「やっと目が覚めたんだね。一方通行」見覚えのある天井がそこにあった。病院であるすでに周りは暗く、時間はわからないが夜は深いだろう上半身を起こし、体の調子を調べる。怪我もなく、特に問題は無いようだった一方「なんで俺がここにいる…?」打止「青い髪の人が連れて来てくれたんだよ」言われて、表情が変化する一方(奴は一体何を考えてやがンだ?)額に手を当て、考えるがそれらしい理由は浮かばない少なくとも奴は敵である。または、自分をからかっているのか、その舐めた行動に怒りを覚えたふと、打ち止めの首元に見慣れないものが有ったのが目に入る一方「なんだァそれ?俺がやったもンじゃねェよな」体を震わせ、表情を曇らせる打止「これはね、その、み、道端に落ちてたの!なかなかいいデザインだからってミサカはミサカは…」手を当て、構造を調べた。何の事は無い。早い話、爆弾である一方通行の表情が急激に変化する一方「誰に付けられた?」打止「…その、青い髪の人に。気が付いたら、着けられた」盛大な舌打ちが室内に響く一方(どうあっても簡単には見逃してくれねェってか…クソヤロウが!)
一方「奴は何か言って無かったか。隠すんじゃねェ」キツい眼差しで打ち止めをにらむその眼光に怯んだような表情を見せるが、それを返すような強い表情を表す打止「嫌。ミサカは言わない」思っていなかった返答に赤い目を見開く一方「ふざけんな!てめェの命がかかってんだぞ?!」打止「だって、そしたらあなた、戦う事になるでしょ、あの青い髪の人と。勝てるわけないじゃない」打止「カメラと妹達を通して、見てたんだ。一切攻撃できずに、地面にたたきつけられそうになって、急に真っ暗になったと思ったら…あなたは倒れてて」打止「怖かったんだから。あなたが死んじゃったかも、って。」打止「もうあんな光景見たくないし、起こしたくない」打止「だから、わたしは決めたの。なにも…教えないっ、て」少女は泣き出して、しかし、泣き崩れるようなことは無い二本の足で立ち、震えを抑えている意志の堅そうなことを見越して、ベッドから立ちあがり、腹部に打ち止めの顔が来るようにして抱きしめた一方「そォかよ」捻り出したような言葉を呟いた一方(わかってねェな。こいつも)一方(結局、お前のとってる行動は自己犠牲でもなんでもねェんだ)一方(現実に押し潰されて、自らを犠牲にするのは『逃げ』でしかない)一際、ぎゅっと強く抱き締める一方(だったら、俺がそれを教えてやらなくちゃならねェよな)一瞬、打ち止めの神経を強く圧迫し気絶させた額に手を当て、脳と脳を物理的にブリッジさせる青髪との会話の記憶を読み取り、打ち止めを自分が寝ていたベッドへ寝かせ、部屋を出た
時間は少しもどって、とある病院ギリギリ営業時間でありながら、人がいない所々に血飛沫が壁や床に飛び散り、血にまみれた白衣の男性・女性・学生・生徒が当然床に転がっている空薬莢が大量に散乱し、閃光弾で焦げあとのついたカーテンや壁がここで何が起きたのかを告げる治療室を粗方片付け、手術の準備を整える。薬品や器具は無傷のままのようだ手術に時間がかかることを見越して、他の人間は防衛を任せた麦野は不満そうだったが、自分は邪魔にしかならないぐらいは当然判断できるようで、すごすごと治療室をあとにする上条「良かったな。麻酔はまだ使えそうだ。いるか? 」注射器に薬剤を注入しながら尋ねる御坂「痛みなら能力で押さえれるし、いらないわ。そんな事より、ほんとにあんた執刀出来るの?」上条「フフ…俺だって伊達に怪我をしまくってた訳じゃないんだぜ?その度に医療スキルを奪っておいたのさ!」両手を胸元まで上げ、手のひらを内側にしてひらく。準備万端といった感じである上条「さぁ、知識も技術も超一流の上条さんにその身を委ねるがいい」(知識は確かに超一流かもしれませんが、執刀経験は先程転がってた死体で練習しただけのわりに、大きく出ましたね)上条(いやこれはプラセボ的な役割をですね…というにはかなり怪訝な目を向けられていますな)(まぁ、外傷の縫合がメインの簡単な手術ですし、問題ないでしょう)
御坂「じゃあ聞くけど、あんたが今持ってる麻酔は何? 」上条「全身麻酔用のバルビツール系薬剤だな」御坂「じゃあ事前投与薬は?」上条「何をいってるんだ?事前投与薬は必要ないだろ。まさかお前、寝たらエクソシスト的な動きをしちゃうなんて特殊な癖があったりするのか?」御坂「あ、あるわけないでしょ!いいわ、引っかけにものらなかったし、信じてあげる」上条「じゃあ始めるぞ。結局麻酔は要らないんだよな? 」頷き、目を閉じる先ず内部の汚れや炎症を押さえる体に食い込んだ破片を取り除き、簡易縫合複雑に折れた骨や飛び散った骨をもとに戻し固定作業筋肉繊維の断絶などが数ヶ所見受けられるが、これは鎧を着て無茶な動きをし続けたからだろう出血は少ないにせよ、見た目は中々に痛々しい怪我慣れしてる上条も顔をしかめる(恐らく今までずっと痛みを止めいていたんでしょうね。これで意識を保てる人間なんていませんよ)上条(そうだな。痛みを止めることができるってのはやっぱり便利だなと思わされるよ)全ての怪我の手当てを終えるまでに二時間を要した
上条「さて、仕上げだな」手袋を脱ぎ捨て、自分の指にメスを当てる当然血が涌くが、構わず患部へ入れた上条の血が御坂の体内に繋がる(血管バイパスの設置に成功しました。これより、御坂さんの患部再生の為にナノマシンを送り込みます)指先の傷口が大きく開いたまま固定され、結構な勢いで血が流れていく(必要数、送り込みました。溜め込んでいたエネルギーを必要物に変換します)上条の体の中で慣れてしまった反応が起きる(平行して、御坂さんのDNAに基づいて物質を形成しています)(作業完了。患部へ組み込みに移行。定着を確認。ナノマシンの任務を変更、定着の維持に努めさせます)(仕上げ、終了しました。予定では、明日には完治します。意識が戻り次第、ナノマシンは自己破壊により、他の細胞老廃物と同様にに扱われます)上条(ご苦労さん。まさか自分以外にも再生させることができるなんてな)(理論はご存じでしょう?私からしたら、なんでできないなんてイメージがつくのかわかりませんよ)上条(なんだか生理的な直感とでも言いましょうかね。俺の体から御坂の骨ができたってことだろ?なんだか違和感があってもおかしくはないと思うがな)(100%御坂さんのDNAどおりですから、異常はないでしょう。定着するまで、いつものあなたと同じように非常に体に負担をかけることになりますが)手術服を脱ぎ、御坂の手術台を押して部屋をでた浜面「お、終わったか。ってスゲーな!もう傷が殆どなくなりかかってやがる」上条「最近の医療技術はすごいんですよ。とりあえず女子を呼んでくれ。流石に俺たちがこいつを着替えさせるわけにはいかないからな」浜面「了解。ここから移動するんだろ?車の方は準備出来てるぜ?」上条「仕事が早い。流石浜面さんですな。この施設に行く予定だ」地図を指し示した浜面「あいよ。積み込みが終わり次第出発な」
都市の外部に面した道路の隔壁が開き切り、戦車やLAV・攻撃ヘリコプターが都市内に大量に入り込んでくる各機体にはUS Armyのロゴがプリントされ、戦闘を中止せよという音声が流れ続ける日が沈みきっても戦っていた各学区の防衛部隊・人工能力者集団の戦闘区域に急きょ現れた軍隊に両者とも攻撃の手を休め、状況の把握を優先したこの行動も完全に計画通りのようで、両陣営の内部に潜入していたCIAの人間が撤退と米軍との協力関係をつけるように内部で工作した為スムーズに戦火は縮小しつつあったもちろん戦闘続行、都市運営側の全滅を掲げる強硬派は反対したが、増加し続ける死傷者数を前に、大半の参加者は休戦を歓迎した手はず通りに各報道機関へアメリカ軍の会見の情報が送信され、都市内部の全ての情報機器で強制的に流される『学園都市のみなさん。私はアメリカ軍極東方面軍広報官』『日本政府から公式の依頼が有り、非常事態の収拾の為、わが軍が都市の治安維持の為都市内部へ移動中です』『都市は今運営機構の頂点組織である統括理事会が機能を失い、混乱に陥っています』『この都市がもう一度自立できるまでの間、米国により統治を代行する事となっておりますが』『我々はこの反乱に至るまでの経緯を深く受け止め、生徒間の理不尽な隔たりを撤去することを約束します』『そして自立後の都市運営を一定年齢以上の生徒・学生の投票による民主主義的統治によって行えるよう制度を整えることを約束します』『そのための要望があります。今戦っている能力者と防衛部隊は直ちに戦闘状態を解き、都市の復興に協力していただきたい』『このことを守りさえすれば、学園都市は安全な場所に戻ると我々は確信しております』『安全と平等の為、我々に力を貸していただきたい!』実際に戦闘がある程度まで止まったことから、戦闘から退避し続けていた大半の住民は米軍を支持する立場を表明無能力者の非戦闘者も右に倣えと言わんばかりに戦闘支持から休戦支持に鞍替えした過密都市ならではの規模であるが、たった一日で人口が40%以上も減ったのだから当然と言えば当然の反応だろうだが、これによって無能力者内部にも亀裂が出来ることになった
次の日 とある研究施設
昨晩から続いた防衛用の設備の設置や施設設備の復旧が終わり、各人が割り当てられた部屋で休憩をとっているそして二人の男が小便器に向かって立っている表情は少々、眠そうだ上条「…浜面、残念だがこのパーティではお前がボトムネックになってる」喋りにくそうに、すまなさそうに口を開いた浜面「んなことは分かってる。最初からな。多少喧嘩慣れした程度の男ってのが俺の本質だ」上条「そうか。卑下にするようなことを聞いてすまん」浜面「で、何が言いたいんだ?まさか嫌がらせが言いたかったわけじゃないんだろ?」上条「いやな、えと、とりあえず質問。お前は歴史とかって得意か? 」浜面「はぁ?そんなもの俺が得意そうに見えるか? 」上条「いや、全然。よっし、さらに質問だ。ある国Aがある国Bと戦っていました、」適当な相槌を打ちながら浜面が聞く上条「で、Aは戦略的に重要な島を奪うことを目標に島のB軍に総攻撃をしかけました」上条「結果、Bはなんとか守りぬきましたが大損害を被り、Aにも少々の損害を出しました」上条「さて、これはどっちの勝ちだ?」急に変な質問をされ、少し考えた浜面「あーこれってAの負け。それも大惨敗だと思うわ」上条「ほー。それはなんでだ? 」浜面「だってよ、Aの目標は奪うことだろ?それが達成できてない時点で失敗だ。その上、大損害を被ったBに対して少々の損害のAが奪還出来なかったって結果だけ見れば、もともとどんだけ戦力が有ったか知らんが、その少々の損害で確実にしばらくは再度攻撃出来なくなったってことだろ」浜面「しかも戦略上重要な場所なわけだから、Aは立て直すまでの時間でBの島を起点に手痛い攻撃を食らいかねない。ってとこかな」上条「…満点の回答ありがとさん」
浜面「ワーイ!うれしいぜー。って、んな事と先の質問に何の関連があるんだ」上条「いや、お前の役割についてなんだが」上条「案外、お前って司令塔的な役割が向いてねーかなと思ってな」浜面「はぁ?俺が?言っておくが俺にはそんな統率性はねーよ」スキルアウト時代のことが、頭の中にめぐる上条「過去に何がお前にあったかも調べてある」上条「その上で言ってんだよ。考え直してほしいのは、もとよりそういう素質が無いなら、お前にそういう役割が回ってくることはなかったってことだ」少し男子トイレの周りに気配を配る。誰も近くには居ないようだ上条「お前には言うけども、俺自身が今の敵と関係が有る。だから、間違いなく俺に何らかの形で接触を図ってくるだろう」上条「そうなると、いざというときに指令系統が無くなる可能性が有る」上条「他の女の子たちは、チームプレーは出来るが、能力に固執したワンマンプレーの集合でしかない。今までの仕事もそうだったんじゃないか?」浜面「そうだな。一応麦野が指示を出してただが、結局は能力頼りの力攻めの割合は大きかった」上条「今まではそれだけで圧倒できた。だが今回は違う。高レベルの能力者が急に増えただろ?」浜面「そうだな。どんな方法かは知らんが、間違いなく無能力者が能力者になってる」上条「それだ。あんな技術、本来この町にない。外部から何かが供給されてできたって事になる。問題は、その威力。あの第三位が 一方的にやられるレベルだとすると」浜面「それ以下が確定してる俺たちじゃ、今までどおりじゃ戦えないってことだな?」上条「言いにくいけど、そういう意味だ。となると必要なのは指揮官。俺も恐らく前面に出ることになるだろうから、全体を見れる位置に部隊としての頭脳が一つ欲しい」浜面「で、俺と?待て待て、そこまでの力は無いぞ?」上条「分かってるさ」浜面「はっきり言ってくれるな。褒めたいのか貶したいのか分かんねーよ」上条「だから、お前を強化しようと思うんだ」
一瞬、驚きの表情を表す浜面浜面「オイ待て。俺が今更能力者になったぐらいじゃ対して状況は変わらないだろ?」上条「おっ、戦力分析も完璧だ。ますますお前はそういう分野に向いてるように思えるよ」長い会話を終え、ようやくトイレから出ようとする上条「敵情視察も兼ねて、絹旗と俺で敵の拠点に向かおうと思ってる。そこで何か調達してくるつもりだ。お前向きのなにかをね」浜面「…了解。行って来てくれ。まだここもバレてないようだし、行動するなら今が好機だ」
麦野「当麻と絹旗だけで敵情視察?!」浜面「ああ、さっき出てったぞ」麦野「なんで絹旗なのよ!」浜面「恐らく、何かでかい物持って帰るんだろ。アイツはお前みたいに私情で人選なんてしないだろーからな」麦野「は、ハァ?いつ私が私情で動いたってのよ? 」フレンダ「対侵入者用の設備を設置するときにずっと彼と一緒になるように騒いでた人が何を言ってんのかしらねー」麦野「そ、そりゃあ、彼手術で疲れてるみたいだったし、せ、背が届かないところとかあるかもしれないじゃない!」明らかに狼狽しながら取って付けたような理由を並べる滝壺「むぎの、それは苦しい言い訳だと思うよ?」
浜面「まぁ、すでに結構時間が経ってるからな。今さら追いかけても無駄だと思うぞ」そこに、体調が有る程度回復した御坂が入ってくる御坂「あれ?と、当麻は?」浜面「おー、元気になったか。アイツなら絹旗と敵情視察に行ったところだ」御坂「え、絹旗ってあの小さい子ですよね?なんで?」フレンダ「おおっと、これは軽くデジャヴな気がする訳よ」一度行ったやり取りをもう一度行うことになりそうで、若干げんなりした声が上がる滝壺「あのね、あの人小さい子が好きみたい。ということは、私も、ターゲット?」そこに、以外な人物から意外な言葉が発せられた浜面「あのー、滝壺さん?」滝壺「冗談。わたしははまづら一筋だよ?」浜面「わーうれしい。じゃなくて、いやうれしいけど。そうじゃなくて、なんでからかうような事を言うんだよ」滝壺「だって、冗談だもの」浜面「… 」御坂(え、アイツってそっち系だったの?どうしよう、私って背は小さい方じゃないわよね。いやでもちいさいのがすきというこ とはこの忌々しいサイズの胸でももんだいはなくなる?これは良い武器になる?)麦野(浜面もさっき言ってたじゃない。何を取り乱してるの私。いやでも私はその場に居なかったし、滝壺はもともとここに いたのよねじゃああの子の言ってる方が正しいのかも浜面って案外空気を読んで発言することもあるしもまさかそんな)滝壺と浜面で向き合って話をし、LV5陣は目をグルグル回して動かない異様な光景がそこにはあった
フレンダ「あれ~これって私完全にアウェイじゃない?まぁ、どうでもいいけどなんか来てるわよ?」部屋のモニターにツインテールの少女の像が映し出される御坂「アレ?黒子? 」意識が彼方から帰ってきた御坂が反応する浜面「あの子は知り合いか?」御坂「はい、あの子は私の後輩なんですけど… 」どうやらここと決め込んでいるようで、門の前をうろついている麦野「なんでこの場所が分かったの?」御坂「知らないわよ 」滝壺「今ここで彼女を迎え入れるのは危険だと思う」判断を決めかねている中でフレンダが装置を動かすモニター内でアームが動き、ツインテルの少女の周りで止まるフレンダ「ちょちょいとね、はい、第三位さん、あなたならこの器具通して怪しい電波とか調べられるわよ?」言われた通りに電気を流し、遠隔的に白井を調べるどうやら、何ら反応は無いようだ浜面「滝壺 」演算補助装置の腕甲を付けて、視認可能な範囲で能力の反応が無いか調べる体晶を使わない能力の使い方としてあるのだが、心理的な抵抗があるのか、少々表情が厳しい滝壺「うん。大丈夫。あの子以外に反応は無いよ?」フレンダ「カメラにも人影なし。トラップにも反応なし」浜面「よし、じゃあ入れてやるか」隔壁が開き、カメラから少女の姿が消える
麦野「こんな設備ここにもともとあったの?」浜面「いや、もともとあった奴をアイツが改造したんだよ」麦野「ってことは、第三位や滝壺用にとうまが作ってくれたってこと?」フレンダ「ちなみに私の装備とか罠もあの人に弄ってもらったものよ」麦野「女じゃない浜面はおいといて、私にだけ当麻の装備が無いのは気に入らないわ」フレンダ「そのままでも強いって彼に認めてもらってるんじゃない?」麦野「そ、そうなのかな?でも私もなにか欲しいわね」御坂(おかしい。アイツはこんな高度な物を作れるような人間じゃななかった。私の施術といい、明らかに変よ)御坂(ここの連中は日頃のアイツをよく知らないから問題なく受け入れれるでしょうけど、私には違和感をありありと感じる)御坂「滝壺さん、その腕の、触ってもいいですか?」滝壺「いいけど、壊さないでね」触れ、軽く電気を流して調べる御坂(なによこれ。本来能力者がやってることを代替してる。こんなの、この人の能力がどんなものか完全に理解してないとまず不可能よ。ひとつの研究施設をあげて作れるかどうかってものじゃない)手を離し、返す御坂「もういいです。ありがとうございます。これってどれくらいの時間で作った物なのか分かります?」滝壺「えっと、1時間もかかって無かったと思う」
御坂「1時間、ですか」滝壺「そういえば、その前に、しばらく頭を撫でてもらってたから正確には1時間を超えるかな」浜面「なんだと!畜生あの野郎澄ました面しておきながら…!」麦野「ちょっと、滝壺!私が居ない間に何してもらってんのよ!」フレンダ「あちゃー、うるさい猿が二匹に増えたんだけど」御坂(膝枕なのかな!?あの馬鹿私にも…って違う。多分脳内スキャンとか、そんな辺りね。でも、脳波測定機なんかここには無いし、簡易な物では調べられない領域も必要だろうし、高感度な計器が無いと無理だけど、手でそれをした? )御坂(まさかそんなことは無いでしょ。でもそうじゃなければ、そういう理由付けにしてあの人の頭を撫でたかったって事になるわよね!)そして彼女もまた表情が麦野達のようになるこのタイミングで部屋の扉が開いた麦野・御坂「当麻!?」 浜面「上条!?」視線が集まった先の少女は戸惑ってしまった白井「あ、あの、熱烈な歓迎はありがたいんですが、目が怖いですの。あ、お姉さま」御坂に飛び付く白井御坂「黒子、どうやってここが分かったの? 」白井「端的に言うと、上条さんに救われたからと答えられますわね」
時間を少し戻して、第7学区
迷路のような地下通路を抜け、地上へ出る上条「よし、まずは他学区へ行こうか、絹旗ちゃん」絹旗「ちゃんはいりません。分かりました。でも堂々と行って良いんですか? 」上条「ここまで来たら問題ないだろ。隠れ隠れ行くのは疲れるからな」昨日の戦闘で町は壊れているものの、人影が有る程度回復し、復興が始まっている絹旗「この学区はもう米軍下に完全制圧されてるみたいですね」上条「そうだな。特にここは学校も少ないところだし」絹旗「能力者の集団もここにはいないみたいですね」転がっている駆動鎧のヘッドパーツらしきものを拾い上げ、投げる上条「上層部が全滅した都市運営サイドに代わって、平等を声高に宣言しながら入ってきた米軍が制圧復興の手助けをすりゃ あ、無能力者側としても反対する理由もないからな」絹旗「実際、これで平等になっても、戦って死んだ人は大損ですよね。一部の無能力者が戦ってようやく得られたものなのに、部屋で引きこもっていた人と同じ扱いだと」上条「恐らく、アメリカはそれも織り込み済みだろう。反抗しそうな無能力者集団の人間は武力攻撃の対象としてマークしてるだろうし、そんな集団が今にアメリカ軍に攻撃を仕掛けると思う」絹旗「そうなると、ますます思い通りでしょうね。効率よくアメリカに反対するものを消せますから」血ぬられた死体が転がっている。彼らにとってはなんの心理的影響も与えないだろう絹旗「今思えばいいシステムです。今の段階で助かってる能力者たちは良い学校の人、つまり学園都市的には価値の高い高レベルの能力者・親が影響力を持つ生徒や学生は殆ど死傷者が出ていないそうですよ」上条「学び舎の園なんかには防衛施設も有るし、元々強い上、部隊も第一学区並みに整えられていたからな」絹旗「死んだのは殆ど低レベルの能力者と巻き込まれた無能力者側だけ。良く考えれば、世界規模では無能力者の方がよっぽど多いんですから、世界市場を相手に物を作るなら、その被検対象の無能力者がたくさんいても、新技術の試用ができるという面ではデメリットになりませんし」上条「もともと高位能力者を作るだけと言うのは、経済活動として限界があるからな」
上条「その上、下手に能力が有るやつのほうが、どうも人工的な物を受け付けにくいようだからな。生命本来のの防衛機構とか考えれば理解できなくない」絹旗「えっと、輸血可能な血とかと一緒と考えても?」上条「そうだな。A型はA型の血しか受け付けないが、O型は全部可能。血液型を能力と置き換えて考えるってのは良い代替思考だと 思う。賢いじゃないか」絹旗「えへへ。そりゃ、仮にもLV4ですからね。頭の回転はいいです。自分で言うのは何ですが」会話をしながらも、二人は気配が近づいているのを感じていた人気の少ない研究施設廃墟群へ歩いていく上条「上手く釣れたようだ」絹旗「そうですね。移動速度的には軽装でしょうか」短銃身のライフル弾が数発、飛来する。敵は復興作業を気遣ってか、銃撃の音は響かない絹旗が装備している眼鏡に地形の情報と敵の予想位置が表示されている。読めている攻撃が通じる程、甘くは無い上条「OK。その眼鏡はうまく機能してるみたいだな。サイレンサー使ってるくらいだし、周りで復興作業をしてんじゃ、例の音による領域減衰弾は使ってこないだろ」絹旗「あらかじめの読み通りですね。上手く誘導させてもらいます。では」手はず通りに 少女が男から離れ、左手の廃墟へ飛び込む男の方は変わらず歩き、角で姿をくらました部隊の抹殺対象は少女が優先される軽装が数人、施設に続けざまに入った
絹旗(3人ですか、隊を二分させましたね。これも読み通り)絹旗(敵の兵装が把握できない以上、いくら軽装とはいえ、むやみに白兵戦を挑むのは危険でしょう)壁際で身を隠し、眼鏡をサーモモードに切り替える追手が、一直線に絹旗が身を隠す部屋へ移動している絹旗(相手もこちらの位置が見えてるようですね)息を止め、小石を他の部屋に投げ込むが、敵の動きには変化が無い絹旗(状況判断的には私と同じ熱源探知で私を捉えてると考えるべきですね。なら)部屋の光源を全て潰し、敵の接近を待つ部屋のそばまで敵が接近した液体窒素の缶を取り出し、自分に向かって中身をかける窒素装甲によって皮膚に直接触れるのを避け、自分の周りの温度を瞬間的にかなり押し下げる絹旗(これで、一時的ですが敵は私をロストするはず)石つぶてを敵の近くの出入り口に投げつけ、音で敵の意識を変えたところで音をたてずに逆側の扉から部屋をでた絹旗(これで敵の裏を取ったはず…!?)部屋を出た瞬間、銃のライトと弾丸が絹旗に向けられた
奇襲を仕掛けたと思っていた為、敵の攻撃に対する防御態勢が整いきれない小さな悲鳴とともに小さな体が倒れ込む装甲によって直撃を食らったわけではないが、連続する衝撃が、崩れた絹旗の体勢を整させないため、起き上がれない何とかして身を起こそうとしたところに、榴弾の衝撃がたたみかける。好機と見て畳み掛けるつもりのようだ狭い廊下では、衝撃が逃げ場をなくし、地上で食らうのとは比較にならない圧力が絹旗を襲う戻りかけた体勢がまた崩され、後方に飛ばされて地面にたたきつけられたその瞬間を逃さず、敵兵が大型口径の拳銃を構えながら接近してくる立ちあがろうとする手足を正確に射抜く窒素装甲では守りきれない衝撃が幼い少女の手足を襲った少女は呻き声をあげる他、術がない絹旗(こんなの、もっと近づかれて食らったら意識をやってしまいます)敵は惜しみもなく小銃掃射と大口径攻撃を続ける致死レベルにまで敵が近づき、もうダメだと感じた瞬間、閃光弾が炸裂するもう一度爆発音が響いたしばらくして、慣れてない目が慣れたころに目を開くと、薄いながらも煙で霞んでいた二度目の爆発音は発煙弾だったようだ反射的に敵の姿を探すが、その姿は無く、変わりに最近よく見るようになった姿の男が立っていた
上条「大丈夫か?」手を差し伸べられるそれを使って身を起こそうとするが、手足に少々痛みが走った小さな声をあげると、身を案じてか、背を向けて身をかがめたどうやら乗れ、と意思表示しているようだそれに甘えて、少し恥ずかしそうな表情を浮かべながら身を預ける絹旗「ありがとうございます」上条「ん、気にすんな。女の子を助けるのは紳士の定めですから」絹旗「紳士ですか。まぁ、助けてもらった手前、否定はしません。あと、怪我の方ですけど関節や骨がやられたわけじゃないのでしばらくしたら良くなりますよ」上条「そうかい。別に絹旗ぐらいの体重ならそこまで気にならないけどな。いやぁ、焦った焦った。結構耐衝撃性を重視して作った眼鏡の発信が急に無くなったからな」絹旗「少し敵の兵装を甘く見ました。熱源探知機を使ってるものだと思ってたんですが」上条が絹旗をおぶりながら足で倒れている死体の腰を指し示すように軽くけった上条「コレだ。どうも決めた能力者のAIMを探知するものらしい。無論滝壺の能力のレベルの代物じゃないが、この狭い施設範囲なら場所の特定位ならできるだろうさ」絹旗「そんな物を使われる事は今までなかったですから、知りませんでしたよ」上条「仕方ないさ。装備からも分かるように、これは米軍の特殊部隊のようだからな」絹旗「学園都市でも見かけないものがなんでアメリカ何かに?」上条「ちょっと前にな、あっちの科学技術が一足飛びに進歩しちまったんだ。科学技術そのものならもうアメリカはここを超えちまった。まだ大量生産体制で作れるほどの体系は出来ていないだろうが、少数生産なら対応できるハズだ」
絹旗「つまり、これからも私たちの知らない武器兵装が出てくる可能性が有る、と」上条「そうだ。この強引な敵情視察も敵の武器レベルの特定が主な理由だしな。胸元に眼鏡の予備が有るから、取っといてくれるか? 」絹旗「ハイ 」そういって、上条の胸元に手を伸ばす胸の上着のポケットの中に眼鏡があった眼鏡を手にとってしばらくしても、絹旗が胸元へ伸ばした手を戻さない体勢的には上条の脇の間に腕をまわし、体を密着させている状態だ絹旗(浜面の時もそうでしたが、やっぱり男の人の背中って何か安心できるんですよね。それに…)上条「あの、絹旗さん?肩の上から腕を伸ばした方が楽だと思いますよ?」絹旗「い、いえ、その、このままじゃ、駄目ですか? 」上条「いや、別にいいけど。とりあえず上条さんは紳士だということをお忘れなきよう」絹旗「?あ、そういえば上条さんの方はどうだったんですか? 」上条「万事問題なし。その眼鏡付ければ分かると思うが、逃がした敵の動きは完璧にトレースできてる。これを追っていけば、敵の 施設まで問題無く進めると思うぞ。まぁこっからは隠密行動ですけどね」絹旗「分かりました。でも、まだしばらくこのままで居させてもらってもいいですか?」年下の女の子にお願いされて、重いから無理とは言得るハズもない上条「…鋼の体を持つ上条さんには余裕です!」絹旗「わかりました。あなたの体力を考慮しながら休ませてもらいますね」上条「…助かります」(次の副作用の時にはもっと体力方面に特化しましょうかね)上条(…助かります)
学園都市某所
結標「私に個人的に用事なんて珍しいじゃない」一方「…ああ、ちょいとばかし用事があってな」歯切れの悪い一方通行に眉をひそめる結標「なんだかあなたらしくないわね。で、何用よ?」結標に近づき、首元へ手を伸ばす一方「…すまねェ」かざした手で首に触れ、一瞬、首を強く締めるんんっ、とうめき声を一瞬上げ、意識を失ってその場に崩れる結標を抱きかかえ、一方通行はその場を去った土御門「一方通行と結標の連絡が取れない、か」海原「その上、そこに居るショチトル以外のメンバーとの連絡も取れないですね」土御門「上との連絡もアレイスターとの連絡も断たれた以上、俺たちの独断で行動する他、身の振り方がないんだがな」海原「そうなりますね。まぁ、長期休暇と思えばいいのでしょうか」土御門「仕事が無くなった以上、自然とそうなる。アメリカの駐留も有る訳だから暗部の俺達に何が有るかは分からない。しばらく身を隠して成り行きを見るしかないか」海原「それでも、彼らと連絡が付かないのは気になるところですね」土御門「ああ。とりあえず、その子はお前と一緒に居たらどうだ? 」海原「そうさせてもらいましょう。お互い暗部に所属しておきながら同郷の者と無傷で顔を合わせているわけですし」土御門「同郷の者、ねぇ。間違っても寝首をかかれるようなことは無いだろうな」海原「さあ、わかりません。気はつけますけどね」二人が部屋から出ていくのを見送り、誰もいない部屋を見渡す土御門(最初からアメリカに仕組まれていた、か。全く読み切れていなかったな)土御門(これで学園都市は平穏を取り戻すだろうし、暗部組織の元が消えちまったら俺がここに居る理由は減る。イギリスに行くのもいいが)土御門(そう言えば、ステイルがこっちに来ていたよな)そして彼も部屋を出た
第23学区
本来ならば重要な拠点であるのだが、第一学区の防衛の為に戦力を大きく割き、更に無能力者勢力が高位能力者が多く防御の厳しい学区や地区を避けた攻撃目標を取った為手薄と判断された23学区は極大な被害を受けていた地上に配備された戦闘爆撃機・対潜哨戒機・垂直回転翼機は全て破壊され、ビルや研究施設は破壊されているだが、今現在は既に米軍制圧下となり異様なペースで復興が始まっている上条「まぁ、どうせこんなもんだろうとは思っていたが」絹旗「というと?」上条「見た目自体の被害は大きいが、どうも壊されても問題の無い部分を攻撃されたみたいなんだよ」壊れた戦闘機が放置されたランウェイを指す上条「倉庫なんかは壊されてるが、地下リフトは完全に無傷だし、地上の整備施設も健在だ」上条「他にも宇宙開発の周りのビルや小規模施設は壊れてるが基本的に基盤は無傷に近い」絹旗「占拠後の事を考えて破壊されたと言いたいんですね」上条「そう言うこと。今頃、学園都市が何年もかけて築きあげた技術や研究情報なんかが吸い出されてるだろーさ」絹旗が装備した眼鏡に追っている敵の反応が表示される絹旗「あっちの建物みたいですね」指で示した施設は殆ど吹き飛んでいた絹旗「あ、あれ?でもあそこから… 」眼鏡上の表示が消える上条「地下だな。恐らく、あそこも地下施設が本命なんだろ」
絹旗「しかし、この辺りはパトロールが厳しいですが、どうします?」上条「なぁに、問題ないさ。もう一度、背に乗ってくれるか」そう言われ、素直に背に乗るそして堂々と上条は身を隠していたところから絹旗と一緒に飛び出した絹旗(ちょ、わっ)当然、M4カービンを向けられ、兵士が接近してくる動くな的な事を言っているが、少女を背に負った男が対象なので強く迫った感じは無い「(米)何か身分を示すものは」上条「(米)これもいいかい」胸にぶら下げたタグを示す読み取り器具を取り出し押し当てる「(米)その子は?」上条「(米)妹さ。怪我したんで研究室で休ませようと思ってね」ピーという電子音と共に画面に緑の文字が現れる「(米)そうか。なんなら、俺のメディキットをやるよ。あと、妹さんの学生証などはあるか?」絹旗に日本語で学生証を見せるように言う絹旗「私のカードなんて見せたら捕まっちゃいますよ」上条「大丈夫。問題無い すごすごとカードを渡した」特にエラーも起きず、返ってくる「(米)問題ない。この辺りの他の兵にも情報を共有してあるから、これでここでは自由に動けるぞ。あと、必要ないだろうけど、一応コレ持ってけ」上条「(米)ありがとう。大事に使わせてもらうよ」緊急処置セットを貰って、兵士から離れた
絹旗「どうして?」明らかに困惑した声がした上条「ああ、基本的に、制圧目的の一般兵まで、暗殺なんかの特殊部隊の目標が共有されることは無いんだよ」上条「だから普通に接してくる。それを利用して、このタグだ。このタグは一種、トロイを仕組んでてな」上条「特定のアクセントを持つ情報が来たら、無条件にパスするようになっている」上条「そして、一度通してしまうと兵隊のHMDの情報共有システムで、俺たちに無害のタグが張られる」上条「そうなれば、少なくとも一般兵が守る範囲では俺たちは敵として認識されなくなるし、カメラに入っても反応されることは無くなる」絹旗「確かに、これだけ監視があったら動けませんでしたからね。でもなんでアメリカ軍の内情なんてご存知なんです?」上条「ん、まぁいろいろとあってね」言いながら、絹旗を下ろして地下への蓋を開き梯子を下りていく絹旗「…上は見ないで下さいね」そう言われると、逆に反射的に見てしまうのは人の性だろう梯子のある空間は暗かったので、当然上条がどこを向いているのか見えたりはしないだがこの男、本質的には馬鹿である上条「大丈夫。真っ暗で上は何も見えないから」絹旗「…見ようとしたんですね」上条「あ、いえ、その」上から足が勢いをつけて伸びてくるちょうど手を次の段に移すところだったので、上条はバランスを崩して落ちた
幸い、地面は近かったので怪我はしないで済んだが、設置されていた対侵入者用のセンサーが反応する暗かった施設の壁に赤い光がともり、警報が鳴り響く上条「まずったぁ。絹旗、早く!」絹旗「わかりました!」梯子を飛び降りた絹旗を受け止める角から敵が飛び出し、銃口に光が点る反射的に、逆方向へ走った窒素装甲のある絹旗には銃撃などさしたる問題にならないが、上条は当ったら致命傷になりかねない絹旗「私の前を走ってください!」絹旗が盾になりながらT字路に差し掛かる右か、左か、瞬時に判断する材料は無い。右の奥の角から敵が出てくるのが見えたので、反射的に射撃する頭へ直撃して崩れ落ちたのを確認しその方向へ走る。理由はもちろん、振り向く暇が惜しいからだ死体から銃を奪い、角から出る前からフルオートで射撃する構えていた兵士より先に攻撃が命中し、見えている範囲はクリアになった先は行き止まりで、通路より少し広く、自販機やソファが設置されている後ろから敵が迫っている絹旗が自販機を投げつけた。狭い通路では逃げ場が無く、直撃二名の軽装兵が潰れ死に、赤い液体が広がる相変わらずサイレンが鳴り響いてはいるが、敵の足音は無くなった
死体から銃と榴弾、単眼HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を奪い、装備する壁に扉が二つ片側の扉は開かない中に入ると、そこには大きな窓が有り、開かなかった隣の部屋の中を見渡せる明りは消えているが、何かの機械が動いているらしい。低い音が響いている絹旗「こんなものがありますね」絹旗の手には書類があった読むために、部屋の明りを付ける同時に、隣の部屋の照明も照らされた窓はあっちの部屋からすると鏡になっているようで、隣の部屋の明りが際立つそこには、どこかで見た少女が倒れていた咄嗟に手元の書類に目を通す『今後の被検体の使用予定高レベルの空間転移能力の試用方法として以下が挙げられる1:次世代運輸装置への研究材料2:他次元における実験3:宇宙開発への応用どの実験にしても、高レベルの次元管理及び演算の解明が必要となるよって未元物質と同様、本国施設へ送り、原子レベルまで解体することで、特に脳の反応構造を把握すべきである~』上条「相変わらず、えげつないことを」どうやら動いていたのは強力なAIMジャマ―とキャパシティダウンのようで、たとえ空間転移可能な能力者であっても、この見世物小屋からは逃れ得ない
上条「絹旗、この機械のフレームを剥いでくれるか?」絹旗「了解」金属の軋む音と壊れる音が鳴り響く。外板がはがれむき出しになった対能力者設備を見て電源部分の大きなプラグを引き抜く機械の動きが止まったのを確認し、今度は窓に榴弾をくくりつけ、割ろうと試みる大きな音と衝撃が部屋に木霊し、窓に亀裂が入った絹旗「これなら、なんとか壊せますね」出来た亀裂めがけて、少女が拳を振るう徐々に亀裂が大きくなり、割れた部屋の間を飛び越え、少女の側で屈む薬物を投与されたのか、顔色が良くない。脈も不正常だ(何を投与されたか分かりません。ナノマシンを使うしかないかと)上条(了解だ)貰った医療キットから注射器を取り出し、自分の腕に刺す絹旗「一体、何をしているんですか?」はたから見ている絹旗には何が起こってるかわからないだろうある程度血が溜まったのを確認し、慎重に白井へ投与する絹旗は、真剣な顔をしている上条を前にして、それ以上追及するのを諦めた少女の青白かった顔に朱が混じるようになり、脈も強まって一定のテンポを刻む
回復傾向にある事を確認して、少女を横に抱きかかえ、部屋の外のソファに寝かせようと移動させる上条「絹旗、さっき破壊した機械から、この形の物を回収してくれ」絹旗の付けている眼鏡に具体的な図形が現れるいわゆる御姫様だっこ状態の少女へ多少の嫉妬が生まれるが、敵に見つかってしまった原因が自分であることの反省から、それを整理して言われた部品を探す事に専念するそんな彼女の後ろで少女の意識が回復した目を開いた先には男の顔が有るそれはよく知った顔で、彼女から徐々に意識を奪う薬を投薬した連中が絶対に持っていない、優しい顔で少女を見ていた上条「おはようさん」安心して感情の堰が切れたのか、目に何かが溜まっていく感じがしたそんな顔は見まれまいと、上条の胸元に顔を押し付ける上条は着ていた服が湿っていくのを感じた野暮なことは言うまいと、無言で胸元の少女の涙が止まるまで両腕で体を支えながら手で頭の後ろを撫でてやる(なんだか、女の扱いがうまくなってきましたね)上条(最近、こういう役回りが多いからな)しばらくして絹旗が部品を見つけ出し、白井が泣きやんだ白井「ありがとうございます、ですの」発言は少しぐずついているようだが、感情は限りなく平常に近く、既に自分の足で立っている
上条「なぜ白井がここに居て、何をされたのかは後にして、とりあえず今は非常事態だ。俺と絹旗はまだ少し探索を続けるが、白井は先に俺たちの拠点に行ってくれるか?」白井「拠点ですか、それは一体どちらに?」上条「これを使ってくれ。安全な経路もおさえてる」ポケットから携帯端末を取り出す上条「ちょっとごたごたしててな、変なメンツがそろってはいるが、気にしないでくれ。御坂もいるし」手に取った端末のモニターに映った場所を確認して、彼女は頷いた白井「分かりましたの。でも、必ず帰ってきてくださいまし。まだちゃんとしたお礼をしていませんし」上条「あいよ。お礼を期待しておきますね。よし、絹旗、行こう」しばらく構ってもらえなかったからか、少し喜んだような表情をする絹旗「分かりました。…っとと」白井視点では白々しい感じがしたが、背負った荷物が重い、とアピールするように、上条へもたれかかる自称紳士な上条は当然、体と腕で受け止める上条「おっと、重かったか?」絹旗「いえ、大丈夫です。ちょっと予想より重かっただけで、対応できない程じゃないですよ」上条に正面から受け止められたまま、上目使いで答えたそれを見ていた少女の笑顔に悪意が混じるが、切り替えてはっきりとした声を出す白井「では、私、体調も万全ではないですから、先にその拠点へ参りますわ。そちらでお待ちしております」白井が消えた上条「じゃあ、こっちも行くぞ」絹旗「はいっ」
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