絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 > 6スレ目 > 05

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4月5日 無印良品で買ってきた出納帳の隅っこに謎のスペースがあったので、 日々の所感でも書き留めてみようと思う。 4月7日 巡り巡って、学園都市でひっそりと喫茶店を始めることになった。 傭兵稼業でもよかったのだか、体力の衰えは否めないのである。 こんな状態で姫をお守りすることができるのであろうか。 いや、そもそも姫は私のことを覚えているであろうか。 何も言わずに消えた男など忘れて当然なのかもしれない。 まあ、あの世話焼きがいれば大丈夫であろう。 オープンから3日。客は1人も来ていない。 4月17日 オープンから10日が経過した。 客のいない寂れた雰囲気が逆に受けたのであろうか、徐々に常連客が増えてきた。 学園都市というが、常連客に学生風な人物は見受けられない。 印象に残った客について書いてみようと思う。 今日、ゴリラが来店した。 いや、ゴリラかと思ったのだが、よく見たら人間だった。 雑談していて分かったのであるが、どうやら教師をしているらしい。 失礼を承知で言うが、このなりでは生徒が怯えるのではないだろうか。 どうもしばらく入院していたらしく、濃いコーヒーは久しぶりだと喜んでいた。 このゴリラ、誰かと間違えられた挙句、フルボッコにされたそうだ。 人違いでボコられるとは災難だ。 世の中にはひどいことをする輩もいるものである。 4月20日 こちらが慣れていないせいもあるが、手が回らなくなりつつあるので バイトの募集を初めてみた。 といっても、学園都市の給金の相場が分からないので、 求人情報誌を何冊か購入し、今中身を確認している。 思っていたよりも高いのである。 どうしたものか。 4月22日 広告の打ち方など分からなかったので、バイト募集という旨と 連絡先を書いた紙を数枚、電柱に張っておいたのであるが。 募集をかけて2日、早くも連絡があった。 思っていたよりも早く来てくれてよかったのである。 余程の変人でない限り採用するつもりであるが、形式を取り繕うため 面接だけはしておこう。 電話の声を聞いた感じ、若い女性らしい。 欲を言うと軽食メニューが作れるぐらいのレベルがほしいところであるが。 4月23日 バイト志望の子が来店。 釣り目が印象的な10代後半ほどの少女であった。 なんでも、ロシアから来日したばかりで学校には通っていないらしい。 そういう事情であれば日中でもシフトに入ってもらえそうである。 どうでもいいことであったが、なんとなく志望理由について訪ねてみた。 曰く「お金がないから」だそうだ。これには好感が持てた。 「社会勉強」やら「労働の経験」といった取ってつけたような理由では ないあたり、素直で良い子である。 とりあえず採用した。 4月24日 今日、一見さんが来店した。 やたらと白くて細い、もやしのような少年だ。 「お、うめェな」と呟いていたので、コーヒーには一家言あるらしい。 このもやしが帰るとき、買い物から帰ってきたバイトの子と 鉢合わせしたのだが、妙な雰囲気であった。 どうやら因縁ある関係らしい。 店で殴り合いを始めるようなら仲裁するつもりであったが、 そんなこともなくもやしは帰っていき、バイトの子も 何事もなかったかのように仕事に戻った。 予想するに、私とあの世話焼きのような関係なのであろう。 5月1日 英国王室、ローマ教皇庁からの電話攻撃が酷い。 ほとんどは帰って来いというものである。 というか、電話攻撃のほとんどは例の世話焼きと女王陛下である。 女王陛下に至ってはもはや暇潰しの世間話レベルだ。 暇なのであろうか。困ったものだ。 何が困るって、時差があるのだから、電話がかかってきた時、 こっちは大抵真夜中なのである。 ローマ教皇庁と言えば、ペテロという人物から電話があった。 ペテロという名には覚えがなかったのであるが、話を聞いてみると 教皇就任の挨拶ということであった。 ローマも大変な時期、頑張ってほしいものである。 5月16日 店に変わった客がきた。 いや、想定外と言うべきか。 とりあえずバイトの子には買い物を頼んで避難させた。 暴れるつもりなのかと警戒していたが、その様子もない。 曰く「俺様は本場の紅茶を味わいにきただけ」らしい。 本場の紅茶を楽しむために学園都市に来る変わり者は彼奴ぐらいであろう。 昔に比べて丸くなったものである。 5月30日 バイトの子が回転寿司に行ったと話していた。 寿司は分かるが、回転寿司とはなんであるか。 話に聞くと、文字通り寿司が廻っているらしい。 ますますよく分からないのである。 「じゃ行ってみます? もちろんマスターの奢りで」と言うので、 モノは試しと店を閉めた後に連れて行ってもらった。 驚いた。本当に寿司が廻っているのである。 これなら人員も少なくて済む。 業務の効率化もここまでくれば立派である。 うちの店にもこのシステムの導入を考えたが、 バイトの子に止められた。「カフェでは使えるものではない」らしい。 残念である。 6月11日 あれから俺様がちょくちょく来るようになった。 といっても、10日に1回ほどのペースであるが。 いったい何をしているのであろうか。 曰く「俺様は世界を見て回っている」そうだ。 よくわからないが、まあよしとする。 もうすぐ日本を離れるので、当分は来れないそうだ。 選別に、俺様が気に入っていた紅茶(彼奴は本場の味と言っているが、 工場生産のティーバッグである)をいくつか包んでやった。 7月1日 しかし、日本の夏はなぜこんなにも過ごしづらいのであろうか。 空気がまとわりついてくる、という表現も大袈裟ではない。 傭兵稼業をしていた頃に行った熱帯雨林を思い出させるのである。 バイトの子が最近疲れた顔をしているのも暑さのせいらしい。 自室に空調がないので、少しでも涼しいようにと フローリングに直に寝ているそうだ。 そりゃ疲れて当然なのである。 番外個体 「……」ペラ...ペラ... 番外個体 「なんか意外だなー」 番外個体 「マスター、帳簿の隅っこに日記なんてつけてたんだ」 番外個体 「読んで思ったけど、意外とお茶目なんだね」 番外個体 「……まだ続きがあるな」ペラ... 7月12日 最近、バイトの子の雰囲気が変わった。 なんというか、元気というか、活発になった。 それとなく話を振ってみたのだが、「禁則事項です♪」と 口に人差し指を当てるポーズで返されてしまった。 そういえば、あのもやしも割と頻繁に店に来るようになった。 バイトの子と仲が良いのか悪いのか、なんとも言えない、 長年連れ添った夫婦のような会話を交わしていることが多い。 男女の仲とは複雑なものである。 8月3日 バイトの子から業務連絡。 3日ほど休み、というかシフト振替をしてもらいたいらしい。 なんでも、仲の良い友人と旅行にいくそうだ。 土産を買ってくることを条件に承諾した。 8月10日 バイトの子から土産をもらった。 オキナワという南の島へ行っていたらしい。 緑色のキャビアのようなもの、海ぶどうと言うらしいが。 持ち帰って食してみた。 味がほとんどしない。おそらく食感を楽しむものなのであろう。 プチプチプチプチとなかなか斬新な食感である。 クセになるのである。 8月31日 普通に店にでて、普通に終わる日々。 書くことがないのである。 これからは書くことが見つかったときだけ記録しておくとしよう。 と、ここまで書いてから気付いたが今までもそうであった。 9月19日 学園都市では大覇星祭なるものが催されているらしい。 人が多いのもそのせいであろう。 今日、バイトの子をそのまま小さくしたかのような童女が店に預けられた。 彼女曰く「妹」だそうだ。なるほど、よく似ているのである。 と思っていたら今度は彼女たちをそのまま成長させたような女性が来店した。 少し経ち、バイトの子を少しだけ幼くしたような少女が来店した。 いったい何が起こっているのであるか。 11月4日 バイトの子の様子がおかしい。 いや、良い意味で、だが。 これまではどちらかというと飾り気のない、ラフなタイプで あったのだが、ある日から毎日ピアスを装着してきている。 それも真っ赤なものを。 装着しているだけなら髪に隠れて気付かなかったのだが、 時折嬉しそうにピアスをいじっているのでは 私でも気付いてしまうというものである。 それは贈り物であるかと聞いたら、何か思い出したのか、 ピアスと同じかそれ以上に真っ赤になっていた。 11月16日 俺様から絵葉書が届いた。 今は米国の西海岸にいるらしい。 絵葉書と書いたが、土産屋で売ってるようなものではなく、 アロハシャツを着た俺様が写った写真が載せられたものである。 そういえば、こいつは変なところでマメな男であったな。 楽しんでいるのは結構だが、世界は見て回れているのであろうか。 12月23日 もうすぐクリスマスである。 私にとってクリスマスとは主に祈りを捧げ、 家族と静かに過ごす日なのであるが、日本では 商業イベントの一環として捉えているように見える。 所変わればなんとやら、であろうか。 とりあえずクリスマスは休業とする予定である。 1月18日 ショッキングな出来事があった。 頻繁に来店しているもやしが、バイトの子に真っ向から告白した。 しかも営業中の店内で、だ。大胆にも程がある。 告白を受けた側であるバイトの子はその場で泣き出してしまった。 泣くほど嫌だったのかと少々心配したが、事実は逆であり、 まったくの杞憂であったようだ。 この涙なら、その理由を変える必要もあるまい。 2月2日 確定申告の書類を作成するため、店はバイトの子に任せ、 私は奥に引っ込んでいた。 目の疲れを感じたので、小休止を挟んでいたところ バイトの子がひょこっと顔を出してきた。 困った様子で「あの、マスターの友人と名乗る人が 来てるんですけど」ということなので、表に出た。 ……。 なぜだ。 なぜお前がここに来ている。 2月12日 あれから悶々とした日々を送っている。 あの男が放った一言のせいだ。 「ヴィリアン様は今もお前をお待ちだ。一体いつまで悲しませれば気が済むのだ?」 返す言葉がなかった。 「帰ってくるつもりがあるならば、関係者には私から話をつけておいてやる」 「いつでも連絡してこい。早ければ早いほどいいんだがな」 不敵な笑みを浮かべながらそう言い放ち、紅茶を飲み干すと帰っていった。 無言で佇む私を、「これは貴女に」と押し付けられた花束を抱えたバイトの子が 心配そうに見ていた。 2月25日 ロシアの地で、私が再び立ち上がるきっかけになった男がいる。 学園都市の関係者らしいということは聞いていたのだが、 今日とうとう対面を果たした。 妻?に頭があがらないダメ亭主と貸していた。 いや、或いは最初からそうだったのかもしれない。 映画のヒーローによくいるタイプなのであろう。 普段はテンプレ通りのダメ男だが、逆境に立たされたときや 大切な物を護るためなら世界一のヒーローとなるタイプだ。 だがヒーローであっても妻に頭があがらないのは 世界共通事項なのであろうな。 3月16日 バイトの子が新しいエプロンを使っていた。 黒をバックに、白い菱形を縦にいくつかあしらったシックなデザインだ。 シンプルで好感が持てるのである。 聞いてもいないのに「彼からもらったんです♪」と 言っているあたり、余程嬉しかったのであろう。 ……もし仮に、彼女一人となっても大丈夫であろう。 彼女にもヒーロー兼常連客がいるようであるからな。 3月19日 そろそろ、決断しなければなるまい。 番外個体 「日記はここで終わっている……」 番外個体 「……マスター、まさか」 <ミサワさん、見てしまったであるか。 番外個体 「」ビクッ マスター 「」ゴゴゴゴゴ 番外個体 「ひっ……!」 マスター 「そこに書いてあったことは他言無用である」 番外個体 「はい! 全部忘れました! 今綺麗サッパリ忘れました!」 マスター 「では、今日はもう閉める時間である」 番外個体 「お、お疲れ様でした!」ピュー マスター 「……見られてしまったであるか」ハァ =====

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