常盤台学生寮 自室――美琴「絶対成功させるんだから……今度こそ」ブツブツ黒子「お姉様?」美琴「まずはアイツを探して…」ブツブツ黒子「悩み事ですの?」美琴「……速攻で告白するんだから」ブツブツ黒子「告白!? 告白ってなんですの!?」美琴「誰にも邪魔はさせない…」ブツブツ黒子「ま、まさか、あの殿方に!? 答えて下さいまし!!」ガクガク美琴「ん? 黒子どうかした?」黒子「どうかしてるのはお姉様ですの!あの類人猿に告白するなんて、あのような馬の骨にぃぃぃぃぃ!!!」美琴「はあ?」黒子「とぼけないでくださいまし! 黒子はばっちり聞きましたの!」美琴「アイツは馬の骨なんかじゃないわよ!!」黒子「へ?」美琴「私を守ってくれる、最高のヒーローなんだから!!」黒子「」フラフラ美琴「いくら黒子でもアイツを悪く言うのは許さないわ」黒子「……おかしいですわお姉様。素直すぎますの」
美琴「意地を張ってもしょうがないでしょ」美琴「アイツだけは誰にも譲れないもん。だから絶対に振り向かせてみせる!」黒子「そこまでの決意を……」美琴「黒子?」黒子「分かりました。わたくしはお姉様の恋を応援しますの」美琴「!?」黒子「お姉様の素直な気持ちを伝えれば、上条さんはきっと応えてくれますの」美琴「応援してくれるのは嬉しいけど、急にどうしたの?」黒子「わたくしはお姉様のパートナーです。お姉様の幸せを願うのは当然ですの」美琴「そっか、ありがとね、黒子…」ギュッ黒子「お姉様…」ギュッ美琴「よーし、いってきます!」黒子「いってらっしゃいませ。お姉様、御武運を」
美琴「まずはアイツを探さないとね」美琴「とりあえず、何時もの公園に行ってみるか」タッタッタ例の自販機のある公園――美琴「いないわね、此処じゃないのかしら?」キョロキョロ佐天「御坂さーん!」タッタッタ美琴「あら、佐天さんじゃない」佐天「どうしたんですか? 何か探してるみたいですけど」美琴「えーっとね、人を探してるの」佐天「風紀委員のお手伝いですか?」美琴「違う違う、個人的なことだから」佐天「そうなんですか。あたし暇ですから一緒にさがしますよ」美琴「ええっ!? だ、大丈夫よ、そんな大した用事でもないし……」ゴニョゴニョ佐天「……」キュピーン佐天「はっはーん」ニヤニヤ美琴「な、なに佐天さん?」佐天「御坂さんが探してるのって男の人でしょ」ニヤニヤ美琴「……はぁ、正解よ」
佐天「え? 御坂さんが素直? まさか偽者!?」ガクガク美琴「何言ってるの、私は本物よ」ヤレヤレ美琴「素直になるって決めたの」佐天「なにがはじまるんです?」コンラン事情を説明中佐天「なるほど! 上条さんに告白するんですね!!」ダイコーフン美琴「そ、そうだけど」佐天「何て告白するか決めてるんですか?」美琴「…決めてない」ズーン佐天「それは不味いですね」美琴「ぶっつけ本番はやっぱり不味いかしら?」オロオロ佐天「そりゃそうですよ」美琴「でもどうすれば…」オロオロ佐天「はいはい! あたしに良い作戦があります!」キラキラ美琴「えー」フアン美琴「まあ聞くだけ聞いてみようかな」
作戦説明中
美琴「そっ、そそそんなことッ、ほほ本当にするの!?」マッカ佐天「当然です」美琴「でっでもでも、いきなりしちゃったら嫌われない…?」オズオズ佐天「大丈夫ですって。御坂さんにされて嫌がる人なんていませんよ」美琴「本当に大丈夫かな。何かおかしい気がするんだけど」佐天「任せて下さい! 行動派の御坂さんにピッタリな作戦ですって」佐天「いくら上条さんが鈍感でも、絶対伝わりますよ!」美琴「そうよね、……言葉より行動よ!」美琴「ありがとう! 上手くいったらすぐに教えるから!!」タッタッタ佐天「頑張って、御坂さん!!」ブンブン
夕暮れの河川敷――
上条「~~~~~♪」ハナウタ美琴「見つけた! おーい!」タッタッタ上条「~~~~♪」ウタウ美琴「ちょろっとー」上条「~~~~~♪」ハナウタ美琴「このっ、スルーしてんじゃな…」ハッ美琴(いけない! ここでビリビリしちゃいつもの繰り返しだ)美琴(黒子たちが応援してくれたんだもの。冷静にいかないとね)美琴(ここは佐天さんの作戦通りにいくしかない!)美琴「それっ!」ダキツク上条「うおあっ、だ、誰だ!!??」チラリ上条「みみ御坂さん!? とうして抱きついてるんでせう!?」美琴「(恥ずかしいぃぃぃ)えーっとね、大切な用事があるんだけど今いいかな?///」ウワメ上条「わわわ分かったからそんな目でみないで! あと離してくれぇぇぇ!!」ヤワラケエ美琴「うん///」ドキドキ美琴(作戦の第一段階はクリア! 流石佐天さんね)
上条「それで用事ってなんだ?」美琴「えっと、その、アンタに聞きたいことがあるんだけど」上条「え? 勝負とかじゃないのか?」美琴「そんなんじゃ……って、そうよね、普段からアンタに迷惑かけてるもんね」美琴「ごめん。でも今日は…」ペコ上条「いいって! 変に疑って悪かった。だから頭下げなくていいから」オロオロ美琴「うん、ありがと」上条「ロシアの時は世話になったからな。何でも聞いてくれ」キリッ美琴「う、うん///」ドキッ美琴(緊張するぅぅぅ!! でもやるしかない、一気に畳み掛けるわよ!)美琴「アンタ今、恋人いる?」ドキドキ上条「はあ? そんなのいる分けねえだろ」美琴「本当!?」ドキドキ上条「嘘吐いてどうすんだよ。不幸な上条さんに彼女なんてできるはずがねえ」
上条「……自分で言ってて悲しくなるなぁ。あれ? 目から汗が」ホロリ美琴「彼女欲しいの?」ドキドキ上条「欲しいにきまってんだろ。俺だって健全な男子高校生だからな」美琴「欲しいなら///」ドッキンドッキン上条「どうした?」美琴「そんなに欲しいならあげるから///」マッカ美琴「しっかり受け取れやコラァァァァァァァァァァーーーッ!!!!!」ガバッ上条「なっ、ンン!!!???」chu美琴「んっ///」chuuu美琴(きききききキスぅぅ!! あああアイツとキスっ、幸せすぎておかしくなるぅ///)ビリビリバチバチ上条美琴「んんーーーーーーーーーーーっ!!??」ピシャーーーーン上条美琴「…………」プスプスプス
美琴「……」グッタリ上条「……」グッタリ美琴「…うぅ、痛ってー、何なんだよ何が起きた…」ヨロヨロ美琴「確か御坂にいきなりキスされて/// ッ!? そうだ御坂は!?」キョロキョロ上条「……」グッタリ美琴「」ボーゼン美琴「俺が…いる?」
上条「…………あれ?」キョロキョロ美琴「おい、どうした?」上条「ん? あんたは……シスターズか」美琴「違う。お前こそ誰なんだ?」上条「私は御坂美琴だけど」美琴「」ジブンノカラダミル上条「どういうこと?」美琴「」ユビサス上条「私? 私がどうかし……た」ジブンノカラダミル上条「なに……これ……」ガクガク上条「もしかしてアンタ…」ハッ美琴「…上条当麻だ」ガクガク上条美琴「……」ブルブル上条美琴「なんじゃこりゃああああああああああああああーーーっ!!!???」
美琴「とっとにかく介抱しないと」アセアセ美琴「おいっ! 大丈夫か?」ユサユサ上条「……大丈夫だ。問題ない」ムクリ美琴「良かった、気がついたか」上条「……良かった? そうだな、まさに僥倖だ」ボー美琴「早速で悪いけど、お前誰だ?」
美琴「まずは落ち着こう」スーハー上条「これが落ち着いてられるかっ!」コンラン上条「アンタは何でそんなに冷静なのよ!」美琴「異常事態には慣れてるからな…慣れたくなかったけど」シクシク上条「慣れるって、どんだけ愉快な人生送ってんのよ」ウワー美琴「言わないで!? 鬱になるから!」フルフル上条「分かったから、状況確認からね」美琴「…納得いかねえ。それと俺の姿でその喋りかたはキモイぞ」ハア上条「私とアンタの体が入れ替わったのよね」美琴「スルーされた!?」ガーン
上条「はいはい、次は能力ね」美琴「ん? 幻想殺しがあるのに入れ替わってる?」上条「幻想殺し? …異能の力なら神の奇跡さえ打ち消す能力…ね」美琴「!?」上条「効果範囲は右手のみ……ふーん」ニギニギ美琴「なんで知ってんだよ!?」上条「なんかね、知りたいって思ったら頭に浮かんできたのよ」美琴「マジかよ!? つーことは…」ビリビリ美琴「うおっ! すげー帯電してる!」ビリビリ上条「落ち着きなさい」パキーン美琴「あれ? ビリビリできない……もしかして幻想殺し?」上条「ええ、どうやら知識と手続記憶は体が覚えてるみたいね」美琴「でもどーするよ。幻想殺しで触れて戻らないってことは」上条「入れ替わりは通常の法則で起きたんでしょ」美琴「原因を見つけねーと…」
美琴「不味いな、これからどう…なにしてるんでせう?」上条「アンタの体凄いわね! 体中から力が漲ってくる!!」シュッシュッ上条「肉体強化の能力者もびっくりな身体能力じゃない!」ピョーン美琴「……上条さんは何時の間に神裂みたいなトンデモ人間になっちまったんだ?」ガクガク上条「これだけの能力なら一方通行に勝てたのも納得だわ」ブオーン美琴「違うからね!? 幻想殺し以外は一般人だから上条さんは!」ギャース上条「アンタ何も考えずに体を振り回してるんじゃない?」美琴「???」上条「だから、論理的に動かせば凄いポテンシャルが引き出せるってこと」ピョーーーーン上条「異常なまでの頑丈さも体の動きに耐えるためにあるんじゃないの?」ドスン美琴「……ありえねぇ」上条「少しは頭使いなさいよ」ヤレヤレ美琴「中学生に馬鹿にされた……」ガクリ上条「今はアンタが中学生じゃない」美琴「うだー! 遊んでる場合じゃねえだろうが!」???「おーい、カミやーん!」上条「ん?」美琴「あれは…」
上条「土御門さんであってる?」美琴「ああ」上条「……入れ替わったことは秘密ね」美琴「なんで?」上条「アンタは学園都市の暗部に狙われてる。ロシアの時に教えたでしょ」美琴「そうだったな。隙を見せるなってことか」上条「誰も巻き込みたくないしね」美琴「分かった。迂闊なことはしない」上条「お願いね……」土御門「カミやん呼んでるのに無視とか酷いにゃー」タッタッタ上条「すまん、話に夢中で気づかなかったんだ」土御門「まあいいぜよ。そっちは常盤台の超電磁砲かにゃー?」美琴「は、はい。か…御坂美琴です」アタフタ土御門「オレは土御門元春、よろしくにゃー」
上条「それより慌ててたけど、どうしたんだ?」土御門「そうだった、急で悪いがカミやんと禁書目録にはイギリスに行ってもらうぜい」美琴「!!! 何で!?」土御門「部外者には話せないにゃー」上条「…イギリス?」土御門「おーっと時間がない。カミやん詳しい話は移動中にするにゃー」ガシッ上条「え?え?」オロオロ美琴「ま、待て!」上条「ちゃんと説明し…」土御門「悪いにゃー。ちょっとカミやんは借りてくぜよ」シュー上条「」パタリ美琴「なにしてんだよ!?」土御門「大丈夫、ただの催眠スプレーだにゃー」ブロロロロ土御門「迎えの車も来たし、失礼するぜい」ガチャ美琴「待てよ! そいつはッ」ブロロロ美琴「くそっ! 車が行っちまう……そうだ!」ビリビリ美琴「行かせるかぁぁぁぁーーーッ」バチバチ黒子「駄目ですの!!」シュン美琴「!?」
美琴「…行っちまった」ガクリ黒子「お姉様! こんな所で雷撃の槍を使うなんて、どういうつもりですの!!」プンスカ黒子「常盤台のエースとしての自覚をもっと」クドクド美琴(御坂を巻き込んじまった……どうしよう)黒子「聞いてますの!?」ガシッ美琴「! ……な、何だ?」ビクッ黒子「上条さんに告白しに出かけたはずでしたのに」プンプン美琴「告白? 誰が?」黒子「お姉様に決まってますの!」美琴「マジか!?」ガビーン黒子「マジですの」美琴(だからあんなこと聞いてきたのか……)
黒子「お姉様、さっきから変ですの」黒子「今日は寮にお戻りになって休んで下さい」黒子「黒子は心配でたまりませんの…」スン美琴(不安だらけだが、土御門たちもいるし知識も問題ない)美琴(御坂が危険な目に……あっても大丈夫だな。……神裂みたいだったし)ガクガク美琴(これからのこと考えねーとな、なにより)美琴(こいつに心配かけるのは違うよな)美琴「分かった。心配かけてごめんな」ナデナデ黒子「理解していただければ構いませんの///」ドキドキ
常盤台学生寮――黒子「到着ですの」シュン美琴「テレポート凄いな! あっという間に着いたぞ」ワクワク黒子「?? 何を仰ってるんですの。いつものことですのに」美琴「そそそーだな。疲れてるのかもな。あはは」タラリ黒子「いけませんわ! 早くお休みになりませんと」美琴「そうだな。部屋に行くかーって、うわあああ!!」ステーン!黒子「お姉様!?」ギョ美琴「痛ッ、なんでこんなとこに空き缶があんだよ…ん?」シセン?寮生達「……」ポカーン黒子「……」ボーゼン美琴「……」美琴「あは、あはははは…失礼しましたぁぁぁーーーっ!!」ダダダダ黒子「……ハッ!?」キョロキョロ黒子「」イナイ黒子「お姉様ぁぁぁーーー!!」ダダダダ
常盤台学生寮 自室――黒子「お、お姉様? 本当に大丈夫ですの?」オズオズ美琴「あはは…」ボロボロ
美琴「もしもし御坂か!」pi上条『当たり前じゃない、アンタの携帯からかけてんだから』美琴「お前無事だったのか。土御門に拉致られた時はマジで焦ったぞ」上条『いやー、気がついたらロンドンに着いてたからね。私もビビったわ』美琴「もうロンドン!? あれから二時間位しかたってないのに!?」上条『超音速旅客機っていうの? なんか一時間ちょいでついたみたいよ』美琴「あれか……お前運がいいなぁ。トラウマになる乗り心地だった」アレ?上条『インデックスが潰れちゃってるけどね』美琴「インデックス……他は誰がいる?」上条『神裂さんとステイルの二人ね。今ちょっと離れてるけど』
美琴(部屋につくまでに転ぶこと三回、晩飯は美味かったけど、いつも通り不幸だ)アレ?美琴(まてよ。今は幻想殺しが無いから幸運は打ち消されないはずだ)美琴(なのに不幸が止まらない。御坂も不幸体質なのか?)ゲコッゲコッゲコ美琴(電話か、誰だ? 当麻…って俺!? いや御坂からか!)美琴「ちょっとトイレ行ってくる!」タッタッタ黒子「はい?」ポカーン
美琴「神裂たちがいるなら安心だ。不安に思うことないからな」上条『はあ? なんで不安? 面白そうじゃない!』美琴「……何が?」ピク上条『聞いてよ! 私たち遺跡調査に同行するの! 遺跡調査よ! これは冒険の予感がするわ』美琴「」カタカタ上条『心配しなくても大丈夫だってば。インデックスは護るし。遺跡の謎も解き明かしてみせるわ!』美琴「」ガクガク
上条『面倒くさがらずに優しく接すること』上条『あと黒子を邪険にしないこと。スキンシップも少しくらい認めること』美琴「ぜ、善処します」上条『駄目政治家みたいなこと言うな、この馬鹿!』美琴「だって俺、女の子と遊んだ経験とか殆どないんだぞ!?」美琴「スキンシップなんて……上条さんは男なんだよ! 狼なんだよ!」上条『平気だって。そうねぇ、アンタ今すぐエロいこと想像しなさい』美琴「ぶーーーーーーーーッ!!!」上条『ちょっと! 私の携帯汚さないでよ』美琴「なに言っちゃってんですか御坂さん! 変態だ変態だよ変態なんです三段活用!」美琴「くそっ、どうしてこうなった!?」ダイコンラン上条『落ち着きなさい』美琴「落ち着けるかあああああああ!!!」
上条『煩いっつーの。もう結論から言うわ』上条『アンタは女の子に劣情を催さない』美琴「」ピタ上条『精神が肉体との整合性をとろうとしてる』上条『今アンタは女の子なのよ。だから同性に反応しない。本当よ』上条『嘘だってんなんら試してみたら?』美琴「…………………………………………………………………………嘘だ」プルプル上条『ほ~らね。私の推察通りじゃない』美琴「嘘だぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!」上条『知ってる? 私は上条当麻に心底惚れてんのよ。他の男なんか眼中にないほど』上条『だからね、上条当麻にしか反応しないはずよ。あっははははは』美琴「自分に欲情!? セルフファッカー!? なにそれ!? なにそれぇぇぇぇ!!」上条『理解したかしら? 黒子たちの安全は約束されてるの』美琴「悪魔めぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!」上条『怒らない♪ 怒らない♪』
上条『とある冒険家の幻想殺し、みたいな小説が書けるくらい満喫するから』美琴(駄目だこいつ……早くなんとかしないと…)プルプル上条『アンタ聞いてんの?』美琴「へ? ああっ聞いてるさ」ビクッ上条『アンタも確りしてよ。冬休みだから学校はないけど、友達付き合いがあるから』美琴「友達……白井、佐天に初春の三人か」
美琴「帰ったら覚えとけ! 久々にキレちまった」上条『毎日お風呂に入るのよ。清潔にしないと許さないからね』美琴「またスルーしやがったな!」美琴「いいぜぇ。お前の体、どうなっても知らねーからなっ!」上条『……』美琴「あ~んなことや、こ~んなこと試してやる!」上条『……』美琴「フフン、怖くなったのかぁ」上条『……』美琴「まあ上条さんも鬼じゃねえ。御坂が謝るなら……」上条『いいぜ』美琴「!?」ドキ上条『アンタにそんな酷いことができると本気で思っているのなら』上条『まずは、その幻想をぶち壊す!!』美琴「――ッ!?」ドキドキ
上条『ねえ、どんな感じ?』上条『自分のアイデンティティを他でもない、アンタ自身から叩きつけられた感想は?』美琴「ち、違う! お前は御坂だ! 俺じゃ……ない」ドキドキ上条『どうかしら。私があんなこと言われたらどうなるか……分かるでしょ?』美琴「分からねえ! わっかんねえよ!!」ドキドキ上条『嘘ね』美琴「嘘じゃねえよ! なあ、一体どうしちまったんだ? お前ちょっとおかしいぞ!」上条『あははっ、さっき教えたじゃない。精神が肉体に適応してるって』上条『だから今、アンタがどんな状態か手に取るように分かっちゃうのよ』美琴「それは…っ!? ならお前はどうなんだよ!?」アセアセ上条『どうって?』美琴「お前だって上条当麻の体に適応しはじめてんだろっ!?」上条『お前だって? 認めるんだぁ』美琴「はぐらかすんじゃねえ!!」上条『怒んないでよ。私にも影響出てるわ』美琴「なら何でこんな、俺を惑わすこと言うんだよ」美琴「俺と似た考え方するなら、協力して問題を解決しようとするハズだろ!?」
上条『そうね、確かにそんな気持ちもあるわ』美琴「!……それじゃあ」パアー上条『あるけど微々たるもんよ?』美琴「え?」上条『フフ、これはチャンスなのよ』美琴「御坂?」上条『今の状況をうまく利用すれば、私の願いが叶う……』美琴「……願い?」
上条『先に謝っとくわ。これからアンタをいっぱい傷つけるから』上条『でもアンタも悪いのよ? アンタが八方美人なせいで私だって傷ついてたんだからさ』美琴「お、俺はただ…」オロオロ上条『だからもう遠慮しない! 躊躇も! モラルなんか知ったことか!!』美琴「ッ!?」ビクッ上条『宣言するわ。上条当麻を私のものにする』上条『戻ったらたっぷり可愛がってやるからな』上条『楽しみに待ってろ 美 琴 』ガチャ美琴「///」ポケー美琴「…………ッ!?」美琴「な、なんで///」フルフル美琴「…そんな分けない///」フルフル美琴「俺が上条当麻でアイツが御坂美琴だ///」ガクガク美琴「ありえない…こんなのおかしい///」ブルブル美琴「……さっき確かに私はッ!?」ポー美琴「違う!! 俺は俺だ!!」ブンブン美琴「御坂の様子も変だったし……どうなってんだよ」美琴「もう寝よう。本当におかしくなっちまう…」フラフラ
美琴「……」フラフラ黒子「あ、あの、お姉様」黒子「随分大きな声で話されてましたけど…」オズオズ美琴「……あー、うるさかったか…ごめんな」黒子「違いますの!」美琴「へ?」黒子「無作法は承知で伺います」黒子「告白は……うまくいきましたの?」美琴「!?」
美琴(そうだった。御坂に告白されたんだった)美琴(異常な状況だったから何も考えてねえ)美琴(俺は御坂のこと、どう思ってんだ?)ウーン美琴(いっつもツンツンしてて負けず嫌いで、一人で背負い込む悪癖がある年下の女の子。あの実験のッ!!??)ズキッ (――絶望の底から救い出してくれた私のヒーロー――) (――夏の日に聞いた、あの力強い約束の言葉――) (――大切な後輩を命懸けで助けてくれた、あの頼もしい背中――) (――ボロボロに傷ついても、記憶を失っても揺るがない強固な信念――) (――自分だけの現実を根底から揺るがせるほど大切で、大好きなひと――) (――安心以上に不安、焦燥、嫉妬、悲しみを私にくれる酷いひと――)美琴「……」ボー美琴「うまくいったわ。とーぜんでしょ」キッパリ黒子「そう…ですか」ウツムク黒子「おめでとうございます、お姉様」ニコ美琴「ありがとーね、黒子」黒子「初春と佐天さんにも知らせなくてはいけませんわね」メルメル美琴「そ、そうね」黒子「明日は三人で根掘り葉掘り聞くので、お覚悟あそばせ」ニタア美琴「…お手柔らかに頼むわ」美琴「疲れたから、もう寝るね」トコトコ黒子「はい、お休みなさいませ」美琴「おやすみー」ゴソゴソ
美琴「……」美琴「……ハッ!?」ビクッ美琴(何だ! 何が起こった! 何て言った!?)美琴(告白が成功したって、上条当麻が御坂美琴を受け入れたって)美琴(確かに言った……はっきり迷い無く)美琴(けどそれは結果だ。問題はその前、俺が御坂をどう想ってるか考えてた時だ)美琴(途中までは何ともなかった)美琴(でも絶対能力進化を、あの鉄橋で御坂の絶望をぶち壊す覚悟を決めた時の感情)美琴(それを思い出してたら……流れ込んできやがった)美琴(御坂の上条当麻を想う馬鹿デカい感情が……)美琴(白井と無自覚に話してたのは、処理しきれない感情が暴走したからか?)ウーン美琴(駄目だ。御坂みたいに分析できねえ)ガクリ美琴(分かってんのは俺と御坂の想いが完全に混ざっちまったことか……もう好きってレベルじゃねーな///)テレテレ美琴(御坂の俺も悪いって言葉、理解できるなあ。期待させるだけさせて放置とか、サド野郎が)イライラ美琴(……御坂に謝ろう。まずはそこから始めるんだ)
美琴(許してくれっかなー、にしてもさ)美琴(こんな卵が先か鶏が先かみたいな恋愛とか……)美琴(マジでついてねーよ)美琴(御坂と普通の恋愛してーのに……困ったな)ウトウト美琴(もう……アイツに逆らえる気がしない)スヤスヤ
学園都市第七学区 窓のないビル――土御門「こんな朝早くに何の用だ」アレイ☆「君に一仕事頼みたい」土御門「こちらに拒否権は無い。さっさと話せ」アレイ☆「分かった。簡潔に伝えよう」アレイ☆「超電磁砲の身柄の確保、手段は君に一任する」土御門「どういうつもりだ!?」アレイ☆「プランに致命的な狂いが生じた。それを修正する為の措置だ」土御門「そんなことをすれば、上条当麻が黙ってないぞ」土御門「上条当麻と超電磁砲を慕ってる連中も同じハズだ」土御門「どれ程の混乱が起きるか予測できんぞ!」
アレイ☆「そのような些事、今はどうでもいい」土御門「なっ!?」アレイ☆「早急に幻想殺しを奪還する必要がある。その為の超電磁砲だ」土御門「上条当麻なら一週間以内に帰還する。そう決めていただろう!」土御門「余計なことをする必要は無い!」アレイ☆「上条当麻は学園都市にいる」土御門「は?」アレイ☆「幻想殺しは既に上条当麻の手を離れているのだよ」アレイ☆「あれは世界を揺るがすほどに危険な存在だ。だから手綱が必要になる」アレイ☆「その役目は超電磁砲以外には務まらない」土御門「な、何を言っている?」アレイ☆「君がこれ以上知る必要はない」アレイ☆「君にできないなら他を差し向けるだけだ」
暗部組織『グループ』偽装車両内――海原「クソっ! 何故御坂さんを!」結標「確かに妙ね……理事長は何考えてるのかしら」土御門「オレにもさっぱり分からん」土御門「上条当麻は間違いなくイギリスにいる」土御門「だがアレイスターは学園都市にいると言った」土御門「つまり今、上条当麻が二人いることになる。……アステカは」海原「それはないでしょう。リスクばかりでリターンが見込めません」土御門「こちらも同じだ」土御門「実質のトップを失ったローマと戦後処理に忙しいロシアも同様だろう」結標「統括理事会のマッチポンプの可能性は?」土御門「あり得んな。アレイスターは本気で超電磁砲を捕らえるつもりだ」
土御門「焦ってるようだったしな」結標「あのクソッタレが? いい気味じゃない」海原「いい気味じゃないですよ!? こうなったら自分が御坂さんを…」土御門「焦るな。お前の妹はどうする?」海原「ショチトルは妹では……すみません、少し熱くなりすぎました」土御門「一方通行を欠いて戦力が低下してるんだ。無茶はできん」結標「そうね。まったくどこにいるのやら」海原「そう簡単に彼が死ぬとは思えません。アレイスターに反抗する機を窺っているのでは?」土御門「……さあな。とにかく鍵は超電磁砲が握ってる」土御門「上条当麻がイギリスに発つ直前に会っていたし、オレたちに無い情報をもっている可能性が高い」海原「自分らが接触するわけにはいきませんよ?」結標「あの恐い電撃女には近づきたくないわ」土御門「安心しろ。助っ人を手配してある」海原「助っ人……ですか」土御門「超電磁砲と同じ女子中学生だ。大能力者だから戦力も申し分ない」土御門「そいつを護衛も兼ねて超電磁砲に接触させる。グループとは無関係にな」結標「信用できるの?」土御門「ああ、成功報酬だからな。必死にやってくれるさ」土御門「連絡事項は以上だ。歯がゆいだろうが自重してくれよ」海原「ええ……」
常盤台学生寮 自室――美琴「……んあ?」パチ美琴「……」キョロキョロ美琴「やっぱ夢でしたってわけねーよな」ハア美琴「んーっと、時間は…朝飯まで結構あるな」ノビー美琴「よし! 風呂に入ろう。昨日はそれどころじゃなかったし」黒子「…おねえさま」ボソ美琴「あ、ごめん。起こしちまっ…ん?」黒子「」スースー美琴「何だ寝言かよ」フフッ黒子「ぐふふ、お姉様の純潔はわたくしのものですの。類人猿なんかに……」ジュルリ美琴「……御坂も大変だな。さっさと風呂に行こう」トコトコ
常盤台学生寮 大浴場――美琴「おー! すげー広い! 流石お嬢様学校、モノが違うぜ」カポーン美琴「先ずは体を洗って……オイマテ」ゴシゴシ美琴「何気に脱いで、何気に女子風呂入って御坂の体洗ってる……なのに」プルプル美琴「何も反応しねえ。そもそもナニがねえ」ガクリ美琴「なんつー喪失感だよ……イギリスに出張中の上条さんの息子は…///」マッカ美琴「///」フルフル美琴「……自分のナニを思い出して興奮する日がくるなんて///」ドキドキ美琴「御坂の言った通りだ。ハハ、セルフファッカー一直線ですかぁ///」モジモジ美琴「とか言ってるうちに、慎ましい胸の先っちょがおっきしてる!?///」ピクン美琴「くっそ、どうすりゃ落ち着くんだ!? 抜けばいいのか!?」アタフタ美琴「でも倫理的に不味い気がする……ッええい!!」ダイコンラン美琴「間違ってるのは俺じゃないッ、御坂のエロボディのほうだ!!」キリッ美琴「いざ!無毛の割れ目に///……」ソー寮生A「誰か入ってるんですか?」カラカラ
美琴「!!!???」ギクッ寮生A「御坂様?」テクテク美琴「」ガタガタ寮生A「こんな早くにいらっしゃるなんて驚きましたわ」トナリスワル美琴「そそそそうか!?」ビクビク寮生A「ええ。いつもは朝食の少し前くらいだったと記憶していますわ」美琴「い、いやー今日は早く目が覚めちゃってね」寮生A「そうでしたか」美琴「あはは、朝風呂はキモチイイナー」カタカタ寮生A「うふふ、そうですね」美琴「……ナンカノボセテキチャッター」カタカタ寮生A「え?」美琴「オレモウアガルネ」ピューーーー寮生A「??」オレ?
常盤台学生寮 庭――美琴「ハアハア……」美琴「あっぶねー。おっぱじめる前で助かった~」ダラダラ美琴「朝っぱらから何やってんだよ俺は……いや昼も夜も駄目だろ」ブンブン美琴「御坂痴女疑惑なんて笑えねーからな」美琴「まあ慌ててる間に妙な興奮も収まってるし結果オーライ?」美琴「もっと自重しねーと……女体の神秘は上条さんには荷が勝ちすぎてます」ハア美琴「……でも俺は御坂の信じる上条当麻(ヒーロー)じゃねえか」美琴「こんな情けないことしてる場合かよ……」美琴「何か泣きたくなったけど、気のせいだよな! うん」美琴「あー、御坂に会いてーなぁ……」ポケー美琴「早く謝りたいけど向こうは真夜中だしな……」ゲコッゲコッゲコ美琴「……もしもし」pi上条『おーっす。元気してる?』
美琴「え、御坂?」ドキッ上条『そうだけど。アンタ寝てたの?』美琴「ち、違っ…」アタフタ上条『規則正しく生活すんのよ? まったく』美琴「早寝早起きしてるよ!」上条『ん、よろしい』美琴「くそ、子供扱いすんな!」プンスカ上条『あはは……少しは元気でた?』美琴「へ?」上条『今朝、いやそっちは昨日か』上条『これでもか!ってくらい、アンタを追い詰めちゃったじゃない』上条『今更だけど心配になってさ……ごめんね』美琴「……」ジワ美琴「……ごめんなさい」グスッ上条『ど、どうしたの!?』美琴「お、俺のほ、ほうがッ、悪いのッ、に」ヒックヒック美琴「ごめッ、ごめんなさいぃ……」ポロポロ
上条『アンタ、泣いてるの?』美琴「な、泣いてないッ」ポロポロ上条『強がっちゃって、可愛いなぁ~もう』美琴「ううううううううっ///」グスグス上条『今はちゃんと私のこと想ってくれてる?』美琴「うん……俺が泣いたんじゃねえよ。御坂ボディが泣いたんだ」スンスン上条『はいはい』美琴「……御坂、本当にごめん」上条『だからもういいってば。お互い様じゃない』美琴「でも、お前が割に合わないじゃねーか」美琴「だから俺に挽回のチャンスをくれよ」
上条『確かにそうね。私の乙女心を散々踏みにじってくれたしねぇ……例えば』上条『携帯のペア契約なんてあからさまなアプローチを無視したり』美琴「ぐっ」上条『あまつさえ妹にプレゼントをやる始末だし』美琴「むぐぐ…」上条『お前なに勘違いしてんの?って言われたみたいで悲しかったなぁ~』美琴「すみませんっしたぁぁぁぁ!!」ドゲザ上条『それじゃあ誠意をみせてもらおうかしら』美琴「ど、どうすればいいんでせう?」ビクビク上条『今朝から気になってたんだけど、アンタ男言葉で生活してない?』美琴「そうだけど、不味かったか?」上条『不味いに決まってんでしょうが! 一応お嬢様なのよ!』美琴「で、でも…」オロオロ上条『言い訳しない! いいわ、アンタ女言葉で生活しなさい』美琴「待って! それは無理だって!」イヤイヤ上条『はあ!?』美琴「思考が女になってんだぞ! 行動まで女っぽくしたら戻れなくなっちまう!?」アセアセ
上条『…ちっ』美琴「舌打ち!? 何で舌打ちすんの!?」ガーン上条『じゃあ難易度を下げるか』美琴「本当!? ありがとうございます御坂様! 犯罪以外なら頑張ります!」上条『男言葉で話していいけど、私を名前で呼んで』美琴「えっと、美琴?」オズオズ上条『違うわ。私は今、上条当麻よ』美琴「じゃあ、と、当麻?」上条『いいぜ。俺もお前のこと美琴って呼ぶからな』美琴「まあ、この程度ならなんとか……ってなにその口調?」上条『あのなあ、入れ替わったことは内緒だろうが』上条『なのに俺が女言葉で話してたら周りはどう思う?』美琴「……気が狂ったのかと」ガクガク上条『分かってんじゃねーか。だからイギリスに来てからずっとこんな感じだ』美琴「……凄い適応力ですね御坂さん」上条『こんくらい当然だろ? あと当麻!』美琴「自分の名前呼ぶって変な感じなんですけど……」ウーン上条『それが嫌なら女こ…』美琴「やだなー当麻さん! 冗談ですことよ!?」アセアセ
上条『ったく、あとは美琴が男言葉で話す理由か』美琴「……別に理由なんていらねえだろ。本物もがさつだし」ボソ上条『ああん!?』美琴「ひっ!?」ビクッ美琴(ガラ悪っ! こんなの上条さんじゃねーよ)上条『一々茶々いれんのは美琴の悪い癖だな』美琴(もっと優しくできねーのかよ)上条『あー理由だけどな、適当でいいから』美琴「投げやりだー」上条『美琴は超能力者だからな。能力開発の一環ってことで済まされるだろ』美琴「さっきと言ってること違うんじゃ……」アレ?上条『佐天さんと初春さんはそんな細かいことをとやかく言わないと思うし』美琴「またスルー!?」ガーン上条『黒子は口煩いけど……すぐ慣れるさ』美琴「そんな適当でいいんかよ。元に戻ったとき困るのはお前だぞ?」上条『別に構わねーよ。…………戻らねーし…』美琴「何だ? よく聞こえない」
上条『それより美琴に言いたいことがあるんだけど、いいか?』美琴「なんだよ改まって」上条『俺はお前が好きだ』美琴「……好き……って、ええええええええ!?///」マッカッカ上条『結局ちゃんと告白できてなかったからな。きっちりしたかったんだ』美琴「そそそ、その、おお俺もッ///」美琴「すすす好ッ――!? ――――ッ!?」ガチン!上条『美琴、落ち着け』美琴「……ひたひ」カンダ…上条『返事は俺が学園都市に帰ってからでいいよ』美琴「ふえ? れ、れも…」オロオロ上条『答えなんて分かりきってるしな』美琴「にゃ、にゃにゃに///」プルプル上条『明日も朝早いし寝ますかね。おやすみ美琴』pi美琴「///」テレテレ
美琴「///」ポー美琴「……好き、か///」ポケー美琴「知ってたけど……うれしいなぁ///」ギュ美琴「なんて返事すればいいんだろ///」フルフル美琴「恋愛経験なんてねーし、変なこと言っちまいそうだ♪」美琴「あはは、調子がいいな俺」美琴「ちょっとアイツに優しくされただけなのに、不安なんか吹っ飛んじまった」美琴「困ってたら颯爽と助けてくれるなんて…」美琴「……アイツ、ヒーローみたいだ///」黒子「お姉様ぁぁぁーーっ!」シュン!ガバッ美琴「な、何だ!?」ビクッ黒子「グヘヘ、最っ高の抱き心地ですの!」スリスリ美琴「黒子!? はっ離れッ…」美琴(そうだ。スキンシップとれって、アイツが言ってたっけ)
黒子「離しませんわ! まだまだお姉様分が足りませんの」ギューー美琴「……ったく、少しだけだぞ」ギュ黒子「え?」ピタ美琴「ん? どうした?」黒子「それはこっちの台詞ですの。いつもなら電撃がくるはずですのに……」美琴「電撃って……そんなことしねーよ」黒子「……マジですの?」ジュルリ美琴「うん、マジですの」黒子「ふ…ふふふふふふふふふふふふふうふ」ギラギラ美琴「く、黒子さん?」カタカタ黒子「言質はとりましたのおおおおォォォォォーーーーッ!!!」ガバチョ美琴「ひっ!?」
たっぷり三十分後――
黒子「ふぅ…」ツヤツヤ美琴「……酷い目にあった」ヨロヨロ黒子「堪能しましたわ~」美琴「もうやんねーからな!」黒子「あらあら、そんなこと仰るなら…」ワキワキ美琴「や、やだ…」アトズサル黒子「」ゾクゾク美琴「く、黒子?」黒子「ハッ! もう少しで新たな嗜好に目覚めるとこでしたの」オシイ美琴「こんなに変態だったなんて……不幸だ」ガクリ
黒子「少しばかり、ねちっこく抱きついただけですのに大袈裟ですわ」美琴「あれの何処が少しなんだよ!」黒子「あの程度で騒ぐようでは上条さんを満足させられないかも、ですわ」ヤレヤレ美琴「あ、ああアイツを満足って、そんなの///」テレテレ黒子「冗談ですの」シレ美琴「!? 何なんですかぁ! 御坂さんをいじめてそんなに楽しいんですかぁ!?」黒子「そろそろ待ち合わせの時間ですの」美琴「え? お前もスルーするの!?」黒子「初春たちを待たせないよう急ぎましょう、お姉様」
ファミレス Joseph's――初春「白井さんたち遅いですね」佐天「そうだねー。なんかあったのかな」ウーン初春「それなら連絡が…」黒子「お待たせして申し訳ありませんの」トコトコ初春「あ! 白井さん遅いですよ」佐天「……あの、なんで御坂さんそんなにボロボロなんですか?」チラリ美琴「あはは…」ボロボロ初春「うわっ、コート破けてますよ!」美琴「ちょっと不幸なことが…」黒子「道端で転倒すること三回、スキルアウトに絡まれること二回、極めつけに…」タンタン美琴「ぎゃああああ!! 言わないで! お願いします黒子さん!」ドゲザ黒子「添い寝を要求しますわ」美琴「それは過剰請求なのでは……」黒子「妥当ですの!」美琴「原告の変態性は常軌を逸してるので要求は却下します。以上!」初春佐天「……」ボーゼン
黒子「先程お姉様は犬に追い回されて半べそ掻いてましたの」シレ美琴「ちょ!?」初春「!? ……」パソコン、ソウサ佐天「……あっはっは! 白井さ~ん、いくらなんでもそれ無理がありますって」佐天「御坂さんは超能力者の第三位ですよ?」佐天「犬に泣かされるなんてあり得ないですよ」ヤレヤレ美琴「そ、そうなんだよ。あり得ねーっつーの!」初春「佐天さん! これ見てください!!」
監視カメラの映像――
犬「Bowwwwoww!!!」タッタッタ美琴「ぎゃああああ!! 追いかけてくんなぁぁぁーーーっ!!」タッタッタ美琴「尻尾踏んだの謝るからッ!!??」ステーン!犬「Guuuuu……」ニジリヨル美琴「痛たた…ひぃ!?」シリモチ犬「Bowwwwoww!!!」イカク美琴「こ、こっちくんなぁ…」ナミダメ犬「Gaaaaa!!」黒子「お姉様!」シュン!美琴「!?」シュン!
初春「……」ゾクゾク佐天「……あれが犬!? 怪獣じゃなくて!?」美琴「……」ガクガク黒子「ご覧の通りですの」美琴「早速ばれるなんて……不幸だ」ガクリ初春「怯えてる御坂さん……かわいい」ボソ美琴佐天「え?」初春「はい? どうかしました?」美琴佐天「な、なんでもないよ!」フルフル黒子「初春はよく分かってますの」初春「当然じゃないですか」美琴佐天「……」カタカタ初春「なんか御坂さん雰囲気変わりましたね」黒子「ええ。隙だらけになったというか…」初春「…いじめるとかわいい?」黒子「そうですの! グッとくる反応をしますの!」美琴「おい!」佐天「……そう言われてみれば」チラ美琴「へ?」
初春「素晴らしいですけど、何かあったんですか御坂さん?」黒子「恋人ができましたの」美琴「ちょっ!?」初春佐天「彼氏!?」黒子「ええ、今日二人を呼んだのはそのことを伝えるためですの」佐天「それより相手は上条さんですよね!」黒子「はいですの。お姉様の変化には上条さんが関係してると睨んでますわ」美琴「なあ…」佐天「確かに御坂さん、昨日とは別人みたいですよ」美琴「おい…」黒子「凛々しいお姉さまも素敵ですが…」美琴「あのな…」初春「今の御坂さん最高ですよ! ……泣かせてみたいなぁ」ワクワク美琴「…無視すんなぁぁぁ…」グス黒子初春佐天「……」ゾクゾク
美琴「みんなして俺を無視しやがって」プンスカ初春「ごめんなさい。でも御坂さんを見てるとつい…」美琴「つい…じゃないんだよ!」佐天「まあまあ、それよりも御坂さん、言葉遣いが荒くないですか?」黒子「そうですの。そんなことでは殿方に愛想つかされますわよ」美琴「んなことねーよ。アイツに認めてもらったし」佐天「へー、寛容なんですね」初春「やっぱり上条さんって優しいんですか?」美琴「う、うん」
佐天「例えば!?」美琴「ええっとな、(鈍感な性格を)激しく責められて、わけ分かんなくなって、ずっと泣きそうだったんだ」美琴「でも一晩明けたら優しく慰めてくれて、そのまま(告白)してくれたんだ///」テレテレ黒子初春佐天「え?」美琴「思い出すだけで幸せだなぁ///」ポー初春「…泣くほど激しい責め? しかも一晩中?///」イヤンイヤン佐天「上条さんって鬼畜だったんだ……」サイテー黒子「今朝起きたらお姉様がいなかった……まさか…まさか」プルプル黒子「お姉様!!」美琴「な、なんだ?」ビクッ黒子「調教されたんですの!? 既に調教済みなんですの!?」美琴「調教って……もうアイツに逆らえないし、そうなのかな///」テレテレ黒子「あんの腐れ類人猿がああああああああああ!!!」
初春「白井さん落ち着いてください!」黒子「落ち着けるわけねーですのぉぉぉ!」初春「上条さんが調教したおかげで、私たちは御坂さんを弄れるんですよ?」黒子「!!??」初春「だから上条さんGJが正解なんです!」黒子「た、確かにそうですの。今日のお姉様は何をしても反撃してきませんの」初春「きっと泣いちゃうくらい厳しく躾けられたんですよ!」ダイコーフン佐天「…初春」マワリノシセンガ初春「やっぱり上条さんの功績は計り知れないです」pipipipipi初春「あ、メールが…! 白井さん、風紀委員の緊急招集です!」黒子「了解ですの!」シュン!佐天「えっ!? ちょっ、……いっちゃった」佐天「切り替え速いのは頼りになるけど…」キョロキョロ客A「調教って…」ヒソヒソ客B「風紀委員に通報…」ヒソヒソ客C「あの子、常盤台の制服…」ヒソヒソ客D「御坂って言ってたし、超電磁砲じゃない…」ヒソヒソ佐天「こんな状況で置き去りにするなぁぁぁーーーーッ!!!」美琴「!?」ビクッ
第七学区 ゲームセンター――佐天「初春の…馬鹿野郎ォォォーーー!!!」バコーン!美琴「…95点って、凄いな」佐天「自己ベストですね。初春たちへの怒りを込めたからな~」美琴「あはは……」佐天「次は御坂さんの番ですよ」美琴「よしっ、いっちょやってみますか」美琴(以前は180点くらいだったっけ?)美琴「おおおおぉぉらぁッ!!」パコン!佐天「…70点、やった! あたしの勝ちです」キャッキャッ美琴「本気で殴ったのに…」ズーン佐天「御坂さ~ん、もう降参ですかぁ?」ニヤリ美琴「まだだ! 御坂さんの力はこんなモンじゃねえ!」佐天「じゃー次はアレで勝負だ!」ビシッ美琴「はっ、吠え面かくんじゃねーぞ!」佐天「完・全・勝・利!」美琴「完敗……だと……」ホエヅラ…
美琴「パンチングマシーン、エアホッケー、ガンシュー、格ゲー、音ゲー……」美琴「全滅だ……何をやっても佐天さんに勝てねえ」佐天「素敵な吠え面ありがとうございました」美琴「うぐ…」佐天「弱すぎて期待はずれだなあ~」美琴「うぐぐ」佐天「御坂さんの実力はこんなモンですかぁ」美琴「…いいぜ」佐天「んー?」美琴「俺の実力がこの程度だと、佐天さんに勝てないって言うのなら」美琴「まずは、そのふざけた幻想をぶちこ…」ゲコッゲコッゲコ佐天「電話鳴ってますよ?」
美琴「……もしもし」pi黒子『お姉様、今よろしいですか?』美琴「よろしくねえ! スルーだけじゃなくカットまでするとか御坂さんに恨みでもあるんですかあ!!」黒子『な、何にお怒りなんですの!?』美琴「てめえにだよ黒子さん」黒子『まあ、それはいいとして』美琴「全然よくねえ!」黒子『風紀委員の仕事が長引きそうなので、帰宅は夜遅くになりますの』美琴「言ったそばからスルー!?」ガク黒子『ですから先にお休みになってください。それでは』pi
美琴「……」プルプル佐天「御坂さん?」美琴「……俺の話聞けよぅ」グス佐天「」ゾク美琴「絶対わざと無視してんだ…」ジワ佐天「」ウズウズ美琴「佐天さんは……違うよな?」ウワメ佐天「もももちろんですよ!!」ウズウズ美琴「……本当?」オズオズ佐天「はい、あたしは御坂さんの味方です!」ウズウズ美琴「…そっか」ニコ佐天「ああもう無理!!」ガバチョ美琴「わぷっ」佐天「御坂さんかわいい~~~」ギュ美琴「んう~」スリスリ佐天「ほっぺすりすり!? も~~~っ、どんだけキュンキュンさせるんですか!?」キュンキュン美琴「ん、あったかい…」ホッコリ佐天「もって帰ったら駄目かな……」シンケン
第七学区 とある公園――
佐天「っていう感じで三十分くらいかな? 御坂さん、幼児退行してたんですよ」美琴「……不幸だ」ガクリ佐天「ここまで連れてくの大変だったんですから」美琴「ごめんな、迷惑かけちまってさ。けど幼児退行はねーよ…」佐天「大丈夫ですよ!」美琴「…なにが?」佐天「御坂さん、すっごく可愛かったんですから!!」キッパリ美琴「は?」佐天「ゲーセンにいた人達も絶賛で、いーーーーーっぱい写メってましたもん♪」美琴「もん♪、じゃねぇぇぇーーーーっ!!!」美琴「いっぱいって何人くらいに撮られたんだよ!?」アタフタ佐天「さあ?」美琴「だいたいでいいんだよ!」佐天「御坂さんは通りを歩く人を、いちいち数えてますか?」ヤレヤレ美琴「……」ガクガク佐天「そんなことより、ほらっ! 可愛く撮れてるでしょ!!」ケイタイ美琴「不幸だああああぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!!」
佐天「はいっクレープ。機嫌なおしてくださいよ~」サシダス美琴「…機嫌が悪いんじゃねー、不幸を嘆いてるんだ」ウケトル佐天「不幸って…確かに今日の御坂さんついてないですね」美琴(もしかして俺の不幸に幻想殺しは関係ない?)モグモグ美琴(いやそんなまさか……)モグモグ佐天「でも能力を使えば犬?だろーがスキルアウトだろーが、御坂さんの敵じゃないのに」佐天「どうして使わなかったんですか?」美琴「え? ああ……能力ね」美琴「使う必要がなかったから、かな」佐天「??」美琴「犬に追いかけられたのは尻尾を踏んだ俺が悪いし」美琴「スキルアウトだって怪我させていいわけじゃないだろ」美琴「だから能力を使う必要がねーんだよ」美琴(使い方は分かるけど、人に向けていい能力じゃないしな)佐天「理屈は分かりますけど…でも御坂さんが危ない目にあったら意味ないですよ」美琴「あはは、そうかもしんねーけどさ、もう決めちまったからな」佐天「まったく、御坂さんは頑固だなぁ」美琴「まあ怪我しないように気をつけるから、それで勘弁してくれ」佐天「しょーがない。それで納得してあげます」
美琴佐天「ごちそーさま」美琴「佐天さん、クレープの包み紙くれ。捨ててくるからさ」佐天「お願いしまーす」ポロッ美琴「ん? 何か落とし―ッ!?」ピタ佐天「ああ、それですか。さっきクレープ屋で貰ったんですよ」ヒョイ美琴「…アヒルのマスコット」ジー佐天「ただのマスコットじゃないです。ここを押すと…」ポチットナアヒル「おはようございます。初期設定をはじめます」美琴「!?」佐天「もう一回押すと」ポチアヒル「……」シーン佐天「たしか…AI搭載型多目的サポートツール、だったかな」美琴「……」ジー佐天「新商品のデータ収集のために配ってるみたいですよ」美琴「可愛い…」佐天「そーかなぁ。なんかムカつく顔してません?」美琴「そんなことねえよ! 愛嬌あるじゃん!」佐天「あたしには分かんないなあ」美琴「こんなに可愛いのに…」
佐天「そんなに気に入ったんならあげますよ」美琴「マジで!?」佐天「マジです」ハイ美琴「いいモン貰った! さんきゅーな佐天さん!」ウケトル佐天「いえいえ。じゃあ初期設定しちゃいましょう」ペラペラ美琴「説明書?」佐天「そうです。なになに…まず所有者の登録…次に名前をつける…最後に…」ペラペラ美琴(名前か、どんなのがいいかな?)美琴(愛嬌のある顔……ん? どっかで見たことあるような…)美琴(ムカつきはしないが、ちょっと偉そうな…)美琴(そうだ! こいつフィアンマに似てる! よし、名前はフィアンマにしよう)
佐天「御坂さん、アヒルのお腹を押してください」美琴「おう、ここか?」ポチットナアヒル「おはようございます。初期設定をはじめます」アヒル「所有者の名前を教えて下さい」美琴「み、御坂美琴」アヒル「御坂美琴でよろしいですか?」美琴「はい」アヒル「私の名前を決めてください」美琴「お前の名前はフィアンマだ」アヒル「フィアンマでよろしいですか?」美琴「はい」アヒル「最後にあなたは私にとって、どんな存在ですか?」美琴「え?」美琴(存在? 家族とか友達とかそういうのか?)美琴(ん~、普通に友達でいいか)美琴「えっと、友だ…」青ピ「奴隷!! ボクは小萌センセの奴隷になりたいわ~」土御門「義妹こそ至高なんだにゃー。バイトも終わったし舞夏に会いにいくかにゃー」アヒル「初期設定を完了しました」美琴「へ? 確認は?」佐天「…奴隷って」ヘンタイ?
アヒル「登録情報をもとに最適化します。しばらくお待ち下さい」美琴「ま、まあ登録し直せば大丈夫だろ」佐天「……これ一度登録したら変更できないっぽいんですけど」ペラペラ美琴「マジ!? ど、どうすんだよ!?」アタフタ佐天「大丈夫ですって。所詮、無料配布のおもちゃですよ?」美琴「そうだけど……嫌な予感がする…」アヒル「最適化を完了しました。これよりフィアンマは起動します」美琴佐天「……」ドキドキフィ「おい貴様、俺様が直々にサポートしてやるんだ。光栄に思え」フフン美琴「」プルプル佐天「…なにこれ」アゼン
フィ「奴隷の分際で俺様を無視するとは、いい度胸だ」美琴「だ、誰が奴隷なんだよ!」プンスカフィ「貴様だ」美琴「てめえ、おもちゃのくせに…?」オレサマ?美琴「…お前フィアンマなのか!?」フィ「そうだ。……なるほど、マニュアルを正しく把握してないな?」美琴「??」フィ「しかたない。貴様に理解できるよう説明してやる」フィ「俺様はオリジナルのフィアンマではない」美琴「見た目ただのアヒルだしな」フィ「貴様の記憶を読み取り、フィアンマなる人物の人格を擬似的に再現しているだけだ」美琴「記憶を読むって、なんだよそれ!」フィ「読心能力の応用だ。要するに俺様は貴様がイメージするフィアンマということだ」美琴「無駄に高性能だ…」フィ「普通は家族、友達、恋人の名前をつけるようだが、俺様を選ぶとは」フィ「貴様、目が高いな」美琴「……」チラリ佐天「あ、本当だ。それっぽいこと書いてる」ペラペラ美琴「佐ぁぁぁぁ天さぁぁぁぁぁん!! 今頃なに言っちゃてるんですかあ!?」佐天「…てへ♪」ペロ美琴「可愛く誤魔化しても駄目だからね!?」フィ「煩い黙れ。まだ説明が終わっていない」佐天「人の話はちゃんと聞かないと」美琴「…その通りなんだけど、納得いかねぇ」
フィ「俺様の機能については適時教えてやる。…それより」フィ「いつまで俺様を鷲掴みにしているつもりだ。無礼だろう」美琴「はあ?」佐天「えーっと…御坂さん、そのアヒルを…」ペラペラフィ「アヒルではないフィアンマだ」佐天「はいはい、フィアンマを肩に置いてください」美琴「肩に…うわっ、くっついた!」ピタフィ「ふむ、これでいい」佐天「あっはは、似合ってますよ」美琴「…嬉しくねー」フィ「俺様を肩に乗せられるんだ。奴隷には身に余る贅沢だろう」美琴「奴隷じゃねーし」
美琴「くっそ、こういうのは浜面のポジションのはずなのに…」佐天「浜面? 誰ですか?」美琴「イギリスにいる知り合いだよ。少し前まで学園都市に住んでたけどな」佐天「へえー、その浜面さんも奴隷扱いを?」美琴「うん、麦野さん…まあ女王さまみたいなひとに毎日顎で使われてる」美琴「あいつの場合は望んでそうなった、って言うと思うけどなー」フィ「俺様も負けていられないな」美琴「変なとこで張り合わなくていいから!」佐天「そんなこと言って、実は満更でもないのでは~」ニヤニヤ美琴「んなわけあるか!……もうつっこみ疲れたんですけど」グッタリ
佐天「午前中から弄られっぱなしですもんね」美琴「…俺は先輩なんだぞ…偉いんだぞ」佐天「全然先輩って感じしませんけど、親しみやすくていいと思うな」美琴「そ、そうか?」佐天「はい。だから安心して弄られてください」美琴「…え?」佐天「日も落ちてきたんで帰りますね。御坂さんの写真、初春たちに送らなきゃ♪」スタコラサッサ美琴「……フィアンマさん」美琴「後輩たちが俺をいじめて遊ぶんですが、どうすればいいですか?」フィ「ドMになればいいだろう」美琴「変態は嫌だ! まじめに答えろよ!」フィ「割とまじめなんだが? 受け入れれば楽になれる」美琴「受け入れたくねー。…アイツに相談するか」美琴「もう日も暮れたし帰ろう」トコトコ
第七学区 常盤台学生寮への帰り道――美琴「さみー。コートが破けてるせいで風を防げねえ」ブルブルフィ「情けない声をだすな。俺様は裸だというのに」美琴「お前寒さとか感じねーだろうが」フィ「感じるぞ」美琴「はあ?」フィ「俺様には各種センサーが搭載されているからな」フィ「寒さも暑さもわかる」美琴「どんだけハイスペックだよ…誰が造ったんだ?」フィ「知らんな。そんなことより貴様、尾行されているぞ」美琴「へ?」
フィ「後方十メートル、小柄で髪の短い女だ」美琴「なんで尾行されてるって分かるんだよ!?」フィ「公園にいた時から貴様の半径十メートル以内から離れない」フィ「気づけ馬鹿が」美琴「馬鹿って言うほうが馬鹿なんですぅ…あれか」チラ??「……」美琴「…お前、レーダーついてる?」フィ「ここは撒くよりも接触したほうがいいだろう」美琴「てめえもスルーしやがりますか」美琴「つーか尾行される心当たりなんて……結構あるな」美琴「用心してかかるか…」ゴクリフィ「不意打ちを仕掛けて確実に仕留めろ」美琴「なに物騒なこと言ってんだよ!?」フィ「ではどうする?」美琴「……普通に話しかける」フィ「考えなしか。無能め」美琴「無能!? …もういい。お前は喋るな。絶対だぞ」フィ「分かった」
美琴「おい、ちょっといいか?」??「私ですか?」美琴「単刀直入に言うが、何で俺をつけた?」??「えっと、勘違いじゃないですか」美琴「公園にいた時から監視されてたのは知ってんだよ」??「意味がわからないんですけど…」美琴「惚けても無駄だ。ネタはあがって…」キリッフィ「俺様が教えてやらねば尾行されていた事すら気づかなかったくせに偉そうにするな」美琴「おまっ、ばらすなよ! あと喋んなって言ったよね!?」アタフタ??「……」ポカーンフィ「貴様が俺様の功績を横取りするからだ」美琴「そんなつもりねーよ!」フィ「どうだろうな」美琴「なんてムカつく野郎だ。佐天さんの言う通りだったぜ」??「……」ポカーン美琴「見ろ! お前のせいで呆れられてるぞ」フィ「どうだろうな」美琴「…この野郎」
??「あ、あの…」オズオズ美琴「ん? ああ、ごめん。こっちが話しかけたのに無視しちまってさ」??「…そんなことより、あなた…超電磁砲ですよね?」美琴「あ、ああ」??「聞いてた話と全然違います…」美琴「何か言った?」??「いえ、なにも」美琴「まあ尾行うんぬんは置いといて、何かあるなら手貸すけど?」??「……え?」美琴「お前、何か困ってる事あるんだろ? 経験則から御坂さんはお見通しですのことよ」??「はぁ…」ヤレヤレ美琴「えっ? もしかしなくても勘違い!?」ハズイ??「いいえ、超電磁砲が超お人好しだと分かって安心しただけです」ニコ美琴「そんな、それほどでも…」テレテレフィ「馬鹿にされているんだがな。残念な奴だ」??「早速ですけど、超電磁砲に教えて欲しいことがあるんです」美琴「いいけど、話は寮で聞いてもいいか? マジで寒くなってきたし」ブルブル??「私は構いませんけど…」フィ「危機管理って知ってるか?」美琴「知らねーよ。さっさと帰るぞ」
常盤台学生寮 自室――美琴「あったけー、常時空調がきいてるとか最高じゃないかー」フィ「気を抜きすぎだ」美琴「はいはいわかりましたよっと。んじゃ自己紹介すっか。俺は御坂美琴、お前は?」??「私は絹旗最愛、絹旗でいいです」美琴「よろしくな絹旗。あとこれはフィアンマっつームカつくアヒルだ」絹旗「…アヒルのマスコット? さっきから超喋ってますけど」フィ「俺様は超高性能だからな。あとアヒルじゃないフィアンマだ。訂正しろ小学生」絹旗「なっ!? 超失礼ですねこのアヒル! 私は中学生です!」ムカッフィ「どちらにせよお前がちんちくりんな事に変わり無いだろう」フフン絹旗「…真剣にムカつきました。御坂、これぶっ壊してもいいですか?」美琴「喧嘩すんな。はら絹旗、話を聞かせてくれ」ヤレヤレ
絹旗「そうでした。…御坂は上条当麻さんと親しいんですか?」美琴「は?」美琴(何で俺の名前が出てくるんだ!? 絹旗とは初対面のはず……絹旗? そーいやどっかで…)ウーン絹旗「御坂、どうかしました?」美琴「なんでもない、と、当麻ね。うん、友達だけど…それで?」絹旗「私に上条さんを紹介してほしいんです」美琴「はぁ?」イラッ絹旗「み、御坂? どうしたんですか」ビクッ美琴「あ……ごめん」美琴(俺、何でこんなにイラついてんだ?)イライラ美琴「紹介するのは構わないけど、今は無理」絹旗「何でですか?」美琴「海外に行ってんのよ。その内帰ってくるけどさ」絹旗「そうですか……」
美琴「…当麻に会ってどうするの?」イライラ絹旗「相談したいことがあるんです」ン?美琴「…私も相談に乗るくらいできると思うけど」イライラ絹旗「上条さんじゃないと駄目なんですよ」キッパリ美琴「…ッ!?」ズキッ絹旗「…なるほど」ピーン美琴(なんだよ…なんなんだよ。助けが必要なら誰にだって手を貸してきたじゃねえか…)ズキズキ美琴(なのに、なんで……)ズキズキ絹旗「……御坂には全部話しちゃいますけど、私には会いたい人達……いえ、友達がいるんです」絹旗「ずっと探してようやく上条さんに、その友達と接点があるって分かったんですよ」美琴「…え?」絹旗「だから私は上条さんに渡りをつけてほしいだけです。……御坂が超心配するようなことはありませんから」ニコ美琴「し、しし心配!? なにが!?」アタフタ絹旗「御坂は上条さんのことが超好きってことです」シレ美琴「好きって、あの、その……うん///」テレテレ絹旗「御坂の反応が超乙女です。…同じ超能力者でも麦野とはえらい違いですね」美琴「乙女とかいうなぁ/// ……むぎの?」
絹旗「はい、御坂は戦ったことがあるはずです」絹旗「第四位、原子崩しの麦野沈利、容赦のない鬼ババアです……リーダーのくせに」ウツムク美琴「ババアって……」絹旗「あんなヒステリックで超後先考えない女、ババアで十分です」ドンヨリ美琴「そーかなぁ、結構優しいと思うけど……あー、浜面には容赦ないわね、うん」絹旗「!!?? 浜面を知ってるんですか!?」美琴「知ってるけど…ああそっか」ピコーン絹旗「何ですか!? どんなことでもいいから教えてください!」コーフン絹旗「お願いします! 浜面たちを探してるんです!!」美琴「落ち着いて。浜面と滝壺、それに麦野さんはイギリスにいるわ」絹旗「イギリス…そんな、遠すぎます…」ガクリ
美琴「絹旗の名前に聞き覚えがあるわけよ。麦野さんが絹旗のこと心配してたからね」絹旗「え……麦野が?」美琴「一人だけ学園都市の糞溜めに置き去りにしてしまった。何とかこっちに連れて来れないか、とか」美琴「謝りたい、とかね」絹旗「う、嘘です! 麦野に限って……そんなことあるはず…ないです」美琴「嘘じゃないわ。浜面と滝壺も心配してたけど、麦野さんが一番絹旗のこと気にかけてたもの」美琴「妹を心配するお姉さんって感じだったわ」絹旗「……フレンダが、死んで…浜面が裏切って…麦野は、アイテムを、捨てた…はず、なのに」グス絹旗「もう…私の居場所なんて、ないって…死ぬまで一人だって、我慢…してたのにッ」絹旗「そんな…私のこと、気にかけて、くれっ、て、た…」ヒックヒック絹旗「…会い、たい。会いたいよぅ、むぎのぉ…」ポロポロ美琴「大丈夫だから。絶対会わせてあげるから」ギュッ絹旗「本当…ですか?」美琴「ええ、御坂さんにまかせなさい! コネだけは充実してるんだから」ニコ絹旗「うぐっ、うぅ…」美琴「だから、もう悲しいこと我慢しなくていいから…」ナデナデ絹旗「…二回もっ、置き去りになるっ、の、いやだっ」ヒックヒック絹旗「ひとり、ぼっちはッ、嫌、です…うぁぁぁぁぁあああ」ポロポロ美琴「……」ナデナデ絹旗「……」スースー美琴「泣き疲れて寝ちゃった…」フィ「張り詰めていたものが切れたんだろうな」美琴「…ったく、本当に救いようがないわね、学園都市は」フィ「思いもよらぬ展開になったな」美琴「そうね。でも決めたから」美琴「絶対に絹旗をイギリスまで、麦野さんたちの所へ連れていってみせる」フィ「……」美琴「まずは当麻と話さないとね」フィ「……」美琴「それから…? どうかした?」フィ「俺様は貴様の思考、記憶、イメージを基に構築された人格だ」美琴「??」フィ「だから貴様の精神が上条当麻だと知っている」美琴「読心能力を応用してるんでしょ。なら知ってて当然だけど…」フィ「自身の変化に気づかないのか?」美琴「ん? なんか変わったかしら…?」フィ「……口調だ」美琴「…!!??」
美琴「わたッ…俺は、いつから…?」フィ「そこで寝ている小学生が上条当麻に会いたいと貴様に頼んだときからだ」美琴「…よく覚えてる。滅茶苦茶イラついてたんだ」美琴「当麻と絹旗が仲良くしてるとこを想像して、それで…」フィ「深く考えるな。今の上条当麻にとって御坂美琴の想いは猛毒だ」美琴「どういうことだよ」イラッフィ「貴様が上条当麻のことを想う度に、貴様本来の人格は侵食されていく」フィ「女に嫉妬したりすると爆発的に侵食が進むんだ」美琴「侵食ってなんだよ。このままだと、どうなっちまうんだ」フィ「どうもならんさ。ただ…」美琴「…ただ?」フィ「現状を受け入れてしまうだけだ」フィ「そうなれば貴様が上条当麻に戻ることは不可能になるだろう」美琴「そんな…完全に御坂になっちまうのか?」フィ「そうじゃない。似て非なるものだ」フィ「上条当麻と御坂美琴、それぞれが理想とする相手になると推察できる」美琴「…つまり俺は、俺にとって理想の御坂美琴になるのか?」フィ「そうだ」美琴「冗談じゃねえ! 俺は上条当麻だ。絶対もとに戻ってやる!」フィ「強く自己を意識できるうちは大丈夫だろう」フィ「バイタルもメンタルもモニターしているからな。異常を検知したら教えてやる」美琴「…マジで万能だな」
美琴「そうだ! アイツにも教えてやんねーと…」pipi美琴「……だめだ、でねえ」オカケニナッタデンワハ…フィ「イギリスとの時差は約九時間だ。明日の早朝にするほうがいい」美琴「そうだな。ちーっとばっか早いけど寝るか……って!?」絹旗「……」スヤスヤ美琴「俺のベッド…絹旗が寝てるんだった」フィ「広いベッドだ。二人で寝ても十分じゃないか」美琴「…そうだ、今の俺は人畜無害な御坂さんだ。女の子と一緒に寝てもなんともないぜ」ゴソゴソフィ「俺様もシャットダウンするか…電池は大切にしないとな」美琴「え!? お前電池で動いてたの!?」フィ「……」シーン美琴「無視か……ムカつくけど、お前がいてくれて助かったよ。さんきゅーな、フィアンマ」美琴「明日は忙しくなりそうだな。……おやすみ」スヤスヤ
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