヴェントヴィトにも色々と逸話があるけど、私はその中で、戦士達が戦いで得た戦果の一部をスヴェントヴィトに捧げていたエピソードを元に術式を組んだのよ。」サーシャ「……まさか、自分が相手に負わせたダメージの一部を、自分の魔翌力に還元する……?」ヴェロニカ「さすがはあの人の直属の部下ね。でも惜しいわ、その程度ならそこらの三流でも組める術式ね。私の術式は、自分の味方全員が相手に与えたダメージが、ムウロメツの薬を通じて全部そのまま私の魔翌力となるの。」ヴェロニカ「ローザみたいな性癖は無いけど、あなた達の感じた痛みや苦しみ、絶望が全て私の力になるのよ?」要するにこそこそと魔翌力を集めて予備電源みたいなものを貯めていたらしいムウロメツの薬が再起動した殲滅白書のシスター達の目に再び光が宿るどうやらイギリス清教の敗北は確定した様だヴェロニカ「あなたはそこで見てなさい。あなたのせいで死んでいくイギリス清教のシスター達を。」絶望に形があるのなら、きっとこんな感じなのだろうゲルニカというスペイン内戦を題材にしたピカソの絵画がある彼はきっと、こんな光景を見て絵にしたのだろう遠くでルチアが車輪を抱えた右腕ごと光線を受けて、華奢な腕が消失したのが見えた痛そうに苦しみもがいているアニェーゼとアンジェレネがまとめてアーニャの炎で焼き払われるのが見えたきっと死体は原型すらとどめていないだろうほかにも、戦いで敗れ、死んでいく仲間の姿が目に映るもうやめてほしい、戦わないで、死なないでほしいたぶんサーシャがそう懇願しても、イギリス清教の仲間達は止まってはくれないだろう彼女達は仲間のためなら命をかける。かつて、何の関係もない自分達を命懸けで救ってくれた少年の様に。そしてもしもサーシャが彼女達と同じ立場だったら、間違いなく自分も命をかけて仲間のために戦うだろうサーシャは再び立ち上がり、ヴェロニカに立ち向かうしかし、彼女も建宮と同じ様に軽くあしらわれるヴェロニカ「黙って見てなさい。」サーシャ「あぐっ…!」サーシャはうつ伏せの姿勢のままヴェロニカに頭を踏まれ、地面に縫いつけられたサーシャの視線の先には五和が居た海軍用船上槍を構え、オルガと対峙しているシェリーの安否は確認できないが、もうゴーレムは尽きたらしいやめて……勝てるはずがない…五和はオルガに向かって突撃するもうやめてほしい、どうか死なないでほしい五和の槍は簡単にオルガに弾かれた神様、どうか自分の命と引き換えに、五和を助けて下さい、どうか…しかし願いは届かない二人の勝負は早々の決着がついたオルガの棒が五和の胸を貫き、呆気なく五和はそのまま倒れた五和の体から引き抜いた棒には、彼女の鮮血がべっとりとこびり付いているオルガ「あはっ♪サーシャちゃんを串刺しにしたんだらか、当然の報いだよねー?アハハハッ!」その瞬間、サーシャの中で何かが切れたもがき、力づくでヴェロニカの足をどけると、ナイフでヴェロニカの体を切り裂くしかし、当然攻撃は通らず、強風とかまいたちがサーシャを襲うサーシャ「がっ、ぐっ、があああああああああああ!!!」幾つもの裂傷を浴びて吹き飛ばされても、すぐに立ち上がり襲いかかるもはや理性など欠片も無い獰猛な獣の様に牙をむくヴェロニカ「無駄だって言ってるでしょうがッ!!」ヴェロニカは手を翻して風を起こし、サーシャに叩きつけたしかし、サーシャはけして怯まないおそらく腕が捥がれても足が千切れても、ヴェロニカに襲いかかるだろうヴェロニカは上からサーシャを[ピーーー]なと指示を受けているが、このままではサーシャの方が双頭の鷲の加護で自滅しかねないヴェロニカは再び風を叩きつけ、サーシャが地面に転がったところを取り押さえ、首を絞めたそして立ち上がり、サーシャを、首を両手で絞めたままの状態で持ち上げるサーシャ「ぐがっ!あがっ!があああああッ!!」ヴェロニカ「まるで獣みたいね。」サーシャの赤い目の瞳孔が猫の様に細くなっている首を絞められながらも、サーシャはヴェロニカに噛み付こうとしていたヴェロニカ「落ち着きなさい」サーシャ「あがっ!!ぐっ!ああッ!!」ヴェロニカはサーシャの首を絞める力をさらに強くするヴェロニカ「無駄なの?分かる?もうあなたの仲間はみんな死んだの?あなたが戦う意味は無いのよ?」サーシャ「jfhrpl黙jduoa!!!」声にノイズが走るヴェロニカ「もう終わったの。結局あなたの努力は無駄だったのよ?」サーシャ「sbrg;snmtp|hish!」ヴェロニカ「みんなあなたのせいで死んだの」?「nipsergnsigd」ヴェロニカ「だからいい加減に……」?「nthggbvrfl……」そこでおかしな事に気付いた先程から、サーシャの声にノイズが混じっている何かを喋っている様だが、言葉の意味は理解できないそして、先程までの獣のような獰猛さが感じられない
ヴェロニカ「まさか、死んd」その刹那、サーシャの目が鋭く見開かれたヴェロニカ「なッ、ぐあっ!」何が起きたのか分からず、謎の力でヴェロニカはサーシャの前から弾かれる?「Sjhdtdplk起qlhg」ヴェロニカの手から解放されたサーシャはそのまま空中に登って行く突然、彼女の背中から黒い黒曜石の巨大な翼が現出した赤かった目は、月の様に黄色く輝いているヴェロニカ「サー…シャ……?」?「解一、私はサーシャではない。補足、私を示す適切な記号はミーシャ」
ミーシャ「私見一、人間の下らない争いに興味は無い。私見ニ、下らない願いにも興味は無い。しかし私見三、私はこのサーシャ・クロイツェフの体を失うわけにはいかない。」ミーシャ「結論、よってサーシャ・クロイツェフの敵となる者を排除する。」その瞬間、夜空から星が消えたいや、正確には夜空を濃紺色に塗りつぶされたのだ同時に、空一面に複雑な紋様の巨大な光の魔法陣が描かれる
水の象徴、月の守護者にして後方の青を司る神の力、名をガブリエルと言うそれは最期の審判にて終焉のラッパを吹き、死者を蘇らせる大天使それゆえに、神の定めた摂理をも覆す力を行使する事もあるミーシャ「……」ミーシャはその右腕を軽く振るったただそれだけで生と死の理が覆される消滅と再生が逆転するルチア「腕が…治ってる……?」アニェーゼ「あれは…サーシャですよね?」アンジェレネ「私に聞かれても…」五和「サーシャ…ちゃん?サーシャちゃんなのですか!?」ミーシャ「戦え。お前たちには加護がある。」死んだはずの者が一人残らず復活していた傷も全て回復しているミーシャ「戦え、この少女を守りたくば。」アニェーゼ「言われなくとも、百倍返しでやってやりますよ!!!」今度こそ、本当に奇跡と共に形勢は逆転した大天使は神の命令なしに人を傷付けたり殺したりする事はできないミーシャが唯一その掟を破るのは、彼女が正しい位置に還るチャンスがある時のみこの争いに興味が無いと言っていた通り、彼女はこの戦いで直接的に相手を傷付けたり殺したりするつもりは無かったそれゆえに、五和達が復活したのは自分の代わりに戦わせるためであって、慈悲と言う物はそこには無い
ヴェロニカ「あれは…大天使ガブリエルの…そんな……」ヴェロニカの頭に初めて敗北と言う言葉がよぎる。大天使とまともに戦って勝てる可能性が1%でもあるのなら、初めからわざわざ聖人である神裂の居ない時を見計らって襲撃するという作戦など立ててはいない。ローザ「ツモク!どうしたの!」ローザの巨大な水の蛇は、再び崩れ去った水を司るミーシャにその力を奪われたのだルチア「水が使えなければただの人ですよね、あなたも」ローザ「!?」ルチアは魔術を行使せず、ローザの顔にハイキックをお見舞いしたローザ「がはッ!」(ドサッ)一撃で気絶したローザルチア「こんな雑魚に構っている暇はありません!」ルチアは一番苦戦していると思われるアニェーゼの元へ向かった
五和「さっきはよくもやってくれましたね。」オルガ「うわっ、ちょっタイム!」五和「死んだ後ならいくらでもあげますよ?」オルガの棒が弾かれ、体は壁に叩きつけられたオルガ「ま、待って!ねえ待ってってば!」五和の目は本気だ本気で殺しに来ているオルガは尻込みしながら命乞いをする綺麗な顔立ちは恐怖で歪みに歪んでいた五和「さようなら」五和は本気の一撃を当てた。オルガの顔のすぐ隣の壁にだ。海軍用船上槍が壁に深々と突き刺さっている。オルガ「う……ア……」オルガは恐怖のあまり、泡を吹いて気絶してしまった五和「ま、これでチャラって事にしてあげますよ。」五和は槍を引き抜き、アニェーゼの援護に向かったアーニャ「うぐっ…」アニェーゼ「どうしたんですかい?さっきの方が百倍手強かったですよ?」アーニャの魔術は火だそれゆえにローザと同じくミーシャ属性による干渉を受けているため、思う様に力が機能しなかったそれでも脅威である事に変りは無いがルチア「アニェーゼ!アンジェレネ!」五和「アニェーゼさん!」アニェーゼ「ルチア!五和!」五和「アニェーゼさん、こちらは全て片がつきました。ですから」ルチア「あなたはヴェロニカを倒してください。ここは私と五和さんがどうにかします。」アニェーゼ「分かりました。私は優秀な部下を持てて幸せです!」五和「私は部下じゃないですけどね。」アニェーゼはアーニャを二人に任せて正面突破しようとしたアーニャ「逃がさない」アーニャはアニェーゼにむけて灼熱の炎を吐くしかし、ルチアが車輪を投げつけ、アーニャの前で爆発させる攻撃はアーニャの炎で全て防がれてしまったが、それでも車輪の爆発にアーニャの注意が向けられたおかげで炎の軌道を反らす事はできたアーニャ「邪魔…」ルチア「あなたの相手は私達ですよ!」五和「アンジェレネさん!」アンジェレネ「はいっ!」五和「あなたにお願いがあります。私とルチアさんだけでは彼女を倒すことはできないでしょう。」アンジェレネ「でも、私の攻撃も全く通用しませんでしたよ?」五和「大丈夫です、彼女の力は以前よりも落ちています。」アンジェレネ「で、でもでも!」五和「アンジェレネさん!あなたにしかできないんです!ルチアさんも私もあなたを信頼しています!」五和はアンジェレネにとある作戦を簡潔に話したアンジェレネ「……わ、分かりました!」五和「大丈夫!あなたなら絶対にできますよ!」アンジェレネ「頑張ります!」アンジェレネはその場から離脱していった五和「ルチアさん!」ルチア「はい!?うおっ!」ルチアはアニェーゼが投げつけてきた炎の塊を避けながら返事をする五和「アーニャを、寮の近くまで誘導してください!」ルチア「良く分かりませんが、なにか策があるのですね!?」五和「はい!(お願いしますよアンジェレネさん、そしてサーシャちゃん!)」ミーシャ「……?」ルチアは五和の指示通り、アーニャの攻撃を掻い潜り、アーニャを女子寮に近づける様に仕向けた五和「アーニャさーん!あなたの技って大した事ありませんね!!」アーニャ「……?」五和「ぶっちゃけステイルさんの方が100倍凄いですよ?あなたの技って100円ライターよりしょぼくないですか?マッチですかそれ?あ、マッチに失礼でしたね。」アーニャ「……(ビキッ!)」ルチア「あの…五和さん?」五和「悔しかったらあなたの全力を見せて下さいよ!どうせ大した事ないと思いますけど!!」アーニャ「ナメてやがるな、よほど愉快な焼死体になりてぇと見える」在庫一掃セール並みの安い挑発にキレたアーニャは空に向けて炎の剣を高くかざしたすると、突然彼女の背中の翼が膨らみ始めたかざした炎剣も同時にさらに巨大化するそして、巨大な炎剣は球体となり、天にかざしている右手の上で太陽の様に激しく燃えているアーニャの持つ全ての力をこめた必殺の一撃を繰り出そうとしていたルチア「で、五和さん、アレどうするんですか?」五和「……ぶっちゃけヤバいかもしれません」ルチア「おい!」上空のアーニャから巨大な炎の塊が放たれたたぶん逃げても逃げ切れないだろうルチア「オワタ」五和「サーシャちゃん!今です!」ミーシャ「……チッ」同じく上空に浮かぶミーシャの黒曜石の様な巨大な翼が伸びてきて、巨大な炎の塊を簡単にズタズタに潰してしまった五和「サーシャちゃん!やっぱり助けてくれましたね!」ミーシャ「解一、私の名前はミーシャ。」五和「ありがとうございますミーシャちゃん!」ミーシャ「解ニ、別にあなたを助けたわけではない。あとちゃんはやめろ。」ルチア(ガブリエルってツンデレなんですか?)アーニャ「……どういうこと?」はっきり言ってここら一帯が焼け野原になってもおかしく無い様な大魔術なのに、あの上空のミーシャと名乗るサーシャが呆気なく簡単に消してしまった本当はプライドも一緒にズタズタにされた様な気分で落ち込んでいるが、次の攻撃に備えなければならないそう、あれだけの大技を使ったのだから、自分の力が弱っているのだ巨大な羽も小さく萎んでしまっているアーニャ「じゅうでんかいし…」アーニャ再び力を貯め始める今度はあのミーシャごと愉快に素敵に吹き飛ばせる一撃をお見舞いしてやろうとしかし、彼女は気付いていない背後の女子寮の屋上から、弱って力の落ちているアーニャを狙っている人物が居る事を五和「今です!アンジェレネさん!」アンジェレネ「発射ー!!」アンジェレネの羽の生えた硬貨袋から、何枚もの硬貨が弾丸の様なスピードで飛び出てきたアーニャ「!?」前に同じ攻撃をした時は、硬貨がアーニャの炎で溶かされてしまったしかし、今のアーニャは力が弱くなっているガン!ゴン!と何枚もの硬貨がマシンガンの様に上空のアーニャの体に直撃するかなり痛そうだアーニャ「くっ…まけない…」ゴン!最後の硬貨の一枚がアーニャの額に直撃したアーニャ「きゅう~」そのまま上空で気を失い、墜落するアーニャ五和「やりましたね♪」五和は屋上のアンジェレネに大して親指を立てて合図するアンジェレネ「イエ―イ♪やりましたよ!私やりましたよ!」同じく五和に向かって笑顔全開で親指を立てた
アニェーゼ「やっと辿り着きましたよ…」ヴェロニカ「ぐっ……!」どうしてこうなった?戦局は9割方殲滅白書に傾いていたはずもはや勝利は確定していたはずそして何よりも、イギリス清教のシスターは殆どが戦闘不能かあるいは戦死したはずなのに、なぜ生きてる?なぜ形勢が逆転してこちらが負けそうになっている?そしてなぜ、サーシャ・クロイツェフにガブリエルが?ヴェロニカ「ふざけてんじゃないわよ!何なのよこれは!」アニェーゼ「神様が私らに勝利する様に仕向けた。戦争に勝った方が正義なんて考えは気に食わねえですけど、それでもあんたらよりは私らの方が正しいのであり、勝利するのに相応しいと主が判断されたんですよ。」ヴェロニカ「主の御考えを知った様な口で語るとか何様のつもりよ!」アニェーゼ「アニェーゼ・サンクティス様のつもりですよ!!純粋に仲間を助けたいだけの私らが負けるなら、そんな結末を与える神様なんて初めから信仰してねえんですよ!!」蓮の杖に衝撃を与え、エーテルによる見えない攻撃をヴェロニカにぶつけるしかし、双頭の鷲の防御力には及ばず、攻撃はアニェーゼへと還るアニェーゼ「へえ、修道女のくせに良いモン着てますねぇ。どこのブランドですか?」ヴェロニカ「部隊の要なんだから当然でしょ?」アニェーゼ「そうやって自分は安全な場所に立って、危険な事は部下にやらせるんですか。」ヴェロニカ「それが私達の戦術なの。」アニェーゼ「そうですかい。私には性に合わねえですよ!」アニェーゼは再び蓮の杖を振るうが、当然の如く防がれ、逆に強風とかまいたちを浴びせれるヴェロニカ「学習しないわねほんと。」アニェーゼ「なるほど……四大元素を統べるエーテルも防がれるという事は、全ての属性の攻撃に対して強い耐性があるってわけですか。」アニェーゼはかまいたちで付けられた頬の傷から流れる血を軽く拭ったヴェロニカ「当然、打撃斬撃もよ。たぶん核ミサイルも防げるんじゃない?」アニェーゼ「サーシャ!」ミーシャ「解一、サーシャじゃなくてミーシャだから。お前らいい加減名前覚えろよ。」アニェーゼ「私に力を貸してください。」ミーシャ「メンドクセ」ヴェロニカ「大天使は神の命令無しに人を殺せないのよ。一体何をする気かしら?」アニェーゼ「こうするんですよ!」アニェーゼは蓮の杖を振った。すると今までとは違い、青い光の塊が放出され、ヴェロニカに直撃するヴェロニカ「だから、無駄だと言ってるのに。」ヴェロニカは手を翻して風を起こし、アニェーゼめがけて投げつけたアニェーゼはそれを避け、再び同じ様に青い塊をヴェロニカにぶつけたヴェロニカ「一体なにがしたいのかしら……」そこでおかしな点に気付くさっきからアニェーゼの攻撃を受けているはずなのに、攻撃がアニェーゼ還らない本当なら強風とかまいたちがアニェーゼを襲うはずだが、それが無いのだアニェーゼ「くらいやがれってんですよぉ!」ヴェロニカ「うっ……ッ!まさか!?」気付いた時には、ヴェロニカの真っ白な修道服が青く染まっていたアニェーゼ「どうですか?大天使の水の加護は!」アニェーゼの蓮の杖はエーテルを含む火、水、土、風の全ての属性を操る事が出来るそれを利用し、水を司るミーシャことガブリエルの水の加護を、蓮の杖を仲介してぶつけていたのだアニェーゼのぶつけていた青い光の塊は、攻撃ではなく回復魔術と同義であり、当然双頭の鷲はアニェーゼを排除しようとはしないアニェーゼ「大天使レベルの水の加護を受けたあなたの修道服は、水の攻撃に対しては最強の防御力を得ているでしょうね。ですが、その代わり他の属性の攻撃に対しては極端に弱くなっているはずですよ。強すぎる加護というのも考え物ですね。」アニェーゼ「さあ、覚悟は良いですか?万物照応。五大の元素の元の第五。平和と秩序の象徴『司教杖』を展開。偶像の一。神の子と十字架の法則に従い、異なる物と異なる者を接続せよ。」ヴェロニカ「クッ…負けて……たまるものかッ!!」ヴェロニカは周囲に風を起こし、それを手に集めるヴェロニカ「この私が…常勝のヴェロニカ部隊が!負けてたまるものかァァッ!!!」有らん限りの魔翌力を手に、体を引き裂く暴風をアニェーゼに向けて投げつけた自分のプライドにかけて、彼女達の上司としてのプライドにかけて負けるわけにはいかないだが負けられない理由はアニェーゼにもある。たった一カ月そこそこ一緒に生活してきただけの仲間しかし、仲間であるという事に時間や素情など関係無いサーシャは命を懸けるに値する大切な仲間だアニェーゼ「教えてあげますよ。私達が何度でも立ち上がれる理由を、例え無駄だと分かっていても立ち向かえる理由を。この気持ちは、この絆は絶対に幻想なんかじゃないんですから。」アニェーゼは渾身の力で蓮の杖を地面に叩きつけたあまりの力に蓮の杖の方が耐えられずに折れてしまうしかし、その威力は死ぬ事なく、彼女の激情の全てをぶつけるかのようにヴェロニカに向かって飛んでいくアニェーゼ「大切な誰かのために戦う人間はァッ!!!ぜーーーーったいに負けたりしないんですよぉッッ!!!!」水も火も土も風さえも、全ての属性を統べる万物の象徴たるエーテルその本気の一撃は、ヴェロニカの強風を粉々に穿つそして彼女の激情の全てを込めた一撃は、権力と統治の象徴である双頭の鷲の加護なんかでは止められないアニェーゼの攻撃が直撃したヴェロニカは派手に吹き飛び、声を上げる事さえも敵わずに気絶した
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