上条「……んっ…」上条「え……ここは…朝?なんで俺……」上条「……あれ?俺何してたんだっけ?」起き上がる。振り返ると目の前に広がったのは、一つの学校。校門であるここからでも生徒が賑わっているのがわかる。上条「……んあ、やっべ…マジで記憶がねえ。つかあれ!?学校始まっちまう!」上条「ああもう!ここはどこの学校なんだよ!俺んとこの学校はこっからどう行ったらいいんだ!……あ、沙耶」隣で沙耶が寝息を立てている。とは言っても、どこだかの学校の校門に寄りかかって地面に寝ているのだが。上条「ったくよぉ…ああどうすっかなぁ」まいった、とばかりに髪をかく。パキン!!全ての記憶が戻った。上条「あ……」上条「………そっかーー」沙耶の頭にも触れながら、上条は呟く。上条「俺たち、負けたんだ」
あの時ーー泣き崩れる沙耶。直井『なっ!僕の催眠術を破るなんて……!』上条『制服は違うようだがSSSか!?』直井『ふん、あんなグズどもと一緒にされては困るな。僕は生徒会副会長だ』上条『副会長だ?NPCだってのか?』直井『貴様に話す必要はーー』ブツン??『聞こえているか?』上条『校内放送!?しかもボイスチェンジャーまで使ってんのか!』直井『あっ、』途端、嬉しそうな顔をする直井。??『今すぐ、そいつらに学校を出て眠るよう催眠をかけろ』直井『はい!』上条『しまっーー』直井は返事と同時、上条が右手を振り上げるより早く、直井は、上条と沙耶に催眠術をかけた。
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上条「あれが、この学校のNPCの支配者か……」パキンと音がした。だが沙耶はまだ寝ている。疲れているのだろう。上条は沙耶に自分の上着を被せると、学校から離れて道路を歩き始めた。上条「やれやれ、仕切り直しだ……」上条「ーーーーーーー!?」そこにいた人物を見て、上条は言葉を失った。いるはずがない、その人物を見て。
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一方通行「……」スタスタ一方通行「……あン?」スタスタまただ。一方通行は廊下を歩きながら訝しむ。一方通行「…デジャヴか」既視感を感じる。一方通行「それも強ェもンだ……」一方通行「(なンだってンだよ、クソが)」嫌な予感がしてくる。こんな死後の世界で。とてつもない負の雰囲気が立ち込める。美琴「ちょろっとー。いいかしら?」予感は、的中する。一方通行「ーーーー!?」一方通行は、しばらく呼吸すら忘れた。美琴「ねぇ、アンタよアンタ。ボケッと突っ立ってんじゃないわよ」一方通行「………なンでてめェが」振り向きながらの一方通行の言葉を、美琴は遮る。美琴「地獄で会えて嬉しいわよ、一方通行。ねぇ?アンタへの憎しみを永遠にぶつけられるんだからさ」ニコリそこには世界で一番一方通行を憎んでいるであろう少女、御坂美琴がいた。
一方通行「……なンでここに来たン」美琴「なに勝手に喋ろうとしてんのよ。アンタにはぶつくさ文句言う資格なんかないの。お分かり?」一方通行「……」美琴「ほら、アンタ達もそう思うでしょ?」一方通行「…………!」ミサカ00001「何を驚いているのですか?とミサカは一方通行に首を傾げます」ミサカ00001「あ……」ブシュッミサカ00001号の首から血しぶきが弾ける。ぶちゃっ、と音を立ててミサカ00001号の首が吹き飛ぶ。一方通行「あ……アァァアアア…!」一方通行の足元に転がった首。それの眼が、一方通行を向く。そして、口を開く。ミサカ00001「そうでしたね、一方通行。このミサカは貴方に首を切断されて、死んだのでしたね。とミサカは生前の話をします」コツコツと、また足音がする。ミサカ00002「一方通行、このミサカをどう殺したか覚えていますか?とミサカは手首をヒラヒラさせてこちらに注目させます」その、手首が千切れる。ぐちゃ。手袋のように落ちたミサカ00002号の右手。腕の先からは肉と骨の断面図が見える。ぽたぽたと、廊下に血だまりができる。
ミサカ00003「一方通行、このミサカを覚えていますか?とミサカも声をかけます」ミサカ00004「検体番号00003号、ミサカと一緒に殺されましたね。と一瞬で二人同時に殺されたことを思い出します」ミサカ00005「ミサカは顎を砕かれ、脳にまで人差し指を突っ込まれました。グリグリと脳みそをかき混ぜられ、死にました。と告白します」ミサカ00006「ミサカは背中から腕で肉を破られ、心臓を掴み取られました。とミサカはミサカの場合を知らせます」ミサカ00007「ミサカは首の骨を曲げられ、呼吸困難の状態で放置され死にました。とミサカは首元を押さえます」ミサカ00008「ミサカは手術のように腹を裂かれ、腸を取り出されました。そのまま肉を引き裂かれ、背中まで丸い穴を開けられました。とミサカはミサカの最期を語ります」ミサカ00009「ミサカは背骨を砕かれ、地に這いずりました。そこを右脚、左脚、と蟻の脚を毟るように引き抜かれていき、右腕、左腕も取られて達磨状態にされました。それでも中々死ねず、じわじわと肺に圧迫をかけられ、死にました。とミサカは痛みを思い出します」ミサカは、ミサカは、ミサカは、血が、脚が、内臓が、一方通行「あ………あ………」スタスタスタスタミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカは
一方通行「う…………あ……」廊下が、ミサカでミサカでミサカだらけだった。窓も天井もドアも何も関係ない。腕のないミサカが。首の弾け飛んだミサカが。眼をつぶされたミサカが。内臓をぶちまけられたミサカが。脚をもがれたミサカが。死体が肢体が屍体が死体が肢体が屍体が死体が肢体が屍体が死体が肢体が屍体が。美琴「なぁーにうろたえてんのかなー?アンタがこうやって殺したんじゃん!あはははははははははは!」ミサカが嗤う。御坂美琴が嗤う。そして、番外個体「やっほう。偽善者の独善者の自己満足野郎。久しぶり」憎しみの全てを掌握したミサカ、番号個体が狂った嗤い声をあげた。番外個体「あひゃははははははははははははははははははははは!」ミサカ「あはははははははははははははははははははははははは!」美琴「あっはははははははははははははははははははははははは!」視界一面のミサカ。死ねよ殺す死んだよ殺したなお前が貴方が一方通行がてめえが偽善者が独善者が自己満足が偽悪が殺す死ね殺す死ね殺す死ね。呪いの言葉が、一方通行を襲う。そこはまさに、地獄。
番外個体「なに一人だけ満足して死んでんの?あれだけ殺しておいてさ!ぎははっ!で?最期には打ち止めを守り切れてよかったって?バッカじゃねぇの!あっひゃひゃひゃ!ふざけてんじゃねえよ!妹達は満足して死ねますかー?どうですかー?てめえを憎んでるこっちは満足して死ぬことなんてできねえんだよ!なのに自分は戦争で全ての敵を倒して!打ち止めを守り切って!あぁ、よかったなんて笑いながら死んでやがるの!ぎゃははははっ!なんでこの世界に来たのかだって?バグだって?そんな訳ないじゃん!ミサカたちに永遠の地獄で懺悔して一万回以上の痛みを受けて苦しんで苦しんで罰を受けるんだよてめえはさ!そのためにこの世界にやって来たんじゃん!あれだけのことをしておいて、次の世界に走り出す?バッカじゃないの?消えられないよ、一生!一生一緒に永遠に永久にここで苦悩し続けるんだよ、ミサカ達によってさ。ぎゃはははひはははははははははひはははははははは!!」全て、一方通行の胸に響いた。もう、立つ気力もなかった。一方通行は、その場に崩れ落ちる。ドロドロと、血だらけでぐちゃぐちゃのミサカ達が這って来る。害虫のように、吐き気を催すような、体液を撒き散らす虫のように。ぺたぺたと。一方通行の体を這う。反射などできない。できるわけがない。一方通行は、ミサカを攻撃できない。ミサカ「ほら、ミサカの指ですよ」一方通行の口にミサカが指を突っ込んだ。やめろ、と叫びたかった。俺は、そんなことしたくない!と振り払いたかった。ぶちゅっ。繊維がぶちぶちと千切れ、勝手に第二関節が弾けた指が、コロンと一方通行の舌の上に乗る。ミサカ「ほら、指をガムみたいにぐちゃぐちゃと食べたいんですよね?ミサカの指をミサカの指がミサカのミサカのミサカのミサカのミサカのミサカのミサカのミサカのミサカのミサカのミサカのミサカの」一方通行「あ……あぁ……やめろォォおおおおおおおおお!!」一方通行の視界が、暗転した。
一方通行「はっ……!はっ…!」一方通行「はっ……はっ………はっ……!」一方通行「はぁっ!……ひっ…!はっ…!はっ…!」日向「お、おい!一方通行!」一方通行「はっ…!ひっ……はっ…!」日向「落ち着け!お前は今、過呼吸状態になってやがるんだ!落ち着いて!ゆっくり呼吸しろ!」一方通行「はっ…はっ!ひっ…はっ…!」一方通行「はぁっ!……はっ……」一方通行「はっ………はっ………」一方通行「はぁ…………ふゥ…」日向「…落ち着いたか?」一方通行「あ…あァ」見回すと、一方通行は自分の部屋にいた。ベッドの上で、汗だくになっていた。日向「大丈夫か?昨日起こしに来た時もうなされてたが、からかう訳にもいかないから昨日は黙ってたんだが…」一方通行「わりィな……」一方通行「(それで、昨日今日とわざわざ鍵を開けて入って来たのか)」妹達のあれは、夢だった。夢だ。悪夢だ。既視感。デジャヴ。また、その夢を見た。一方通行は、未だにその呪縛から逃れられずにいた。
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上条「…………」上条「……よかった」何が、良かったのか。確かに、守り切れなかったことは悲しかった。でも、好きなんだ。好きな人にくらい、わがまま言ってもいいだろ?上条「……よ、美琴」上条はくしゃくしゃの笑顔で、右手で自分の頭を何度も叩く。けれど、それは幻想ではなくて。美琴「……やっぱり来たのね、アンタは」ニコッ御坂美琴は、優しく愛おしく微笑んだ。嬉しさからか、右手で制服の首元を押さえて。上条「好きだよ……美琴」美琴「なっ…!いきなり何を言ってんのよアンタは!ああ嫌ってわけじゃないけどいきなり過ぎるでしょっ」上条「ははっ。……言えなかった、告白の返事なんだけど…ダメ、かな?」美琴「ダメ…じゃないわよ…」顔を赤らめる御坂美琴が、そこにはいた。
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一方通行「……」スタスタ日向「それにしても昨日は大変だったなぁ」スタスタ一方通行「まァな…」スタスタ奏「…………」クイクイ一方通行「あン…?……オマエか。服掴んでンじゃねェよ」奏「どこ行くの?授業始まるわよ」一方通行「あァ……」日向「うおっ!天使!」奏「……」ジッ日向「あーそのー……逃げるぞ一方通行!」ダッ一方通行「……」奏「……行っちゃった」一方通行「そォだな」奏「…………」ジッ一方通行「………」奏「…………授業、始まっちゃう」一方通行「…………わァーったよ。行けばいいンだろ?生徒会長様よォ」奏「………」コクリ、スタスタ
ゆり「今日の作戦は~」一方通行「ゆり!」ガラッゆり「!今更何よ!」一方通行「俺が悪かった」ゆり「バカ、寂しかった」ダキッガラッ打ち止め「この泥棒猫」ゆり「奥様!?」ーーーーーーーーーーーー一方通行「…はっ……!」一方通行「夢か……」一方通行「(授業中になンてバカな夢見ちまったンだ……)」教師「で~あるからして、ここの活用形の求めかたは~」一方通行「……(あと十分で昼休みか。つってもよォ、天使の奴が受けろってェ言うから来たが……だりィな)」一方通行「(あそこの席のやつなンか漫画読んでやがるし…まァこれもNPCらしい普通の学生生活ってか)」一方通行「……ふァ…」
一方通行「……」ウトウトーーーーーーゆり「一方通行君!新たな敵が現れたわ!」一方通行「なンだとォ!?どこのドイツ人ですかァ?グチャグチャにしてやンよ!」ゆり「あいつらよ!」一方通行「ンなっ!まだ幼くて可憐な幼女達じゃねェか!」ゆり「でも敵なのよ!」一方通行「オーケイゆり、オマエにティーチしてやンよ!せンせーとしてなァ!よォく聞け!いいか?幼女ってのは国の宝なンだよ!居るだけで癒しを与えてくれる、そんな、天使なンだよォ!オマエはそンな天使を敵と見なせンのか?しちゃいけないだろォが!そこンとこちゃンと見極めろやァ!」ゆり「でも、中身40代なのよ彼女達」一方通行「ロリババァなンざ敵だァ!ロリですらねェ!戦争だ!行くぞゆり!」ゆり「ヤダ…カッコいい」ーーーーーー一方通行「…はっ……!」一方通行「なンつー夢だよ…」キンコーンカーンコーン教師「今日はここまで。一方通行、次からはちゃんと授業聞くように」一方通行「はい……」
ーー昼休み一方通行「さて、飯でも食いに行くかァ」ガタガヤガヤ一方通行「あン?」奏「授業中にいつも漫画読んでちゃダメよ」とある男子「へいへい」一方通行「(珍しいな、あいつが自分から男子に話しかけに行くなンて)」キャーキャー一方通行「(廊下で女子がうるせェな……あの男子生徒を見てンのか?)」一方通行「…くっだらねェ」スタスタ一方通行「(モテ男君は漫画読ンでても様になるってか。青春だねェ)」スタスタとある男子「……」ジッとある男子「ふっ……」ニヤリ奏「どうしたの?」とある男子「さて、どうしたのかな。俺も飯買いに行ってくるぜ」ヨイショ奏「……ちゃんと廊下から出て行ってね」とある男子「硬いこと言うなって」ズルズルとある男子「……」ズルズルキャーキャーとある男子「よっと」スタッ購買のおばちゃん「あらまぁ、また窓から降りて来たのかい?」とある男子「おう、おばちゃん。カツサンドとミックスサンド、あとどろり濃厚ピーチ味の紙パックジュースくれ」購買のおばちゃん「はいよ」とある男子「釣りはとっといてくれ」ピンッ購買のおばちゃん「相変わらず金額ぴったりなんだけどね」とある男子「さって、屋上まで登るか……よっと」
ーーーーーーーーーー屋上
とある男子「ふぅ」直井「あ!お待ちしてました」とある男子「よう文人。飯は買ってきたのか?」直井「はい。ご一緒しようと思って」とある男子「そうだな。やっぱ天気の良い日は屋上に限るぜ!」とある男子生徒は、ニカッと笑った。
********************************ーとある墓場ー番外個体「……お姉様」ずらりと、白い墓石が並んでいる。打ち止め「また来てたんだ…ってミサカはミサカは番外個体の心情を察してみる」スタスタ番外個体「……察してるなら、そのまま回れ右して帰りなさいよガキ」打ち止め「むむぅ!ガキじゃないもん!それにミサカはお姉様に花を持って来たんだからってミサカはミサカは憤慨してみる!」番外個体「あーあー、もうっ!ミサカミサカうっさいのよアンタは。どうせ来る前にあいつんとこに寄って来たんでしょうが!」打ち止め「あ、あいつって誰のことなのかなー、ひゅーとミサカはミサカは吹けもしない口笛で誤魔化してみる!」番外個体「誤魔化せてないっての!……ああもうっ、お姉様の前でみっともない姿見させないでよ!あと、あいつよあいつ!自己犠牲で死んだバカ野郎よ!」打ち止め「もう!あの人をバカ野郎と言わないで欲しいかも!あの人は戦争を終わらせてミサカ達を生きられるようにしてくれたんだから!ってミサカはミサカは夫を褒め称えてみる!」番外個体「誰が夫だコラ!……ったく、分かってるわよ。あいつが皆を救ったことなんて、救われたことなんて……誰よりも分かってるっつの」番外個体は、悲しげな表情をする。番外個体「でも…自分が死んでんじゃ意味ないじゃない……他人のために頑張って……それでも自分は報われないなんて……あんまりじゃない」********************************
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーTK「ホォーーーーー!」グルグル一方通行「…………」TK「フーーーーー!」グルグル一方通行「なァにやってンだ?」TK「So…今のオレ~最高にcoolー!」一方通行「意味わかンね。あばよ」スタスタTK「Oh…フーーーーー!」グルグル一方通行「……」スタスタ
ーー三階一方通行「あン?おンがくしつゥ?へェ…」
ーー第一音楽室一方通行「ちわーっす」ガラッ一方通行「誰もいねェな…」スタスタ一方通行「CDでもありゃァ良い暇潰しになンなァ」スタスタ、ガタガタ一方通行「ンー、ねェなァ」ガサゴソ一方通行「オ?またベタな。悲愴があンじゃねェか」スタスタユイ「あ……」ガラッ一方通行「おゥ」
一方通行「どォしたよ」ユイ「い、いえ。先輩こそどうしてここに?」一方通行「物色ゥ」ニヤユイ「っ…」ビクッ一方通行「あ?……おいオマエ、何かあったンか?」ユイ「鋭いですね……ただ昨日、侵入者に乱暴されて脅されただけですよ」一方通行「オマエ、いつも日向と技かけあってンじゃン」ユイ「あれは、ただのおふざけですよ。でも昨夜のは…怖かった」ブルッ一方通行「…………そいつの特徴は?」ユイ「暗くて見えなくて…しかも途中から仮面を付けてたので…男だということしか」一方通行「…………動きは、その、だなァ……動きはプロっぽかったか?」ユイ「はい…伏せられ、拘束されて拳銃を突き付けられました……」ブルッ一方通行「…………」震えるユイを見やる。一方通行「……野郎ォ……あンの三下がァ……!」一方通行は、右手を握り締めた。もう、上条とは呼ばなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーー一方通行「つかよォ、まだ六限があるンだけど」スタスタユイ「まあまあ、授業なんて真面目に受けてもつまらないじゃないですか。それとも先輩は意外と優等生ですか?」スタスタ一方通行「違ェよ。ただ、まァ…いっか」スタスタユイ「そうです気楽に行きましょう!なんでも今本部に集まって会議をしているらしいので、私が先輩を呼んで来いと言われた訳です」スタスタ一方通行「会議で気楽ねェ…」スタスタユイ「お、着きましたね。今合言葉をーー」一方通行「……」スタスタユイ「ちょ、ちょっと先輩!」ギイィィ
ゆり「元に戻す!死んだ世界戦線」藤巻「いい蹴りだったぜ…」ゴゴゴドカーン!藤巻「またかよ!」高松「どうやらまた、野田さんの作った罠がまた壊されたようですね」松下「壊されたというか…ハンマーが校庭まで吹っ飛んでいるな」TK「So crazy」ガラッ一方通行「ちーっす」ゆり「…あーそっかぁ、合言葉知らないから毎回壊されちゃうのね」ユイ「死ぬかと思った……ハンマーが…ユイにゃんの眉間にぶつかる寸前だった……」ゆり「まあいいわ。野田君ならまた暇な時に新しい罠仕掛けといてくれるでしょ」日向「相変わらず人使い荒いなゆりっぺは」ゆり「あ、そうだ一方通行君。なにか良い戦線の名前ないかしら?」一方通行「なンでもいいだろ」ユイ「はいはーい!小悪魔ユイにゃん戦線で!」ピョンピョン日向「アホくさ」ケッユイ「んだとコラァ!」ゲシッ日向「あんだよてめえ!」ガシッ一方通行「(ユイの奴…普通に元気じゃねェか)」
ゆり「うぅーん。やっぱこれで行くしかないのか」一方通行「ンなことより、俺がここに来たのはよォ」ゆり「戦線に入ってくれるんでしょ?」一方通行「その前に、だ。オマエらの目的を確認しておきたい」日向「目的?」藤巻「天使を倒すことじゃねえのか?」大山「その後は?」藤巻「消えないようにダラダラ過ごしてりゃいいだろ」高松「確かに、きちんと一度、確認しておく必要がありますね」キランゆり「そんなの、決まってるじゃない」ゆり「神への反逆。そしてこの世界を手に入れることよ」一方通行「手に入れてどォする」ゆり「それは…」藤巻「やっぱダラダラ過ごすんじゃねえか」椎名「浅はかなり」日向「まぁまぁ!それは手に入れてから考えればいいじゃねえか」松下「それもそうだな。皮算用などしてもしょうがない」
一方通行「……まァいい。なら神への反逆ってのは具体的にどォするンだ?抽象的過ぎていまいちピンと来ねェンだが」日向「それは勿論神の使いである天使をだなぁ」大山「天使をどうするの?」日向「倒すんだよ」大山「そしたら?」日向「そしたらフィナーレが鳴って次ステージに進める!」ゆり「アホかっ!」ビシッ日向「ぐぉっ」日向「んだよぉ。ゆりっぺだってNPCだとかこの世界をゲームにたとえてるじゃねえか」ゆり「この世界がゲームなら、あなたは間違いなくやられ役ね。ええ、たとえそうじゃなくてもあたしが主人公ならあなたを真っ先に倒して「あっ、ごめーん間違って倒しちゃった☆キャピ」って言ってさらに銃乱射してやるわ」日向「ははーん、なら俺がゲームの主人公の場合は、ゆりっぺ!お前を攻略するアダールトゲェムにしてやるぜ!ぐひひ。校舎内で乱れる屈辱的なゆりっぺ様の表情が見られるぜー?」ニヤニヤゆり「くっ、こいつ最低だわ!」大山「日向君は相変わらず外道だね」高松「ええ、それも清々しいほどに」ユイ「軽蔑しまふぎゃっ」ギャッユイ「何するんですか日向先輩!」日向「やかましい!」高松「あ、野田さん。今、日向さんがゆりっぺさんにーー」日向「ギャー!マジで今の嘘!嘘だから落ち着け野田!……っていねえじゃねえか!」ゆり「やーい、ビビってやんのー」日向「くっそう、高松てめえ!」高松「ふっ…」キラン椎名「浅はかなり」
一方通行「……はァ…」大山「あははー、ごめんね一方通行君。僕らはいつもこんな感じなんだ」ユイ「なにせアホの集まりですからねっ」日向「で、あれ?何の話してたんだっけ?」一方通行「……天使を倒してどォなるンだって話だ」高松「確かに、普通に倒すだけじゃ意味がないのかもしれませんね」キランゆり「何か、今までにない刺激を与えてアクションを起こさせるとか…」日向「愛の告白とかどうだ?」ゆり「それはあんたがやったでしょ」日向「そうだっけ?」藤巻「つってもよぉ。あの天使が色恋沙汰でアタフタするとは考えられねえぜ」松下「確かに」一方通行「ン、同意だな」一方通行「あ、そォいやあいつ、自分は天使なんかじゃないって言ってたなァ」日向「それなら俺も言われたな」藤巻「けっ、とぼけてやがるんだよ」大山「そうなのかなぁ」ゆり「さあね、そこら辺のこともこれから調べないとね」
一方通行「大体よォ、なンであいつが天使なンだ?」日向「?」一方通行「まず、天使だと言う根拠は?」ゆり「超常の力を使うことよ」一方通行「俺だって使える。あの三下共だってそォだったろ?」ゆり「確かに。でも一方通行君たちは学園都市で超能力開発を受けている。だからこの世界で使える。何故、死後の世界で使えるのかは、ここが満足を与えて消えさせる世界だからよ。例えば、歩けないでいた者はこの世界で普通に歩ける。声を失い歌えなくなった者は、この世界で歌い続けられた。だから、超能力者は自分の体の一部とも言える能力を行使できる。でも、天使はそうとは思えない」一方通行「なンでだ?アイツだって学園都市の者かも知れねェだろォが」ゆり「これは、二つ目の天使と呼ぶ根拠なんだけど。天使は、生徒会長としてこの世界の秩序を守り、やって来た人を生徒会長という立場から導いている。そしてなによりーー」ゆり「ーー天使は普通に学園生活をしても、消えていない」一方通行「なァるほど。確かにそう結論付けるのも頷ける」一方通行「だが、俺はどォだ?天使と同じように、力を持っている。そして、天使と同じように、学園生活をしても消えない。いや、まだ消えていない、だなァ。実際、学園生活をして消えるのは満足したからだろォ?初めから満足して来た俺が消えると思えるか?」ゆり「それは……確かに」一方通行「つまり、俺と同じってだけかも知れねェンだ。あまり喋らない、無表情という個性だって俺ら人間らしさとも言えンだろ?」高松「そう考えるのは貴方が天使をあまり知らないから。なのでは?事実、天使とどれ程対面しましたか?」
一方通行「ごく僅かだな。だがまァ、俺の考えが正しいかどォかなンざ分からねェ。あくまで一つの可能性として言ったまでだ」一方通行「俺ァよく検証もせずに天使だのと決め付けたくねェだけだ」一方通行「パソコンで能力を作り出すなンてどォも考えられねェ。ンな事が出来ンなら、この世界の人間はコンピューター制御されてるって事になる」ゆり「まだパソコンで能力を開発したと断言した訳じゃないわ。あくまで、それも可能性の話。天使の部屋にはパソコンがあって、もしかしたらそこに秘密があるのでは?と考えての推測よ。一方通行君の推測と同じようにね。ただまぁ、その推測が外れれば天使は神から力を与えられていることになる」一方通行「だが待て。なンでも神からと考えるな。いいか?全ての事象にはまず人間が絡んでいると考えろ。あの三下共だって、NPCの管理人がどォとか言ってたろ?大体、オマエらが土から武器を作り出した事だって神話になぞらえてやがる。土から作り出せても、そこに命を吹き込めるのは神だけだってなァ。そォして土人形に命が吹き込まれ、人間が生まれた。オマエらの武器製造だって神秘的な現象だと言えンだよ。天使が翼生やそォがどうしたってンだ。見た目や先入観に騙されンな」大山「翼はないけどね」ゆり「……つまり、どうするべきだと?」一方通行「無闇に戦うな。他のコンタクトを取って探ってみろってことだ」ゆり「まぁ、いいけど」一方通行「トルネードだって二日連続でやったンだ。備蓄に問題はねェだろ?」ゆり「ボーカルが変わって量が減ったけど、まぁ許容範囲内ね」ユイ「うええっ!?あたしのせいですか?岩沢さんから変わったせいでガルデモの人気が落ちたと!?」一方通行「だろォな。俺も岩沢のほォが上手いと感じる」ユイ「先輩まで!?先輩は何だかんだ言ってあたしの味方だと思ってたのに!このウサギ野郎!ーーがはっ!…うそうそ冗談ですギブギブ苦しい!」
ーーーーーー日向「それで、直接話して来ることになったわけだが」ゆり「そろそろ授業も終わる頃だし、ちょうどいいわね」一方通行「……ここだ」日向「つか何でこの三人?」ゆり「戦いに来たと思われないようによ」一方通行「行くぞォ」ガラッガヤガヤNPC1「これからどうする?」NPC2「部活だっての。先輩がもうちょーやる気入っててさぁ。練習キツイんだわ」NPC1「やっぱバスケ部は大変だなぁ。ーーおい棗!お前は?」NPC3(とある男子)「俺はそうだなぁ…文人んとこに遊びに行こうかな」NPC4「棗君て副会長と仲いいよね~」NPC5「ホントホント!あのしかめ面で厳しい副会長が、棗君と一緒にいる時だけ笑顔でビックリしちゃう」NPC3(とある男子)「ははっ、あいつも色々気難しいからな。ーーま、その内他のやつにも心を開くさ」スタッNPC3(とある男子)「んじゃなー」NPCら「おー」「じゃあねー」「また明日」ゆり「天使いないわねー」キョロキョロ日向「便所じゃね?」NPC3(とある男子)「……」スタスタ一方通行「……」クイッNPC3(とある男子)「おっと、悪いな避けてもらって」スタスタ一方通行「ン…」ーー廊下NPC3(とある男子)「……」ニヤリ
ゆり「天使どこにいるかNPCに聞く?」日向「名前知らないだろ」ゆり「生徒会長でいいでしょ」ガヤガヤゆり「ねえ!誰か生徒会長どこに行ったか知らない?」シーンNPC1「おい、アイツらって」ボソボソNPC2「授業サボってガタガタ騒いでるやつらだろ。マジ迷惑な連中だよ」ボソボソNPC4「ていうか何で生徒会長探してるの?仲悪くない?」ボソボソNPC5「あんまり係わり合いたくないよねー、どっか行ってくれないかしら」ボソボソ日向「うぅーん…驚くべき人気の無さ」一方通行「オマエら今までどンな事してきてンだよ…」ゆり「……ま、相手はNPCだしね。生徒会室に向かってみましょう」クルッ日向「お、おい。待てよ」一方通行「…そォだな」一方通行「(NPC、か…あの中にも俺ら人間が入り混じっているらしいが)」
ーー同時刻、校長室ーー
ガラッ野田「早まるな!ゆりっぺ!」藤巻「…馬鹿が来た」高松「何故ハルバートを振り回しているのでしょうか?」大山「野田君はシチュエーションを重要視するからね」野田「ぬぅっ!ゆりっぺはどこだ!?」大山「見事にタイミングを外してるけど」藤巻「お前、結構笑顔でキツイ事言うよな」
ーーーーーーーーーーーーーー生徒会室
ガラッゆり「おっじゃましまーす」奏「!」直井「なっ!?」NPC3(とある男子)「へぇ」ニヤリ一方通行「……」直井「貴様ら!どうしてここに!」NPC3(棗)「まぁ落ち着けよ文人。ーーあんたらも、とりあえず座れよ」棗恭介「俺は棗恭介ってんだ。ようこそーー招かざる客達」
ゆり「棗…?何者かしら?」恭介「ただの一生徒だよ」ゆり「あっそう。じゃあ用はないわ。そこの副会長と一緒に席を外してくれる」直井「貴様!僕だけでなく棗さんにまでなんて事を!万死に値する!」恭介「まぁまぁ。それと俺の
ゆり「棗…?何者かしら?」恭介「ただの一生徒だよ」ゆり「あっそう。じゃあ用はないわ。そこの副会長と一緒に席を外してくれる」直井「貴様!僕だけでなく棗さんにまでなんて事を!万死に値する!」恭介「まぁまぁ。それと俺のことは恭介でいいって言っているだろ」直井「勿体無きお言葉です」奏「武士みたいね」恭介「ははっ、確かにな。文人は可愛らしい部下みたいだ。ーーま、部下じゃなくて仲間だけどな」一方通行「オマエ…」恭介「気にするな。いいだろう、しばらく席を外してやろうじゃないか」ガタッ直井「……恭介さんがそう言うなら従います。おい貴様ら、変な真似をするなよ」スタスタ恭介「…あ、そうだ。立華、何かあったら俺を呼べよ」スタスタ奏「わかったわ」ゆり「……」
ゆり「単刀直入に訊くわ。あなた、天使なの?」奏「?…あたしは天使なんかじゃないわ」一方通行「ほれ見ろ」ゆり「うぐっ…まだわからないわ。自覚がないだけかもしれないじゃない」日向「確かになぁ」一方通行「ったく……ンじゃ訊いてやるぞ。オマエの名前はなンだ?」奏「あたし?立華」一方通行「下は?」奏「ひらがなみっつで、かなで」一方通行「ハイ、記憶喪失のパターンは消えました、と」一方通行「続けていくぞォ」奏「…」コクリ一方通行「どォしてこの世界に来た?どンな死に方をした?」奏「……話さなきゃダメ?」一方通行「嫌なら話さなくてもいい。ただ話せばもうドンパチ銃撃戦なンざしなくて済むかも知れねェ」奏「…わかったわ。話す」奏で話した。心臓をもらったこと。とても感謝していたこと。その後に死んでしまったこと。ありがとう、と言えなかった心残りのこと。ゆり「……」日向「……」一方通行「……そォか。ありがとな、話してくれて」ゆり「…で、でも待ってよ!一方通行君みたいなバグでもなく、心残りがあってこの世界に来たのになんで…!なんで学生生活をしていて消えないの!?」奏「わからない…」ゆり「あと、あの力はなに!?やっぱりパソコンで開発してたの!?」
奏「なんで知っているの…?」ゆり「うっ」奏「そうよ。パソコンでこのプログラムを作ったの」ゆり「となると、あたし達が銃を生み出したのと変わらないわけか…」日向「これで、天使だっていう疑いは晴れたな」一方通行「もう構う必要はねェだろ?」ゆり「そうね…。今まで悪かったわね、立華さん」ガラッ廊下ーーゆり「結局、神なんていないんだ。なーんて言われた感じね」日向「消えていく為だけに存在してるのか、やっぱり」一方通行「どォかな。三下共があれだけ躍起になるンだ。天使はいなくても神はいるかも知れねェぞ」ゆり「それもそうかもーー」藤巻「ゆりっぺ!大変だ!武器庫が焼き払われてやがる!」日向「何だって!?」ゆり「…!今すぐ向かいましょ!」ダッ一方通行「(戦争の常套手段だなァ…チッ、三下共の仕業だな)」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー上条「あぁ、本当によかった」上条は美琴を抱きしめ、そう呟いた。美琴「そうね。こうして二人でまた出会えたんだもの」上条「あぁーー」上条「これで心置きなく神を殺せるな」上条は、ニヤリと笑みを浮かべた。抱き合う美琴にはその笑みは見えない。しかし、低く冷たいその声は聞こえた。美琴「え…?」上条「なぁ美琴」美琴を離し、上条は美琴の目を見て言う。上条「神様は許しちゃいけないんだ」美琴「あっ……!だ、ダメよ!二人一緒になれたんでしょ!?もうこれ以上何もいらないじゃない!これからは、私たちは、後は…」上条「満足して消える、か?」美琴「っ!?」ビクッ上条「美琴はそうしたいのか。でもーーそれは叶えてあげられないな」上条「なぁーー美琴?」ニコリーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガラッ恭介「よう、どうだった?」奏「仲直りしたわ」恭介「な、仲直り?そうか、良かったな」直井「会長は天然ですね…」直井「それより、話を進めましょう。昨日の侵入者のことなんですが…」恭介「あいつらか…」直井「知り合いですか?」恭介「あの金髪碧眼の女は知っているな」恭介「恐らく、目的は俺と似ている」直井「そうなんですか」恭介「だがーーNPCを人間と見れなくなったらダメだ。あいつらは、道を間違い続けることになるだろうな」直井「……僕が、そうだったようにですか?」恭介「そうだな。だが、お前はもう大丈夫だぜ?」ニカッーーーーーーーーーーーーーーーー恭介「まぁもっとも、神になるのは俺だがな」ーーーーーーーーーーーーーーーー上条「俺が神を殺して、沙耶を神にするーー」ーーーーーーーーーーーーーーーーゆり「(神に抗って、この世界を手に入れるーー)」ーーーーーーーーーーーーーーーー第1話「Departure」END
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