常盤台学生寮 自室――黒子「ただいま帰りました……明け方まで仕事とかありえませんの」フラフラ黒子「グフフフ…この疲れを癒すにはお姉様と同衾するしかないですの」ワキワキ黒子「さあ、お姉様! 黒子を癒してくださ…」ピタ絹旗「……」スヤスヤ美琴「……」スースー黒子「……ハハ、徹夜明けのせいですかしら? 幻覚がみえますの」ゴシゴシ黒子「お姉様が知らない女と同衾してるなんて幻想です…の」チラ絹旗「…あったかい…です」ギュッ美琴「うぅん……」ギュッ黒子「」ブルブル黒子「」パタリ…絹旗「ん、あれ…」美琴「……」スースー絹旗「ど、どういう状況ですか!?」アタフタ
美琴「…ん~」ギューー絹旗「ちょっ!? 御坂起きて! 超起きてくださぃ///」ジタバタ美琴「…ふぁ~~、おはようございます…」ショボショボ絹旗「なんで御坂が一緒に寝てたんですか!? 寝惚けてないで説明してください!」フィ「お前がピーピー泣いた挙句、寝てしまったからだろう。覚えてないのか?」絹旗「!! ……忘れてください///」マッカフィ「泣いたまま寝たから目が腫れているな」絹旗「せ、洗面所はどこですか?」美琴「んーーーーっ、俺も顔洗いたいし一緒に行くか」ノビノビ絹旗「早く行きましょ……う?」グニャ黒子「ぐえっ」シロメ絹旗「何か踏んだ…ッ! キモッ、超キモイのが転がってます!」美琴「あー、それって一応ルームメイトなんですけど…」絹旗「床に転がって白目剥いてるルームメイト……超シュールです」美琴「こいつなー、いい奴だけど超変態なんだよ」絹旗「真似しないでください!」美琴「はいはい、黒子をベッドに寝かせてっと、ほら行くぞ」
常盤台学生寮 大浴場――絹旗「…どうしてお風呂に入ってるんですか?」カポーン美琴「昨日は夜に入ってないし、シャワーじゃ十分に汚れがおちないから?」絹旗「そうですけど! なんで私と御坂が一緒に超お風呂に入ってるのかって聞いてるんです!」美琴(…なんの疑問もなく女子中学生と入浴していた…だと)美琴(ははっ、絹旗より俺のほうが胸あるぜひゃっほう、なんて考えてたんだぜ?)美琴「死にてえ…じゃなくて、別々に入りたかった?」フルフル絹旗「そういうことじゃなくて! 無防備すぎる……昨日の話の流れから気づいてるはずです」
美琴「絹旗が暗部の人間ってことか?」絹旗「ッ! ……そうです。私は…」美琴「けど、それがどうしたよ」絹旗「…え?」美琴「絹旗は絹旗だろ?」絹旗「??」美琴「暗部だとか、そんなちっせえ事情なんかどーでもいいんだよ」美琴「俺は困ってるお前を助けたい、ただそれだけの事だろーが」絹旗「ぷっ、た、単純すぎです。それって何も考えてないのと同じですよ」美琴「あーあーうるせえ。どーせ俺は馬鹿ですよ」チャプチャプ
絹旗「本当に馬鹿です。学園都市の暗部に関わっても碌なことがないのに…」美琴「んなこと言ってもな~。友達を見捨てるなんてできねーし」絹旗「ともだち?」美琴「おう。一緒に寝起きして風呂に入って、これって友達だろ?」絹旗「御坂は私の友達……」ブツブツ美琴「友達を暗部から救い出す、当たり前のことだと思うけどな」絹旗「そ、そうです! 友達なら助け合いますよね!!」美琴「ああ、だから遠慮なんてすんなよ」絹旗「はい!」
常盤台学生寮 自室――絹旗「いいお湯でしたー」ホッコリ美琴「やっぱ広い風呂は最高だな~」ゴロゴロ美琴「もーちょいマッタリしたいけど、当麻に電話してくるな。時差とかあるし」絹旗「私はここで待ってていいですか?」美琴「おう、構わねーよ」チラ黒子「…うへへ、おねぇさまぁぁ~ん」ネゴト絹旗「……」ピク美琴「はぁ、これは気にしないでくれ」絹旗「…分かりました」
常盤台学生寮 庭――美琴「ここなら誰にも聞かれないかな」pipi美琴「さみー、早く出ろー」ヨビダシチュー上条『もしもし』pi美琴「お、おっす。今いいかな?」ドキドキ上条『ああ、ちょっと待ってろ。…ほらインデックス、電話するからはなれろって』禁書『誰からなの、とうま?』上条『御坂からだよ』禁書『短髪ぅー? はぁ、わかったんだよ』禁書『そのかわり、あとで続きをしてほしいかも』上条『わかってるって』上条『…悪い、待たせたな』美琴「……」イラッ
上条『あれ? 聞こえてないのか』美琴「…聞こえてる」イライラ上条『元気ねーな。何かあった?』美琴「別に…。浜面って分かる?」イライラ上条『浜面ならこっちに来た日に会ったぞ。第四位のオバサンもいやがったな』美琴「その浜面たちが探してた女の子と偶然知り合ったの」美琴「何とかしてイギリスに連れていきたいんだけど…」上条『ふーん、なるほど。土御門と火織に協力を打診すればいいか?』美琴「そうだけど……火織って」ムカムカ上条『あー、名前で呼び合うことになったんだ。背中預けるパートナーだからさ』美琴「パートナー…」ズキッ上条『あいつ滅茶苦茶強いな。素手なら勝てるけど、武器使われたら相打ちにもってくのがやっとなんだぜ?』上条『なのに全力を出してないってんだから、どんだけだってな』美琴「……」ズキズキ
上条『ロンドンで十指に入る実力者って聞いたけど、火織より強い魔術師が何人もいるんだよな』上条『いやー、第三位だ超電磁砲だとか言ってたのが恥ずかしくなるね、まったくさ』美琴「…そんなこと…ない」ズキズキ上条『ん、どうした?』美琴「私だって……私だって当麻の力になれるッ!!」美琴「神裂にだって負けない!」上条『そーだな。援護くらいなら…』美琴「違う! 当麻の背中を守るパートナーは私なんだから!!」フルフル上条『むきになるなよ。相性があるだろ? 美琴の能力は接近戦や乱戦に向かないんだよ』美琴「そうじゃないの! 私はただ…当麻に私以外のひとをパートナーなんて言ってほしく…」ズキズキ禁書『とうまー、かおりが呼んでるから来て欲しいかもー』上条『ごめんな、呼ばれてるみたいだ』美琴「まだ話は…」上条『火織たちに手を回してもらうから心配すんな。じゃーな』pi美琴「待って!」シーン
美琴「……」pipi美琴「なんで電源切ってんのよ……」オカケニナッタデンワハ美琴「ひとの気も知らないで…って違う!」ブンブン美琴「そうじゃないでしょ。まず私の気持ちを伝えて、それから他の女の子と必要以上に仲良くしないでってお願いしないと」美琴「当麻も私のことすす好きって、こ、告白してくれたし大丈夫、きっと大丈夫…」ドキドキ美琴「心変わりなんてするわけ……まって」美琴「よく考えたらインデックスも神裂も凄い美人じゃない」美琴「特に神裂の胸なんて……」ジブンノムネミル美琴「……」ペターン美琴「不味い、不味過ぎるわ。あんなロケットおっぱいに迫られたら…」プルプル美琴「どどどどうしよう!?」アタフタ美琴「は、早くイギリスに行かないと、わ、私の当麻盗られちゃう」フルフル美琴「こうしちゃいられないわ!」タッタッタ
常盤台学生寮 自室――黒子「お姉様のお友達? その程度の関係で同衾するとは、許せませんの!」プンスカ絹旗「ただの友達じゃないです! 私と御坂は超友達なんです!」ブー黒子「このちんちくりんが、寝言は寝て言えですの」フフン絹旗「あなただって似たような体型じゃないですか。はっきり言って心外です」ハンフィ「朝から騒がしいな。落ち着いたらどうだ」絹旗「アヒルは超黙っててください!」黒子「そうですの!」フィ「アヒルじゃないフィアンマだ。何回言えば覚えるんだ、この鳥頭が」
黒子「なんて口の悪いアヒルですの。持ち主の顔が見てみたいですの」ヤレヤレ絹旗「…そのアヒル、超御坂のなんですけど」ボソ黒子「……」美琴「ただいまー!! 絹旗すぐ出るから…」バーン!フィ「良かったな。貧乳仲間が帰ってきたぞ」絹旗黒子「なんですってぇぇぇぇーッ!!」美琴「…貧乳」ジワ絹旗「え?」ガシッ美琴「おっぱいの大きさが魅力の決定的差じゃないって、教えてあげるんだからァァァーーッ!!!」ダダダダダダッ絹旗「ひゃああああ!!」ピューーー黒子「お姉様!?」フィ「あれ? もしかして俺様置いてかれた?」
第七学区 とある高校の学生寮――美琴「到着!」ハアハア絹旗「み、御坂、突然どうしたんですか…?」ゼエゼエ美琴「緊急事態よ。今日中にイギリスに行かないと大変なことになるわ」絹旗「え!? 緊急事態ってなんですか!?」美琴「説明は後よ。まずは土御門に会わないと…」絹旗「土御門!?」ギク美琴「当麻からの連絡なんて待ってたら……堕天使エロメイドが…おのれ土御門!!」ワナワナ美琴「もう手段を選んでる余裕なんて…あはは、今日の御坂さんはちょろっとダーティーだよ?」クックック
第七学区 とある高校の学生寮 土御門宅前――美琴「……」ピンポーン絹旗「留守ですかね?」シーン美琴「……」ピポピポピポピンポーン土御門「朝っぱらから五月蝿いぜよ!!」バーン美琴「…土御門さん、お願いがあって来ました」土御門「超電磁砲と…!?」ピク絹旗「え、え~っと」アタフタ美琴「私とこの子の二人分、イギリス行きの航空券を手配して下さい」土御門「…状況が読めないにゃー。事情を聞いてみないと、どうしようもないぜい」美琴「あんたが…あんたが当麻をイギリスに行かせるから」ワナワナ美琴「堕天使エロメイドが当麻のパートナーになっちゃったのよ……ふふっ、責任取ってくれますよね?」
土御門「なに!? ねーちんがカミやんの…そーいうことなら協力できないにゃー」土御門「オレは神裂のねーちんの味方だからにゃー」美琴「そうなんだ。…こんな手は使いたくないけど、しょーがないなぁ」ニコ土御門「フン、中学生に何ができるのかにゃー」フフン美琴「舞夏にある事ない事吹き込んでやる…」ボソ土御門「…にゃ?」美琴「友達をぼこって入院させたとか、青髪ピアスとナンパしてたとか」美琴「ロリメイドもののエロ本コレクションが四桁超えたとか」土御門「……その程度、別になんでもないぜい」ブルブル美琴「ブラコンを治すために男を紹介して、寝取らせて…」土御門「そ、それだけは勘弁してくれッ!」ドゲザ美琴「あはは、いやだなぁ、その勘弁して欲しいことを私にしたじゃないですか」ユラユラ美琴「不安だなぁ、不安のあまり…寝取られ仲間が欲しくなちゃいそう。ね、土御門さん♪」ニコニコ土御門「…オレの負けぜよ。話を聞くから部屋にあがるにゃー」ガクガク絹旗「…御坂が黒いです。超ブラックです」ビクビク
第七学区 とある高校の学生寮 土御門宅――土御門「インスタントで悪いにゃー」コポコポ美琴「いえいえ、お構いなく」絹旗「……」土御門「この土御門元春を相手に無理やり交渉を持ちかけるなんてにゃー」土御門「まったく、常盤台の超電磁砲は恐ろしいぜい」ヤレヤレ美琴「普段は人畜無害な草食系ですよ?」土御門「カミやんが絡むとアレか…つくづく罪な野郎ぜよ」美琴「そんなことより早く…」黒子「失礼しますの」シュン!土御門「うにゃーっ! 女の子がオレの部屋に降って来たぜよ!!」美琴「黒子?」
黒子「お姉様、忘れ物ですの」ポイ美琴「おっと」キャッチフィ「この馬鹿が、俺様を投げるとは何事だ!」プンスカ黒子「わざわざ連れてきて差し上げたのに文句いうなですの」シレフィ「貴様も俺様を置いて行くな。自身の状態を理解しているだろうに」美琴「う、うん」ピタフィ「…バイタルは正常……メンタルは…!? 不味いぞ。今すぐ表にでろ」美琴「!? ちょ、ちょっと出ます!」ダダダダダッ土御門「…どうしたんだ?」ヒソヒソ絹旗「…私にも分かりません」ヒソヒソ
第七学区 とある高校の学生寮――フィ「昨晩と比べてメンタルの異常が酷いな」美琴「そんなに?」フィ「人格に影響が出て、それを自覚できないくらいに、だ」フィ「もう口調の変化なんて生易しいレベルじゃない。上条当麻の人格が変質しつつある」美琴「口調って……ああっ! また女言葉で喋ってた!?」ガーンフィ「今朝からの行動も思い返してみろ」美琴「…………………………………………」…シクシクフィ「泣くな、鬱陶しい」美琴「黒歴史だ…なに意味の分からない行動力を発揮してんだよ、俺は」ガクリフィ「嫉妬に駆られ友人を脅迫、海外渡航の算段を強要…か。凄まじいな」美琴「ぎゃああああぁぁぁッ!? 冷静に言わないで!?」ブンブンフィ「大丈夫だ。そんな小物臭い貴様を、俺様はサポートしてやる」美琴「小物って……一応、今は第三位の御坂さんですけど…」フィ「三流、三下、三行半…ろくでもない数字だと思わないか?」美琴「お、おまっ!? 三割引とか、三文の得とかいい意味だってあるだろ!」フィ「発想が小物だな。それに三文の徳だ、馬鹿め」美琴「え? 発音が違った??」
フィ「いい加減話を戻すぞ」フィ「人格が変質していたのは自覚したな?」美琴「ああ、あんなのは俺じゃねーよ」フィ「些細なことで、あれほどの異常行動だ。先が思いやられる」美琴「!! 些細っていうけどな、俺には大問題なんだよ!」フィ「落ち着け」美琴「大体アイツが神裂をパートナーとか…」ブツブツフィ「そこだ。そこが腑に落ちない」美琴「??」フィ「御坂美琴は上条当麻に惚れている」美琴「///」マッカフィ「ならば神裂火織や禁書目録と必要以上に親睦を深めるのは、違和感がある」フィ「普通なら、貴様に近づく女を遠ざけるように仕向けるはずだ」
美琴「それは…アイツは優しいから…」フィ「貴様が三日でトチ狂ったほどの恋愛感情を、御坂美琴は何ヶ月も抱えているんだ」フィ「それに貴様を不安にさせるよう仕向けた節もある。優しさなど理由にならない」美琴「…アイツが、わざと不安を煽ってる?」フィ「入れ替わり初日に、御坂美琴が言ったことが全てかもしれんな」美琴「初日って……まさか」フィ「上条当麻を私のものにする、ダブルミーニングなら笑えるぞ」美琴「どういうことだよ…」イヤナヨカンフィ「御坂美琴は最初から入れ替わりを受け入れているということだ。理解できるか?」美琴「はあ?」フィ「正気か狂気かは知らんが、御坂美琴は非常に優秀だな」フィ「上条当麻の最大の武器を掌握しつつ、本命の貴様を手玉に取っているのだから」美琴「最大の武器? 幻想殺しか?」
フィ「違う。昨日貴様が言ってたじゃないか。コネだけは充実してる、つまり人脈だ」フィ「学園都市の第三位と世界を救った英雄、取り巻く人間の質も量も、圧倒的な差があるだろうな」美琴「……」フィ「周囲の環境を掌握し、上条当麻となる。その上で貴様を御坂美琴として手に入れる」フィ「貴様は女として愛されるわけだ。笑えるだろう?」美琴「……冗談だよな?」ガクブルフィ「全て俺様の推論だ。だが現実味はあったんじゃないか?」美琴「恐えーよ! ありえねーよ! なんなんだよ!!」フィ「イギリスに乗り込むつもりなら、やめたほうがいいな」フィ「戦闘能力に差がありすぎる。手篭めにされて、愛玩奴隷ルート確定とかなりそうだ」美琴「て、手篭め!?」ビクッ
フィ「それも悪くないんじゃないか?」美琴「そんなルート、青髪ピアスにしか需要がねーよ!」美琴「アイツがおかしくなってるなら、俺がなんとかすればいいだけじゃねーか」フィ「貴様が嫌がるなら、他の女を、みたいな流れになりそうだが…」美琴「それは駄目だ!! ……って、あれ?」フィ「どうしようもないな。入れ替わった時点で愛玩奴隷ルートは確定したようだ」美琴「………バッドエンド?」美琴「男なのに女にされる…?」プルプルフィ「どんまい」美琴「不幸だァァァああああああッ!!!」
第七学区 とある高校の学生寮 土御門宅――美琴「……」フラフラ絹旗「戻ってきまし…御坂? 顔色が超悪いんですけど…」フィ「放っといてやれ。少々絶望しているだけだ」黒子「お姉様、しっかりしてくださいまし!」土御門「さっきと別人みたいだぜい?」美琴「…純潔が、散らされる…」ジワ黒子「お姉様の純潔は上条さんに捧げたのでは?」絹旗「じゅ、じゅ純潔!?」土御門「…カミやん、ついにこっち側に来たのか」トオイメフィ「こいつはまだ生娘だぞ。上条当麻の帰国と同時に散らされるだろうがな」シレ美琴「手篭めにされるなんて…」ポロポロ黒子絹旗「!?」
土御門「カミやんなら明後日に帰国する予定ぜよ」美琴「そんなの、嫌だ…」ヒックヒック黒子「腐れ類人猿がああああァァァッ!! お姉様を泣かせやがってええええ!!」絹旗「殺す! 上条当麻、超殺す!!」黒子「ここは協力してでも、あの猿を血祭りにあげるしかないですの!」絹旗「了解です。御坂の貞操は私たちで守りましょう!」土御門「面白いことになってきたにゃー」フィ「この調子で戦力を増やせば、貴様の身の安全は守られるかもな」美琴「…俺に力を貸してくれるのか」グスグス黒子「当然ですの」キッパリ絹旗「友達を助けるのは当たり前です。御坂が言ったことですよ?」ニコ美琴「…そうだったな。絶望するには、まだ早いよな」美琴「二人とも、さんきゅーな。元気でた」
土御門「絹旗はいいのかにゃー。イギリス行きがふいになるかもしれないぜい?」絹旗「…構いません。麦野たちの居場所は知りましたし、御坂を見捨てたくありません」美琴「絹旗……御坂さんは、この感動を超抑えることができません!」ギュッ絹旗「きゃあ! み、御坂、真似しないでください///」ジタバタ黒子「ぎゃああああ!? 黒子も、黒子も混ぜてほしいですのォォォーッ!!」ガバチョフィ「うおっ! 暑苦しい、離れろ!」土御門「やはり時代は女子中学生ぜよ」ニヤニヤ美琴「迷惑かけてごめんなさい!」ペコ土御門「いやいや、お互いカミやんのフラグ体質の被害者ぜよ」ケラケラ美琴「あ、あはは……」土御門「フラグ立てまくりなのに、回収はしないから性質が悪い……ムカついてきた」イライラ美琴「…反省します」ズーン土御門「ん?」絹旗「御坂、先に行きますよ」美琴「おおお邪魔しましたぁーー!」タッタッタ土御門「……」土御門「……」pipi ヨビダシチュウ海原『もしもし、なにか進展がありましたか?』pi土御門「ああ、とんでもないことになったぞ海原」海原『ッ!? なんです』土御門「明後日、超電磁砲の処女が奪われるらしい」海原『…………はぁああああああああ!!!???』土御門「上条当麻が喰っちまうそうだ。超電磁砲がマジ泣きしながら言ってたぞ」海原『か、彼は一体なにを考えてるんです!? 御坂さんは中学生ですよ!? 犯罪ですよ!?』土御門「オレたちと比べれば可愛いもんだがな」海原『統括理事会が御坂さんを狙ってるのに、あああああッ! 気が狂いそうだ!』
土御門「だがこれはチャンスだ。どうも超電磁砲と上条当麻が一戦やらかすみたいだからな」海原『…その時起きる混乱を利用すると?』土御門「その通り! 例の助っ人は裏切ったが超電磁砲にべったりだし、最悪の事態は回避できそうだ」海原『自分にとっては、ある意味最悪ですけどね……』土御門「お前もいい加減、義妹に乗り換えたらどうだ?」海原『余計なお世話ですッ!!』pi土御門「……うにゃ?」土御門「カミやんが超電磁砲とにゃんにゃんする……ねーちんは…?」アレ?
第七学区 とある病院前――美琴「黒子たちは、やることがあるってことだし、俺も頑張りますか」フィ「何故病院に来たんだ?」美琴「カエル顔の先生に入れ替わりのことを相談しようと思う」美琴「解決法を知ってそーだしな」フィ「冥土帰しか。貴様にしては妥当な選択だ」美琴「…お前の推理が外れて、アイツと争うことなく解決できるのが一番だけど…」フィ「確かにそうだが、それと予防線を張るのは別問題だ」美琴「うん……愛玩奴隷ルートだけは回避しないとな」ガクブル御坂妹「愛玩奴隷とはなんですか、とミサカはお姉様に問いかけます」美琴「愛玩奴隷ってのは……御坂妹か」御坂妹「はい、ミサカは検体番号10032です、とミサカは質問は無視かよと腹を立てつつ答えます」美琴「お前には一生知らないでほしいから、内緒だ」御坂妹「……」テヲトリ、ムネニアテル美琴「?? どうしたんだ?」御坂妹「お疲れのようなので脳波と脈拍のチェックをしました、とミサカは無表情を装い受け答えします」ドキドキ美琴「心配してくれたのか。さんきゅーな」ニコ御坂妹「はい///、異常はありませんでした、とミサカは答えつつ、用事があるのでこの場を去ります」スタスタスタ美琴「おう、またなー」ヒラヒラフィ「……」
第七学区 とある病院――冥土帰し「君が来るのは珍しいね?」美琴「実は相談したいことが……」冥土帰し「深刻そうだが、なんだろうね?」事情を説明中―――冥土帰し「事情は飲み込めたけど、つくづく君は面白い目にあうね?」美琴「あはは…」ズーン冥土帰し「まあ、入れ替わった御坂君を連れてくれば、すぐにでも治せるね?」美琴「ほ、本当ですか!」冥土帰し「嘘は言わないよ?」美琴「明後日、連れてきますからお願いします!」ペコリ冥土帰し「それじゃ明後日に。今日はもう帰っていいよ?」美琴「先生! ありがとうございました!」タッタッタ冥土帰し「元気がいいね……」
御坂妹「失礼します」冥土帰し「脳波はどうだったね?」御坂妹「ミサカの記憶する、あの人のパターンと殆ど一致しました、とミサカは興奮気味に答えます」冥土帰し「そうか…御坂君の言った通り上条君が相談に来たよ。計画書は目を通したあと破棄したんだが…」御坂妹「お姉様の計画、必ず成功させてみせます、とミサカは全ミサカを代表して、ここに宣言します」冥土帰し「作戦コード・アヴァロン……こんな壮大な計画を実行するなんて、君達のお姉さんは凄いね」御坂妹「はい。あの人を独占できるのに、ミサカにも幸せを分けてくれました、とミサカは優しいお姉様を尊敬します」冥土帰し「妹達の存在を受け入れるほど、この世界は優しくない。だが救いがないわけじゃない」冥土帰し「僕は君達の保護者だ。妹達の幸せのために協力は惜しまないよ」
御坂妹「ありがとうございます」御坂妹「ミサカのミサカによるミサカのための楽園、誰にも邪魔はさせません、とミサカは……」冥土帰し「彼はどうしてる? 彼方此方の施設を破壊して回っていたようだが」御坂妹「お姉様と一緒に明後日帰国する予定です、とミサカはスケジュールを確認しながら答えます」冥土帰し「彼も協力を?」御坂妹「はい。お姉様と二人で、あの人を確保するようです、とミサカはあの人に同情を禁じえません」冥土帰し「仕方ないとはいえ、上条君も災難だね……」
第十七学区 操車場――美琴「ここなら平気かな?」キョロキョロフィ「昼間からこんな人気のない場所でなにをする気だ」美琴「能力の試し撃ちをするんだよ」フィ「いよいよ真剣になったか」美琴「まあな。最悪の場合、アイツを無理やりにでも病院に連れていかないと、だろ?」フィ「実行するには、貴様が能力を完璧に使いこなす事が最低条件だろう」美琴「ハードル高いなー」フィ「時間は有限だ。さっさと始めろ」美琴「まずは基本の電撃から…」ビリビリフィ「電撃、砂鉄操作、磁力を用いた高速移動、電磁波レーダー、雷撃の槍…」フィ「一応使えているな」
美琴「ああ、結構コツを掴んだぞ。……こんな風にッ!!」ビリビリッ フワッフィ「無数の鉄骨を磁力で操っているのか…」美琴「よっと、元の場所に戻してーっと!」ガタガタガシャーン!美琴「どうだ? あのまま射出することもできるぞ」フィ「戦術レベルの攻撃だ。威力が有りすぎて街中では使えん」美琴「確かに……」ウーンフィ「一人で戦うわけじゃないんだ。攻撃範囲は絞れ」美琴「そうは言ってもなぁ。まとめて吹き飛ばす!って能力だろ、これ」フィ「超能力者だから仕方ない。一人で軍隊と戦える、人間戦略兵器だからな」美琴「能力が強すぎるのが弱点ってことか」フィ「被害を考えればな。現状で幻想殺しに最も有効なのは、電撃だろう」美琴「電撃ぃ? そんなの一発で打ち消されてお終いじゃねーか」フィ「幻想殺しの弱点は効果範囲の狭さだ。四方八方から電撃を放ち続ければ、そのうち捌ききれなくなる」美琴「そこを絹旗と黒子に、ってとこか?」フィ「それがベストだ。小学生の能力が存外強力なのは、嬉しい誤算だったな」美琴「…いい加減、名前で呼んでやれよ」フィ「奇襲向きの能力だから、空間移動との相性もいい」美琴「スルーですね。分かります」フィ「勝利条件は満たしたと言ってもいいだろう」美琴「…なんか嫌なフラグがたった気がするんですけど」フィ「幻想殺しが如何に脅威だとしても所詮、一兵にすぎん」フィ「戦術を練った我々の敵ではない」
美琴「お前が言うならそーかもな。そんじゃ最後に試してみるか、超電磁砲!」フィ「第三位の異名たる技か」美琴「コインを弾いて……」ピーン美琴「…いっけェェえええええーーッ!!」バチバチッ ドゴーーーーーーン!!フィ「……見た目は派手だが、これは」美琴「び、ビームだ! 超電磁砲、マジ格好いいな!」ダイコーフンフィ「磁力で大量にものを飛ばしたほうが強力じゃないか?」美琴「浪漫だよ、ロマン! 分っかんねーかなぁ」チッチッチフィ「知るか。だがまあ結果は上々だ。そろそろ引き揚げるとしよう」美琴「……」キョロキョロフィ「どうした?」美琴「能力を使うのに夢中だったから気づかなかったけど……」ガタガタフィ「これは酷い。あたり一面瓦礫の山じゃないか。警備員(アンチスキル)に見つかれば即逮捕だな」美琴「…まぁ、見つからなきゃ…」??「あっちから凄い音がしたぞ!」美琴「……」ピューーーー ダッシュ
第七学区 とある公園――佐天「あ! 御坂さん発見! …何してるんだろ?」美琴「…喉が渇いたー」ハアハアフィ「そこの自販機で買って飲めばいいだろう」美琴「そーだな。ん~…ヤシの実サイダーでいいか」チャリン ピフィ「ホットにしておけ。体を冷やすのは良くないぞ」美琴「もう押しちまった……あれ? 出てこない…」フィ「投入金額がゼロになってるな」美琴「マジ!? って、ああぁぁぁーーッ!!」フィ「うるさい」美琴「この自販機、前に二千円札飲み込んだやつじゃねえか!」美琴「クソッ! 小銭は飲まないんじゃなかったのか」フィ「別のところで買えばいい」
美琴「嫌だ、絶対取り返す! ……そうだ」ピコーン美琴「確か、こんな感じで…ちぇいさーーーっ!!」ベキッ!美琴「――ッ!?」フィ「……」美琴「痛いッ!! なんかベキッていった! まさか折れた!?」美琴「あぁ…内出血してる。うう、予想以上に貧弱だ…」美琴「こんなとこ誰かに見られたら、また馬鹿にされ……」佐天「……」ジー美琴「…見た?」佐天「……ちぇいさー」ボソ美琴「見たな見たの見やがりましたね三段活用! 忘れて下さいお願いします!」ドゲザ佐天「むふ~、どーしよっかなぁ~?」ニヤニヤ美琴「笑顔が恐いんですけど……」佐天「アハハ、冗談です。何もしませんってば」美琴「…ったく、人が悪いぜ」佐天「いや~御坂さんを見てると、つい弄りたくなちゃって。困ったなー」フィ「その気持ちは共感できるな。困ったものだ」美琴「コイツら…」プルプル
フィ「コレは超能力者の癖に基本、馬鹿だからな。フォローが大変なんだ」佐天「馬鹿っていうか、ノリが良くなったんじゃないかな?」フィ「好意的な意見だな」佐天「なんか親しみやすいのよねー。壁を感じないっていうか、ん~、なんだろ?」フィ「良かったな、褒められてるぞ」美琴(俺が本来、無能力者だからかな?)美琴「ところで佐天さんは何してたんだ?」佐天「へ? ……しまった! 初春に宿題を見せてもらうんだった!」美琴「宿題…だと…?」佐天「初春待たせてるんで、バイバイ、御坂さーん!」タッタッタ
フィ「騒がしい奴だな」美琴「そーだよ! 宿題だ!」フィ「宿題?」美琴「補習の代わりに大量に課題を出されたんだ……まだ全然やってねーよ…」フィ「今はそんなもの、どうでもいいだろう?」美琴「良くねーよ! 俺の進級が懸かってるんだぞ!?」フィ「……仕方ないな、さっさと終わらせるぞ」美琴「そんな簡単に終わる量じゃねーんだよ…」フィ「普段の貴様ならな。だが今は御坂美琴の知識が使えるだろう?」美琴「そうか! その手があるな。早速寮に行こう」タッタッタ
第七学区 とある高校の学生寮 上条宅――美琴「よっこらせっと。やっぱ便利だなー、この能力」スタッフィ「壁伝いにベランダから部屋に入るとは、確かに便利だな」美琴「鍵を持ってないから助かったぜ」フィ「時間が勿体無い、課題に取り掛かれ」美琴「はいはい」ゲコッゲコッゲコ美琴「御坂妹から…? もしもし」pi御坂妹『ミサカですが今大丈夫ですか? とミサカは丁寧に確認を取ります』美琴「いいけど、何か用事か?」御坂『はい。相談したい事があるのですが、とミサカはお姉様に頼りたい心情を吐露しました』美琴「それは構わねーけど…」
御坂妹『良かった。それでは玄関から離れて下さい、とミサカは突然警告します』pi美琴「玄関…?」フィ「伏せろ!!」ドカーーーーーーン! ドアフットブ美琴「!!??」ビクッ御坂妹「お邪魔します」スタスタスタ美琴「み、御さッ…」御坂妹「あまり余裕がないので、このまま連行します、とミサカはお姉様を拘束しながら言い放ちます」カチャカチャ美琴「ちょっと待て!! どうしてお…」アタフタ御坂妹「この拘束具は特別製なので、お姉様の能力でも外すことは叶いません、とミサカは残酷な事実を教えます」美琴「そんな説明いらな…」御坂妹「移動します。少しの間我慢して下さい、とミサカは誠意の篭ってないお願いをします」美琴「聞いて!? 御坂さんの話を聞い…」グス御坂妹「五月蝿いです」シュー美琴「……」スヤスヤフィ「催眠スプレーか」御坂妹「はい。これ以上手荒な事はしません、とミサカは今更と思いつつ安心を促します」フィ「本当に今更だな……」
風紀委員 第一七七支部――黒子「お姉様を拘束とは、どういう事ですの!?」固法「本部からの要請なんだけど、私にも何がなんだか…」黒子「意味が分かりませんわ! 罪状はなんですの!?」固法「器物損壊。第十七学区にある操車場を、常盤台の制服を着た電気使いが大暴れして、滅茶苦茶にしたらしいのよ」黒子「……」固法「だから御坂さんが真っ先に疑われてるの」固法「御坂さんがそんな事するわけないのに、本当に意味が分からないわ」黒子「そ、そうですわね」アセアセ黒子「……類人猿を葬り去る予行練習?」ボソ固法「白井さんから御坂さんに連絡とってもらえる?」黒子「それでは直接話を聞いてきますの!」シュン!固法「え? 電話でいいのに…って、いっちゃった」第七学区 とある病院 御坂妹の部屋――御坂妹「…以上が作戦の概要です、とミサカは懇切丁寧に説明しました」フィ「たった数日でそれだけの事が……分かった。俺様も協力しよう」御坂妹「それでは上条さんには内緒ということで、とミサカは悪い微笑みをうかべつつ了承します」フィ「俺様は現状維持が望ましいからな。むさ苦しい男の肩より、美少女の肩が良いに決まってる」美琴「…ん、あれ…?」御坂妹「お目覚めですか?」美琴「おー、目が覚めた…って、テメエッ! 俺に何しやがった!!」御坂妹「のっぴきならない事情により、お姉様を保護しましたが何か? とミサカはしれっと答えます」
美琴「保護? 拉致の間違いじゃないんですか…」フィ「そう責めてやるな。貴様が指名手配されていたから焦っていたんだろう」美琴「あの…今とんでもない事をサラッと言わなかった?」フィ「指名手配されたことか」美琴「え、嘘だろ? ……もしかして、さっき操車場で超電磁砲、ぶっ放したから?」オロオロ御坂妹「……」フイッ カオソラスフィ「……」美琴「あ、や…どうしよう」オロオロフィ「……」御坂妹「……自首」ボソ美琴「!? そうだよな。じ、自首しなきゃ…」オロオロフィ「まあ冗談なんだが」シレ美琴「お、お前らなあ! マジで犯罪者になったかと思ったじゃねーか!!」御坂妹「お姉様は単純ですね、とミサカは笑いを堪えながら…ぷふッ」美琴「笑うな!…って、無表情じゃねーか…」
フィ「操車場を瓦礫の山にしたのは事実だろうに」美琴「……きっと魔術師の仕業だ。そーに違いない」フィ「まあいい。それより夜も遅い、早く妹の相談に乗ってやれ」美琴「夜? ゲッ、もうこんな時間かよ…黒子から不在がきてるし」ケイタイミル美琴「それで? 相談くらい乗るのに、何だってこんな手荒な真似をしたんだ?」御坂妹「無力化して拘束しておかないと逃げられると判断したからです、とミサカは黒いオーラを放ちながら答えます」美琴「あの~御坂妹さん? 雰囲気が恐いんですけど…」御坂妹「なにも恐いことはありません。お姉様に会って貰いたい人がいるんです」美琴「誰だよ。まだ会ったことがない妹達か?」御坂妹「いいえ、お姉様の大好きな…あの人です、とミサカは暴露します」美琴「あの人って……まさか」ギクッ御坂妹「感動のご対面です、とミサカは必死に笑いをこらえつつ入室を促します」美琴「嫌な予感が…」カタカタ上条「おーっす。元気してたか?」美琴「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!???」
上条「うわっ、なに品のない悲鳴あげてんだよ」美琴「な、なななんで、ここ此処にいるんだ!? 帰ってくるの明後日のハズだろ!?」上条「フフフ、誰かさんがね…良からぬ事を企んでるって聞いたからさ~、先手を打ったんだ♪」美琴「あわわわ…」ガクブル上条「ただいま、美琴」ニコッ美琴(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ……逃げるしかねえ!!)上条「ん~? どうした?」美琴「きゅ、急用があるから…さよならぁぁぁぁぁ-ーーーーーーッ!!!」ダダダダダッ上条「…やっぱり逃げたか。無駄なのに、可愛いなー」ニヤニヤ
第七学区 とある病院 廊下――美琴「くっそ、どーなってるんだよ!」タッタッタフィ「相手の方が上手だったんだろう」美琴「御坂妹もグルだったのかよ。……あれ? なんか変だ…」タッタッタフィ「考え事してる場合か。追いつかれるぞ」美琴「そーだな、細かいことは後回しだ。一先ずここを離れねーと」タッタッタフィ「何処に向かう?」美琴「寮に帰る。あそこまでは追ってこねーだろ」タッタッタフィ「妥当な判断だ」
美琴「絶対に…絶対に逃げ切ってやる!!」タッタッタフィ「三下臭いセリフだな」……カツ、カツ、カツ美琴「うるせー、……ん? なにか聞こえないか?」カツ、カツ、カツ??「……」カツ、カツ、カツフィ「…前に誰かいる」カツ、カツ、カツ美琴「関係ねえ。突っ切るぞ!」??「威勢がいいなァ」カツ、カツ、カツ美琴「…は?」??「けど、そいつは無理だ」美琴「な、なんで? 何でお前が邪魔するんだ!?」オロオロ??「悪りィが…こっから先は一方通行だ。進入は禁止ってなァ!!」美琴「アクセラレータ!!」一方通行「ぎゃは、上条くゥゥゥゥゥゥン!! 遊びましょォォォォォーーーッ!!」カチッ
美琴「上条…?」一方通行「呆けてっと死ンじまうぞォ」ニタア美琴「くっ!?」クルッ タッタッタ一方通行「はっはァ! 追いかけっこですかァ?」美琴「クソッ! ここじゃ能力を使えねえ!」タッタッタフィ「落ち着け。どこに逃げるつもりだ?」美琴「…屋上だ。屋上から能力で飛び降りる!」タッタッタフィ「御坂美琴に助けを求めないのか?」美琴「一方通行は俺を上条って呼んだ…あいつ、俺たちの事情を知ってやがる…ッ」タッタッタ美琴「だから…」一方通行「なンだァ、結構頭回るじゃねェか」ビュン美琴「!?」
一方通行「そォだ、俺とオリジナルは協力関係にある」美琴「…どうしてだ? お前とアイツは…」一方通行「お喋りしてる余裕なンてあンのかァ?」美琴「ッ!?」クルッ タッタッタ一方通行「ぎゃはあははッ、捕まったらゲームオーバーだぞォ!!」美琴「…どこか隠れる場所は」キョロキョロフィ「そこの角を右に曲がれ。リネン室がある」美琴「わかった!」
第七学区 とある病院 リネン室――美琴「ベッドシーツの収納庫か…」フィ「さっさと隠れろ」美琴「あぁ、このクローゼットの中に…っと、入れた!」フィ「貧乳が役に立ったな」美琴「巨乳だったら入れなかったぜ…って、余計なお世話だ!」フィ「静かに…来るぞ」一方通行「今度はかくれンぼかァ? いいねェ、もォいィかァァァァァァァい!! ってかァ」一方通行「ン? リネン室……」一方通行「オイオイ、結構な広さじゃねェか」美琴「……」一方通行「クローゼットは…隠れるほどスペースがねェか…」美琴「……」ドキドキ一方通行「他は……いないな」美琴「……」ドキドキ一方通行「時間が勿体無ェ、他の部屋を探すか…」美琴(なんとか凌げたか。もう適当な窓割ってでも外に逃げないと…)美琴「……」ゲコッゲコッゲコ
一方通行「なンですかァ? カエルゥ? …このクローゼットか」美琴(ぎゃああああ!! このタイミングで携帯!? 不幸だ…)一方通行「上条くン、見ィィィつけたァァァァァ!!」美琴「あは、あはは。嫌だなぁ、一方通行さん、凄く恐い顔してますよ?」ガクブル一方通行「テメェは顔が引きつってンぞ。そンなにビビるこたァねェ」ニヤ美琴「と、とりあえず、携帯に出ても…」ゲコッゲコッゲコ上条「ちょろっと貸して……絹旗ね」pi美琴「な!?」上条「もしもし……俺? 上条だけど。…うん、一緒にいる。…第七学区の総合病院だ。さっさと来ねえと大変なことになるぞ」pi美琴「おい! どういうつもりだ!! 絹旗に手を出すなら、おまえでも許さねえぞ!!」上条「何もしねーよ。…でも絹旗さんはヤル気満々みたいだけど? なんか御坂に酷いことしたら、超殺すって言われたしな」一方通行「絹旗最愛か。探す手間が省けたなァ」上条「ああ。これなら今日中に戻れそうだ」美琴「何言ってるんだ…?」一方通行「なァ、オリジナル。そろそろネタばらし、してもいいンじゃねェか? もう十分だろ」上条「う~ん…」美琴「ネタばらし?」上条「まずは妹の部屋に戻ろう。話はそこで、な?」
第七学区 とある病院 御坂妹の部屋――上条「……」ジー一方通行「……」ジー冥土帰し「……」ジー御坂妹「……」ジー美琴「あ、あの、どーして御坂さんを見つめているのでせう? ネタばらしってのは…」アタフタ上条「美琴…」ズイ美琴「ちょ、か、顔ちかい///」上条「キスしていいか?」美琴「ききき、キスっ!? しかも人前で!?」上条「嫌か?」美琴「…………嫌じゃねーよ」上条「それじゃ…」美琴「でもこのままじゃ嫌だ!!! 俺は…俺は上条当麻として、御坂美琴にキスしたいんだ!!!」上条「……」
美琴「なあ、こんなこと…もうやめよう?」美琴「こんな事しなくても俺は、お前に心底惚れてるから…だから元に戻ろう?」上条「……」ウズウズ美琴「戻って告白の返事をしたいんだ。約束しただろ? 帰ったら聞いてくれるってさ」上条「い、今、聞かせて?」ウズウズ美琴「だから元に戻ってから…」上条「いいから!」ウズウズ美琴「…わかった。一度しか言わねーからな」上条「う、うん」ドキドキ美琴「俺は…上条当麻は、御坂美琴が…大好きです」美琴「好きになった過程は滅茶苦茶だったけど、おまえを大切に想ってるのは本当だから…」美琴「だから……恋人になってください///」上条「……///」プルプル一方通行「……///」キュンキュン冥土帰し「……」ニヤニヤ御坂妹「……///」プルプル美琴「えっと…、駄目…かな?」フィ「精神の安定を確認した。もう大丈夫だろう」
美琴「え…? なに…」上条「もう無理! 我慢できないッ!!」ガバチョ美琴「!?ッ」ビクッ御坂妹「もう、ゴールしてもいいよね?、とミサカは自己完結をああもう堪りません!!」ガバチョ美琴「御坂妹まで!? ちょ、力入れすぎだ、痛いッ!」オロオロ上条「クソ魔王の言う通りだったわ! 当麻、何でそんなに可愛いのよ!?」ギューッ御坂妹「カッコいい貴方も素敵ですが、純情乙女な貴女には抗い難い魅力ががが…」プスプス美琴「意味わかんねーよ!? あ、一方通行ッ、助けてくれ!」アタフタ一方通行「悪くねェ…///」美琴「なんで顔赤いの!? 正気に返れ!」一方通行「ン? あァー、オマエら落ち着け。ヒーロー……じゃねェ、ヒロインが困ってンぞ」美琴「ヒロインって……」
上条「ちょっと! 当麻は私のヒロインなんだからね!!」美琴「違ッ!? おまえが…」一方通行「はッ、ヒーロー気取りですかァ? テメェじゃ役不足なンですけどォ」美琴「そんな事より、告白の返事は…」上条「なぁんですってええええ!!」美琴「話を…」一方通行「テメェの中のヤロウは、俺に王道を目指せっつってたしィ、それにはヒロインが必要だろォが」美琴「告白のへ…」上条「はぁ? 悪党だからガラじゃねえ、とか言ってたのは誰よ!」一方通行「はン、悪党の王道を征く…ン?」チラ美琴「……」ギュ上条「どうかし…た…?」フクノスソ ツカマレル美琴「…………おまえらぁ」グス美琴「ひとのッ、ほ、本気のこッ、告白を、うぅッ、無視ッ、無視しやがってぇぇぇッ……」ヒックヒック美琴「ちゃッ、ちゃんと聞いてッ、聞けよぅ…」ポロポロ上条一方通行「……」ゾクゾク冥土帰し「あーあ、泣かせちゃった」御坂妹「ミサカネットワークにアップロード…完了」プスプス フィ「いい加減、泣き止め」美琴「泣いてねぇ、泣いてねーよ……」フィ「あの連中も反省してる」上条「ゴメン。当麻を泣かせるつもりは…なかったのよ?」一方通行「…悪りィ」御坂妹「すみませんでした、とミサカは謝罪しつつも後悔はしてません」美琴「反省の色が見えねぇ……はぁ、もういいよ。早く元の身体に戻してくれ」冥土帰し「それは出来ない」美琴「え…?」
冥土帰し「君には悪いが……今は無理だ」美琴「な、なんで?」冥土帰し「君と御坂君が入れ替わることで、救われる子がいるんだ」冥土帰し「すまない、上条君。患者を裏切るなんて事は、医者としてあってはならない事だが…」冥土帰し「僕には信念を曲げてでも、守りたい子達がいるんだ」美琴「……」冥土帰し「恨まれて当然だし、お門違いなのも承知の上で君にお願いしたい」冥土帰し「元に戻るのは、保留にしてくれないだろうか?」美琴「先生…」御坂妹「先生は悪くありません! 悪いのはミサカたち、妹達の我侭なのですから…」美琴「妹達って……!? まさか、また実験に!?」一方通行「そんな生温いモンじゃねェ。統括理事会は妹達の処分を決定したンだ」美琴「はあ!?」
一方通行「第三次製造計画っつー、糞ムカつく計画があってな。まァ、妹達の世代交代みたいなもンだ」一方通行「交代してお払い箱になる、テメェが救った妹達は殺されンだよ。維持費も馬鹿になンねェってなァ」美琴「なんだよ……御坂妹たちを! 人の命を何だと思ってやがるんだ!!」美琴「そんな計画、ぶち壊して…」一方通行「無理なンだよ」美琴「ッ! どうして!?」一方通行「絶対能力進化とは状況が違うンだ。誰かを倒せば解決、なンてことにはなンねェ」一方通行「相手は学園都市の闇そのものなンだ」美琴「だからって……はいそうですかって、諦められるかよ!」
一方通行「俺はよォ、第三次製造計画に関係ある施設を、片っ端からぶっ壊して回ってたンだ。けど、いたちごっこにしかならねェ」一方通行「そンな時に妹達の処分の決定だ。世界中に散らばってる妹達を全部守るなンて不可能だった」一方通行「正直、打つ手なしの八方塞がりだったンだが…」冥土帰し「御坂君が封印を解いた遺跡を使えば、妹達を全員救うことができるんだ」美琴「そ、それじゃあ、御坂妹たちは殺されずに済むんだな!?」冥土帰し「そうだね。ただ…遺跡を稼動させるには、御坂君が上条君の身体を使うことが絶対条件に…」美琴「いいぜ」一方通行「…はァ?」美琴「戻らなくていいって言ったんだ。このままでいないと、不味いんだろ?」一方通行「そ、それは…そォだけどよ」冥土帰し「…いいのかい?」
美琴「細かい事情は知らねーけど、みんなの顔を見れば、嘘や冗談じゃないことくらいわかるさ」美琴「俺に出来ることがあるなら、言ってくれよ。絶対に力になってみせるから…」美琴「今度こそ……今度こそ妹達を救ってみせる。そう決めたからな」上条「当麻…」御坂妹「…ミサカたちは貴方を騙していたのですよ? なのに、そんな簡単に…」美琴「前に俺、勝手に死ぬんじゃねえって言ったろ? おまえは、ただその約束を守ろうとしたんだ。違うか?」御坂妹「はい…ミサカはもう誰かの都合で、死んでなんかやらないと誓いました」美琴「だったらいいじゃねーか。生きようとすることは間違いじゃないだろう?」美琴「ただまあ、俺だけ除け者にされてたのはムカつくけどな……フィアンマは事情を知ってんだろ」フィ「……どうして気づいた?」美琴「何も知らないなら、真っ先におまえが口出ししてるよ。何だかんだで俺の事を一番に考えてくれてるもんな」フィ「フン……頼りない貴様をサポートしてやってるだけだ」美琴「あはは、やっぱ頼りになるな」
フィ「まあ、俺様のプランは成功したし、貴様はもっと俺様に感謝するべきかもな」美琴「プラン?」フィ「深すぎる上条当麻への思慕に、上条当麻に対する恐怖をぶつけて相殺し、貴様の自我を守る」フィ「それが俺様のプランだ。その遂行に都合が良いから、御坂美琴たちを利用したんだが…」フィ「結果は上々だ。御坂美琴の想いに飲まれずに告白できただろう?」美琴「え…? どういうこと?」フィ「女言葉で話しだしたり、嫉妬しても暴走しなくなった。理解できたか?」美琴「マジかよ!? ……おまえ、どんだけ優秀なんだよ」フィ「一方通行に協力してもらったしな。当然の結果だ」一方通行「ビビッてたもンなァ、オマエ」美琴「当たり前だろッ! テメエが美琴と手を組むなんて…悪夢なんてレベルじゃねーよ!」御坂妹「確かに、今のお姉様と一方通行を同時に相手取るのは、無理ゲーと言わざるを得ません、とミサカは貴方の心中を察します」冥土帰し「ともあれ、上条君には何と礼を言えばいいのか…」美琴「あはは、自分で決めた事だから、先生が気に病むことじゃないですよ」冥土帰し「しかしだね、君はこれからずっと女性として生きていくんだよ?」美琴「大丈夫ですって! ずっと女のままで…も…?」冥土帰し「そうかい。何か困った事があれば、遠慮なく相談してくれ。君は恩人だからね」美琴「あ、あの…」一方通行「はンッ、流石はヒーロー改め、ヒロイン。度量が違うってかァ」御坂妹「当然です。上条さんは全ミサカのヒーロー…ではなくヒロインなのですから、とミサカはこれからの展開に胸を躍らせます」美琴「…そうだ! 美琴はいいのかよ!?」上条「え、私? 私は構わない、ていうか望むところよ!」美琴「何でそんなに嬉しそうなんだよ……」
上条「当麻も納得してくれたし、後は絹旗さんが来るのを待つだけね」美琴「いや、女確定なんて聞いてねえ! 保留じゃなかったの!?」上条「待ってる間にイギリスでの事とか、幻想殺しについても話しとかないとねー」冥土帰し「それじゃ隣の部屋を使うといい。二人とも積もる話もあるだろう?」上条「ありがとうございます。ほら、さっさと行く!」美琴「ま、待って! 待ってくださ…」上条「大人しくしなさい!」ヒョイ スタスタスタ美琴「おひめッ、お姫様抱っこ!?」フィ「こうして上条当麻は、御坂美琴として生きていくことになった。彼女の受難は始まったばかりだ」美琴「不吉なナレーションいれんなぁ!?」冥土帰し「病院の外に出ちゃだめだよ。聞かれると不味い話もあるだろうからね」
第七学区 とある病院 空き部屋――美琴「不幸だ……」上条「当麻は贅沢ね。美琴さんボディはハイスペックでしょ? ……胸以外は」美琴「胸は関係ねえ!!」上条「はいはい、当麻の言いたい事はわかってるから落ち着いて」美琴「クソッ、余裕かましやがって!」上条「女の子が汚い言葉を使わないの」美琴「おまえに言われたくねえよ!」上条「ハハ、こうして見ると、まだまだ子供ねー。もっと大人だと思ってたんだけどなぁ」美琴「俺は大人だ!」上条「背伸びしちゃって、ほら可愛い可愛い」ナデナデ美琴「な、……撫でんなぁ///」テレテレ
上条「真っ赤になっちゃってもー、私を誘惑してる?」美琴「誘惑!? そそそんなつもりはッ!?」上条「本当に…ない?」美琴「え? あ、あの、その…少しは考えたような、まだ早い気がするような…あーもぅ///」イヤンイヤン上条「ブフっ! じょ、冗談よ。そんなマジ反応するなんて、当麻ちゃんは純情ねー」ケラケラ美琴「死にてぇ……」ズーン上条「ごめんってば。ちょっと調子に乗っただけじゃない」美琴「おまえ変わりすぎだろ……」上条「私も色々あったのよ。…色々ね」フィ「御坂美琴、あまりコレで遊ぶな」美琴「フィアンマ…俺の味方は、おまえと絹旗だけだ」フィ「コレは俺様の奴隷だ」美琴「……」上条「…ゴメン、かける言葉が見つからないわ」美琴「同情するなら優しさをくれ…」
上条「しょーがないなぁ、ほら」ギュッ美琴「……」ギュッ上条「さっきの告白…嬉しかったわ。恋人になれるなんて夢みたいよ」美琴「……」上条「不幸なんて言えないくらい幸せにするから」美琴「///」上条「ちゃんと責任は取るから、当麻は何も心配しなくていいの」美琴「…くっそ、不幸なのに…不幸なはずなのに///」美琴(幸せすぎて、おかしくなりそうだ。でもコイツには……絶対教えてやらねー///)上条「心配しなくても当麻が最高に可愛い女の子になれるように、しっかり調教してあげるからね!」美琴「………………………………………………え?」
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