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同日  公園 「信じられない」 今の心境を一言で言い表すとそうなる。 しかし、厳密いうと違う。 言葉では表せない。そんな感情みたいなのが頭の中でぐるぐる回っていた。 美琴は覚悟を決め鏡を見ると、そこには何も無かった。 自分の顔はもちろん、体全体が見えなくなっていた。 いわゆる透明人間というやつだ。 なにかの機器を使い、自己的になったのならその場で大喜びだが、今はそのような状況ではない。 どうしてこうなったのか、美琴は未だに事態が飲み込めていない頭をなんとか動かし考えた。 寮を出てしばらくの間は異常は無かったと思う。 あるとすれば、何者かに狙われたあお時だ。 しかし美琴は、敵の攻撃がくる前に先制攻撃をし、敵からの干渉は何も受けなかったはずだ。 そしてここに来るまでにも特に何もなかった。 まぁ、学生と不良のあの二人の反応を見る限り、それ以前に何かが起こったのは明確なのだが。 だが今の状況を頭に理解させるだけでも手一杯なのに、それ以外をするとなればいささか難しい。 それほど美琴は、「動揺」「混乱」などの言葉を最大レベルまで引き上げて体現しているのである。  「と、とにかく何処かに一旦座って落ち着こう」 そう自分に言い聞かせ、体をトイレの出口に向けようとした。 が、頭がパニックに陥っているせいか、体がまるで石のように動かない。 体全体が麻痺しているように思われた。 しかしこのまま此処にいるわけにもいかない。 自分の体に鞭打って、まるで錆付いたロボットのように、ゆっくりと体を動かしていった。 そして、馴染み深い自販機横のベンチになんとか座ることができた。 周囲を見渡す限り、誰もいないようだ。 美琴は少しホッとした。 なぜなら、おそらく今の自分の顔は酷いことになっていると思われるからだ。 そこで美琴は気がついた (今、自分の顔はおろか、体も他の人から見れば全く見えないんだっけ) (自分では見えるのにね) おもわず自嘲してしまった。 今この状況は自分にはどうすることも出来ない。 ただそれだけが、美琴の中をめぐっていた。 無力感、それに美琴はひどくイラついた。 なにがレベル5だと。 学園都市最高峰の力を有しているにも拘わらず、自分が今置かれている状況を変えたり、打破することが出来ない。 これからどうしていくか。 その課題が更に重みを増してのしかかっていた。 だれかに頼ることを考えてみた。 しかしすぐに打ち消した。 自分の問題に他人を係わらせ、危険な目にあわせることはやっぱり気が引ける。 とにかく美琴は、少し落ち着いてきた頭をフル活用して考えた。 と、そのとき、決して言われるはずの無い言葉を美琴は聞いた。 美琴の姿が見えていないにも係わらずだ。  「おーい、御坂ー」 そう、美琴の思い人であり、今日美琴が探し続けていた人。 上条当麻だった。 美琴は上条を見た。 その顔の表情はいつもと変わらないものだった。 逆に美琴の顔は酷いものだったのだろう。 美琴の顔を見たとたんに、顔が固まっていた。 そして、両者はしばらくの間、互いの顔を見て固まっていた。 だが、早くも上条が硬直から抜け出して言った。 上条「御坂、一体どうしたんだ。そんな顔して!」 そして美琴も 美琴「あ、あんたこそどうして此処に」 上条「どうしてって、上条さんは学校の補習の帰りで…」   「って、そんなことより御坂!。何かあったのか?」 美琴「そ、それを話す前にちょっと確認したいことがあるんだけど、いいかな?」 上条に圧倒されつつ、一つ重要なことを美琴は確認する。 上条「なんだ?」 美琴「今、私の姿、見えてる?」 上条「はっ?」 美琴の意図が読めない質問に、上条はおもわず間の抜けた声を出してしまった。 しかし上条にとっては、本当に意味がわからなかった。 (何を言っているんだ御坂は。もちろん見えているに決まっているじゃねーか) (もしかしたら御坂のしょーもない冗談か?) (いや、それはないな。もし冗談ならあんな顔して聞いてくるはずがない) (なら一体…) 上条「ああ。見えてるけど。それがどうした?」 美琴「そう、ならいいのよ。でもどうして…」 美琴はわからなかった。 周囲の人間からはおそらく視認出来ないであろう状態なのに、なぜ上条にはできているのか。 たしかに美琴は、鏡で自分の姿が透明になっているのを確認した。 正直、ありえない状況に混乱しつつも、嬉しくもあった。 なぜなら、誰からも認識されないということは、孤独ということである。 しかも今、美琴は狙われている。 仮に殺されたとしても、自分の姿は他の人からは見えないので、そのまま行方不明扱いされてしまう。 しかしこうして、自分のことをしっかりと認識してくれる人に出会えた。 と、二つの思いに浸っていると 上条「御坂。なにかあったのなら話してくれ。力になりたいんだ」 そういって上条は、美琴の顔を真っ直ぐ見つめてくる。 こんな状況でなければ、思わずドキッとしてしまうところだが、今はただその身をゆだねる感じで上条にこれまでの経緯を話した。 美琴「うん、実はね…」 上条「まさか!本当なのか?」 美琴「うん...」 上条は、美琴からもたらされた情報を完璧に処理できず、小規模なパニックに陥っていた。 まぁ、そうは言っても実のところ上条は、スペックの足りない頭で、以外にも一つの解決策を思いついていた。 それは... 上条「事情はわかった」 美琴「信じてくれるの!?」 上条「当たり前だろ。御坂の事を信じないで誰を信じるんだよ。    それとも俺の事、信用できない?」 美琴「そ、そうじゃないわよ!!」      (ただ嬉しかっただけよ。でもこんなにも満たされるものなのかしら) 上条「...?何か言ったか?」 美琴「べっ、別に何でもないわよ!」 上条「ならいいけど。    あっと、それについての解決策、一つあるかもしれねぇぞ」 美琴「えっ!本当?」 上条「本当ですとも。上条さんのおo「早く教えなさいよ」舟に...。わかりましたよ。    はいコレ」 美琴「?」 美琴は最初、上条のいうコレの意味がわからなかった。 上条が自身の右手を振り回し始めると、ようやく美琴は上条の言いたい事を理解した。 そう、右手である。 美琴は知っている。 過去に何度も電撃やら何やらを防いできたあの右手が何なのかを。 上条から聞いたその能力とやらの名前は確か「幻想殺し(イマジンブレイカー」だったか。 美琴「それをどうするの?」 上条「こうするの」 何かのノリのように、上条は右手を美琴に突き出した。 美琴「!!!!」 美琴はあまりの出来事に思わず絶句した。 なぜなら、上条が右手で美琴の左手を力強く握ったからである。 美琴「/////なっ、なっ、なっ!!!/////] この状況に美琴の頭は理解という言葉を突き放した。 それにより、美琴の頭は入力される情報に対応できず、オーバーヒートを起こして機能停止に追い込まれた。 当然顔も、茹で上がったタコのように真っ赤である。 そしてその状況に耐性があるわけもなく 美琴「ふにゃーーーー!!!」 気絶した。 上条「ん?どうした御坂。御坂?    って、気絶してる。何かあったのか?」 美琴が気絶する理由がわからず、一応上条は現状維持を勤めた。 もちろん手は繋いだままである。 美琴「ん……」 美琴はなんとか意識を取り戻した。 まだ頭の中が完全に覚醒したわけではないが、なんとか目を少し開けて周囲の状況を窺った。 見た限り気絶する前となんら変わっていないようだ。だが… 美琴(あれ…。なんか頭の後ろが暖かいような…) 周囲でなく、自分の状況に違和感がチラホラ出てきた。 自分の左手は右手と比べて、誰かに握られているように暖かい。 そして自分の姿勢がおかしい。 気絶する前は確かにベンチに座っていたはずなのに、視線を本来の位置に戻すと何故か薄暗くなってきた空が見えた。 今動かせる範囲で、頭の中で必死に状況の分析をおこなっていると… 上条「おっ!。気がついたか御坂」 いきなり上条が美琴の顔を覗き込んできた。 そして美琴視点では上条の顔が、自分の顔の向きに対して横向きで垂直の位置にあった。 美琴(なっ、顔が近いわよ。顔がー!!)  (ん!コイツに覗き込まれてるってことは…。もしかして…『膝枕』されてるのっっ!!) そう、美琴は上条に典型的な『膝枕』をされていた。 上条本人としては、気絶した美琴が辛くないようにという気遣いからやっており、他意はないつもりである。 (そりゃ、上条さんもいつか女の子にこういう事をしてみたいとは思っていましたよ) だ、そうだ。 上条「ふー、良かった。まさかいきなり御坂が気絶するとは。まっ、無事目が覚めてくれてよかったわ」 上条は美琴が目を覚ました事により一息ついたが、美琴の方は一息どころではない。 美琴(どっ、どっ、どうしよう。すごく気持ちいい。出来ればもう少しこのまま…。でも、いやじゃないかな)     (むこうが勝手にしてきたけど、やっぱり迷惑なのかな)   (そうよね。アンタのことだから誰に対しても公平な優しさで今もこうしているのよね。きっと) なんか本来の上条との話の内容から外れて、自分の世界であれこれ考えている美琴だった。 だがすぐに考えをまとめて、起き上がろうとした。 美琴「よっと」 上条「おっと、まだ寝とけよ」 起き上がる美琴の肩を押さえ、元のポジションに戻そうとする。 美琴「もう大丈夫よ」 そう言って、上条に抗う美琴。 上条「いいから寝とけって」 そう言って上条は強引に美琴を元の位置に戻した。 美琴「むーー!」 美琴の方が折れたといえど、上条の過度な優しさに少しご不満ようだ。 また膝枕された事に再度の嬉しさをかみ締めつつ、上条を見上げるかたちで睨みつけた。 上条「はいはい」 が、それを軽くあしらう上条だった。 上条「っと、どうだ?なんか変化を感じるか?」 美琴「?」 美琴が「何の事を言ってるの?」みたいな感じの顔をしていると 上条「あのな。俺に何かを相談しに来たのは何処の誰だっけ?」 美琴はようやく合点がいったというような顔して、自分のあらゆる感覚を検証してみた。 美琴「うーん。これといった変化は感じないわね」 上条「その『透明化』だっけか?何か別の方法で確かめる方法はねぇのか?」 美琴「一番は誰かに私の姿を見てもらうのが良いんだけど、知らない人に「私、見えてますか?」って聞くのもなんか変だし」 上条「そうだなー。ん!待て。そもそもなんで俺にはおまえが見えてるんだ?」 美琴「そりゃ、アンタが右手で私に触れたから、なんらかの異能の力が……」 上条「そうじゃないだろ!俺はここで御坂に会った時から既に認識していた」 美琴「あっ!!そうか。ごめん、忘れてた」 正直なところ、美琴はその事を気絶の関係ですっかり忘れていた。 上条「もしかしたらこの右手が関係しているのかもな」 上条はふとある考えが浮かび、己の右手を見た。 美琴「えっ!?それってどういうこと?」 上条「詳しくは今度ちゃんと話すけど、実は以前世界規模の事件が起きた事があってな。    そのとき一部の人を除いて、みんながある大きな力に影響されたんだ。    で、その一部の人はその大きな力から身を守れた人達だったんだけど、なぜか大きな力から身を守る術を持たない俺も無事だったんだよ。    その事件が起きている事も、その一部の人達から聞いて、やっと認識したぐらいなんだ」 「何かが起きている事はうっすら気づいてはいたがな」という言葉を付け加え、なお上条の説明は続く。 上条「そしてその『例外』の人達が言うには、俺の右手(幻想殺し)がその大きな力の干渉から『打ち消す』ことによって無事だったらしいんだ。    だから、御坂に右手で触れて何も変化無しなら、おそらく周囲に異能の力が働いていて、右手がその力から俺を守ってくれているから普段通り何ともないんだと思う」 一通り説明を終え、一息つく上条。 美琴はというと 美琴「………」 上条からの説明を一つ一つ検証していた。 なんせ初めて聞く内容であり、この状況だ。 すぐに理解しろという方が無理である。 でもこれだけは理解している。 上条が美琴を認識しているということ。 それから少し経って 美琴「アンタの言いたい事はわかったわ。    あとはアンタの右手が私に触れた事で他の人が私を認識出来ているか否かよね」 上条「なぁ、本当に何か別にないのか?」 美琴「うーん」 うなる美琴。 っと、美琴の頭の上に豆電球が光った。 失礼。今はLEDでした。 美琴「鏡」 上条「えっ!?」 美琴「だから鏡よ、鏡!」 そう、美琴自身が透明化を認識した鏡という手段があった。 そして美琴は上条にそう答えるなり、ベンチから勢いよく立ち上がり、一直線に公園のトイレに駆け出した。 美琴を呆然と見送った上条だったが、すぐさま我を取り戻して後を追った。
同日  公園 「信じられない」 今の心境を一言で言い表すとそうなる。 しかし、厳密いうと違う。 言葉では表せない。そんな感情みたいなのが頭の中でぐるぐる回っていた。 美琴は覚悟を決め鏡を見ると、そこには何も無かった。 自分の顔はもちろん、体全体が見えなくなっていた。 いわゆる透明人間というやつだ。 なにかの機器を使い、自己的になったのならその場で大喜びだが、今はそのような状況ではない。 どうしてこうなったのか、美琴は未だに事態が飲み込めていない頭をなんとか動かし考えた。 寮を出てしばらくの間は異常は無かったと思う。 あるとすれば、何者かに狙われたあお時だ。 しかし美琴は、敵の攻撃がくる前に先制攻撃をし、敵からの干渉は何も受けなかったはずだ。 そしてここに来るまでにも特に何もなかった。 まぁ、学生と不良のあの二人の反応を見る限り、それ以前に何かが起こったのは明確なのだが。 だが今の状況を頭に理解させるだけでも手一杯なのに、それ以外をするとなればいささか難しい。 それほど美琴は、「動揺」「混乱」などの言葉を最大レベルまで引き上げて体現しているのである。  「と、とにかく何処かに一旦座って落ち着こう」 そう自分に言い聞かせ、体をトイレの出口に向けようとした。 が、頭がパニックに陥っているせいか、体がまるで石のように動かない。 体全体が麻痺しているように思われた。 しかしこのまま此処にいるわけにもいかない。 自分の体に鞭打って、まるで錆付いたロボットのように、ゆっくりと体を動かしていった。 そして、馴染み深い自販機横のベンチになんとか座ることができた。 周囲を見渡す限り、誰もいないようだ。 美琴は少しホッとした。 なぜなら、おそらく今の自分の顔は酷いことになっていると思われるからだ。 そこで美琴は気がついた (今、自分の顔はおろか、体も他の人から見れば全く見えないんだっけ) (自分では見えるのにね) おもわず自嘲してしまった。 今この状況は自分にはどうすることも出来ない。 ただそれだけが、美琴の中をめぐっていた。 無力感、それに美琴はひどくイラついた。 なにがレベル5だと。 学園都市最高峰の力を有しているにも拘わらず、自分が今置かれている状況を変えたり、打破することが出来ない。 これからどうしていくか。 その課題が更に重みを増してのしかかっていた。 だれかに頼ることを考えてみた。 しかしすぐに打ち消した。 自分の問題に他人を係わらせ、危険な目にあわせることはやっぱり気が引ける。 とにかく美琴は、少し落ち着いてきた頭をフル活用して考えた。 と、そのとき、決して言われるはずの無い言葉を美琴は聞いた。 美琴の姿が見えていないにも係わらずだ。  「おーい、御坂ー」 そう、美琴の思い人であり、今日美琴が探し続けていた人。 上条当麻だった。 美琴は上条を見た。 その顔の表情はいつもと変わらないものだった。 逆に美琴の顔は酷いものだったのだろう。 美琴の顔を見たとたんに、顔が固まっていた。 そして、両者はしばらくの間、互いの顔を見て固まっていた。 だが、早くも上条が硬直から抜け出して言った。 上条「御坂、一体どうしたんだ。そんな顔して!」 そして美琴も 美琴「あ、あんたこそどうして此処に」 上条「どうしてって、上条さんは学校の補習の帰りで…」   「って、そんなことより御坂!。何かあったのか?」 美琴「そ、それを話す前にちょっと確認したいことがあるんだけど、いいかな?」 上条に圧倒されつつ、一つ重要なことを美琴は確認する。 上条「なんだ?」 美琴「今、私の姿、見えてる?」 上条「はっ?」 美琴の意図が読めない質問に、上条はおもわず間の抜けた声を出してしまった。 しかし上条にとっては、本当に意味がわからなかった。 (何を言っているんだ御坂は。もちろん見えているに決まっているじゃねーか) (もしかしたら御坂のしょーもない冗談か?) (いや、それはないな。もし冗談ならあんな顔して聞いてくるはずがない) (なら一体…) 上条「ああ。見えてるけど。それがどうした?」 美琴「そう、ならいいのよ。でもどうして…」 美琴はわからなかった。 周囲の人間からはおそらく視認出来ないであろう状態なのに、なぜ上条にはできているのか。 たしかに美琴は、鏡で自分の姿が透明になっているのを確認した。 正直、ありえない状況に混乱しつつも、嬉しくもあった。 なぜなら、誰からも認識されないということは、孤独ということである。 しかも今、美琴は狙われている。 仮に殺されたとしても、自分の姿は他の人からは見えないので、そのまま行方不明扱いされてしまう。 しかしこうして、自分のことをしっかりと認識してくれる人に出会えた。 と、二つの思いに浸っていると 上条「御坂。なにかあったのなら話してくれ。力になりたいんだ」 そういって上条は、美琴の顔を真っ直ぐ見つめてくる。 こんな状況でなければ、思わずドキッとしてしまうところだが、今はただその身をゆだねる感じで上条にこれまでの経緯を話した。 美琴「うん、実はね…」 上条「まさか!本当なのか?」 美琴「うん...」 上条は、美琴からもたらされた情報を完璧に処理できず、小規模なパニックに陥っていた。 まぁ、そうは言っても実のところ上条は、スペックの足りない頭で、以外にも一つの解決策を思いついていた。 それは... 上条「事情はわかった」 美琴「信じてくれるの!?」 上条「当たり前だろ。御坂の事を信じないで誰を信じるんだよ。    それとも俺の事、信用できない?」 美琴「そ、そうじゃないわよ!!」      (ただ嬉しかっただけよ。でもこんなにも満たされるものなのかしら) 上条「...?何か言ったか?」 美琴「べっ、別に何でもないわよ!」 上条「ならいいけど。    あっと、それについての解決策、一つあるかもしれねぇぞ」 美琴「えっ!本当?」 上条「本当ですとも。上条さんのおo「早く教えなさいよ」舟に...。わかりましたよ。    はいコレ」 美琴「?」 美琴は最初、上条のいうコレの意味がわからなかった。 上条が自身の右手を振り回し始めると、ようやく美琴は上条の言いたい事を理解した。 そう、右手である。 美琴は知っている。 過去に何度も電撃やら何やらを防いできたあの右手が何なのかを。 上条から聞いたその能力とやらの名前は確か「幻想殺し(イマジンブレイカー」だったか。 美琴「それをどうするの?」 上条「こうするの」 何かのノリのように、上条は右手を美琴に突き出した。 美琴「!!!!」 美琴はあまりの出来事に思わず絶句した。 なぜなら、上条が右手で美琴の左手を力強く握ったからである。 美琴「/////なっ、なっ、なっ!!!/////] この状況に美琴の頭は理解という言葉を突き放した。 それにより、美琴の頭は入力される情報に対応できず、オーバーヒートを起こして機能停止に追い込まれた。 当然顔も、茹で上がったタコのように真っ赤である。 そしてその状況に耐性があるわけもなく 美琴「ふにゃーーーー!!!」 気絶した。 上条「ん?どうした御坂。御坂?    って、気絶してる。何かあったのか?」 美琴が気絶する理由がわからず、一応上条は現状維持を勤めた。 もちろん手は繋いだままである。 美琴「ん……」 美琴はなんとか意識を取り戻した。 まだ頭の中が完全に覚醒したわけではないが、なんとか目を少し開けて周囲の状況を窺った。 見た限り気絶する前となんら変わっていないようだ。だが… 美琴(あれ…。なんか頭の後ろが暖かいような…) 周囲でなく、自分の状況に違和感がチラホラ出てきた。 自分の左手は右手と比べて、誰かに握られているように暖かい。 そして自分の姿勢がおかしい。 気絶する前は確かにベンチに座っていたはずなのに、視線を本来の位置に戻すと何故か薄暗くなってきた空が見えた。 今動かせる範囲で、頭の中で必死に状況の分析をおこなっていると… 上条「おっ!。気がついたか御坂」 いきなり上条が美琴の顔を覗き込んできた。 そして美琴視点では上条の顔が、自分の顔の向きに対して横向きで垂直の位置にあった。 美琴(なっ、顔が近いわよ。顔がー!!)  (ん!コイツに覗き込まれてるってことは…。もしかして…『膝枕』されてるのっっ!!) そう、美琴は上条に典型的な『膝枕』をされていた。 上条本人としては、気絶した美琴が辛くないようにという気遣いからやっており、他意はないつもりである。 (そりゃ、上条さんもいつか女の子にこういう事をしてみたいとは思っていましたよ) だ、そうだ。 上条「ふー、良かった。まさかいきなり御坂が気絶するとは。まっ、無事目が覚めてくれてよかったわ」 上条は美琴が目を覚ました事により一息ついたが、美琴の方は一息どころではない。 美琴(どっ、どっ、どうしよう。すごく気持ちいい。出来ればもう少しこのまま…。でも、いやじゃないかな)     (むこうが勝手にしてきたけど、やっぱり迷惑なのかな)   (そうよね。アンタのことだから誰に対しても公平な優しさで今もこうしているのよね。きっと) なんか本来の上条との話の内容から外れて、自分の世界であれこれ考えている美琴だった。 だがすぐに考えをまとめて、起き上がろうとした。 美琴「よっと」 上条「おっと、まだ寝とけよ」 起き上がる美琴の肩を押さえ、元のポジションに戻そうとする。 美琴「もう大丈夫よ」 そう言って、上条に抗う美琴。 上条「いいから寝とけって」 そう言って上条は強引に美琴を元の位置に戻した。 美琴「むーー!」 美琴の方が折れたといえど、上条の過度な優しさに少しご不満ようだ。 また膝枕された事に再度の嬉しさをかみ締めつつ、上条を見上げるかたちで睨みつけた。 上条「はいはい」 が、それを軽くあしらう上条だった。 上条「っと、どうだ?なんか変化を感じるか?」 美琴「?」 美琴が「何の事を言ってるの?」みたいな感じの顔をしていると 上条「あのな。俺に何かを相談しに来たのは何処の誰だっけ?」 美琴はようやく合点がいったというような顔して、自分のあらゆる感覚を検証してみた。 美琴「うーん。これといった変化は感じないわね」 上条「その『透明化』だっけか?何か別の方法で確かめる方法はねぇのか?」 美琴「一番は誰かに私の姿を見てもらうのが良いんだけど、知らない人に「私、見えてますか?」って聞くのもなんか変だし」 上条「そうだなー。ん!待て。そもそもなんで俺にはおまえが見えてるんだ?」 美琴「そりゃ、アンタが右手で私に触れたから、なんらかの異能の力が……」 上条「そうじゃないだろ!俺はここで御坂に会った時から既に認識していた」 美琴「あっ!!そうか。ごめん、忘れてた」 正直なところ、美琴はその事を気絶の関係ですっかり忘れていた。 上条「もしかしたらこの右手が関係しているのかもな」 上条はふとある考えが浮かび、己の右手を見た。 美琴「えっ!?それってどういうこと?」 上条「詳しくは今度ちゃんと話すけど、実は以前世界規模の事件が起きた事があってな。    そのとき一部の人を除いて、みんながある大きな力に影響されたんだ。    で、その一部の人はその大きな力から身を守れた人達だったんだけど、なぜか大きな力から身を守る術を持たない俺も無事だったんだよ。    その事件が起きている事も、その一部の人達から聞いて、やっと認識したぐらいなんだ」 「何かが起きている事はうっすら気づいてはいたがな」という言葉を付け加え、なお上条の説明は続く。 上条「そしてその『例外』の人達が言うには、俺の右手(幻想殺し)がその大きな力の干渉から『打ち消す』ことによって無事だったらしいんだ。    だから、御坂に右手で触れて何も変化無しなら、おそらく周囲に異能の力が働いていて、右手がその力から俺を守ってくれているから普段通り何ともないんだと思う」 一通り説明を終え、一息つく上条。 美琴はというと 美琴「………」 上条からの説明を一つ一つ検証していた。 なんせ初めて聞く内容であり、この状況だ。 すぐに理解しろという方が無理である。 でもこれだけは理解している。 上条が美琴を認識しているということ。 それから少し経って 美琴「アンタの言いたい事はわかったわ。    あとはアンタの右手が私に触れた事で他の人が私を認識出来ているか否かよね」 上条「なぁ、本当に何か別にないのか?」 美琴「うーん」 うなる美琴。 っと、美琴の頭の上に豆電球が光った。 失礼。今はLEDでした。 美琴「鏡」 上条「えっ!?」 美琴「だから鏡よ、鏡!」 そう、美琴自身が透明化を認識した鏡という手段があった。 そして美琴は上条にそう答えるなり、ベンチから勢いよく立ち上がり、一直線に公園のトイレに駆け出した。 美琴を呆然と見送った上条だったが、すぐさま我を取り戻して後を追った。 つづく

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