―――ロンドン、日本人街、とあるアパートの共同台所五和「あッ、佐天さん、おはようございます」佐天が共同台所を覗くと、そこでは五和が朝食の準備をしていた。まだここでの生活に慣れていないものの、朝食の準備は彼女の日課らしい。佐天「おはようございます。何か手伝いましょうか?」五和「そうですね。じゃあ食器をテーブルに運んでもらっても大丈夫ですか?」佐天「了解です!」ビシッ五和「フフ、じゃあお願いします」佐天「それじゃあ、よっと……」「おッ、佐天嬢、今日は早起きなのよな。それに朝食の準備の手伝いとは、感心感心」佐天「おはようございます、建宮さん」クワガタのような髪型をしてだぼついたシャツとジーンズの男、建宮が台所に顔を出した。佐天は建宮が『天草式十字凄教』と呼ばれる一団の教皇代理だとここに来たときに聞かされたが、一体何が教皇『代理』なのか未だによく分かっていない。とりあえずリーダーなんだろうなということで納得している。
五和「建宮さんも佐天さんに感心ばかりしてないで、少しは手伝ってくれませんか?」建宮「『男子厨房に入るべからず』ってな。男の戦場は家の外にあるものなのよ」佐天「でもうちのお父さんは日曜日なんかはよく料理作ってくれましたよ」五和「それに私は外でも戦ってますけど」建宮「建宮さんってば、古い日本男児だから、うんうん……」佐天五和「…………」「あれ、どうしたんすか? 朝から白々しい空気が漂ってますけど」そこにやって来た小柄な少年、香焼はその場に流れるアレな空気を敏感に感じ取っていた。佐天「香焼君、おはようー」建宮「おお香焼。なに、ちょっとばかし“男”とは何か、二人に語ってたところなのよ」香焼「そうなんすか。 自分はてっきり教皇代理がまた空気読めない感じの発言したのかと思ったすよ」
建宮「あ、あれ? どうしたのよ香焼君!? そんなキャラだったっけ? 原作にあんまり出てないからって、設定の改変は―――」香焼「あ、自分も手伝います」佐天「お、感心だねぇ、香焼君」五和「それじゃあこっちをお願い」香焼「了解っす」香焼は佐天と一緒に朝食の準備を手伝い始めた。それを見つめる建宮は、完全にこの場の流れに取り残されていた。建宮「そしてこの疎外感……。し、仕方ないから建宮さんもお手伝いを―――」五和「準備できたので、頂きましょうか」項垂れる建宮。しかし誰もその様子に突っ込もうとしない。佐天もここでの生活に必要なこの辺の『ノリ』に順応し始めていた。佐天「他の皆さんはどうしたんですか?」五和「牛深さんは任務で外に出てます。対馬さんは、この時間はまだ寝てますね。 そう言えば佐天さん、今日から魔術の勉強が始まるんでしたよね?」
佐天「はい。だから何だから朝からソワソワしちゃって」建宮「早起きだったのはそういう訳か。感心して損しちまったのよな」佐天「でも魔術の勉強ってどんなことするんですかね?」五和「詳しくは聞いていないんですか?」佐天「そうなんですよ。ステイル君に『覚悟しておくんだね』って脅されただけで。 皆さんはどうやって魔術を覚えたんですか?」五和「魔術を覚えたとき? うーん、どうでしたっけ……」香焼「そう言えば自分もよく思い出せないっす。いつの間にか使えるようになってたような………」佐天「えーッ、そんなテキトーな感じなんですか?」建宮「天草式は魔術を生活の中に溶け込ませる性質上、日常的な行動と魔術の境目が曖昧なのよ。 だから格式張った魔術の修行みたいなものがあまり存在しないのよな。 佐天嬢だって、いつ箸が使えるようになったとか、そういう日常動作については覚えてないよな? それとおんなじってことよ」佐天「へー、じゃああたしもそういう風に魔術を覚えていくのかな?」建宮「いやいや、これは天草式十字凄教っていう流派に限ったことであって たぶん他は違うと思うのよ。むしろ『格式張った魔術の修行』って感じなんじゃないの? しかも魔術を教えるのが、奴さんだしな」佐天「うぅ……」そう言われて、佐天は頭を抱えた。本格的に魔術の勉強が始まると聞いてから、くすぶり続ける不安材料があったのだ。五和「ステイルさん、すごく厳しそうですよね……」佐天「薄々感じてたことをズバッと言われた……!」何かにつけて刺のある言葉を吐くステイルのことだ。教える側になった途端、物腰が柔らかくなるとは到底思えない。香焼「でもステイルさんって何気にすごい魔術師すよね。 『必要悪の教会』の戦闘要員の中では、かなり上位クラスじゃないすか? さすがに女教皇には負けると思いますけど」五和「あれ? でもステイルさんって魔導師ではないですよね?」建宮「今回はたぶん特別ってことなのよな。 さすがのステイルも、弟子を取るほど完成された魔術師でもないのよ」佐天「魔導師?」
建宮「魔術を使うのが『魔術師』。弟子を取ってその魔術を教えるのが『魔導師』。 あと魔導書を所有している者って意味も含んでるか。 まあ魔術の先生ってことよな。 ステイルはあの歳でルーン文字の全解析と新たな文字の創出を成し遂げた『天才』かも知れんが 弟子を取るとなると、自分の魔術を完成された一つの体系として纏め上げなけりゃならんのよ。 そういう意味ではまだまだ経験不足よな」香焼「教皇代理も、そんな的確な分析ができるんすね。どうしたんすか?」建宮「そりゃあ教皇代理だからに決まってるのよ!? ホントにどうしたのよ香焼君!! もちろんそれはボケで言ってるのよな!?」香焼「すいません、醤油取ってももらっていいすか?」佐天「はーい」建宮の言葉を軽くスルーして、香焼は佐天から醤油を受け取った。他の二人も建宮の言葉に反応しないところが何だが哀しみを誘う。建宮「何この扱い!? クソッ、香焼!! お前もそんなのほほんとしてていいのか? ぶっちゃけステイルとお前ってそんなに歳変わらないのよ! 魔術でも身長でも完膚なきまでに敗北してるのよ!!」香焼「なッ!? 魔術のことはともかく、身長のことはいいじゃないすか!! 自分には自分の成長の時期ってもんがあるんすよ!!」五和「魔術はともかくなの?」
建宮「はんッ!! そんなまったく需要のないショタ要素を満たしてどうするっていうのよ! そんなんだから何時まで経ってもモブキャラ+αくらい存在感しかないのよ! 『けいおん!』で言えば、2期の第7話で出てきた澪ちゃんファンクラブの子くらいよな!!」香焼「えーッ!? 自分はもう、純ちゃんくらいの立ち位置だと思ってたすけど」建宮「それもう準レギュラーキャラじゃねぇか!? なんでそんな自己評価高いのよ!! 建宮さんだってまだ、さわ子先生くらいのポジションだというのに!!」香焼「そっちもレギュラーキャラじゃないすか!? 教皇代理なんて精々ギー太くらいの存在感すよ!!」「はぁ!? 何言ってんのよ香焼ッ!! どういうつもりだ、コラッ!!」「教皇代理なんて、唯ちゃんのそばにずっといるだけで、存在感の薄いキャラってことっすよッ!!」「何だとッ!! ……あれ? それはけっこうよくね?」二人が存在感を巡る熱い(?)議論を交わしていると、スラリと背の高い女性が台所に姿を見せた。金髪の似合う綺麗な女性なのだが、その髪も今はボサボサでその片鱗はどこにもない。五和「あッ、対馬さん、おはようございます」対馬「うん……おはよー……」ボケッー香焼「相変わらず対馬先輩朝弱いっすね」
対馬「低血圧なんだらからしょうがないで、ふぁぁぁ……。 ああ、えーと、さ、さ、さ……」佐天「佐天です、佐天涙子です」対馬「うんうん……覚えてた覚えてた。佐々木ちゃんもおはよー……」佐天「いやだから佐天です。ていうか、そろそろ行かないと!」壁に掛かっている時計は、約束の時間の四十分前を指している。時間的にはまだ余裕があるものの、慣れていない土地なので少し早めに出る必要がある。佐天は残りの味噌汁を一気に喉に流し込んだ。五和「佐天さん、頑張ってくださいね!」建宮「頑張ってくるのよー」香焼「道に迷わないように気をつけたほうがいいっすよ」対馬「いってら、ふぁぁぁ……」佐天「はい、それじゃあ行ってきます!」
―――『必要悪の教会』関連施設、とある図書館佐天「し、失礼しまーす……」指定された部屋のドアを開けて、佐天は恐る恐る部屋の中に入った。「いらっしゃいませ、佐天さん」佐天「あれ? なんでオルソラさんがここに?」そこにはこの前女子寮で会ったおっとりしたシスター、オルソラが待っていた。オルソラ「あら? お聞きになっていないのでございますか? 佐天さんの魔術の勉強に関しては、何人かで分担して行うことになっているのでございますよ」佐天「まったくの初耳ですよ」オルソラ「あらあら。もしかしたらステイルさんなりの心憎いサプライズなのかも知れませんね」佐天「何ですか、その微妙なサプライズ……」オルソラ「ステイルさんも忙しい身の上でございますからね。 ステイルさんも私も他の方も、仕事の都合上、毎回お教えできるとは限りません。 佐天さんにはご迷惑をお掛けしますが、このような形式になってしまったのでございます」佐天「い、いえ、教えてもらえるだけでも、十分ありがたいですよ!」オルソラ「フフフッ、佐天さんは優秀な生徒さんのようでございますね。 それでは改めましてよろしくお願いします、佐天涙子さん」佐天「はい、よろしくお願いします」そう言って二人はお互いに頭を下げた。オルソラ「では私がお教えする内容でございますが、十字教の基本的な『教え』でございます」佐天「基本的な教え、ですか?」オルソラ「はい、つまり、この聖書を学んでいくのでございますよ。 言わばこれが私の授業の教科書でございます」オルソラが佐天の目の前に差し出したそれは、慣れ親しんだ学校の教科書とは明らかに異なっていた。一応日本語で書かれているようだが、読めと言われてスラスラ読める自信はない。佐天「うぅ……何か難しそうですね。しかも分厚い」佐天はその聖書を手に取ってみる。ズッシリとした重みが手に伝わった。オルソラ「そのようなことはございませんよ。 聖書に書かれていることをすべて覚え、理解することは確かに容易ではございませんが 少しずつ学んでいけば問題ないのでございますよ」
佐天「そういうものですか。ああそうだ、一つ、気になってたことがあるんですけど」オルソラ「何でございましょう?」佐天「えっと、あたし、十字教徒じゃないんですけど、聖書を学ぶ資格とか、あるんでしょうか?」オルソラ「ということは佐天さんは、仏教でございましょうか?」佐天「はい、たぶん。うちってそんな宗教とか熱心じゃなくて、仏教のほうもよく分からないんです」佐天は首を傾げて、学園都市を出る前まで住んでいた実家のことを思い出してみた。親戚の葬式に行ったときはお坊さんが来ていたはずだが、宗派はなんだったかと言われても全く分からない。オルソラ「はい、それでも問題はございませんよ。お教えするのはあくまで十字教の教え。 信仰心まで押し付ける気はございません」佐天「うーん……あんまり違いが分からないんですけど……」佐天はさらに首を傾げる。オルソラ「フフフッ、今はよく分からないものかも知れません。 しかしそのうち分かるようになるのでございますよ。 それでは今日は神の子の生い立ちと足跡についてを学んでいくことにいたしましょう」
………………………………
………………
………オルソラ「はい、今日はこの辺で終わりでございます。 お疲れ様でございました」佐天「お疲れ様ですー」佐天はそのままぐでーと机に突っ伏した。オルソラ「本当にお疲れのご様子でございますね。少し難しかったでしょうか?」佐天「いえ、むしろすごく分り易かったです。 だから沢山の情報が頭に入ってきて、それで今頭の中が『ウワァー』って感じです」オルソラ「『ウワァー』でございますか?」佐天「はい、『ウワァー』です!」そう言って佐天は両手を高らかに天に突き上げた。文化の壁を超えるためのボディランゲージである。オルソラ「『ウワァー』はよく分かりませんが、やはり佐天さんは優秀な生徒さんでございますね」佐天「オルソラさんってすっごい教えるのが上手ですよね。 あ、こんなこと言ったら失礼ですよね」オルソラ「いえ、お褒めいただき光栄でございます。 私は長い間様々な土地で布教活動をしておりましたので きっとそのお陰なのでございますよ」佐天「布教って電車の中で三人掛かりで猛烈に話しかけたり 英会話サークルだと思ったら宗教団体だったというやつですか?」オルソラ「恐ろしいくらい偏った知識でございますね。誰の体験談なのでございますか? というよりも、やはり日本の方は少し宗教というものに対して抵抗があるのでございますね」佐天「うーん、そうかも知れませんね。特にあたしの場合は学園都市から来ましたから」オルソラ「確かに『神』という目に見えない存在を信仰するというのは 科学側の人達からすれば愚かに思えるのでございましょうね。 しかしどちらも人々が積み重ねてきた知識という意味では同じ。 今日お教えしたことも『神』という存在を通して生きた人々の知恵や歴史なのでございますよ」
佐天「…………」オルソラ「やはり少し難しかったのでございますか?」佐天「いえ、そうじゃなくて、あたしって そういうことなんにも知らないでここに来ちゃったんだなあと思って。 もうちょっと勉強してくれば良かったです」もちろん学園都市を出るときに決意や覚悟がなかったわけでない。しかし魔術を学ぶために、もっと自分でもできることがあったのでないだろうか?それが小さな後悔となって、佐天の心を掠めた。オルソラ「それも含めて少しずつ学んでいけば良いのでございますよ」佐天「うぅ……頑張ります!」オルソラ「その意気でございます。それでは本日は私はこの辺で。 この後次の方でいらっしゃるので、その方がまた色々教えてくれるのでございますよ」佐天「次の方?」
ルチア「先日お会いしましたね。ルチアと申します。 元は『ローマ正教』に所属しておりましたが、現在は『イギリス清教』の一員です。 私はシスター・オルソラに比べて、人に物を教えた経験が多くはありません。 不束者ですがよろしくお願いします」佐天「よ、よろしくお願いしますッ!」佐天の目の前に立っているのは、オルソラと同じく、先日女子寮で会ったルチアだった。しかしさっきのオルソラを見たときのような安堵は、そこにはない。むしろ少し嫌な予感がする。佐天(ルチアさんか……。この前会った時何か怖そうだったし、大丈夫かな)ルチア「私が教えるのは『言語』です。まずは、そうですね……」ドンッ!とルチアが机の上に置いたのは、かなり使い込んだ感のある本だった。先程オルソラからもらった聖書よりもさらに分厚い。ルチア「このラテン語訳の旧約聖書を読むところから始めることにします。 ラテン語は現在では口語として学ぶ価値はあまりありませんが 魔術分野は元より、多くの分野で存在感を持ち続けている言語です。 ラテン語訳の参考として、このイタリア語訳版を使ってください」さらにその横にドンッ!と置かれた本は、ラテン語版と同じくらいに分厚かった。
ルチアは一気にまくし立てた。もちろん佐天にとってそれらは全部まとめて“知らない言葉”であり、ヘブライ語にいたっては「えッ? そんな言葉あるの?」という状況である。佐天「日本語だけですぅ……」ルチア「はぁぁぁ!? 本当に日本語しかできないのですか!? 一体貴女は何のために遥々ロンドンまでやって来たのですか!!」佐天「すいません……」涙目になる佐天。嫌な予感は見事的中した。ルチア「まったく、呆れて物も言えません。 学園都市という場所は、神の教えに背くような研究をしているばかりではなく 他国の文化まで蔑ろにしているのですか?」佐天「ホントにすいません……。でも日本の中学生が英語を喋れないのは日 本全国どこでもそうだと思うんですけど」ルチア「日本全土が我々を馬鹿にしているのですか!?」佐天「そ、そういうことは偉い人に言ってください!!」話題が違う方向にスライドしていきそうな雰囲気の中、部屋のドアが開いた。アンジェレネ「どうしたんですか、シスター・ルチア? 何か叫んでいたみたいですけど」ルチア「シスター・アンジェレネ! 聞いてください!! やはり日本などという国は異教の蛮族の地です!! 今すぐ『ローマ正教』に戻り、対学園都市の戦列に加わるべきです!!」佐天「えぇ!? そんな話じゃなかったですよね!? あたしが英語できないって話ですよ!!」アンジェレネ「えッ? 英語できないんですか?」小さく可愛らしいシスター、アンジェレネが若干引き気味で佐天に尋ねた。佐天「そ、そうです……」佐天(そう言えばこの子もあたしと同じくらいか、少し下くらいの歳なのに日本語話してるもんね。 やっぱり学園都市でもっと色々と勉強しておけば良かったよぉ……)アンジェレネ「この国際社会で、母国語しかできないっていうのはちょっと問題があると思いますよ。 少なくとも三ヶ国語くらいはできるようにならないと」佐天「はい……」
ルチア「そうです! シスター・アンジェレネ、もっと言ってあげてください!」アンジェレネ「私だってヨーロッパの言語は元より、日本語だって喋れるんですからね。 まあラテン語はよく分かってないですけど」ルチア「えッ!?」佐天「ん?」アンジェレネ「あッ!」再び部屋の空気が凍り付く。しかし今回はさっきよりもさらに冷たい。さっきのが零度の氷だとすると、今度はマイナス二〇〇度の液体窒素くらいに。ルチア「シスター・アンジェレネ!! 今何と!?」アンジェレネ「い、いやシスター・ルチア! よく分かってないって言っても 時々分からない単語とかがあるくらいで、ほとんどは分かってますよ!!」ルチア「ラテン語が読めない魔術師なんて前代未聞ですよ!? 普通有り得ませんよ、そんなこと!!」アンジェレネ「そ、そんな訳ないじゃないですか! ホントです、ホントですってば!!」ルチア「では私が魔術として使っている聖カテリナの『車輪伝説』について説明してください。 魔術を学び初めた頃、一緒にラテン語の専門書で読みましたよね?」アンジェレネ「え、えーと、確かうっかり坂の上で聖カテリナが車輪を落としてしまって それが八百屋に突っ込んで大惨事という……」ルチア「どんな愉快な出来事なんですか!? それはもう『伝説』じゃなくて『町内事件簿』ですよ!! それよりもシスター・アンジェレネは 私の魔術の元がそんな下らない事件だと思っていたのですか!!」アンジェレネ「車輪の破片が飛び散るのが、八百屋の野菜が吹き飛ぶのを模しているのかと」ルチア「それだったら私は車輪ではなく野菜を使いますッ!!」怒り狂うルチアと、必死に取り繕うアンジェレネを、佐天は呆然と見つめた。佐天(あたしにも分かる……。この子、駄目だ……!)
ルチア「もう分かりました!! シスター・アンジェレネ!! 貴女もこれから佐天さんと一緒に私の授業を受けてもらいます!」アンジェレネ「えーッ!? お菓子を食べる時間がぁ」ルチア「そんな時間は元よりありません!! 佐天さんは英語、シスター・アンジェレネはラテン語です!! 返事はッ!!」佐天 「は、はいッ!!」アンジェレネ「は、はいッ!!」ルチア「ではまずは―――」佐天(うぅ……大変なことになりそう)アンジェレネ「えーッ、そんな難しいものからやるんですか? もっと簡単なのを―――」言い争いながらも、お互いを信頼して、頼り合っているのが伝わる二人。そんな二人を見て、どこか懐かしいような気持ちを佐天は覚えた。佐天(初春たち、今頃どうしてるかな?)―――学園都市、第七学区、風紀委員一七七支部初春「…………」カタカタカタッ…
つづく
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